タイトル: | 公開特許公報(A)_カンジダ症の予防又は治療用組成物 |
出願番号: | 2005380616 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 31/56,A61K 31/4174,A61K 31/4166,A61P 31/10 |
清林 由佳 JP 2007182385 公開特許公報(A) 20070719 2005380616 20051229 カンジダ症の予防又は治療用組成物 ロート製薬株式会社 000115991 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 田中 順也 100124431 清林 由佳 A61K 31/56 20060101AFI20070622BHJP A61K 31/4174 20060101ALI20070622BHJP A61K 31/4166 20060101ALI20070622BHJP A61P 31/10 20060101ALI20070622BHJP JPA61K31/56A61K31/4174A61K31/4166A61P31/10 3 OL 18 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC38 4C086DA08 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA52 4C086MA56 4C086MA60 4C086MA63 4C086NA05 4C086NA08 4C086ZB35 4C086ZC54 本発明は、カンジダ症の原因真菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対して優れた抗真菌作用を示すカンジダ症の予防又は治療用組成物に関する。 カンジダ・アルビカンスは皮膚、粘膜、腸管等において、他の常在菌と共に存在している非病原性の真菌である。カンジダ・アルビカンスは、他の常在菌とのバランスを保って存在する限り、真菌症を発症させることはない。しかしながら、ステロイド、抗生物質、免疫抑制剤等の薬物の過剰投与、糖尿病や免疫不全等による免疫力の低下、衛生状態の劣悪化等が要因となって、常在菌のバランスが崩れ、カンジダ・アルビカンスが局所的に蔓延すると、皮膚カンジダ症、膣カンジダ症、外陰部カンジダ症、口腔カンジダ症、カンジダ性指間びらん症、カンジダ性爪囲爪炎、食道・腸管カンジダ症等のカンジダ症が引き起こされる。 従来、カンジダ症の治療には、ポリエン系抗真菌剤やイミダゾール系抗真菌剤等を含む製剤の投与が有効であると考えられている。これまでに、カンジダ症の治療効果を高めた製剤として、抗真菌剤の作用を増強した製剤処方が種々報告されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来のカンジダ症治療用の製剤では、カンジダに対する抗真菌作用が依然として不十分であるという欠点があったり、カンジダと共に他の常在菌に対しても強い抗菌作用を示すという不都合があった。更に、従来のカンジダ症治療用の製剤には、刺激を感じるものがあり、適用される患部が制限されるという問題もあった。 このような従来技術を背景として、カンジダに対して優れた抗菌作用を有していながら、刺激性及び他の常在菌に対する悪影響が低減されているカンジダ症の予防又は治療用組成物の開発が望まれている。特開平7−233088号公報 本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することである。具体的には、本発明は、カンジダ・アルビカンスに対して優れた抗菌作用を有していながら、刺激性及び他の常在菌に対する悪影響が低減されているカンジダ症の予防又は治療用組成物を提供することを目的とするものである。 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、抗真菌剤として(A)イソコナゾール及び/又はその塩と共に、(B)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アラントイン、これらの誘導体、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の成分を組み合わせて配合した組成物は、カンジダ・アルビカンスに対する抗真菌作用に優れ、しかも低刺激であり、他の常在菌に対する悪影響も緩和されており、カンジダ症の予防乃至治療に有用であることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。 即ち、本発明は、下記に掲げるカンジダ症の予防又は治療用組成物である:項1.(A)イソコナゾール及び/又はその塩、及び(B)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アラントイン、これらの誘導体、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、カンジダ症の予防又は治療用組成物。項2. 前記(A)成分100重量部に対して、前記(B)成分を0.1〜1000重量部の割合で含有する、項1に記載のカンジダ症の予防又は治療用組成物。