タイトル: | 公開特許公報(A)_ポリアニリン化合物の製造方法 |
出願番号: | 2005369485 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 209/36,C07C 209/68,C07C 211/54,C07C 249/02,C07C 251/30,C09B 53/00,C09K 3/00,C07B 61/00 |
木村 桂三 山川 一義 JP 2007169218 公開特許公報(A) 20070705 2005369485 20051222 ポリアニリン化合物の製造方法 富士フイルム株式会社 306037311 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 木村 桂三 山川 一義 C07C 209/36 20060101AFI20070608BHJP C07C 209/68 20060101ALI20070608BHJP C07C 211/54 20060101ALI20070608BHJP C07C 249/02 20060101ALI20070608BHJP C07C 251/30 20060101ALI20070608BHJP C09B 53/00 20060101ALI20070608BHJP C09K 3/00 20060101ALI20070608BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070608BHJP JPC07C209/36C07C209/68C07C211/54C07C249/02C07C251/30C09B53/00 ZC09K3/00 105C07B61/00 300 5 OL 26 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC23 4H006AC52 4H006AC59 4H006BA19 4H006BA32 4H006BD70 4H006BE27 4H039CA71 4H039CB40 本発明はポリアニリン化合物の製造方法に関するものであって、さらに詳しくは画像形成材料、赤外線感熱型記録材料、光記録素子および光学フイルム材料等に用いられる近赤外線吸収色素化合物の原料として有用な、N,N,N’,N’−テトラキス(4−アミノフェニル)パラフェニレンジアミン化合物の大スケールでの生産が可能な製造方法に関する。 ニトロ基の還元は有機合成において最も重要な反応の1つである。触媒存在下での水素による接触還元、触媒存在下でのヒドラジン化合物やシクロヘキセンなどオレフィン化合物或いはギ酸等による還元、鉄カルボニル化合物による還元、水素化リチウムアルミニウムなどの水素化アルミニウム化合物による還元、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素化合物あるいはこれと金属化合物(塩化ニッケル、酢酸銅など)の組み合わせによる還元、塩酸存在下にての亜鉛或いはスズによる還元、活性化された鉄粉による還元、硫化物による還元、ハイドロサルファイトナトリウムによる還元など種々の方法がこれまでに知られている(例えば非特許文献1、非特許文献2参照)。 一方、近年化学製造プロセスの環境に対する負荷が問題となってきており、反応条件が温和で、廃棄物が少なく、有害な原料をできる限り使用しない化学反応が求められている。これに対し前述の反応には反応剤が有毒、危険、大量の廃材または廃液が副生するなどの点で問題があった。 このような問題を解決する方法のひとつとして、触媒反応の利用が挙げられる。パラジウム、白金、ニッケルなどの触媒存在下での水素による接触還元やヒドラジン還元がこれまでに知られており、このうち特にヒドラジン還元は常圧で行えることから特殊な製造設備を必要とせず、大スケール反応に適する。 ニトロ基をアミノ基に還元する反応条件としてヒドラジンを使用する還元反応において、酸化鉄類共存下で行う方法や塩化第二鉄と活性炭を併用する方法(例えば特許文献1〜4および非特許文献3〜6参照)が知られている。しかしながら、ベンゼン環とアミノ基が分子内に多く存在するポリアニリン類をこの方法で得ることについてはこれまで知られていない。ポリアニリン化合物は酸化されやすいため、酸化分解をできるだけ抑制することができる反応系で製造することが重要である。この観点を満たす還元法として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−アミノフェニル)パラフェニレンジアミン化合物に対応するニトロ化合物を、例えばオートクレーブを用いる接触水素添加法という方法で還元することが知られているが(例えば特許文献5、非特許文献7参照)、製造設備が特殊なため高価であり、大スケール反応の対応が難しいという欠点があった。特開昭51−125027号公報特開平5−271175号公報特開平6−135905号公報特開2002−193899号公報特公昭43−25335号公報S.R.サンダース,W.カロ著「オーガニック・ファンクショナル・グループ・プレパレーションズ」第二版,第I巻,405〜411ページ(1983年)アカデミック・プレスL.C.ラロック著「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォメーションズ」,411〜415ページ(1989年)宮田敏行,遠藤嘉則,平島恒亮,日本化学会誌,858〜863ページ(1978年)シンセシス,834〜835ページ(1978年)平島恒亮,真鍋修,日本化学会誌,1223〜1227ページ(1975年)T.平島,O.