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タイトル:特許公報(B2)_炭化水素の分離方法および分離装置
出願番号:2005511987
年次:2010
IPC分類:C07C 7/04,C07C 9/04,C07C 9/06,C07C 9/08,F25J 3/02


特許情報キャッシュ

小原 進 山口 昌一 山森 康之 エフリン ヤヒヤ JP 4452239 特許公報(B2) 20100205 2005511987 20040628 炭化水素の分離方法および分離装置 東洋エンジニアリング株式会社 000222174 宮崎 昭夫 100123788 石橋 政幸 100106138 岩田 慎一 100120628 緒方 雅昭 100127454 小原 進 山口 昌一 山森 康之 エフリン ヤヒヤ JP 2003278984 20030724 JP 2003376939 20031106 20100421 C07C 7/04 20060101AFI20100401BHJP C07C 9/04 20060101ALI20100401BHJP C07C 9/06 20060101ALI20100401BHJP C07C 9/08 20060101ALI20100401BHJP F25J 3/02 20060101ALI20100401BHJP JPC07C7/04C07C9/04C07C9/06C07C9/08F25J3/02 B C07C 7/04 C07C 9/00-9/22 C10G 5/06 F25J 3/02 F25J 3/06 特表2002−508054(JP,A) 特開平4−65487(JP,A) 米国特許第4140504(US,A) 米国特許第5568737(US,A) 6 JP2004009101 20040628 WO2005009930 20050203 13 20070111 藤森 知郎 本発明は、例えば、天然ガス、石油随伴ガス、または精油所もしくは石油化学プラントからのオフガスからエタンまたはプロパンを分離・回収するために用いられる炭化水素の分離方法及び装置に関する。 従来から、メタンと炭素数2以上の炭化水素とを分離すること、またエタンと炭素数3以上の炭化水素とを分離することが行われている。 例えば、天然ガスからエタンまたはプロパンを回収する方法として、天然ガスを冷却し脱メタン塔(またはプロパン回収の場合には脱エタン塔)で軽質成分とエタン(またはプロパン)及び重質炭化水素成分を蒸留分離する方法が広く用いられている。この方法では、分離に必要な温度まで天然ガスを冷却するため、プロパン冷凍システム及びターボエキスパンダーが用いられている。しかし、ターボエキスパンダー出口ストリームの液化率は低く、脱メタン塔(または脱エタン塔)でのリフラックス効果が低かった為、エタン回収率は80%程度に留まっていた。 これに対し、米国特許第4,140,504号公報により、ターボエキスパンダー入口ガスの一部を抜き蒸留塔(脱メタン塔または脱エタン塔)の低温塔頂ガスと熱交換させ、液化率を上げることで脱メタン塔(または脱エタン塔)でのリフラックス効果改善を行う方法が「ガス サブクールド プロセス」として公知である。さらに改良した方法として、米国特許第5,568,737号公報により脱メタン塔(または脱エタン塔)の塔頂ガス(残留ガス)を圧縮・冷却し、減圧して低温液を作った後、脱メタン塔(または脱エタン塔)にリフラックスとしてフィードする残留ガスリサイクル型の方法が「リサイクル スプリット−ベーパー プロセス」として公知である。 しかしながら、これらの技術により、エタン回収率を向上させることが可能であるものの、蒸留塔へのリフラックスを供給するため、ターボエキスパンダー入口ガスの一部を抜き出すことが必要となる。その結果、ターボエキスパンダー入口ガスを全量ターボエキスパンダーにフィードしない為、等エントロピー膨張による冷却効果が低下して冷凍負荷が大きくなり、またターボエキスパンダーにおける動力回収が小さくなり、装置全体のエネルギー効率において更に改善が望まれていた。