生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_キラル剤
出願番号:2005378672
年次:2007
IPC分類:C07D 493/04,C08F 20/30,G02B 5/30


特許情報キャッシュ

岡田 誠司 高井 広和 後藤 伸幸 JP 2007176870 公開特許公報(A) 20070712 2005378672 20051228 キラル剤 日本ゼオン株式会社 000229117 内田 幸男 100070792 菊間 忠之 100109508 岡田 誠司 高井 広和 後藤 伸幸 C07D 493/04 20060101AFI20070615BHJP C08F 20/30 20060101ALI20070615BHJP G02B 5/30 20060101ALI20070615BHJP JPC07D493/04 101DC07D493/04C08F20/30G02B5/30 9 OL 31 2H049 4C071 4J100 2H049BA03 2H049BA05 2H049BA07 2H049BA08 2H049BA42 2H049BA43 2H049BC22 4C071AA01 4C071BB01 4C071CC12 4C071DD04 4C071EE04 4C071FF14 4C071HH05 4C071JJ01 4C071LL03 4C071LL05 4J100AL08P 4J100AL66P 4J100BA02P 4J100BA03P 4J100BA15P 4J100BC43P 4J100BC53P 4J100CA01 4J100JA32 4J100JA43 本発明は、高いらせんねじれ力を有するキラル剤、該キラル剤を含有する組成物、該組成物を用いて得られる1層で広い選択反射帯域を持つ層を形成できるコレステリック規則性を持つ樹脂、該樹脂の層を有する光学素子、および該光学素子を備え且つ斜めからの観察によっても表示に着色がない液晶表示装置に関するものである。 コレステリック規則性を持つ樹脂層は、コレステリック規則性の螺旋回転方向と一致する回転方向の円偏光を反射する特性(以下、この特性を「選択反射特性」という。)を有している。この選択反射特性を示す波長帯域はコレステリック規則性の周期に依存している。コレステリック規則性の周期の分布幅を広くすることによって、選択反射特性を示す波長帯域(以下、選択反射帯域という。)の幅を広くすることができる。 選択反射帯域を可視光の波長域に持つコレステリック規則性を持つ樹脂層を含んでなる円偏光分離シートを形成できれば、入射する自然光のうち、特定波長の円偏光のみを反射し、残りの円偏光を透過することができる。この反射された光を反射板等で前記樹脂層に再入射させることによって光の再利用ができる。 前記円偏光分離シートと1/4波長板とを組み合わせたものは、自然光を直線偏光に高効率で変換できる。この直線偏光の方向を液晶表示装置に備わるポリビニルアルコール製等の吸収型偏光子の透過方向と揃えることによって、高輝度の液晶表示装置を得ることができる。 コレステリック規則性を持つ樹脂(以下、コレステリック樹脂という。)層を形成するために種々のキラル剤が検討されている。 例えば、特許文献1には、式: (Z−Y1−A−O−CO−O−M−Y2)aX [式中、Aは橋かけ基、Mはメソゲン基、Y1及びY2は化学結合又は−O−,−S−,−CO−O−,−O−CO−,−O−CO−O−,−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−、Xはn価のキラル基、Rは水素原子又はC1〜C4−アルキル基、nは2〜6、Zは、a1)これらの基の少なくとも1つは、重付加反応に関与することができる反応性基である、a2)これらの基の少なくとも2つは、重付加反応に関与することができる反応性基を持つ置換基である、b)条件a1)又はa2)が満足される限り、水素原子又は非反応性基である]で示されるキラル化合物が開示されている。 特許文献2には、式: (Z−Y1−A−Y2−M−Y3)nX [式中、Aはスペーサー、Mはメソゲン基、Y1,Y2及びY3は化学結合又は基−O−,−S−,−CO−O−,−O−CO−,−O−CO−O−,−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−、 Rは水素原子又はC1〜C4−アルキル基、Xはn価のキラル基、nは2〜6、Zは、a)これらの基の少なくとも1つは、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チイラン、アジリジン、カルボキシル、ヒドロキシル又はアミノ基を含有する基、b)残余の基、水素原子又は非反応性基である]で示されるキラル化合物が開示されている。 特許文献3には、式: (Z−Y−[A]m−Y−M−Y−)nX [式中、それぞれ互いに無関係に、基Aは、スペーサー、Mは、O、CO、OCO、OCOOまたはCOOを介して結合し、非置換またはC1〜C4−アルキル、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、臭素、C1〜C20−アルコキシカルボニルまたはC1〜C20−アルキルカルボニルにより置換された2つのフェニレン基を有するメソゲン基、Yは、直接結合、O、S、COO、OCO、OCOO、CON(R)またはN(R)COおよびZは、重合可能な基であり、mは0または1、nは2〜6の数およびXはキラルな基を表し、かつRは、C1〜C4−アルキルまたは水素を表す]で示される化合物が開示されている。 特許文献4には、式: Z1−Y1−(A1)m−Y2−M−Y3−X−Y4−(A2)n−Y5−Z2 [式中、置換基および変数は互いに独立に次の意味を表す:A1およびA2は、1〜30個のC原子の鎖長のスペーサーであり、Y1〜Y5は化学結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−または−(R)N−C(=O)−、−CH2−O−、−O−CH2−、−CH=N−、−N=CH−または−N=N−であり、Mはメソゲン基であり、Rは水素、C1〜C4アルキルであり、Z1およびZ2は水素、C1〜C4アルキル、重合性基または重合性基を有する基であり、Xはジアンヒドロソルビット、ジアンヒドロマンニットおよびジアンヒドロイデットからなる群から選択されたジアンヒドロヘキシット基であり、mは0または1であり、nは0または1であり、その際基Z1、Z2、Y1〜Y5、A1およびA2は同じかまたは異なっていてもよく、少なくとも1つの基Z1またはZ2は重合性基または重合性基を含有する基を表す]で示されるキラルドーパントが開示されている。 特許文献5には化1で示されるキラル化合物が開示されている[化1中、R1およびR2は、互いに独立して、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF5、直鎖状または分枝状の炭素原子30以下で、未置換か、F、Cl、Br、IまたはCNでモノ−もしくはポリ−置換されており、隣接していない1または2以上のCH2基が、それぞれ互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR0−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−で、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されてもよいアルキル、またはP−Sp−Xであり、R0は、Hまたは炭素原子1〜4のアルキルであり、Pは、重合可能な基であり、Spは、スペーサー基または単結合であり、Xは、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−または単結合であり、X1は、−CO−、−OCO−、−NR0−CO−、−CH=CH−CO−、−CH2−、−C2H4−、−CF2−または単結合であり、X2は、−CO−、−COO−、−CO−NR0−、−CO−CH=CH−、−CH2−、−C2H4−、−CF2−または単結合であり、Z1およびZ2は、互いに独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、A1およびA2は、互いに独立して、炭素原子16以下の脂肪族もしくは芳香族の炭素環式もしくは複素環式のヘテロ環を含んでもよく、未置換か、Lでモノ−またはポリ−置換されていてもよい基であり、Lは、ハロゲンまたはシアノ、ニトロ、または炭素原子1〜7のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基で、ここで1または2以上のH原子がFまたはClで置換されていてもよく、m1は、1、2または3であり、およびm2は、0、1、2または3であり、但し、基(Z1−A1)m1の縮合環または非縮合環の総数が基(A2−Z2)m2より大きい]。