タイトル: | 公開特許公報(A)_近赤外線吸収剤およびその用途 |
出願番号: | 2006033970 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C09K 3/00,G02B 5/22,C09B 23/00,C07D 333/18 |
小川 但 JP 2007211174 公開特許公報(A) 20070823 2006033970 20060210 近赤外線吸収剤およびその用途 東洋インキ製造株式会社 000222118 小川 但 C09K 3/00 20060101AFI20070727BHJP G02B 5/22 20060101ALI20070727BHJP C09B 23/00 20060101ALI20070727BHJP C07D 333/18 20060101ALI20070727BHJP JPC09K3/00 105G02B5/22C09B23/00 FC07D333/18 10 OL 25 2H048 4H056 2H048CA04 2H048CA12 2H048CA17 2H048CA19 4H056CA02 4H056CA05 4H056CB06 4H056CC04 4H056CD08 本発明は、新規のキンクチエノキイノノイド系近赤外線吸収剤およびそれを用いた積層体、光学フィルターに関するものである。 ビス(1,2−ジアリール−エチレンジチオラト)ニッケル系錯体は一般に750nm〜1200nmの近赤外部に吸収を有し、近赤外線吸収剤として優れた性質を有している。主な用途として近赤外線を吸収・カットする機能を有する半導体受光素子用の光学フィルター、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用近赤外線吸収フィルム、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用近赤外線カットフィルター、写真用近赤外線フィルター、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学記録用色素、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー溶着、などに用いられる。またCCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルターとしても有用である。 プラズマディスプレイ(PDP)では、800〜1050nmのネオンガスの輝線を発しており、近赤外線リモコンを用いた機器の誤作動を招くという問題があり、近赤外線を吸収し、かつ可視透過率の優れた色素が必要とされている。 また、カメラやビデオカメラ等の光学機器では、光信号を電気信号に変換するために、シリコンダイオード素子、相補型金属酸化物半導体(CMOS)や電荷結合素子(CCD)等が使用される。これらの光−電気変換素子(以下、光学素子という)は300〜1100nmという広範囲の光感応領域を有するので、人間の目の視感度400〜700nmと比較すると、近赤外領域で強く感応することになる。一般に、カメラやビデオカメラのような光学機器では、人間の視感度領域の波長光に感応することが必要で、この領域から外れた波長光はむしろ好ましくなく、測光や色再現性に支障をきたすこととなる。したがって、この場合、可視光線を透過し、かつ近赤外領域の光を効率よく吸収カットする光学フィルターが必要となる。 従来、カメラの測光用フィルターや、ビデオカメラ等の撮像系視感度補正用フィルターとして、リン酸系ガラスに銅イオンの含有されたガラス製光学フィルターが使用されている。しかし、この種のガラス製光学フィルターは重く、吸湿性が大きいのみならず、製造に当たって、成型、切削、研磨等の加工が難しく、さらに、高湿度雰囲気下では失透しやすいという欠点を有している。 上記CCD、CMOS用フィルターとしてりん酸エステル銅化合物を樹脂に分散したもの(WO99/26951号公報、WO99/26952号公報、特開2000−7871号公報、WO98/55885号公報、特開2000−38396号公報)、ローパス機能と視感度補正機能を有する複合光学フィルター(特開平8−146216号公報)ホスフィン酸化物をモノマーの1成分として重合させた樹脂からなるフィルター(特開2000−98130号公報)、等があるが、耐久性・透明性という点では必ずしも満足したものではない。 公知の有機ニッケル系錯体近赤外線吸収剤としてはビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体化合物(特開昭63−227597号公報、特開昭64−61492号公報)、ビス(1,2−アセナフチレンジチオラト)ニッケル錯体化合物(特許第2923084号公報)、4−tert−ブチル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体(特開昭63−307853号公報)アルコキシ基を有するビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体化合物(特開平2−264788号公報)、ジチオラートニッケル高分子錯体(特開平4−198304号公報)、などが知られている。また多核型チオール錯体(特開2005−181966号公報)も長波長吸収材料として知られているが、置換基を持たせることが難しく、さらに溶媒に対する溶解性、樹脂との相溶性が極めて悪く、実用的ではなかった。 また、同様にフタロシアニン系近赤外吸収化合物では置換基を有するフタロシアニン化合物もしくはナフタロシアニン化合物(特開平10−78509号公報)、アミノ基を有するフタロシアニン化合物(特開2004−18561号公報、特開2001−106689号公報、特開2000−63691号公報、特許第2746293号公報、特許第3226504号公報)含フッ素フタロシアニン化合物(特許第2907624号公報、特許第3014221号公報)等が知られている。 上記近赤外線吸収材に用いられる近赤外線吸収色素は、一般的に、溶媒に溶解させた後、樹脂と混合してプラスチック等の基板にコーティングするか、或いは樹脂と加熱混練されて、シート状、板状或いはその他の形状に成形されて用いられる。そのため、上記近赤外線吸収色素には、溶媒に対する溶解性や樹脂との相溶性等に優れていることが求められる。さらに、上記近赤外線吸収剤は、野外で使用される場合もあるので、近赤外線吸収色素自身にも高い耐久性、熱安定性等が要求される。