生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_制酸剤組成物
出願番号:2005503694
年次:2011
IPC分類:A61K 33/10,A61K 33/00,A61K 33/08,A61P 1/04,A61P 1/08


特許情報キャッシュ

久我 宏彰 狩野 祐一郎 玉田 亮宏 川島 弘行 JP 4669391 特許公報(B2) 20110121 2005503694 20040316 制酸剤組成物 興和株式会社 000163006 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 浅野 康隆 100089048 的場 ひろみ 100101317 大野 詩木 100134935 久我 宏彰 狩野 祐一郎 玉田 亮宏 川島 弘行 JP 2003072997 20030318 20110413 A61K 33/10 20060101AFI20110324BHJP A61K 33/00 20060101ALI20110324BHJP A61K 33/08 20060101ALI20110324BHJP A61P 1/04 20060101ALI20110324BHJP A61P 1/08 20060101ALI20110324BHJP JPA61K33/10A61K33/00A61K33/08A61P1/04A61P1/08 A61K 33/10 A61K 33/00 A61K 33/08 A61P 1/04 A61P 1/08 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平06−056677(JP,A) 特開2000−219625(JP,A) 再公表特許第95/033469(JP,A1) 特開昭58−004725(JP,A) 特開平11−124334(JP,A) 山下克子,制吐・制酸薬,治療,1990年,72, 2,p.170-177 安海義曜他,抗コリン剤,制酸剤の占める位置,内科,1987年,60, 1,p.20-23 1 JP2004003479 20040316 WO2004082692 20040930 7 20061108 松浦 安紀子 本発明は、酸中和作用の速効性と持続性を兼ね備え、反動的酸分泌を引き起こさず、更にアルミニウムを含有しない制酸剤組成物に関する。 胃腸薬は、一般に、胃酸過多、胸やけ、胃部不快感、胃部膨満感、もたれ、胃重、胸つかえ、げっぷ、はきけ、嘔吐、飲み過ぎ、胃痛等の諸症状の緩和を行うため、市販の胃腸薬の大半には、胃内へ分泌される塩酸の中和及びペプシンを不活性化する制酸剤が配合されている。 制酸剤が配合された胃腸薬には、服用後直ちに胃酸を中和し、速やかに症状を緩和する速効性に加え、分泌されてくる塩酸を中和し、効果を持続させる作用が望まれる。また、胃内のpHがアルカリ性側に傾くことで生じる反動的酸分泌を引き起こさないことも重要な要素である。 しかし、現実には、これらの要件を一種類の成分からなる制酸剤で満たすことは困難である。一方、制酸剤の中でも、アルミニウムを含有する制酸剤は持続性を有することが知られている。そのため、制酸剤が配合された市販の胃腸薬のほとんどにはアルミニウムが配合されており、実際には、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の速効性の制酸剤と、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の持続性の制酸剤とを組み合わせたもの、これらの共沈物、これらの固溶体などが配合成分として用いられている。 しかし、最近では、アルミニウムの長期摂取とアルミニウム脳症やアルツハイマー型痴呆症との関連性についての報告もあり、比較的長期間に渡って服用されることの多い制酸剤を配合した胃腸薬においては、アルミニウムを含有しない処方の開発が望まれている。 アルミニウムを含有しない制酸剤処方としては、例えば、リン酸水素カルシウム等とアルミニウムを含有しない制酸剤とからなる制酸剤組成物が報告され、当該組成物によって胃内のpHが適度にコントロールされ、作用時間の持続が可能となっている(特開平11−124334号公報)。ところが、十分な制酸効果を得るためには服用量を多くする必要がある。その結果、コンプライアンスの低下、他の薬効成分の配合の制限等の問題を生じ、必ずしも満足のいくものではない。 従って、本発明の目的は、酸中和作用の速効性と持続性を兼ね備え、反動的酸分泌を引き起こさず、更にアルミニウムを含有しない制酸剤組成物を提供することにある。 