項3. 膣カンジダ症、外陰部カンジダ症、又は男性の性器カンジダ症に対して適用される、項1又は2に記載のカンジダ症の予防又は治療用組成物。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の予防又は治療用組成物は、イソコナゾール及び/又はその塩(以下、これらを単に「(A)成分」と表記することもある)を含有する。 イソコナゾールは、真菌類の細胞膜の透過性を迅速かつ強力に変化させることによって、抗真菌作用を発揮するイミダゾール系抗真菌剤であり、化学名(IUPAC名)は1-{2-〔(2,6-ジクロロベンジル)オキシ〕-2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル}イミダゾールで表される。 イソコナゾールの塩は、薬理学的に又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されない。イソコナゾールの塩として、例えば、有機酸塩、無機酸塩、金属塩等の各種の塩が挙げられる。具体的には、硝酸イソコナゾールが例示される。イソコナゾールの塩は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 当該(A)成分の好ましいものとしては、硝酸イソコナゾールが挙げられる。 本発明の予防又は治療用組成物における(A)成分の配合量については、該組成物の形態や1回当たりの投与量等に応じて適宜設定される。一例として、(A)成分の配合量は、該組成物の総量に対して、通常0.01〜40重量%、好ましくは0.05〜30重量%、更に好ましくは0.05〜15重量%が挙げられる。より具体的には、 (A)成分の配合量として以下の範囲が例示される:本発明の予防又は治療用組成物が液状又は半固形状の場合;(A)成分の配合量は、該組成物の総量に対して、通常0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜1.5)重量%、更に好ましくは0.5〜1重量%、本発明の予防又は治療用組成物が固形状の場合;(A)成分の配合量は、該組成物の総量に対して、通常2〜40重量%、好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜15重量%。 更に、本発明の予防又は治療用組成物は、上記(A)成分に加えて、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アラントイン、これらの誘導体、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の成分(以下、単に「(B)成分」と表記することもある)を含有する。即ち、本発明の予防又は治療用組成物は、(B)成分として、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸の塩、グリチルリチン酸の誘導体、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸の塩、グリチルレチン酸の誘導体、アラントイン、及びアラントインの誘導体の中の1種又は2種以上を含有する。 グリチルリチン酸は、抗炎症作用を示す化合物であり、化学名(IUPAC名)は、20β-カルボキシ-11-オキソ-30-ノルオレアナ-12-エン-3β-イル=(β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→2)-α-D-グルコピラノシドウロン酸で表される。 グリチルリチン酸の塩としては、薬理学上許容されるものであれば特に制限されず、例えばナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等を例示することができる。具体的にはグリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸三カリウム等のアルカリ金属塩;グリチルリチン酸モノアンモニウム等のアンモニウム塩等が例示できる。これらのグリチルリチン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。グリチルリチン酸の塩として、好ましくはグリチルリチン酸二カリウムを挙げることができる。また、本発明において、グリチルリチン酸塩として、グリチルリチン酸塩を含有する生薬(例えば、カンゾウ)を用いることもできる。 グリチルリチン酸の誘導体としては、薬理学上許容されるものである限り特に制限されないが、具体的にはグリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル等を例示することができる。これらのグリチルリチン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。また、本発明でいうグリチルリチン酸の誘導体には、これらの薬学的に許容される塩も包含される。かかる塩としては、例えばナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩;アンモニウム塩等を例示することができる。 