WO99/26951号公報WO99/26952号公報特開2000−7871号公報WO98/55885号公報特開2000−38396号公報特開平8−146216号公報特開2000−98130号公報特開昭63−227597号公報特開昭64−61492号公報特許第2923084号公報特開昭63−307853号公報特開平2−264788号公報特開平4−198304号公報特開2005−181966号公報特開平10−78509号公報特開2004−18561号公報特開2001−106689号公報特開2000−63691号公報特許第2746293号公報、特許第3226504号公報特許第2907624号公報、特許第3014221号公報 従来近赤外線吸収色素として用いられている、置換ベンゼンジチオールニッケル錯体類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ビスジチオベンジルニッケル錯体類等は、近赤外線吸収剤に配合されて用いられたとき、必ずしも満足すべき効果を示しているとはいえない。例えば、フタロシアニン類は、種々の置換基で置換されて、溶媒への溶解性を向上させているが、その結果、耐光性、熱安定性等が劣ったものとなっている。また、吸収スペクトルがシャープであるため近赤外線を吸収できる波長範囲が小さい。一方、置換ベンゼンジチオールニッケル錯体類は、製造が比較的容易であること、耐久性が良好という等の点においては優れているが、溶媒への溶解性が小さく、また樹脂との相溶性に劣るという問題がある。 すなわち、溶媒への溶解度が小さいと、近赤外線吸収剤を溶媒に溶解させて用いるときに、基板として用いるガラス、紙又は樹脂の表面に、近赤外線を遮断するのに十分な量の色素を含有させることが困難となる。結果として可視光透過率の低下、近赤外線の吸収特性の低下を招く。また、近赤外線吸収剤をモノマーと混合し、このモノマーを重合硬化させて近赤外線吸収剤とするときも、モノマーへの溶解度が小さいと、十分な量の色素を含有させることが困難となり、未溶解の色素が原因となって、部分的に不透明になるという問題が生じる。さらに、上記近赤外線吸収剤と樹脂との相溶性が悪いと均一な近赤外線吸収剤を得ることができないという問題がある。 本発明は、下記一般式[1]で表される近赤外線吸収剤に関する。一般式[1][式中、X1〜X10は、それぞれ独立に、直接結合、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表す。(窒素原子は、さらに、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換のヘテロアリール基を有する。)R1〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表し、隣接するR同士は一体となって環を形成してもよい。] また本発明は、ニッケル錯体系色素および/またはフタロシアニン系色素および/またはジイモニウム系色素を含む上記近赤外線吸収剤に関する。 また本発明は、バインダー樹脂を含む上記近赤外線吸収剤に関する。 また本発明は、塗布剤である上記近赤外線吸収剤に関する。 また本発明は、粘着剤または接着剤である上記近赤外線吸収剤に関する。 また本発明は、基材上に、上記近赤外吸収剤を含む層を形成してなる積層体に関する。 また本発明は、上記積層体を含んでなる光学フィルターに関する。 また本発明は、プラズマディスプレイ用である上記光学フィルターに関する。 また本発明は、CCDカメラ用である上記光学フィルターに関する。 また本発明は、CMOSイメージセンサ用である上記光学フィルターに関する。 本発明により、溶媒への溶解性もしくは樹脂との相溶性が良好であり、また高耐久性の近赤外吸収剤を提供できた。 本発明は、一般式[1]で表される新規な色素を近赤外吸収剤として用いることを特徴とする。 一般式[1]においてR1〜R10の置換もしくは未置換のアルキル基とは、置換基を有してよいアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフロロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、2,4−シクロペンタジエン−1−イリデニル基などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。 一般式[1]においてR1〜R10の置換もしくは未置換のアルケニル基とは、置換基を有してよいアルケニル基であって、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ジメチルビニル基、ペンチレン基、ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基、ステアリレン基、ジクロロメチレン基、ジフロロメチレン基、シクロプロピレン基、シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキサジエニレン基、2−シクロペンテン−1−イル基、2,4−シクロペンタジエン−1−イリデニル基などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。 一般式[1]においてR1〜R10における置換基もしくは未置換のアリール基とは、置換基を有してよいアリール基であり、具体的には、フェニル基、2-5-ジメチルフェニル基、ビフェニレニル基、トリフェニレニル基、テトラフェニレニル基、3−ニトロフェニル基、4−メチルチオフェニル基、3,5−ジシアノフェニル基、o−,m−およびp−トリル基、キシリル基、o−,m−およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、アントラキノニル基、3−メチルアントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、2−エチル−1−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、6−クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。 