真鍋,ケミストリー・レターズ,259〜260ページ(1975年)ジャーナル・オブ・ディスパージョン・サイエンス・アンド・テクノロジー,23巻,555〜562ページ(2002年) 本発明の目的は、画像形成材料、赤外線感熱型記録材料、光記録素子および光学フイルム材料等に用いられる近赤外線吸収色素化合物の原料として有用な、N,N,N’,N’−テトラキス(4−アミノフェニル)パラフェニレンジアミン化合物の大スケールでの生産が可能な製造方法を提供することにある。 本発明者らは鋭意検討の結果、下記手段により本発明の上記目的が達成されることを見出した。(1) 下記一般式(I)で表される化合物の製造方法であって、該製造方法は、 下記一般式(II)で表される化合物をヒドラジン化合物で還元して下記一般式(III)で表される化合物に変換する工程を含み、 一般式(I)のR111、R112、R121、R122、R131、R132、R141およびR142の少なくとも1つが水素原子以外である場合は、上記工程で得られた一般式(III)で表される化合物のアミノ基に結合した水素原子を置換して一般式(I)で表される化合物に変換する工程をさらに含む、ことを特徴とする製造方法。 一般式(I)中、R111、R112、R121、R122、R131、R132、R141およびR142は各々独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、R103、R113、R123、R133およびR143は各々独立に置換基を表し、n103、n113、n123、n133およびn143は各々独立に0〜4の整数を表す。 一般式(II)中、R203、R213、R223、R233およびR243は各々独立に置換基を表し、n203、n213、n223、n233およびn243は各々独立に0〜4の整数を表す。 一般式(III)中、R303、R313、R323、R333およびR343は各々独立に置換基を表し、n303、n313、n323、n333およびn343は各々独立に0〜4の整数を表す。(2)前記工程を鉄化合物と活性炭の存在下で行うことを特徴とする(1)に記載の製造方法。(3)前記鉄化合物が2価の鉄化合物または3価の鉄化合物であることを特徴とする(2)に記載の製造方法。(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法により前記一般式(I)で表される化合物を得る工程、および、一般式(I)で表される化合物を近赤外吸収色素化合物に変換する工程を含むことを特徴とする近赤外吸収色素化合物の製造方法。(5)前記近赤外吸収色素化合物が、下記一般式(IV)で表される近赤外吸収色素化合物であることを特徴とする(4)に記載の製造方法。 一般式(IV)中、R411、R412、R421、R422、R431、R432、R441およびR442は各々独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、R403、R413、R423、R433およびR443は各々独立に置換基を表し、n403、n413、n423、n433およびn443は各々独立に0〜4の整数を表し、Xは1価または2価の陰イオンを表し、n453は1または2を表す。ここで、Xの価数とn453の積は2である。 本発明により画像形成材料、赤外線感熱型記録材料、光記録素子および光学フイルム材料等として有用な、近赤外線吸収色素化合物の原料となる、N,N,N’,N’−テトラキス(4−アミノフェニル)パラフェニレンジアミン化合物の大スケールでの生産が可能な製造方法を提供することができる。 以下において、本発明のポリアニリン化合物の製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。 以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。 本明細書においてまず、脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。アルキル基は分岐を有していてもよく、また環を形成(すなわち、シクロアルキル基)していてもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜18であることがさらに好ましい。置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アルケニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成(すなわち、シクロアルケニル基)していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることがさらに好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。アルキニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成(すなわち、シクロアルケニル基)していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることがさらに好ましい。置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分は下記アリール基と同様である。 置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基および置換アラルキル基のアルキル部分の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル基)、さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−4−イル基)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールもしくはヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)が挙げられる。 