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タイトル:特許公報(B2)_抗CD40抗体の変異体
出願番号:2005516724
年次:2009
IPC分類:C12N 15/09,C12P 21/08,C07K 16/28,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,A61K 39/395,A61P 37/00


特許情報キャッシュ

高橋 信明 三浦 徹 北川 義康 平野 亜樹 JP 4242388 特許公報(B2) 20090109 2005516724 20041224 抗CD40抗体の変異体 協和発酵キリン株式会社 000001029 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 大屋 憲一 100077425 島村 直己 100101904 田中 夏夫 100111741 松任谷 優子 100119183 深見 伸子 100120905 高橋 信明 三浦 徹 北川 義康 平野 亜樹 JP 2003431408 20031225 20090325 C12N 15/09 20060101AFI20090305BHJP C12P 21/08 20060101ALI20090305BHJP C07K 16/28 20060101ALI20090305BHJP C12N 1/15 20060101ALI20090305BHJP C12N 1/19 20060101ALI20090305BHJP C12N 1/21 20060101ALI20090305BHJP C12N 5/10 20060101ALI20090305BHJP A61K 39/395 20060101ALI20090305BHJP A61P 37/00 20060101ALI20090305BHJP JPC12N15/00 AC12P21/08C07K16/28C12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 AA61K39/395 NA61P37/00 C12N 15/09 BIOSIS/WPI(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq SwissProt/PIR/GeneSeq JSTPlus(JDreamII) 国際公開第02/088186(WO,A1) 国際公開第03/033538(WO,A1) 特許第3101690(JP,B2) Eur.J.Immunol.,1994年,Vol.24 No.10,p.2542-2547 J.Immunol.,2000年,Vol.164 No.8 ,p.4178-4184 Mol.Immunol.,1993年,Vol.30,No.1,p.105-108 8 FERM BP-7758 FERM BP-7759 FERM BP-8024 JP2004019750 20041224 WO2005063981 20050714 54 20071029 冨永 みどり 本発明は免疫に関与する細胞膜分子であるCD40を認識する抗CD40抗体に関する。さらに本発明はアゴニスティック、アンタゴニスティック活性を保ちつつ、ADCC活性、CDC活性を低減するために、ヒト抗体定常領域に変異を導入した抗体、もしくはサブクラスの一部の構造を置換した抗体に関する。 1.CD40 CD40は分子量50kDaの細胞膜表面に存在する抗原であり、B細胞、樹状細胞(DC)、ある種の癌細胞、そして胸腺上皮細胞に発現している。CD40はB細胞やDCの増殖、分化に重要な働きをしていることが知られている。CD40は、ヒトB細胞表面に発現する抗原として同定され(E.A.Clark et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:4494,1986,I.Stamenkovic et.al.,EMBO J.8:1403,1989)、アミノ酸配列の相同性から、CD40は、低親和性NGFレセプターやTNFレセプター、CD27、OX40、CD30などが属しているTNFレセプターファミリーの1つのメンバーとして考えられている。ヒトおよびマウスのCD40に対するリガンド(CD40L)は、近年遺伝子クローニングされ、II型膜蛋白質であること、及び活性化したCD4+T細胞に発現していることが分かった。CD40Lは、強力な活性化シグナルをヒトおよびマウスのB細胞に導入することも分かっている。 また、樹状細胞にはB細胞よりも多くのCD40発現が確認されており、重要な役割を担っていることが明らかとなってきた。CD40がCD40Lと結合すると、抗原提示細胞(APC)の活性化、すなわちCD80(B7−1)やCD86(B7−2)などの補助刺激分子の発現、あるいはIL−12の産生が増強される(Caux,C.,et al.:Activation of human dendritic cells through CD40 cross−linking.J.Exp.Med.,180:1263,1994)、(Shu,U.,et al.:Activated T cells induce interleukin−12 production by monocyte via CD40−CD40 ligand interaction.Eur.J.Immunol.,25:1125,1995)。樹状細胞は強い抗原提示能を有し、強力なヘルパーT(Th)細胞活性化能を持っている。また、ナイーブ(naive)Th細胞のTh1又はTh2細胞への分化を樹状細胞が制御していると考えられている。ミエロイド系樹状細胞である末梢血単球をGM−CSF及びIL−4とともに培養してCD40Lにより成熟させた樹状細胞(DC1)はin vitroにおいて、IL−12産生能を有し、異系naive Th細胞を刺激活性化し、IFNγ産生T細胞を誘導する(すなわちTh1への分化を促す)。この作用は抗IL−12抗体により阻害されることから、IL−12を介した反応と考えられる。一方リンパ組織T領域や、末梢血に存在するplasmacytoid T細胞をIL−3、CD40リガンドとともに培養したリンパ球系樹状細胞(DC2)は、IL−12産生能は有さず、そして異系naive Th細胞を刺激活性化し、IL−4産生T細胞を誘導し、Th2への分化を促進することが示されている。Th1細胞は細胞性免疫の活性化にかかわり、Th2細胞は液性免疫能を高めると同時に細胞性免疫能の抑制に関与すると考えられている。Th1細胞のヘルプで活性化された細胞傷害性T細胞(CTL)は、細胞質内で増殖する病原体(多くのウイルス、リステリア菌、結核菌、およびトキソプラズマ原虫など)や腫瘍細胞を除去することができる。 膜表面に発現したCD40を認識する抗CD40モノクローナル抗体が、B細胞に対していろいろな生物活性を示すことは示されてきた。抗CD40モノクローナル抗体は、CD40とCD40Lとの相互作用に対してアゴニスティックなものと、アンタゴニスティックなものとに大別される。2.アゴニスティック抗体 アゴニスティック抗体の作用として、B細胞の活性化が知られている。たとえば、抗CD40抗体が細胞接着を誘導する(Barrett et al.,J.Immunol.146:1722,1991;Gordon et al.,J.Immunol.140:1425,1988)、細胞の大きさを増進する(Gordon et al.,J.Immunol.140:1425,1988;Valle et al.,Eur.J.Immunol.19:1463,1989)、抗IgM抗体、抗CD20抗体またはphorbol esterのみで活性化されたB細胞の分裂を誘導する(Clark and Ledbetter,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:4494,1986;Gordon et al.,LEUCOCYTE TYPING III.A.J.McMicheal ed.Oxford University Press.Oxford,p.426;Paulie et al.,J.Immunol.142:590,1989)、IL4存在下でB細胞の分裂を誘導する(Valle et al.,Eur.J.Immunol.19:1463,1989;Gordon et al.,Eur.J.Immunol.17:1535,1987)、IL−4刺激、T細胞除去培養細胞のIgE(Jabara et al.,J.Exp.Med.172:1861,1990;Gascan et al.,J Immunol.147:8,1991)、IgG、IgM(Gascan et al.,J.Immunol.147:8,1991)の発現を誘導する、IL−4によるB細胞からの可溶性CD23/FceRIIの分泌と(Gordon and Guy,Immunol.Today 8:339,1987;Cairns et al.,Eur.J.Immunol.18:349,1988)細胞上の発現増強(Challa A,Allergy,54:576,1999)をする、IL−6の生産を促進する(Clark and Shu,J.Immunol.145:1400,1990)ことが報告されている。さらには、CDw32+接着細胞存在下で、IL−4及び抗CD40抗体を添加することにより、ヒト初代培養B細胞から、B細胞クローンを樹立することや(Bancherauet al.,Science 241:70,1991)、胚中心の中心細胞のアポトーシスが、抗原レセプターの働きにかかわらず、CD40を介して阻害されること(Liu et al.,Nature 342:929,1989)が報告されている。以上のようにCD40は、ヒトB細胞表面に発現する抗原として同定されたため、単離された抗体の多くは、主にヒトB細胞に対する増殖分化誘導機能、癌細胞における細胞死誘導活性を指標に評価されてきた(Katira,A.et.al.,LEUKOCYTE TYPING V.S.F.Schlossossman,et.al.eds.p.547.Oxford University Press.Oxford,W.C.Flansow et.al.,LEUKOCYTE TYPING V.S.F.Schlossossman,et.al.eds.p.555.Oxford University Press.Oxford,J.D.Pound et.al.,International Immunology,11:11,1999,)。 抗CD40抗体がDCを成熟させることが示された(Z.H.Zhou et.al.,Hybridoma,18:471 1999)。さらに、抗原特異的CD8T細胞プライミングにおけるCD4T細胞の役割は、CD40−CD40Lシグナリングを介したDCの活性化にあることが報告され、抗CD40モノクローナル抗体(mAb)により、樹状細胞(DC)の活性化におけるCD4ヘルパーT細胞の役割を代替できることが示された(Shoenberger,S.P.,et.al.:T−cell help for cytotoxic T lymphocytes is mediated by CD40−CD40L interactions.Nature,480,1998)。また、マウスにおいて抗CD40抗体の投与によりCD40を発現する腫瘍細胞のみならず非発現腫瘍細胞からも生体を防御可能であることが示された(French,R.R.,et.al.:CD40 antibody evokes a cytotoxic T−cell response that eradicates lymphoma and bypasses T−cell help.Nature Medicine,5,1999)。 上述した機能に基づき、アゴニスティック抗CD40抗体は、細菌、ウイルスなどの感染症の治療、癌の治療等に使用しうるものと考えられている。WO02/088186には優れたアゴニスティック活性を有する抗CD40抗体が記載されている。当該アゴニスティック抗体の代表例としてKM341−1−19抗体および2105抗体が挙げられる。KM341−1−19抗体を産生するハイブリドーマKM341−1−19は2001年9月27日、2105抗体を産生するハイブリドーマ2105は2002年4月17日に、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にブタペスト条約に基づき国際寄託されている。受託番号はFERM BP−7759(KM341−1−19)およびFERM BP−8024(2105)である。3.アンタゴニスティック抗体 一方、上記のように、CD40が免疫反応において重要な役割を担っていることから、CD40とそのリガンドの結合を阻害することで、臓器移植時の免疫抑制や自己免疫疾患の治療薬が開発できると期待される。Sawada−Haseらは、クローン病患者の末梢血中の単球ではCD40を強く発現する細胞の割合が上昇していることを報告している。しかしながら、CD40とそのリガンドの結合を阻害する抗体については、まだ良く分かっていない。そのような阻害性抗体は、たとえば、CD40の機能解析や、CD40の活性化が必要な疾患の治療に有効である可能性がある。また、CD40リガンドに対する阻害抗体も、CD40とCD40リガンドとの結合が関与する疾患薬として有効である可能性が示されている。しかしながら、CD40Lは活性化した血小板に発現するという報告(V.Henn et.al.,Nature 391:591,1998)があるため、抗CD40L抗体を治療薬として使った場合、血栓を引き起こす危険性が存在することが報告されている(T.Kawai et.al.,Nat.Medi.6:114,2000)。このような観点から、CD40とそのリガンドの結合を阻害する抗体治療薬としては、抗CD40L抗体よりも、むしろCD40に対する抗体の方が安全性に優れると期待できる。抗CD40抗体としてはCD40LのCD40への結合を抑制し、なおかつ、抗体自身がCD40を活性化しないことが必要とされる。 上述した機能に基づき、アンタゴニスティック抗CD40抗体は、自己免疫疾患の治療、臓器、骨髄等の移植に際しての拒絶反応の抑制に使用しうるものと考えられている。WO02/088186には優れたアンタゴニスティック活性を有する抗CD40抗体が記載されている。当該アンタゴニスティック抗体の代表例として4D11抗体が挙げられる。4D11抗体を産生するハイブリドーマ4D11は2001年9月27日に、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にブタペスト条約に基づき国際寄託されている。受託番号はFERM BP−7758である。 WO02/088186号公報 本件発明は、WO02/088186に開示された、治療効果が期待できる抗CD40抗体について、医薬品としての最適化の図られた変異体を作製することを目的とする。 本発明者らは、鋭意研究の結果、従来知られている抗CD40抗体に比して、より疾患への治療効果が高いと考えられる新規なアゴニスティック抗体、及びアンタゴニスティック抗体の変異体を作製することに成功し、本発明を完成した。本件発明における、抗CD40抗体の改変についての基本的な考えかたを下記に詳述する。 本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2003−431408号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。 図1A−1は、抗CD40アゴニスト抗体のCD40を配列を基に作製したペプチドへの結合部位を示した図である。 図1A−2は、抗CD40アゴニスト抗体のCD40を配列を基に作製したペプチドへの結合部位を示した図である(図1A−1の続き)。 図1B−1は、抗CD40アンタゴニスト抗体のCD40を配列を基に作製したペプチドへの結合部位を示した図である。 図1B−2は、抗CD40アンタゴニスト抗体のCD40を配列を基に作製したペプチドへの結合部位を示した図である(図1B−1の続き)。 図2Aは、変異CD40に対する抗CD40抗体の結合牲を示した図である。 