一般式[1]においてR1〜R10における置換もしくは未置換のヘテロアリール基とは、置換基を有してよいヘテロアリール基であって、具体的には、チオニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フルフリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、2−メチルピリジル基、3−シアノピリジル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。 一般式[1]においてR1〜R10は、隣接するR同士が一体となって(例えばR1とR2)、環を形成してもよい。このとき、R1〜R10は、一体となって、置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換のアルケニレン基、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、あるいは、これらの組み合わせがあげられる。 一般式[1]においてR1〜R10は、隣接するR同士が一体となった、置換もしくは未置換のアルキレン基とは、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基、ステアリレン基、トリクロロメチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられ、これらの基に置換基を有しても良い。 一般式[1]においてR1〜R10は、隣接するR同士が一体となった、置換もしくは未置換アリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜60の単環または縮合環のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基である。具体例としてはフェニレン、ビフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、フェナントロリンジイル、ピレンジイル、トリフェニレンジイル、ベンゾフェナントロリンジイル、ペリレンジイル、ペンタフェニレンジイル、ペンタセンジイルなどが挙げられ、これらの基に置換基を有しても良い。 一般式[1]においてR1〜R10は、隣接するR同士が一体となった、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基とは、好ましくは炭素数4ないし60の単環または縮合環の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子、酸素原子または硫黄原子の少なくとも一つを含有する炭素数4ないし60の単環または縮合環の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは炭素数4ないし30の5員または6員の芳香族ヘテロ環基である。芳香族ヘテロ環基の具体例としては、ピロールジイル、フランジイル、チエニレン、ピリジンジイル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、キノリンジイル、イソキノリンジイル、シンノリンジイル、キナゾリンジイル、キノキサリンジイル、フタラジンジイル、プテリジンジイル、アクリジンジイル、フェナジンジイル、フェナントロリンジイルなどが挙げられ、これらの基に置換基を有しても良い。 一般式[1]においてR1〜R10は、隣接するR同士が一体となった、置換もしくは未置換のアルキレン基とは、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基、ステアリレン基、トリクロロメチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられ、これらの基に置換基を有しても良い。 本発明の近赤外線吸収剤は、前記一般式[1]で表される構造を含む近赤外線吸収剤を含有するものであれば、その用途、構成等により特に制限を受けることはない。また、本発明の近赤外線吸収剤には、一般式[1]で表される近赤外線吸収色素の他に、補助的に他の光吸収性色素や各種安定剤等を含有させることもできる。 本発明の近赤外吸収剤は、必要に応じてバインダー樹脂と共に、基材上に、近赤外吸収剤を含む層を形成して、積層体とすることができる。積層体は、例えば、光学フィルター、光学反射板、光学拡散板などに使用できる。 本発明の光学フィルターは、前記一般式[1]で表されるキンクチエノキイノノイドからなる本発明の近赤外線吸収剤を含有するものであれば、その用途、構成等により特に制限を受けることはない。また、本発明の光学フィルターには、本発明の近赤外線吸収剤の他に、補助的に他の光吸収性色素や各種安定剤等を含有させることもできる。 本発明の光学フィルターに用いることができる上記の他の光吸収性色素としては、例えば、シアニン系、キノリン系、クマリン系、チアゾール系、オキソノール系、アズレン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、アゾ系、ベンジリデン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ナフトキノン系、アントロキノン系、トリフェニルメタン系、ジイモニウム系、前記一般式[1]で表される金属錯体以外のジチオール金属錯体系化合物等が挙げられる。 本発明の近赤外線吸収剤はさらに、ニッケル錯体系色素および/またはフタロシアニン系色素および/またはジイモニウム系色素を含んでもよい。 ニッケル錯体系色素としては、下記一般式[2]の構造を含むものならば限定されず、さらに一価のカチオンとのイオン化化合物となっていても良い。一般式[2][式中R5〜R8はOまたはSまたはNを表す。]具体的にはAmerican Dye Source, Ink(Laser Dyes & Near Infrared Dyes)カタログ記載のADS845MC、ADS870MC、ADS880MC、ADS890MC、ADS920MC、ADS990MC等が挙げられるがこれらに限定したものではない。フタロシアニン系色素としては、下記一般式[3]で挙げられるものが好ましい。一般式[3][M1は金属原子、式中R9〜R24は水素原子もしくは置換基を表し、M1にはさらに置換基を有しても良い。]具体的には株式会社日本触媒製イーエクスカラーIR-10、IR-12、IR-14等があるがこれらに限定されるものではない。