グリチルレチン酸は、抗炎症作用を示す化合物であり、化学名(IUPAC名)は、3β-ヒドロキシ-11-オキソオレアナ-12-エン-30-酸で表される。 またグリチルレチン酸の塩としては、薬理学上許容されるものであれば特に制限されないが、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等を例示することができる。具体的にはグリチルレチン酸二ナトリウム、グリチルレチン酸三ナトリウム、グリチルレチン酸二カリウム、グリチルレチン酸三カリウム等のアルカリ金属塩;グリチルレチン酸モノアンモニウム等のアンモニウム塩等が例示できる。これらのグリチルレチン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 グリチルレチン酸の誘導体としては、薬理学上許容されることを限度として、特に制限されないが、具体的にはグリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ピリドキシン、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸モノグルクロニド等を例示できる。グリチルレチン酸の誘導体として、好ましくはグリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ピリドキシンである。また、本発明でいうグリチルレチン酸の誘導体には、これらの薬学的に許容される塩も包含される。かかる塩としては、例えばナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩;アンモニウム塩等を例示することができる。これらのグリチルレチン酸の誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 アラントインは、抗炎症作用や鎮痒作用を示す化合物であり、5-ウレイドヒダントインとも呼ばれている化合物である。本発明において、アラントインとして、これを含有する生薬(例えば、アルジオキサ等)を用いてもよい。 アラントインの誘導体としては、薬理学上許容されるものであれば特に制限されないが、具体的にはアラントイングリチルレチン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインヒドロキシアルミニウム等が例示できる。これらのアラントインの誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 カンジダ・アルビカンスに対する抗真菌作用を増強しつつ、他の常在菌に対する抗菌作用をより抑制させるという観点から、(B)成分として、好適には、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸の塩、及びアラントイン、更に好ましくはグリチルリチン酸、及びグリチルリチン酸の塩が例示される。 これら(B)成分は1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。(B)成分を2種以上のものを組み合わせて使用する場合、その組み合わせ態様としては、例えば、グリチルレチン酸とアラントイン;グリチルリチン酸二カリウムとアラントイン;グリチルリチン酸二カリウムとグリチルレチン酸等が挙げられる。 本発明の予防治療剤において、(A)成分に対する(B)成分の比率としては、(B)成分の種類や該剤の形態等によって異なるが、例えば(A)成分100重量部に対して、(B)成分が、通常0.1〜1000重量部、好ましくは1〜500重量部、更に好ましくは10〜100重量部となる割合が例示される。このような範囲内で(A)成分と(B)成分を組み合わせることにより、カンジダ・アルビカンスに対する抗真菌作用、他の常在菌に対する悪影響の緩和、及び低刺激性を一層良好に獲得することが可能になる。 また、本発明の予防又は治療用組成物における(B)成分の配合量については、上記の(A)成分に対する(B)成分の比率を充足する範囲内であって、(B)成分の種類、該組成物の形態、1回当たりの投与量等に基づいて適宜設定される。一例として、(B)成分の配合量は、該組成物の総量に対して、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは0.2〜10重量%が挙げられる。より具体的には、 (B)成分の配合量として以下の範囲が例示される:本発明の予防又は治療用組成物が液状又は半固形状の場合;(B)成分の配合量は、該組成物の総量に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.2〜2重量%、本発明の予防又は治療用組成物が固形状の場合;(B)成分の配合量は、該組成物の総量に対して、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは1〜10重量%。 尚、本発明の予防又は治療用組成物が液状又は半固形状の場合、pHの範囲は例えば3〜9、好ましくは3〜7、更に好ましくは3〜5が挙げられる。 