タイトル: | 特許公報(B2)_メタノールのホルムアルデヒドへの酸化用触媒の製造方法 |
出願番号: | 2005368532 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | B01J 23/88,B01J 37/12,B01J 37/08,C07C 45/29,C07C 47/052,C07B 61/00 |
エステリノ コンカ カルロ ルビニ マルチェッロ マーチ JP 4813895 特許公報(B2) 20110902 2005368532 20051221 メタノールのホルムアルデヒドへの酸化用触媒の製造方法 サッド−チェミー カタリスツ イタリア エス.アール.エル. 505471510 SUD−CHEMIE CATALYSTS ITALIA S.R.L. 野河 信太郎 100065248 エステリノ コンカ カルロ ルビニ マルチェッロ マーチ IT MI2004A002500 20041223 20111109 B01J 23/88 20060101AFI20111024BHJP B01J 37/12 20060101ALI20111024BHJP B01J 37/08 20060101ALI20111024BHJP C07C 45/29 20060101ALI20111024BHJP C07C 47/052 20060101ALI20111024BHJP C07B 61/00 20060101ALN20111024BHJP JPB01J23/88 ZB01J37/12B01J37/08C07C45/29C07C47/052C07B61/00 300 B01J 21/00−38/74 C07C 1/00−409/44 C07B 61/00 特開2001−198465(JP,A) 特公昭50−005679(JP,B1) 特公昭45−011216(JP,B1) 英国特許第1191143(GB,B) 特開2000−254509(JP,A) 9 2006175434 20060706 6 20081113 田澤 俊樹 本発明は、メタノールのホルムアルデヒドへの酸化用触媒を製造する方法およびホルムアルデヒドの製造方法におけるその使用に関する。 ホルムアルデヒドへのメタノールの酸化用触媒(通常、「モリブデン酸鉄」とよばれる。なぜなら、Fe2(MoO4)3が主要活性成分の1つであるからである)は、Mo/Fe比が1.5〜5であるFe2(MoO4)3/MoO3混合物を含み、一般的に、アルカリ性モリブデン酸塩またはアンモニウムの溶液と混合した可溶性第二鉄塩、例えばFeCl3、Fe(NO3)3などの水性溶液からの上記の触媒混合物の沈殿、それに続く懸濁液の希釈、濾過および沈殿の洗浄、その攪拌によるスラリーへの変換、スラリーの乾燥およびそれに続く乾燥粉末またはそのペーストの成型による特定の形状を有する顆粒の取得、および通常、450〜550℃の温度での顆粒の焼成を含む方法により製造される。 沈殿は、比較的低いpHの値(塩化第二鉄溶液からの沈殿の場合は1〜2)で溶液から行なわれ、このpHではモリブデン酸鉄がかなり可溶化される。 モリブデン酸イオンとともにアンモニウム、第二鉄、硝酸塩および塩化物の各イオンを含有する母液および洗浄水の排出は、問題である。なぜなら、これらのイオンは汚染物質であり、現在多くの国で有効な法令の規定によると、これらの排出は禁止されているか、または上記の母液および/または洗浄水中のこれらの濃度よりもはるかに低い濃度で排出することが許可されているからである。 今回、予期せぬことに、Mo/Fe比が1.5〜5であるFe2(MoO4)3/MoO3混合物を含み、母液および/または洗浄水の排出を回避することを可能にするので従来技術の問題点を有さない触媒を製造する方法が見出された。 本発明による方法の別の利点は、従来技術の方法により製造された触媒にはたとえ少量であっても常に存在していた第二鉄塩のアニオン、例えば塩化物イオンを含有しない触媒を得ることができることである。新規な方法に従って製造される触媒において、アルカリ金属イオン由来の不純物は実質上存在せず、存在したとしてもその量は40ppm未満である。 