さらにジイモニウム系色素としては、下記一般式[4]の構造を含むものが好ましく、一般式[4][式X-はハロゲンイオン、無機酸イオンまたは有機酸イオンを表す。]上記一般式[5]においてXにおけるハロゲンイオンとしては例えばヨウ素イオン、臭素イオン、塩素イオン、フッ素イオン等が挙げられる。また、無機酸イオンとしては例えばヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。有機酸イオンとしては例えば酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。例えば日本化薬(株)製IRG-022、IRG-023、IRG-040等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。 本発明の一般式[1]で表される近赤外線吸収剤以外の光吸収性色素の添加量としては、吸収スペクトルとの兼ね合いでフィルムとしたときの可視光透過率が70〜80%以上、近赤外領域の透過率は10%以下となる比率が好ましい。 本発明に使用されるニッケル錯体系色素の添加量としては、一般式[1]で表される近赤外線吸収剤100重量部に対して好ましくは1〜1000重量部、更に好ましくは一般式[1]で表される近赤外線吸収剤100重量部に対して10〜500重量部である。 本発明に使用されるフタロシアニン系色素の添加量としては、一般式[1]で表される近赤外線吸収剤100重量部に対して好ましくは1〜1000重量部、更に好ましくは一般式[1]で表される近赤外線吸収剤100重量部に対して10〜500重量部である。 本発明に使用されるジイモニウム系色素の添加量としては、一般式[1]で表される近赤外線吸収剤100重量部に対して好ましくは1〜1000重量部、更に好ましくは一般式[1]で表される近赤外線吸収剤100重量部に対して10〜500重量部である。 本発明の近赤外線吸収剤は、さらに、バインダー樹脂を含んでもよい。 バインダー樹脂としては、例えば、脂肪族エステル系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂およびそれらの共重合樹脂を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料も挙げられる。 本発明の近赤外線吸収剤は、塗布剤、粘着剤または接着剤として用いることができる。 本発明でいう塗布剤とは、樹脂および/または有機溶剤または水を含む液状組成物またはペースト状の組成物からなる近赤外線吸収性を有する加工材料である。本発明の塗布剤は、本発明の近赤外線吸収剤を適宜の塗布剤に溶解または分散させることにより調製することができる。本発明の塗布剤は、油性の塗布剤であってもよく、水性の塗布剤であってもよい。また、本発明の塗布剤には、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が含有されていてもよい。本発明の塗布剤の用途は、基材の表面被覆を目的とするものであれば特に制限されるものではなく、本発明の塗布剤によれば、近赤外線吸収性を有する塗膜をを形成することができる。油性の塗布剤を構成するバインダー樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂、およびそれらの共重合樹脂を挙げることができる。また、油性の塗布剤を構成する有機溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、およびそれらの混合溶媒を挙げることができる。一方、水性の塗布剤の調製方法としては、本発明の近赤外線吸収剤を微粉化処理して数マイクロメーター以下の微粒子を得、当該微粒子を、未着色のアクリル系のポリマーエマルジョン中に分散させる方法を挙げることができる。 粘着剤として用いる場合、バインダーとして粘着性バインダーを使用しても良い。粘着性バインダーとしては、アクリル系、ウレタン系、ゴム系などが挙げられる。アクリル系として用いることのできるモノマーとしてはアクリルモノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。本発明においては、粘着物性を確保するという点で、炭素数が4〜12のアクリル系モノマーを共重合に供することが好ましい。さらに好ましくは、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。 これらは、粘着剤としての望ましい物性を得る目的のため、適宜選択して単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。 上述粘着性バインダーにおいてアクリル系モノマー、アルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー、及びその他のモノマー等を共重合してなるアクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は5万〜100万であることが好ましく、5万〜20万の低分子量アクリル系共重合体であることがより好ましい。 さらに、粘着性バインダーと本発明の近赤外吸収剤とを含んでなる粘着剤は、基材上に公知の方法で塗工されて、積層体である粘着剤シートとなる。ここで用いられる基材は、後に記載する基材のほか、紙、金属、布なども用いられる。また、粘着性バインダーが、単独でシートを構成できる場合は、基材を必要としない粘着剤シートとなる。また、基材の両面に粘着剤が塗工される形態であってもよい。ただし、一方の面の粘着剤が、本発明の粘着剤を含まない場合であってもよい。 本発明の近赤外線吸収剤の樹脂に対する添加量としては、樹脂100重量部に対して近赤外線吸収剤0.01〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜15重量部である。この割合が0.01重量部未満である場合には、近赤外線領域の波長光を効率よく吸収することができず、一方、20質量部を超える場合には、近赤外線吸収剤の分散性が低下して透明性(可視光線透過性)が損なわれることがある。本発明における接着剤は本発明の近赤外吸収剤および接着剤からなる近赤外線吸収性を有する加工材料である。本発明の接着剤は、本発明の近赤外吸収剤を接着性を有する適宜の媒体に溶解または分散させることにより調製することができる。 