図2Bは、変異CD40に対する抗CD40抗体の結合性を示した図である。 図2Cは、変異CD40に対する抗CD40抗体の結合性を示した図である。 図3Aは、KM341−1−19抗体にP331Sの変異を導入しても、Ramos細胞への結合活性が同程度あることを示した図である。 図3Bは、KM341−1−19抗体にP331Sの変異を導入しても、Ramos細胞へのCD95発現促進活性が同程度あることを示す図である。 図4Aは、KM341−1−19抗体にP331Sの変異を導入すると、ウサギ補体を使ったCDC活性が抑制されることを示す図である。 図4Bは、ヒト補体を使った場合、G2/4が低い補体活性があることを示す図である。 図5A−1は、2105抗体のサブクラスをIgG2から他のサブクラスへ変換した場合、Ramos細胞への結合は変化しないことを示す図である。 図5A−2は、KM341−1−19抗体のサブクラスをIgG2から他のサブクラスへ変換した場合、Ramos細胞への結合は変化しないことを示す図である。 図5B−1は、2105抗体のサブクラスをIgG2から他のサブクラスへ変換した場合、Ramos細胞へのCD95発現促進活性が低下することを示す図である。 図5B−2は、KM341−1−19抗体のサブクラスをIgG2から他のサブクラスへ変換した場合、Ramos細胞へのCD95発現促進活性が低下することを示す図である。 図6A−1は、KM341−1−19抗体のRamos細胞への結合能は、ヒンジの構造に依存されないことを示す図である。 図6A−2は、2105抗体のRamos細胞への結合能は、ヒンジの構造に依存されないことを示す図である。 図6B−1は、KM341−1−19抗体のRamos細胞へのCD95発現促進活性は、アッパーヒンジ、ミドルヒンジが重要であることを示す図である。 図6B−2は、2105抗体のRamos細胞へのCD95発現促進活性は、アッパーヒンジ、ミドルヒンジが重要であることを示す図である。 図7Aは、F72をIgG2サブクラスに変換すると、Ramos細胞への結合能は変化しないことを示す図である。 図7Bは、F72をIgG2サブクラスに変換すると、CD95発現促進活性は上昇することを示す図である。 図8Aは、4D11抗体のサブクラスをIgG1からIgG4へ変換した場合、Ramos細胞への結合は変化しないことを示す図である。 図8Bは、4D11抗体のサブクラスをIgG1からIgG4へ変換した場合、CD40LigandによるRamos細胞におけるCD95の発現上昇を同程度阻害することを示す図である。 図9は、4D11抗体のサブクラスをIgG1からIgG4、IgG4PEに換えた場合、ADCC活性が低減したことを示す図である。 図10は、4D11抗体のサブクラスをIgG1からIgG4Pへ換えた場合、CDC活性が低減したことを示す図である。 図11は、4D11G1、4D11G4P、4D11G4PEをhuman CD40トランスジェニックマウスに投与した後の、血中B細胞数の変化(末梢血リンパ球中のB220陽性細胞)を示す図である。 図12Aは、抗CD40抗体をhuman CD40トランスジェニックマウスに投与した後の、脾臓B細胞のCD23の発現上昇(脾臓B細胞中のCD23陽性細胞)を示す図である。 図12Bは、抗CD40抗体をhuman CD40トランスジェニックマウスに投与した後の、脾臓B細胞のCD86の発現上昇(脾臓B細胞中のCD86陽性細胞)を示す図である。 図12Cは、抗CD40抗体をhuman CD40トランスジェニックマウスに投与した後の、脾臓B細胞のCD95の発現上昇(脾臓細胞中のCD95陽性細胞)を示す図である。 図13Aは、human CD40トランスジェニックマウスにおける4D11、281−1−10による抗原特異的抗体(IgG1)産生抑制活性を示す図である。 図13Bは、human CD40トランスジェニックマウスにおける4D11、281−1−10による抗原特異的抗体(IgM)産生抑制活性を示す図である。 図14Aは、抗原特異的抗体産生抑制活性試験時の血中B細胞数(末梢血リンパ球中のB220陽性細胞)を示す図である。 図14Bは、抗原特異的抗体産生抑制活性試験時の脾臓中B細胞数(脾臓リンパ球中のB220陽性細胞)を示す図である。 図15は、カニクイザルに30mg/kgの4D11G4P、4D11G4PEを投与した場合の血中B細胞数(末梢血リンパ球中のB220陽性細胞)の変化を示す図である。 図16は、図15の試験時の血中IL−12濃度を示す図である。 図17は、4D11G4PEのサルDTH抑制効果(雄カニクイサルにおける遅延型過敏症)を示す図である。 図18は、図17に結果を示す試験における抗テタヌストキシンIgGの力値を示す図である。 図19は、図17に結果を示す試験における抗テタヌストキシンIgMの力値をしめす。 図20Aは、4D11G4PEと5C8(抗CD40Ligand抗体)の血小板凝集に対する影響を示す図である。 図20Bは、4D11G4PEと5C8(抗CD40Ligand抗体)の血小板凝集に対する影響を示す図である。 図21は、4D11G4P、4D11G4PE、4D11G2Ser、4D11G4/2/4をpH2.7、37℃でインキュベートした後の、オリゴマー含有率の変化を示す図である。 図22は、抗CD40アンタゴニスティック抗体による皮膚移植片拒絶抑制作用を示す図である。 図23は、Ramos細胞を移植した担癌マウスに341G2Serを投与した場合の細胞移植後の腫瘍体積の変化を示す図である。 図24は、T24細胞を移植した担癌マウスに341G2Serを投与した場合の細胞移植後の腫瘍体積の変化を示す図である。 図25は、Hs 766T細胞を移植した担癌マウスに341G2Serを投与した場合の細胞移植後の腫瘍体積の変化を示す図である。 図26は、Capan−2細胞を移植した担癌マウスに341G2Serを投与した場合の細胞移植後の腫瘍体積の変化を示す図である。 1.アゴニスティック抗体の改変 抗体は本来外来の微生物、ウイルスや癌に対する生体防御機能をつかさどる分子であるため、抗体が結合した細胞を殺傷し、取り除く作用を兼ね備えている。この殺傷機能は2種類あり、抗体依存性細胞性細胞傷害活性(Antibody−Dependent Cellular Cytotoxicity。以下、ADCCと略記)、及び補体依存性細胞傷害活性(Complement−Dependent Cytotoxicity。以下、CDCと略記)といわれている。 ADCCは、Macrophage,NK細胞、好中球などの表面に発現しているFc Receptorを介して、抗体の定常領域と結合することにより細胞を認識し、認識した細胞が活性化することにより誘導される、細胞障害活性のことを言う。一方、CDCは抗体が抗原と結合することによって、活性化された補体系によって引き起こされる細胞障害活性のことを言う。これらの活性は、抗体のサブクラスによって、その活性の強弱が異なることが解っており、それは、抗体の定常領域の構造の違いに起因することがわかっている(Charles A.Janeway et.al.Immunobiology,1997,Current Biology Ltd/Garland Publishing Inc.)。 抗CD40アゴニスティック抗体は、免疫活性化という作用メカニズムからADCC,CDCといった、CD40発現細胞の細胞死を引き起こす活性を持たないものが、治療薬としてより好ましいと考えられる。もしも、ADCC、CDC活性によってCD40発現細胞が障害を受けてしまった場合、期待する免疫活性化とは反対の免疫抑制状態になる可能性が考えられ、疾患の増悪をもたらす可能性が考えられる。また、感染症の治療薬として使用する場合、もともと患者のCDC、ADCC活性が亢進している可能性が考えられ、正常のヒト血清や、末梢血を用いた場合、その活性が検出できなかったとしても、より強い活性を持つウサギ補体などを用いて安全性に関して、より慎重に評価する必要がある。そのため、ADCC、CDC活性を持たない変異体や、組換え体を作製しその活性を調べた。 ADCC,CDC活性は、抗体のサブクラスによって活性が異なることが知られているため、ADCC、CDC活性の低減はサブクラスの変換によって可能であると考えられる。たとえば、一般的にヒトIgGサブクラスの中で、IgG4はADCC、CDC活性が低いサブクラスとして知られており、IgG2はCDC活性はあるが、ADCC活性は低く、IgG1はADCC、CDC活性の両方とも高いことが報告されている(Charles A.Janeway et.al.Immunobiology,1997,Current Biology Ltd/Garland Publishing Inc.)。この特徴を生かし、特定のサブクラスを選択することにより細胞障害活性の少ない抗体にすることができる。また、特定のサブクラスの抗体と以下に示す点変異の組み合わせによって、目的の活性をもつ抗体を作ることができる。また、ADCC、CDC活性を低減させる方法としては、抗体定常領域に変異を導入することによって可能であることが報告されている。たとえば、L235、D265、D270、K322、P331、P329(アルファベットはアミノ酸の一文字表記。数字はKabatらによるEUインデックス(Kabat et.al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition)を示す。以下同様。)は、ヒトIgGの補体活性化能に重要な役割を果たしていると考えられており、この部位を他のアミノ酸に置換することによって、CDC活性を低減できる(Esohe E.Idusogie et.al.J.Immunol.2000,164:4178−4184,Yuanyuan Xu et.al.J.Biol.Chem.1994,269:3469−3474,Brekke,O.H.et.al.Eur.J.Immunol.1994,24:2542,Morgan,A.,et.al.,Immunology 1995,86:319,Lund,J.,et.al.,J.Immunol.,1996,157:4963,Tao,M.H.,et.al.,J.Exp.Med.1993,178:661)。具体的には、D270、K322、P329、P331をAに置換することにより可能である。また、P331をSやGに変換することによっても可能である。 また、Glu233−Ser239、Gly316−Lys338、Lys274−Arg301、Tyr407−Arg416、Asn297、Glu318、Leu234−Ser239、Asp265−Glu269、Asn297−Thr299、Ala327−Ile332はIgGとFcRの結合に関与していると考えられており(Duncan,A.R.,Woof,J.M.,Partridge,L.J.,Burton,D.R.,and Winter,G.(1988)Nature 332,563−564、Gessner,J.E.,Heiken,H.,Tamm,A.,and Schmidt,R.E.(1998)Ann.Hematol.76,231−248、Gavin,A.,Hulett,M.,and Hogarth,P.M.(1998)in The Immunoglobulin Receptors and Their Physiological and Pathological Roles in Immunity(van de Winkel,J.G.J.,and Hogarth,P.M.,eds),pp.11−35,Kluwer Academic Publishers Group,Dordrecht,The Netherlands、Sautes,C.(1997)in Cell−mediated Effects of Immunoglobulins(Fridman,W.H.,and Sautes,C.,eds),pp.29−66,R.G.Landes Co.,Austin,TX、Da’ron,M.(1997)Annu.Rev.Immunol.15,203−234、Canfield,S.M.,and Morrison,S.L.(1991)J.Exp.Med.173,1483−1491、Chappel,M.S.,Isenman,D.E.,Everett,M.,Xu,Y.−Y.,Dorrington,K.J.,and Klein,M.H.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88,9036−9040、Woof,J.M.,Partridge,L.J.,Jefferis,R.,and Burton,D.R.(1986)Mol.Immunol.23,319−330、Wines,B.D.,Powell,M.S.,Parren,P.W.H.I.,Barnes,N.,and Hogarth,P.M.(2000)J.Immunol.164,5313−5318)、この領域に変異を導入することにより、ADCC活性の低減が可能であると考えられる。具体的にはL235をE、G237をAに置換することにより、FcRとの結合能を低減させることは可能である。 本発明の抗体は、上記のADCCおよび/またはCDC活性を低減させるアミノ酸の変異を1以上、好ましくは1〜20個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個または1もしくは2個有する。 一部の抗CD40抗体に関しては、強力なアゴニスト活性の発現に関してIgG2のヒンジ領域が重要であることが、本発明において示された。したがって、可変領域と、ヒンジ領域以外の定常領域を任意のサブクラスに置換することや、点変異を導入することによって、ADCC、CDC活性の調整のみならず、抗体の生産性の向上、精製および保存時における安定性、血中動体の向上が期待できる。 抗体医薬の生産においては、抗体の精製および保存時の安定性は非常に重要なポイントとなる。いままで開発されている抗体はIgG1サブクラスが最も多いため、上述の抗CD40アゴニスト抗体の物性をより向上させるためには、可変領域とヒンジ領域以外はIgG1サブクラス由来の配列とすることも有効であろう。 本件発明は、以下のアゴニスティック抗CD40抗体変異体等を提供する。[1] ヒトIgG2のアッパーヒンジおよびミドルヒンジを有し、定常領域にADCCおよび/またはCDCの増加または低減を生じせしめる1以上のアミノ酸の欠失または置換もしくは1以上のアミノ酸が付加されたアゴニスト活性を有するCD40に結合するモノクローナル抗体の重鎖。[2] 定常領域がヒトIgGである、[1]の重鎖。[3] ヒトIgGがヒトIgG1である、[2]の重鎖。[4] ヒトIgGがヒトIgG2である、[2]の重鎖。[5] ヒトIgGがヒトIgG3である、[2]の重鎖。[6] ヒトIgGがヒトIgG4である、[2]の重鎖。[7] 定常領域のアミノ酸の置換が、KabatらによるEUインデックスにより示される331位のプロリンのセリンへの置換である、[3]〜[5]のいずれかの重鎖。[8] [1]〜[7]のいずれかの重鎖を含むモノクローナル抗体。[9] ハイブリドーマKM341−1−19(受託番号FERM BP−7759)が産生するモノクローナル抗体の重鎖の可変領域を有する、[1]〜[7]のいずれかの重鎖。[10] [9]の重鎖およびハイブリドーマKM341−1−19(受託番号FERM BP−7759)が産生するモノクローナル抗体の軽鎖の可変領域を有する軽鎖、からなるモノクローナル抗体。[11] 配列番号38で表されるポリペプチドの可変領域を有する、[1]〜[7]のいずれかの重鎖。[12] [11]の重鎖および配列番号40で表されるポリペプチドの可変領域を有するモノクローナル抗体の軽鎖、からなるモノクローナル抗体。[13] 配列番号132で表されるポリペプチドからシグナル配列を除いた部分からなる[1]の重鎖。[14] [13]の重鎖および配列番号134で表されるポリペプチドからシグナル配列を除いた部分からなるモノクローナル抗体の軽鎖、からなるモノクローナル抗体。[15] 配列番号131で表されるポリヌクレオチドを有する発現ベクターを含む宿主から産生される[1]の重鎖。