生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_生体分子の相互作用の測定方法
出願番号:2005336164
年次:2007
IPC分類:G01N 33/543,G01N 21/78,G01N 33/84,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

小林 佐代子 西川 一八 横川 隆志 大野 敏 岡本 直明 JP 2007139663 公開特許公報(A) 20070607 2005336164 20051121 生体分子の相互作用の測定方法 オリンパス株式会社 000000376 国立大学法人岐阜大学 304019399 鈴江 武彦 100058479 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 蔵田 昌俊 100108855 峰 隆司 100075672 福原 淑弘 100109830 村松 貞男 100084618 橋本 良郎 100092196 小林 佐代子 西川 一八 横川 隆志 大野 敏 岡本 直明 G01N 33/543 20060101AFI20070511BHJP G01N 21/78 20060101ALI20070511BHJP G01N 33/84 20060101ALI20070511BHJP C12N 15/09 20060101ALN20070511BHJP JPG01N33/543G01N21/78 CG01N33/84C12N15/00 A 4 1 OL 14 2G045 2G054 4B024 2G045AA40 2G045BA13 2G045DA36 2G045FA11 2G054CA23 2G054CE02 2G054EA03 2G054GA04 4B024AA11 4B024BA80 4B024CA02 4B024CA09 4B024DA06 4B024EA04 本発明は、情報伝達などの細胞機能の解析をタンパク質レベルで解析を行なう方法に関する。より詳細には、生体分子と、カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子との相互作用の測定方法に関する。 細胞間の信号伝達は、多細胞生物の成長、発生、および生存に必須である。細胞群は、分子シグナルを送ったり受けたりして信号伝達する。分子シグナルの例としては成長因子があり、成長因子は標的細胞の表面上の特異的な膜貫通受容体に結合して活性化させる。活性化された受容体は細胞内でシグナルを伝達し、それによってカスケード式生化学的反応を開始し、それらの反応が最終的に標的細胞で遺伝子の転写と細胞周期の進行に影響を与えることになる。 細胞内シグナル伝達は、シグナル伝達分子の細胞膜受容体への結合に始まり、細胞内標的分子の活性化で終わるカスケード式生化学反応を通じて、細胞が細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、成長因子および分化因子等)に応答する過程である。この過程の中間段階においては、プロテインキナーゼを通じたリン酸化によるさまざまな細胞質タンパク質の活性化およびタンパク質ホスファターゼによるその不活性化が起こる。更にこれらの活性化蛋白質の一部が最終的に細胞核内まで移行してそこで特定の遺伝子の転写を引き起こす。細胞内シグナル伝達過程は、細胞増殖、細胞分化、および遺伝子転写を含む全てのタイプの細胞機能を調節し、この過程には多様な分子が関与している。こうした分子の例としては、プロテインキナーゼおよびホスファターゼ、セカンドメッセンジャー分子があり、例えばサイクリックヌクレオチド、カルシウム-カルモジュリン、イノシトール、およびタンパク質のリン酸化を調節する分裂促進因子が挙げられる。 カルシウムシグナル伝達分子カルシウムイオン(Ca2+)は、cAMPよりも更に広く細胞内メディエーターとして使用されているセカンドメッセンジャーである。細胞外シグナルに応答して、Ca2+は2つの経路でサイトゾルに流入する。第1の経路は、主に神経シグナル伝達において機能し、Ca2+が電圧依存性Ca2+チャネルを通じて神経端末に入る。第2の系路は、細胞外シグナル伝達分子が受容体に結合するのに応答してCa2+がERからサイトゾル内に放出される。Ca2+は調節酵素を直接活性化させ、シグナル伝達経路を引き起こしたり、カルモジュリン(CaM)のような特異的なCa2+結合タンパク質(CBP)に結合したりする。そして、CaMは、細胞内の複数の標的タンパク質、たとえば酵素、膜輸送、ポンプおよびイオンチャネル等を活性化する。CaM相互作用は、多数の細胞過程に関与している。これには、たとえば遺伝子調節、DNA合成、細胞周期の進行、有糸分裂、細胞質分裂、細胞骨格組織、筋肉収縮、シグナル伝達、イオンホメオスタシス、エキソサイトーシス、および代謝調節等が含まれる。Ca2+結合タンパク質の一部は、1つ以上のEFハンド Ca2+結合モチーフが存在するという特徴を持っていて、これらのモチーフはαへリックスに隣接した12のアミノ酸を含んでいる。このように、細胞機能の解析においてはCaMの挙動に注目し解析が行なわれている。 