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タイトル:特許公報(B2)_粘膜免疫賦活作用を有する乳酸菌
出願番号:2005513338
年次:2006
IPC分類:C12N 1/20,A23L 1/28,A23L 1/30,A23L 2/52,A23C 9/12,A61K 35/74,A61P 37/04


特許情報キャッシュ

山平 聡子 戸羽 正道 岡松 洋 JP 3818319 特許公報(B2) 20060623 2005513338 20040818 粘膜免疫賦活作用を有する乳酸菌 大塚製薬株式会社 000206956 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 中野 睦子 100108084 山平 聡子 戸羽 正道 岡松 洋 JP 2003297570 20030821 20060906 C12N 1/20 20060101AFI20060817BHJP A23L 1/28 20060101ALI20060817BHJP A23L 1/30 20060101ALI20060817BHJP A23L 2/52 20060101ALI20060817BHJP A23C 9/12 20060101ALI20060817BHJP A61K 35/74 20060101ALI20060817BHJP A61P 37/04 20060101ALI20060817BHJP JPC12N1/20 AA23L1/28 ZA23L1/30 ZA23L2/00 FA23C9/12A61K35/74 AA61P37/04 C12N 1/20 A23C 9/12 A23L 1/28 A23L 1/29 A23L 2/52 A61K 35/74 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) CA(STN) JSTPlus(JSTPlus) 特開2002−080364(JP,A) 特開平10−167972(JP,A) 特開2001−064174(JP,A) Milk Science(2002),Vol.51,No.1,p.27-32 Microbial Ecology in Health and Disease(1996),Vol.9,No.6,p.261-269 Food and Agricultural Immunology(1999),Vol.11,No.3,p.259-267 Clin Exp Immunol(1999),Vol.116,No.2,p.283-290 11 FERM BP-10064 FERM BP-10065 JP2004012136 20040818 WO2005019438 20050303 26 20050222 ▲高▼ 美葉子 本発明は、乳酸菌およびこれを含有する組成物、特に粘膜免疫を賦活することができる乳酸菌およびこれを含有する飲食品に関する。 漬け物、キムチ、パン、酒、味噌、醤油などの植物性食品から多くの乳酸菌が検出されている。東京農業大学岡田早苗教授は、植物性食品から検出される乳酸菌を植物性乳酸菌と呼び、発酵乳、チーズなどの動物性食品由来の乳酸菌とは区別することを推奨している(Japanese Journal of Lactic Acid Bacteria,Vol.13,No.1,pp.23−36(2002))。これは、植物性乳酸菌と動物性乳酸菌とが生育環境において相違し、特に植物性乳酸菌は該菌の利用できる糖の種類が多く、抗菌物質耐性、酵素耐性、酸素耐性などの点でより過酷な環境に適応できる能力を有することに基づいている。 本発明者らはこの植物性乳酸菌について研究を重ね、先に、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する一つの乳酸菌(ONC141株)をスターターとして調製した発酵乳が、ヒトにおいて胃腸内細菌叢を改善すること(久米村恵、戸羽正道、曽川芳郎、清水精一、川口信三、「腸内細菌学雑誌」、15,15(2001))、便秘気味の成人の排便回数を増加させること(戸羽正道、久米村恵、宗行哲、曽川芳郎、吉澤久雄、矢島洋一、松田豊、飯島肇、「腸内細菌学雑誌」、15,21(2001))および病原性サルモネラ菌(S.typhimurium)の経口感染に対する宿主の抵抗性を増強すること(IgA産生亢進作用、胃腸管粘膜活性化作用)(池永武、山平聡子、名知英樹、戸羽正道、岡松洋、Milk Science,Vol.51,No.1,pp.27−32(2002))を報告した。 このONC141株(発酵乳)にみられるサルモネラ感染の宿主抵抗性の増強効果は、これまで知られている植物性乳酸菌および動物性乳酸菌のうちでも卓越するものであり、従って、該株は粘膜免疫機能を高め、人の生体防御に対する有用性が高いものと考えられた。 本発明の目的は、本発明者らの先の研究に係る乳酸菌に比してもより一層優れた粘膜免疫賦活作用、生体防御機構の向上作用などを奏し得、プロバイオティックスとして有用な新しい乳酸菌、およびこれを含む最終製品(発酵乳、乳酸菌飲料などの飲食品)を提供することにある。 本発明者らは、上記目的を達成するために、植物性乳酸菌を初めとする多種多数の微生物を新たに入手し、それらについてマウスパイエル板細胞培養系を用いてIgA産生誘導能を調べた。その結果、特に優れたIgA産生誘導能を有する2つの乳酸菌を見いだした。本発明は、この知見を基礎として更に研究を重ねた結果完成されたものである。 本発明は、下記項1−15に記載の要旨の発明を提供する。 項1 ラクトバチルスONRIC b0239(FERM BP−10064)およびラクトバチルスONRIC b0240(FERM BP−10065)からなる群から選択されるいずれかの乳酸菌。 項2 ラクトバチルスONRIC b0239(FERM BP−10064)である項1に記載の乳酸菌。 項3 ラクトバチルスONRIC b0240(FERM BP−10065)である項1に記載の乳酸菌。 項4 項1に記載の乳酸菌と、可食性担体または製剤学的に許容される賦形剤もしくは希釈剤とを含有する、粘膜免疫賦活作用を有する組成物。 項5 飲食品形態である項4に記載の組成物。 項6 発酵乳、乳酸菌飲料、発酵野菜飲料、発酵果実飲料または発酵豆乳飲料である項5に記載の組成物。 項7 粘膜免疫賦活を要求されるヒトに、項1−3のいずれかに記載の乳酸菌を摂取させる、該患者の粘膜免疫賦活方法。 項8 粘膜免疫賦活を要求されるヒトに、項4−6のいずれかに記載の組成物を摂取させる、該患者の粘膜免疫賦活方法。 項9 IgA産生促進処置を要求されるヒトに、項1−3のいずれかに記載の乳酸菌を摂取させる、該患者におけるIgA産生促進方法。 項10 IgA産生促進処置を要求されるヒトに、項4−6のいずれかに記載の組成物を摂取させる、該患者におけるIgA産生促進方法。 項11 ヒトの粘膜免疫賦活のための、項1−3のいずれかに記載の乳酸菌の使用。 項12 ヒトの粘膜免疫賦活のための、項4−6のいずれかに記載の組成物の使用。 項13 ヒトのIgA産生促進のための、項1−3のいずれかに記載の乳酸菌の使用。 項14 ヒトのIgA産生促進のための、項4−6のいずれかに記載の組成物の使用。 項15 項4−6のいずれかに記載の組成物の製造のための、項1−3のいずれかに記載の乳酸菌の使用。 以下、本発明乳酸菌およびこれを含む本発明組成物につき順次説明する。