[16] 配列番号131で表されるポリヌクレオチドおよび配列番号133で表されるポリヌクレオチドを有する発現ベクターを含む宿主から産生される[8]のモノクローナル抗体。[17] ハイブリドーマ2105(受託番号FERM BP−8024)が産生するモノクローナル抗体の重鎖の可変領域を有する、[1]〜[7]のいずれかの重鎖。[18] [17]の重鎖およびハイブリドーマ2105(受託番号FERM BP−8024)が産生するモノクローナル抗体の軽鎖の可変領域を有する軽鎖からなるモノクローナル抗体。[19] 配列番号42で表されるポリペプチドの可変領域を有する、[1]〜[7]のいずれかの重鎖。[20] [19]の重鎖および配列番号44で表されるポリペプチドの可変領域を有するモノクローナル抗体の軽鎖、からなるモノクローナル抗体。[21] 配列番号136で表されるポリペプチドからシグナル配列を除いた部分からなる[1]の重鎖。[22] [21]の重鎖および配列番号138で表されるポリペプチドからシグナル配列を除いた部分からなるモノクローナル抗体の軽鎖、からなるモノクローナル抗体。[23] 配列番号135で表されるポリヌクレオチドを有する発現ベクターを含む宿主から産生される[1]の重鎖。[24] 配列番号135で表されるポリヌクレオチドおよび配列番号137で表されるポリヌクレオチドを有する発現ベクターを含む宿主から産生される[8]のモノクローナル抗体。[25] 配列番号131で表されるポリヌクレオチド。[26] 配列番号133で表されるポリヌクレオチド。[27] [25]のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。[28] [26]のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。[29] [25]および[26]のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。[30] [27]の発現ベクターを含む宿主。[31] [28]の発現ベクターを含む宿主。[32] [29]の発現ベクターを含む宿主。[33] [30]の宿主を培養液中で培養し、該培養物及び/または該宿主からモノクローナル抗体の重鎖を取得する工程を含む、モノクローナル抗体の重鎖を製造する方法。[34] [32]の宿主を培養液中で培養し、該培養物及び/または該宿主からモノクローナル抗体を取得する工程を含む、モノクローナル抗体を製造する方法。[35] 配列番号135で表されるポリヌクレオチド。[36] 配列番号137で表されるポリヌクレオチド。[37] [35]のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。[38] [36]のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。[39] [35]および[36]のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。[40] [37]の発現ベクターを含む宿主。[41] [38]の発現ベクターを含む宿主。[42] [39]の発現ベクターを含む宿主。[43] [40]の宿主を培養液中で培養し、該培養物及び/または該宿主からモノクローナル抗体の重鎖を取得する工程を含む、モノクローナル抗体の重鎖を製造する方法。[44] [42]の宿主を培養液中で培養し、該培養物及び/または該宿主からモノクローナル抗体を取得する工程を含む、モノクローナル抗体を製造する方法。[45] ヒトIgG2のアッパーヒンジおよびミドルヒンジを有していない抗体のアッパーヒンジおよびミドルヒンジを、ヒトIgG2のアッパーヒンジおよびミドルヒンジに置換する工程を含む、アゴニスト活性を有するCD40に結合するモノクローナル抗体の重鎖の製造方法。[46] CD40に結合するモノクローナル抗体の重鎖の可変領域のポリペプチドを特定する工程を含む、該可変領域とヒトIgG2のアッパーヒンジおよびミドルヒンジを有するモノクローナル抗体の重鎖の製造方法。[47] ヒトIgG2のアッパーヒンジおよびミドルヒンジを有していない抗体のアッパーヒンジおよびミドルヒンジを、ヒトIgG2のアッパーヒンジおよびミドルヒンジに置換する工程を含む、アゴニスト活性を有するCD40に結合するモノクローナル抗体の製造方法。[48] CD40に結合するモノクローナル抗体の重鎖の可変領域のポリペプチドを特定する工程を含む、該可変領域とヒトIgG2のアッパーヒンジおよびミドルヒンジを有するモノクローナル抗体の製造方法。[49] [8]、[10]、[12]、[14]、[16]、[18]、[20]、[22]および[24]のいずれかのモノクローナル抗体を有効成分として含む医薬組成物。[50] 悪性腫瘍、病原体または自己免疫疾患の予防または治療に用いられる、[49]の医薬組成物。[51] [49]の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、悪性腫瘍、病原体または自己免疫疾患を予防または治療する方法。[52] 悪性腫瘍、病原体または自己免疫疾患の予防または治療に用いられる医薬組成物を製造するための、[8]、[10]、[12]、[14]、[16]、[18]、[20]、[22]および[24]のいずれかのモノクローナル抗体の使用。[89] 配列番号131で表されるポリヌクレオチドからシグナル配列をコードする部分を除いた、ポリヌクレオチド。[90] 配列番号133で表されるポリヌクレオチドからシグナル配列をコードする部分を除いた、ポリヌクレオチド。[91] 配列番号135で表されるポリヌクレオチドからシグナル配列をコードする部分を除いた、ポリヌクレオチド。[92] 配列番号137で表されるポリヌクレオチドからシグナル配列をコードする部分を除いた、ポリヌクレオチド。 また、本件発明は、ヒトIgG2に属するアゴニスト抗CD40抗体に改変を加えた抗体であって、アッパーヒンジおよびミドルヒンジ領域以外の定常領域が他のサブクラス由来の配列に置換された変異体を提供する。好ましい他のサブクラスはIgG1である。また、本件発明は、ヒトIgG2に属するアゴニスト抗CD40抗体に改変を加えた抗体であって、ヒンジ領域以外の定常領域が他のサブクラス由来の配列に置換された変異体を提供する。好ましい他のサブクラスはIgG1である。 ここで、ADCC活性およびCDC活性が低下しているとは、上記変異体でない、抗CD40モノクローナル抗体に比べて、ADCC活性およびCDCが低下していることをいい、例えば、ハイブリドーマKM341−1−19(受託番号FERM BP−7759)もしくは2105(受託番号FERM BP−8024)が産生するモノクローナル抗体に比べてADCC活性およびCDCが低下していることをいう。ADCC活性およびCDC活性は公知の方法により測定することができ、例えば本明細書の実施例に記載の方法で測定すればよい。ハイブリドーマKM341−1−19(受託番号FERM BP−7759)もしくは2105(受託番号FERM BP−8024)が産生するモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖可変領域配列は以下に示すとおりである。 KM341−1−19抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするDNA並びに重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。 KM341−1−19抗体 の重鎖塩基配列(配列番号37)における、シグナル配列は50番目のアデニン(A)から始まる。シグナル配列と可変領域の境界は109番目の[アデニン]([A])と110番目のシトシン(C)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は493番目のアデニン(A)と494番目のグアニン(G)の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 KM341−1−19抗体 の重鎖アミノ酸列(配列番号38)における、シグナル配列と可変領域の境界は20番目のセリン(S)と21番目のグルタミン(Q)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は148番目のセリン(S)と149番目のアラニン(A)の間に位置する。 以上より、KM341−1−19抗体 の重鎖可変領域の塩基配列は、配列番号37における110番目のシトシン(C)から493番目のアデニン(A)までである。また、KM341−1−19抗体 の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号38における21番目のグルタミン(Q)から148番目のセリン(S)までである。 KM341−1−19抗体の軽鎖塩基配列(配列番号39)における、シグナル配列は、29番目のアデニン(A)から始まる。シグナル配列と可変領域の境界は88番目の[アデニン]([A])と89番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は400番目のアデニン(A)と401番目の[シトシン]([C])の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 KM341−1−19抗体の軽鎖アミノ酸列(配列番号40)における、シグナル配列と可変領域の境界は20番目のグリシン(G)と21番目のグルタミン酸(E)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は124番目のリジン(K)と125番目の[アルギニン]([R])の間に位置する。 以上より、KM341−1−19抗体の軽鎖可変領域の塩基配列は、配列番号39における89番目のグアニン(G)から400番目のアデニン(A)までである。また、KM341−1−19抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号40における21番目のグルタミン酸(E)から124番目のリジン(K)までである。 2105抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。 2105抗体 の重鎖塩基配列(配列番号41)における、シグナル配列は70番目のアデニン(A)から始まる。シグナル配列と可変領域の境界は126番目の[チミン]([T])と127番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は495番目のアデニン(A)と496番目のグアニン(G)の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 2105抗体の重鎖アミノ酸列(配列番号42)における、シグナル配列と可変領域の境界は19番目のシステイン(C)と20番目のグルタミン酸(E)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は142番目のセリン(S)と143番目のアラニン(A)の間に位置する。 以上より、2105抗体 の重鎖可変領域の塩基配列は、配列番号41における127番目のグアニン(G)から495番目のアデニン(A)までである。また、2105抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号42における20番目のグルタミン酸(E)から142番目のセリン(S)までである。 2105抗体の軽鎖塩基配列(配列番号43)における、シグナル配列は、28番目のアデニン(A)から始まる。シグナル配列と可変領域の境界は87番目の[アデニン]([A])と88番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は405番目のアデニン(A)と406番目の[シトシン]([C])の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 2105抗体の軽鎖アミノ酸列(配列番号44)における、シグナル配列と可変領域の境界は20番目のグリシン(G)と21番目のグルタミン酸(E)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は126番目のリジン(K)と127番目の[アルギニン]([R])の間に位置する。 以上より、2105抗体の軽鎖可変領域の塩基配列は、配列番号43における88番目のグアニン(G)から405番目のアデニン(A)までである。また、2105抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号44における21番目のグルタミン酸(E)から126番目のリジン(K)までである。 341G2Serの重鎖塩基配列(配列番号131)における、シグナル配列と可変領域の境界は60番目の[アデニン]([A])と61番目のシトシン(C)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は444番目のアデニン(A)と445番目のグアニン(G)の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 341G2Serの重鎖アミノ酸列(配列番号132)における、シグナル配列と可変領域の境界は20番目のセリン(S)と21番目のグルタミン(Q)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は148番目のセリン(S)と149番目のアラニン(A)の間に位置する。 以上より、341G2Serの重鎖可変領域の塩基配列は、配列番号131における61番目のシトシン(C)から444番目のアデニン(A)までである。また、341G2Serの重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号132における21番目のグルタミン(Q)から148番目のセリン(S)までである。 341G2Serの軽鎖塩基配列(配列番号133)における、シグナル配列と可変領域の境界は60番目の[アデニン]([A])と61番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は372番目のアデニン(A)と373番目の[シトシン]([C])の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 341G2Serの軽鎖アミノ酸列(配列番号134)における、シグナル配列と可変領域の境界は20番目のグリシン(G)と21番目のグルタミン酸(E)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は124番目のリジン(K)と125番目の[アルギニン]([R])の間に位置する。以上より、341G2Serの軽鎖可変領域の塩基配列は、配列番号133における61番目のグアニン(G)から372番目のアデニン(A)までである。また、341G2Serの軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号134における21番目のグルタミン酸(E)から124番目のリジン(K)までである。 2105G2Serの重鎖塩基配列(配列番号135)における、シグナル配列と可変領域の境界は57番目の[チミン]([T])と58番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は426番目のアデニン(A)と427番目のグアニン(G)の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 2105G2Serの重鎖アミノ酸列(配列番号136)における、シグナル配列と可変領域の境界は19番目のシステイン(C)と20番目のグルタミン酸(E)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は142番目のセリン(S)と143番目のアラニン(A)の間に位置する。 