上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。 置換アラルキル基のアリール部分の置換基としては、下記置換アリール基の置換基が挙げられる。 本明細書において芳香族基は、アリール基および置換アリール基を意味する。またこれらの芳香族基は脂肪族環、他の芳香族環または複素環が縮合していてもよい。芳香族基の炭素原子数は6〜40が好ましく、6〜30がさらに好ましく、6〜20がさらに好ましい。またその中でもアリール基としてはフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。 置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例としては、前述の置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基および置換アラルキル基のアルキル部分の置換基として挙げた基が挙げられる。 次に一般式(I)〜(IV)で表される化合物について説明する。 一般式(I)においてR111、R112、R121、R122、R131、R132、R141およびR142として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基および炭素数6〜20のアリール基であり、さらに好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基および炭素数6〜10のアリール基であり、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基であり、最も好ましくは炭素数2〜6のアルキル基である。またR111、R112、R121、R122、R131、R132、R141およびR142の全てが同一であることも好ましい。 R103、R113、R123、R133およびR143として好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、イミド基、シリル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アミノ基であり、最も好ましくはアルキル基である。 また、R113、R123、R133およびR143の全てが同一であることも好ましい。 n103、n113、n123、n133およびn143として好ましくは0〜3であり、より好ましくは0〜2であり、さらに好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。 一般式(II)において、R203、R213、R223、R233およびR243は前述のR103等と同義であり、好ましい範囲も同一である。また、n203、n213、n223、n233およびn243は前述のn103等と同義であり、好ましい範囲も同一である。 一般式(III)において、R303、R313、R323、R333およびR343は前述のR103等と同義であり、好ましい範囲も同一である。また、n303、n313、n323、n333およびn343は前述のn103等と同義であり、好ましい範囲も同一である。 一般式(IV)において、R411、R412、R421、R422、R431、R432、R441およびR442は前述のR111等と同義であり、好ましい範囲も同一である。また、R411、R412、R421、R422、R431、R432、R441およびR442の全てが同一であることも好ましい。 R403、R413、R423、R433およびR443は前述のR103等と同義であり、好ましい範囲も同一である。また、R413、R423、R433およびR443の全てが同一であることも好ましい。 n403、n413、n423、n433およびn443は前述のn103等と同義であり、好ましい範囲も同一である。 Xは1価または2価の陰イオンを表し、Xとして好ましくは過塩素酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンまたはヘキサフルオロアンチモン酸イオンであり、より好ましくは過塩素酸イオン、スルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンまたはヘキサフルオロアンチモン酸イオンであり、さらに好ましくは過塩素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンまたはヘキサフルオロアンチモン酸イオンであり、最も好ましくは過塩素酸イオンである。 以下に一般式(I)〜(IV)で表される化合物の具体例を示すが、本発明で用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。(一般式(I)で表される化合物)(一般式(II)で表される化合物)(一般式(III)で表される化合物)(一般式(IV)で表される化合物) 次に本発明のヒドラジンを用いる還元反応について説明する。 本発明は、前記一般式(I)で表される化合物の製造において、前記一般式(II)で表される化合物をヒドラジン化合物で還元し、前記一般式(III)で表される化合物に変換する工程を含むものである。 一般式(II)で表される化合物は、特開昭43−25335号公報、ジャーナル・オブ・ディスパージョン・サイエンス・アンド・テクノロジー,23巻,555〜562ページ(2002年)に記載の方法等で容易に合成できる。 