また、これらの技術においてはメタン(またはエタン)の濃度が低い液を主たるリフラックスとして使用する為に優れたリフラックス効果が得られず、従って、高いエタン回収率を得るためには、脱メタン塔の圧力を下げることによって分離効率を高める必要があり、その結果残留ガスの圧縮動力が大きくなって装置全体のエネルギー効率は低下せざるをえなかった。 本発明の目的は、炭化水素の分離を効率良く行うことのできる方法と装置を提供することである。より詳しくは、蒸留塔を用いた炭化水素の分離において、エネルギー効率を低下させることなく、分離効率を向上させることである。 本発明の別の目的は、エネルギー効率を低下させることなく、かつ安価に実施可能なように改良されたエタンまたはプロパン回収方法を提供することにある。 本発明により、少なくともメタンとメタンより低揮発性の炭化水素とを含む原料ガスを、蒸留塔を用いて、メタンが富化されかつメタンより低揮発性の炭化水素がより薄い残留ガスと、メタンがより薄くかつメタンより低揮発性の炭化水素が富化された重質留分とに分離する炭化水素の分離方法において、(a)該原料ガスを冷却し、その一部を凝縮させて気液分離する工程;(b)工程(a)で得られた液を蒸留塔に供給する工程;(c)工程(a)で得られたガスをエキスパンダーにより膨張させ、その一部を凝縮させて気液分離する工程;(d)工程(c)で得られた液を該蒸留塔に供給する工程;(e)工程(c)で得られたガスを第1の部分と第2の部分に分岐する工程;(f)該第1の部分を該蒸留塔に供給する工程;(g)該第2の部分を圧縮しかつ冷却して凝縮させた後減圧して該蒸留塔にリフラックスとして供給する工程;(h)該蒸留塔の塔頂部から該残留ガスを得、該蒸留塔の塔底部から該重質留分を得る工程を有することを特徴とする炭化水素の分離方法が提供される。 本発明により、少なくともエタンとエタンより低揮発性の炭化水素とを含む原料ガスを、蒸留塔を用いて、エタンが富化されかつエタンより低揮発性の炭化水素がより薄い残留ガスと、エタンがより薄くかつエタンより低揮発性の炭化水素が富化された重質留分とに分離する炭化水素の分離方法において、(a)該原料ガスを冷却し、その一部を凝縮させて気液分離する工程;(b)工程(a)で得られた液を蒸留塔に供給する工程;(c)工程(a)で得られたガスをエキスパンダーにより膨張させ、その一部を凝縮させて気液分離する工程;(d)工程(c)で得られた液を該蒸留塔に供給する工程;(e)工程(c)で得られたガスを第1の部分と第2の部分に分岐する工程;(f)該第1の部分を該蒸留塔に供給する工程;(g)該第2の部分を圧縮しかつ冷却して凝縮させた後減圧して該蒸留塔にリフラックスとして供給する工程;(h)該蒸留塔の塔頂部から該残留ガスを得、該蒸留塔の塔底部から該重質留分を得る工程を有することを特徴とする炭化水素の分離方法が提供される。 これらの方法において、工程(g)における冷却において冷却媒体として前記残留ガスを用いることが好ましい。 本発明により、少なくともメタンとメタンより低揮発性の炭化水素とを含む原料ガスを、メタンが富化されかつメタンより低揮発性の炭化水素がより薄い残留ガスと、メタンがより薄くかつメタンより低揮発性の炭化水素が富化された重質留分とに分離する炭化水素の分離装置において、塔頂部から該残留ガスを排出し、塔底部から該重質留分を排出する蒸留塔;該原料ガスを冷却しその一部を凝縮させ、一部が凝縮した原料ガスを気液分離する冷却分離手段;該冷却分離手段で得られた液を該蒸留塔に供給するライン;該冷却分離手段で得られたガスを膨張させその一部を凝縮させるエキスパンダー;該エキスパンダー出口に接続された気液分離器;該気液分離器で得られた凝縮液を該蒸留塔に供給するライン;該気液分離器で得られたガスを第1の部分と第2の部分に分岐する分岐手段;該第1の部分を該蒸留塔に供給するライン;該第2の部分を圧縮する圧縮手段;該圧縮手段で圧縮されたガスを冷却して凝縮させる冷却手段;該冷却手段で得られた凝縮液を減圧する減圧手段;および該減圧手段で減圧された凝縮液を該蒸留塔にリフラックスとして供給するラインを有することを特徴とする炭化水素の分離装置が提供される。 