タイトル: | 特許公報(B2)_チオフェン−チアゾール誘導体およびこれらを用いた有機薄膜トランジスタ |
出願番号: | 2006001481 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C08G 61/12,H01L 29/786,H01L 51/05,H01L 51/30,C07D 417/14 |
李 恩 慶 金 周 永 李 芳 ▲隣▼ 韓 國 ▲民▼ JP 4891618 特許公報(B2) 20111222 2006001481 20060106 チオフェン−チアゾール誘導体およびこれらを用いた有機薄膜トランジスタ 三星電子株式会社 390019839 Samsung Electronics Co.,Ltd. 磯野 道造 100064414 多田 悦夫 100111545 李 恩 慶 金 周 永 李 芳 ▲隣▼ 韓 國 ▲民▼ KR 10-2005-0001757 20050107 20120307 C08G 61/12 20060101AFI20120216BHJP H01L 29/786 20060101ALI20120216BHJP H01L 51/05 20060101ALI20120216BHJP H01L 51/30 20060101ALI20120216BHJP C07D 417/14 20060101ALI20120216BHJP JPC08G61/12H01L29/78 618BH01L29/28 100AH01L29/28 250GC07D417/14 C08G 61/00−61/12 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開2005−223239(JP,A) 国際公開第2005/070994(WO,A1) 特開2004−211091(JP,A) 特開平09−077854(JP,A) 特開昭63−199727(JP,A) 特開2000−230040(JP,A) YAMAMOTO,T. et al,Alignment and Field-Effect Transistor Behavior of an Alternative π-Conjugated Copolymer of Thiophene and 4-Alkylthiazole ,Chem Mater,2004年,Vol.16, No.23,p.4616-4618 YAMAMOTO,T. et al,Copolymers of Thiophene and Thiazole. Regioregulation in Synthesis, Stacking Structure, and Optical Properties ,Macromolecules,2003年,Vol.36, No.21,p.7986-7993 10 2006193743 20060727 13 20081111 井津 健太郎 本発明は、新規のチオフェン−チアゾール誘導体およびこれらを用いた有機薄膜トランジスタに関するものであり、より詳しくは、有機活性層としてはp型半導体特性を持つチオフェンとn型半導体特性を持つチアゾールが交互に結合されて、さらに側鎖がヘッド・トゥ・テール(Head to Tail)構造を形成した有機高分子半導体物質の合成に関する。 一般的に、有機薄膜トランジスタ(Organic Thin Film Transistor:OTFT)は、基板、ゲート電極、絶縁層、ソース/ドレイン電極、チャネル層から構成され、ソースとドレイン電極上にチャネル層が形成されるボトムコンタクト(BC)型と、チャネル層上にマスク蒸着法などを通じて金属電極が後で形成されるトップコンタクト(TC)型に分けられる。 有機薄膜トランジスタ(OTFT)のチャネル層として、シリコン(Si)のような無機半導体物質が一般に使用されてきたが、最近、ディスプレイの大面積化、低価格化および柔軟化によって、高価格、高温真空プロセスを必要とする無機系物質から有機系半導体物質への変化が進んでいる。 最近、有機薄膜トランジスタ(OTFT)のチャネル層用の有機半導体物質が盛んに研究され、そのトランジスタ特性が報告されている。広く研究される低分子系またはオリゴマー有機半導体物質には、メロシアニン、フタロシアニン、ペリレン、ペンタセン、C60、チオフェンオリゴマーなどがあり、ルセントテクノロジー社や3M社などでは、ペンタセン単結晶を用いて3.2〜5.0cm2/Vs以上の高い電荷移動度を報告している(非特許文献1参照)。フランスのCNRSもオリゴチオフェン誘導体を用いて0.01〜0.1cm2/Vsの比較的高い電荷移動度とオン―オフ比 (on/off ratio)を報告している(非特許文献2参照)。 ところが、上述した従来の技術は、薄膜の形成を主に真空プロセスに頼っているため、製作コストが増加した。 