タイトル: | 公開特許公報(A)_医療用水性エマルジョン型粘着剤の防腐方法 |
出願番号: | 2005339795 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C09J 201/00,A61K 9/70,C09J 133/00 |
猿渡 一郎 渡辺 英二 土子 郁子 JP 2007145920 公開特許公報(A) 20070614 2005339795 20051125 医療用水性エマルジョン型粘着剤の防腐方法 東洋インキ製造株式会社 000222118 猿渡 一郎 渡辺 英二 土子 郁子 C09J 201/00 20060101AFI20070518BHJP A61K 9/70 20060101ALN20070518BHJP C09J 133/00 20060101ALN20070518BHJP JPC09J201/00A61K9/70 405C09J133/00 3 OL 8 4C076 4J040 4C076AA74 4C076BB31 4C076FF39 4J040BA171 4J040BA201 4J040BA211 4J040DF031 4J040DF041 4J040DF051 4J040EB031 4J040JA03 4J040JB09 4J040KA26 4J040NA02 本発明は、医療の分野で人体の皮膚に貼付する用途で使用される貼付材の、粘着剤層の形成に用いられる医療用水性エマルジョン型粘着剤の防腐方法に関するものである。 医療用粘着剤は医療の分野において、救急絆創膏、サージカルテープ、ドレッシングテープ、ハップ剤、経皮吸収剤等に使用されている。近年、医療用粘着剤においても、環境問題や省資源、皮膚刺激性低減の為に、溶剤系粘着剤から水系粘着剤への移行が求められている。水性粘着剤については、例えば、特開平9−87172号公報(特許文献1)においては、皮膚刺激性の少ない水性粘着剤組成物として、ポリアクリル酸とポリアクリル酸塩との架橋体を含有する水性粘着基剤において、重量平均分子量が5万〜30万のポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩と、重量平均分子量が50万〜200万のポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩とを併用することを特徴とする水性粘着剤組成物が開示されている。 また、特開2003−64336号公報(特許文献2)には、皮膚接着性に優れた水性エマルジョン型アクリル系粘着剤が開示されている。 水性粘着剤組成物として、例えばポリアクリル酸を主成分としてなる水溶性型粘着剤の場合粘着力が十分に得られず、その用途はハップ剤用などに限定され、耐水皮膚粘着力を要求される用途等には使用することができない。一方、水性エマルジョン型粘着剤については、皮膚面への接着力性に優れているが、水性エマルジョン型粘着剤の製造に必須である界面活性剤は、細菌が混入した場合にその栄養源となり、粘着剤の製造後に細菌が増殖し、腐敗にいたるという問題がある。 水性エマルジョン型粘着剤においては、医療用途以外、例えば工業用途などに用いられるものについては、防腐剤を添加することで、細菌汚染による腐敗を防止する方法が有効であることが知られている。 それらの防腐剤としては、ハロゲン系、イミダゾール系、チアゾ−ル系、ピリジン系、イミド系、スルファミド系、窒素イオウ系の化合物等が挙げられるが、皮膚刺激性、人体安全性については問題が残る。皮膚刺激性の低いパラベン系化合物、無機系及び天然物についても防腐作用を示すものがあるが、これらを水性エマルジョン型粘着剤に用いた場合、十分な防腐効果が認められないという問題があった。 なお、本発明でいう防腐剤とは、微生物の増殖を抑制する静菌作用を目的とした物質であり、微生物によって起こりうる、製品の変質、変臭、カビの発生などを防止することを目的として配合される薬剤のことをいう。特開平9−87172号公報特開2003−64336号公報 本発明は、医療用として用いられる水性エマルジョン型粘着剤に見られる前記問題を解決し、実質的に防腐剤を含有せず、皮膚面への接着性に優れ皮膚刺激性が低く、人体に安全な水性エマルジョン型粘着剤の防腐方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、粘着剤樹脂として、平均粒子径80〜150nmである樹脂エマルジョンを含んでなり、実質的に防腐剤を含有しない医療用水性エマルジョン型粘着剤を1〜20℃の温度下で保存する方法に関する。 また、本発明は、粘着剤樹脂として、平均粒子径80〜150nmである樹脂エマルジョンを含んでなり、実質的に防腐剤を含有しない医療用水性エマルジョン型粘着剤を1〜20℃の温度下で輸送する方法に関する。 