本発明により、少なくともエタンとエタンより低揮発性の炭化水素とを含む原料ガスを、エタンが富化されかつエタンより低揮発性の炭化水素がより薄い残留ガスと、エタンがより薄くかつエタンより低揮発性の炭化水素が富化された重質留分とに分離する炭化水素の分離装置において、塔頂部から該残留ガスを排出し、塔底部から該重質留分を排出する蒸留塔;該原料ガスを冷却しその一部を凝縮させ、一部が凝縮した原料ガスを気液分離する冷却分離手段;該冷却分離手段で得られた液を該蒸留塔に供給するライン;該冷却分離手段で得られたガスを膨張させその一部を凝縮させるエキスパンダー;該エキスパンダー出口に接続された気液分離器;該気液分離器で得られた凝縮液を該蒸留塔に供給するライン;該気液分離器で得られたガスを第1の部分と第2の部分に分岐する分岐手段;該第1の部分を該蒸留塔に供給するライン;該第2の部分を圧縮する圧縮手段;該圧縮手段で圧縮されたガスを冷却して凝縮させる冷却手段;該冷却手段で得られた凝縮液を減圧する減圧手段;および該減圧手段で減圧された凝縮液を該蒸留塔にリフラックスとして供給するラインを有することを特徴とする炭化水素の分離装置が提供される。 これらの装置において、前記冷却手段が前記塔頂部から排出された残留ガスを冷却媒体とする熱交換器を含むことが好ましい。 本発明によれば、ターボエキスパンダー入口ガスを全量ターボエキスパンダーに通すことにより、等エントロピー膨張に伴う動力回収が小さくならず、残留ガスを所定の圧力まで圧縮するのに要する動力が大きくならず、圧縮設備のコストが大きくならず、また運転時に圧縮に必要なエネルギーを大きくしないですみ、コストが増大しないですむ。さらに、メタン濃度もしくはエタン濃度の高いガスを圧縮・凝縮して蒸留塔(メタン回収の場合は脱メタン塔、プロパン回収の場合には脱エタン塔)のリフラックスとして使用することにより、残留ガス中のメタン濃度もしくはエタン濃度が上がり、蒸留塔の圧力を下げずとも、高い分離効率(エタン回収率もしくはプロパン回収率)が得られる。 図1は本発明に基づくエタン回収方法の実施例を示すプロセスフロー図である。 符号の説明 1:第1原料ガスクーラー、2:原料ガスチラー、3:第2原料ガスクーラー、4:低温セパレーター、5:ターボエキスパンダー、6:ターボエキスパンダーが駆動するコンプレッサー、7:ターボエキスパンダー出口セパレーター、8:低温コンプレッサー、9:リフラックスクーラー、10:リフラックスコンデンサー、11:脱メタン塔(プロパン回収プラントの場合には、脱エタン塔)、12:リボイラー、13:残留ガスコンプレッサー、14:減圧バルブ、15:減圧バルブ、101〜105:ライン、F1:脱メタン塔サイドストリーム、F2:サイドストリームF1の戻り、F3:脱メタン塔サイドストリーム、F4:サイドストリームF3の戻り。 本発明においては、ターボエキスパンダー出口の流体を気液分離し、分離したガスを再圧縮して高圧状態で脱メタン塔塔頂ガスと熱交換させ、冷却・凝縮させた後、減圧バルブで減圧し脱メタン塔にフィードすることができる。ここで、ターボエキスパンダー出口ガスの圧縮には、例えばモーター、スチームタービン、ガスタービンもしくはターボエキスパンダーが駆動するコンプレッサーを用いることができる。 本発明の目的、特徴的な性質、詳細および有利さを説明するため、図1に示すプロセスフロー図を用いてエタン回収プロセスの例を説明する。ここでいうエタン回収プロセスとは、原料ガス中に含まれる炭化水素成分を蒸留によりメタンとエタン及び重質な成分とに分離するプロセスである。エタン回収プロセスは蒸留塔(脱メタン塔)および原料ガスを蒸留に必要な温度まで冷却する設備を有する。なお、以下の記載および図面は単に本発明の好適な態様を説明するためのものであり、本発明はこれに限定されるものではない。 例えば天然ガスなどの原料ガスは、1つ以上の熱交換器により冷却され、低温セパレーター4で気液分離される。このとき、原料ガスの冷却は、脱メタン塔11の塔頂ガスである低温の残留ガスとの熱交換、プロパン冷凍、及び脱メタン塔のサイドストリームとの熱交換により行う。エタンの回収率を上げるには低温セパレータ4の温度は低いほど好ましく、90%以上の回収率を達成するためには、−40℃以下であることが好ましく、−45℃以下がさらに好ましい。また、天然ガスが凝縮される割合は天然ガスの組成(炭素数2以上の炭化水素の割合)により異なり、おおよそ5mol%以上20mol%以下である。