本発明で用いるヒドラジン化合物はNH2NH2単独の組成からなるものまたはこれを含むものであり、好ましくはNH2NH2の水和物または塩である。さらに好ましくはヒドラジン1水和物またはその水溶液であり、最も好ましくはヒドラジン1水和物の80%水溶液である。 反応にはヒドラジン化合物に鉄化合物または活性炭を共存させることが好ましく、さらに好ましくはヒドラジン化合物に鉄化合物と活性炭の両方を共存させることである。 鉄化合物は2価または3価の鉄化合物が好ましく、より好ましくは3価の鉄化合物であり、好ましい具体例としては酸化鉄(III)、水和酸化鉄(III)、ハロゲン化鉄(III)(無水物、水和物、水溶液いずれの形態であってもよい)、ハロゲン化鉄(II)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)または酢酸鉄(III)であり、さらに好ましくは水和酸化鉄(III)、ハロゲン化鉄(III)(無水物、水和物、水溶液いずれの形態であってもよい)、ハロゲン化鉄(II)または硫酸鉄(III)であり、さらに好ましくは水和酸化鉄(III)、ハロゲン化鉄(III)(無水物、水和物、水溶液いずれの形態であってもよい)またはハロゲン化鉄(II)であり、最も好ましくは塩化鉄(III)(無水物、水和物いずれの形態であってもよい)である。本発明においてこれらの鉄化合物は、反応系に別別の化合物として添加し、反応系内で反応前あるいは反応途中で形成させるようにしてもよい。また本発明において複数の鉄化合物を組み合わせて使用することも好ましい。 本発明で用いる活性炭として好ましくは粉末活性炭であり、より好ましくは木質系の原料をベースにガス割賦法により製造された水蒸気炭であり、さらに好ましくは細孔直径20オングストローム付近にピークのある高度に発達した活性炭であり、また純度の高い活性炭が好ましい。また強熱残分は好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。好ましい活性炭は具体的には例えば二村化学工業(株)の太閤、武田薬品工業(株)の白鷺Aであり、さらに好ましくは二村化学工業(株)の太閤である。 反応に用いる原料の比率は、1モルの一般式(II)で表される化合物に対して、ヒドラジン化合物は好ましくは6〜200モル、より好ましくは6〜150モル、さらに好ましくは6〜100モル、さらに好ましくは6〜70モル、さらに好ましくは6〜50モル、さらに好ましくは6〜30モル、さらに好ましくは6〜20モルである。ヒドラジン化合物は原料消失に必要な量よりも0.1〜10モル、好ましくは1〜5モル、更に好ましくは2〜3モル過剰に用いると、生成するポリアニリン化合物の酸化分解を抑制するのに有効である。また、一般式(II)で表される化合物に対して、鉄化合物は好ましくは0.005〜50.0質量%であり、より好ましくは0.01〜10.0質量%であり、さらに好ましくは0.01〜5.0質量%である。また、一般式(II)で表される化合物に対して、活性炭は好ましくは0.1〜800質量%、より好ましくは0.5〜200質量%であり、さらに好ましくは1〜70質量%であり、さらに好ましくは3〜40質量%である。 反応に用いる溶媒としては、例えば水、アミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン)、スルホン系溶媒(例えばスルホラン)スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア)、エーテル系溶媒(例えばジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル)、炭化水素系溶媒(例えばトルエン、キシレン、n−デカン)、ハロゲン系溶媒(例えばテトラクロロエタン,クロロベンゼン)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、シクロヘキサノール、フェノール)、ピリジン系溶媒(例えばピリジン、γ−ピコリン、2,6−ルチジン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、カルボン酸系溶媒(例えば酢酸、プロピオン酸)およびニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル)を単独或いは併用して用いる。このうち好ましくは水、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒、ウレイド系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒およびニトリル系溶媒であり、さらに好ましくは水、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレア、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびアセトニトリルであり、さらに好ましくは水、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、メタノールおよびイソプロパノールであり、さらに好ましくは水、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびイソプロパノールであり、これらの溶媒を2〜3種併用することも好ましい。 反応温度は通常0〜250℃、好ましくは30〜200℃、より好ましくは50〜150℃であり、ニトロ体、鉄化合物、活性炭に溶媒を加えて加熱溶解したところへ、ヒドラジン化合物を添加することが好ましい。