従来の技術では、Ca2+濃度変化の観測はCa2+キレーターの蛍光色素Fluo3などを用い分光特性の変化をモニターすることによって行なっている。また、蛍光標識CaMを用いて、カルシウムイオンの存在によるCaMの構造変化によって引き起こされる蛍光強度の変化や蛍光共鳴エネルギー移動を観測することにより、溶媒のCa2+濃度をモニターすることができる。蛍光標識CaMを用いたCa2+濃度のモニターは、dansyl-CaMで蛍光分光光度計を用い蛍光強度変化を観測することによりおこなわれたり、(非特許文献1)、また2種類の分光特性をもつ蛍光タンパク質を発現させ蛍光顕微鏡で蛍光共鳴エネルギー移動を検出することによりおこなわれたりしている(特許文献1)。しかし、この場合はCa2+とCaMとの結合のモニターしか行なうことができず、その後のCaM結合タンパク質との相互作用の検出はできなかった。また蛍光共鳴エネルギー移動法ではCaM分子の両端に蛍光タンパク質による標識を行なっており、CaM結合タンパク質の種類によっては結合部位との立体障害によって結合の強さが変化したり、もしくは相互作用が起こらなくなる恐れもあり、その後の反応に支障をきたす。そのため、Ca2+濃度の増加によるCaM活性化後のCaM結合タンパク質との相互作用については、一連の反応の観測は困難であった。このように、細胞機能の解析においてはCaMの相互作用解析が重要な課題のひとつなのである。特開2004-187544号公報M.Matsubara et.al、J.Biol.Chem. 1997年、272巻 p.23050-23056 上記した状況に鑑み、本発明は、生体分子と、カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子との相互作用を、正確に再現性よく、迅速且つ簡便に測定でき、自動分析装置への適用が可能な測定方法を提供することを目的とする。 上記課題を解決すべく、鋭意研究の結果、蛍光標識CaMを用いて、溶媒中のCa2+とCaM結合タンパク質との相互作用の同時観測を行なう方法の開発に成功した。本発明は、1分子動態を観測するための手法の1つとして、FCS(Fluorescence Correlation Spectroscopy)を解析手法とする1分子蛍光分光分析法(Oliver Meissner and Hanns Haberlein、“Biochemistry”、2003年、42巻、p.1667-1672)に着目し、この方法により、分子の数、大きさ等の物理量を算出することができることを利用して、完成されるに至った。 すなわち、本発明は、生体分子と、カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子との相互作用の測定方法であって、前記カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子を蛍光標識する工程と、前記蛍光標識された分子と前記生体分子とを混合する工程と、前記蛍光の揺らぎを計測する工程と、前記蛍光の揺らぎの計測結果を解析することによって、前記生体分子と前記構造変化する分子との相互作用を検出する工程とを含むことを特徴とする方法を提供する。 また、本発明は、上記方法であって、前記カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子は、その特定部位が蛍光標識されていることを特徴とする方法を提供する。 さらに、本発明は、上記方法であって、前記カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子は、カルモジュリンであることを特徴とする方法を提供する。 さらに、本発明は、上記方法であって、前記計測結果の解析は、蛍光強度分布解析による分子の回転拡散時間、共焦点領域に存在する分子の数、一分子あたりの光強度、または自己相関関数解析による分子の並進拡散時間に基づいて行われる方法を提供する。 以下、本発明に従った生体分子と、カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子との相互作用の測定方法の概略を説明する。 本方法では、まずカルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子を蛍光標識する。 ここで、カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子としては、たとえばCa2+結合タンパク質が考えられ、このような分子の中には、1つ以上のEFハンド Ca2+結合モチーフが存在するという特徴を持つものが知られており、また、これらのモチーフは、αへリックスに隣接した12のアミノ酸を含んでいる分子が知られている。このような分子として、たとえばカルモジュリンがあげられる。 また、蛍光標識のために用いる蛍光色素は、たとえばRhodamine Green、TMR、TAMRA、Alexa647などを使用することができる。特に、培養液にpH指示薬のフェノールレッドが添加されている場合は、580nm付近に吸収を持つため、使用する蛍光色素は、それより長い波長(600nm)の蛍光特性を持つ色素、たとえばAlexa647、Cy5、DY631などを使用することが好ましい。