本発明乳酸菌 本発明乳酸菌は、本発明者らが新たに天然物から以下の通り分離・採取(スクリーニング)し且つ寄託したものである。それぞれ、ラクトバチルス(Lactobacillus)ONRIC b0239(FERM BP−10064)およびラクトバチルス(Lactobacillus)ONRIC b0240(FERM BP−10065)と命名される。(1)スクリーニング(1−1)起源微生物 起源微生物としては、ヒト腸内容物、植物性食品および動物性食品から分離され、大塚製薬株式会社大津栄養製品研究所で保存している乳酸菌を利用する。(1−2)スクリーニング方法 目的とする乳酸菌のスクリーニングは、マウスパイエル板細胞培養系を用いて、IgA産生誘導能を指標として実施する。該スクリーニングの各操作などの詳細は、後記実施例2に示すとおりである。(2)スクリーニングされた微生物(2−1)ラクトバチルスONRIC b0239 (a)肉眼的特徴 (a−1)MRS寒天培地 円形からやや不規則、半球形、平滑、乳白色 (a−2)BL寒天培地 円形からやや不規則、半球形、平滑、白褐色 (b)顕微鏡的特徴 桿菌で運動性を持たない。芽胞は形成しない。 (c)生育温度 30〜33℃で良好に発育する。 (d)生理学的、生化学的特徴 グラム染色性:陽性 糖資化性 Glycerol − Erythritol − D−Arabinose − L−Arabinose − Ribose ± D−Xylose ± L−Xylose − Adonitol − β−Methyl−D−Xyloside − Galactose + D−Glucose + D−Fructose + D−Mannose + L−Sorbose − Rhamnose − Dulcitol − Inositol − Mannitol − Sorbitol + a−Methyl−D−Mannoside + a−Methyl−D−Glucoside ± N−Acetyl−Glucosamine + Amygdalin + Arbutin + Esculin + Salicin + Cellobiose + Maltose + Lactose + Melibiose + Saccharose + Trehalose + Inulin − Melezitose − D−Raffinose + Amidon − Glycogen − Xylitol − β−Gentiobiose + D−Turanose − D−Lyxose − D−Tagatose − D−Fucose − L−Fucose − D−Arabitol ± L−Arabitol − Gluconate − 2−Keto−Gluconate − 5−Keto−Gluconate − 以上の諸性質から、バージィーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology)に照らし、本菌株をLactobacillus plantarumに属する菌株と同定し、Lactobacillus ONRIC b0239と命名し、平成15年8月6日に、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6に住所を有する独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(AIST)に寄託番号FERM P−19469として寄託した。該微生物は、現在、国際寄託に移管されており、その国際寄託番号はFERM BP−10064である。(2−2)ラクトバチルスONRIC b0240 (a)肉眼的特徴 (a−1)MRS寒天培地 円形からやや不規則、半球形、平滑、乳白色 (a−2)BL寒天培地 円形からやや不規則、半球形、平滑、白褐色 (b)顕微鏡的特徴 桿菌で運動性を持たない。芽胞は形成しない。 (c)生育温度 30〜33℃で良好に発育する。 (d)生理学的、生化学的特徴 グラム染色性:陽性 糖資化性 Glycerol − Erythritol − D−Arabinose − L−Arabinose − Ribose ± D−Xylose − L−Xylose − Adonitol − β−Methyl−D−Xyloside − Galactose + D−Glucose + D−Fructose + D−Mannose + L−Sorbose − Rhamnose − Dulcitol ± Inositol − Mannitol + Sorbitol + a−Methyl−D−Mannoside − a−Methyl−D−Glucoside − N−Acetyl−Glucosamine + Amygdalin + Arbutin + Esculin + Salicin + Cellobiose + Maltose + Lactose + Melibiose + Saccharose + Trehalose − Inulin − Melezitose − D−Raffinose + Amidon − Glycogen − Xylitol − β−Gentiobiose + D−Turanose − D−Lyxose − D−Tagatose − D−Fucose − L−Fucose − D−Arabitol − L−Arabitol − Gluconate − 2−Keto−Gluconate − 5−Keto−Gluconate − 以上の諸性質から、バージィーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology)に照らし、本菌株をLactobacillus plantarumに属する菌株と同定し、Lactobacillus ONRIC b0240と命名し、平成15年8月6日に、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6に住所を有する独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(AIST)に寄託番号FERM P−19470として寄託した。該微生物は、現在、国際寄託に移管されており、その国際寄託番号はFERM BP−10065である。本発明組成物 本発明組成物は、本発明乳酸菌をその有効成分として含有することを必須の要件とする。該組成物は、通常の飲食品と同様に、適当な可食性担体(食品素材)を利用して、飲食品形態乃至医薬品形態に調製される。また、該組成物は、通常の医薬品と同様に、適当な製剤学的に許容される賦型剤乃至希釈剤を利用して、医薬品形態に調製される。 本発明組成物に特有の粘膜免疫賦活作用およびこれに寄与するIgA産生亢進作用は、次のように考えられている。即ち、まず腸管免疫系を構成するパイエル板のM細胞が管腔にある抗原を取り込む。該抗原は樹状細胞などの抗原提示細胞によってCD4T細胞に提示される。抗原特異的なT細胞の作用により、未熟なB細胞が成熟しつつ粘膜固有層に移動して最終的にIgA抗体産生細胞に分化する。このIgA産生亢進機構に本発明乳酸菌がどのように関与するかについては現在なお明確ではないが、少なくとも本発明乳酸菌の存在によってIgA産生亢進がなされるためにはパイエル板のM細胞が抗原を取り込む必要があることから、本発明乳酸菌はこの抗原としての機能を果たし得るものであると考えられる。この抗原としての機能を果たすという面から、本発明乳酸菌は、特に生菌である必要はない。通常の一般的加熱滅菌操作によって滅菌されたものであってもよい。