特開平9−20781号公報特開平9−31077号公報特開平11−193287号公報特開2000−309589号公報特開2003−137887号公報 本発明の目的は、高いらせんねじれ力を有するキラル剤、該キラル剤を含有する組成物、該組成物を用いて得られる1層で広い選択反射帯域を持つ層を形成できるコレステリック規則性を持つ樹脂、該樹脂の層を有する光学素子、および該光学素子を備え且つ斜めからの観察によっても表示に着色がない液晶表示装置を提供することである。 本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、キラル基が2価であり、該キラル基の2つの結合手にそれぞれ繋がる1価の基Dと1価の基Eには同数の環が有り、該1価の基D及び該1価の基Eの一方にはスペーサー基があり、他方にはスペーサー基がなく、該1価の基Dの長さと該1価の基Eの長さが異なる構造をしたキラル剤が、具体的には、式(1): A1−Y−Z1−X−Z2−Y−B−A2 [式(1)中、A1およびA2はそれぞれ独立に重合性基又は重合性基を有する基であり、Yは脂環、芳香環若しくは複素環、又は脂環、芳香環若しくは複素環の縮合環(これらの環は置換基を有していてもよい。)であり、Z1およびZ2はそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CON(R)−、又は−N(R)CO−であり、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Bはスペーサー基であり、Xはキラル基である。]で表されるキラル剤が高い螺旋ねじれ力を有し、このキラル剤を用いて重合性液晶化合物を光重合性開始剤で重合すると、薄くても1層で広い選択反射帯域を持つコレステリック規則性を持つ層を形成できる樹脂を得ることができることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。 かくして本発明によれば、〔1〕2価のキラル基と、該キラル基の2つの結合手にそれぞれ結合する1価の基Dと1価の基Eとからなり、該1価の基Dと該1価の基Eは同数の環を有し、且つ以下の(I)または(II)を満たす、キラル剤。(I)該1価の基D及び該1価の基Eの、一方は炭素鎖を有し、もう一方は炭素鎖を有しない。(II)該1価の基D及び該1価の基Eの両方が炭素鎖を有し、且つ、該1価の基Dの炭素鎖の炭素数と該1価の基Eの炭素鎖の炭素数とが異なる。〔2〕前記1価の基D及び/又は前記1価の基Eの末端に重合性基が結合している、前記〔1〕のキラル剤。〔3〕式(1):A1−Y−Z1−X−Z2−Y−B−A2 [式(1)中、A1およびA2はそれぞれ独立に重合性基又は重合性基を有する基であり、Yは脂環、芳香環若しくは複素環、又は脂環、芳香環若しくは複素環の縮合環(これらの環は置換基を有していてもよい。)であり、Z1およびZ2はそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CON(R)−、又は−N(R)CO−であり、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Bはスペーサー基であり、Xはキラル基である。]で表される前記〔2〕のキラル剤。〔4〕式(1)中の、A1およびA2がそれぞれ独立にCH2=CH−COO−又はCH2=C(CH3)−COO−であり、Yが置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環であり、Z1およびZ2がそれぞれ独立に−COO−又は−OCO−であり、Bが、ポリメチレン基又はポリオキシメチレン基であり、Xが、式(a)〜式(f)で表されるキラル基である〔ただし、*は結合手を表し、式(f)中のLはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン、−COOR、−OCOR、−OCOOR、−CONHR、又は−NHCORであり、かつRは前記のものを表す。〕前記〔3〕のキラル剤。〔5〕式(2)で表されるキラル剤〔式(2)中、nは2〜10の整数である。〕。が提供される。 また、本発明によれば、〔6〕前記のキラル剤と、重合性液晶化合物と、光重合性開始剤を含有する光重合性組成物。〔7〕前記の光重合性組成物に光を照射して重合してなるコレステリック規則性を持った樹脂。〔8〕前記のコレステリック規則性を持った樹脂の層を有する光学素子。及び〔9〕前記の光学素子を備えた液晶表示装置。が提供される。 本発明のキラル剤は、高い螺旋捻り力を有し、且つ重合性液晶化合物と重合可能なものである。その結果、本発明のキラル剤と重合性液晶化合物と光重合性開始剤とを含有する光重合性組成物を重合することによって、1層で広い選択反射帯域を持つコレステリック規則性を持つ層を形成できる樹脂を得ることができる。そして、この樹脂の層を有する光学素子は、円偏光の分離性能に優れ偏光分離素子などに適用できる。さらに該光学素子を備えることによって斜めからの観察によっても表示に着色がない液晶表示装置を得ることができる。 本発明のキラル剤は、2価のキラル基と、該キラル基の結合手にそれぞれ結合する1価の基Dと1価の基Eとからなり、該1価の基Dと該1価の基Eは同じ構造の環を同数有し、且つ以下の(I)または(II)を満たすものである。(I)該1価の基D及び該1価の基Eの、一方は炭素鎖を有し、もう一方は炭素鎖を有しない。(II)該1価の基D及び該1価の基Eの両方が炭素鎖を有し、且つ、該1価の基Dの炭素鎖の炭素数と該1価の基Eの炭素鎖の炭素数とが異なる。 キラル基は、キラル中心となるものであれば特に制限されない。 キラル基に結合する前記1価の基Dと前記1価の基Eには同じ構造の環が同数有る。環としては脂環、芳香環、複素環、およびそれらの縮合環が挙げられる。本発明のキラル剤は、例えば、1価の基Dにベンゼン環が1個有る場合は1価の基Eにもベンゼン環が1個有る構造をしているものである。これらの環には置換基があってもよい。 本発明のキラル剤を構成する前記1価の基Dと前記1価の基Eは以下の(I)または(II)を満たす。(I)該1価の基D及び該1価の基Eの、一方は炭素鎖を有し、もう一方は炭素鎖を有しない。(II)該1価の基D及び該1価の基Eの両方が炭素鎖を有し、且つ、該1価の基Dの炭素鎖の炭素数と該1価の基Eの炭素鎖の炭素数とが異なる。 なお、炭素鎖とは、前記1価の基D及び前記1価の基Eにおいて、鎖状に結合している炭素原子の集団(炭素数1〜20のメチレン基)のことである。本発明の好ましいキラル剤は、上記(I)を満たすことが好ましい。上記(I)を満たす場合には、一方の側鎖にスペーサー基が無く、他方の側鎖に炭素数1〜20の、より好ましくは2〜12の、特に好ましくは2〜10のスペーサー基があるものであることが好ましい。上記(II)を満たす場合には、具体的にはスペーサー基を構成する炭素の数が1価の基Dと1価の基Eで異なるようにすればよい。また、本発明のキラル剤は、前記1価の基D及び/又は前記1価の基Eの末端に重合性基が結合しているものが好ましい。 本発明の好ましい態様のキラル剤は、式(1):A1−Y−Z1−X−Z2−Y−B−A2で表される化合物である。 