本発明の予防又は治療用組成物は、本発明の効果を妨げないことを限度として、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分含有することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、テルペノイド、殺菌成分、ビタミン類、鎮痛成分、収斂保護成分、血管収縮成分、生薬成分等が例示できる。好適な成分としては、例えば、次のような成分が挙げられる。 抗ヒスタミン剤:ケトチフェン、ベポタスチン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、ジフェニルイミダゾール、イプロヘプチン、エメダスチン、クレマスチン、アゼラスチン、レボカバスチン、オロパタジン、ヒドロキシジン、メキタジン、ロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、オキサトミド、テルフェナジン、エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、及びこれらの塩など。 局所麻酔剤:リドカイン、オキシブプロカイン、ジブカイン、プロカイン、アミノ安息香酸エチル、メプリルカイン、メピバカイン、ブピバカイン、コカイン、ジエチルアミノエチル、オキシポリエトキシドデカン及びこれらの塩など。 テルペノイド:メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール、ペパーミント油、クールミント油、ハッカ油、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、スペアミント油など。 殺菌成分:アクリノール、アルキルポリアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノール、セチルピリジニウム、デカリニウム、ベルベリン、ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、セトリミド、レゾルシン、ベンゼトニウム、ヒノキチオール、及びこれらの塩類(例えば塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベルベリン、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、酢酸デカリウム、安息香酸ベルベリン、塩化ベンゼトニウムなど)など。 ビタミン類:ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、それらの誘導体、及びそれらの塩類(例えば酢酸トコフェロール、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、アスコルビン酸ナトリウムなど)など。 鎮痛成分:サリチル酸、その誘導体、及び塩類(サリチル酸メチルなど)など。 収斂保護成分:酸化亜鉛、タンニン酸、クロルヒドロキシアルミニウムなど。 血管収縮成分:エフェドリン、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、フェニレフリン、それらの誘導体、及びそれらの塩類(例えば塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリンなど)など。 生薬成分:シコン、ハマメリス、タイサン、トウキ、セイヨウトチノキ種子及びこれらの粉末、エキスなど。 また、本発明の予防又は治療用組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その形態等に応じて、基材、担体又は添加物等を適宜選択し、1種又は2種以上を併用して含有することができる。それらの基材、担体又は添加物として、例えば、固形剤、半固形剤、液剤等の調製に一般的に使用される担体(水、水性溶媒、水性または油性基剤など)、安定化剤、増粘剤、界面活性剤、緩衝剤、pH調整剤、防腐剤などの各種添加剤を挙げることができる。 以下に本発明の予防又は治療用組成物に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。 基材又は担体成分:水、その他水性溶媒、カルボキシメチルスターチナトリウム、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、乳糖、ハードファット、オクチルドデカノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、軽質流動パラフィン、ゲル化炭化水素、ショ糖脂肪酸エステル、酒石酸、シリコン樹脂、ジエタノールアミン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、ジメチルポリシロキサン、スクワラン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸グリセリン、セタノール、セトステアリルアルコール,D-ソルビトール、炭酸水素ナトリウム、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トウモロコシデンプン、パラフィン、パルミチン酸、パルミチン酸セチル、プロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、1,3ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、モノステアリン酸グリセリン、ワセリンなど。 