但し、乳酸菌は、一般にヨーグルトなどとしてよく知られているように、生菌として摂取されることによって整腸作用、腸内細菌叢改善作用などによる健康維持、長寿などに効果があり、本発明乳酸菌も生菌として摂取される場合にはこれらの効果が期待できることから、生菌として本発明組成物中に配合されるのが好ましい。 本発明乳酸菌(生菌)はまた、例えば、各乳酸菌の培養液、培養物の粗精製品乃至精製品、それらの凍結乾燥品などとして本発明組成物中に配合することも可能である。 上記培養液は、例えば代表的には、各菌株に適した培地、例えばMRS培地などを用いて、30℃で16時間程度培養することにより得ることができる。 また菌体は上記培養後に、例えば培養液を3,000回転/分、4℃、10分間遠心分離して集菌することによって得ることができる。これらは常法に従い精製することができる。更に、上記菌体は凍結乾燥することもできる。かくして得られる凍結乾燥菌体も本発明組成物の有効成分として利用することができる。 本発明組成物中には、必要に応じて更に、本発明微生物の維持、増殖などに適した栄養成分の適量を含有させることができる。該栄養成分の具体例としては、各微生物の培養のための培養培地に利用される例えばグルコース、澱粉、蔗糖、乳糖、デキストリン、ソルビトール、フラクトースなどの炭素源、例えば酵母エキス、ペプトンなどの窒素源、ビタミン類、ミネラル類、微量金属元素、その他の栄養成分などの各成分を挙げることができる。ビタミン類としては、例えばビタミンB、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKなどを例示できる。微量金属元素としては、例えば亜鉛、セレンなどを例示できる。その他の栄養成分としては、例えば乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラクチュロース、ラクチトール、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などの各種オリゴ糖を例示できる。これらのオリゴ糖の配合量は、特に限定されるものではないが、通常本発明組成物中に1−3重量%程度となる量範囲から選ばれるのが好ましい。 飲食品形態の本発明組成物の具体例としては、例えば発酵乳、乳酸菌飲料、発酵野菜飲料、発酵果実飲料、発酵豆乳飲料などを挙げることができる。本明細書及び請求の範囲において、「発酵乳」および「乳酸菌飲料」なる用語は、旧厚生省「乳及び乳製品の成分などに関する省令」第二条37「はつ酵乳」および38「乳酸菌飲料」の定義に従うものとする。即ち、「発酵乳」とは、乳または乳製品を乳酸菌または酵母で発酵させた糊状または液状にしたものをいう。従って該発酵乳には飲料形態と共にヨーグルト形態が包含される。また「乳酸菌飲料」とは、乳または乳製品を乳酸菌または酵母で発酵させた糊状または液状にしたものを主原料としてこれを水に薄めた飲料をいう。 発酵野菜飲料、発酵果実飲料および発酵豆乳飲料については後述するとおりである。 本発明組成物の他の飲食品形態の例としては、菌含有マイクロカプセル形態、固形食品形態(顆粒、粉末(発酵乳凍結乾燥粉末などを含む)、錠剤、発泡製剤、ガム、グミ、プディングなど)、前記発酵乳および乳酸菌飲料以外の乳製品などを挙げることができる。 医薬品形態の具体例としては、経口投与用製剤形態(水溶液、乳化液、顆粒、粉末、カプセル、錠剤など)を挙げることができる。 これら飲食品形態及び医薬品形態への調製は、常法に従うことができる。またこれら各形態への調製に当たって用いられる担体は、可食性担体乃至製剤学的に許容される賦形剤、希釈剤などの担体のいずれでもよい。飲食品形態への調製およびその際利用できる可食性担体の詳細は、後記「飲食品形態組成物」の項において記述する。特に食品形態の場合は、口当たりのよい味覚改善効果のある担体が好ましい。医薬品形態及びその調製に利用できる製剤学的に許容される賦形剤及び希釈剤の詳細は、後記「医薬品形態組成物」の項において詳述する。 本発明組成物中への乳酸菌の配合量は、一般には、本発明組成物100g中に、菌数が108〜1011個前後(生菌数である必要はない。但し、死菌数を含む場合は、殺菌前の生菌数として計数するものとする。以下、同じ)となる量から適宜選択することができる。生菌数の測定は、菌培養用の寒天培地に希釈した試料を塗布して37℃下で嫌気培養を行い、生育したコロニー数を計測することにより算出する。この生菌数と濁度とは相関するため、予め生菌数と濁度との相関を求めておくと、生菌数の測定に代えて濁度を測定することによって上記生菌数を計数できる。上記乳酸菌の配合量は、上記量を目安として、調製される本発明組成物の形態、利用する乳酸菌の種類などに応じて適宜変更することができる。 尚、本発明組成物は、乳酸菌(主に生菌)を含有させるものであるため、該組成物の製品化に当たっては、加熱、加圧などの条件の採用はあまり好ましくない。本発明組成物を例えば固形食品形態に調整するに当たっては、乳酸菌を凍結乾燥菌体として直接処方するか、凍結乾燥菌体を適当なコーティング剤で加工して用いるのが好ましい。飲食品形態組成物 本発明組成物のとり得る好ましい飲食品形態としては、代表的には発酵乳、乳酸菌飲料、発酵野菜飲料、発酵果実飲料、発酵豆乳飲料などを挙げることができる。以下、発酵野菜飲料、発酵果実飲料および発酵豆乳飲料につき詳述すれば、これら各形態への調製は、乳酸菌の栄養源を含む適当な発酵用原料物質、例えば野菜類、果実類、豆乳(大豆乳化液)などの液中で、乳酸菌を培養して該原料物質を発酵させることによって行うことができる。発酵用原料物質としての野菜類および果実類には、各種野菜および果実の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁、酵素処理物、それらの希釈物および濃縮物が含まれる。野菜類には、カボチャ、ニンジン、トマト、ピーマン、セロリ、ホウレンソウ、有色サツマイモ、コーン、ビート、ケール、パセリ、キャベツ、ブロッコリーなどが含まれる。果実類にはリンゴ、モモ、バナナ、イチゴ、ブドウ、スイカ、オレンジ、ミカンなどが含まれる。 野菜および果実の切断物、破砕物および磨砕類は、例えば上記野菜類または果実類を洗浄後、必要に応じて熱湯に入れるなどのブランチング処理した後、クラッシャー、ミキサー、フードプロセッサー、パルパーフィッシャー、マイコロイダー(MycolloiderTM,特殊機化工業社製)などを用いて切断、破砕、磨砕することによって得ることができる。搾汁は、例えばフィルタープレス、ジューサーミキサーなどを用いて調製することができる。また上記磨砕物を濾布などを用いて濾過することによっても搾汁を調製することができる。酵素処理物は、上記切断物、破砕物、磨砕物、搾汁などにセルラーゼ、ペクチナーゼ、プロトペクチン分解酵素などを作用させることによって調製できる。希釈物には水で1−50倍に希釈したものが含まれる。濃縮物には、例えば凍結濃縮、減圧濃縮などの手段によって1−100倍に濃縮したものが含まれる。 発酵用原料物質の他の具体例である豆乳は、常法に従い、大豆原料から調製することができる。該豆乳には、例えば、脱皮大豆を水に浸漬後、コロイドミルなどの適当な粉砕機を用いて湿式粉砕処理後、常法に従いホモジナイズ処理した均質化液、水溶性大豆蛋白質を水中に溶解した溶解液なども包含される。 乳酸菌を利用した発酵は、予めスターターを用意し、これを発酵用原料物質に接種して発酵させる方法が好ましい。