本発明者等は、斯かる実情に鑑み、制酸剤組成物について鋭意検討した結果、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸カルシウムの3成分を一定pHを示すよう配合すれば、アルミニウムを含有せずに、酸中和作用の速効性と持続性を有し、反動的酸分泌がない制酸剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。 すなわち本発明は、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸カルシウムを含有し、フックス変法試験における最高到達pHが5〜7である、アルミニウムを含有しない制酸剤組成物を提供するものである。 本発明によれば、酸中和作用の速効性と持続性を兼ね備え、反動的酸分泌を引き起こさず、更にアルミニウムを含有しない制酸剤組成物を得ることができる。従って、本発明の制酸剤組成物は、胃腸薬に配合される制酸剤として有用である。 図1は、フックス変法試験により求めたpH変化を示す図である。 本発明で用いる水酸化マグネシウムとしては、例えば、キョーワスイマグ(協和化学製)、水酸化マグネシウム(富田製薬製)等の市販品が挙げられる。水酸化マグネシウムの配合量は、製剤全量に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましく、1〜7重量%が特に好ましい。 本発明で用いる炭酸水素ナトリウムとしては、例えば、重炭酸ナトリウム(旭硝子製)、炭酸水素ナトリウム(オリエンタル薬品工業製)等の市販品が挙げられる。炭酸水素ナトリウムの配合量は、製剤全量に対して1〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、10〜30重量%が特に好ましい。 本発明で用いる炭酸カルシウムとしては、例えば、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸カルシウムを主成分とするボレイ、ボレイ末、石決明もしくは烏賊骨などが挙げられる。市販品としては沈降炭酸カルシウム(備北粉化工業製)、沈降炭酸カルシウム(オリエンタル薬品工業製)等が挙げられる。炭酸カルシウムの配合量は、製剤全量に対して10〜80重量%が好ましく、15〜70重量%がより好ましく、20〜60重量%が特に好ましい。 本発明の制酸剤組成物は、前記3成分を含有し、かつフックス変法試験における最高到達pHが5〜7であることが、速効性及び持続性だけでなく、反動的酸分泌を防止するうえで必要である。すなわち、当該最高到達pHが5未満では十分な速効性及び持続性が得られず、7を超えると反動的酸分泌が生じる。ここでフックス変法試験とは以下の条件で行う試験方法である。すなわち、37±2℃に保った0.1N塩酸50mL中に、1回服用量に相当する制酸剤組成物を加えて試験を開始し、開始後10分まで2分毎にpHを測定することで、制酸効果の速効性を評価する。さらに開始後10分以降は、0.1N塩酸を毎分2mLの速度で滴下し、同じく2分毎にpHを測定することで、制酸効果の持続性を評価する。なお試験中は、スターラーにより試験液を撹拌し続ける。 上記のような最高到達pHを得るためには、水酸化マグネシウムと炭酸水素ナトリウムの質量比は、1:0.1〜15が好ましく、1:1〜12がより好ましく、1:3〜9が特に好ましい。水酸化マグネシウムと炭酸カルシウムの質量比は、1:1〜40が好ましく、1:3〜30がより好ましく、1:5〜20が特に好ましい。炭酸水素ナトリウムと炭酸カルシウムの質量比は、0.1〜15:1〜40が好ましく、1〜12:3〜30がより好ましく、3〜9:5〜20が特に好ましい。 本発明の制酸剤組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸カルシウムを通常用いられる機械により均一に混合して製造することができる。 本発明の制酸剤組成物には、必要に応じて、以下の薬物や添加物を用いることができる。薬物としては、上記以外の制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、止瀉剤、鎮痛鎮痙剤、胃粘膜修復剤、ビタミン類、消泡剤等を例示できる。 上記以外の制酸剤としては、例えば、炭酸マグネシウム、アミノ酢酸、ロートエキス、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。 健胃剤としては、例えば、アニス実、アロエ、ウイキョウ、ウコン、ウヤク、延命草、オウゴン、オウバク、オウレン、加工大蒜、ガジュツ、カッコウ、カラムス根、乾薑、枳殻、キジツ、ケイヒ、ゲンチアナ、コウジン、コウボク、ゴシュユ、胡椒、コロンボ、コンズランゴ、サンショウ、山奈、シソシ、シュクシャ、ショウキョウ、ショウズク、青皮、石菖根、センタウリウム草、センブリ、ソウジュツ、ソヨウ、大茴香、ダイオウ、チクセツニンジン、チョウジ、チンピ、トウガラシ、トウヒ、動物胆(ユウタンを含む)、ニガキ、ニクズク、ニンジン、ハッカ(セイヨウハッカを含む)、篳撥(ヒハツ)、ビャクジュツ、ホップ、ホミカエキス、睡菜葉(スイサイヨウ)、モッコウ、ヤクチ、リュウタン、リョウキョウ、ウイキョウ油、ケイヒ油、ショウキョウ油、ショウズク油、チョウジ油、トウヒ油、ハッカ油、レモン油、l−メントール、dl−メントール、塩酸ベタイン、グルタミン酸塩酸塩、塩化カルニチン、塩化ベタネコール、乾燥酵母等が挙げられる。 