フェノールレッドを添加していない培養液を用いる場合は、488nmなどの短い波長で励起すると血清の自家蛍光が検出されてしまうため、540nmより長い吸収をもつTAMRAやTRITCを使用することが好ましい。蛍光タンパク質は、GFPなどの他、長波長に吸収を持つRFPなどを発現させて使用することもできる。また、蛍光標識されたCaMを使用することもできる。sigma社などで市販されているDansyl-CaMを使用してもよい。 上記カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子を蛍光標識するためには、たとえば以下の実施例に示したように、特開2004-187544に記載された非天然タンパク質の製造技術および1分子蛍光標識技術を使用することができる。また、未標識の分子をマレイミドやサクシニミジルエステルなどの基で修飾された蛍光分子を用い蛍光標識を行っても良い。 また、上記標識は、Ca2+/CaM結合タンパク質との相互作用を考慮するとタンパク質との結合を妨げない部位への蛍光標識が望ましい。しかし、反応部位の特定などを行なう場合は、あえて反応部位への蛍光標識を行って反応性を確認してもよい。このようなタンパク質の目的の部分に蛍光標識を行う手法は、たとえば特開2004-261160に記載の方法を使用して行うことができる。 次の工程では、蛍光標識された分子と生体分子とを混合する。ここで、「混合する」とは、蛍光標識された分子と生体分子とが接触し、相互作用することができるように、同じ容器や細胞内に存在させることを意味する。たとえば、以下の実施例に示すように、適切な溶液中に蛍光標識された分子と生体分子とを添加して混合することができる。また、混合後、蛍光標識された分子と生体分子とが接触し、相互作用することができる程度に十分な時間インキュベートすることなどが好ましい。 次に、本発明の方法では、蛍光標識の蛍光の揺らぎを計測して、計測結果を解析する。蛍光標識蛋白質分子の相互作用微細に解析する手法としては、蛍光シグナルを蛍光強度分布解析(FIDA)、蛍光偏光解析(FIDA−PO)が近年開発されている。FIDAでは、分子の拡散時間のみならず分子の回転拡散、1分子あたりの蛍光強度の変化とその分布状態の解析ができる。また、蛍光標識蛋白質分子の数、大きさ等の物理量を計測する蛍光相関分光法(FCS;Fluorescence Correlation Spectroscopy)を行うこともできる。この技術は、蛍光で標識した標的分子の媒質中におけるゆらぎ運動を測定し、自己相関関数(Auto-correlation function)を用いることにより、個々の標的分子の微小運動を正確に測定する技術である。この方法により、分子の数、大きさ等の物理量を算出することができる。 本発明の方法の本工程においては、特に蛍光強度分布解析(FIDA)による分子の回転拡散時間、共焦点領域に存在する分子の数、もしくは一分子あたりの光強度、または自己相関関数解析による分子の並進拡散時間に基づいて、蛍光標識から発生する蛍光を解析することができる。具体的には、まず、上記蛍光標識を励起することが可能な励起光を試料溶液に照射する。次いで、上記蛍光物質からの蛍光を検出する。検出に使用する光学系は、たとえば、蛍光検出のための検出器を有する通常の光学系であってもよい。蛍光物質を励起する光源は、レーザーなどであってもよく、波長は紫外から可視、赤外までのどの波長であってもよい。励起光は、対物レンズを介して絞り込まれ試料に照射される。蛍光物質からの蛍光は、集光レンズによって集められ、ピンホールによってノイズを除去する。蛍光は、光学フィルターを透過することによって特定の波長の蛍光のみを取り出される。この蛍光を検出器によって検出し、信号解析を行う。次いで、検出した蛍光に基づいて上記解析を行って種々の解析結果を得ることができる。特に、蛍光強度分布解析(FIDA)を使用することにより、1分子あたりの蛍光強度及び分子数を求めることができる。さらに、蛍光偏光について解析を行なうと、分子の回転拡散状態を知ることが可能である(FIDA-pol)。FIDA-polでは、回転拡散の状態が蛍光偏光度Pで表される。これは、分子の大きさを反映しているので分子の相互作用や分解などによる大きさの変化を知ることができる。この手法を用いることにより、検出対象の蛍光標識された分子が生体分子と結合することにより、分子量が増大されることを検出することができる。したがって、分子量の増大が観測されれば、被検溶液中において検出対象の蛍光標識された分子と生体分子とが、相互作用しているか否かがわかる。 上記の解析方法のいずれを使用しても、検出対象の蛍光標識された分子が生体分子と結合することにより、解析結果に変化が生じるため、その結果から、両分子の結合を容易に観測することができる。また、上記解析方法によれば、1分子あたりの結合を検出することや、結合量を測定することもできる。 上記のような、蛍光物質の励起、蛍光の検出、およびFCS/FIDAによる解析に使用する装置は、市販の1分子蛍光分析システム、たとえばMS20/10S装置(オリンパス株式会社)を使用して行うことができる。 