また、本発明の近赤外線吸収剤や上記他の光吸収性色素の、光あるいは熱に対する安定化を図る目的で使用される上記各種安定化剤としては、例えば、ハイドロキノン誘導体(米国特許3935016号明細書、米国特許3982944号明細書)、ハイドロキノンジエーテル誘導体(米国特許4254216号明細書)、フェノール誘導体(特開昭54−21004号公報)、スピロインダン又はメチレンジオキシベンゼンの誘導体(英国特許出願公開2077455号明細書、英国特許2062888号明細書)、クロマン、スピロクロマン又はクマランの誘導体(米国特許3432300号明細書、米国特許3573050号明細書、米国特許3574627号明細書、米国特許3764337号明細書、特開昭52−152225号公報、特開昭53−20327号公報、特開昭53−17729号公報、特開昭61−90156号公報)、ハイドロキノンモノエーテル又はパラアミノフェノールの誘導体(英国特許1347556号明細書、英国特許2066975号明細書、特公昭54−12337号公報、特開昭55−6321号公報)、ビスフェノール誘導体(米国特許3700455号明細書、特公昭48−31625号公報)、金属錯体(米国特許4245018号明細書、特開昭60−97353号公報)、ニトロソ化合物(特開平2−300288号公報)、ジインモニウム化合物(米国特許465612号明細書)、ニッケル錯体(特開平4−146189号公報)、酸化防止剤(欧州特許820057号明細書)が挙げられる。また、本発明の光学フィルターは、一重項酸素等のクエンチャーとして、芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、ビスイミニウム化合物、遷移金属キレート化合物等を含有してもよく、本発明の近赤外線吸収剤の効果を阻害しない範囲において、ビスチオラート金属錯体アニオン等のクエンチャーアニオンを用いてもよい。 本発明の光学フィルターの構成として、基材に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層等の各層を設けてもよい。本発明の近赤外線吸収剤、上記の他の光吸収性色素や各種安定剤を本発明の光学フィルターに含有させる方法としては、例えば、基材又は任意の各層に含有させる方法、基材又は任意の各層にコーティングする方法、各層間のポリマーバインダーや接着剤、粘着材に混入させる方法、本発明の近赤外線吸収剤等を含有する近赤外線吸収層を上記の各層とは別に設ける方法等が挙げられる。本発明の近赤外線吸収剤は、各層間のポリマーバインダーや接着剤、粘着剤に混入させる方法及び近赤外線吸収層を設ける方法に好適である。 本発明の近赤外線吸収剤の使用量は、光学フィルターの単位面積当たり、1〜1000mg/m2、好ましくは5〜100mg/m2である。1mg/m2未満の使用量では、近赤外線吸収効果を十分に発揮することができず、1000mg/m2を超えて使用した場合には、フィルターの色目が強くなりすぎて表示品質等を低下させるおそれがあり、さらには、明度が低下するおそれもあるため好ましくない。 上記基材の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;あるいは、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン等の高分子材料が挙げられる。光学フィルタ用途で有れば、基材は透明支持体であることが好ましく、透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。 これらの基材中には、光吸収性色素、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機微粒子等を添加することができ、また、これらの基材には各種の表面処理を施すことができる。 上記無機微粒子としては、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等の無機微粒子が挙げられる。 上記各種表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。 上記下塗り層は、本発明の近赤外線吸収剤を含有する近赤外線吸収層を設ける場合に、基材と近赤外線吸収層との間に用いる層である。上記下塗り層は、ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む層、近赤外線吸収層側の表面が粗面である層又は近赤外線吸収層のポリマーと親和性を有するポリマーを含む層として形成される。なお、近赤外線吸収層が設けられていない基材の面に下塗り層を設けて、基材とその上に設けられる層(例えば、反射防止層、ハードコート層)との接着力を改善するのために設けてもよく、また、下塗り層は、光学フィルターと画像形成装置とを接着するための接着剤と光学フィルターとの親和性を改善するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、2nm〜20μmが好ましく、5nm〜5μmがより好ましく、20nm〜2μmがさらに好ましく、50nm〜1μmがさらにまた好ましく、80nm〜300nmが最も好ましい。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で、基材と近赤外線吸収層とを接着する。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーは、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル又はメチルビニルエーテルの重合又はこれらの共重合により得ることができる。上記ガラス転移温度は、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、25℃以下であることがさらにまた好ましく、20℃以下であることが最も好ましい。下塗り層の25℃における弾性率は、1〜1000MPaであることが好ましく、5〜800MPaであることがさらに好ましく、10〜500MPaであることが最も好ましい。表面が粗面である下塗り層は、粗面の上に近赤外線吸収層を形成することで、基材と近赤外線吸収層とを接着する。表面が粗面である下塗り層は、ポリマーラテックスの塗布により容易に形成することができる。ラテックスの平均粒径は、20nm〜3μmであることが好ましく、50nm〜1μmであることがさらに好ましい。