消化剤としては、例えば、でんぷん消化酵素、たん白消化酵素、脂肪消化酵素、繊維素消化酵素、ウルソデスオキシコール酸、オキシコーラン酸塩類、コール酸、胆汁末、胆汁エキス(末)、デヒドロコール酸、動物胆(ユウタンを含む)等が挙げられる。 整腸剤としては、例えば、整腸生菌成分、赤芽柏、アセンヤク、ウバイ、ケツメイシ、ゲンノショウコ等が挙げられる。 止瀉剤としては、例えば、アクリノール、塩化ベルベリン、グアヤコール、クレオソート、サリチル酸フェニル、炭酸グアヤコール、タンニン酸ベルベリン、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、タンニン酸、タンニン酸アルブミン、メチレンチモールタンニン、カオリン、ペクチン、薬用炭、乳酸カルシウム、アセンヤク、ウバイ、オウバク、オウレン、クジン、ゲンノショウコ、五倍子、サンザシ、センブリ、ヨウバイヒ等が挙げられる。 鎮痛鎮痙剤としては、例えば、塩酸オキシフェンサイクリミン、塩酸ジサイクロミン、塩酸メチキセン、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルアトロピン、臭化メチルアニソトロピン、臭化メチルスコポラミン、臭化メチル−l−ヒヨスチアミン、臭化メチルベナクチジウム、ベラドンナエキス、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根総アルカロイドクエン酸塩、塩酸パパベリン、アミノ安息香酸エチル、エンゴサク、カンゾウ、コウボク、シャクヤク等が挙げられる。 胃粘膜修復剤としては、例えば、アズレンスルホン酸ナトリウム、アルジオキサ、グリチルリチン酸及びその塩類並びに甘草抽出物、L−グルタミン、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、塩酸ヒスチジン、ブタ胃壁ペプシン分解物、ブタ胃壁酸加水分解物、メチルメチオニンスルホニウムクロライド、赤芽柏、エンゴサク、カンゾウ等が挙げられる。 ビタミン類としては、例えば、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ビタミンB1又はその誘導体もしくはその塩類、ビタミンB2又はその誘導体もしくはその塩類、ビタミンB6又はその誘導体もしくはその塩類、ビタミンC又はその誘導体もしくはその塩類等が挙げられる。 消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。 添加物としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤等を例示できる。 賦形剤としては、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、蔗糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。結合剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン等が挙げられる。崩壊剤としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシ澱粉、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が挙げられる。着色剤としては、タール色素、三二酸化鉄等が挙げられる。矯味剤としてはステビア、アスパルテーム、香料等が挙げられる。 本発明の制酸剤組成物は、目的に応じて散剤、顆粒剤、錠剤、チュアブル錠、フィルムコーティング錠、糖衣錠、ドリンク剤、軟カプセル剤、硬カプセル剤、ゼリー剤等の剤型に製造できる。 以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 水酸化マグネシウム33mg(水酸化マグネシウム:富田製薬製)、炭酸水素ナトリウム300mg(重炭酸ナトリウム:旭硝子製)及び沈降炭酸カルシウム400mg(沈降炭酸カルシウム:備北粉化工業製)を取り、乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。 水酸化マグネシウム33mg、炭酸水素ナトリウム200mg及び沈降炭酸カルシウム500mgを取り、乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。 