一方、特許文献1は、高分子系材料としてF8T2というポリチオフェン系材料を使用して製作した高分子系OTFT素子が0.01〜0.02cm2/Vsの電荷移動度を示すことを報告している(非特許文献3参照)。また、特許文献2は、位置規則的(regioregular)なポリチオフェンP3HT(poly(3-alkylthiophene))を用いて電荷移動度0.01〜0.04cm2/VsのOTFT素子を製作したことを報告している。しかし、代表的な位置規則性ポリチオフェンP3HTの場合、電荷移動度は0.01cm2/Vs程度であるが、空気中で不安定であってオフ電流(10−9A以上)が高いからオン―オフ比 が400以下と非常に低いため、電子素子への適用が難しい。 また、非特許文献4では、ヘッド・トゥ・テール構造のポリ(チオフェン−チアゾール)を提案しているが、溶解性が劣るので、ウェットプロセスへの適用の際に加工性が悪く、全般的なTFT特性も良好でないという問題点がある。 このように、室温スピンコーティング工程が可能であるうえ、高い電荷移動度と低いオフ電流を同時に満たせる有機薄膜トランジスタ用有機半導体高分子物質は、まだ報告されていない。国際公開WO00/79617号パンフレット米国特許第6,107,117号明細書Mat.Res. Soc. Symp. Proc. 2003,Vol.771,L6.5.1〜L6.5.11J.Am. Chem. Soc., 1993, Vol. 115,pp.8716〜8721Science, 2000, vol. 290, pp. 2132〜2126Chem.Mater.16(23);4616〜4618.2004 そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、室温スピンコーティング工程が可能であるうえ、p型半導体特性を持つチオフェン単位にn型半導体特性を持つチアゾール単位を交互に結合させ、ヘッド・トゥ・テール構造を持つ位置規則的な化合物を合成することにより、高い電荷移動度および低いオフ電流を同時に示すチオフェン−チアゾール誘導体を提供することにある。 上記課題を解決するための本発明のある観点によれば、下記式(1)で示されるチオフェン−チアゾール誘導体を提供する。 前記式(1)において、Rは、同一または互いに異なって、ヒドロキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環式アルキル基、アルコキシアルキル基、環式アルコキシ基であり、そしてnは4〜200の整数である。 本発明の別の実施形態は、前記高分子材料を有機活性層として用いて製作された有機薄膜トランジスタを提供することである。 本発明のチオフェン−チアゾール誘導体は、新しい構造の高分子有機半導体であって、室温スピンコーティング工程が可能で安定的であるうえ、電荷移動度が高く、オフ電流が低いため、OTFT素子用活性層として活用できる。 以下に付け加えた図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。 本発明の高分子半導体物質であるチオフェン−チアゾール誘導体は、下記式(1)で示される。 前記式(1)において、Rは、同一または互いに異なって、ヒドロキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環式アルキル基、アルコキシアルキル基、環式アルコキシ基であり、そしてnは4〜200の整数である。 前記化合物は、図1の構造式に示されているように、電子供与体(electron donor)であるチオフェン単位がp型半導体として作用し、電子受容体(electron acceptor)であるチアゾール単位がn型半導体として作用しながら、2つの繰り返し単位が交互に結合しており、特にその側鎖が位置規則的(regioregular)なヘッド・トゥ・テール構造を形成する。このような構造を持つ化合物は、分子間の p−pスタッキング(p−p stacking)の増加により高い電荷移動度を有する。 本発明のチオフェン−チアゾール誘導体は、図1に示されている構造により、分子内または分子間のp、n相互作用(interaction)が増加してπ−スタッキングに優れ、その結果有機薄膜トランジスタに適用したときに電荷移動度が増加する。また、本発明の高分子半導体物質は、分子内の電子受容体の導入により高分子のバンドギャップ、およびHOMO(highest occupied molecular orbital in a molecule)レベルが調節されることにより、有機薄膜トランジスタに適用したときにオフ電流が相対的に低くなるという効果を提供することができる。 前記チオフェン−チアゾール誘導体の数平均分子量は5,000〜80,000程度であることが好ましい。 