式(1)中の、A1およびA2は、それぞれ独立に重合性基又は重合性基を有する基である。重合性基としては、化9に示すものが挙げられる。 さらにアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、グリシジル基が挙げられる。これらのうち、ビニル基(r−1)、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、エポキシ基(r−8)が好ましく、アクリロイル基又はメタクリロイル基が特に好ましい。 Yは、脂環、芳香環若しくは複素環、又は脂環、芳香環若しくは複素環の縮合環(これらの環は置換基を有していてもよい。)である。芳香環としてはベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、フルオレン環などが挙げられる。複素環としては、ピロール環、ピリジン環などの窒素含有複素環;フラン環、ピラン環などの酸素含有複素環;チオフェン環などの硫黄含有複素環などが挙げられる。脂環としては、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロヘプタン環、ノルボルナン環、シクロヘキセン環などが挙げられる。これらのうち、置換基を有していてもよいベンゼン環、又は置換基を有していてもよいナフタレン環が好ましい。 Z1およびZ2はそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CON(R)−、又はN(R)COである。Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。これらのうち、−COO−又は−OCO−が好ましい。 Bはスペーサー基である。スペーサー基は炭素原子数1〜20の連結基である。ここで連結基としては、例えば、ポリメチレン基やポリオキシメチレン基が挙げられる。連結基を形成する構造単位に含まれる炭素数は適宜に決定され、一般にはポリメチレン基の場合には、炭素数が1〜20、好ましくは2〜12であり、ポリオキシメチレン基の場合には、炭素数が1〜10、好ましくは1〜3である。本発明においては炭素数2〜10のポリメチレン基が好ましい。YとBとの間は直接に結合していてもよいし、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NR0−、−NR0−CO−(R0は、Hまたは炭素原子1〜4のアルキルである。)などが介在していてもよい。 Xはキラル基である。キラル基はキラル中心となるものであれば特に制限されないが、本発明においては特に式(a)〜式(f)で表されるものが好ましい〔ただし、式(f)中のLはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン、−COOR、−OCOR、−OCOOR、−CONHR、又はNHCORであり、かつRは前記のものを表す。である。〕。 本発明において特に好ましいキラル剤は式(2)で表されるものである〔式(2)中、nは2〜10の整数である。〕。 本発明のキラル剤は、その製法によって限定されない。例えば、次のようにして得ることができる。 まず、キラル基になる化合物Aと、1価の基Dになる化合物Bとを反応させる。このときにキラル基になる化合物Aが、1価の基Dになる化合物Bよりも反応当量よりも過剰に存在させる。これによって2価のキラル基の一方にのみ、1価の基Dになる化合物Aが結合する。上記反応で得られた化合物Xと、1価の基Eになる化合物Cとを反応させる。これによって、まだ結合の形成されていない残りのキラル基に、1価の基Eになる化合物Cが結合することになる。 キラル基になる化合物Aとしては、入手容易な理由から、例えば、糖、ビナフチル誘導体又はビフェニル誘導体、イソソルビド、イソマンニドなどが挙げられる。 1価の基Dになる化合物Bとしては、例えば、化17に示すものが挙げられる。 (式(d−1)、〜(d−17)において、mは0または1であり、nは0〜20の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ基である。また、式(d−1)、(d−6)〜(d−10)、(d−12)、(d−13)、(d−15)〜(d−17)において、Tは炭素数が1〜20のメチレン基である。) 1価の基Eになる化合物Cとしては、例えば、化18に示すものが挙げられる。(式(e−1)〜(e−17)において、mは0または1であり、nは0〜20の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ基である。また、式(e−1)、(e−6)〜(e−10)、(e−12)、(e−13)、(e−15)〜(e−17)において、Tは炭素数が1〜20のメチレン基である。) 化合物Aと化合物Bとを、又はこれらの反応で得られる化合物Xと化合物Cとを反応させるときの条件は特に限定されないが、例えば、非酸化性雰囲気中で、反応促進剤等の存在下に、通常、温度30〜150℃、1〜30時間、脱水反応させることによって得られる。 脱水反応としては、4−ジメチルアミノピリジンとジシクロヘキシルカルボジイミドとの存在下で反応させる方法、酸クロライドと塩基との存在下で反応させる方法、有機酸や硫酸等の存在下で加熱して反応させる方法、などが挙げられる。 本発明の光重合性組成物は、前記のキラル剤と、重合性液晶化合物と、光重合性開始剤を含有するものである。 本発明の光重合性組成物を構成する光重合性開始剤は紫外線によりエチレン性不飽和基を重合させるラジカル及び/又は酸を発生させることのできる化合物である。 光重合性開始剤としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、などのハロメチル化トリアジン誘導体;ハロメチル化オキサジアゾール誘導体;2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などのイミダゾール誘導体;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどのアントラキノン誘導体;ベンズアンスロン誘導体;ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体; 2,2,−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1,−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトンなどのアセトフェノン誘導体;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸エステル誘導体;9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジンなどのアクリジン誘導体;9,10−ジメチルベンズフェナジンなどのフェナジン誘導体; ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イルなどのチタノセン誘導体;特開2001−233842(チバ)に記載のオキシムエステル化合物、特開2004−359639に記載のカルバゾールオキシム化合物などのオキシム誘導体などが挙げられる。これらの光重合性開始剤は単独または複数組み合わせて使用される。 これらのうち、波長350〜400nmの波長における平均モル吸光係数が高い観点から、ハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アントラキノン誘導体、ベンズアンスロン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、オキシム誘導体光重合性開始剤が好ましく、オキシム誘導体光重合性開始剤が特に好ましい。 本発明に好適に用いられる光重合性開始剤は、波長350〜400nmにおける平均モル吸光係数が好ましくは2000M−1cm−1以上、より好ましくは2500M−1cm−1以上、特に好ましくは2500〜100000M−1cm−1のものである。