原料ガスを冷却するために使用する熱交換器には、プレートフィン熱交換器または多管式熱交換器など公知の熱交換器を適宜使用することができる。また低温セパレータ4には縦型または横型のベッセル(両端に鏡板を有する円柱状容器)を使用することができ、気液の分離効率を上げるために、その内部にミスト分離器を有することもできる。図1の例では、原料ガスは第1原料ガスクーラー1で残留ガスおよび脱メタン塔のサイドストリームF1と熱交換し、原料ガスチラー2でプロパン冷凍により冷却され、第2原料ガスクーラー3で、再び残留ガスおよび脱メタン塔のサイドストリームF3と熱交換する。なおこれらサイドストリームF1およびF3はそれぞれ上記熱交換の後、脱メタン塔11に戻される(戻される流れはそれぞれF2およびF4として示される)。 低温セパレーター4出口ガスの全量は、ターボエキスパンダー5に送られ、等エントロピー膨張の効果により、出口ガスは極めて低温になり、かつ膨張時にガスが失うエネルギーをコンプレッサーの動力として回収することができる。本発明においては、低温セパレーター4出口ガスの全量をターボエキスパンダー5に流すため、低温セパレーター4出口ガスの一部しかターボエキスパンダー5に流さない場合(例えば、米国特許第4,140,504号公報および米国特許第5,568,737号公報に記載の技術)と比べ、より大きな動力を回収することができるという効能がある。 ターボエキスパンダー5出口で低温となったガスは、ターボエキスパンダー出口セパレーター7で気液分離される。このとき、ターボエキスパンダー出口セパレーター7で分離されたガスは、ターボエキスパンダー5入口のガスに比べ、メタン濃度が高くなっており、脱メタン塔のリフラックスとして使用するのに好ましい状態となっている。したがい、ターボエキスパンダー5入口のガスを脱メタン塔のリフラックスとして使用する場合(例えば、米国特許第4,140,504号公報に記載の技術)と比べ、残留ガス中のメタン濃度を大きくすることができるという効能がある。この効能により、残留ガス中のエタン濃度を下げ、エタンの回収率を上げることができる。 なお、「リフラックス」は、狭義には、蒸留塔塔頂ガスを凝縮させ再度蒸留塔に戻す液を意味するが、広義には、これに加えて、精留の目的で蒸留塔塔頂部に供給する液をも含む。本発明においては、「リフラックス」は広義の意味で使用され、蒸留塔に供給される精留効果を有する液をも含むものである。 ターボエキスパンダー出口セパレーター7には縦型または横型のベッセル(両端に鏡板を有する円柱状容器)を使用することができ、気液の分離効率を上げるために、その内部にミスト分離器を有することもできる。 ターボエキスパンダー出口セパレーター7を出たガスは、脱メタン塔塔頂部にリフラックスを供給するために2つのストリームに分割され、一方(ライン105)は低温コンプレッサー8で圧縮され、もう一方(ライン103)は脱メタン塔11にフィードされる。低温コンプレッサー8で圧縮されたガスは、圧力上昇に伴い、比較的高温で凝縮することができ、リフラックスクーラー(還流冷却器)9およびリフラックスコンデンサー10でそれぞれプロパン冷凍および低温の残留ガスとの熱交換により冷却され、凝縮される。その後、凝縮した液は、減圧バルブ14により脱メタン塔の運転圧力まで減圧され、脱メタン塔11の塔頂部にリフラックス(還流)としてフィード(供給)される(ライン104)。 ここで、低温コンプレッサー8には、例えばモーター、スチームタービン、ガスタービンもしくはターボエキスパンダーが駆動するコンプレッサーを用いることができる。また、コンプレッサーのタイプは、遠心式または往復動式など公知のものから適宜選ぶことができる。リフラックスクーラー9およびリフラックスコンデンサー10には、プレートフィン熱交換器または多管式熱交換器などの公知の熱交換器を適宜使用することができる。 ターボエキスパンダー出口セパレーター7を出たガスを、低温コンプレッサー8に送るガス(ライン105)と、脱メタン塔にフィードするガス(ライン103)とに分割する比率は、リフラックスコンデンサー10において低温の残留ガスとの熱交換の結果、凝縮する流体の液化率が最大になる比率が好ましく、おおよそ3:7(低温コンプレッサーに3割、脱メタン塔に7割)〜5:5が好ましい。 