さらに、本発明は、粘着剤樹脂として、平均粒子径80〜150nmである樹脂エマルジョンを含んでなり、実質的に防腐剤を含有しない医療用水性エマルジョン型粘着剤を保存及び/または輸送する際に、環境温度及び該医療用水性エマルジョン型粘着剤の温度を1〜20℃とすることを特徴とする医療用水性エマルジョン型粘着剤の防腐方法に関する。 本発明により、実質的に防腐剤を含有しないにもかかわらず、皮膚粘着性に優れ、皮膚刺激性が低く人体に安全な医療用水性エマルジョン型粘着剤の防腐方法を提供することができるようになった。 本発明に用いる医療用水性エマルジョン型粘着剤は、粘着剤樹脂として平均粒子径80〜150nmである樹脂エマルジョンで構成されることが重要であり、100〜120nmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が80nmより小さい場合には樹脂エマルジョンの粘度が高くなりすぎ、著しく生産性が低下する。150nmを超えると、それより得られる粘着剤層の汗や皮膚分泌物等に対する耐性が低下して皮膚粘着性が低下する。 さらに、一般的な細菌の大きさは1〜3μm程度であり、細菌表面にエマルジョン粒子が吸着して、細菌の増殖を抑制する効果が、平均粒子径が150nmを超えると低下すると推定される。 なお、一般的な水性エマルジョン型粘着剤においては平均粒子径が500nm程度であり、エマルジョン粒子による細菌の増殖抑制効果はほとんどない。 実質的に防腐剤を含有していない、平均粒子経が80〜150nmの樹脂エマルジョンを含んでなる医療用水性エマルジョン型粘着剤の保管及び輸送は1〜20℃の範囲で行うことが重要であり、5〜15℃の範囲であることが好ましい。1℃よりも低い温度である場合は、凍結してエマルジョンが破壊される場合がある。20℃よりも高い温度である場合には、細菌が増殖し腐敗する。 1〜20℃の温度下で保管、輸送する方法としては、冷却機が備えられ、環境温度が1〜20℃とされた倉庫に保管する方法や、環境温度が1〜20℃とされた保冷車による輸送が有効である。また、本発明に用いられる医療用水性エマルジョン型粘着剤を構成する樹脂エマルジョンは例えば、水、界面活性剤及び重合開始剤の存在下で単量体をラジカル重合する、従来公知の乳化重合法によって得られる。 本発明では、皮膚粘着性が良好な粘着剤樹脂として、公知の乳化重合で得られる水性エマルジョンアクリル樹脂が好ましく用いられる。 水性エマルジョンアクリル樹脂を得るための主単量体としては、(a)アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられ、アルキル基として例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などの炭素数4〜12のアルキル基が結合した(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることができ、これらのアルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。これらのうちより好ましい単量体としては、アクリル酸2−エチルヘキシルやアクリル酸イソオクチルなどが挙げられ、特にアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。 これらの単量体は、単量体の合計100重量%中60〜98.5重量%含有され、単独であるいは2種類以上併用して用いることが出来る。 上記単量体(a)は、(b)アルキル基の炭素数が1〜4である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(c)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合させることが好ましい。単量体(b)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が結合した(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることができ、これらのアルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。これらのうち、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらの単量体(b)は、単量体の合計100重量%中1〜30重量%含有され、単独であるいは2種類以上併用して用いることが出来る。 また単量体(c)、すなわちカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などを用いることができ、アクリル酸が特に好ましい。