波長350〜400nmにおける平均モル吸光係数が上記範囲内にあると、本発明のコレステリック樹脂層の選択反射帯域の幅を広くすることができる。また、特に好適な光重合性開始剤は、波長250〜300nmの間に主吸収(モル吸光係数が最大値を示す波長域)があり、波長300〜350nmの間に副吸収(モル吸光係数が極大値を示す波長域)がある光重合性開始剤である。なお、モル吸光係数は、濃度1.0×10−5g/mlのアセトニトリル溶液を調整し、光路長10mmの条件で分光光度スペクトル測定を行い、得られた吸光度から算出したものである。平均モル吸光係数は、ある波長範囲内のそれぞれの波長でのモル吸光係数の算術平均値である。 光重合性開始剤の量は、重合性液晶化合物100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがさらに好ましい。 本発明に用いられる重合性液晶化合物は、重合することによってコレステリック規則性を持つ樹脂を得ることができるものである。 本発明に好適な重合性液晶化合物は、コレステリック樹脂層の総厚みを薄くでき且つ選択反射帯域の幅を広げることができる観点から、その複屈折Δn(=ne−no;neは重合性液晶化合物分子の長軸方向の屈折率、noは重合性液晶化合物分子の短軸方向の屈折率)が0.18以上のものが好ましく、0.18〜0.40のものがより好ましく、0.18〜0.22のものが特に好ましい。Δnはセルナモン法によって測定できる。 上記範囲に入るΔnを有する重合性液晶化合物は、棒状の重合性液晶化合物から選択するのが好ましい。なお、重合性液晶化合物のΔnはメソゲン基のπ共役系を増やすことで大きくすることができる。π共役系が増えるにつれて重合性液晶化合物の紫外線の吸収帯は長波長側へ移動する。例えば、ベンゼンの最大吸収波長λmaxは260nmであるが、ナフタレン、アントラセンになるとλmaxはそれぞれ312nm、375nmとなる。 棒状の重合性液晶化合物としては、式(3)で表される化合物を挙げることができる。 R1−B1−A1−B3−M−B4−A2−B2−R2 式(3) なお、式(3)中のA1及びA2は、後述するように連結基であるが、この連結基を省いて、直接にB1とB3又はB4とB2が結合していてもよい。 式(3)中、R1及びR2は重合性基を表す。重合性基は、前記キラル剤の説明で列挙したものと同じものが挙げられる。 式(3)中のB1、B2、B3及びB4は、それぞれ独立して単結合又は二価の連結基を表す。また、B3、B4の少なくとも一方は、−O−CO−を含む基であるのが好ましい。 式(3)中のA1及びA2は炭素原子数1〜20の連結基を表す。ここでの連結基としては、例えば、ポリメチレン基やポリオキシメチレン基等が挙げられる。連結基を形成する構造単位に含まれる炭素数は、メソゲン基の化学構造等により適宜に決定され、一般にはポリメチレン基の場合には、炭素数が1〜20、好ましくは2〜12であり、ポリオキシメチレン基の場合には、炭素数が1〜10、好ましくは1〜3である。 式(3)中のMはメソゲン基を表す。メソゲン基Mの形成材料としては特に制限されないが、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。 本発明で特に好適に用いられる重合性液晶化合物は、波長350〜400nmにおける平均モル吸光係数が1500M−1cm−1以下、より好ましくは0〜1000M−1cm−1のものである。波長350〜400nmにおける平均モル吸光係数が上記範囲内にあると、本発明の光学素子の選択反射帯域の幅を広くすることができる。 本発明の光重合性組成物には、該光重合性組成物を塗布して得られる塗膜の表面張力を調整し、膜厚を均一にするために界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、特にノニオン系の界面活性剤が好ましく、分子量が数千程度のオリゴマーであることが好ましい。このような界面活性剤としては、セイミケミカル社製KH−40等が挙げられる。 また、基材上に形成されたコレステリック樹脂層の空気側表面の配向状態を制御するために配向調整剤を光重合性組成物に含有させることができる。配向調整剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、あるいはこれらの変性物などが挙げられる。 前記光重合性組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の具体例としては、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類が挙げられる。特に環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。また、二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。 本発明の光重合性組成物に光を照射することによって、重合性液晶化合物が重合して、コレステリック規則性を持った樹脂を得ることができる。コレステリック規則性とは、コレステリック規則性を持つ樹脂(以下、コレステリック樹脂という。)層平面の法線方向に進むにしたがって分子軸の角度が次々にずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造はヘリカルな構造と呼ばれる。該平面の法線(ヘリカル軸)は、コレステリック樹脂層の厚み方向に略平行になっていることが好ましい。 本発明の光学素子はコレステリック規則性を持った樹脂の層を有するものである。 本発明の光学素子を構成するコレステリック樹脂層は、1層であってもよいし、2以上の層であってもよい。そして、2以上の層である場合はそのうちの一つの層が、1層である場合はその層が、150nm以上の選択反射帯域幅を有する。 コレステリック樹脂層の総厚みdは、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下である。総厚みdが上記厚みよりも小さくなることによって波長による位相変化量の相違が小さくなる。なお、総厚みとは、コレステリック樹脂層が2以上の層である場合は、各層の厚みの合計を、コレステリック樹脂層が1層である場合にはその厚みをさす。 本発明の光学素子を構成するコレステリック樹脂層は非液晶性の樹脂層であることが好ましい。非液晶性のものであると、周囲の温度や電界などによってコレステリック規則性が変化しないからである。非液晶性のコレステリック樹脂層は、前記重合性液晶化合物として、重合性基を2以上有するものを含ませることによって得ることができる。重合性基を2以上有する重合性液晶化合物によって、コレステリック樹脂に架橋構造が導入され、液晶性を生じない樹脂が得られる。また、コレステリック樹脂層は、その平均屈折率が1.5〜1.8であることが好ましい。 本発明の光学素子は、その製法によって特に制限されないが、例えば、本発明の光重合性組成物を基材上に塗布し乾燥させて塗膜を得、この塗膜に光を照射して重合性液晶化合物を重合して、基材上にコレステリック規則性を持つ樹脂の層を形成する方法が挙げられる。 塗膜を得るために用いる基材は、光学的に透明な基材であれば特に限定されないが、偏光が変化することを避けるために光学的に等方性のものが好ましい。かかる基材としては、透明樹脂フィルム、ガラス基板等が挙げられ、液晶層を効率よく製造することができる観点から、長尺の透明樹脂フィルムがより好ましい。透明樹脂フィルムは、1層のフィルムであっても、複層フィルムであってもよいが、1mm厚で全光線透過率が80%以上のものが好ましい。 透明樹脂フィルムの樹脂材料としては、脂環式構造含有重合体樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等の鎖状オレフィン系重合体、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、エポキシ系樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性等の観点から、脂環式構造含有重合体樹脂が好ましい。 脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体樹脂の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。 脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと、フィルムの耐熱性が低下するおそれがある。 脂環式構造含有重合体樹脂は、具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体及びこれらの水素添加物がより好ましい。 ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を有するモノマーの開環重合体、ノルボルネン構造を有するモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネン構造を有するモノマーの付加重合体、ノルボルネン構造を有するモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン構造を有するモノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。上記の脂環式構造を有する重合体は、例えば特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体から選ばれる。 本発明に好適な透明樹脂フィルムの樹脂材料は、そのガラス転移温度が、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。ガラス転移温度がこのような範囲にある樹脂材料からなる透明樹脂フィルムは、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。 本発明に好適な透明樹脂フィルムの樹脂材料の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(樹脂材料が溶解しない場合にはトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)で測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜50,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。 本発明に好適な透明樹脂フィルムの樹脂材料の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1〜10、好ましくは1〜4、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。 本発明に好適な透明樹脂フィルムの樹脂材料は、その分子量2,000以下の樹脂成分(すなわち、オリゴマー成分)の含有量が、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。オリゴマ一成分の量が前記範囲内にあると、表面に微細な凸部が発生しづらくなり、厚みむらが小さくなり面精度が向上する。オリゴマー成分の量を低減するためには、重合触媒や水素化触媒の選択、重合、水素化等の反応条件、樹脂を成形用材料としてペレット化する工程における温度条件、等を最適化すればよい。オリゴマーの成分量は、前述のGPCによって測定することができる 本発明に用いる前記基材の厚みは特に制限されないが、生産性や薄型・軽量化の観点から、その厚みは、通常1〜1000μm、好ましくは5〜300μm、より好ましくは30〜100μmである。 また、本発明に用いる基材は表面処理されているものが好ましい。表面処理を施すことにより、基材と後述する配向膜との密着性を高めることができる。表面処理の手段としては、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線処理、火炎処理等が挙げられる。また、基材の上に、接着層(下塗り層)を設けることも、基材と配向膜との密着性を高める上で好ましい。 また、本発明に用いる基材には、形成されるコレステリック樹脂層のヘリカル構造の配向方向を調整するために配向膜を基材表面に有することが好ましい。 本発明に用いる配向膜は、コレステリック樹脂層の配向方向を調整できるものであれば、特に制限されない。 配向膜は、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどの樹脂を主成分とする塗布液を基材に膜状に積層し、乾燥させ、次いで一方向にラビングすることによって得られる。膜状に積層した塗布層を一方向にラビングすることで、コレステリック規則性を持つ樹脂層を一方向に配向規制することが可能になる。 ラビングの方法は、特に制限されないが、例えばナイロンなどの合成繊維、木綿などの天然繊維からなる布やフェルトを巻き付けたロールで一定方向に配向膜を擦る方法が挙げられる。ラビングした時に発生する微粉末(異物)を除去して配向膜の表面を清浄な状態とするために、形成された配向膜をイソプロピルアルコールなどによって洗浄することが好ましい。配向膜にコレステリック規則性を持つ樹脂層を面内で一方向に配向規制する機能を持たせるために、ラビングする以外に、配向膜の表面に偏光紫外線を照射する方法が挙げられる。 配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。 基材上に光重合性組成物を塗布し塗膜を得るには、公知の方法、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法等を実施する。 光重合性組成物の塗膜に光を照射する方法は、特に制限されないが、本発明の光学素子を容易に得るために、少なくとも波長350〜400nmの光を照射することが好ましい。特に、前記重合性液晶化合物のΔnが0.18以上のとき、該重合性液晶化合物の紫外線の吸収端が350nm付近まで伸びてくるため、重合性液晶化合物による吸収の小さい、波長350〜400nmの光だけを照射することが好ましい。この波長域を含む光を照射することによって、塗膜の厚み方向全体に渡って効率的に光重合性開始剤による重合性液晶化合物の重合が開始され、重合性液晶化合物が重合されてなる広い幅の選択反射帯域を有するコレステリック樹脂層が形成される。重合性液晶化合物の重合転化率が100%になるまでの紫外線照射量は、重合性液晶化合物の種類によって異なるが、重合転化率が100%になるまでの照射量は、波長350〜400nmの光照射量の合計で、通常、200〜1500mJ/cm2である。 本発明においては、光学素子の選択反射帯域の幅を広くするために、重合性液晶化合物の重合転化率が100%にならない程度の照射量で紫外線を照射し、次いで、ヘリカル構造のピッチ(コレステリック規則性の周期)を変化させ、そして、重合転化率が100%になるまで紫外線を照射する方法が好ましい。 具体的には、波長350〜400nmにおける平均モル吸光係数が2000M−1cm−1以上の光重合性開始剤と重合性液晶化合物とを含有する光重合性組成物を基材上に塗布して塗膜を得、該塗膜に少なくとも波長350〜400nmの光を0を超え10mJ/cm2以下の照射量で照射して重合性液晶化合物を重合させて半硬化膜を得、該半硬化膜のコレステリック規則性の周期を変化させ、次いで、波長350〜400nmの光を10mJ/cm2以上照射して半硬化膜をさら硬化させてコレステリック規則性を持った樹脂の層を形成する。このときに用いる重合性液晶化合物は、波長350〜400nmにおける平均モル吸光係数が1500M−1cm−1以下であることが好ましい。 光重合性開始剤の波長350〜400nmにおける平均モル吸光係数が上記範囲内であり、且つ、波長350〜400nmの光の照射量が上記範囲内であることにより、短い照射時間で、本発明の光学素子の選択反射帯域の幅を広くすることができる。 