低温コンプレッサー8の出口圧力は、圧縮ガスの凝縮温度が低温ガスとの熱交換に適するまで上げることが好ましく、この観点から4.0MPa以上7.0MPa以下が好ましい。またリフラックスクーラー(還流冷却器)9出口の温度は、プロパン冷凍で冷却可能な温度が好ましく、この観点から−40℃以上−30℃以下が好ましい。リフラックスコンデンサー10の出口温度は、リフラックス効果を上げるため、リフラックスコンデンサー10出口流体の液化率が出来るだけ高くなる温度が好ましく、減圧バルブ14で減圧後の脱メタン塔塔頂部にフィードされるリフラックス(ライン104)が飽和の液体もしくは飽和に近い液体となりうる温度まで冷却することがさらに好ましい。この温度はおおよそ−100℃以上−90℃以下とすることができる。残留ガスとの熱交換だけでリフラックスコンデンサー10の出口温度を所定のエタン回収率を達成できるまで低下させることが出来る場合には、プロパン冷凍の負荷を下げるために、リフラックスクーラー(還流冷却器)9を設置しなくてもよい。 脱メタン塔11は、例えば塔内部にトレイまたはパッキングを有し、蒸留操作により高揮発性成分と低揮発性成分とを分離する。脱メタン塔の圧力は、下流の残留ガスの圧縮に要する動力を少なくするために、所定のエタン回収率を達成できる範囲で出来るだけ高いことが好ましく、この観点から1.5MPa以上3.5MPa以下が好ましく、2.5MPa以上3.5MPa以下がさらに好ましい。 脱メタン塔には4種類の流体がフィードされる。塔頂部にはリフラックスコンデンサー10で凝縮したリフラックスが減圧バルブ14を経由してフィードされ(ライン104)、それより下にターボエキスパンダー出口セパレーター7の出口ガスから分割されたガスがフィードされ(ライン103)、さらにそれより下に、ターボエキスパンダー出口セパレーター7で分離された液(ライン102)および低温セパレーター4で分離された液が減圧バルブ15を経由してフィードされる(ライン101)。ターボエキスパンダー出口セパレーター7で分離された液のフィード位置(ライン102)と、低温セパレーター4で分離された液のフィード位置(ライン101)は、図では前者が後者より上とされているが、場合によっては前者が後者より下とされてもよい。これら4種類のフィードのより詳細な位置は、各フィードの温度およびメタン濃度に応じて適宜決めることができる。 脱メタン塔の塔底部にはリボイラー12が設置され、塔底液中のメタンを揮発させ、塔底液中のメタン濃度が所定の値以下となるように熱が加えられる。 脱メタン塔の塔頂部からは、エタン・プロパンなどの成分を除去されたメタンを主成分とする残留ガスが分離され、リフラックス、及び原料ガスとの熱交換の後、ターボエキスパンダーが駆動するコンプレッサー6および、残留ガスコンプレッサー13により所定の圧力まで圧縮される。脱メタン塔11の塔底部からは、エタン・プロパンおよび重質成分がNGL(Natural Gas Liquid:天然ガス液)として分離される。得られたNGLは、例えば、さらに下流に設けられるNGL分離工程で各成分に分離される。 原料ガスとしては、メタンおよびメタンより低揮発性の炭化水素類を含んだ天然ガスなどが好ましい。原料ガスは、石油随伴ガス、または精油所もしくは石油化学プラントからのオフガスであってもよい。 原料ガス中のメタンより低揮発性の炭化水素類の濃度が大きいほど、ターボエキスパンダー5入口ガス中のメタン濃度とターボエキスパンダー出口ガスセパレーター7出口ガス中のメタン濃度との差が大きくなり、本発明によるリフラックス改善の効果が生まれやすい。したがい、原料ガス中のメタンより低揮発性の炭化水素類の濃度が5mol%以上50mol%以下である場合、さらには10mol%以上50mol%以下である場合、本発明の効果が特に顕著である。 また残留ガス中のエタン濃度が低いほど、高いエタン回収率であることを意味するため、残留ガス中のエタン濃度は出来るだけ低い方が好ましく、5mol%以下が好ましく、1mol%以下がさらに好ましい。 