ここでスターターとしては、例えば代表的には予め90−121℃、5−20分間通常の殺菌処理を行った発酵用原料物質、酵母エキスを添加した10%脱脂粉乳などに、本発明乳酸菌を接種して培養したものを挙げることができる。このようにして得られるスターターは、通常、本発明乳酸菌を107−109個/g培養物程度含んでいる。 スターターに用いる発酵用原料物質には、必要に応じて本発明乳酸菌の良好な生育のための発酵促進物質、例えばグルコース、澱粉、蔗糖、乳糖、デキストリン、ソルビトール、フラクトースなどの炭素源、酵母エキス、ペプトンなどの窒素源、ビタミン類、ミネラル類などを加えることができる。 乳酸菌の接種量は、一般には発酵用原料物質含有液1mL中に菌体が約1×106個以上、好ましくは1×107個前後含まれるものとなる量から選ばれるのが適当である。培養条件は、一般に、発酵温度20−45℃程度、好ましくは25−37℃程度、発酵時間5−72時間程度から選ばれる。 尚、上記の如くして得られる乳酸発酵物は、カード状形態(ヨーグルト様乃至プディング用形態)を有している場合があり、このものはそのまま固形食品として摂取することもできる。該カード状形態の乳酸発酵物は、これを更に均質化することにより、所望の飲料形態とすることができる。この均質化は、一般的な乳化機(ホモジナイザー)を用いて実施することができる。具体的には、該均質化は、例えばガウリン(GAULIN)社製高圧ホモジナイザー(LAB40)を用いて、約200−1000kgf/cm2、好ましくは約300−800kgf/cm2の条件で、或いは三和機械工業社製ホモジナイザー(品番:HA×4571,H20−A2など)を用いて、150kg/cm2またはそれ以上の条件で実施することができる。この均質化によって、優れた食感、とくに滑らかさを有する飲料を得ることができる。尚、この均質化にあたっては、必要に応じて適当に希釈したり、pH調整のための有機酸類を添加したり、また、糖類、果汁、増粘剤、界面活性剤、香料などの飲料の製造に通常用いられる各種の添加剤を適宜添加することもできる。好ましい添加剤とその添加量(カード状発酵物重量に対する重量%)の一具体例としては、例えばグルコース8%(重量%、以下同じ)、砂糖8%、デキストリン8%、クエン酸0.1%、グリセリン脂肪酸エステル0.2%および香料0.1%を挙げることができる。 かくして得られる本発明飲料は、適当な容器に無菌的に充填して最終製品とすることができる。該製品は、滑らかな喉ごしの食感および風味を有している。 その投与(摂取)量は、これを摂取する生体の年齢、性別、体重、疾患の程度などに応じて適宜決定され、特に限定されるものではない。一般には乳酸菌量が約106−109個/mLとなる範囲から選ばれるのがよい。該製品は一般にその約50−1,000mLを1日ヒト1人あたりに摂取、服用させればよい。 食品形態の本発明組成物の他の具体例としては、発泡製剤形態のそれを挙げることができる。このものは、本発明乳酸菌(菌体凍結乾燥物)0.01−50%(重量%、以下同じ)に、炭酸ナトリウムおよび(または)炭酸水素ナトリウム10−35%と中和剤20−70%とを発泡成分として配合することによって調製できる。ここで用いられる中和剤は、上記炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムを中和させて炭酸ガスを発生させ得る酸性化合物である。該化合物には、例えば代表的にはL−酒石酸、クエン酸、フマル酸、アスコルビン酸などの有機酸が包含される。 上記発泡成分の本発明発泡製剤中への配合割合は、得られる本発明製剤を水に溶解させた場合に、溶液が酸性、特にpH約3.5−4.6程度の酸性を呈するものとなる割合とするのがよい。より具体的には上記割合は炭酸ナトリウムおよび(または)炭酸水素ナトリウム10−35%および中和剤20−70%の範囲から選択されるのがよい。特に炭酸ナトリウムは11−31%、好ましくは22−26%、炭酸水素ナトリウムは10−35%、好ましくは20−30%の範囲から選ばれるのがよい。その内でも炭酸水素ナトリウムを単独で20−25%の範囲で用いるのが最も好ましい。また中和剤は、20−70%、好ましくは30−40%の範囲から選択され、特にL−酒石酸を20−25%およびアスコルビン酸を8−15%の範囲内で使用するのが最も好ましい。 本発泡製剤は、本発明乳酸菌および発泡成分を必須成分として、他に通常知られている各種の添加剤成分、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、表面活性剤、浸透圧調節剤、電解質、甘味料、香料、色素、pH調節剤などを必要に応じて適宜添加配合されていてもよい。上記添加剤としては、例えば小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、デキストリンなどの澱粉類;ショ糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、キシロース、乳糖などの糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコール類;カップリングシュガー、パラチノースなどの配糖体;リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの賦形剤;澱粉、糖類、ゼラチン、アラビアガム、デキストリン、メチルチセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、ペクチン、トラガントガム、カゼイン、アルギン酸などの結合剤乃至増粘剤;ロイシン、イソロイシン、L−バリン、シュガーエステル、硬化油、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、マクロゴールなどの滑沢剤;結晶セルロース(旭化成社製「アビセル」登録商標)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Ca)などの崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)、レシチンなどの表面活性剤;アスパラテーム、アリテームなどのジペプチド;その他ステビア、サッカリンなどの甘味料などを例示できる。これらは必須成分との関係や製剤の性質、製造法などを考慮してその適当量を適宜選択して用いることができる。 更に、本発明発泡製剤中には、ビタミン類、特にシアノコバラミンやアスコルビン酸(ビタミンC)などの適当量を添加配合することができる。その配合割合は、特に限定はないが、通常ビタミンCでは30%までの量、好ましくは約5−25%の範囲から選ばれるのが好ましい。 本発明発泡製剤の製造法は、基本的には通常のこの種発泡錠剤の製造法と同様とすることができる。即ち、発泡錠剤形態の本発明製剤は、所定量の各成分を秤量、混合し、直接粉末圧縮法、乾式または湿式顆粒圧縮法などに従って調製することができる。 かくして得られる本発明製剤は、これを水中に投入するだけで、経口投与に適した飲料形態となり、これは経口投与される。 その投与(摂取)量は、これを適用すべき生体の年齢、性別、体重、疾患の程度などに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、一般には1錠約1.5−6.0gに調製された本発明発泡錠剤の1−2錠を1回に水100−300mLに溶かして服用させればよい。医薬品形態組成物 本発明組成物は、有効成分とする本発明乳酸菌と共に、製剤学的に許容される適当な製剤担体を用いて、一般的な医薬製剤組成物の形態に調製されて実用される。