近赤外線吸収層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマーとしては、アクリル樹脂、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、可溶性ナイロン、高分子ラテックス等が挙げられる。また、本発明の光学フィルターにおいては、二以上の下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、基材を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤や硬膜剤等を添加してもよい。 上記反射防止層中においては、低屈折率層が必須である。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、同6−115023号、同8−313702号、同7−168004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、同6−299091号、同7−168003号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、同6−56478号、同7−92306号、同9−288201号の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間又は微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。微粒子を含む層は、3〜50体積%の空隙率を有することが好ましく、5〜35体積%の空隙率を有することがさらに好ましい。 広い波長領域の反射を防止するためには、上記反射防止層において、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.90であることが好ましく、1.55〜1.70であることがさらに好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることがさらに好ましく、30nm〜1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、環状(脂環式又は芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応により形成されたポリマーを用いることもできる。 さらに高い屈折率を得るため、ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80〜2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物又は硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は硫化物としては、酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物又は硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。ここで、主成分とは、無機微粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S等が挙げられる。また、被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例えばキレート化合物)、活性無機ポリマー等を用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。 上記反射防止層の表面には、アンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成し、そしてその表面に反射防止層を形成するか、あるいは、反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を有する反射防止層を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。 上記ハードコート層は、透明支持体の硬度よりも高い硬度を有する。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー、オリゴマー又はモノマー(例えば紫外線硬化型樹脂)を用いて形成することができる。また、シリカ系材料からハードコート層を形成することもできる。 上記反射防止層(低屈折率層)の表面には潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、低屈折率層表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例えばシリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤又はその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。 上記の近赤外線吸収層、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層等は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)等が挙げられる。二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。本発明の光学フィルターは、撮像装置(画像入力装置)におけるCCD(例えばシリコンフォトダイオードからなる光電変換素子)のための視感度補正フィルターとして好適に用いることができる。ここに、『CCDのための視感度補正フィルター』には、CCDに至る光路中に単独で配置される視感度補正フィルターのほか、リッド、レンズおよび保護板などが含まれるものとする。また、CCDを搭載する撮像装置としては、例えばビデオカメラ、デジタルカメラ、ボードカメラ、カラースキャナ、カラーファックス、カラー複写機、カラーテレビ電話装置などを挙げることができる。本発明の光学フィルターを搭載してなる撮像装置によれば、CCD(シリコンフォトダイオード)への入射光を、実質的に可視領域の光に限定することができ、この結果、正確な測光(露出操作)を行なうことができ、しかも、赤色成分の再現にも支障を来すことはない。本発明の光学フィルターは、CMOSイメージセンサまたは人工網膜が搭載された撮像装置(画像入力装置)のための視感度補正フィルターとして好適に用いることができる。