より高いエタン回収率が望まれる場合に、本発明の効果は顕著であり、例えばエタン回収率が90%以上、さらには94%以上において、従来技術(例えば米国特許第4,140,504号公報または米国特許第5,568,737号公報に記載される技術)と比べ、圧縮に必要なエネルギーの削減が顕著となる。またターボエキスパンダー5入口のガスを脱メタン塔のリフラックスに使用する場合(例えば米国特許第4,140,504号公報に記載される技術の場合)、エタン回収率がおおよそ90〜94%あるいはそれ以上になると、メタンとエタンを分離することが困難となり、圧縮に必要なエネルギーが増大するのに対し、本発明においては、よりメタン濃度の高いリフラックスを使用するため、分離効率が高く、より低いエネルギーで90%以上、さらには94%以上のエタン回収率を達成することができる。 NGLは液化、回収したメタンより低揮発性の炭化水素類で構成され、例えばさらに下流に設けられるNGL分留設備へと送り出され、エタン、プロパン、ブタン等の製品に分離される。このような場合、NGL中のメタンはエタン製品の規格を満足できる程度まで低いことが好ましく、2mol%以下が好ましく、1mol%以下がさらに好ましい。 本発明を実施するための形態の一つとして、より高いエタン回収率が望まれる場合には、残留ガスを残留ガスコンプレッサー13で圧縮した後、その一部を分岐し、再度低温の残留ガスとの熱交換およびプロパン冷凍により冷却、凝縮させ、減圧バルブで減圧した後、脱メタン塔11の塔頂部にリフラックスとしてフィードすることもあり得る。この場合には、減圧バルブ14を出たリフラックス(ライン104)は塔頂部から若干下に(トレイを用いているならば何段か下に)フィードされる。この場合、ターボエキスパンダー出口セパレーター7を出たガスを用いたリフラックスに加え、さらにメタン濃度の高い残留ガスをリフラックスとして用いることにより、より高いエタン回収率が期待できる。 プロパン回収プロセスの場合も、上記の例と原理は同じで、脱メタン塔11に替えて脱エタン塔が用いられ、脱エタン塔の塔頂部からは、メタン及びエタンを主成分とする残留ガスが分離され、脱エタン塔の塔底部からはプロパンおよび重質成分がNGLとして分離される。 以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。 〔実施例1〕 図1に示した構成のガス処理プラントを用い、エタン回収を行った例を説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。ここでは、あらかじめ水が除去された高圧の原料天然ガスが、6.24MPa、17.1℃の条件でガス処理プラントに導入される。この時の原料ガスの組成は、表1に示されるとおりである。流量は13,700kg−mol/時(103モル/時)である。なおCn(nは自然数)は炭素数nの炭化水素を表す。C5+は炭素数5以上の炭化水素を表す。 原料ガスは第1原料ガスクーラー1で、−39.7℃の残留ガスおよび−23.3℃の脱メタン塔11のサイドストリームと熱交換し、−29℃まで冷却される。その後、原料ガスチラー2でプロパン冷凍により−37℃まで冷却され、第2原料ガスクーラー3で、−51.5℃の残留ガスおよび−82.7℃の脱メタン塔11のサイドストリームとの熱交換により−51.5℃まで冷却される。ここで第1原料ガスクーラー1および第2原料ガスクーラー3はプレートフィン熱交換器であり、原料ガスチラー2はケトル型の多管式熱交換器である。 次に、原料ガスは低温セパレーター4で気液分離される。このとき、分離されたガスは、メタンを93.02モル%含んだガスである。低温セパレータ4は内部にミスト分離器を有する縦型ベッセル(両端に鏡板を有する円柱状容器)である。 低温セパレーター4出口ガスの全量は、ターボエキスパンダー5に送られ、3.0MPaまで減圧される。出口ガスは等エントロピー膨張の効果により−82.3℃まで冷却され、1,830kWの動力をエキスパンダーが駆動するコンプレッサー6に与える。ターボエキスパンダー5出口のガスは、ターボエキスパンダー出口セパレーター7で気液分離される。このとき、分離されたガスは、メタンを96.18モル%含んだガスであり、ターボエキスパンダー5の入口ガスと比べてメタンは濃縮している。