本発明による方法は、水中に懸濁された粉末形態の鉄の三酸化モリブデンとの反応、続いて、第一鉄イオンを第二鉄イオンに酸化しかつモリブデンを6原子価状態に酸化するのに必要な量に等しいかまたはそれより多い量の過酸化水素またはその他の酸化剤での酸化処理を含む。あるいは、酸化剤は、鉄と酸化モリブデンとの反応の期間中に投与できる。 反応中のMo/Fe原子比は1.5〜5、好ましくは2.5〜3である。該方法は、約20℃から塊(mass)の沸点(100℃)まで、好ましくは60〜80℃の温度で行なわれる。反応が一旦完了すると、沈殿の懸濁物は希釈され、母液は分離されて再利用される。沈殿を乾燥して、粉末またはそのペーストを成型して特定の形状を有する顆粒、特に貫通穴(through bore)を有する円筒状顆粒、または3葉状(three-lobed)断面を有し、葉部に顆粒の軸に平行に貫通穴を備える顆粒が得られる。 顆粒は、450〜600℃、好ましくは480〜580℃の温度での焼成により活性化される。 粉末形状の鉄は、40〜150ミクロンの平均直径を有する微小球粒子の形状で用いられるのが好ましい。 鉄中の炭素含量は、一般に0.15重量%未満である。例えばニッケル、銅、ケイ素およびマンガンのような元素は、好ましくは1%未満の量で存在し得る。マンガンは、通常、常に存在し、よって新規な方法のマーカーを構成し得る。 過酸化水素または同等の酸化剤、例えば酸素、有機過酸化物またはヒドロペルオキシドは、第一鉄イオンを第二鉄イオンに酸化しかつモリブデンを6原子価状態に酸化するのに必要な量に対して過剰に用いるのが好ましい。 得られる触媒は、従来技術の製造方法で用いられる試薬に由来する不純物が不在のために、有意に長い期間、安定した性能を有する。 該触媒の性能は、セリウムとして0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5%の量で3または4価のセリウムのモリブデン酸セリウムを添加することにより、さらに向上することができる。実際に、モリブデン酸セリウムは、触媒ベッドのホットスポット温度を有意に低下させ、よって触媒ベッドの安定性およびそれによりその寿命を増大させる効果を有する。 モリブデン酸セリウムの添加は、母液の傾寫の後に、本発明の方法により得られた沈殿と、アルカリ金属および/またはアンモニウムのモリブデン酸塩溶液と混合した(続いて無関係のイオンを除去するために洗浄した)3価および/または4価の可溶性セリウム塩、例えば炭酸セリウムの溶液から得られたか、または水性懸濁液中の炭酸セリウムと三酸化モリブデンとをCO2の発生が終わるまで加熱して得られたモリブデン酸セリウムの沈殿とを混合するか、あるいは上記と同様の方法で、鉄と酸化モリブデンとの反応の期間中に三酸化モリブデンと炭酸セリウムとを混合物に直接添加することにより行なわれる。 モリブデン酸セリウム含有触媒の高分解能で記録されるX線回折(XRD)スペクトルは、比較的低濃度(3000ppm)では格子距離d=8.44Å;d=6.69Åおよびd=4.79Åに現れる回折線(line)を示すが、高濃度(17000ppm)では、距離d=8.53Å;d=6.74Åおよびd=4.82Åに現れる回折線ならびに距離d=4.29Å;d=3.37Åおよびd=2.75Åに現れる回折線が存在する。 高分解能XRD分析は、Bragg-BrentanoジオメトリのPanalytical X'Pertθ/2θ自動化粉末回折計を用いて、λ=1.54184ÅのCuKαX線および1.6kWの電力を用いることにより行なわれる。用いられる角度間隔(angular interval)は、0.01°ステップおよびステップ当たり15秒の取得時間で5°〜125°2θである。ゴニオメータの広範な説明は、2つの0.04-radのSollerスリット、1°発散(divergence)および抗分散(antiscatter)スリットならびに0.4mm受容スリットを与える。回折光線は、二次グラファイト(secondary graphite)モノクロメータによりさらに収集される。 モリブデン酸セリウム含有触媒とモリブデン酸塩非含有触媒は、ともに1〜7m2/g、好ましくは2〜6m2/gの表面積を有する。 メタノール酸化は、常法に従って行なわれる。 ガス混合物は、6〜10容量%の濃度のメタノールと9〜13容量%の濃度の酸素とを含有し、残りは例えば窒素のような不活性ガスである。