該製剤担体としては、通常、この分野で使用されることの知られている充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤あるいは賦形剤を例示できる。これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。 上記医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が選択できる。その代表的なものとしては錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤などが挙げられる。 錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなどの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどの崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;グリセリン、デンプンなどの保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などを使用できる。 更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。 丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用できる。 更に、本発明製剤中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を含有させることもできる。 本発明製剤中に含有されるべき本発明乳酸菌の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択される。通常、医薬製剤中に約107−1012個/投与単位形態程度含有されるものとするのがよい。 上記医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤は経口投与される。 上記医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などにより適宜選択されるが、通常有効成分である本発明乳酸菌の量が1日当り体重1kg当り約0.5−20mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1−4回に分けてヒトに投与することができる。 尚、本発明組成物はその摂取(投与)によって、該組成物中の乳酸菌が下部消化管に常在菌として定着でき、かくして乳酸菌本来の効果、例えば整腸作用、腸内細菌叢改善作用などをも奏し得る。特に好ましい製剤は、腸溶性錠剤形態であり、これによれば胃酸による侵襲を受けることなく乳酸菌を腸に到達させることができる。 本発明乳酸菌およびこれを含む組成物は、その摂取乃至投与によってヒトの粘膜免疫賦活およびIgA産生促進を図り得るものである。従って、本発明はまた、粘膜免疫賦活を要求されるヒトに、本発明乳酸菌を摂取させて、該ヒトの粘膜免疫を賦活する方法;粘膜免疫賦活を要求されるヒトに、本発明組成物を摂取させて、該ヒトの粘膜免疫を賦活する方法;IgA産生促進を要求されるヒトに、本発明乳酸菌を摂取させて、該ヒトにおけるIgA産生を促進する方法;およびIgA産生促進を要求されるヒトに、本発明組成物を摂取させて、該ヒトにおけるIgA産生を促進する方法をも、提供するものである。 更に、本発明はヒトの粘膜免疫賦活のための、本発明乳酸菌の使用;ヒトの粘膜免疫賦活のための本発明組成物の使用;ヒトのIgA産生促進のための、本発明乳酸菌の使用;およびヒトのIgA産生促進のための、本発明組成物の使用をも提供する。 加えて、本発明は、本発明組成物の製造のための本発明乳酸菌の使用をも提供する。 発明の効果 本発明は、優れたIgA産生誘導能を有し、ヒトの粘膜免疫、特に腸管免疫の賦活作用の改善、および生体防御作用の強化に有効な新しい乳酸菌およびこれを含む組成物、殊に食品または医薬品形態の該組成物を提供する。 図1は、本発明乳酸菌の投与が、パイエル板細胞からのIgA産生に及ぼす結果を示すグラフである。 図2は、本発明乳酸菌の投与がIgG産生に及ぼす影響を明らかにするグラフである。 以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例および試験例を挙げる。 以下、本発明組成物の処方例を実施例として示す。(1)発酵豆乳飲料の調製 下記処方の各成分を秤量混合して、飲料形態の本発明組成物を調製した。 ラクトバチルスONRIC b0239発酵豆乳 100mL 乳果オリゴ糖(55%含量) 10.0g ビタミン・ミネラル 適量 香料 適量 水 適量 全量 150mL 上記ラクトバチルスONRIC b0239発酵豆乳は、豆乳(蛋白質含量5g/100mL程度)1Lに、ラクトバチルスONRIC b0239(FERM BP−10064)を108個加えて、37℃で48時間発酵させたものである。その菌体含量は1×109個/mLである。(2)発酵乳の調製 下記処方の各成分を秤量混合して、発酵乳形態の本発明組成物を調製した。 乳果オリゴ糖(55%含量) 10.0g ラクトバチルスONRIC b0240発酵乳 100mL ビタミン・ミネラル 適量 香料 適量 水 適量 全量 150mL 尚、ラクトバチルスONRIC b0240発酵乳は、牛乳1LにラクトバチルスONRICb0240(FERM BP−10065)108個を加え、37℃で24時間発酵させたものである。その菌体含量は1×108個/mLである。(3)発酵乳凍結乾燥粉末の調製 ラクトバチルスONRIC b0239(FERM BP−10064)約107個/mLの1mLを用いて、牛乳100gを37℃で24時間乳酸発酵させた後、得られた発酵産物(菌体を含む)を凍結乾燥して粉末とした。 上記粉末を用いて、下記処方の各成分を秤量混合して、発酵乳凍結乾燥粉末形の本発明組成物を調製した。その菌体含量は1×109個/gである。 ラクトバチルスONRIC b0239発酵乳凍結乾燥粉末 2.2g 賦形剤 適量 ビタミン・ミネラル 適量 香料 適量 全量 20g 尚、賦形剤としては、コーンスターチ17gを用いた。(4)粉末の調製 下記処方の各成分を秤量混合して、粉末形態の本発明組成物を調製した。 カゼイン 4.5g 乳果オリゴ糖(55%含量) 10.0g ラクトバチルスONRIC b0240凍結乾燥粉末 1.0g ビタミン・ミネラル 適量 香料 適量 全量 20g 尚、ラクトバチルスONRIC b0240凍結乾燥粉末は、ラクトバチルスONRIC b0240(FERM BP−10065)を増殖可能な発酵用原料物質である10%スキムミルク水溶液中で培養(37℃、24−48時間)した後、凍結乾燥することによって得られたものであり、その菌体含量は109−1010個/gである。(5)顆粒の調製 下記処方の各成分を秤量混合して、顆粒形態の本発明組成物を調製した。 乳果オリゴ糖(55%含量) 10.0g ラクトバチルスONRIC b0240凍結乾燥粉末 1.0g ソルビトール 適量 ビタミン・ミネラル 適量 香料 適量 全量 20g 尚、ラクトバチルスONRIC b0240凍結乾燥粉末としては、実施例1−(4)と同一のものを用いた。