以上より、2105G2Serの重鎖可変領域の塩基配列は、配列番号135における58番目のグアニン(G)から426番目のアデニン(A)までである。また、2105G2Serの重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号136における20番目のグルタミン酸(E)から142番目のセリン(S)までである。 2105G2Serの軽鎖塩基配列(配列番号137)における、シグナル配列と可変領域の境界は60番目の[アデニン]([A])と61番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は378番目のアデニン(A)と379番目の[シトシン]([C])の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 2105G2Serの軽鎖アミノ酸列(配列番号138)における、シグナル配列と可変領域の境界は20番目のグリシン(G)と21番目のグルタミン酸(E)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は126番目のリジン(K)と127番目の[アルギニン]([R])の間に位置する。以上より、2105G2Serの軽鎖可変領域の塩基配列は、配列番号137における61番目のグアニン(G)から378番目のアデニン(A)までである。また、2105G2Serの軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号138における21番目のグルタミン酸(E)から126番目のリジン(K)までである。2.アンタゴニスティック抗体の改変 抗CD40アンタゴニスティック抗体に関しても、アゴニスティック抗体と同様に、その作用メカニズムからADCC活性、CDC活性がないことが医薬品としてより好ましいと考えられる。さらに、アンタゴニスティック抗体の場合、ADCC活性が検出できない場合においても、in vivoでのFc receptorを介した抗体の架橋によって、シグナルを誘導する活性を回避することが重要となる。言い換えれば、in vivoにおいて免疫を活性化しないことを確認することが必要となり、そのような活性をもつ抗体が医薬品としては、必要であると考えられる。抗CD40アンタゴニスト抗体は、自己免疫疾患や臓器移植拒絶などの治療薬として期待されているが、もしも、抗体投与後に何らかの働きで、微弱でもアゴニスト活性を誘導してしまうことがあった場合、症状の増悪をもたらし、期待した治療効果の反対の結果となる可能性が考えられるため、アゴニスト活性が全くない抗体が医薬品としてはより好ましい。本発明においては、サルを用いた試験により、in vivoにおいてもアゴニスト活性をより低減させるためには、IgG4に点変異L235E(235番目のLをEに置換することを意味する。以下同様。)を導入することが有効であることを示した。また、ADCC、CDC活性が低い抗体サブクラスとして、IgG4が挙げられるが、IgG4は組換え蛋白質としてCHOなどの細胞で発現させる場合、重鎖間のSS結合の形成が不十分で、半量体が分泌されることが報告されている(Rob C.Aalberse et.al.,Immunology,105,9−19,2002)。このため、抗体定常領域に変異を導入することにより、SS結合の形成を促進できることが報告されており、この変異の有用性に関しても評価した。具体的には、228番目のSをPに置換する変異を導入した(S.Angal et.al.,Molecular Immunology,vol30,no1,105−108,1993)。 アゴニスト抗体と同様にアンタゴニスト抗体においても、抗体の精製保存時の安定性は非常に重要なポイントとなる。いくつかの方法により、アンタゴニスト活性を保持しつつ、より物性的に優れた抗体を作製することが可能であると考えられる。現在までに市販されている抗体医薬品は、IgG1サブクラスに属するものがほとんどを占め、製剤上の問題点は特に報告されていない。このことから、抗体の定常領域がIgG1であることが物性的には有利である可能性が考えられる。しかし、抗CD40アンタゴニスト抗体の場合は、ADCC、CDC活性が低減されたものが望ましい。このため、IgG1の定常領域にいくつかの点変異を導入したものが望まれる。方法としては、上述した変異を導入することにより可能となる。例えば、P331G点変異を導入することにより、ADCC、CDC活性を低減させた、IgG1定常領域を作ることが可能であると考えられる。また、IgG4に点変異L235Eを導入することにより、in vivoにおいて、微弱なアゴニスト活性が消失し、薬効的には優れた活性を示すが、物性面では低pHにおける安定性が低下するという減少が見られている。このため、L235をE以外の別のアミノ酸に置換することにより、物性面での機能向上が期待できる。また、4D11抗体については、その可変領域の構造が非常に類似している2B11抗体がある。2B11抗体は、アンタゴニスト活性は、4D11抗体に劣るが、低pHにおける安定性は4D11抗体に勝る。このことを利用し、可変領域の2B11由来のアミノ酸の一部を4D11抗体に導入することによって、安定性を向上させることは可能であると考えられる。具体的には、重鎖のL38V、P58R、G62W、I79M、K81Y、H87Y、S98A、K109R、V120M、T124Aおよび、軽鎖のN75Sの点変異とその組み合わせによって、可能であると考えられる。具体的には、4D11抗体重鎖可変領域の38番目LをVに置換した変異体(L38Vと略記。以下同様)、P58R変異体、G62W変異体、I79M変異体、K81Y変異体、H87Y変異体、S98A変異体、K109R変異体、V120M変異体、T124A変異体、および、軽鎖のN75S変異体、または前述の点変異の組み合わせによって、可能であると考えられる。 本発明の抗体は、上記のADCCおよび/またはCDC活性を低減させるアミノ酸の変異を1以上、好ましくは1〜15個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個または1もしくは2個有する。 本件発明は、以下のアンタゴニスティック抗CD40抗体変異体等を提供する。[53] 定常領域にADCCおよび/またはCDCの増加または低減を生じせしめる1以上のアミノ酸の欠失または置換もしくは1以上のアミノ酸が付加されたアンタゴニスト活性を有するCD40に結合するモノクローナル抗体の重鎖。[54] 定常領域がヒトIgGである、[53]の重鎖。[55] ヒトIgGがヒトIgG1である、[54]の重鎖。[56] ヒトIgGがヒトIgG2である、[54]の重鎖。[57] ヒトIgGがヒトIgG3である、[54]の重鎖。[58] ヒトIgGがヒトIgG4である、[54]の重鎖。[59] 定常領域のアミノ酸の置換が、KabatらによるEUインデックスにより示される235位のロイシンからグルタミン酸への置換である、[55]、[57]および[58]のいずれかの重鎖。[60] 定常領域に、重鎖どうしのSS結合形成を促進させる1以上のアミノ酸の欠失または置換もしくは1以上のアミノ酸が付加されている、[53]〜[58]のいずれかの重鎖。[61] 定常領域のアミノ酸の置換が、KabatらによるEUインデックスにより示される228位のセリンからプロリンへの置換である、[60]の抗体の重鎖。[62] [53]〜[61]のいずれかの重鎖を含むモノクローナル抗体。[63] ハイブリドーマ4D11(受託番号FERM BP−7758)が産生するモノクローナル抗体の重鎖の可変領域を有する、[53]〜[61]のいずれかの重鎖。[64] [63]の重鎖およびハイブリドーマ4D11(受託番号FERM BP−7758)が産生するモノクローナル抗体の軽鎖の可変領域を有する軽鎖、からなるモノクローナル抗体。[65] 配列番号46で表されるポリペプチドの可変領域を有する、[53]〜[61]のいずれかの重鎖。[66] [65]の重鎖および配列番号48で表されるポリペプチドの可変領域を有するモノクローナル抗体の軽鎖、からなるモノクローナル抗体。[67] 配列番号140で表されるポリペプチドからシグナル配列を除いた部分からなる[53]の重鎖。[68] [67]の重鎖および配列番号142で表されるポリペプチドからシグナル配列を除いた部分からなるモノクローナル抗体の軽鎖、からなるモノクローナル抗体。[69] 配列番号139で表されるポリヌクレオチドを有する発現ベクターを含む宿主から産生される[53]の重鎖。[70] 配列番号139で表されるポリヌクレオチドおよび配列番号141で表されるポリヌクレオチドを有する発現ベクターを含む宿主から産生される[62]のモノクローナル抗体。[71] 配列番号139で表されるポリヌクレオチド。[72] 配列番号141で表されるポリヌクレオチド。[73] [71]のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。[74] [72]のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。[75] [71]および[72]のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。[76] [73]の発現ベクターを含む宿主。[77] [74]の発現ベクターを含む宿主。[78] [75]の発現ベクターを含む宿主。[79] [76]の宿主を培養液中で培養し、該培養物及び/または該宿主からモノクローナル抗体の重鎖を取得する工程を含む、モノクローナル抗体の重鎖を製造する方法。[80] [78]の宿主を培養液中で培養し、該培養物及び/または該宿主からモノクローナル抗体を取得する工程を含む、モノクローナル抗体を製造する方法。[81] [62]、[64]、[66]、[68]および[70]のいずれかのモノクローナル抗体を有効成分として含む医薬組成物。[82] 移植拒絶、自己免疫疾患、アレルギーまたは血液凝固第VIII因子阻害症候群の予防または治療に用いられる、[81]の医薬組成物。[83] [81]の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、移植拒絶、自己免疫疾患、アレルギーまたは血液凝固第VIII因子阻害症候群を予防または治療する方法。[84] 移植拒絶、自己免疫疾患、アレルギーまたは血液凝固第VIII因子阻害症候群の予防または治療に用いられる医薬組成物を製造するための、[62]、[64]、[66]、[68]および[70]のいずれかのモノクローナル抗体の使用。[85] ヒト抗体の重鎖定常領域に1以上のアミノ酸の欠失または置換もしくは1以上のアミノ酸を付加する工程を含む、アゴニスティック活性が低減されたアンタゴニスト活性を有するCD40に結合するモノクローナル抗体の重鎖の製造方法。[86] 定常領域がヒトIgGである、[85]の方法。[87] ヒトIgGがヒトIgG4である、[86]の方法。[88] 定常領域のアミノ酸の置換が、KabatらによるEUインデックスにより示される235位のロイシンからグルタミン酸への置換である、[85]〜[87]のいずれかの方法。[93] 配列番号139で表されるポリヌクレオチドからシグナル配列をコードする部分を除いた、ポリヌクレオチド。[94] 配列番号141で表されるポリヌクレオチドからシグナル配列をコードする部分を除いた、ポリヌクレオチド。 その他、本発明は以下のものを提供する。 ハイブリドーマ4D11(受託番号FERM BP−7758)の産生するモノクローナル抗体の重鎖可変領域の38番目LのVへの置換、58番目PのRへの置換、62番目GのWへの置換、79番目IのMへの置換、81番目KのYへの置換、87番目HのYへの置換、98番目SのAへの置換、109番目KのRへの置換、120番目VのMへの置換、124番目TのAへの置換からなる群から選択される少なくとも一つの置換を含む上記のアンタゴニスティック抗CD40抗体の変異体、ならびに4D11抗体軽鎖可変領域の75番目NをSに置換した上記上記ののアンタゴニスティック抗CD40抗体の変異体。 ここで、ADCC活性およびCDC活性が低下しているとは、上記変異体でない、抗CD40モノクローナル抗体に比べて、ADCC活性およびCDCが低下していることをいい、例えば、ハイブリドーマ4D11(受託番号FERM BP−7758)の産生するモノクローナル抗体に比べてADCC活性およびCDCが低下していることをいう。ADCC活性およびCDC活性は公知の方法により測定することができ、例えば本明細書の実施例に記載の方法で測定すればよい。ハイブリドーマ4D11(受託番号FERM BP−7758)の産生するモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖可変領域配列は以下に示すとおりである。 4D11抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。 4D11抗体の重鎖塩基配列(配列番号45)における、シグナル配列と可変領域の境界は93番目の[シトシン]([C])と94番目のシトシン(C)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は456番目のアデニン(A)と457番目のグアニン(G)の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 4D11抗体の重鎖アミノ酸列(配列番号46)における、シグナル配列と可変領域の境界は26番目のセリン(S)と27番目のグルタミン(Q)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は147番目のセリン(S)と148番目のアラニン(A)の間に位置する。 以上より、4D11抗体の重鎖可変領域の塩基配列は、配列番号45における94番目のシトシン(C)から456番目のアデニン(A)までである。また、4D11抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号46における27番目のグルタミン(Q)から147番目のセリン(S)までである。 4D11抗体の軽鎖塩基配列(配列番号47)における、シグナル配列と可変領域の境界は124番目の[チミン]([T])と125番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は442番目のアデニン(A)と443番目の[シトシン]([C])の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 4D11抗体の軽鎖アミノ酸列(配列番号48)における、シグナル配列と可変領域の境界は22番目のシステイン(C)と23番目のアラニン(A)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は128番目のリジン(K)と129番目の[アルギニン]([R])の間に位置する。 以上より、4D11抗体の軽鎖可変領域の塩基配列は、配列番号47における125番目のグアニン(G)から442番目のアデニン(A)までである。また、4D11抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号48における23番目のアラニン(A)から128番目のリジン(K)までである。 4D11抗体G4PEの重鎖塩基配列(配列番号139)における、シグナル配列と可変領域の境界は78番目の[シトシン]([C])と79番目のシトシン(C)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は441番目のアデニン(A)と442番目のグアニン(G)の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 4D11抗体の重鎖アミノ酸列(配列番号140)における、シグナル配列と可変領域の境界は26番目のセリン(S)と27番目のグルタミン(Q)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は147番目のセリン(S)と148番目のアラニン(A)の間に位置する。 