水酸化マグネシウム67mg、炭酸水素ナトリウム300mg及び沈降炭酸カルシウム500mgを取り乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。 水酸化マグネシウム67mg、炭酸水素ナトリウム200mg及び沈降炭酸カルシウム500mgを取り乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。 水酸化マグネシウム33mg、炭酸水素ナトリウム200mg及び沈降炭酸カルシウム600mgを取り乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。 水酸化マグネシウム33mg、炭酸水素ナトリウム200mg及び沈降炭酸カルシウム433mgを取り乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。比較例1 水酸化マグネシウム33mg及び炭酸水素ナトリウム300mgを取り、乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。比較例2 炭酸水素ナトリウム300mg及び沈降炭酸カルシウム400mgを取り、乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。比較例3 水酸化マグネシウム33mg及び沈降炭酸カルシウム400mgを取り、乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。比較例4 特開昭58−4725号公報第4及び5頁記載の処方A2を調製した。すなわち、炭酸水素ナトリウム381.1mg、炭酸カルシウム300.5mg、リン酸カルシウム14.7mg、水酸化マグネシウム22mg及び酸化チタン14.7mgを取り、乳鉢で均一に混合し制酸剤組成物を得た。試験例1 実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた制酸剤組成物を用いて、フックス変法試験にて制酸活性の速効性及び持続性を検討した。制酸効果の速効性の指標は、最高到達pHとなる試験開始10分後のpHとし、制酸効果の持続性の指標は、pHが3.5以下になるまでの時間とした。フックス変法試験において、10分後のpHが6以上の場合に速効性があるとみなし、その後pHが3.5以下になるまでの時間が40分以上であれば持続性があるとみなした。また、反動的酸分泌の指標は、最高到達pHで評価した。その結果を表1、表2及び図1に示す。 表1、表2及び図1より、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸カルシウムのうち、炭酸カルシウムを欠いた比較例1は、最高到達pHが約2と十分な制酸活性を有しなかった。また、比較例4の最高到達pH(10分後)は7.3であり、反動的酸分泌が生じるおそれがあることが判明した。一方、水酸化マグネシウムを欠いた比較例2及び炭酸水素ナトリウムを欠いた比較例3では、何れも制酸効果の持続時間が不十分であった。一方、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸カルシウムを配合した実施例1〜6では、長い酸中和持続時間を有し、かつ10分後の最高到達pHが6〜7と速効性があり、反動的酸分泌が生じないと考えられる。製造例1 炭酸水素ナトリウム900g、水酸化マグネシウム100g、炭酸カルシウム1200g、ロートエキス3倍散90g、センブリ末28g、ビオジアスターゼ24g、リパーゼ15g、ヒドロキシプロピルセルロース150g、カルメロースカルシウム180g及び結晶セルロース877gを、高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサー:深江工業製)にて混合し、エタノールを加え、練合、造粒した後、乾燥、整粒し、整粒末とした。整粒末にステアリン酸マグネシウム36gを加え、打錠機で圧縮成形して、1錠600mgの錠剤を6000錠製造した。 水酸化マグネシウム1〜10重量%、炭酸水素ナトリウム5〜50重量%及び炭酸カルシウム20〜80重量%を含有し、かつ水酸化マグネシウムと炭酸水素ナトリウムの質量比が1:(3〜9)、水酸化マグネシウムと炭酸カルシウムの質量比が1:(5〜20)であって、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸カルシウムの3成分によって、フックス変法試験における最高到達pHが5〜7となるように調整されたものである、アルミニウムを含有しない制酸剤組成物。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る