ターボエキスパンダー出口セパレーター7は、内部にミスト分離器を有する縦型ベッセル(両端に鏡板を有する円柱状容器)である。 ターボエキスパンダー出口セパレーター7を出たガスは、4:6の比率で分割され、それぞれモーターで駆動される低温コンプレッサー8と脱メタン塔11に送られる(低温コンプレッサーに4割(ライン105)、脱メタン塔に6割(ライン103))。低温コンプレッサー8に送られたガスは、6.2MPaまで圧縮され、リフラックスクーラー9およびリフラックスコンデンサー10でそれぞれプロパン冷凍および低温の残留ガスとの熱交換により−94.7℃まで冷却され、凝縮される。その後、凝縮した液は、減圧バルブ14により2.8MPaまで減圧され、脱メタン塔11の塔頂部にリフラックスとしてフィードされる(ライン104)。このとき、低温コンプレッサー8の所要動力は、1,540kWである。 脱メタン塔11は、内部に40段のトレイが設置され、リフラックスコンデンサー10で凝縮されたリフラックスは減圧バルブ14を経由して塔頂から第1段目のトレイにフィードされ(ライン104)、ターボエキスパンダー出口セパレーター7の出口から分割されたガスは塔頂から8段目のトレイにフィードされる(ライン103)。また、ターボエキスパンダー出口セパレーター7で分離された液は塔頂から12段目にフィードされる(ライン102)。さらに、低温セパレーター4で分離された液は、減圧バルブ15で2.82MPaまで減圧された後、塔頂から17段目にフィードされる(ライン101)。 脱メタン塔11は、塔頂部で2.8MPa、−96.7℃の条件で運転され、塔底部では2.85MPa、25.4℃の条件で運転される。塔底部の温度は、NGL中のメタン濃度が1モル%以下になる平衡温度により決まり、その温度で運転するため、リボイラー12から2.23MWの熱が加えられる。脱メタン塔11の塔頂部から分離される残留ガス、及び塔底部から分離されるNGLの組成は、表2に示される通りである。流量は、残留ガスが12,385kg−mol/時(103モル/時)、NGLが1,315kg−mol/時(103モル/時)である。 表2に示すように、原料ガス中のエタンの内、94.7%がNGLとして回収される。 脱メタン塔11の塔頂部を出た残留ガスは、リフラックスおよび原料ガスと熱交換し、第1原料ガスクーラー1の出口で13.2℃になる。その後、ターボエキスパンダーが駆動するコンプレッサー6で3.3MPaまで圧縮され、残留ガスコンプレッサー13により3.8MPaまで圧縮される。このとき、残留ガスコンプレッサー13の所要動力は、1,510kWである。 〔比較例1〕 米国特許第4,140,504号公報の技術(Gas Subcooled Process)によりエタン回収を行った。その結果を実施例1の結果と共に表3にまとめる。 表3において、冷凍負荷は原料ガスチラー(図1では原料ガスチラー2)におけるプロパン冷凍システムの熱負荷であり、この値が小さいことはプロパン冷凍設備が小さくなることを意味する。 これらを比較すれば明らかなように、実施例1では、米国特許第4,140,504号公報記載の技術によってエタン回収を行った場合と比較して、冷凍負荷およびコンプレッサー動力が小さいにも係わらずエタン回収率を向上させることが可能である。 冷凍負荷の低下はプロパン冷凍設備容量の低下を意味し、プロパン冷凍設備で消費するエネルギーの低下、およびプロパン冷凍の設備費低下の効果がある。 またコンプレッサー動力の低下は、消費エネルギーの低下の効果がある。さらに、大きな動力を必要とする残留ガスコンプレッサーの駆動機には高価なガスタービンが使用されることが多いため、このコンプレッサー動力を大幅に低下させることにより、比較的安価なモーターを駆動機として使うことができるという効果がある。 