波長350〜400nmの光の照射時間は、好ましくは0.1〜10秒、より好ましくは0.1〜5秒、さらに好ましくは0.1〜3秒である。光の照射時間が上記範囲であることにより、本発明の光学素子を連続的に製造する場合において、製造工程中の露光工程の長さを短くすることができたり、ライン速度を上げることができたりするので、光学素子の生産性を向上させることができる。 コレステリック規則性の周期を変化させる方法としては、例えば、液晶相を示す温度範囲内で加熱する方法、光重合した半硬化膜にさらに重合性液晶化合物を含む組成物を塗布し、さらに光重合する方法、光重合した半硬化膜に非液晶性化合物を塗布する方法が挙げられる。これらのうち液晶相を示す温度範囲内で加熱する方法が好ましい。加熱温度は、重合性液晶化合物の種類によって適宜選択でき、通常65〜115℃である。加熱時間は通常0.001〜20分間、好ましくは0.001〜10分間、より好ましくは0.001〜5分間である。 本発明の光学素子は、選択反射特性を可視光の全波長領域にわたって示すコレステリック樹脂層を備えていることが好ましい。具体的には、青色(波長410〜470nm)、緑色(波長520〜580nm)、赤色(波長600〜660nm)のいずれの波長域の光についても選択反射特性を示すコレステリック樹脂層であることが好ましい。 本発明の光学素子は、偏光子A、液晶セル、及び偏光子Bを少なくとも有する液晶表示装置に、1/4波長板と組み合わせて取り付け、偏光子A、液晶セル、偏光子B、1/4波長板、本発明の光学素子の順に配列することによって、液晶表示装置の輝度を向上させることができる。 本発明に用いる偏光子A及びBは液晶表示装置等に用いられている公知の偏光子である。本発明に用いる偏光子は互いに直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過するものである。例えば、ポリビニルアルコールフィルムやエチレン酢酸ビニル部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸させたもの、前記親水性高分子フィルムを一軸延伸して二色性物質を吸着させたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルムなどが挙げられる。その他に、グリッド偏光子、多層偏光子などの偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうちポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。 本発明に用いる偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の平均厚みは好ましくは5〜80μmである。 偏光子Aの偏光透過軸と偏光子Bの偏光透過軸とは、通常、直角になるように、液晶セルを挟むようにして配置する。偏光子は吸湿によって偏光性能が変化することがある。これを防ぐために保護フィルムが偏光子AまたはBの両面に通常貼り合わせてある。 液晶セルは、数μmのギャップを隔てて対向する透明電極を設けた2枚のガラス基板の間に液晶物質を充填し、この電極に電圧を掛けて液晶の配向状態を変化させてここを通過する光の量を制御するものである。 液晶物質の配向状態を変化させる方式(動作モード)などによって、液晶セルは分類され、例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶セル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶セル、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶セル、IPS(In Plane Switching)型液晶セル、VA(Vertical Alignment)型液晶セル、MVA(Multiple Vertical Alignment)型液晶セル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶セルなどが挙げられる。 本発明に用いる1/4波長板は、入射光に対してほぼ1/4波長の位相差を与えるものである。位相差は入射光の波長によって生じかたが異なるので、通常、可視光線の中心波長、例えば550nm付近においてほぼ1/4波長の位相差を与えるものを1/4波長板と称している。一方、本発明においては、広帯域1/4波長板を用いることができる。広帯域1/4波長板とは、波長410〜660nmを含む可視光領域のどの波長でもほぼ1/4波長の位相差を与えるものである。ほぼ1/4とは、0.15〜0.40、好ましくは0.18〜0.36、より好ましくは0.20〜0.30の範囲であることを意味する。 さらに、1/4波長板として、位相補償機能を有するものを用いることができる。位相補償機能を有する1/4波長板とは、550nm付近において、ほぼ1/4波長の位相差を与えるものであるとともに、0nm未満、好ましくは−2000〜−10nmの厚み方向のレターデーションRth(=((nx+ny)/2−nz)×d);nx,nyは面内主屈折率、nzは法線方向の主屈折率、dは厚さ)を与えるものである。 広帯域1/4波長板として、例えば、波長550nm付近において1/2波長の位相差を与える1/2波長板と、550nm付近において1/4波長の位相差を与える1/4波長板を積層したもの;正の固有複屈折値を有する材料からなるD層と、負の固有複屈折値を有する材料からなるE層とを有し、前記D層とE層が同一方向に分子配向したものが挙げられる。また、市販されている広帯域位相差フィルムWRF(帝人社製)等を用いることができる。 本発明の好ましい液晶表示装置では、偏光子Bと1/4波長板とが一体になっている。 一体とする方法は特に制限されない、例えば、偏光子Bと1/4波長板とを直接に貼り合わせ、1/4波長板を前記保護フィルムとして機能させてもよいし;偏光子Bの保護フィルムに1/4波長板を貼り合わせてもよい。貼り合わせるときには粘着剤や接着剤などを用いてもよい。偏光子Bの偏光透過軸は、1/4波長板から出射される直線偏光の方向と略平行になるように配置する。偏光透過軸と直線偏光の方向とがなす角度が略平行であるとは、その角度が0〜3°の角度であることを意味する。 本発明の液晶表示装置では、1/4波長板に前述のような位相補償機能が付与されていない場合は、さらに、面内のレターデーションを実質的に有さず、かつ、厚み方向のレターデーションRth(Rth={(nx+ny)/2−nz}×d:式中、nx、nyは面内方向の主屈折率を表し、nzは厚み方向の主屈折率を表し、dは膜厚を表す。)が、−20nm〜−1000nm、好ましくは−50nm〜−500nmの範囲にある位相補償素子を本発明の光学素子と1/4波長板との間に備えていることが好ましい。この際、位相補償素子と1/4波長板とが一体となっていることが好ましい。 このような範囲のRthを有する位相補償素子は、1/4波長板に斜めから入射する光の位相差を補償する機能を有する。 この位相補償素子は、主屈折率nx、ny及びnzが、nz>nx、nz>ny、及びnx≒nyの関係を満たすことが必要である。なお、この主屈折率は、自動複屈折計[例えば、王子計測器(株)製「KOBRAシリーズ」等]により測定することができる。なお、nx≒nyとは、屈折率差が、通常0.0002以内、好ましくは0.0001以内、より好ましくは0.00005以内のことである。 また、この位相補償素子の、面内方向のレターデーションRe(Re=(nx−ny)×d:nx、ny及びdは前記と同じ意味を表す。)は、通常20nm以下、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下である。 このような光学特性を有する位相補償素子は、負の固有複屈折値を有する材料の層を含むフィルムを延伸配向させることによって得ることができる。 図1は、本発明の液晶表示装置の一例を示す図である。