以上より、4D11抗体の重鎖可変領域の塩基配列は、配列番号139における79番目のシトシン(C)から441番目のアデニン(A)までである。また、4D11抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号140における27番目のグルタミン(Q)から147番目のセリン(S)までである。 4D11G4PEの軽鎖塩基配列(配列番号141)における、シグナル配列と可変領域の境界は66番目の[チミン]([T])と67番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は384番目のアデニン(A)と385番目の[シトシン]([C])の間に位置する(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 4D11G4PEの軽鎖アミノ酸列(配列番号142)における、シグナル配列と可変領域の境界は22番目のシステイン(C)と23番目のアラニン(A)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は128番目のリジン(K)と129番目の[アルギニン]([R])の間に位置する。 以上より、4D11G4PEの軽鎖可変領域の塩基配列は、配列番号141における67番目のグアニン(G)から384番目のアデニン(A)までである。また、4D11G4PEの軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号142における23番目のアラニン(A)から128番目のリジン(K)までである。3.定義 本明細書で使用する用語の定義は以下のとおりである。 本発明でいう「CD40」とは、クラークら(E.A.Clark et. al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:4494,1986)又はスタメンコビックら(I.Stamenkovic et.al.,EMBO J.8:1403,1989)により示されているアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味し、特にB細胞、DC、マクロファージ、内皮細胞、上皮細胞、あるいはそれらの腫瘍細胞表面に発現する抗原ポリペプチドである。 「抗CD40抗体」とは、細胞発現CD40、全長CD40又は部分長CD40に対するモノクローナル抗体のいずれをも意味する。 さらに、本発明で「抗体」とは、イムノグロブリンを構成する重鎖可変領域及び重鎖定常領域並びに軽鎖の可変領域及び軽鎖の定常領域をコードする遺伝子(「抗体遺伝子」と総称する)に由来するものである。ヒトのイムノグロブリンには、IgG、IgA、IgM、IgDおよびIgEからなる5つの異なったクラスが存在する。IgGはさらにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる4つのサブクラス、またIgAはさらにIgA1およびIgA2からなる2つのサブクラスに分類することが出来る。IgG1、IgG2、IgG3、IgG4はヒト染色体の14q32.33に位置する。イムノグロブリンの基本構造は、2本の相同なL鎖(軽鎖)と、2本の相同なH鎖(重鎖)から成り立っている。免疫グロブリンのクラスとサブクラスはH鎖によって決定される。本発明の抗体には、いずれのイムノグロブリンクラス・サブクラス及びアイソタイプを有する抗体をも包含する。本発明における抗体の「機能的断片」とは、前記で定義した抗体の一部分(部分断片)であって、抗体の抗原への作用を1つ以上保持するものを意味し、具体的にはF(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、ジスルフィド結合FV、一本鎖FV(scFV)、およびこれらの重合体等が挙げられる(D.J.King.,Applications and Engineering of Monoclonal Antibodies.,1998 T.J.International Ltd)。 これまでに知られているIgG1としてはJ00228、Z17370またはY14737などが、IgG2としてはJ00230、AJ250170、AF449616、AF449617、AF449618、Z49802またはZ49801などが、IgG3としてはM12958、K01313、X16110、X99549、AJ390236、AJ390237、AJ390238、AJ390241、AJ390242、AJ390246、AJ390247、AJ390252、AJ390244、AJ390254、AJ390260、AJ390262、AJ390272、AJ390276またはAJ390279などが、IgG4としてはK01316、AJ001563、AJ001564などが挙げられる(以上の記号は遺伝子のアクセッション番号である)。 本発明における、CH1、ヒンジ、CH2、CH3とは、抗体重鎖定常領域の一部分を示しており、KabatらのEUインデックス(Kabat et.al.,Sequences of proteins of immunological interest,1991 Fifth edition)に基づいている。CH1は、EUインデックス118から215、ヒンジはEUインデックス216から230、CH2はEUインデックス231から340、CH3はEUインデックス341から446と定義される。 本発明で「ヒト抗体」とは、ヒト由来の抗体遺伝子の発現産物である抗体を意味する。 「アゴニスティック」とは、B細胞、腫瘍細胞又は樹状細胞などの細胞表面上に発現するCD40に、そのリガンドが結合することを促進する作用、あるいは、CD40リガンドがCD40発現細胞に与える影響の1つ以上を、CD40を発現する細胞に与える作用を意味し、「アゴニスティック抗体」とは、そのようなアゴニスティック作用を有する抗体を意味する。CD40発現細胞に与える影響の1つとして、例えばCD95の発現促進が挙げられる。 「アンタゴニスティック」とは、B細胞、腫瘍細胞又は樹状細胞などの細胞表面上に発現するCD40にそのリガンドが結合することを阻害する作用、あるいは、CD40リガンドがCD40発現細胞に与える影響の1つ以上を中和する作用を意味し、「アンタゴニスティック抗体」とはそのような作用を有する抗体を意味する。CD40発現細胞に与える影響の1つとして、例えばB細胞増殖抑制あるいは抗体産生抑制が挙げられる。 本出願において、アミノ酸配列によって抗体またはその重鎖可変領域若しくは軽鎖可変領域を明示しているが、1以上、好ましくは1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個または1もしくは2個のアミノ酸が欠失した、あるいは置換された、若しくは付加されたものも本発明の範疇に含まれる。 本出願において、塩基配列によって抗体またはその重鎖可変領域若しくは軽鎖可変領域をコードする遺伝子をを明示しているが、1以上、好ましくは1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個または1もしくは2個の塩基が欠失した、あるいは置換された、若しくは付加されたものも本発明の範疇に含まれる。 本発明においては、抗CD40抗体は、抗体遺伝子を発現ベクターに組み込み、ベクターを適当な宿主細胞に導入し、細胞もしくは細胞の培養上清から回収、精製することにより得ることができる。 ベクターには、宿主細胞で自律的に増殖し得るか、宿主細胞の染色体に組み込まれ得るファージ又はプラスミドが使用される。プラスミドDNAとしては、大腸菌、枯草菌又は酵母由来のプラスミドなどが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ等が挙げられる。 形質転換に使用する宿主としては、目的の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞が挙げられる。 宿主への遺伝子の導入方法は公知であり、任意の方法(例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等)が挙げられる。また、後述の動物に遺伝子を導入する方法としては、マイクロインジェクション法、ES細胞にエレクトロポレーションやリポフェクション法を使用して遺伝子を導入する方法、核移植法などが挙げられる。 本発明において、「培養物」とは、(a)培養上清、(b)培養細胞若しくは培養菌体又はその破砕物、(c)形質転換体の分泌物のいずれをも意味するものである。形質転換体を培養するには、使用する宿主に適した培地を用い、静置培養法、ローラーボトルによる培養法などが採用される。 培養後、目的タンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することにより抗体を採取する。また、目的抗体が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる各種クロマトグラフィーを用いた一般的な生化学的方法を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から目的の抗体を単離精製することができる。 さらに、トランスジェニック動物作製技術を用いて、目的抗体の遺伝子が内在性遺伝子に組み込まれた動物宿主、例えばトランスジェニックウシ、トランスジェニックヤギ、トランスジェニックヒツジ又はトランスジェニックブタを作製し、そのトランスジェニック動物から分泌されるミルク中からその抗体遺伝子に由来するモノクローナル抗体を大量に取得することも可能である(Wright,G.,et al.(1991)Bio/Technology 9,830−834)。ハイブリドーマをインビトロで培養する場合には、培養する細胞種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用いられるような既知栄養培地、あるいは既知の基本培地から誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施することが可能である。4.抗体の性質(1)アゴニスティック抗体の場合 本発明のアゴニスティック抗体の変異体は、アゴニスティック活性を保持しつつ、ADCC、CDC活性がオリジナルの抗体に比べ、同程度以下になっているため、免疫担当細胞を傷害することなく、免疫系を活性化することができると考えられる。そのため、オリジナル抗体に比べ同程度以上の免疫活性化作用と、同程度以下のCD40発現細胞への障害による毒性を示すことが期待される。(2)アンタゴニスティック抗体の場合 本発明のアンタゴニスティック抗CD40抗体の変異体は、CD40Lによる免疫活性化シグナルを抑制する活性を保持しつつ、改変前の抗体に比べ、ADCC、CDC活性が低減している。また、in vivoにおいても、Fcレセプターを介すると考えられるシグナル誘導活性の低下が期待される。5.医薬組成物 また、本発明の抗体の精製された製剤を含有する医薬組成物もまた、本発明の範囲内に含まれる。このような医薬組成物は、好ましくは、抗体に加えて、生理学的に許容され得る希釈剤またはキャリアを含んでおり、他の抗体または抗生物質のような他の薬剤との混合物であってもよい。適切なキャリアには、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水グルコース液、および緩衝生理食塩水が含まれるが、これらに限定されるものではない。或いは、抗体は凍結乾燥(フリーズドライ)し、必要とされるときに上記のような緩衝水溶液を添加することに理再構成して使用してもよい。投与経路は、経口ルート、並びに静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内の注射または配薬を含む非経腸的ルートである。 この場合、本発明の抗体の有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得るキャリアとの組合せとして投与される有効量は、1回につき体重1kgあたり0.0001mg〜100mgであり、2日から8週間間隔で投与される。 本発明の抗体を含む医薬組成物を使用する場合は、アゴニスティック抗体については、免疫賦活化剤(抗ウィルス剤、抗感染症剤)であり、病原体としてはA,B,C,D,またはE型肝炎ウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、パピローマウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、トキソプラズマ、マラリア、トリパノソーマ、結核などが例示される。または抗腫瘍剤であり、対象腫瘍としてはCD40を発現した癌細胞を含む悪性腫瘍、例えば膵臓癌、膀胱癌、リンパ腫(例えばホジキンリンパ腫)、白血病、悪性黒色腫、膵臓癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、頭頸部癌が挙げられる。または自己免疫疾患治療剤であり、対象疾患としてはリウマチが例示される。または、これらの疾患が複数併発してもよい。あるいは、ガン特異的ペプチドなどのワクチンとアジュバントとして併用することもできる。また、アンタゴニスティック抗体については、臓器移植時における免疫抑制剤(膵島移植や腎臓などの移植時における拒絶反応、GVHDの予防又は治療剤)として、あるいは自己免疫疾患(例えば、リュウマチ、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリトマトーデス、多発性硬化症、筋無力症、強皮症、抗りん脂質抗体症候群、自己免疫性肝炎、特発性血小板減少性紫斑病、ベーチェット病、動脈硬化、腎炎、呼吸切迫症候群)の治療剤、喘息などアレルギーの治療剤、血液凝固第VIII因子阻害症候群の治療剤として有用であり、これらの疾患が複数併発してもよい。6.エピトープ 優れたアゴニスト活性を有するKM341−1−19抗体および2105抗体、優れたアンタゴニスト活性を有する4D11抗体のCD40に対する結合エピトープが決定された(実施例2)。本件発明は、上記抗体とは異なる可変領域配列を有し、かつ上記抗体のいずれかと同じエピトープを認識するアゴニスティックもしくはアンタゴニスティック抗CD40抗体を提供する。このような抗体は下記の要領によって取得できる。 例えばKM341−1−19抗体と同じエピトープを認識するアゴニスティック抗CD40抗体を取得する場合、CD40をマウス等に免疫して得られたモノクローナル抗体の中から、CD40への結合に際してKM341−1−19抗体と競合するものを常法により選抜する。選抜されたものについて実施例2に記載された方法に基づき、ペプチドに対する結合パターンがKM341−1−19抗体と同じものを選抜する。 以下、実施例を以って本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がその実施例に記載される形態のみに限定されるものではない。 抗体、抗原蛋白質の発現精製 抗体発現細胞は、抗体の可変領域を含むベクタープラスミドを、CHO細胞(ATCC)に遺伝子導入し、G418により選択することにより安定発現株を作製した。 また、変異型抗原の発現は、ベクターを一過性にHEK細胞(ATCC)に導入することによって実施した。 上記培養上清からの抗CD40抗体の精製は以下の方法で行った。抗CD40抗体を含む培養上清をHyper D Protein Aカラム(日本ガイシ製)あるいはマウスIgG1の精製にはProtein Gカラム(アマシャムファルマシアバイオテク)を用い、付属の説明書に従い吸着緩衝液としてPBS(−)、溶出緩衝液として0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3)を用いてアフィニティー精製した。