本発明のチオフェン−チアゾール誘導体は、 下記式(2)で示される化合物を用い下記式(3)で示される単量体を製造した後 、これを重合反応させて得られる。 前記式(2)において、Rは、同一であっても異なってもよくヒドロキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環式アルキル基、アルコキシアルキル基、環式アルコキシ基である。 前記式(3)において、Rは同一であっても異なってもよくヒドロキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環式アルキル基、アルコキシアルキル基、環式アルコキシ基である。 前記単量体および高分子合成過程の一具現例として、下記反応式1のように進行できるが、これに限定されるのではない。 前記反応式1において、Rは同一であっても異なってもよくヒドロキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環式アルキル基、アルコキシアルキル基、環式アルコキシ基である。 前記式(3)で示される単量体を縮合反応(スズキカップリング(Suzuki coupling)と一般に知られている)させることにより、前記式(1)で示される本発明のチオフェン−チアゾール誘導体を得ることができる。この反応は、溶媒として通常のトルエン、ジメトキシエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、水などを使用することができ、窒素雰囲気下で50〜130℃で2時間〜24時間行うことが好ましい。 この際、式(4)〜(6)で示されるパラジウム触媒を用いて本発明の高分子半導体物質を合成することができる。 PdL4・・・(4) PdL2X2 ・・・(5) PdL2 ・・・(6) 前記式(4)〜(6)において、Lにはトリフェニルホスフィン(PPh3)、トリフェニルアルシン(AsPh3)、トリフェニルホスファイト(P(OPh)3)、ジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)、ジフェニルホスフィノブタン(dppb)、アセテート(OAc)、ジベンジリデンアセトン(dba)などのようなリガンドが挙げれ、XはI、BrまたはClである。 前記スズキカップリング反応を用いて合成された本発明のチオフェン−チアゾール誘導体として、下記式(7)または下記式(8)で示される化合物を例示することができる。 前記化学式7において、Octはオクチル基(n-C8H17)であり、そしてnは4〜200の整数である。 前記式(8)において、Hexはヘキシル基(n-C6H13)であり、そしてnは4〜200の整数である。 本発明のチオフェン−アリレーン誘導体は、活性層を成す新しい有機半導体として用いられ、図2に示されているようなOTFT素子の製造に適用できる。 本発明に係る有機薄膜トランジスタ素子は、基板/ゲート電極/ゲート絶縁層/有機活性層/ソース−ドレイン電極が順次形成されたトップコンタクト構造(図示せず)で製作することもでき、基板1/ゲート電極2/ゲート絶縁層3/ソース−ドレイン電極4、5/有機活性層6が順次形成されたボトムコンタクト構造(図2)で製作することもできるが、これらに限定されるものではない。 この際、本発明のチオフェン−チアゾール誘導体を用いた有機活性層は、スクリーン印刷法、プリンティング法、スピンコーティング法、浸漬(dipping)法またはインク噴射法によって薄膜に形成できる。 前記基板1は、ガラス、ポリエチレンナフタレート(Polyethylenenaphthalate:PEN)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate:PET)、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリビニルアルコール(Polyvinylalcohol)、ポリアクリレート(Polyacrylate)、ポリイミド(Polyimide)、ポリノルボルネン(Polynorbornene)およびポリエーテルスルホン(Polyethersulfone:PES)などで形成できるが、これらに限定されるものではない。 前記ゲート電極2としては、通常用いられる金属を使用することができ、具体的には金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびインジウムスズ酸化物(ITO)などを使用することができるが、これらに限定されない。 