これらの単量体(c)は、単量体の合計100重量%中0.5〜10重量%含有され、単独であるいは2種類以上併用して用いることが出来る。 さらに、必要な場合には、皮膚刺激に影響しないアルコール性水酸基を有する単量体やカルボニル基を有する単量体、多官能単量体等を用いることができる。 本発明に用いる水性エマルジョンアクリル樹脂を得る際には、エマルジョンの粒子径をコントロールする方法として、重合時に使用する界面活性剤量を多くする方法、界面活性剤を予め反応容器に仕込む方法、単量体エマルジョンを予め反応フラスコに仕込む方法等を採用することができる。 本発明の水性エマルジョンアクリル樹脂を得る際に用いる界面活性剤としては、反応性界面活性剤、非反応性界面活性剤などが、単独であるいは2種類以上併用して用いることができるが、皮膚粘着性などを考慮すれば、反応性界面活性剤を用いることが好ましい。 反応性界面活性剤としては以下の化合物を例示することができる。 アニオン系界面活性剤としては、長鎖アルキル骨格の第一工業製薬(株)製「アクアロンKH−05、KH−10」、旭電化工業(株)製「アデカリアソープSR−10N」等、燐酸エステル骨格の日本化薬(株)製「KAYARAD」等が挙げられる。 反応性界面活性剤のうちノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類の分子末端あるいは中間部に不飽和二重結合を有し、単量体と共重合し得るものが挙げられる。例えば、旭電化工業(株)製「アデカリアソープNE−10」、第一工業製薬(株)製「アクアロンRN−10、RN−20、RN−50」、日本乳化剤(株)製「アントックスNA−16」等が挙げられる。 水性エマルジョンアクリル樹脂を得る際には、さらに補助的に、皮膚粘着力を妨げない範囲内において非反応性界面活性剤の併用も可能である。 例えば、非反応性界面活性剤としては、日本乳化剤(株)製の「ニューコール2360」、「RA−9614」、「RA−9607」等が挙げられる。このような非反応性界面活性剤は、界面活性剤の総量100重量%中50重量%以下の割合で用いることが好ましい。 本発明に用いられる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩またはアゾビス系カチオン塩もしくは水酸基付加物質などの水溶性の熱分解型重合触媒、あるいはレドックス系重合触媒を用いることができる。レドックス系重合触媒としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物とロンガリット、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせ、または過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムとロンガリット、チオ硫酸ナトリウムおよびアスコルビン酸の組み合わせなどが挙げられる。 さらに乳化重合するに際しては、得られる水性エマルジョンアクリル樹脂の分子量や分子量分布を制御するために各種連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、メルカプタン系、チオグリコール系、β−メルカプトプロピオン酸系のアルキルエステル等を使用することができる。使用量は、単量体の全量100重量部に対して0.01〜0.3重量部であることが好ましく、0.05〜0.2重量部であることがより好ましい。 次に、本発明に用いられる医療用水性エマルジョン型粘着剤について説明する。 医療用水性エマルジョン型粘着剤は、上記水性エマルジョンアクリル樹脂を主たる成分としてなるものであり、この水性エマルジョンアクリル樹脂に必要に応じて皮膚刺激性に配慮しながら、粘着力調整のために、適当な粘着付与剤、例えば、ロジン樹脂、フェノール樹脂、ポリテルペン、アセチレン樹脂、石油系炭化水素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、合成ゴム、天然ゴム等を適当量添加することができる。さらに粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、中和剤、着色剤、シランカップリング剤なども添加しても良い。 また、架橋剤として、水性エマルジョンアクリル樹脂中の官能基と反応が可能なエチレンイミン、オキサゾリン、カルボジイミド、炭酸ジルコニルアンモニウムおよびエポキシ化合物等を適宜添加しても良い。 上記の各種目的のため添加される任意成分は、それ自身が仮に防腐効果を発現するものであっても、本発明の防腐剤の範疇からは除外される。 