本発明の光学フィルターを備えたCMOSイメージセンサおよび人工網膜、並びにこれらを搭載してなる撮像装置によれば、上述したCCDにおける効果と同様の効果を奏することができる。また本発明の光学フィルターは、赤外線通信装置(850〜950nmの光を媒体とする通信装置)が使用される環境におけるノイズカットフィルターとして好適に用いることができる。かかるノイズカットフィルターによれば、近赤外線の発生源(例えば自動ドア、リモコンなど近赤外線を用いた機械)をカバーし、当該発生源からの赤外線を遮断することにより、通信中におけるノイズの発生を確実に防止することができる。また、本発明の光学フィルターを、プラズマディスプレイ装置のパネルの前面に配置することによって、当該パネルから照射される近赤外線を効率よくカットすることができる。この結果、当該プラズマディスプレイ装置の周囲において、近赤外線に起因するリモコンの誤動作などを生じさせることはない。 本発明の光学フィルターは好ましくは、ディスプレイ用フィルターまたはCCD、CMOSイメージセンサー用フィルターとして配置されその配置方法は何ら制限を受けるものではない。(実施例) 以下、製造例および実施例にて本発明を詳細に説明する。しかし本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。本発明における化合物の合成方法の一例を示すが、これに限定するものではない。[製造例1]2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェンの合成 クロロホルム/酢酸=50/50 v/v 20mlと3−ヘキシルチオフェン 2.0重量部の溶液に、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)4.0重量部を0℃で30分以上かけて添加した。添加後、更に30分撹拌し、水を加え希釈し、更にクロロホルム加えて抽出した。抽出液を2mol/l水酸カリウム水溶液で洗浄し、ついで、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで抽出液を乾燥した。エバポレータで溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラム(展開溶媒ヘキサン)で精製した。得られた2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェンは、2.6重量部(88%)であった。[製造例2]2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン クロロホルム/酢酸=50/50 v/v 15mlと3−ヘキシルチオフェン 4.8重量部の溶液に、NBS 10.2重量部を30℃で10分間で添加した。この溶液を撹拌しながら30分間還流した。水を加え希釈し、更にクロロホルムを加えて抽出した。抽出液を2mol/l水酸化カリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで抽出液を乾燥した。溶媒をエバポレータで留去し、残渣をシリカゲルカラム(展開溶媒ヘキサン)で精製した。2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン 5.85重量部(95%)を得た。[製造例3]化合物1の合成 2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン 50.1重量部とマグネシウム 5.4重量部を乾燥テトラヒドロフラン(THF)150ml中で反応させ、グリニアル試薬を作製する。このグリニアル試薬をニッケル(II)ビス(ジフェニルホスフィノプロパン)ジクロリド0.80重量部、2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン26.0重量部、乾燥THF200ml溶液に40℃にてゆっくりと滴下した。合計で6時間反応させ、水、希塩酸処理により、反応物を分解し、食塩水で繰り返し洗浄中和した。化合物1の収量23.7重量部であった。[製造例4]化合物2の合成 クロロホルム/酢酸=50/50 v/v 200mlと化合部1 14.4重量部の溶液に、NBS 10.2重量部を30℃で10分間で添加した。この溶液を撹拌しながら30分間還流した。水を加え希釈し、更にクロロホルムを加えて抽出した。抽出液を2mol/l水酸化カリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで抽出液を乾燥した。溶媒をエバポレータで留去し、残渣をシリカゲルカラム(展開溶媒ヘキサン)で精製した。化合物2を17重量部を得た。[製造例5]化合物3の合成 2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン 25.1重量部とマグネシウム 2.7重量部を乾燥テトラヒドロフラン(THF)150ml中で反応させ、グリニアル試薬を作製する。このグリニアル試薬をニッケル(II)ビス(ジフェニルホスフィノプロパン)ジクロリド0.20重量部、化合物2 26.4重量部、乾燥THF200ml溶液に40℃にてゆっくりと滴下した。合計で6時間反応させ、水、希塩酸処理により、反応物を分解し、食塩水で繰り返し洗浄中和した。化合物3の収量16.0重量部であった。[製造例6]化合物4の合成 クロロホルム/酢酸=50/50 v/v 250mlと化合物3 24.0重量部の溶液に、NBS 10.2重量部を30℃10分間で滴下した。この溶液を撹拌しながら30分間還流した。水を加え希釈し、更にクロロホルムを加えて抽出した。抽出液を2mol/l水酸化カリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで抽出液を乾燥した。溶媒をエバポレータで留去し、残渣をシリカゲルカラム(展開溶媒ヘキサン)で精製した。化合物4 26.2重量部を得た。[製造例6]化合物5の合成 1,2-ジメトキシエタン100ml中に水素化ナトリム(60% in oil)0.70重量部を分散した溶液に、アルゴン雰囲気下0℃付近でマロノニトリル 0.557重量部を加えた。この溶液を室温で30分間撹拌し、ジブロモ体である化合物4 3.59重量部とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.562重量部を加えた。