安定化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸Na、亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウムなど。 増粘剤:キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000、カルボキシビニルポリマーなど。 界面活性剤:ポリソルベート60、ステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート80など。 防腐剤:ブチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、安息香酸ナトリウム、ベンジルアルコールなど。 緩衝剤:ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩など。 pH調整剤:塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等の無機酸;乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸等の有機酸;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジン等の有機塩など。 本発明の予防又は治療用組成物の形態は、固形状、半固形状、液状のいずれのであってもよく、適用対象となる患部、適用方法等に応じて適宜設定される。当該組成物の形態として、具体的には、錠剤、顆粒、散剤、坐剤、カプセル剤等の固形状;クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤等の半固形状;液剤、ローション剤等の液状等が例示される。これらの中で、好適な形態として、錠剤、坐剤、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、液剤が挙げられる。 本発明の予防又は治療用組成物は、適用対象となるカンジダ症についても特に制限されるものではなく、例えば、皮膚カンジダ症、膣カンジダ症、外陰部カンジダ症、口腔カンジダ症、カンジダ性指間びらん症、カンジダ性爪囲爪炎、食道・腸管カンジダ症等のカンジダ症に対して適用することができる。なお、皮膚カンジダ症、膣カンジダ症、外陰部カンジダ症、男性の性器カンジダ症、口腔カンジダ症、カンジダ性指間びらん症、カンジダ性爪囲爪炎等のカンジダ症に対して適用する場合、本発明の予防又は治療用組成物は、経皮又は経粘膜投与可能な形態に調製すればよい。また、口腔カンジダ症や食道・腸管カンジダ症等のカンジダ症に対して適用する場合、本発明の予防又は治療用組成物は、経口適用可能な形態に調製すればよい。経皮または経粘膜投与可能な形態は、半固形状、液状が多用されている。これらの形態では、粘膜適用時の刺激が特に問題であるが、本発明ではかかる問題点が改善されている。 粘膜において発症するカンジダ症については、従来の製剤の投与では刺激を強く感じるという不都合があったが、本発明の予防又は治療用組成物によれば、このような不都合が解消されており、粘膜適用時の不快感が改善されている。このような本発明の効果に鑑みれば、本発明の予防又は治療用組成物は、とりわけ粘膜で発症したカンジダ症、具体的には膣カンジダ症、外陰部カンジダ症、口腔カンジダ症、男性の性器カンジダ症等に対して好適であり、粘膜適用の為の組成物として好適である。特に好適な適用対象カンジダ症としては、膣カンジダ症、外陰部カンジダ症、及び男性の性器カンジダ症が挙げられる。 本発明の予防又は治療用組成物は、カンジダ症の治療を目的として使用してもよく、また、カンジダ症の予防や再発防止を目的として使用してよい。 本発明の予防又は治療用組成物の投与量や投与頻度については、該組成物の形態、投与形態、使用目的、カンジダ症の種類や症状の程度、使用する(A)及び(B)成分の種類、使用者の年齢等に応じて適宜設定される。例えば、本発明の予防又は治療用組成物の1日当たりの投与量の平均としては、(A)成分の量に換算して、通常0.1〜300mg、好ましくは1〜100mg程度が挙げられる。また、本発明の予防治療剤は、例えば、1日当たり1回の頻度で若しくは2又は3回程度に分割して投与してもよく、また、2日〜1週間分の投与量を一度にまとめて投与してもよい。 本発明の予防又は治療用組成物は、イソコナゾール及び/又はその塩を単独で使用する場合に比して、カンジダ・アルビカンスに対する抗真菌作用が増強されて発現されるので、一層優れたカンジダ症の予防乃至治療効果が期待できる。 また、本発明の予防又は治療用組成物は、適用患部に常在する他の微生物(例えば、膣粘膜に存在するLactococcus acidophilus)に対する悪影響が緩和されているので、患部における常在菌のバランスを正常な状態に早期に回復させることができる。 