本発明に用いられる医療用水性エマルジョン型粘着剤については、製造するにあたり、無菌製造設備及び無菌充填装置、無菌容器を使用することが好ましいのであるが、これらに限定されるものではない。医療用水性エマルジョン型粘着剤は容器充填後直ちに1〜20℃の環境下に置かれることが好ましい。 以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中、「部」とは重量部を、「%」とは重量%をそれぞれ意味する。(粘着剤A) 2−エチルヘキシルアクリレート88部、エチルアクリレート5部、メチルメタクリレート2部、アクリル酸1部、メタクリル酸4部、これら全単量体100部に対して連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチル0.1部、反応性アンモニア中和型アニオン性界面活性剤である第一工業製薬(株)製「アクアロンKH−10」2部をイオン交換水32部に溶解した溶液を加えて攪拌して乳化し、乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。 撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、イオン交換水を75部、日本乳化剤(株)製「RA−9607」を0.2部仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.1部添加した。 5分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.35部を別の滴下口から3時間かけて滴下した。 内温を80℃に保ったまま、上記乳化物滴下終了60分後に1%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液、1%ロンガリット水溶液を固形分として0.02部を3回に分けて30分おきに添加した。 さらに撹拌しながら80℃にて60分間熟成した後冷却し、アンモニア水にて中和し、平均粒子径100nm、固形分45%の水性エマルジョンアクリル樹脂を得た。平均粒子径は日機装(株)製「マイクロトラック」で測定した。 得られた水性エマルジョンアクリル樹脂に、消泡剤としてコグニスジャパン(株)製「フォームスターA10」を0.01部、レベリング剤としてコグニスジャパン(株)製「ディスポニルSUS875」を0.1部加え、さらにアンモニア水でpH=7.5〜8に調整し、さらに粘度調整剤(コアテックス社製「BR125P」)で粘度を3000mPa・s(BL型粘度計、#4ローター使用、60rpmにて測定)に調整し、医療用水性エマルジョン型粘着剤を得た。(粘着剤B) 2−エチルヘキシルアクリレート88部、エチルアクリレート5部、メチルメタクリレート2部、アクリル酸1部、メタクリル酸4部、これら全単量体100部に対してチオグリコール酸オクチル0.1部、「アクアロンKH−10」2部をイオン交換水32部に溶解した溶液を加えて攪拌して乳化し、乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。 撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、イオン交換水を75部、日本乳化剤(株)製「RA−9607」を0.1部仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.1部添加した。 5分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.35部を別の滴下口から3時間かけて滴下した。 内温を80℃に保ったまま、上記乳化物滴下終了60分後に1%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液、1%ロンガリット水溶液を固形分として0.02部を3回に分けて30分おきに添加した。 さらに撹拌しながら80℃にて60分間熟成した後冷却し、アンモニア水にて中和し、平均粒子径150nm、固形分45%の水性エマルジョンアクリル樹脂を得た。 得られた水性エマルジョンアクリル樹脂に、消泡剤としてコグニスジャパン(株)製「フォームスターA10」を0.01部、レベリング剤としてコグニスジャパン(株)製「ディスポニルSUS875」を0.1部加え、さらにアンモニア水でpH=7.5〜8に調整し、さらに粘度調整剤(コアテックス社製「BR125P」)で粘度を3000mPa・s(BL型粘度計、#4ローター使用、60rpmにて測定)に調整し、医療用水性エマルジョン型粘着剤を得た。