反応溶液は6時間還流下で加熱した。氷浴中でに冷却しながら臭素飽和水40ml中に、先の反応溶液を注ぎ込み、さらに、冷水100mlで希釈した。得られた反応溶液は、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を食塩水で洗浄した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラム(展開溶媒ベンゼン/ヘキサン=3/2 v/v)で精製した。化合物5 1.0重量部を得た。化合物5の各波長における透過度を表1に示す。 以下に化合物6、化合物7(特開平2−264788号公報)および化合物5のトルエンに対する溶解度を表2示す。化合物6、化合物7に比べて本発明の化合物5のほうが溶解性に優れていることが上記表から分かる。化合物6、化合物7および化合物5を固形分25%のポリスチレン(Mw=100000)溶液(溶剤トルエン)に固形分に対して約2%混合し、PETフィルムに塗工した。このフィルムについてHaze値を表3に示した。上記表3より化合物6、化合物7と比べて化合物5が比較的低Haze値を有していることが分かる。このことは樹脂に対する相溶性、溶解性が他に比べて優れているということを意味していると考えられる。化合物6、化合物7および化合物5を固形分25%のポリスチレン(Mw=100000)溶液(溶剤トルエン)に固形分に対して約1.0%、またそれぞれにジイモニウム色素(日本化薬株式会社製IRG-022)2%を混合し、PETフィルムに塗工した。このフィルムについてHaze値の下記表4より化合物6、化合物7と比べて化合物5が比較的低Haze値を有していることが分かる。 化合物6、化合物7および化合物5を固形分25%のアクリル系粘着材(モノマー組成:アクリル酸ブチル60%、アクリル酸イソブチル30%、アクリル酸3%、アクリル酸−2−エチルヘキシル7%、溶剤組成:酢酸エチル80%、トルエン20%)に固形分に対して約2.0%混合し、PETフィルムに塗工した。このフィルムについてHaze値の下記表5より化合物6、化合物7と比べて化合物5が比較的低Haze値を有していることが分かる。化合物5を固形分25%のポリメチルメタクリレート(Mw=100000)溶液(溶剤トルエン)に固形分に対して約2%混合し、PETフィルムに塗工し、80℃、3分乾燥した。これらのフィルムについて湿度90%、温度100℃、48時間の条件でテストし前後のHaze値、色味変化Δy値を表6に示した。(比較例1)ビス(3−メタクリロイルオキシプロピル)ホスフィン酸19g、メチルメタクリレート50g、ジエチレングリコールジメタクリレート30g、α−メチルスチレン2.0gをよく混合し、この混合単量体に無水安息香酸銅5.0gを添加して、60℃で撹拌混合することにより、均一な青色混合溶液を得た。この混合溶液に、ラジカル開始剤tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート3.4部を添加し、グラスフィルターで濾過した。50℃で15時間、70℃で8時間、100℃で2時間と昇温加熱して、キャスト重合させた。得られた重合体を厚さ1mmの板状に切削し、表面を研磨して光学フィルター(特開2000−98130号公報)を製作した。このフィルターに対して湿度90%、温度100℃、48時間の条件でテストし前後のHaze値、色味変化Δy値を表7に示した。表6より試験前後で化合物5のほうが比較例と比べてHaze値変化が小さい事がわかる。また色味変化Δy値も化合物5のほうが小さい。これは従来のCCD、CMOS用フィルターに対して本発明のフィルターのほうが耐久性に優れていることを意味している。 Haze値は、NIPPON DENSOKU製 NDH2000で測定を行った。 色味変化ΔY値は、MINOLTA製 CR−300で測定を行った。 重合度の測定は、TOSOH製 HLC-8120GPCでポリスチレン換算で行った。 実施例1〜3より本発明の近赤外吸収剤は溶剤に対する溶解性、樹脂に対する相溶性に優れた材料であるということが明らかとなった。 以上、記載した通り、本発明の近赤外吸収剤は、これまでの同種の近赤外吸収剤に比べて、格段の溶解性を付与できたため、例えば、色目の調整剤、難燃剤、金属捕集剤、不可視マーカなど様々な用途に使用することが可能になった。 下記一般式[1]で表される近赤外線吸収剤。一般式[1][式中、X1〜X10は、それぞれ独立に、直接結合、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表す。(窒素原子は、さらに、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換のヘテロアリール基を有する。)R1〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表し、隣接するR同士は一体となって環を形成してもよい。] さらに、ニッケル錯体系色素および/またはフタロシアニン系色素および/またはジイモニウム系色素を含む請求項1記載の近赤外線吸収剤。 さらに、バインダー樹脂を含む請求項1または2記載の近赤外線吸収剤。 塗布剤である請求項3記載の近赤外線吸収剤。 粘着剤または接着剤である請求項4または5記載の近赤外線吸収剤。 基材上に、請求項1〜5いずれか記載の近赤外吸収剤を含む層を形成してなる積層体。 請求項6記載の積層体を含んでなる光学フィルター。 プラズマディスプレイ用である請求項6記載の光学フィルター。 CCDカメラ用である請求項6記載の光学フィルター。 CMOSイメージセンサ用である請求項6記載の光学フィルター。 【課題】 本発明は、溶媒への溶解性もしくは樹脂との相溶性のよい近赤外吸収剤を提供することを目的とする。【解決手段】 下記一般式[1]で表される近赤外線吸収剤。一般式[1]【化1】 [式中、X1〜X10は、それぞれ独立に、直接結合、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表す。(窒素原子は、さらに、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換のヘテロアリール基を有する。)R1〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表し、隣接するR同士は一体となって環を形成してもよい。]