また、検出対象蛍光標識された分子と生体分子の結合量を測定するためには、各濃度の検出対象の蛍光標識された分子と生体分についての並進拡散時間や蛍光偏光度を測定し、予め検量線を作製しておくことが好ましい。 以下の実施例1〜5では、タンパク質1分子に1つ蛍光標識を行う技術を用いて調製したTAMRA-CaMを使用して実験を行った。TMR-CaMの調製について、実施例1に示す。 実施例1 鋳型 変異型遺伝子の調製 3-アジドチロシンを導入させるときの鋳型として、pET21-a(+)CaM (M 72 amber、K 78-amb、T 80 amber、Y 100-amb)変異を含むプラスミドDNAをPCR法(Polymerase Chain Reaction )により増幅させDpnI処理し構築した。PCRに用いたプライマーは、次のような配列である。 72位アンバー変異用5’側プライマー:TGAATTCCTGACATAGATGGCAAGAAAAAT、 3’側プライマー:ATTTTTCTTGCCATCTATGTCAGGAATTCA、 78位アンバー変異用5’側プライマー:GCAAGAAAAATGTAGGACACAGACAG、 3’側プライマー:AGAAAAATGAAAGACTAGGACAGTGAAGA、 80位アンバー変異用5’側プライマー:AGAAAAATGAAAGACTAGGACAGTGAAGA、 3’側プライマー:TCTTCACTGTCCTAGTCTTTCATTTTTCT、 100位アンバー変異用5’側プライマー:GATGGCAATGGCTAGATCAGTGCAGC、 3’側プライマー:GCTGCACTGATCTAGCCATTGCCATC。 CaM ( Wild type ) 遺伝子を含む pET21-a(+)プラスミドDNAを鋳型として、以下の反応組成でPCRを行い72位のメチオニン、78位のリジン、80位のスレオニンをそれぞれ amber コドンに部位特異的に変異導入されたプラスミドDNAの増幅を行った。pET21-a(+) CaM wild type は林らが報告したものを参考にし、プライマーは、 SenGuptらにより報告された配列を基に設計したものを使用した。 PCR反応時の組成と反応条件を以下に示す。PCR 反応液は、以下の通りとした: 10×pyrobest buffer 10μL、 dNTP mix 8μL、 5'プライマー(100 pmol/μL) 1μL、 3'プライマー ( 100 pmol/μL ) 1μL、 鋳型 1μL、 pyrobest DNA polymerase(5U/μL) 1 μL、 dH2Oで 100 μL。 PCR 反応は、予備変性を95℃で2分、変性を95℃で0.5分、アニーリングを50℃で1分、および伸長を72℃で12分間のサイクルを16サイクル行った。 PCR後、テンプレートとしたpET21-a(+)CaMを消化するため、反応液をDpnI処理した。PCR反応液5μlをテンプレート処理前のサンプルとしてエッペンドルチューブに回収し、残りのPCR反応液にDpnIを1μl加えて37℃で1時間反応させた。反応液5μlを1%アガロース電気泳動し、残りをエタノール沈殿した。この沈殿を10μlのdH2Oで溶解し、大腸菌JM109株コンピテントセルに加え形質転換を行った。 コンピテントセルの調製は以下のように行った。大腸菌JM109株の1コロニーを爪楊枝でつつき、アルミキャップ付き試験管の2 mLのLB培地に植菌し、37℃で一晩培養した。100mLの LB 培地に菌体培養液を1 mL加え、濁度(A600)を30minごとに測定し、濁度が 0.3〜0.4になったところで培養液を 50 mL のファルコンチューブに移し、氷上で 15min放置し、Beckman Avanti - J25i 遠心機で 6,500 rpm×15 min遠心分離して集菌した後、菌体に1×TSS *2を4 mL加え氷上で丁寧に懸濁した。この懸濁液を100μLずつスクリューエッペンに小分けし使用した。コンピテントセルをすぐに使用しない場合は液体窒素で凍結して -80 ℃で保存した。-80℃で保存したコンピテントセルを使用する場合は、氷上でゆっくりと解凍して使用した。なお、1×TSSは、2.5×LB 培地を調製し、オートクレーブし、この溶液に20 %(w/v)PEG 6000を25 mL、1M MgCl2を2.5 mL、DMSOを2.5mL無菌的に加えたものを用いた。 形質転換を行なった大腸菌JM109 株を用いてのプラスミドDNAの調製はアルカリ法により以下の操作手順で行った。プレートに生えてきたコロニーを爪楊枝でつつき、アルミキャップ付き試験管の2 mLのLB-amp(50μg/mLのampicillin)培地に植菌し、37℃で一晩振とう培養した。エッペンドルフチューブに菌体培養液を1.5 mL分注し、10,000 rpm×2 min遠心分離を行い、集菌した。培地をできるだけ取り除き、菌体を100μLの Solution Iに懸濁し、200μLのSolutionIIを加え、チューブを上下して穏やかに撹拌した。つぎに150μLのSolutionIIIを加え、さらに撹拌した後、150μLのフェノール:クロロホルム(1:1)溶液を加え、十分に懸濁し、12,000 rpm×10 min遠心した。