溶出画分は1M Tris−HCl(pH8.0)あるいはNa2HPO4溶液を添加してpH7.2付近に調整した。調製された抗体溶液は、透析膜(10000カット、Spectrum Laboratories社製)あるいはSPカラム(アマシャムファルマシアバイオテク)を用いてPBS(−)に置換し、孔径0.22μmのメンブランフィルターMILLEX−GV(MILLIPORE製)でろ過滅菌した。精製抗体の濃度は280nmの吸光度を測定し、1mg/mlを1.45ODとして算出した。 エピトープの決定 CD40の細胞外領域の175アミノ酸(配列番号1)をカバーする、13−merペプチドを2アミノ酸ずつ、ずらして合計82種のペプチド(配列番号49から130)をCellulose膜上にC末端からスポット状に合成し、N末をアセチル化した(JERINI社:ドイツ)。以降の反応は常法のウェスタン解析(Reineke,U.ほか.(2001).“Epitope mapping with synthetic peptides prepared by SPOT synthesis.”Antibody Engineering(Springer Lab Manual)Eds.:Kontermann/Dubel,433−459.など参照)を元に実施した。解析はLumiImagerTM(Boehringer−Mannheim社)を使用し、各スポットの発色強度を数値化した(図1A−1、A−2、B−1、B−2)。 その結果、4D11抗体は20−24番目と41番目のペプチド、2105抗体は12−23番目と64番目、KM341−1−19抗体は41,42番目のペプチド、KM643−4−11は43番目のペプチド、F72は75番目、110は64番目のペプチドを、F4−465は、34、35、54、55、65、66、75番目のペプチドを、KM281−1−10は21、24、64、75番目のペプチドを、2B11(新規抗体)は21、24、64番目のペプチドを、F76(新規抗体)は21、35、51、52番目のペプチドを強く認識することがわかった。 抗CD40抗体の結合部位を確定するため、変異を導入したCD40−FC fusion proteinを作製し結合能をELISAにより調べた。抗CD40抗体はマウスのB細胞に対して交差性を示さないため、マウスCD40のアミノ酸配列に部分的に変換した5種類のCD40Fc fusion proteinを作製し、この抗原に対する、抗体の結合を調べた。変異型CD40−FC融合蛋白質の作製方法は以下に示す。変異部位は、抗体が強く結合するペプチドの配列の部分に、マウスCD40の配列を導入することにより作製した。CD40mut1は、15番ペプチドに相当する部位のEFTEをALEKに、CD40mut2は、21番ペプチドに相当する部位のLDTをSAQへ、CD40mut3は、24番ペプチドに相当する場所のTHをIRへ、CD40mut4は、42番目ペプチドに相当する部位のEEGWをKEGQへ、CD40mut5は、64番目ペプチドに相当する部位をVSSAからQSSLへ変換した。変異体の作製は、遺伝子工学的手法に従って実施した(図2A、B、C)。解析の結果2105抗体は、CD40mut1への結合能を著しく低下させていることがわかった。また、4D11抗体、2B11は、CD40mut2への結合能を低下させていることがわかった。 抗CD40アゴニスティック抗体のRamos細胞に対する結合活性 2x106/mlの濃度でRamos細胞株を0.1%NaN3、2%FCS含有PBSの染色バッファー(SB)に浮遊させた。細胞浮遊液(100μl/ウェル)を96−well丸底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。各々のハイブリドーマの培養上清(50μl)を加え、氷温下30分間インキュベートした。陰性コントロールとしてヒト血清アルブミンに対するヒトIgG1抗体を用い、ハイブリドーマ培養培地で2μg/mlの濃度に調製し、50μl添加後氷温下15分間インキュベートした。SBで洗浄した後、250倍希釈したR−PE蛍光標識抗ヒト抗体(Southern Biotechnology社製)50μlを加え、氷温下15分間インキュベートした。SBで2回洗浄した後、300〜500μlのFACS緩衝液に懸濁し、FACS(FACSort、FACScan、ベクトンディッキンソン社製)で各細胞の蛍光強度を測定した。 抗CD40アゴニスティック抗体のRamos細胞に対するアゴニスティック活性評価 5.0x105個/mlのRamos細胞懸濁液を96ウエルプレートに100μl/wellで播種した。ハイブリドーマ培養上清又は精製抗体を20μg/mlに培地で希釈し、96ウエルプレートに100μl/wellの濃度で添加した。一晩培養後、細胞を集めR−PE標識抗CD95抗体(Pharmingen NJ)を用い、FACSCanあるいはFACSsort(ベクトンデッキンソン)を使って解析した。 Ramos細胞における抗CD40アンタゴニスティック抗体によるCD95発現抑制 1.0x106個/mlのRamos細胞懸濁液を96ウエルプレートに50μl/wellで播種した。ハイブリドーマ培養上清又は精製抗体を2μg/mlに培地で調整し、96ウエルプレートに100μl/well添加した。可溶性CD40リガンド(ALEXIS CORPORATION)を4μg/mlと抗FLAG抗体(M2、シグマ)4μg/mlとを培地に添加し、96ウエルプレートに50μl/well添加した。一晩培養後、細胞を集めR−PE標識抗CD95抗体(Pharmingen NJ)を用い、FACSを使って解析した。 抗CD40抗体CDC活性の測定 CDCアッセイは、Cr51ラベルしたターゲット細胞2000個に対して、最終濃度5%のヒト血清由来補体(SIGMA社製)もしくはウサギ血清由来補体(CEDARLANE LABORATORIES LIMITED、オンタリオ、カナダ)を、丸底96ウェルプレート中で全体容量200μLで、各抗体濃度とともに37℃、5%CO2存在下で2時間培養した。 培養後、プレートを遠心して細胞を沈めた後、上清50μLを粉末シンチレーター含有の96穴プレート(LumaplateTM−96:パッカード社製)に移し、55℃、1.5時間で乾燥した。乾燥を確認後、専用カバー(TopSealTM−A:96−well Microplates:パッカード社製)でプレートをカバーし、シンチレーションカウンター(トップカウント:パッカード社製)でγ線量を測定した。 抗CD40抗体のADCC活性測定 抗体を介した細胞傷害性活性は、NK細胞或いは好中球などのキラー活性を有する細胞と抗体の存在下でターゲット細胞への傷害活性(抗体依存性細胞性細胞傷害活性(Antibody−Dependent Cellular Cytotoxicity)、以下、ADCC)、及び補体と抗体の存在下でターゲット細胞への傷害活性(補体依存性細胞傷害活性(Complement−Dependent Cytotoxicity)以下、CDC)の測定を実施した。コントロールとしてhIgGを用いた。 方法は簡単には、ターゲット細胞に放射性クロム(Cr51)を細胞質内に取り込ませ、細胞死により培養液中に遊離されるCr51量をγ線量で測定した。 具体的には、ターゲット細胞としてバーキットリンパ腫細胞株Raji(ATCC CCL−86)を106個を15μLのFetal Calf Serum(FCS)に懸濁し、50μL(37MBq/mL)のCr51ラベルされたクロム酸ナトリウム(パーキエルマー社製:以下Cr51と書く)を添加し、1時間37℃で培養した。次に、培地を10mL添加し、遠心して培地を捨てることを3回繰り返すことで、細胞内に取り込まれていないCr51を除いた。 ADCCアッセイは、Cr51ラベルしたターゲット細胞2000個に対して、実施例6記載の方法で取得した健常人末梢血単核球200000個を、丸底96ウェルプレート(Falcon社製)中で全体容量200μLで、各抗体濃度とともに37℃、5% CO2存在下で4時間培養した。 培養後、プレートを遠心して細胞を沈めた後、上清50μLを粉末シンチレーター含有の96穴プレート(LumaplateTM−96:パッカード社製)に移し、55℃、1.5時間で乾燥した。乾燥を確認後、専用カバー(TopSealTM−A:96−well Microplates:パッカード社製)でプレートをカバーし、シンチレーションカウンター(トップカウント:パッカード社製)でγ線量を測定した。 抗CD40アゴニスティック抗体P331S変異体の作製と活性評価 抗CD40アゴニスティック抗体KM341−1−19および2105の遺伝子クローニングに関してはWO02/099186に記載されている。IgG2定常領域の331番目ProをSerに変換することによってCDC活性が低減するという報告がある。KM341−1−19抗体、2105抗体に関してもCDC活性を低減するために、P331S変異をIgG2定常領域に導入した。 抗体発現ベクターN5KG1−Val Lark(IDEC Pharmaceuticals:以下N5KG1と略記)の、ヒトIgG1定常領域をヒトIgG2に置き換えたもの(N5KG2)を作製し、IgG2の331番目ProをSerに変換した変異を作製した。IgG2定常領域のcDNAクローニングは、KM341−1−19ハイブリドーマを遠心によって集め,TRIZOL(Gibco BRL)を添加し、取扱説明書にしたがって、TotalRNAを抽出した。抗体cDNAの可変領域のクローニングは、CLONTECH社のSMART RACE cDNA amplification Kitを用い、添付の説明書にしたがって行った。5μgのtotal RNAを鋳型として、1stStrand cDNAを作製した。Primerの配列は、tnIgG3Nhe:atatGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGC(配列番号2)G、tnIgG2Bam:atatggatccTCATTTACCCGGAGACAGGGAGAGGCTC(配列番号3)を使い、ZtaqPCR kit(Takara)を用いて98℃1秒、55℃30秒、72℃1分x30cycleでPCRを行い、遺伝子を増幅した。反応後、QIAGEN PCR purification kitで精製し、NheI,BamHIでdigestionし、N5KG1に組み込み配列の確認をおこなった。このベクターをN5KG2とした。 N5KG2Ser(331番目をSerに換えたもの)は、N5KG2を鋳型として、プライマーIgG3Nhe:atatGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCG(配列番号4)、G2Ser2:GTTTTCTCGATGGAGGCTGGGAGGCC(配列番号5)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG2を鋳型として、プライマーIgG2Bam:atatggatccTCATTTACCCGGAGACAGGGAGAGGCTC(配列番号6)G2Ser1:GGCCTCCCAGCCTCCATCGAGAAAAC(配列番号7)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kitで精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーIgG3Nhe、IgG2Bamを加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた(N5KG2Ser)。BglII、NheIで消化した抗体可変領域の配列を含む断片をN5KG2serベクターに組み込んだ。 上述の方法で発現精製した抗体を用いて、Ramos細胞に対する結合能(図3A)、アゴニスティック活性(図3B)の評価を実施した。P331Sの変異の導入によって、活性の変動は見られなかった。 抗CD40アゴニスティック抗体331ser変異体のCDC活性の測定 上述の方法によりCDC活性を測定した。ウサギ血清由来補体を使用し、Ramos細胞を標的細胞として使用した。その結果、KM341−1−19抗体は1μg/mlの抗体濃度ではIgG2に比べIgG2serが顕著にCDC活性が減少していることがわかった(図4A)。一方ヒト補体を使用した場合は、変化は見られなかった(図4B)。 アゴニスト抗CD40抗体定常領域変換体の作製と活性側定 WO02/088186に記載の抗CD40抗体のうち、最も強いアゴニスティック活性を示すもの2つ(KM341−1−19抗体、2105抗体)は、IgG2サブクラスであった。IgG2サブクラスがCD40の活性化に重要であるかどうか調べるため、IgG1、IgG3、IgG4に抗体定常領域を変換した組換え蛋白質を作製し、抗原への結合能と、Ramos細胞におけるCD95発現促進活性は、実施例実施例4、6に従って実施した。IgG1型の発現に関しては、N5KG1をIgG2、IgG3の発現に関しては、N5KG1の定常領域を、それぞれIgG2、IgG3に置きかえた発現ベクター、N5KG2、N5KG3を用いた。IgG3定常領域のcDNAクローニングはIgG2のクローニング方法を一部改変し、IgG3特異的プライマーを使用することで実施した。IgG4の発現にはN5KG4PE(IDEC Pharmaceuticals)を用いた。 抗体蛋白質の発現は、実施例1にしたがって実施した。ヒトCD40を発現しているRamos細胞への結合活性は、KM341−1−19抗体、2105抗体ともIgG2からIgG1、3、4へ変換したことによる影響は見られなかったが(図5A−1、図5A−2)、Ramos細胞におけるCD95の発現促進活性は、1/10以上低下していることがわかった(図5B−1、図5B−2)。このことは、2105抗体、KM341−1−19抗体の強いアゴニスティック活性は、抗体の結合領域を決定する可変領域の構造以外に、抗体の定常領域の構造も重要であることが示された。そこで、IgG2の定常領域内のどの領域がアゴニスティック活性に重要であるかどうか調べるために、IgG2とIgG4の構造を混ぜたdomain swap mutantを作製し、活性を測定した。以下に述べる通り、domain swap mutantの作製においては、ヒンジ領域の置換を行うが、この場合の“ヒンジ領域”はOle H Brekke et.al.Immunology Today 1995,16,85−90に記載の、アッパーヒンジ(Kabat EU code 216から)、ミドルヒンジ(Kabat EU code 226から)およびロウアーヒンジ(Kabat EU code 231から)を併せたものである。domain swap mutantはKM341−1−19抗体、2105抗体のそれぞれに対して、IgG2/4(CH1、ヒンジ領域はIgG2、それ以降はIgG4)、IgG4/2/4(ヒンジ領域は、IgG2、それ以外はIgG4)、IgG2/4/4(CH1はIgG2、それ以外はIgG4)、IgG4/2/2(CH1はIgG4、それ以外はIgG2)の4種類ずつ作製した。 IgG2/4抗体発現のためのベクターN5KG2/4は、Ztaq PCR kit(Takara)を用いて作製した。N5KG2を鋳型として、プライマーIgG3Bam:atatggatccTCATTTACCCGGAGACAGGGAGAGGC(配列番号8)、24Chi4:AGGGGTCCGGGAGATCATGAGAGTGTCCTT(配列番号9)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG4(IDEC Pharmaceuticals)を鋳型として、プライマー24Chi3:AAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCT(配列番号10)、linkH2:tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号11)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kitで精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーIgG3Bam、linkH2:tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号12)を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。 