ヒドラジン化合物の添加速度は通常10分〜10時間、好ましくは15分〜5時間、さらに好ましくは30分〜3時間である。 以上の工程で得られた一般式(III)で表される化合物は、目的とする一般式(I)の化合物の構造によっては、さらに反応させて目的とする一般式(I)の化合物を得る工程を行う。すなわち、目的とする一般式(I)の化合物のR111、R112、R121、R122、R131、R132、R141およびR142の少なくとも1つが水素原子以外である場合は、上記工程で得られた一般式(III)で表される化合物のアミノ基に結合した水素原子を置換して一般式(I)で表される化合物に変換する工程を行う。 この工程では、アミノ基に結合した水素原子の置換反応として知られている方法を適宜選択して用いることができる。例えば、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ,73巻,3100頁(1951年発行)、特開平10−29976号公報、特開平11−158046号公報に記載の方法に準じて容易に製造することができる。 一般式(I)で表される化合物は、有用性を高めるために近赤外吸収色素に変換することが好ましい。近赤外吸収色素として、例えば上記の一般式(IV)で表される近赤外吸収色素を挙げることができる。一般式(I)で表される化合物から一般式(IV)で表される近赤外吸収色素を製造する方法は、具体的には、銀、銅、鉄などの金属酸化物を用いる反応、過硫酸アンモニウムなどの無機酸化剤を用いる反応およびこれらを組み合わせて行う反応などが知られている。 一般式(I)で表される化合物から一般式(IV)で表される近赤外吸収色素を製造する方法については、例えば特公昭59−40825号、特開昭63−51462号、特開平2−311447号、特開平5−98243号、特開平11−315054号、特開2003−55643号等の各公報にも具体的に記載されている。 以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。(実施例1)例示化合物(III−1)の合成 下記スキームに従い、例示化合物(III−1)を合成した。 3ツ口フラスコに例示化合物(II−1)160g、塩化鉄(III)0.32gとイソプロピルアルコール160mlからなる溶液、活性炭8.1g、1−メチルー2−ピロリジノン1340mlを入れて内温100℃になるまで加熱攪拌した。ここへヒドラジン1水和物(含率80%水溶液)450gを1時間かけて滴下し、そのまま内温100〜110℃にて、5時間加熱攪拌を続けた後、室温まで冷却した。このものを濾過して活性炭などを除いた後、ここへメタノール800mlと水1200mlを続けて滴下し、得られた結晶を吸引濾過し、乾燥して目的の例示化合物(III−1)を125.2g得た(収率98%)。このもののマススペクトルを測定したところM/e=472を得た。(実施例2)例示化合物(III−1)の合成 3ツ口フラスコに例示化合物(II−1)160g、塩化鉄(III)6水和物1.07gとイソプロピルアルコール160mlからなる溶液、活性炭16.2g、スルホラン1500mlを入れて内温100℃になるまで加熱攪拌した。ここへヒドラジン1水和物(含率80%水溶液)450gを1時間かけて滴下し、そのまま内温100〜110℃にて、5時間加熱攪拌を続けた後、室温まで冷却した。このものを濾過して活性炭などを除いた後、ここへメタノール800mlと水1200mlを続けて滴下し、得られた結晶を吸引濾過し、乾燥して目的の例示化合物(III−1)を122.0g得た(収率96%)。このもののマススペクトルを測定したところM/e=472を得た。(実施例3)例示化合物(III−1)の合成 3ツ口フラスコに例示化合物(II−1)160g、酸化鉄(III)1.55g、活性炭8.1g、N,N−ジメチルアセトアミド1000ml、水100mlを入れて内温100℃になるまで加熱攪拌した。ここへヒドラジン1水和物(含率80%水溶液)600gを2時間かけて滴下し、そのまま内温100〜115℃にて、5時間加熱攪拌を続けた後、室温まで冷却した。このものを濾過して活性炭などを除いた後、ここへメタノール800mlと水1200mlを続けて滴下し、得られた結晶を吸引濾過し、乾燥して目的の例示化合物(III−1)を117.6g得た(収率92%)。このもののマススペクトルを測定したところM/e=472を得た。(実施例4)例示化合物(III−1)の合成 3ツ口フラスコに例示化合物(II−1)160g、塩化鉄(III)6水和物1.07g、酸化鉄(III)1.55g、活性炭16.2g、1−メチルー2−ピロリドン1400mlを入れて内温100℃になるまで加熱攪拌した。ここへヒドラジン1水和物(含率80%水溶液)450gを1時間かけて滴下し、そのまま内温100〜110℃にて、5時間加熱攪拌を続けた後、室温まで冷却した。このものを濾過して活性炭などを除いた後、ここへメタノール800mlと水1200mlを続けて滴下し、得られた結晶を吸引濾過し、乾燥して目的の例示化合物(III−1)を126.3g得た(収率99%)。このもののマススペクトルを測定したところM/e=472を得た。(実施例5)例示化合物(I−10)の合成 下記スキームに従い、例示化合物(I−10)を合成した。 3ツ口フラスコに実施例1で得られた例示化合物(III−1)47.3g、炭酸カリウム165.9g、1−メチルー2−ピロリドン300mlを入れて加熱しながら攪拌し、内温80℃にて、1−ヨードブタン220.8gを1時間かけて滴下した。