タイトル: | 特許公報(B2)_アデニン誘導体の製造方法 |
出願番号: | 2005515778 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07D 473/34 |
高瀬 満 大口 哲史 畑野 正美 JP 4440891 特許公報(B2) 20100115 2005515778 20041117 アデニン誘導体の製造方法 日本曹達株式会社 000004307 志賀 正武 100064908 高橋 詔男 100108578 渡邊 隆 100089037 青山 正和 100101465 鈴木 三義 100094400 西 和哉 100107836 村山 靖彦 100108453 高瀬 満 大口 哲史 畑野 正美 JP 2003394317 20031125 20100324 C07D 473/34 20060101AFI20100304BHJP JPC07D473/34 311 C07D 473/34 CASREACT/CAPLUS/REGISTRY(STN) 英国特許出願公開第1134974(GB,A) 特開2002−155082(JP,A) 特開昭54−144395(JP,A) 特表2001−520655(JP,A) 6 JP2004017435 20041117 WO2005051952 20050609 9 20060518 鳥居 福代 本発明は、医薬・農薬の製造中間体として有用なアデニン誘導体の製造方法に関する。 下記に示す式(II)で表される化合物(以下、「アデニン誘導体」という。)は、核酸や医薬、農薬等の製造中間体として有用である。(式中、R1は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を示す。) 従来、アデニン誘導体の製造方法としては、例えば、4(5)−アミノ−5(4)−シアノイミダゾール誘導体とホルムアミジンとを反応させる方法が知られている(J.Am.Chem.Soc.,88,3829(1966))。しかしこの方法では、用いるホルムアミジンの塩が高価であることや、合成が困難である(特開平3−141247号公報)といった問題があった。 また別の方法として、特開2002−155082号公報には、4(5)−アミノ−5(4)−シアノイミダゾール誘導体を、アミド化合物及びハロゲン化剤と反応させる方法が提案されている。しかしながら、この文献記載の方法は、例えば、ハロゲン化剤としてオキシ塩化リン等を使用した場合、後処理が煩雑となるため、工業的な製造方法として好ましいものではなかった。 本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、式(II)で表されるアデニン誘導体を高収率かつ工業的に有利に製造する方法を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、4(5)−アミノ−5(4)−シアノイミダゾール誘導体を、式:R2C(=O)NH2(式中、R2は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)で表されるアミド化合物及びアンモニウ厶塩と反応させることにより、核酸や医薬、農薬等の製造中間体として有用なアデニン誘導体を、高収率かつ工業的に有利に製造することができるということを見出し、本発明を完成するに至った。 かくして本発明によれば、式(I)(式中、R1は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を示す。)で表される4(5)−アミノ−5(4)−シアノイミダゾール誘導体を、式:R2C(=O)NH2(式中、R2は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)で表されるアミド化合物及びアンモニウム塩と反応させることを特徴とする、式(II)(式中、R1、R2は前記と同じ意味を示す。)で表されるアデニン誘導体の製造方法が提供される。 本発明の製造方法は、前記式(II)中、置換基R1が、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基である化合物を製造するものであるのが好ましく、R1が、2−ヒドロキシプロピル基である化合物を製造するものであるのがより好ましい。 本発明の製造方法は、前記式:R2C(=O)NH2で表されるアミド化合物として、ホルムアミド又はCF3C(=O)NH2を用いるのが好ましく、ホルムアミドを用いるのが特に好ましい。 また、本発明の製造方法は、前記アンモニウム塩として塩化アンモニウムを用いるのが好ましい。 以下、本発明を詳細に説明する。本発明の前記式(II)で表されるアデニン誘導体の製造方法は、前記式(I)で表される4(5)−アミノ−5(4)−シアノイミダゾール誘導体を、式:R2C(=O)NH2(式中、R2は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)で表されるアミド化合物及びアンモニウ厶塩と反応させることを特徴とする。(1)式(I)で表される4(5)−アミノ−5(4)−シアノイミダゾール誘導体 前記式(I)中、R1は、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。 置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。 前記炭素数1〜20のアルキル基の置換基としては、本発明の製造方法における反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシル基;フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基等の置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。