前記OTFT素子を構成するゲート絶縁層3としては、通常用いられる高誘電率の絶縁体を使用することができ、具体的な例には、Ba0.33Sr0.66TiO3(BST)、Al2-O3、Ta2O5、La2O5、Y2O3およびTiO2よりなる群から選択された強誘電性絶縁体、PbZr0.33Ti0.66O3(PZT)、Bi4Ti3O12、BaMgF4、SrBi2(TaNb-)2O9、Ba(ZrTi)O3(BZT)、BaTiO3、SrTiO3、Bi4Ti3O12、SiO2、SiNxおよびAlONよりなる群から選択された無機絶縁体、またはポリイミド(polyimide)、BCB(benzocyclobutene)、パリレン(Parylene)、ポリアクリレート(Polyacrylate)、ポリビニルアルコール(Polyvinylalcohol)およびポリビニルフェノール(Polyvinylphenol)よりなる群から選択された有機絶縁体を使用することができるが、これらに限定されるものではない。 前記ソース電極4およびドレイン電極5としては、通常用いられる金属が使用でき、具体的には金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびインジウムスズ酸化物(ITO)などを使用することができるが、これらに限定されない。 以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。ところが、これらの実施例は本発明を説明するためのもので、制限するものではない。 製造例1:5−ブロモ−4−オクチル−2−(3−オクチル−チオフェン−2−イル)−チアゾールの合成 20.0g(81mmol)の前記2−ブロモ−3−オクチルチオフェン(2-boromo-3-octylthiophene)と、過剰量のCuCNとを反応させて得られた2−シアノ−3−オクチルチオフェン(2-cyano-3-octylthiophene)(収率:5.3g、34%)と、過剰量(約2.5当量)のジチオリン酸O,O’−ジエチルエーテル(dithiophosphoric acid O,O'-diethylether)のTHF溶液を12時間程度加熱反応させた。得られた2−チオアミノ−3−オクチルチオフェン(2-thioamino-3-octylthiophene)(収率:2.9g、45%)と1.2当量のブロモオクタノン(bromooctanone)を用いて得られた2−チアゾール−(3’−オクチル)−3−オクチルチオフェン(2-thiazole(3'-octyl)-3-octhylthiophene)(収率:1.4g、32%)をN−ブロモスクシニミド(N-Bromosuccinimide)と反応させて前記(2)5−ブロモ−4−オクチル−2−(3−オクチル−チオフェン2−イル)−チアゾール(5-Bromo-4-octyl-2-(3-octyl-thiophen-2-yl)-thiazole)を得た(収率:1.32g、82%)。 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) d (ppm) 0.89 (6H), 1.35 (20H), 1.68 (4H), 2.73 (2H), 2.83 (2H), 6.92 (1H), 7.26 (1H) 製造例2:5−ブロモ−4−オクチル−2−(3−オクチル−4−ジオキソボラニル−チオフェン−2−イル)−チアゾールの合成 2g(4.25mmol)の5−ブロモ−4−オクチル−2−(3−オクチル−チオフェン−2−イル)−チアゾール(5-Bromo-4-ocytyl-2-(3-octyl-thiophen-2-yl)-thiazole)を無水THF25mLに溶かし、−80℃まで冷却後、3.198mL(6.375mmol)のリチウムジイソプロピルアミド(Lithium diisopropylamide)をゆっくり加えた。30分攪拌した後、2−イソプロキシ−4,4’,5,5’−テトラメチル−1,3,2−ジオキソボロラン(2-isopropoxy-4,4',5,5'-tetramethyl-1,3,2-dioxoborolane)1.186g(6.375mmol)を−80℃でゆっくり加え、その後徐々に常温まで昇温しながら5時間攪拌した。水を加えて反応を終結し、クロロホルムで抽出した後、多数回水洗してから硫酸マグネシウムでクロロホルム層を乾燥した。溶液をフィルタリングし、その後溶媒を除去した。得られた化合物をクロマトグラフィで精製して5−ブロモ−4−オクチル−2−(3−オクチル−4−ジオキソボラニル−チオフェン−2−イル)−チアゾールを得た(収率:1.2g、47%)。 1H NMR(300 MHz CDCl3) d (ppm) 0.88 (6H), 1.3 (34H), 1.67 (4H), 2.87 (2H), 2,99 (2H), 6.98(1H)製造例3:5−メチル−2−(5−メチル−3−オクチル−チオフェン−2−イル)−4−オクチル−チアゾールの合成 2.36g(17.07mmol)の炭酸カルシウムを導入して水に溶解した後、THF30mLを加えた。