(6)菌含有マイクロカプセルの調製 ラクトバチルスONRIC b239(FERM BP−10064)を実施例1−(4)と同様にして凍結乾燥して得られた凍結乾燥粉末6×1010個/gを、融点34℃のヤシ硬化油を融解した中に乳果オリゴ糖と共に分散して、乳酸菌、油脂およびオリゴ糖の混合比が25%、70%および5%である融解物を調製した。このものを同心三重ノズルの内側ノズルから平均流速0.3m/sで、更にその外側の中間ノズルから融点43℃のヤシ硬化油と大豆硬化油との混合物の融解液を平均流速0.3m/sで、また最外側ノズルから皮膜となるゼラチン/ペクチン溶液(85/15v/v)を平均流速0.3m/sで、それぞれ冷却され流動している油中に同時に滴下させることにより直径2.5mmの三層構造のシームレスカプセル(1.4×109個/gカプセル)を試作した。 このものの内容物、内皮膜および該皮膜の重量比は35:35:30であった。 このカプセルを通気乾燥後、更に真空乾燥または真空凍結乾燥を行うことによりカブセル中の水分活性をAw値0.20以下および熱伝導率0.16kcal/mh℃以下にまで低下させた。尚、Aw値は電気抵抗式水分活性測定装置(Awメーター、WA−360、株式会社芝浦電子製作所)にて測定されたものである。また、熱伝導率はフィッチ(Fitch)法で測定したものである。 この例は、本発明乳酸菌のIgA産生誘導能を、YasuiらおよびIkenagaらに記載の方法〔Yasui,H.,et al.,Microbial Ecology in Health and Disease,5,155(1992);Ikenaga,T.,et al.,Milk Science,51,27(2002)〕に従ってパイエル板細胞培養系を用いてin vitroで試験した例であり、次の通り実施された。(1)供試動物 近交系雌性マウスSPF/VAF BALB/c AnNCrjを使用した。 試験マウスを入荷後、1週間検疫した。検疫期間中はMF固形飼料(オリエンタル酵母社製)および水道水を自由摂取させた。(2)パイエル板細胞培養法 検疫終了後、各群の体重が均等になるように80匹のマウスを10匹ずつ群分けした。群分け後、毎日10匹のマウスを屠殺し、小腸を取り出し、小腸外側表面にあるパイエル板を切り出し、MEM培地[Eagle’s MEM(NISSUI社製)、2mM glutamine(GIBCO社製)、1mM sodium pyrubate(GIBCO社製)、MEM nonessential amino acids(GIBCO社製)]を添加した遠沈管中で氷冷した。メッシュを用いて単一細胞懸濁液を調製し、5mLのMEM培地でよく洗い込んだ。細胞懸濁液を濾過し、4℃下、1,000回転/分、10分間遠心処理を行った。遠心後、培養上清を吸引除去し、沈殿を5mLのMEM培地に懸濁させた。同様の操作を2回繰り返した後、沈殿を10mLの5%FBS(GIBCO社製)含有MEM培地に懸濁させ、パイエル板細胞の生細胞数を計数し、細胞浮遊液を96ウエル細胞培養用プレートに播いて細胞培養用プレートを調製した。(3)供試菌体の調製 本発明乳酸菌として、ラクトバチルスONRIC b239(FERM BP−10064)およびラクトバチルスONRIC b240(FERM BP−10065)を利用した。各菌は、それぞれその培養に適した培地にて定常期まで培養後、遠心して菌体を集菌した(7,000g×10分間、4℃)。PBS(−)にて3回洗浄後、菌体を5mLの生理食塩水に懸濁させた。菌数を把握するため660nmにて濁度を測定し、その後、オートクレーブにて100℃で30分間加熱滅菌処理した。660nmにおける濁度が1.0のとき菌数を2.0×109/mLとした。(4)培養上清中のIgA濃度の測定 上記(1)で調製したパイエル板細胞を5%FBS含有MEM培地に懸濁させて、2.5×106細胞/mLに調整し、その200μLを96ウエル細胞培養用プレートに入れた。このプレートの各ウエルに2.0×109/mLの供試菌体懸濁液(前記(3)で調製したもの)を20μL添加し、37℃、5%CO2下で7日間培養した。 上記菌体20μLに代えて、50μg/mLのLPS(Lipopolysaccharide)を20μL添加したものを陽性対照とした。 次いで、得られた各培養物上清の総IgA濃度を市販キットを用いたELISA法により測定した。(5)本発明乳酸菌のIgA産生促進活性 前記(4)に従って測定された本発明乳酸菌における総IgA量を、対照としてのMEM培地にPBS(−)10μLを添加して(菌体無添加)同様にして7日間培養して得た培養物上清の同測定値を基準(1.0)として、その相対比(Stimulation Index;S.I.)にて、下記表1に示す。 表1〜表4には、既知の各種乳酸菌などについて行った同一試験の結果を併記する。また陽性対照(LPS 50μg/mL)における試験結果を「陽性対照」として併記する。表中、Strain No.に示される微生物保存機関の略号と名称は、それぞれ以下の通りである。ATCC:アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection;Manassas,VA,U.S.A.)JCM:理化学研究所微生物系統保存施設(Japan Collection of Microorganism,The Institute of Physical and Chemical Research,RIKEN)NRIC:東京農業大学応用生物化学部菌株保存室(NODAI Culture Collection Center,Tokyo University of Agriculture;Setagaya−ku,Tokyo,Japan) 表1〜4に示されるとおり、対照(PBS)のIgA産生を1とした場合、陽性対照の平均S.I.は、13.1を示し、IgA産生を強く誘導していることが判った。よって本培養系はパイエル板細胞からのIgA産生を評価する上で有用であると判断した。 各種乳酸菌によるIgA産生誘導能を見ると、本発明乳酸菌のS.I.は、ONRIC b0239が5.61、ONRIC b0240が6.31であり、他の菌株の0.8〜1.4に比べて突出して高いIgA産生誘導能を有することが判った。 IgAは病原微生物の粘膜からの侵入阻止、ウイルス・毒素の中和、食物アレルゲンの侵入阻止などの働きをしており、このようなIgAを高めておくことは生体防御の上で重要である。 この例は、本発明乳酸菌のIgA産生誘導能をin vivoで試験したものであり、次の通り実施された。(1)供試動物およびその飼育 8週齢BALB/c雄性マウス50匹を入荷後、1週間検疫した。検疫期間中および引き続く試験期間中、実験動物にはMF固形飼料(オリエンタル酵母社製)および水道水を自由摂取させた。 検疫終了後、各実験動物を生理食塩水投与群(15匹)、本発明乳酸菌(生菌)投与群(15匹)および本発明乳酸菌(死菌)投与群(15匹)に群分けた。(2)経口投与用本発明乳酸菌の調製 経口投与用の本発明乳酸菌(生菌)および本発明乳酸菌(死菌)は、それぞれ以下の方法により調製した。生菌: Lactobacillus plantarum b0240(FERM BP−10065、以下、単に「b0240」という)をMRS培地にて定常期まで培養した後、遠心(3,500回転/分×10分、4℃)にて集菌した。生理食塩水にて2回遠心洗浄後、菌体を生理食塩水に懸濁して、4×109CFU/mLに調整した。死菌 上記で得た生菌懸濁液を、オートクレーブ(121℃,15分加熱)処理後、洗浄用ソニケーター(BRANSON2510)で45分間超音波処理を行った。