上層を回収し、エタノール沈殿した。遠心分離して得られた沈殿は30μLのTE Bufferに溶解させた。なお、SolutionI(TE-Glucose Buffer)は、Tris-HCl(pH7.6) 25 mM、EDTA-Na(pH7.0)10 mM、Glucose 50mMを含有する。 また、Solution IIは、NaOH 0.2 M、SDS 1 % であり、SolutionIII(100 mL)は、5M KOAch 60 mL、氷酢酸 11.5 mL、dH2O 28.5 mLからなる。TE bufferは、Tris-HCl(pH 8.0) 10mM、およびEDTA(pH 8.0) 1mMを含有する。 配列確認は、ジデオキシシークエンス法により、Thermo Sequenase pre-mixed cycle sequencing kit(HITACHI社製)および、日立DNAシーケンサー SQ5500E を利用して塩基配列を決定した。 大腸菌細胞抽出液の調製 大腸菌Q13株(RNase I欠損株)を培養し、遠心により集菌したものをホモジナイザーを用いて破砕し大腸菌細胞抽出液を調製した。グリセロールストックされた大腸菌Q13株(RNase I欠損株)を白金耳で、LBプレートに画線培養した。現れたコロニーの一つをLB 培地に植菌して37℃で一晩振とう培養し、これを前培養液とした。本培養は、2×TY培地(Tryptone 16g/l、Yeast extract 10g/l、NaCl 5g/l)の10%に相当する容量の前培養液を移し、37℃で振とう培養した。 600 nm の吸光度が0.4になったところで培地を冷やした。5,000rpmで10min遠心して集菌した。上清をできるだけ取り除き、菌体量を測定し、2倍量の Buffer S30(20mM Hepes-KOH(pH 7.5)、20mM酢酸アンモニウム、10mM酢酸マグネシウム、10mM β-Mercaptoethanol)に菌体を懸濁した。懸濁液と同容量のガラスビーズ(B. BRAUN社製、φ0.45mm)を入れたガラス管(岩城硝子社製)に移し、MSK cell homogenizer (B. BRAUN社)で細胞を破砕した。破砕液を30,000×gで30min遠心し、その上清を大腸菌細胞抽出液とした。これを小分けし、液体窒素で凍結させて保存した。 非天然蛋白質の製造 ヘペス緩衝液(Hepes-KOH(pH7.5) 50mM)、酢酸マグネシウム(7.7mM)、酢酸アンモニウム(27.5mM)、ジチオスレイトール(DTT 1.7mM)、ヌクレオチド三リン酸(ATP 1.25mM,GTP 0.83mM,UTP 0.83mM,CTP 0.83mM)、クレアチンリン酸(80mM)、クレアチンキナーゼ(0.21mg/ml)、T7RNAポリメラーゼ(本発明者らが単離0.1mg/ml)、大腸菌Q13株tRNAミックス(本発明者らが単離 3.4A260unit/ml)、L−チロシン(80μM)、L-チロシン以外の標準型アミノ酸19種(それぞれ200μM)、ホリン酸(50μM)、酢酸カリウム(200mM)、ポリエチレングリコール(wt.8000 4%)、3−アジド−L−チロシン(500μM)、酵母Y43GTyrRS(本発明者らが作製 0.17mg/ml)、酵母tRNATyr(CUA)(本発明者らが単離 0.2A260unit/ml)、鋳型DNA(20μg/ml)、前記大腸菌S30抽出物(30%(v/v))および脱イオン水を、括弧内に記載された終濃度となるように試験管内に入れて混合した後、30℃で1時間インキュベートした。 Phenyl Sepharose CL4BによるCaMの精製 CaMは、Ca2+ と結合することでコンフォメーションが変化し、内部に埋まっていた疎水性のドメインが表面にでる。この特性を利用しPhenyl Sepharose CL4Bを用いて合成した CaM を精製した。 タンパク質溶液100μl に対して1M CaCl2 を2.5μl加え10分間放置した(室温)。15,000 rpmで10分間遠心し(室温)上清を回収した。これに4倍量のEquation bufferを加え、Ca2+ 濃度を下げた。綿栓カラムにEquation bufferで平衡化した樹脂 25μl分をのせ、500μlのEquation bufferで平衡化した。サンプルをロードし、200μlのWash 1 buffer を 200μl流し、次に200μlのWash 2 bufferを200μl流して樹脂に非特異的に吸着したタンパク質を取り除いた。100μl(50μl×2)のElution bufferで溶出させた。なお、Equation Bufferは、Tris- HCl(pH7.6) 50 mM、CaCl2 5 mM、NaCl 100 mMを含有し、Wash1 Bufferは、Tris-HCl(pH7.6) 50 mM、CaCl2 0.1 mMであり、Wash2 Bufferは、Tris-HCl(pH7.6) 50 mM、CaCl2 0.1 mM、NaCl 500 mMからなる。またElution Bufferは、Tris-HCl(pH7.6) 100 mMおよびEGTA(pH 8.0) 1mM、を含有する。 