反応器は、バンドルチューブタイプ(bundle-tube type)のものであり、反応熱はパイプの外側を循環する冷却液により除かれる。 ガスの線速度は1〜2Nm/秒である。浴の温度は250〜320℃である。 好ましくは、ガス混合物は120〜160℃の温度で反応器に供給される。 以下の実施例は、本発明を説明するために与えられ、本発明を限定するものではない。実施例 メタノールのホルムアルデヒドへの酸化の触媒テストに使用されたパイロットプラントは、溶融塩浴中に浸漬した管状反応器で構成される。反応器は長さ1950mm、内径20.4mmを有する。触媒は、最大限の等温性を確実にするために、反応器の中央部分に入れる。溶融塩浴を投げ込み電熱器で加熱し、温度を調節器で制御する。 ガスを反応器の上部から導入する。 空気および窒素はマスフローで秤量し、メタノールは定流ポンプで秤量して、最初に蒸発器に送られる。 反応器からの出口の流量および排出カラム後のガスは、ガスクロマトグラフィーにより分析される。実施例1 11Lの水を、攪拌機および調温系統を備える20Lの容積の反応器に入れる。液体を攪拌して、粉末形態の128gの金属鉄と825gのMoO3とを上記の反応器に投入する。塊を75℃に加熱し、この条件で20時間放置する。最後に、濃青の懸濁液が得られる。懸濁液を65℃に冷却し、蠕動ポンプにより35%過酸化水素(約1.4L)で黄色を呈するまで処理する。酸化は約3時間続く。 沈殿を濾過し、乾燥し、滑剤を加え、穿孔した円筒状の形態にペレット化し、空気中、500℃で4時間活性化する。実施例2 反応材の塊に7.1gの炭酸セリウム(42%Ce)および4.6gのMoO3を加えて実施例1の製造法を繰り返す。試験条件は実施例1と同様である。実施例3触媒試験の条件 触媒床は2層で構成する。上層は400mmのセラミックリングで、下層は700mmの触媒である。 全導入ガス流量は1.5Nm/秒(1765Nl/時間)である。 入口での混合物のO2含量は、約9.5%である。 表1は、実施例1の触媒を用いて得られた結果を報告する。表2は、実施例2の触媒を用いて得られた結果を報告する。 20〜100℃の温度で水性懸濁液中にMo/Fe比が1.5〜5で鉄粉と三酸化モリブデンとを反応させ、続いてまたは同時に、第一鉄イオンを第二鉄イオンに酸化しかつモリブデンを6の原子価状態に酸化するのに必要な量に等しいかまたはそれより多い量の酸化剤で混合物を酸化することを含む、メタノールのホルムアルデヒドへの酸化用触媒を製造する方法。 前記酸化剤が過酸化水素であり、第二鉄イオンへの酸化が鉄と三酸化モリブデンとの反応の後に行われる請求項1に記載の方法。 鉄と三酸化モリブデンとの反応が、60〜80℃の温度で行われる請求項1または2に記載の方法。 反応の母液を分離して再利用し、沈殿物を乾燥させ、その粉末またはペーストを成型して特定の形状を有する顆粒を得て、該顆粒を450〜600℃の温度で焼成させる請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。 前記顆粒が480〜580℃の温度で焼成される請求項4に記載の方法。 モリブデン酸セリウムが、セリウムとして0.05〜10重量%の量で触媒に加えられる請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。 Mo/Fe比が1.5〜5であり、鉄塩のアニオンを含まず、アルカリ金属イオンおよび/またはアンモニウムイオンからの不純物の含量が40ppm未満であるFe2(MoO4)3/MoO3混合物を含む、メタノールのホルムアルデヒドへの酸化用触媒。 モリブデン酸セリウムをセリウムとして0.05〜10重量%の量で含む請求項7に記載の触媒。 請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法に従って得られた触媒または請求項7または8に記載の特徴を有する触媒が用いられ、メタノールと酸素とがバンドルチューブ反応器にそれぞれ6〜10容量%および9〜13容量%の濃度(残りは不活性ガスである)で、1〜2Nm/秒のガスの線速度で、パイプの外側を循環する冷却浴の温度が250〜320℃で供給される、メタノールの酸化によりホルムアルデヒドを製造する方法。