図1に示すように、反射板20、冷陰極管19、拡散板18、プリズムシート(図示せず)、基材16上に形成されたコレステリック樹脂層17からなる光学素子21、一体となった位相補償素子15と1/4波長板14と偏光子B 13、液晶セル12、偏光子A 11の順に配置されている。光源からの光には右偏光と左偏光とが含まれている。その光が光学素子21に入射すると、一方の回転方向の円偏光(図中光の進行方向に向って右回転の円偏光)はそのままの回転方向を維持したまま光学素子21を透過する。他方の回転方向の円偏光(図中光の進行方向に向って左回転の円偏光)は光学素子で反射される(反射された円偏光は光の進行方向に向って左回転のままである)。透過した円偏光は1/4波長板により偏光子Bの透過軸と平行な直線偏光に変換される。一方、反射された円偏光は光源の背後に配置された反射板によって反射され、再び光学素子に入射する。このようにして、光源から出射した光が有効利用され、画面の表示輝度を向上させることができる。 なお、前記拡散板は、一般に、粒子状の拡散材が樹脂等のマトリックス中に均一に分散し、それによって光を散乱拡散する機能を有する板として知られているものである。前記プリズムシートは、一般に、散乱等により広く進行方向が広がった光をシート面法線方向に狭める機能を有するシートとして知られているものである。 また、図1において、位相補償素子と光学素子の間に、拡散シートを介在させてもよい。拡散シートは、一般に、透明フィルムの上に粒子状の拡散材が均一に分散するように積層されたものであり、光を散乱拡散する機能を有するシートとして知られているものである。 本発明では、光学素子の、1/4波長板側の面に、光拡散性を備えていることが好ましい。光拡散性とは、光を散乱拡散する性質のことである。光拡散性を備えさせるために、例えば、光学素子の表面に、粒子状の拡散材を均一に分散するように積層させる方法、基材に粒子状の拡散材を均一に分散する方法、または前記拡散シートを光学素子に貼りあわせる方法などが挙げられる。 以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。また、部および%は、特に記載のない限り質量基準である。実施例1 アルゴンガス置換したシュレンクで、式(3)で表されるイソソルビド665mg(4.54mモル)と、式(4)で表される化合物1g(3.78mモル)と、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)20mg((4)に対して2.0重量%)とをジクロロメタン50mlに溶解した。氷浴で約0℃に冷却した。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)1.56g(7.56mモル)をゆっくり添加し、添加後30分攪拌した。次に室温に戻し、室温で20時間脱水反応させた。反応生成物をヘキサンとテトラヒドロフラン混合液(ヘキサン/テトラヒドロフラン=2/1)を用いてシリカゲルカラムを取り付けたクロマトグラフィーにて精製し、式(5)で表される化合物を得た。 アルゴンガス置換したシュレンクで、式(5)で表される化合物400mg(1.02mモル)と、式(6)で表される化合物235mg(1.22mモル)と、DMAP 5mg((6)に対して2重量%)とをジクロロメタン50mlに溶解した。氷浴で約0℃に冷却した。DCC 506mg(2.45mモル)をゆっくり添加し、添加後30分攪拌した。次に室温に戻し、室温で20時間脱水反応させた。反応生成物をヘキサンとテトラヒドロフラン混合液(ヘキサン/テトラヒドロフラン=3/1)を用いてシリカゲルカラムを取り付けたクロマトグラフィーにて精製し、キラル剤(A)を得た。 1H−NMR(500MHz, CDCl3)による分析により、下記のピークが検出され、実施例1によって得られたキラル剤(A)が式(7)で表される構造のものであることを確認した。 δ=8.13 (d, 1H, 芳香族), 7.96 (d, 1H, 芳香族), 7.25 (d, 1H, 芳香族), 6.89 (d, 1H, 芳香族), 6.64 (dd, 1H, アクリレート), 6.40 (dd, 1H, アクリレート), 6.33 (dd, 1H, アクリレート), 6.12 (dd, 1H, アクリレート), 6.06 (dd, 1H, アクリレート), 5.83 (dd, 1H, アクリレート), 5.46 (m, 1H, イソソルビド), 5.42 (q, 1H, イソソルビド), 5.05 (t, 1H, イソソルビド), 4.67 (d, 1H, イソソルビド), 4.24 (t, 2H, −CH2−OAr), 4.10 (t, 2H, −CH2−OCOR), 4.05 (m, 4H, イソソルビド), 1.89 (m, 4H, −OCH2−CH2−CH2−CH2OAr−)実施例2 ゼオノアフィルム(日本ゼオン社製、ZF14−100)の片面をコロナ放電し、次いでその面にポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバールMP203)の5質量%水溶液を塗布し、100℃で3分間乾燥した後、フェルトのロールでラビングして、配向膜を形成させて、基材を得た 重合性液晶化合物(パリオカラーLC242:BASF社製)94.2質量部、実施例1で得た式(7)で表されるキラル剤5.8質量部、光重合性開始剤(イルガキュア907、チバスペシャリティーケミカルズ社製)3.1質量部、及び界面活性剤(セイミケミカル社製、サーフロンKH−40)0.1部をメチルエチルケトンに固形分40%になるように溶解し、次いで孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製シリンジフィルターにて濾過して光重合性組成物を得た。 この光重合性組成物を前記基材の配向膜を設けた面に塗布し、乾燥させ、塗布膜を形成した。塗布膜を形成した面側に紫外線を波長350〜400nmの照射量として5mJ/cm2照射した。その後、100℃のオーブン中に3分間放置し、次いで紫外線を塗布膜形成面側に波長350〜400nmの照射量として200mJ/cm2照射して塗布膜を硬化させて、コレステリック樹脂層を有する厚み3μmの光学素子を得た。厚みは、光重合性組成物の塗布量を調整することにより制御した。コレステリック樹脂層のヘリカルピッチの長さを反射率測定器(MCPD、大塚電子社製)で分析し、以下の式により、螺旋捻り力HTPを求めた。 HTPは、式:HTP = 1/(P・C) = n/(Δλ・C) により求めた。 なお、Pはコレステリック層のピッチ長(μm)、Cは重合性液晶化合物に対するキラル剤の濃度(質量部/100)、nは重合性液晶化合物の平均屈折率、Δλはコレステリック層の選択反射帯域の幅(μm)である。HTPは46であった。実施例3 アルゴンガス置換したシュレンクで、式(3)で表されるイソソルビド475mg(3.22mモル)と、式(8)で表される化合物800mg(2.93mモル)と、DMAP 16mg((8)に対して2.0重量%)とをジクロロメタン50mlに溶解した。氷浴で約0℃に冷却した。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)1.33g(6.45mモル)をゆっくり添加し、添加後30分攪拌した。次に室温に戻し、室温で20時間脱水反応させた。反応生成物をヘキサンとテトラヒドロフラン混合液(ヘキサン/テトラヒドロフラン=2/1)を用いてシリカゲルカラムを取り付けたクロマトグラフィーにて精製し、式(9)で表される化合物を得た。アルゴンガス置換したシュレンクで、式(9)で表される化合物488mg(1.22mモル)と、式(6)で表される化合物281mg(1.46mモル)と、DMAP 6mg((6)に対して2重量%)とをジクロロメタン50mlに溶解した。氷浴で約0℃に冷却した。DCC 663mg(4.38mモル)をゆっくり添加し、添加後30分攪拌した。次に室温に戻し、室温で20時間脱水反応させた。反応生成物をヘキサンとテトラヒドロフラン混合液(ヘキサン/テトラヒドロフラン=3/1)を用いてシリカゲルカラムを取り付けたクロマトグラフィーにて精製し、キラル剤(B)を得た。