Azido-CaMの修飾 精製したCaM溶液に、5mMの修飾試薬を 1/20 量加え、37℃で1時間反応させた。反応終了後、CaM溶液を15% SDS-PAGEで行い、ゲルをUV照射下で撮影した。また、ゲルをCBB染色液で染色し、脱染液で脱色し、CaMのバンドを観察した。 修飾試薬はフルオレセイン付きトリアリールホスフィン誘導体、ダンシル付きトリアリールホスフィン誘導体、ビオチン付きトリアリールホスフィン誘導体およびスクシンイミジルエステル付きトリアリールホスフィン誘導体を利用し、以下に示す反応液により調製した修飾試薬を使用した。 反応液は、スクシンイミジルエステル付きトリアリールホスフィン誘導体5mM、アミノ基を有する標識分子7.5 mM トリエチルアミン60mMを含み、 37℃で1時間反応させたものをそのまま修飾反応に利用した。 カルシウムイオン濃度とTAMRA-CaMの並進拡散時間の計測 以上のように調製したサンプルは以下の手順によって計測、解析した。あらかじめ遊離カルシウムイオン濃度が判明しているコントロールバッファを用いTAMRA-CaMの並進拡散時間を計測しておく。コントロールバッファは、 溶液A 100mM KCl、10mM MOPS pH7.2、EDTA10mM、 溶液B 100mM KCl、10mM MOPS pH7.2、CaCl2 10mM を用意し、表1のようにA、Bの比率を変えて混合して用い遊離Ca2+濃度の異なるバッファーを用意する。 コントロールバッファに、TMR-CaMを数nMとなるように添加する。TMR-CaMは、実施例1中のCaMアミノ酸配列第80位アンバー変異部位に蛍光標識を行ったものを用いた。計測は、MF20(オリンパス製)を用い、励起波長は543nmを用いた。計測データをFCS解析し各遊離Ca2+濃度ごとの並進拡散時間を観測した。(図1)。 Ca2+濃度が高くなると、蛍光標識CaMがCa2+と結合し構造が変わる。その際に並進拡散時間が短くなるのが観測される。ここで得られたデータをCa2+濃度の変化の検出として用いる。その際まず蛍光標識CaMのみが存在しているサンプルを計測し並進拡散時間を計測する。得られた並進拡散時間を検量線と照らし合わせ、バッファー中のCa2+濃度の増減を確認する。 実施例2〜4では、Ca2+/CaM結合タンパク質との相互作用の検出を行なった例を示す。 実施例2 Ca2+/CaM結合タンパク質の結合サイトのペプチドに蛍光タンパク質CFPを融合させたものとの相互作用を検出した例である。ここで使用したバッファーは、20mM Tris-HCl pH7.6、100mM NaCl、0.5mM CaCl2、0.05% Tween20で、あらかじめバッファー中にカルシウムイオンを添加したバッファーを用いた。それにより、蛍光標識CaMにCa2+を結合させ、TMR−CaMを活性化させた。TMR-CaMは、実施例1中のCaMアミノ酸配列第80位アンバー変異部位に蛍光標識を行ったものを用いた。ここへCa2+/CaM結合ペプチドを添加する。Ca2+/CaM結合ペプチドの濃度を0.33〜660nMまでの濃度範囲で変化させ、実施例1と同様にMF20を用いて計測した(図2)。データをFCS解析したところ、各Ca2+/CaM結合ペプチド濃度におけるTAMRA-CaMの並進拡散時間が長くなるのが観測された(図2のひし形シンボル)。コントロールとしてCa2+を含まないバッファーを用いて、TMR-CaMを活性化していない状態で同様の計測を行うと、TMR−CaMの並進拡散時間変化はCa2+/CaM結合ペプチドの濃度に依存しなかった(図2の四角シンボル)。このような観測を行なうことにより反応のCa2+/CaM結合ペプチドとCaMの結合の強さを知ることができる。 実施例3 Ca2+/CaM結合タンパク質MARCKS:Myristoylated alanin-rich C kinase substrateとの相互作用を検出した例である。計測は、実施例2と同様のバッファーを用いてTMR−CaMを活性化させたものに、MARCKSの濃度を変化させたサンプルをMF20を用いて行なった。TMR-CaMは、実施例1中のCaMアミノ酸配列第80位アンバー変異部位に蛍光標識を行ったものを用いた。データのFCS解析を行なって、各MARCKS濃度でのTMR−CaMの並進拡散時間を求めた(図3)。TMR-CaMの並進拡散時間は、MARCKS濃度依存的に大きくなり200nMで反応は飽和した。この図3の結果をもとに結合定数Kdを算出したところ、約3nMであった。あらかじめ反応させるバッファーにカルシウムを添加しておいた。バッファーにカルシウム添加せずに、さらにカルシウムイオンキレーターであるEDTAを添加した場合には、TMR-CaMの並進拡散時間が長くなり、またMARCKSを添加しても反応は起こらず並進拡散時間の変化はない。 実施例4 実施例3と同様にCa2+/CaM結合タンパク質(MARCKS)との相互作用を検出した例である。TMR-CaMは、実施例1中のCaMアミノ酸配列第72位アンバー変異部位に蛍光標識を行ったものを用いた。計測および解析は、実施例3と同様である。