そのまま内温82〜93℃にて加熱攪拌を3時間続けた後、室温まで冷却し、酢酸エチル1000ml、水1000mlを加えて抽出し、得られた酢酸エチル層を水1000mlにて3回洗浄し、ロータリーエバポレーターにて濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して目的の例示化合物(I−10)を88.5g得た(収率96%)。このもののマススペクトルを測定したところM/e=920を得た。(実施例6)例示化合物(I−10)の合成 3ツ口フラスコに実施例4で得られた例示化合物(III−1)47.3g、炭酸カリウム165.9g、1−メチルー2−ピロリドン300mlを入れて加熱しながら攪拌し、内温80℃にて、1−ブロモブタン164.4gを1時間かけて滴下した。そのまま内温82〜96℃にて加熱攪拌を5時間続けた後、室温まで冷却し、酢酸エチル1000ml、水1000mlを加えて抽出し、得られた酢酸エチル層を水1000mlにて3回洗浄し、ロータリーエバポレーターにて濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して目的の例示化合物(I−10)を82.0g得た(収率89%)。このもののマススペクトルを測定したところM/e=920を得た。(実施例7)例示化合物(IV−3)の合成 下記スキームに従い、例示化合物(IV−3)を合成した。 3ツ口スラスコに例示化合物(I−10)9.21gを酢酸エチル120mlに溶解し、アセトニトリル40mlを添加して室温にて攪拌した。ここへデュポン社製OXONE(シグマーアルドリッチ・ジャパンより購入、2KHSO5・KHSO4・K2SO4の組成よりなる)12.3gと過塩素酸ナトリウム2.44gを水40mlに溶解した水溶液を30分かけて滴下した後、そのまま3時間攪拌した。このものを分液し、水60mlと飽和食塩水10mlの混合液で3回洗浄した後、ロータリーエバポレーターで濃縮して得られた残留物に酢酸エチルを添加して、得られた結晶を濾過、乾燥して目的の例示化合物(IV−3)10.4gを得た(収率93%)。このもののマススペクトルをイオン化せずに測定したところ、M/e=460との結果を得た。また、このもののエタノールにおける最大吸収波長は1078nmであった。 本発明の製造方法によって、N,N,N’,N’−テトラキス(4−アミノフェニル)パラフェニレンジアミン化合物を大スケールで効率よく製造することが可能になった。該化合物は、画像形成材料、赤外線感熱型記録材料、光記録素子および光学フイルム材料等に使用する近赤外線吸収色素化合物の原料として有用である。したがって、本発明は産業上の利用可能性が高い。 下記一般式(I)で表される化合物の製造方法であって、該製造方法は、 下記一般式(II)で表される化合物をヒドラジン化合物で還元して下記一般式(III)で表される化合物に変換する工程を含み、 一般式(I)のR111、R112、R121、R122、R131、R132、R141およびR142の少なくとも1つが水素原子以外である場合は、上記工程で得られた一般式(III)で表される化合物のアミノ基に結合した水素原子を置換して一般式(I)で表される化合物に変換する工程をさらに含む、ことを特徴とする製造方法。[一般式(I)中、R111、R112、R121、R122、R131、R132、R141およびR142は各々独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、R103、R113、R123、R133およびR143は各々独立に置換基を表し、n103、n113、n123、n133およびn143は各々独立に0〜4の整数を表す。][一般式(II)中、R203、R213、R223、R233およびR243は各々独立に置換基を表し、n203、n213、n223、n233およびn243は各々独立に0〜4の整数を表す。][一般式(III)中、R303、R313、R323、R333およびR343は各々独立に置換基を表し、n303、n313、n323、n333およびn343は各々独立に0〜4の整数を表す。] 前記工程を鉄化合物と活性炭の存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 前記鉄化合物が2価の鉄化合物または3価の鉄化合物であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により前記一般式(I)で表される化合物を得る工程、および、一般式(I)で表される化合物を近赤外吸収色素化合物に変換する工程を含むことを特徴とする近赤外吸収色素化合物の製造方法。 前記近赤外吸収色素化合物が、下記一般式(IV)で表される近赤外吸収色素化合物であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。[一般式(IV)中、R411、R412、R421、R422、R431、R432、R441およびR442は各々独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、R403、R413、R423、R433およびR443は各々独立に置換基を表し、n403、n413、n423、n433およびn443は各々独立に0〜4の整数を表し、Xは1価または2価の陰イオンを表し、n453は1または2を表す。ここで、Xの価数とn453の積は2である。] 【課題】N,N,N’,N’−テトラキス(4−アミノフェニル)パラフェニレンジアミン化合物を大スケールで生産する。【解決手段】一般式(II)の化合物のニトロ基をヒドラジン化合物で還元してアミノ基に変換する工程を経て製造する。[R203、R213、R223、R233、R243は置換基、n203、n213、n223、n233、n243は0〜4の整数を表す。]【選択図】なし