これらの置換基は、アルキル基の任意の位置で置換されていてもよく、また、同一若しくは相異なって複数個が置換していても良い。 これらの中でも、R1としては、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。 ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、1−メチル−2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、1−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシペンチル基、3−ヒドロキシペンチル基、4−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基等のモノヒドロキシ置換の炭素数1〜5のアルキル基; ジヒドロキメチル基、1,2−ジヒドロキジエチル基、2,2−ジヒドロキシエチル基、1,1−ジヒドロキシプロピル基、2,2−ジヒドロキシプロピル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基、1,3−ジヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、1,2−ジヒドロキシブチル基、1,3−ジヒドロキシブチル基、1,4−ジヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシブチル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、1,2−ジヒドロキシペンチル基、2,3−ジヒドロキシペンチル基、3,4−ジヒドロキシペンチル基、4,5−ジヒドロキシペンチル基、2,5−ジヒドロキシペンチル基、3,4−ジヒドロキシペンチル基、1,5−ジヒドロキシペンチル基等のジヒドロキシ置換の炭素数1〜5のアルキル基;等が挙げられる。 これらの中でも、モノヒドロキシル基置換の炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、2−ヒドロキシプロピル基が特に好ましい。 また、R1がヒドロキシル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基の場合、R1が不斉炭素原子を有することがある。この場合、R1は光学活性な基であっても、光学活性ではない基(ラセミ体)であってもよい。本発明の製造方法においては、R1が光学活性な基であっても、立体が保持された状態で反応が進行する。(2)アミド化合物 本発明の製造方法は、式:R2C(=O)NH2で表されるアミド化合物(以下、単に「アミド化合物」と略記する。)を用いる。 式中、R2は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。 前記置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基の炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。また置換基としては、本発明の反応に不活性な基であれば特に制限されないが、収率よく目的物が得られることから、ハロゲン原子などの電子求引性の基が好ましい。 置換基を有していてもよいフェニル基としては、フェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられる。 本発明においては、アミド化合物としては、CF3C(=O)NH2又はホルムアミドを使用するのが好ましく、ホルムアミドを使用するのが特に好ましい。 前記アミド化合物の多くは公知物質であり、公知の方法で製造することができる。また、市販されているものをそのまま使用することもできる。 アミド化合物の使用量は、反応をさせる際に攪拌を容易にできる限りにおいては、制限なく使用できる。攪拌を容易にできるかどうかは、前記式(I)で表される化合物のR1の種類及びアンモニウム塩の種類により異なる。通常量は、式(I)で表される化合物1モルに対し、0.5〜10リットル、好ましくは0.8〜1.2リットルである。(3)アンモニウム塩 本発明の製造方法は、アンモニウム塩を用いる。本発明に用いるアンモニウム塩には特に制限はない。例えば、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩;酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム等の脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩;安息香酸アンモニウム等の芳香族カルボン酸のアンモニウ厶塩;乳酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等のヒドロキシカルボン酸のアンモニウム塩;等が挙げられる。 これらの中でも、本発明においては、前記アンモニウム塩としては、無機酸のアンモニウム塩又は脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩が好ましく、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウムがより好ましく、取り扱い及び入手容易性の点で、塩化アンモニウムが特に好ましい。 アンモニウム塩の使用量は、前記式(I)で表される化合物1モルに対し、通常1〜100倍モル、好ましくは2〜10倍モル、より好ましくは2〜5倍モルである。 本発明は、前記式(I)で表される化合物、アミド化合物及びアンモニウム塩の所定量を適当な反応溶媒に添加し、得られた混合物を所定温度で所定時間攪拌することにより行われる。 用いる反応溶媒としては、不活性なものであれば特に制限はなく、一般的に工業的に使用できるものを使用できる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上の混合溶媒として使用することができる。 