80位標識のCaMと比較して、MARCKS濃度によるTMR-CaMの並進拡散時間変化の割合が少ない(図4)。MARCKSとの反応性は、低下したことが示唆された。したがって、CaMの72位部分は、MARCKSとの反応に関与していることが予想される。 実施例5 Ca2+/CaM結合タンパク質NAP22:Neuron-specific acidic protein of 22kDaとTAMRA-CaMとの相互作用を検出した例である。TMR−CaMは、実施例1中のCaMアミノ酸配列第72位アンバー変異部位、第80位アンバー変異部位に蛍光標識を行ったものをそれぞれ用いた。計測および解析は、実施例3と同様である。 NAP22濃度を、20nM〜70μMの範囲で変化させ各濃度におけるTMR-CaMの並進拡散時間を求めた(図5)。80位アンバー(ひし形シンボル)と72位アンバー(四角シンボル)でNAP22との反応性が異なっていた。80位標識のCaMと比較して、72位標識のCaMはNAP22濃度によるTMR-CaMの並進拡散時間変化の割合が少ない。NAP22との反応性が低下したことが示唆された。したがってCaMの72位部分はNAP22との反応に関与していることが予想される。 実施例2、3、5のように、本計測方法は、CaM結合タンパク質の濃度を変化させ反応を検出することによって、結合定数など分子間の相互作用の強さを計測することが可能である。タンパク質などの分子間相互作用において、分子同士の結合はそれぞれ複数のアミノ酸配列とその高次構造が関与している。相互作用に関与する構造を解析する際、本方法を用いることができる。 実施例1のように、反応部位と思われる部分のアミノ酸1つに蛍光標識をいれる。反応部位に関わるアミノ酸は1つとは限らないので、各アミノ酸についてそれぞれ蛍光標識を行って、それを用いる。さまざまな部位に蛍光標識を入れたCaMを用いて、CaM結合タンパク質との相互作用を計測し、反応の強さを比較することによってCaMのどの部位がCaM結合タンパク質との結合に影響を与えるかを知ることができる。 また、これらの計測は、1サンプルあたり数〜十数秒である。また、マイクロプレートの採用により大量のサンプルを短時間で計測することができる。そのため、CaM結合タンパク質との反応部位の特定を行なう際に、CaMの蛍光標識部位の異なるサンプルを複数準備して反応の有無を計測することにより、簡便に反応部位を特定することが可能である。 上述の実施例では溶液中での反応について観測を行なっており、分子間の反応の強さを算出している。この手法を利用して、蛍光標識CaMを細胞へ導入後、細胞の刺激に対する反応でのCaMの挙動を観測することも可能である。この際、細胞刺激後細胞内のCa2+濃度は、数10nMから数mMまで上昇する。この場合、可視光からさらに近赤外用の分光特性をもつ蛍光色素を用いることにより、細胞への紫外線のダメージを避けることができる。この場合は細胞へは、マイクロインジェクションや自己飽食作用などによって細胞内に蛍光標識CaMを導入する。細胞内をFCS、FIDA、もしくはFIDA-PO計測し、あらかじめ蛍光標識CaMの並進拡散時間、1分子あたりの蛍光強度、分子数などを計測しておく。細胞に刺激を与えると、細胞内のカルシウムイオン濃度が10nMから数mMまで一時的に上昇する。細胞内のTAMRA-CaMは、増えたカルシウムイオンと結合し、大きく構造を変化させる。FCS計測を経時的に観測する。細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇するとともに並進拡散時間が短くなり、さらにCaM結合タンパク質との相互作用によって並進拡散時間が長くなるのが観測される。このように、細胞へ刺激を与えることによるCa2+の遊離状態と他分子との相互作用の状態を観測することができる。 また、目的のタンパク質をTAMRA-CaMとは異なる分光特性を持つ蛍光タンパク質などを用いて標識し、蛍光相互相関解析を行なうことにより目的のタンパク質との相互作用を確認することが可能である。 本発明の実施例では、蛍光相関分光法(FCS)での解析を行なっていたが、蛍光強度分布解析法(FIDA)を用いても、Ca2+濃度変化の検出を行なうことができる。この場合、CaM分子への蛍光標識部位を構造が大きく変化する場所(たとえば構造変化によってCaM分子の疎水性部分が露出するような部位)に蛍光標識を行う。実施例1では、CaMをTMRにて標識していたが、他の分光特性を持つ蛍光色素でトリアリールホスフィン誘導体であればよい。蛍光色素は、溶媒の環境によって蛍光強度が大きく変化する特性を持つものを用いるとよい。CaMがCa2+と結合すると、構造変化がおこり疎水部分が露出し、その近傍に存在する蛍光色素の環境が疎水的になる。そのため、蛍光色素の蛍光強度が高くなる。ここでFIDAの解析法を用いて蛍光標識CaMの蛍光強度変化を観測することにより、溶媒中のCa2+濃度変化を検出することが可能となる。さらに、蛍光偏光強度分布法解析(FIDA-PO)からの解析によって蛍光標識CaMの回転拡散を観測することができるが、Ca2+と結合して活性化されたCaMが他のCaM結合タンパク質と相互作用すると、分子の回転運動もゆっくりとなるため、蛍光偏光度が大きくなり相互作用の確認ができる。 