その後、 THF20mLに溶解した5−ブロモ−4−オクチル−2−(3−オクチル−4−ジオキソボラニル−チオフェン−2−イル)−チアゾール溶液を添加した。0.296g(0.256mmol)のPd(0)を加えた後、65℃で5〜6時間攪拌した。10%HCl溶液を導入して反応を終結した後、24時間攪拌した。化合物を抽出した後、10%HCl溶液を導入してさらに24時間攪拌した。化合物を抽出した後、10%HCl溶液を入れてさらに24時間攪拌した。化合物を抽出した後、10%アンモニウム溶液を入れて24時間攪拌し、その後クロロホルム溶液で抽出した後、多数回水洗した。化合物をクロロホルムでソックレー抽出(soxhlet extraction)して5−メチル−2−(5−メチル−3−オクチル−チオフェン−2−イル)−4−オクチル−チアゾール(5-Methyl-2-(5-methyl-3-octyl-thiophen-2-yl)-4-octyl-thiazole)を得て、そのNMRデータを図3に示した(収率:0.2g、30%)。 1H NMR( 300 MHz CDCl3) d (ppm) 0.88 (6H), 1.3 (20H), 1.77 (4H), 2.95 (4H), 7.00 (1H) 実施例1:チオフェン−チアゾール誘導体を用いた有機薄膜トランジスタの製作 まず、洗浄されたプラスチック基板に、ゲート電極として用いられるクロムをスパッタリング法で100nm(1000Å)の厚さに蒸着した後、ゲート絶縁膜として用いられるSiO2をCVD法で100nm(1000Å)の厚さに蒸着した。基板は、有機半導体材料を蒸着する前、イソプロピルアルコールを用いて10分間洗浄して乾燥させた後使用した。試料は、ヘキサンに10mM濃度で希釈させたオクタデシルトリクロロシラン溶液に30秒間浸漬してからアセトンで洗浄し、乾燥させた後、前記製造例3で合成したチオフェン−チアゾール誘導体をトルエンに2質量%濃度で溶解させて1000rpmで70nm(700Å)の厚さにスピンコーティングしてアルゴン雰囲気中で100℃、1時間ベーキングした。その上にソース−ドレイン電極として用いられるITOをスパッタリング法で1200Åの厚さに蒸着してトップコンタクト方式のOTFT素子を製作し、前記素子を用いて電荷移動度を測定した。KEITHLEY社のSemiconductor Characterization System(4200−SCS)を用いて電流伝達特性を測定した後、電流伝達曲線は図4に示し、素子の諸物性の測定値を表1に示した。電荷移動度は、前記電流伝達曲線を用いて下記の飽和領域(saturation region)の電流式から計算した。 すなわち、電荷移動度は、下記飽和領域の電流式から(ISD)1/2とVGを変数としたグラフを得て、そのグラフの傾きから求めた。 上記式中、ISDはソース−ドレイン電流、μまたはμFETは電荷移動度、COは酸化膜静電容量、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、VGはゲート電圧、VTはしきい値電圧をそれぞれ示す。 オフ電流IOffは、オフ状態のときに流れる電流であって、電流比においてオフ状態で最小電流から求めた。 比較例1 ポリアルキルチオフェン(Lucent Technology Inc.)を使用する以外は、実施例1と同様の方法にして有機薄膜トランジスタ素子を製造し、KEITHLEY社のSemiconductor Characterization System(4200−SCS)を用いて電流伝達特性を測定した後、その測定値、電荷移動度およびオフ電流 を表1に示した。 比較例2 HT−Th−4ATz(Chem.Mater.16(23);4616〜4618.2004,poly(thiophene-4-alkylthiazole))を使用する以外は、実施例1と同様の方法にして有機薄膜トランジスタ素子を製造し、KEITHLEY社のSemiconductor Characterization System(4200−SCS)を用いて電流伝達特性を測定した後、その測定値、電荷移動度およびオフ電流 を表1に示した。 表1から分かるように、本発明のチオフェン−チアゾール誘導体は、電荷移動度が0.01cm2/Vs水準、オフ電流 が2〜5×10−12A、オン―オフ比 が1.0×103と測定されたので、OTFT適用の際にその性能が非常に優れることを確認することができた。本発明に係るチオフェン−チアゾール誘導体構造の模式図である。本発明の一実施例に係る有機薄膜トランジスタ素子の概略断面図である。本発明の製造例3で製造した有機高分子半導体化合物の1H−NMRスペクトルである。