少なくともメタンとメタンより低揮発性の炭化水素とを含む原料ガスを、蒸留塔を用いて、メタンが富化されかつメタンより低揮発性の炭化水素がより薄い残留ガスと、メタンがより薄くかつメタンより低揮発性の炭化水素が富化された重質留分とに分離する炭化水素の分離方法において、(a)該原料ガスを冷却し、その一部を凝縮させて気液分離する工程;(b)工程(a)で得られた液を蒸留塔に供給する工程;(c)工程(a)で得られたガスをエキスパンダーにより膨張させ、その一部を凝縮させて気液分離する工程;(d)工程(c)で得られた液を該蒸留塔に供給する工程;(e)工程(c)で得られたガスを第1の部分と第2の部分に分岐する工程;(f)該第1の部分を該蒸留塔に供給する工程;(g)該第2の部分を圧縮しかつ冷却して凝縮させた後減圧して該蒸留塔にリフラックスとして供給する工程;(h)該蒸留塔の塔頂部から該残留ガスを得、該蒸留塔の塔底部から該重質留分を得る工程を有することを特徴とする炭化水素の分離方法。 少なくともエタンとエタンより低揮発性の炭化水素とを含む原料ガスを、蒸留塔を用いて、エタンが富化されかつエタンより低揮発性の炭化水素がより薄い残留ガスと、エタンがより薄くかつエタンより低揮発性の炭化水素が富化された重質留分とに分離する炭化水素の分離方法において、(a)該原料ガスを冷却し、その一部を凝縮させて気液分離する工程;(b)工程(a)で得られた液を蒸留塔に供給する工程;(c)工程(a)で得られたガスをエキスパンダーにより膨張させ、その一部を凝縮させて気液分離する工程;(d)工程(c)で得られた液を該蒸留塔に供給する工程;(e)工程(c)で得られたガスを第1の部分と第2の部分に分岐する工程;(f)該第1の部分を該蒸留塔に供給する工程;(g)該第2の部分を圧縮しかつ冷却して凝縮させた後減圧して該蒸留塔にリフラックスとして供給する工程;(h)該蒸留塔の塔頂部から該残留ガスを得、該蒸留塔の塔底部から該重質留分を得る工程を有することを特徴とする炭化水素の分離方法。 工程(g)における冷却において冷却媒体として前記残留ガスを用いる請求項1または2記載の方法。 少なくともメタンとメタンより低揮発性の炭化水素とを含む原料ガスを、メタンが富化されかつメタンより低揮発性の炭化水素がより薄い残留ガスと、メタンがより薄くかつメタンより低揮発性の炭化水素が富化された重質留分とに分離する炭化水素の分離装置において、塔頂部から該残留ガスを排出し、塔底部から該重質留分を排出する蒸留塔;該原料ガスを冷却しその一部を凝縮させ、一部が凝縮した原料ガスを気液分離する冷却分離手段;該冷却分離手段で得られた液を該蒸留塔に供給するライン;該冷却分離手段で得られたガスを膨張させその一部を凝縮させるエキスパンダー;該エキスパンダー出口に接続された気液分離器;該気液分離器で得られた凝縮液を該蒸留塔に供給するライン;該気液分離器で得られたガスを第1の部分と第2の部分に分岐する分岐手段;該第1の部分を該蒸留塔に供給するライン;該第2の部分を圧縮する圧縮手段;該圧縮手段で圧縮されたガスを冷却して凝縮させる冷却手段;該冷却手段で得られた凝縮液を減圧する減圧手段;および該減圧手段で減圧された凝縮液を該蒸留塔にリフラックスとして供給するラインを有することを特徴とする炭化水素の分離装置。 少なくともエタンとエタンより低揮発性の炭化水素とを含む原料ガスを、エタンが富化されかつエタンより低揮発性の炭化水素がより薄い残留ガスと、エタンがより薄くかつエタンより低揮発性の炭化水素が富化された重質留分とに分離する炭化水素の分離装置において、塔頂部から該残留ガスを排出し、塔底部から該重質留分を排出する蒸留塔;該原料ガスを冷却しその一部を凝縮させ、一部が凝縮した原料ガスを気液分離する冷却分離手段;該冷却分離手段で得られた液を該蒸留塔に供給するライン;該冷却分離手段で得られたガスを膨張させその一部を凝縮させるエキスパンダー;該エキスパンダー出口に接続された気液分離器;該気液分離器で得られた凝縮液を該蒸留塔に供給するライン;該気液分離器で得られたガスを第1の部分と第2の部分に分岐する分岐手段;該第1の部分を該蒸留塔に供給するライン;該第2の部分を圧縮する圧縮手段;該圧縮手段で圧縮されたガスを冷却して凝縮させる冷却手段;該冷却手段で得られた凝縮液を減圧する減圧手段;および該減圧手段で減圧された凝縮液を該蒸留塔にリフラックスとして供給するラインを有することを特徴とする炭化水素の分離装置。 前記冷却手段が前記塔頂部から排出された残留ガスを冷却媒体とする熱交換器を含む請求項4または5記載の装置。


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