生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ADAM活性阻害剤のスクリーニング方法
出願番号:2005335816
年次:2007
IPC分類:C12Q 1/37,C12Q 1/02


特許情報キャッシュ

柴田 道男 天野 聡 松永 由紀子 JP 2007135510 公開特許公報(A) 20070607 2005335816 20051121 ADAM活性阻害剤のスクリーニング方法 株式会社資生堂 000001959 柳田 征史 100073184 佐久間 剛 100090468 河野 香 100116540 柴田 道男 天野 聡 松永 由紀子 C12Q 1/37 20060101AFI20070511BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20070511BHJP JPC12Q1/37C12Q1/02 5 1 OL 10 4B063 4B063QA18 4B063QQ08 4B063QQ36 4B063QR16 4B063QR48 4B063QR77 本発明は、ADAM活性阻害剤のスクリーニング方法に関するものであり、より詳細には、表皮ケラチノサイトから遊離されるサイトカインを指標としてADAMの活性を阻害する物質をスクリーニングする方法に関するものである。 ADAM (a disintegrin and metalloprotease)と呼ばれる一群の膜型メタロプロテアーゼは、ヘパリン結合性EGF様増殖因子(heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor: HB-EGF) 、肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor: HGF)などの各種増殖因子、および腫瘍壊死因子 (tumor necrosis factor; TNF)、ならびにその他の多くの膜タンパク質を細胞表面から切断して細胞外に遊離させ、それら増殖因子等による細胞の増殖や分化等に寄与することが知られてきている。例えば、細胞表面に発現したHB-EGFは、ADAM-9、10、12及び17によって切断されて細胞外に遊離することが報告されている。(例えば、非特許文献1−5を参照)。それら増殖因子や膜タンパク質は、まず細胞膜貫通型タンパク質として合成されて細胞表面に発現された後、その細胞外ドメインが細胞から遊離して細胞外に放出され、それぞれの特異的受容体に結合して作用を発揮する。 さらに、紫外線、酸化、浸透圧など種々の刺激により、皮膚細胞においてHB-EGF、アンフィレギュリン(Amphiregulin)、トランスフォーミング増殖因子(transforming growth factor: TGF)等の増殖因子やTNF-α等の発現・細胞膜からの遊離が促進され、オートクライン、パラクラインの機構によって細胞に増殖、分化等のシグナルが伝わり皮膚の増殖および肥厚を生じさせるが、その際に皮膚細胞に存在するADAMの活性化が起きていることが知られてきている。 したがって、皮膚細胞の増殖や分化に重要な役割を果たすと考えられるADAMの活性を阻害することによって、例えば皮膚の増殖、肥厚により生じるしわ形成や、さらには皮膚細胞の増殖や分化により悪影響を受ける各種疾患を治療または予防することが可能であると考えられる。 しかしながらこれまで、皮膚、特に表皮におけるADAMの活性を阻害する物質を効率的にスクリーニングする方法はなかった。Asakura, M., et al. 2002. Cardiac hypertrophy is inhibited by antagonism of ADAM12 processing of HB-EGF: metalloproteinase inhibitors as a new therapy. Nat. Med. 8:35-40Izumi, Y., et al. 1998. A metalloprotease- disintegrin, MDC9/meltrin-_/ADAM9 and PKC_ are involved in TPA-induced ectodomain shedding of membrane-anchored heparin-binding EGF-like growth factor. EMBO J. 17:7260-7272.Lemjabbar, H., and C. Basbaum. 2002. Platelet-activating factor receptor and ADAM10 mediate responses to Staphylococcus aureus in epithelial cells. Nat. Med. 8:41-46Sunnarborg, S.W., et al. 2002. Tumor necrosis factor-alpha converting enzyme (TACE) regulates epidermal growth factor receptor ligand availability. J. Biol. Chem. 277: 12838-12845Yan, Y., K. Shirakabe, and Z. Werb. 2002. The metalloprotease Kuzbanian (ADAM10) mediates the transactivation of EGF receptor by G protein-coupled receptors. J. Cell Biol. 158:221-226. 