また、sigma社などから販売されているDansyl−CaMは、Ca2+濃度の変化によって蛍光強度が変化する性質を持つのでこれを用いても良い。この場合、FIDA解析によって溶媒のCa2+濃度を検出し、さらに蛍光信号をFCSもしくはFIDA-PO解析することによって蛍光標識CaMと他分子との相互作用を検出することが可能である。 FIDA-PO解析は、蛍光分子のシグナルの偏光成分から、蛍光分子の回転拡散と分子あたりの蛍光強度を同時に計測することができるため、回転拡散の情報から分子の結合状態を、分子あたりの蛍光強度から溶媒のCa2+濃度の検出を同時に行なうことが可能である。特に、細胞内での計測は、細胞質の粘性が高くFCS計測での解析が難しいため、短時間で計測でき比較的データのばらつきの少ない蛍光偏光解析法を用いるのがよい。 CaM結合タンパク質の種類は多数あるが、それぞれ分子量が異なる。あらかじめ目的のCaM結合タンパク質の分子量が判明している場合には、FCS、FIDA-POの解析法では、分子の大きさによって存在比率や分子数を算出することができる。そのため、サンプル中のCaM結合タンパク質の種類や量を判別することができる。 1分子蛍光分析法を用いて蛍光標識CaMの計測を行うことにより、細胞内のCaイオン濃度のモニターを行なうことができ、かつ他のCaM結合タンパク質分子との相互作用を観測することもできる。それにより、シグナル伝達における過程の中間段階での分子の反応を詳細に調べることが可能となる。細胞内で多様な分子と相互作用して情報伝達機構を担っているCaMを用いて本計測を行なうことにより、より簡易に細胞機能について調べることができる。また、これらの計測時間は、およそ数〜十数秒であり、迅速におこなうことが可能である。 CaMの働きは、遺伝子調節、DNA合成、細胞周期の進行、有糸分裂、細胞質分裂、細胞骨格組織、筋肉収縮、シグナル伝達、イオンホメオスタシス、エキソサイトーシス、および代謝調節等などの多岐にわたるためこの方法は非常に汎用性がある。TAMRA-CaMとCaM結合ペプチドとの反応結果を示すグラフ。TAMRA-CaMとCa2+ CaM結合タンパク質(MARCKS)との反応(アミノ酸配列 80位)の結果を示すグラフ。反応部位に影響を与える標識を行なったTAMRA-CaM(アミノ酸配列 72位に蛍光標識)の結果を示すグラフ。反応部位に影響を与える標識を行なったTAMRA-CaMの結果を示すグラフ。アミノ酸配列80位と72位にそれぞれ蛍光標識をいれたときの、Ca2+/CaM結合タンパク質NAP22とTAMRA-CaMとの反応の結果を示すグラフ。 生体分子と、カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子との相互作用の測定方法であって、 前記カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子を蛍光標識する工程と、 前記蛍光標識された分子と前記生体分子とを混合する工程と、 前記蛍光の揺らぎを計測する工程と、 前記蛍光の揺らぎの計測結果を解析することによって、前記生体分子と前記構造変化する分子との相互作用を検出する工程と、を含むことを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法であって、前記カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子は、その特定部位が蛍光標識されていることを特徴とする方法。 請求項1または2に記載の方法であって、前記カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子は、カルモジュリンであることを特徴とする方法。 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、前記計測結果の解析は、蛍光強度分布解析による分子の回転拡散時間、共焦点領域に存在する分子の数、一分子あたりの光強度、または自己相関関数解析による分子の並進拡散時間に基づいて行われる方法。 【課題】 本発明は、生体分子と、カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子との相互作用を、正確に再現性よく、迅速且つ簡便に測定でき、自動分析装置への適用が可能な測定方法を提供することを目的とする。【解決手段】 生体分子と、カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子との相互作用の測定方法であって、前記カルシウムイオンと相互作用し、かつカルシウムイオンの濃度により構造変化する分子を蛍光標識する工程と、前記蛍光標識された分子と前記生体分子とを混合する工程と、前記蛍光の揺らぎを計測する工程と、前記蛍光の揺らぎの計測結果を解析することによって、前記生体分子と前記構造変化する分子との相互作用を検出する工程とを含むことを特徴とする方法を提供する。【選択図】 図1配列表


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