1H−NMR(500MHz, CDCl3)による分析により、下記のピークが検出され、実施例3によって得られたキラル剤(B)が式(10)で表される構造のものであることを確認した。 δ=8.02 (d, 2H, 芳香族), 7.96 (d, 2H, 芳香族), 6.91 (dd, 4H, 芳香族), 6.41 (dd, 1H, アクリレート), 6.12 (dd, 1H, アクリレート), 5.83 (dd, 1H, アクリレート), 5.46 (m, 1H, イソソルビド), 5.39 (q, 1H, イソソルビド), 5.04 (t, 1H, イソソルビド), 4.67 (d, 1H, イソソルビド), 4.25 (t, 2H, −CH2−O−Ar−), 4.06 (m, 4H, イソソルビド), 3.49 (t, 2H, −CH2−Br) 2.08 (m, 2H, Br−CH2−CH2−CH2−CH2−O−Ar−) 1.97 (m, 2H, Br−CH2−CH2−CH2−CH2−O−Ar−)実施例4 式(7)で表されるキラル剤に代えて、実施例3で得た式(10)で表されるキラル剤を用いたほかは、実施例2と同様にして、コレステリック樹脂層を有する厚み3μmの光学素子を得た。HTPは41であった。比較例1 実施例1において式(6)で表される化合物に代えて、アクリル酸88mg(1.22mモル)を用いた他は実施例1と同様にしてキラル剤(C)を得た。1H−NMR(500MHz, CDCl3)による分析により、下記のピークが検出され、得られたキラル剤(C)は式(11)で表される構造のものであることを確認した。 δ=8.10 (d, 1H, 芳香族), 7.96 (d, 1H, 芳香族), 7.30 (d, 1H, 芳香族), 7.01 (d, 1H, 芳香族), 6.65 (dd, 1H, アクリレート), 6.42 (dd, 1H, アクリレート), 6.35 (dd, 1H, アクリレート), 6.18 (dd, 1H, アクリレート), 6.10 (dd, 1H, アクリレート), 5.85 (dd, 1H, アクリレート), 5.46 (m, 1H, イソソルビド), 5.41 (q, 1H, イソソルビド), 5.01 (t, 1H, イソソルビド), 4.67 (d, 1H, イソソルビド), 4.22 (t, 2H, −CH2−O−Ar), 4.11 (t, 2H, −CH2−OCO−R), 4.05 (m, 4H, イソソルビド), 1.90 (m, 4H, −O−CH2−CH2−CH2−CH2−O−Ar−)比較例2 式(11)で表される化合物を用いて実施例2と同様にして樹脂層を形成し、その樹脂層を測定して、HTPを求めた。HTPは11であった。比較例3 アルゴンガス置換したシュレンクで、式(9)で表される化合物300mg(0.75mモル)をTHF10mlに溶解した。さらにピリジンを1ml加えた。塩化アクリロイル75μl(1.12mモル)をゆっくり添加し、添加後4時間攪拌した。反応生成物をヘキサンとテトラヒドロフラン混合液(ヘキサン/テトラヒドロフラン=3/1)を用いてシリカゲルカラムを取り付けたクロマトグラフィーにて精製し、キラル剤(D)を得た。 1H−NMR(500MHz, CDCl3)による分析により、下記のピークが検出され、得られたキラル剤(D)は式(12)で表される構造のものであることを確認した。 δ=8.02 (d, 2H, 芳香族), 7.96 (d, 2H, 芳香族), 6.49 (dd, 1H, アクリレート), 6.20 (dd, 1H, アクリレート), 5.90 (dd, 1H, アクリレート), 5.43 (m, 1H, イソソルビド), 5.26 (q, 1H, イソソルビド), 4.96 (t, 1H, イソソルビド), 4.65 (d, 1H, イソソルビド), 4.10 (t, 2H, −CH2−O−Ar−), 4.03 (m, 3H, イソソルビド), 3.90 (dd, 1H, イソソルビド) 3.49 (t, 2H, −CH2−Br) 1.97 (m, 4H, Br−CH2−CH2−CH2−CH2−O−Ar−)比較例4 式(12)で表される化合物を用いて実施例2と同様にして樹脂層を形成し、その樹脂層を測定して、HTPを求めた。HTPは10であった。本発明の液晶表示装置の構成例を示す図である。符号の説明 11:偏光子A 12:液晶セル 13:偏光子B 14:1/4波長板 15:位相補償素子 16:基材 17:コレステリック樹脂層 18:拡散板 19:冷陰極管 20:光反射板 21:光学素子 2価のキラル基と、該キラル基の2つの結合手にそれぞれ結合する1価の基Dと1価の基Eとからなり、該1価の基Dと該1価の基Eは同じ構造の環を同数有し、且つ以下の(I)または(II)を満たす、キラル剤。(I)該1価の基D及び該1価の基Eの、一方は炭素鎖を有し、もう一方は炭素鎖を有しない。(II)該1価の基D及び該1価の基Eの両方が炭素鎖を有し、且つ、該1価の基Dの炭素鎖の炭素数と該1価の基Eの炭素鎖の炭素数とが異なる。 前記1価の基D及び/又は前記1価の基Eの末端に重合性基が結合している、請求項1に記載のキラル剤。 式(1): A1−Y−Z1−X−Z2−Y−B−A2〔式(1)中、A1およびA2はそれぞれ独立に重合性基又は重合性基を有する基であり、Yは脂環、芳香環若しくは複素環、又は脂環、芳香環若しくは複素環の縮合環(これらの環は置換基を有していてもよい。)であり、Z1およびZ2はそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CON(R)−、又は−N(R)CO−であり、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Bはスペーサー基であり、Xはキラル基である。〕で表される、請求項2に記載のキラル剤。 式(1)中の、A1およびA2がそれぞれ独立にCH2=CH−COO−又はCH2=C(CH3)−COO−であり、Yが置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環であり、Z1およびZ2がそれぞれ独立に−COO−又は−OCO−であり、Bが、ポリメチレン基であり、Xが〔ただし、*は結合手を表し、式(f)中のLはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン、−COOR、−OCOR、−OCOOR、−CONHR、又は−NHCORであり、かつRは前記のものを表す。〕で表されるキラル基である、請求項3記載のキラル剤。 式(2): 〔式(2)中、nは2〜10の整数である。〕で表されるキラル剤 請求項1〜5のいずれかに記載のキラル剤と、重合性液晶化合物と、光重合性開始剤を含有する光重合性組成物。 請求項6に記載の光重合性組成物に光を照射して重合してなるコレステリック規則性を持った樹脂。 請求項7に記載のコレステリック規則性を持った樹脂の層を有する光学素子。 請求項8に記載の光学素子を備えた液晶表示装置。 【課題】高いらせんねじれ力を有するキラル剤、該キラル剤を含有する組成物、該組成物を用いて得られる1層で広い選択反射帯域を持つコレステリック規則性を持つ樹脂、該樹脂の層を有する光学素子、および該光学素子を備え且つ斜めからの観察によっても表示に着色がない液晶表示装置を提供する。【解決手段】 2価のキラル基と、該キラル基の2つの結合手にそれぞれ結合する1価の基Dと1価の基Eとからなり、該1価の基Dと該1価の基Eは同じ構造の環を同数有し、且つ以下の(I)または(II)を満たす、キラル剤。(I)該1価の基D及び該1価の基Eの、一方は炭素鎖を有し、もう一方は炭素鎖を有しない。(II)該1価の基D及び該1価の基Eの両方が炭素鎖を有し、且つ、該1価の基Dの炭素鎖の炭素数と該1価の基Eの炭素鎖の炭素数とが異なる。【選択図】 無し。


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