(3)試験方法 上記(2)で調製した本発明乳酸菌(生菌および死菌)のそれぞれを、試験開始より7日間(5匹)、14日間(5匹)または21日間(5匹)に亘って、本発明乳酸菌(生菌)投与群(5+5+5=15匹)および本発明乳酸菌(死菌)投与群(5+5+5=15匹)の各群マウスに、毎朝、経口投与(109CFU/250μL/匹/日)した。各投与期間終了後に、各群マウスを断頭屠殺してチューブに採血し、4℃下、3000回転/分、10分間遠心分離して血清を調製した。また、以下の方法によりパイエル板細胞を調製した。即ち、各群マウスを屠殺後、小腸を摘出し、これを眼科用ハサミで小腸外側表面からパイエル板を切り出し、不完全培地(incomplete medium;10mg Gentamycin添加RPMI1640培地)を添加した24ウェルマイクロプレートに入れて氷冷した。メッシュを用いて単一細胞懸濁液を調製し、5mLの不完全培地で良く洗った。得られた細胞浮遊液を濾過し、4℃下、1,000回転/分で10分間遠心分離処理した。遠心分離処理後、培養上清を吸引除去し、沈殿を5mLの不完全培地に懸濁させた。上記洗浄、濾過、遠心分離、培養上清の吸引除去操作を、更に1回繰り返した後、得られた沈殿をパイエル板細胞とした。 また、コントロールとしての生理食塩水投与群(15匹)のマウスは、本発明乳酸菌(生菌および死菌)を与えることなく飼育し、同様に試験開始より7日間(5匹)、14日間(5匹)および21日間(5匹)後に、血清およびパイエル板細胞を調製した。IgA産生試験 調製した各パイエル板細胞(沈殿)を、0.5mLの完全培地(2mM L−グルタミン、50μMメルカプトエタノール、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、10%FBS添加RPMI1640培地)に懸濁させて、細胞濃度を2×106細胞/mLに調整し、生細胞数をカウント後、細胞浮遊液を100μlずつ96ウエル細胞培養用プレートの各ウエルに播種した。 パイエル板細胞が産生するIgA量は、パイエル板細胞をそのまま培養し、産生されるIgA量を調べる方法と、この培養系に更にパイエル板細胞刺激物質として本発明乳酸菌(死菌)を添加して培養し、産生されるIgA量を調べる方法との2つの方法により検討した。後者の方法は、実際の生体内におけるパイエル板細胞の環境に近いものと想定される。即ち、この試験で本発明乳酸菌(生菌または死菌)を経口投与する場合は、摂取された乳酸菌は何らかの形でパイエル板細胞に刺激を与えることが予想される。 パイエル板細胞刺激物質としての本発明乳酸菌(死菌)は、下記方法に従って調製した。パイエル板細胞刺激用本発明乳酸菌(死菌) 前記で調製した経口投与用の本発明乳酸菌(生菌)の懸濁液を、更にリン酸バッファーで菌数が107CFU/mL(660nmでの濁度0.275)となるように希釈し、得られた菌体懸濁液を、オートクレーブ(121℃,15分加熱)処理後、洗浄用ソニケーター(BRANSON2510)で45分間超音波処理した。 パイエル板細胞刺激物質を利用する方法は、パイエル板細胞刺激用本発明乳酸菌(死菌)10μLを各ウエルに添加し、さらにFCSを含まないRPMI1640を100μL各ウエルに添加し、37℃、5%CO2下で7日間パイエル板細胞を培養した。パイエル板細胞刺激物質を利用しない方法では、上記本発明乳酸菌(死菌)の代わりに10μLの生理食塩水を各ウエルに添加して、以下同様の操作によってパイエル板細胞を培養した。(4)測定 細胞培養液から遠心分離にて培養上清を回収し、該培養上清中に分泌される総IgA濃度の測定に供するまで−80℃で凍結保存した。 上記培養上清中の総IgA濃度の測定および血清中の総IgG濃度の測定は、いずれも市販のキットを用いたELISA法により測定した。(5)結果 結果を図1(IgA濃度)および図2(IgG濃度)に示す。 図1は、培養上清中のIgA濃度(μg/mL)を示す棒グラフである。図中、白抜き棒は、コントロールとしての生理食塩水投与群(「生理食塩水」と表示)の結果である。網掛け棒は、本発明乳酸菌(b0240生菌)投与群(「b0240生菌」と表示)の結果である。黒塗り棒は、本発明乳酸菌(b0240死菌)投与群(「b0240死菌」と表示)の結果である。無刺激は、各群マウス由来のパイエル板細胞の培養系に本発明乳酸菌(死菌)を添加することなく培養した場合を示す。菌体刺激は、各群マウス由来のパイエル板細胞の培養系に本発明乳酸菌(死菌)を添加して該菌の刺激下に培養した場合を示す。各結果は、各群供試マウス5匹について得られた結果を平均±標準偏差(Mean±SD)で表示する。各結果の上に表示したP値は、スチューデンツt−テスト(Student t−test)におけるコントロールに対する危険率を示す。 該図に示される結果から、次のことが明らかである。 (1)7日間投与の場合: 菌体刺激の場合、本発明乳酸菌(死菌)投与群は、生理食塩水投与のコントロールよりも有意に高値を示した(P=0.010)。 (2)14日間投与の場合: 無刺激の場合、本発明乳酸菌(死菌)投与群(無刺激の黒塗り棒参照)は、コントロール(生理食塩水投与後無刺激)よりも、有意に高値を示した(P=0.048)。 また、菌体刺激を行った場合は、本発明乳酸菌(死菌)を投与した群および本発明乳酸菌(生菌)を投与した群のいずれも、コントロール(生理食塩水投与)に比して有意に高値を示した(それぞれP=0.034およびP=0.002)。更に、 (3)21日間投与の場合: 無刺激の場合、本発明乳酸菌(死菌)を投与した群は、コントロール群よりも有意に高値を示した(P=0.047)。 また、菌体刺激を行った場合、本発明乳酸菌(生菌)投与群および本発明乳酸菌(死菌)投与群は、コントロール群よりもいずれも有意に高値を示した(それぞれP=0.015およびP=0.005)。 図2は、本発明乳酸菌(死菌)の21日間投与がIgG産生に及ぼす影響を明らかにする棒グラフであり、縦軸は血清IgG濃度(μg/mL)を示す。 該図に示される結果から、本発明乳酸菌(死菌)の投与は、コントロール(生理食塩水投与)に比して有意に高い血清IgG濃度を示すことが判る(P=0.0064)。また本発明乳酸菌(生菌)の投与も、コントロール(生理食塩水投与)に比して、高い血清IgG濃度を示すことが判る。 以上の結果より、本発明乳酸菌は、パイエル板に存在する免疫担当細胞あるいは腸管上皮細胞とその周辺の免疫担当細胞を刺激することで粘膜免疫応答を誘導し、最終的にパイエル板細胞からの総IgA産生を高めたものと推定される。また、本発明乳酸菌の投与は、IgAのみならず血清中のIgGも高めることが判った。これらのことから、本発明乳酸菌の摂取は、粘膜免疫のみならず全身免疫も賦活し、これらの2段構えで生体の免疫応答を賦活し、体の内と外から生体を防御する可能性が示唆される。このような作用が生菌のみならず死菌においても認められることから、本発明乳酸菌は、経口ワクチン的なプロバイオティクスの新たな活用法として期待できるものと考えられる。 この試験は本発明乳酸菌の摂取がインフルエンザ下気道感染の防御に有効であることを明らかにするものである。 粘膜免疫は、粘膜上に病原体が付着した際の最初に行われる感染防御機構である(Brandtzaeg,P.Curr.Top.Microbiol.Immunol.146:13 1989)。