IgG4/2/4発現のためのベクターN5KG4/2/4は、N5KG4を鋳型として、linkH:gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号13)、G2Hin3:TTTGCGCTCAACTGTCTTGTCCACCTTGGTGTTGCTGGG(配列番号14)、とlinkH2:tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号15)、G2Hin4:ACAGTTGAGCGCAAATGTTGTGTCGAGTGCCCACCG(配列番号16)を用いてそれぞれ、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kitで精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、これを鋳型として98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、linkH、linkH2プライマーを加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。 IgG2/4/4発現のためのベクターN5KG2/4/4は、N5KG2を鋳型として、プライマーlinkH:gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号17)、G4CH1−2:GGTGTTGCTGGGCTTGTGATCTACGTTGCAG(配列番号18)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG4を鋳型として、プライマーG4CH1−1:CTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACC(配列番号19)、linkH2:tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号20)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kitで精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーlinkH、linkH2を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。 IgG4/2/2発現のためのベクターN5KG4/2/2は、N5KG4を鋳型として、プライマーlinkH:gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号21)、G4CH1−2:GGTGTTGCTGGGCTTGTGATCTACGTTGCAG(配列番号22)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG2を鋳型として、プライマーG4CH1−1:CTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACC(配列番号23)、linkH2:tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号24)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kitで精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーlinkH、linkH2を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。 KM341−1−19抗体、2105抗体に関してそれぞれ4種のdomain swap mutantの結合活性を調べた結果では、オリジナルのIgG2との違いは認められなかったが(図6A−1、図6A−2)、アゴニスティック活性に関しては、KM341−1−19抗体、2105抗体の両者ともIgG2/4/4のみが活性が著しく低下していた(図6B−1、図6B−2)。この結果からは、IgG2のヒンジ領域がアゴニスティック活性に重要であることが解った。 さらにヒンジ領域のなかで、どの配列が重要であるか調べた。ヒンジ領域はアッパーヒンジ、ミドルヒンジ、ロウアーヒンジの3つの部位に分けられるが(Ole H Brekke et.al.Immunology Today 1995,16,85−90)、そのうちそれぞれ、IgG2に特異的は配列をIgG4のものに置換した。アッパーヒンジ(Kabat EU code 216から)、ミドルヒンジ(Kabat EU code 226から)、ロウアーヒンジ(Kabat EU code 231から)に変異を導入した抗体をIgG2UH4、IgG2MH4、IgG2LH4とし、それぞれの発現ベクターは、N5KG2UH4、N5KG2MH4、N5KG2LH4とした。なお、Kabat et.al.,Sequences of proteins of immunological interest,1991 Fifth editionに基づけば、“ヒンジ”はEUインデックス216から230と定義されている。 N5KG2UH4は、N5KG2を鋳型として、プライマーlinkH:gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号25)、UH4−2:CACAACATTTggaCTCAACTcTCTTGTCCACC(配列番号26)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG2を鋳型として、プライマーUH4−1:GGTGGACAAGAgAGTTGAGtccAAATGTTGTG(配列番号27)、linkH2:tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号28)を用いて、98℃l秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kitで精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーlinkH、linkH2を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。 N5KG2MH4は、N5KG2を鋳型として、プライマーlinkH:gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号29)、UM4−2:GGCACGGTGGGCAtgggggaccataTTTGCGCTC(配列番号30)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG2を鋳型として、プライマーUM4−1:GAGCGCAAAtatggtcccccaTGCCCACCGTGCC(配列番号31)、linkH2:tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号32)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kitで精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーlinkH、linkH2を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。 N5KG2LH4は、N5KG2を鋳型として、プライマーlinkH:gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号33)、UL4−2:GAAGACTGACGGTCCccccaggaactcTGGTGCTGGGCA(配列番号34)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG2を鋳型として、プライマーUL4−1:TGCCCAGCACCAgagttcctggggGGACCGTCAGTCTTC(配列番号35)、linkH2:tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号36)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kitで精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーlinkH、linkH2を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。 KM341−1−19抗体、2105抗体に関して、それぞれ3種類のdomain swap mutantの抗原にたいする結合活性を調べたが、同等であった(図6A−1、図6A−2)。一方Ramos細胞に対するアゴニスティック活性に関してはIgG2UH4、IgG2MH4で著しく低下していた(図6B−1、図6B−2)。以上のことから、抗CD40抗体KM341−1−19、2105のIgG2サブクラス依存のアゴニスティック活性は、ヒンジ領域のうち、アッパーヒンジ、ミドルヒンジの構造が重要であることがわかった。 IgG2サブクラスがアゴニスティック活性に重要であることが判明したため、IgG2以外のサブクラスの抗体をIgG2サブクラスに変換してアゴニスティック活性が増強するかどうか調べた。数個のクローンについて調べたうち、F76は、IgG1からIgG2にサブクラスを変換することによって、アゴニスティック活性を増強することが出来た(図7A、B)。 抗CD40アンタゴニスト抗体変異体の作製 もともとのサブクラスはIgG1である、WO02/088186に記載の4D11抗体遺伝子の重鎖、軽鎖を含むDNA断片を、BglII、NheIで消化、精製した後、N5KG4PE、N5KG4P、N5KG4ベクター(IDEC Pharmaceuticals)につなぎ換えた。N5KG4PEはIgG4定常領域に、S228P及びL235E、N5KG4PはS228Pの点変異をそれぞれ含む。抗体蛋白質の発現、精製は上述の方法によって実施した。精製抗体はRamos細胞への結合を指標に、上述の方法に従って実施した。IgG1、IgG4、IgG4P、IgG4PEのRamos細胞への結合活性の変化は見られなかった(図8A)。また上述の方法によってアンタゴニスティック活性の比較を行ったが、IgG1とIgG4各種変異体との間には、アンタゴニスティック活性に関しては、差は見出されなかった(図8B)。 抗CD40アンタゴニスト抗体変異体のADCC活性、CDC活性評価 抗CD40変異抗体のADCC活性、CDC活性は、上述の方法によって実施した。 ヒトMNCをエフェクター細胞として、CD40発現Daudi細胞を標的として使用した場合、4D11抗体のもとのサブクラスであるIgG1と比較して、IgG4、IgG4PEの2つの変異体はそれぞれADCC活性の著しい低下が観察された(図9)。 CDC活性に関しては、IgG1とIgG4Pの活性の比較を、Daudi細胞を標的として測定した。IgG1に比べて、IgG4PはCDC活性が顕著に低下していることがわかった(図10)。 抗CD40アンタゴニスティック抗体のB細胞に及ぼす影響 マウス内因性CD40破壊についてホモ接合体の遺伝子背景を有し、かつ、ヒトCD40遺伝子のトランスジーンを有しているマウス(Yasui.et al.Int.Immunol.2002 Vol14:319)に4D11抗体のIgG1、IgG4PおよびIgG4PEをそれぞれ100μg尾静脈内投与した。投与24時間後に眼窩静脈叢より採血し、0.16mol/Lの塩化アンモニウムにて溶血後、FITC標識抗B220抗体を用い、FACSを用いて解析した。図11に結果を示す。図中縦軸は全リンパ球中のB細胞の割合を示す。B細胞割合の減弱の程度はIgG1>IgG4P>IgG4PEの順に大きかった。また、投与24時間後に脾臓を摘出し、スライドガラスですりつぶすことにより細胞浮遊液を調製した。細胞浮遊液を溶血後、PE標識抗B220抗体とFITC標識抗CD23、CD86またはCD95抗体を用い、FACSを用いて解析した。図12A、B、Cに結果を示す。図中縦軸は全リンパ球中の各表面マーカーを発現しているB細胞の割合を示す。4D11G1はいずれのマーカーも市販抗体であるマウス抗ヒトCD40アゴニスティック抗体5C3(ファーミンジェン)と同等の発現上昇がみられた。IgG4PEはIgG1およびIgG4Pに比して各活性化表面マーカーの発現上昇の程度は低かった。 抗CD40アンタゴニスティック抗体による抗原特異的抗体産生抑制作用およびB細胞数の変化 マウス内因性CD40破壊についてホモ接合体の遺伝子背景を有し、かつ、ヒトCD40遺伝子のトランスジーンを有しているマウス(Yasui.et al.Int.Immunol.2002 Vol14:319)に4−hydroxy−3−nitrophenylacetyl−chiken γ−globulin conjugates(NP−CGG:大阪大学微生物病研究所 菊谷 仁教授より分与)とアラム(Alum:水酸化アルミニウムゲル)の複合体を100μg(NP−CGG量として)腹腔内注射することにより感作した。各抗体は抗原感作直前に50または100μgの量を尾静脈内投与した。陰性対照として抗ヒトアルブミンヒトIgG4PE抗体100μgを投与した。感作7および14日後、眼窩静脈叢より採血し、血清中のNP特異的IgG1およびIgM抗体量をELISA法により測定した。ELISA法はNPを結合したウシ血清アルブミン(NP−BSA:2.5μg/ml)50μl/ウェルを、ELISA用96穴マイクロプレート(Maxisorp,Nunc社製)の各ウェルに加え、4℃でインキュベートし、NP−BSAを吸着させた。次いで、上清を捨て、各ウェルにブロッキキング試薬(スーパーブロック、Pierce社製)を加え室温でインキュベートしブロッキングした後、各ウェルを0.1%Tween20含有リン酸緩衝液(PBS−T)で3回洗浄した。次いで、各ウェルに10%ブロックエース含有PBS−Tで希釈した各血清(50μl/ウェル)を加え、37℃で2時間インキュベートし反応させた。マイクロプレートをPBS−Tで3回洗浄後、アルカリフォスファターゼで標識されたヤギ抗マウスIgG1抗体またはIgM抗体(コスモバイオ、1070−04または1020−04)を10%ブロックエース含有PBS−Tで1,000倍に希釈した溶液(50μg/ウェル)を、各ウェルに加え、37℃で2時間インキュベートした。次いで、マイクロプレートをPBS−Tで3回洗浄後、発色基質液(50μl/ウェル、Sigma104、phosphatase substrate)を各ウェルに加え、波長405nmでの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。その結果を図13A、Bに示す。図中縦軸はNP−CGGをC57BL/6マウスに2回注射した後採血してプールした血清について、IgG1の場合は10,000倍希釈したものを、IgM抗体の場合は100倍したものをそれぞれ1ユニットとして換算した値を示す。4D11抗体および281のIgG4PまたはIgG4PE抗体はNP特異的なIgG1およびIgM抗体産生を同等に強く抑制した。 抗体産生抑制作用の検討に用いたマウスの末梢血中および脾臓中のB細胞数の変化を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を図14A、Bに示す。4D11および281のIgG4P抗体はIgG4PE抗体に比して末梢血中B細胞割合の減少がより顕著であった。