(粘着剤C) 2−エチルヘキシルアクリレート88部、エチルアクリレート5部、メチルメタクリレート2部、アクリル酸1部、メタクリル酸4部、これら全単量体100部に対してチオグリコール酸オクチル0.1部、「アクアロンKH−10」2部をイオン交換水32部に溶解した溶液を加えて攪拌して乳化し、乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。 撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、イオン交換水を75部、日本乳化剤(株)製「RA−9607」を0.05部仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.1部添加した。 5分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.35部を別の滴下口から3時間かけて滴下した。 内温を80℃に保ったまま、上記乳化物滴下終了60分後に1%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液、1%ロンガリット水溶液を固形分として0.02部を3回に分けて30分おきに添加した。 さらに撹拌しながら80℃にて60分間熟成した後冷却し、アンモニア水にて中和し、平均粒子径200nm、固形分45%の水性エマルジョンアクリル樹脂を得た。 得られた水性エマルジョンアクリル樹脂に、消泡剤としてコグニスジャパン(株)製「フォームスターA10」を0.01部、レベリング剤としてコグニスジャパン(株)製「ディスポニルSUS875」を0.1部加え、さらにアンモニア水でpH=7.5〜8に調整し、さらに粘度調整剤(コアテックス社製「BR125P」)で粘度を3000mPa・s(BL型粘度計、#4ローター使用、60rpmにて測定)に調整し、水性エマルジョン型粘着剤を得た。(実施例1) 医療用水性エマルジョン型粘着剤Aを製造後ただちに容器に入れて10℃で1ヶ月保存した後に菌数測定を行った後、コンマコーターで剥離性シート上に乾燥塗膜量が25g/m2になるように塗工し、100℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥させ、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとラミネートして巻き取り、粘着剤塗工物を得た。(実施例2〜4、比較例1〜4) 表1のごとく水性エマルジョン型粘着剤の種類または保存温度を変更した。 [試験方法](1)粘着力 粘着剤塗工物を幅9mmの短冊状にカットし剥離紙を剥がして、23℃雰囲気下でフェノール樹脂積層板に貼り付け、2kgロールで1往復した後、20分後に測定に供した。接着強度は、23℃雰囲気下で、300mm/分の速さで90゜方向に剥離した際の接着強度を測定した。(2)糊残り 人体の皮膚に貼付して6時間経過後に引き剥がして、皮膚に糊が残っているかを目視にて評価した。○:糊残りなし。×:糊残りあり。(3)細菌評価 培養培地:標準寒天培地 粘着剤試料を生理食塩水で希釈して調製液を作製し(10倍稀釈系列)、その内1mlを滅菌済みシャーレに注いだ。その後、培養培地を15〜20ml、シャーレに流し混釈固化した。シャーレを倒置し、ふらん器中で35℃−48時間培養し、シャーレにコロニーが発生するかを評価した(n=2)。 上記の試験結果を表1に示す。 表1に示すように、比較例1〜4はいずれも細菌の増殖が認められる。是に対して各実施例の場合、皮膚粘着性に優れ、かつ防腐剤を使用していないのにも関わらず菌の増殖が認められない。粘着剤樹脂として、平均粒子径80〜150nmである樹脂エマルジョンを含んでなり、実質的に防腐剤を含有しない医療用水性エマルジョン型粘着剤を1〜20℃の温度下で保存する方法。粘着剤樹脂として、平均粒子径80〜150nmである樹脂エマルジョンを含んでなり、実質的に防腐剤を含有しない医療用水性エマルジョン型粘着剤を1〜20℃の温度下で輸送する方法。粘着剤樹脂として、平均粒子径80〜150nmである樹脂エマルジョンを含んでなり、実質的に防腐剤を含有しない医療用水性エマルジョン型粘着剤を保存及び/または輸送する際に、環境温度及び該医療用水性エマルジョン型粘着剤の温度を1〜20℃とすることを特徴とする医療用水性エマルジョン型粘着剤の防腐方法。 【課題】医療用として用いられる水性エマルジョン型粘着剤に見られる問題を解決し、実質的に防腐剤を含有せず、皮膚面への接着性に優れ、皮膚刺激性が低く人体に安全な水性エマルジョン型粘着剤の防腐方法を提供することを目的とする。【解決手段】粘着剤樹脂として、平均粒子径80〜150nmである樹脂エマルジョンを含んでなり、実質的に防腐剤を含有しない医療用水性エマルジョン型粘着剤を1〜20℃の温度下で保存する方法。【選択図】なし。