粘液中の分泌型IgA(S−IgA)は、バクテリア、ウイルスなどの病原体に対する防御作用を示す(Czinn,S,J,.et al Vaccine 11:637 1993;Renegar,K.et al J.Immunol.146:1972 1991)とともに、微生物の産生する毒素を中和する役割も担っている(Brandtzaeg,P APMIS 103:1 1995;Kilian,M.et al Microbiol.Rev.52:296 1988)。近年、感染症に対する医薬品において、粘膜免疫機構を介した感染防御効果を狙った研究開発が盛んに行われている。インフルエンザ感染は、免疫系の未発達な小児、免疫機能の低下した高齢者などにおいて死亡例が高く、これまでのワクチンに代わるより有効なワクチンの開発が望まれている。具体的には、インフルエンザは、毎年流行型が変わることから、現行の経皮投与で産生される特異性の高いIgGから、ウイルス侵入部位の粘膜免疫で産生される特異性のゆるやかなIgAを介した粘膜ワクチンの開発が種々試みられている。乳酸菌を用いた発酵乳を代表とする食品についても、S−IgAを介した感染防御作用が報告されている。例えば、Yasuiらは乳幼児下痢症の主要起因ウイルスであるロタウイルスのマウス感染実験を実施し、母親マウスにB.breve YIT4064株を摂取させ、次いで母親マウスの母乳を子マウスに摂取させた結果、子マウスの下痢症が抑制されることを報告している(H.Yasui et al J.Infect.Dis.172:403.1995)。また、Yasuiらは、気道粘膜S−IgA、血清IgGの液性免疫および細胞性免疫が関与するインフルエンザ感染に対するB.breve YIT4064株の感染防御作用が、血中の特異的IgGの上昇によるものとも報告している(H.Yasui et al Clin.Diagn.Lab.Immunil.6:186 1999)。 本発明者らは、乳酸菌のIgAを介した感染防御効果を明らかにするため、インフルエンザウイルス(IFV)を下気道にまで到達させる下気道感染モデルマウスを用いて、本発明組成物(本発明乳酸菌を利用して調製した発酵乳)の摂取による感染防御効果を、感染後の生存日数を指標として検討した。本試験は以下の通り実施された。(1)供試動物 日本チャールス・リバー株式会社より入荷した近交系雌性SPF/VA/VAFマウス(系統名:BALB/c AnNCrj)(5週齢)を4日間、以下の条件で検疫後、体重による群分け(蒸留水群、牛乳群および本発明乳酸菌含有発酵乳群)を行った。餌/給餌法:MF固形飼料(オリエンタル酵母株式会社)/自由摂取水/給水法:水道水/給水瓶による自由摂取環境:温度:23±2°C、湿度:60±10%照明時間:明期7:00〜19:00、暗期19:00〜7:00(2)試験方法 各群マウス(n=45)に、MF固形飼料(オリエンタル酵母社製)と共に、被験物((1)蒸留水、(2)牛乳または(3)本発明乳酸菌含有発酵乳)を、2週間摂取させた。 被験物としての牛乳は、LL牛乳(大阿蘇牛乳:らくのうマザーズ社製)を蒸留水で75%に希釈して利用した。被験物としての本発明乳酸菌含有発酵乳は、10%スキムミルク水溶液に懸濁し−80℃で凍結保存しておいたL.plantarum ONRIC b0240をスターターとして、牛乳1Lにスターター(生菌数108個)を加え、33℃で16時間発酵させたものである。本発明乳酸菌含有発酵乳の菌体含量は5×107個/mLである。これを蒸留水で75%に希釈して試験に利用した。 被験物は給水瓶による自由摂取とし、摂取量は摂取前後の被験物の重量減少量とした。 摂取開始2週間後に、各群実験動物をケタラールにより麻酔後、その一方の鼻腔にIFV液50μLを経鼻接種(10、102または103pfu/50μL PBS/匹、それぞれの濃度におけるn=15)して、IFVをマウスに感染させた。その後、各群実験動物の生死を毎日観察した。被験物は感染後から死亡を確認するまで与え続けた。 使用IFV株としては、大塚製薬株式会社微生物研究所に保存されているIFV:A/PR/8/34/H1N1株を用いた。該株を0.1%BSAおよび10mM HEPESを含有するMEM培地に懸濁させ、次いでPBS(+)を用いて10〜103pfu/50μLとなるように希釈し、IFVの接種用ウイルス液を調製した。なお、PBS(+)はPBS(−)粉末(コージンバイオ社製)9.55g、CaCl2(無水)100.00mgおよびMgCl2(無水)46.90mgを蒸留水に溶解して1,000mLとして調製した。結果 各群マウスの生存日数を、IFV経鼻摂取後、毎日朝(8:30−9:00)および夕方(17:30−18:00)の二回、確認した。 その結果、蒸留水を摂取させたコントロール群および牛乳を摂取させた対照群では、接種ウイルス量を102pfu/匹とした場合、いずれも7日目までに全例が死亡した。接種ウイルス量を103pfu/匹とした場合、いずれも6日目夕方までに全例が死亡した。これに対して、本発明乳酸菌含有発酵乳を摂取させた群では、コントロール群に対して、実験動物の生存日数を延長する傾向が認められた。 また、接種ウイルス量を10pfu/匹とした場合、全ての群において14日目で70%以上が生存しており、本発明乳酸菌含有発酵乳を摂取させた群では、86.7%が生存しており、コントロール群のそれ(80%)に対して、生存率を延長させる傾向が認められた。 また、各群マウスの体重を被験物摂取開始から感染日までは2日毎に、感染後は毎朝(8:30−9:00)、電子天秤を用いて測定した。なお、測定は各測定日において生存していたマウスについて行い、得られた値は全測定値の平均値で示した。 その結果、全ての群において、2日目から若干の体重減少が認められた。体重変化の推移は、各群において同様であり、差は認められなかった。考察 本試験の結果および前記実施例2および3に示される試験の結果から、総合的に判断して、本発明乳酸菌およびこれを含む発酵乳は、IFV感染に対して、感染防御果を奏し得ると考えられる。 本発明は、免疫賦活作用およびIgA産生促進作用を有する乳酸菌およびこれを含む組成物を提供するものであり、これらは病原微生物などの粘膜からの侵入を阻止する生体防御効果を奏し得る。IgA産生促進能を有する、ラクトバチルス・プランタラムONRIC b0239 (FERM BP-10064)およびラクトバチルス・プランタラムONRIC b0240 (FERM BP-10065)からなる群から選択される少なくとも1種である、乳酸菌。IgA産生促進能を有する、ラクトバチルス・プランタラムONRIC b0239 (FERM BP-10064)である請求項1に記載の乳酸菌。IgA産生促進能を有する、ラクトバチルス・プランタラムONRIC b0240 (FERM BP-10065)である請求項1に記載の乳酸菌。請求項1乃至3のいずれかに記載の乳酸菌を含有する粘膜免疫賦活作用を有する組成物。飲食品形態である請求項4に記載の組成物。発酵乳、乳酸菌飲料、発酵野菜飲料、発酵果実飲料または発酵豆乳飲料である請求項5に記載の組成物。請求項1乃至3のいずれかに記載の乳酸菌を含む、医薬製剤組成物。粘膜免疫賦活用の製剤である、請求項7に記載の医薬製剤組成物。IgA産生促進用の製剤である、請求7に記載の医薬製剤組成物。請求項4乃至9のいずれかに記載の組成物の製造のための、請求項1乃至3のいずれかに記載の乳酸菌の使用。顆粒、粉末、錠剤、発泡製剤、ガム、グミ及びプディングからなる群より選択されるいずれか1種の形態である、請求項5に記載の組成物。


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