反応溶媒の使用量は特に制限はない。反応溶媒の使用量は、前記式(I)で表される化合物1モルに対して、通常、0.1〜10リットル、好ましくは0.3〜2リットルの範囲である。 また、本発明においては、アミド化合物は大過剰にして溶媒として使用することもできる。特にアミド化合物としてホルムアミドを用いる場合には、ホルムアミドを過剰量用い、溶媒を兼ねるのが好ましい。ホルムアミドを用いる場合、その使用量は、前記式(I)で表される化合物1モルに対し、通常、0.5〜10リットル、好ましくは0.8〜1.2リットルである。 反応温度は、通常100〜200℃、好ましくは120〜150℃である。この温度の範囲において、工業的に有利に目的物を製造することができる。反応温度を100℃より低くすると反応速度が遅くなり、200℃より高くすると副生成物が生成し、後処理が困難となる。 反応時間は、通常1時間から数十時間である。この時間の範囲内において反応を完結させることができる。 反応終了後においては、反応液を放冷し、析出した結晶を濾取することにより、目的とする前記式(II)で表されるアデニン誘導体を得ることができる。 また、反応液を塩酸水溶液中に投入して、前記式(II)で表されるアデニン誘導体を塩酸塩の形で得ることもできる。 本発明の製造方法によれば、R1が光学活性な基の場合であっても、その光学活性が維持されるため、光学活性体が要求されることが多い医薬化合物の中間体の製造方法として特に有効である。 次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。 2−(R)−(2−ヒドロキシプロピル)−アデニン(IV)の製造 1−(R)−(2−ヒドロキシプロピル)−5−アミノ−4−シアノイミダゾール(III)3.32g(20mmol)、酢酸アンモニウム7.71g(100mmol)をホルムアミド20mlに加え、この混合液を140℃で7時間攪拌した。 反応終了後、反応液を放冷すると、50℃付近で結晶が析出した。結晶析出後も、室温まで冷却し、1時間熟成させた後、析出した結晶を濾取し、ホルムアミド10ml、次いでメタノール20mlで洗浄した。得られた結晶を乾燥することにより、目的とする式(IV)で表される2−(R)−(2−ヒドロキシプロピル)−アデニン2.16gを得た。収率:55.9% 2−(S)−(2−ヒドロキシプロピル)−アデニン(VI)の製造例 1−(S)−(2−ヒドロキシプロピル)−5−アミノ−4−シアノイミダゾール(V)3.32g(20mmol)、酢酸アンモニウム7.71g(100mmol)をホルムアミド20mlに加え、この混合液を140℃で7時間攪拌した。 反応終了後、反応液を放冷すると、50℃付近で結晶が析出し始めた。室温まで冷却後、1時間熟成した後に結晶を濾取し、ホルムアミド10ml、次いでメタノール20mlで洗浄した。得られた結晶を乾燥することにより、目的とする式(VI)で表される2−(S)−(2−ヒドロキシプロピル)−アデニン2.13gを得た。収率:55.1% 塩化アンモニウムを用いることによるアデニン(VIII)の製造例5−アミノ−4−シアノイミダゾール(VII)1.08g(10mmol)、塩化アンモニウム2.67g(50mmol)をホルムアミド10mlに加え、この混合液を140℃で6.5時間攪拌した。 反応終了後、反応液を室温まで放冷した。冷水30mlに35%塩酸4mlを入れた塩酸水溶液中に反応液を加えた。得られた溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量分析した。その結果、反応収率98.2%(1.33g相当)で、目的とする式(VIII)で表されるアデニンが得られたことがわかった。(HPLC分析条件)カラム:Mightysil RP−18GP AQUA 250−4.6(5μm)移動相:4%CH3CN in Buffer(wt) Buffer=3mM 1−オクタンスルホン酸ナトリウム+40M リン酸二水素カリウム+85%リン酸24mMカラム温度:40℃流量:1.0ml/min検出波長:265nm注入量:8μl内部標準物質:カフェイン 本発明の製造方法によれば、農医薬中間体、特に医薬中間体として有用なアデニン誘導体を、温和な条件で高収率かつ工業的に有利に製造することができる。 式(I)(式中、R1は、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を示す。)で表される4(5)−アミノ−5(4)−シアノイミダゾール誘導体を、式:R2C(=O)NH2(式中、R2は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基または置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)で表されるアミド化合物およびアンモニウム塩と反応させることを特徴とする、式(II)(式中、R1、R2は前記と同じ意味を示す。)で表されるアデニン誘導体の製造方法。 前記式(II)中、R1が、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基である化合物を製造するものである請求項1記載のアデニン誘導体の製造方法。 前記式(II)中、R1が、2−ヒドロキシプロピル基である化合物を製造するものである請求項1または2に記載のアデニン誘導体の製造方法。 前記式:R2C(=O)NH2で表されるアミド化合物として、ホルムアミド又はCF3C(=O)NH2を用いる請求項1〜3のいずれかに記載のアデニン誘導体の製造方法。 前記式:R2C(=O)NH2で表されるアミド化合物として、ホルムアミドを用いる請求項1〜4のいずれかに記載のアデニン誘導体の製造方法。 前記アンモニウム塩として、塩化アンモニウムを用いる請求項1〜5のいずれかに記載のアデニン誘導体の製造方法。