更に、本発明の予防又は治療用組成物によれば、適用時に感じる刺激が低減されているので、使用時の不快感が改善されている。それ故、本発明の予防又は治療用組成物は、刺激を感じやすい患部(特に粘膜)に対しても、不快感を感じることなく使用して、所期のカンジダ症予防乃至治療効果を得ることができる。 また、グリチルリチン酸及び/又はその塩は、製剤化すると安定性が損なわれやすくなるという欠点があるが、グリチルリチン酸及び/又はその塩を、イソコナゾール及び/又はその塩とを共に配合した組成物では、グリチルリチン酸及び/又はその塩の安定性が改善される。それ故、本発明の予防又は治療用組成物において、(B)成分としてグリチルリチン酸及び/又はその塩を採用する場合には、グリチルリチン酸及び/又はその塩の問題点をも解消して、安定性の点でも優れた組成物を提供することができる。 また、グリチルリチン酸及び/又はその塩は、製剤化すると安定性が損なわれやすくなるという欠点があるが、グリチルリチン酸及び/又はその塩を、イソコナゾール及び/又はその塩とを共に配合した組成物では、グリチルリチン酸及び/又はその塩の安定性が改善される。それ故、本発明の予防又は治療用組成物において、(B)成分としてグリチルリチン酸及び/又はその塩を採用する場合には、グリチルリチン酸及び/又はその塩の問題点をも解消して、安定性の点でも優れた組成物を提供することができる。 以下に試験例及び実施例等を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。 試験例1 表1に示す組成の液状組成物(実施例1、比較例1−3、及びブランク)を調製した。各液状組成物にカンジダ・アルビカンス(ATCC10231)を1.5×106CFU/mLとなるように接種し、よく混合し、25℃で静置した。カンジダ・アルビカンス接種から、4時間後に、サンプリングを行い、カンジダ・アルビカンスの生菌濃度を測定した。生菌濃度の測定は、「第14改正日本薬局方 一般試験法 50.微生物限度試験法 (3)カンテン平板表面塗抹法」に準じて行った。測定した生菌濃度から、下式に従って、C. albicansに対する抗真菌活性値を算出した。 グリチルリチン酸二カリウム自体には、カンジダ・アルビカンスに対する抗真菌作用は認められなかった(比較例2参照)。一方、硝酸イソコナゾールと共にグリチルリチン酸二カリウムを配合した組成物(実施例1)では、硝酸イソコナゾール単独の場合(比較例1)に比べて、カンジダ・アルビカンスに対する抗真菌作用が増強されていた。 試験例2 表2に示す液状組成物(実施例1−2、比較例1−3、及びブランク)を調製した。各液状組成物にラクトバシラス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus; JCM No.1132)を6.3×105CFU/mLとなるように接種し、よく混合し、33℃で静置した。ラクトバシラス・アシドフィラス接種から1.5時間後に、サンプリングを行い、ラクトバシラス・アシドフィラスの生菌濃度を測定した。生菌濃度の測定は、「第14改正日本薬局方 一般試験法 50.微生物限度試験法 (3)カンテン平板表面塗抹法」に準じて行った。測定した生菌濃度から、下式に従って、L. acidophilusに対する抗菌活性値を算出した。 硝酸イソコナゾールは、皮膚や粘膜の常在菌であるラクトバシラス・アシドフィラスに対しても抗菌作用を示すことが確認された(比較例1参照)。これに対して、硝酸イソコナゾールと共にグリチルリチン酸二カリウム又はアラントインを配合した組成物(実施例1又は2)では、ラクトバシラス・アシドフィラスに対しても抗菌作用が明らかに減弱化されていた。 また、別途、実施例1及び比較例2の液状組成物を70℃で14日間保存したところ、比較例2の液状組成物におけるグリチルリチン酸二カリウムの残存割合は73%であったのに対して、実施例1の液状組成物では、その残存割合は80%であった。この結果から、実施例1の液状組成物では、グリチルリチン酸二カリウムの安定性が改善されていることも明らかとなった。 試験例3 4名のモニター(成人女性3名及び成人男性1名)により、上記試験例2で使用した液状組成物(実施例1−2及び比較例1)の刺激感について評価を行った。具体的には、上記試験例2で使用した液状組成物(実施例1−2及び比較例1)の適量を腕の内側部に塗布し、塗布後の刺激感について、以下の基準に従って評価を行った。<評価基準>○:殆ど刺激(ピリピリ感や軽微な痛み)を感じない△:やや刺激(ピリピリ感や軽微な痛み)がある×:刺激(ピリピリ感や軽微な痛み)がある 得られた結果を表3に示す。この結果から、実施例1及び2の液状組成物では、皮膚に対する刺激感が低減されており、使用感も良好であることが確認された。 製剤例1−4 表4に示す処方のクリーム剤(製剤例1及び2)及びジェル剤(製剤例3及び4)を常法に従い調製した。 製剤例5−8 表5に示す処方のクリーム剤(製剤例5及び6)及びジェル剤(製剤例7及び8)を常法に従い調製した。 製剤例9−11 表6に示す処方の軟膏剤(製剤例9−11)を常法に従い調製した。 