本発明の実施例1で製造した有機薄膜トランジスタの電流伝達特性曲線である。符号の説明 1 基板 2 ゲート電極 3 ゲート絶縁層 4 ソース電極 5 ドレイン電極 6 有機活性層 下記式(1): (式中、Rは、同一または互いに異なって、ヒドロキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環式アルキル基、アルコキシアルキル基、環式アルコキシ基であり、そしてnは4〜200の整数である。)で示されるチオフェン−チアゾール誘導体。 前記式(1)で示される化合物の側鎖である前記Rが互いにヘッド・トゥ・テール構造を持っていることを特徴とする、請求項1に記載のチオフェン−チアゾール誘導体。 前記チオフェン−チアゾール誘導体が、下記式(2): (式中、Rはそれぞれ独立にヒドロキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環式アルキル基、アルコキシアルキル基、または環式アルコキシ基である。)で示される化合物を用い下記式(3)(式中、Rは、同一または互いに異なって、ヒドロキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環式アルキル基、アルコキシアルキル基、または環式アルコキシ基である。)で示される単量体を製造した後、下記式(4)〜(6) PdL4・・・(4) PdL2X2 ・・・(5) PdL2 ・・・(6) (式中、Lはトリフェニルホスフィン(PPh3)、トリフェニルアルシン(AsPh3)、トリフェニルホスファイト(P(OPh)3)、ジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)、ジフェニルホスフィノブタン(dppb)、アセテート(OAc)、ジベンジリデンアセトン(dba)からなる群から選択されたリガンドであり、そしてXはI、BrまたはClである。)で示される触媒化合物を用いる縮合反応によって製造されることを特徴とする、請求項1に記載のチオフェン−チアゾール誘導体。 前記チオフェン−チアゾール誘導体は、下記式(7): (式中、Octはオクチル(n-C8H17)基であり、そしてnは4〜200の整数である。)または下記式(8): (式中、Hexはヘキシル基(n-C6H13)であり、そしてnは4〜200の整数である。)で示されることを特徴とする、請求項1に記載のチオフェン−チアゾール誘導体。 基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、有機活性層およびソース−ドレイン電極が含まれている有機薄膜トランジスタにおいて、有機活性層が請求項1〜4のいずれか1項に記載のチオフェン−チアゾール誘導体からなることを特徴とする、有機薄膜トランジスタ。 前記有機活性層が、スクリーン印刷法、プリンティング法、スピンコーティング法、浸漬法またはインク噴射法を用いることによって薄膜状に形成されることを特徴とする、請求項5に記載の有機薄膜トランジスタ。 前記ゲート絶縁層が、Ba0.33Sr0.66TiO3(BST)、Al2-O3、Ta2O5、La2O5、Y2O3およびTiO2からなる群から選択された強誘電性絶縁体、PbZr0.33Ti0.66O3(PZT)、Bi4Ti3O12、BaMgF4、SrBi2(TaNb-)2O9、Ba(ZrTi)O3(BZT)、BaTiO3、SrTiO3、Bi4Ti3O12、SiO2、SiNxおよびAlONのからなる群から選択された無機絶縁体、またはポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、パリレン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコールおよびポリビニルフェノールからなる群から選択された有機絶縁体から選択された絶縁体で形成されることを特徴とする、請求項5に記載の有機薄膜トランジスタ。 前記基板が、ガラス、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリノルボルネンおよびポリエーテルスルホン(PES) からなる群から選択された少なくとも1種の物質から構成されることを特徴とする、請求項5に記載の有機薄膜トランジスタ。 前記ゲート電極および前記ソース−ドレイン電極が、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびインジウムスズ酸化物(ITO)からなる群から選択された少なくとも1種の物質から構成されることを特徴とする、請求項5に記載の有機薄膜トランジスタ。 前記誘導体は、5,000〜80,000の数平均分子量を持つことを特徴とする、請求項1に記載のチオフェン−チアゾール誘導体。