また、抗原感作14日後に摘出した脾臓中B細胞の割合についてもIgG4PE抗体100μgの投与では変化がみられなかったのに対し、IgG4Pの投与では減少または減少傾向がみられた。 抗CD40アンタゴニスティック抗体のカニクイザルにおける作用 4D11抗体のIgG4PまたはIgG4PEの30mg/kgをカクニイザルの前腕橈側皮静脈内に投与し、一定時間後に大腿静脈より採血した。末梢血リンパ球サブセット解析は各細胞浮遊液をFITC標識抗CD3抗体、PE標識抗CD20抗体およびAPC標識抗CD45抗体を用い、FACSを用いて陽性細胞比率の計測を行い、CD45陽性細胞における比率を算出した。その結果を図15に示す。図中縦軸は抗体投与前のCD20陽性細胞比率に対する各時間でのCD20陽性細胞比率の割合を示す。IgG4P抗体投与個体では抗体投与1〜7日後の間にCD20陽性細胞は約40%減少したが、IgG4PE抗体投与個体では4日後に約20%減少するのみであった。 血清中のIL12濃度はELISA法にて測定した。大腿静脈より採取した血液を室温で20〜60分間静置後、室温で3000rpm、15分間遠心分離して得られた血清をmonkey IL12 ELISA kit(Biosource社)を用いて測定した。その結果を図16に示す。IgG4PE抗体はいずれの採血ポイントにおいてもIL12の産生増加は認められなかったが、IgG4P抗体は4日目をピークにIL12産生がみられた。 抗CD40アンタゴニスティック抗体のカニクイザル遅延型過敏症モデルにおける作用 テタヌス毒素(Tetanus toxoid:TTx)(10Lf/ml;デンカ生研株式会社)を雄カニクイザル9匹に皮内及び筋肉内に感作し、TTxに対する遅延型過敏症を誘発させるとともに、感作開始の10分前に0.1及び10mg/kg 4D11G4PE抗体の静脈内投与を各3匹に3回(1週間毎に1回)実施し、4D11G4PEの遅延型過敏症に対する作用を検討した。ケタミンの筋肉内投与による麻酔下で、感作は背部皮内(50μL/site×12部位)及び大腿部筋肉内(0.6mL/body)に、惹起は感作の21日後に胸部皮内(10μL/site、3ヵ所ずつ:0〜10Lf/ml)にTTxを投与した。惹起後24及び48時間に投与部位の皮膚反応を観察し、Draizeの皮膚障害判定基準に従い評価した。なお、TTx各濃度3ヵ所における結果は、それぞれを平均したものを用いた。その結果を図17に示す。4D11G4PE抗体の投与により、24及び48時間後にみられる遅延型過敏症反応は明らかに抑制された。 TTx特異的IgGおよびIgM抗体価に及ぼす影響を検討した。経時的に大腿静脈より採取した血液を室温で20〜60分間静置後、室温で3000rpm、15分間遠心分離して得られた血清中の抗体価をELISA法を用いて測定した。ELISA法はTTx(0.5Lf/ml)100μl/ウェルを、ELISA用96穴マイクロプレート(Maxisorp,Nunc社製)の各ウェルに加え、4℃で一晩インキュベートし、TTxを吸着させた。次いで、上清を捨て、各ウェルにブロッキング試薬(0.5%BSA含有リン酸緩衝液)を加え室温でインキュベートしブロッキングした後、各ウェルを0.05%Tween20含有リン酸緩衝液(PBS−T)で3回洗浄した。次いで、各ウェルに0.5%BSA含有PBS−Tで希釈した各血清(100〜819200倍希釈、希釈倍率=2;100μl/ウェル)を加え、室温で2時間インキュベートし反応させた。マイクロプレートをPBS−Tで3回洗浄後、ペルオキシダーゼで標識されたヤギ抗サルIgG抗体またはIgM抗体(Nordic Immunology)を0.5%BSA含有PBS−Tで3,000倍に希釈した溶液(100μg/ウェル)を、各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。次いで、マイクロプレートをPBS−Tで3回洗浄後、発色基質液(100μl/ウェル、0−フェニレンジアミン塩酸塩+過酸化水素水)を各ウェルに加え、波長492nmでの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。抗TTx抗体価は吸光度が0.1以上となる最大希釈倍率とし、100倍希釈においても吸光度が0.1に達しない場合は0とした。その結果を図18及び19に示す。4D11G4PE 1mg/kgの投与により、TTx特異的IgGおよびIgM抗体価は約1/10に抑制された。また、10mg/kgの投与ではいずれの採血ポイントでも抗体価は検出感度以下であった。 抗CD40アンタゴニスティック抗体の血小板血栓形成に与える影響 正常ヒトより採取した血液を4等分し(各6ml)、それぞれ100μg/mlの濃度となるようにコントロールヒトIgG4PE,コントロールマウスIgG2a,ヒト抗ヒトCD40 IgG4PE(4D11)、マウス抗ヒトCD154 IgG2a(5C8)を加え37℃で10分間インキュベートした。Flat perfusion chamber(Glycotech社)およびコラーゲンコートペトリデッシュを付属の説明書に従い組み立て、そのチャンバーに各種抗体で処理した血液を1500/sのずり応力が加わる速度で7分間流した。その後4%パラホルムアルデヒドリン酸緩衝液を同じく1500/sのずり応力が加わる速度で10分間流し、ペトリデッシュ上に形成された血小板凝集塊を固定し、さらに血小板特異的PE標識抗CD41a抗体で染色したうえ蛍光顕微鏡で観察した。その結果を図20A、Bに示す。ヒト抗ヒトCD40 IgG4PE(4D11)で処理した血液は、コントロール抗体で処理した血液と同様に、コラーゲンコートペトリディッシュ上に血小板凝集塊を形成したが、マウス抗ヒトCD154 IgG2aで処理した血液は血小板凝集塊を形成しなかった。 抗CD40アンタゴニスティック抗体の安定性の評価 4D11抗体の定常領域改変抗体の安定性を比較検討した。方法としてはG4P、G4PE、G2SerおよびG4/2/4をHEK293細胞で一過性発現することにより得られた培養上清をProtein Aカラム(アマシャムバイオサイエンス社)にチャージし0.1Mクエン酸バッファー(pH2.7)により溶出した後37℃で1分間および10分間インキュベートした。その後50mMリン酸バッファー(pH7.0)により中和した。得られた抗体溶液のオリゴマー含有率をゲルろ過カラム(東ソー社)を用いて測定した。その結果インキュベート時間に応じてオリゴマー含有率が増加し、G4/2/4>G4PE>G2Ser>G4Pの順にオリゴマーが生成しやすいことが判明した(図21)。 抗CD40アンタゴニスティック抗体による皮膚移植片拒絶抑制作用 マウス内因性CD40破壊についてホモ接合体の遺伝子背景を有し、かつ、ヒトCD40遺伝子のトランスジーンを有しているC57BL/6背景マウス側胸背部にDBA/2マウス尾部より採取した移植片を植え込み絆創膏で7日間固定した。被験物質4D11G4PE 100μgまたはvehicleは皮膚移植当日から0、2、4、7、9、11、14日後にそれぞれ尾静脈内投与した。NK細胞による移植片拒絶を抑えるため、手術の3日前及び術後1、4、9日後にそれぞれ抗アシアロGM1抗体100μgを全頭に腹腔内投与した。図22に結果を示す。4D11G4PE投与群において、vehicle投与群と比較して有意な移植片拒絶遅延が観察された。 ヒト腫瘍細胞株におけるCD40の発現解析 バーキットリンフォーマ細胞株Ramos、膀胱癌細胞株T24(ATCC、HTB−4)、膵臓癌細胞株Hs 766T(ATCC、HTB−134)およびCapan−2(ATCC、HTB−80)におけるCD40の発現は、341G2Serを用いたFACS解析により確認した。 各細胞株をT24、Hs 766T、Capan−2については−トリプシン消化後、Ramosについてはそのまま回収し、PBSで洗浄後、341G2Ser 1μg/mlを含む染色用緩衝液に再懸濁した。染色用バッファーは、PBSに0.5mM EDTA、0.05%アジ化ナトリウム、5%非動化済みウシ血清を添加して作成した。4℃で15分間インキュベーション後、細胞を染色用バッファーで2回洗浄し、PE結合ヤギ抗ヒトIgG(γ)(Southern Biotechnology Associates,Inc)を染色用バッファーで1:250に希釈した溶液に再懸濁した。4℃で15分間インキュベーション後、細胞を染色用バッファーで2回洗浄し、FACSCalibur(BDバイオサイエンス社製)で分析した。陰性コントロールには、等量のヒト抗2,4ジニトロフェノール(DNP)抗体を用いた。データ解析ソフトはCellquest(BDバイオサイエンス社製)で行い、平均蛍光強度を算出した。 その結果、Ramos、T24、Hs 766T、Capan−2では、341G2Serで染色した場合の平均蛍光強度が陰性コントロールと比較して明らかに高く、CD40の発現が確認された。 ヒト腫瘍細胞株に対する抗CD40アゴニスティック抗体の効果 Ramosは2.5×103個、T24は2.5×102個、Hs 766TおよびCapan−2は5×103個を培地に懸濁し、平底96ウェルプレート(FALCON社製)中で全体容量100μLで、341G2Ser 1ng/ml〜1000ng/mlの濃度とともに37℃、5%CO2存在下で、RamosおよびHs 766Tは66時間、Capan−2は90時間、T24は114時間培養した。10μL(3.7MBq/mL)の3Hラベルされたチミジン(アマシャムバイオサイエンス社製)を添加し、37℃、5%CO2存在下で6時間培養した。Ramosは、96Micro cell harvester(SKATRON社製)を用いて、Printed Filtermat A(パーキンエルマー社製)に細胞を回収し、サンプルバッグ(パーキンエルマー社製)でカバーし、ベータプレートシンチ(パーキンエルマー社製)12mLを添加し、液体シンチレーションカウンター(ファルマシア1205ベータプレート:ファルマシア社製)でβ線量を測定した。Hs 766T、T24およびCapan−2は、ハーベスター(パーキンエルマー社製)を用いてユニフィルター(パーキンエルマー社製)に細胞を回収し、裏に専用のシールを貼り、マイクロシンチ20(パーキンエルマー社製)を20μL/well添加し、シンチレーションカウンター(トップカウント:パッカード社製)でβ線量を測定した。データは、3つの独立した実験で得られた3重反復測定値の平均を、非処理対照の値で除して細胞生存率(%)として表した。 その結果、全ての細胞株で341G2Serの濃度依存的に細胞生存率が低下した(表1)。341G2Ser 100ng/ml添加時の細胞生存率は、Ramosにおいては58%、T24においては22%、Hs 766Tにおいては15%、Capan−2においては77%であり、341G2SerがRamos、T24、Hs 766TおよびCapan−2の細胞増殖を抑制する活性をもつことが明らかとなった。 マウス担癌モデルに対する抗CD40アゴニスティック抗体の効果(1)Ramos細胞 6週齢の雌性Balb/cヌードマウス(日本クレア(株)社より購入)に、3Gyの放射線を照射し、背部皮下にRamosを2×107個/マウス個体で移植した。移植16日後に、生着した腫瘍の大きさを測定し、腫瘍の大きさが50〜170mm3の担癌マウスを5匹1群として群分けした。担癌マウスの静脈内に、341G2Ser 100μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清を含むPBSに溶解したもの)を16日目に1回投与し、47日目まで腫瘍大きさを測定した。陰性コントロールとしてヒト抗ヒト血清アルブミン(HAS)抗体を使用した。(2)T24細胞 ヌードマウス背部皮下にて継代を3回繰り返したT24細胞塊を摘出し、6週齢の雌性Balb/cヌードマウス(日本クレア(株)社より購入)の背部皮下に移植した。移植する腫瘍細胞塊は3mm四方程度が適当である。移植10日後に、生着した腫瘍の大きさを測定し、腫瘍の大きさが80〜200mm3の担癌マウスを5匹1群として群分けした。担癌マウスの静脈内に、341G2Ser 100μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清を含むPBSに溶解したもの)を10日目に1回投与し、29日目まで腫瘍大きさを測定した。陰性コントロールとして、等量のヒト抗DNP抗体を使用した。(3)Hs 766T細胞 8週齢の雌性Balb/cヌードマウス(日本クレア(株)社より購入)の背部皮下に、Hs 766T 7×106個/マウス個体で移植した。移植16日後に、生着した腫瘍の大きさを測定し、腫瘍の大きさが50〜140mm3の担癌マウスを5匹1群として群分けした。担癌マウスの静脈内に、341G2Ser 100μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清を含むPBSに溶解したもの)を16日目に1回投与し、32日目まで腫瘍大きさを測定した。陰性コントロールとして、等量のヒト抗DNP抗体を使用した。(4)Capan−2細胞 6週齢の雌性Balb/cヌードマウス(日本クレア(株)社より購入)の背部皮下に、Capan−2 2×106個/マウス個体で移植した。移植13日後に、生着した腫瘍の大きさを測定し、腫瘍の大きさが30〜130mm3の担癌マウスを5匹1群として群分けした。担癌マウスの静脈内に、341G2Ser 10または100μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清を含むPBSに溶解したもの)を13日目から週2回投与し、34日目まで腫瘍大きさを測定した。陰性コントロールとして、ヒトポリクローナル抗体(hIgG)(シグマ社製)を使用した。 腫瘍増殖抑制率(TGIR)は以下の式で計算した。100−〔{(341G2Ser投与群の最終測定日の平均腫瘍体積 − 341G2Ser投与群の抗体投与開始日の平均腫瘍体積)/ (陰性コントロール投与群の最終測定日の平均腫瘍体積 − 陰性コントロール投与群の抗体投与開始日の平均腫瘍体積)}×100〕 その結果、T24、Hs766TおよびCapan−2担癌マウスではTGIRが100%を超え、腫瘍体積の退縮が観察された。一方、Ramos担癌マウスでもTGIR 73.4%であり、腫瘍体積の増大が大幅に抑制された(表2)。図23から26にそれぞれ、Ramos細胞、T24細胞、Hs 766T細胞およびCapan−2細胞を移植した担癌マウスに341G2Serを投与した場合の細胞移植後の腫瘍体積の変化を示す。抑制率は、各細胞株とも測定最終日における値を示す。 実施例に示すように、定常領域に変異を導入した本発明の抗CD40抗体およびサブクラスの一部の構造を他のサブクラスのものに置換した抗CD40抗体は、その活性を保持しつつ、ADCC活性およびCDC活性が低減されている。従って、本発明の抗体を治療用抗体として被験体に投与した場合、CD40発現細胞に対する細胞障害活性が弱く、安全に用いることができる。 本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。 配列番号2から36:合成DNA配列番号49から130:合成ペプチド 配列番号140における27番目のQから474番目のKで表されるアミノ酸配列からなる重鎖、および配列番号142における23番目のAから235番目のCで表されるアミノ酸配列からなる軽鎖、からなるモノクローナル抗体。 配列番号139で表されるポリヌクレオチド。 配列番号139における79番目のCから1425番目のAで表されるポリヌクレオチド。 配列番号139で表されるポリヌクレオチド、および配列番号141で表されるポリヌクレオチドを有する発現ベクター。 請求項4に記載の発現ベクターを含む宿主。 請求項5に記載の宿主を培養液中で培養し、該培養物及び/または該宿主からモノクローナル抗体を取得する工程を含む、モノクローナル抗体を製造する方法。 請求項1に記載のモノクローナル抗体を有効成分として含む医薬組成物。 移植拒絶の予防または治療に用いられる、請求項7に記載の医薬組成物。配列表


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