製剤例12−14 表7に示す処方の軟膏剤(製剤例12−14)を常法に従い調製した。 製剤例15−17 表8に示す処方のクリーム剤(製剤例15−17)を常法に従い調製した。 製剤例18−24 表9に示す処方のクリーム剤(製剤例18−24)を常法に従い調製した。 製剤例25 日本薬局方製剤総則「坐剤」または「錠剤」の製造方法に準じて以下の処方となるように、膣坐剤(1個あたり1400mg;1日1回、1回あたり1個を膣に適用する坐剤)を製造した。また、得られた製剤について硝酸イソコナゾールの濃度が0.1重量%になるように精製水に分散又は溶解させると、そのpHは3〜8の範囲内であった。 硝酸イソコナゾール 100重量部 アラントイン 20重量部 乳糖 905重量部 結晶セルロース 360重量部 アルギン酸ナトリウム 5重量部 ステアリン酸マグネシウム 10重量部 合計量 1400重量部 製剤例26 日本薬局方製剤総則「坐剤」または「錠剤」の製造方法に準じて以下の処方となるように、膣坐剤(1個あたり1170mg;1日1回、1回あたり1個を膣に適用する坐剤)を製造した。また、得られた製剤について硝酸イソコナゾールの濃度が0.1重量%になるように精製水に分散又は溶解させると、そのpHは3〜8の範囲内であった。 硝酸イソコナゾール 100重量部 グリチルレチン酸 30重量部 乳糖 780重量部 結晶セルロース 250重量部 ポリビニルピロリドン 5重量部 ステアリン酸マグネシウム 5重量部 合計量 1170重量部 製剤例27 日本薬局方製剤総則「坐剤」または「錠剤」の製造方法に準じて以下の処方となるように、膣坐剤(1個あたり1360mg;1日1回、1回あたり1個を膣に適用する坐剤)を製造した。また、得られた製剤について硝酸イソコナゾールの濃度が0.1重量%になるように精製水に分散又は溶解させると、そのpHは3〜8の範囲内であった。 硝酸イソコナゾール 300重量部 アラントイン・クロルヒドロキシアラントイネート 20重量部 乳糖 780重量部 結晶セルロース 250重量部 ポリビニルピロリドン 5重量部 ステアリン酸マグネシウム 5重量部 合計量 1360重量部 製剤例28 日本薬局方製剤総則「坐剤」または「錠剤」の製造方法に準じて以下の処方となるように、膣坐剤(1個あたり1220mg;1日1回、1回あたり1個を膣に適用する坐剤)を製造した。また、得られた製剤について硝酸イソコナゾールの濃度が0.1重量%になるように精製水に分散又は溶解させると、そのpHは3〜8の範囲内であった。 硝酸イソコナゾール 100重量部 グリチルリチン酸二カリウム 20重量部 乳糖 840重量部 結晶セルロース 250重量部 ヒドロキシプロピルセルロース 4重量部 ステアリン酸マグネシウム 6重量部 合計量 1220重量部 製剤例29 日本薬局方製剤総則「坐剤」または「錠剤」の製造方法に準じて以下の処方となるように、膣坐剤(1個あたり960mg;1日1回、1回あたり1個を膣に適用する坐剤)を製造した。また、得られた製剤について硝酸イソコナゾールの濃度が0.1重量%になるように精製水に分散又は溶解させると、そのpHは3〜8の範囲内であった。 硝酸イソコナゾール 100重量部 グリチルレチン酸 10重量部 ハードファット 850重量部 合計量 960重量部 製剤例30 日本薬局方製剤総則「坐剤」または「錠剤」の製造方法に準じて以下の処方となるように、膣坐剤(1個あたり1520mg;1日1回、1回あたり1個を膣に適用する坐剤)を製造した。また、得られた製剤について硝酸イソコナゾールの濃度が0.1重量%になるように精製水に分散又は溶解させると、そのpHは3〜8の範囲内であった。 硝酸イソコナゾール 100重量部 アラントイン 5重量部 ポリエチレングリコール400 615重量部 ポリエチレングリコール6000 800重量部 合計量 1520重量部(A)イソコナゾール及び/又はその塩、及び(B)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アラントイン、これらの誘導体、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、カンジダ症の予防又は治療用組成物。 前記(A)成分100重量部に対して、前記(B)成分を0.1〜1000重量部の割合で含有する、請求項1に記載のカンジダ症の予防又は治療用組成物。 膣カンジダ症、外陰部カンジダ症、又は男性の性器カンジダ症に対して適用される、請求項1又は2に記載のカンジダ症の予防又は治療用組成物。 【課題】本発明の目的は、カンジダ・アルビカンスに対して優れた抗菌作用を有していながら、刺激性及び他の常在菌に対する悪影響が低減されているカンジダ症の予防又は治療用組成物を提供することである。 【解決手段】(A)イソコナゾール及び/又はその塩と共に、(B)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アラントイン、これらの誘導体、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の成分を組み合わせて配合することによって、カンジダ症の予防又は治療用組成物を調製する。 【選択図】なし