本発明は、上記のような事情に鑑み、皮膚におけるADAMの活性を阻害する物質を簡便かつ効率的にスクリーニングする方法を提供することを目的とするものである。 本発明者は、表皮ケラチノサイトをホルボールエステル等のADAM活性化剤で刺激することによってin vitro培養系において表皮ケラチノサイトからのHB-EGF、TNF-α、アンフィレギュリンおよびTGF-α等のサイトカインの遊離が検出可能になること、さらにはそのようなサイトカインの表皮ケラチノサイトからの遊離が、ADAMの活性を阻害することが分かっているメタロプロテアーゼ阻害剤CB-R7785によって濃度依存的に阻害されることを見出し、本発明を達成するに至った。 本発明のADAM活性阻害剤のスクリーニング方法は、表皮ケラチノサイトに、ADAM活性化剤および被験物質を接触させ、該表皮ケラチノサイトから遊離するHB-EGF、TNF-α、アンフィレギュリンおよびTGF-αよりなる群から選択される因子を検出する工程を含むことを特徴とする。表皮ケラチノサイトからのそれら因子の遊離を阻害する被験物質をADAM活性阻害剤として特定することができる。 図1に、本発明のスクリーニング方法の機構の概略を示す。 表皮ケラチノサイトをADAM活性化剤で刺激することによってADAMが活性化され、ADAMによる表皮ケラチノサイトからのHB-EGF、TNF-α、アンフィレギュリンおよびTGF-αの遊離を促進させて表皮ケラチノサイト培養系でのそれら因子の検出を可能にする。添加した被験物質がADAM活性阻害剤である場合、ADAM活性化剤によるADAMの活性化を阻害または抑制し、その結果上記因子の遊離が減少する。したがって、被験物質を添加しないでADAM活性化剤のみを添加した場合の表皮ケラチノサイトからの遊離と比較して、ADAM活性化剤および被験物質を添加することによって上記因子の遊離が減少した場合に、その被験物質をADAM活性阻害剤として特定することができる。 特に、表皮および真皮の肥厚や炎症との関連性が高いと考えられているHB-EGFまたはTNF-αを検出することが好ましい。 本発明のスクリーニング方法で用いるADAM活性化剤は特に限定はされないが、ホルボールミリステートアセテート(PMA)のようなホルボールエステルであることが好ましい。 また、より臨床に近い系でのスクリーニングを実施するため、ヒト表皮ケラチノサイトを用いることが好ましい。 ADAMは、接着と細胞外タンパク質分解という2つの特性を有する多機能性タンパク質であり、30種類以上のファミリーが様々な組織において発現されているが、皮膚に存在するADAMとして、例えばADAM-9、ADAM-10、ADAM-17等が挙げられ、それらが皮膚細胞の増殖因子の遊離・活性化に深く関与していることが分かっている。本発明のスクリーニング方法におけるADAM活性化剤での表皮ケラチノサイトの刺激によって生じる現象と同様の現象が、表皮のバリア破壊、乾燥、UV、酸化等によって皮膚においても生じており、皮膚に存在するADAMの活性化を介して表皮が増殖・肥厚してしわが形成されると考えられる。したがって、皮膚細胞、特に表皮細胞におけるADAM活性を阻害することによって皮膚の増殖、肥厚により生じるしわ形成を防止または改善することが可能であり、本発明のスクリーニング方法を抗しわ剤のスクリーニングに用いることができる。 本発明のスクリーニング方法によって、皮膚細胞におけるADAM活性を阻害する物質を簡便かつ効率的に特定することが可能である。特に、表皮ケラチノサイトで評価を行うため、表皮特異的な現象を評価でき、信頼性の高い結果をもたらすことができる。さらには、本発明の方法を用いて、皮膚の増殖、肥厚により生じるしわ形成を防止または改善する抗しわ剤や、皮膚細胞の増殖や分化により悪影響を受ける各種疾患を治療または改善できる物質等をスクリーニングすることが可能である。 本発明で用いる表皮ケラチノサイトは、正常表皮由来のケラチノサイトであり、皮膚組織から単離してそのまま使用してもよいが、好ましくはその培養物を使用する。例えば、包皮の真皮と表皮を物理的に分離し、表皮を細かくばらばらにして0.3%のトリプシン内において37℃で30分間放置し、その後トリプシンを阻害し、表皮組織を外科用ピンセットでさらに細かくし、金属製メッシュでろ過し、ばらばらになったケラチノサイト を遠心して回収し、ペレットを例えばEpiLife(倉敷紡績株式会社)のような市販の培地に懸濁して同培地中で培養することにより、培養表皮ケラチノサイトを調製することができる。また、包皮由来のヒトケラチノサイトは例えばClonetics 社や倉敷紡績株式会社等から市販されており、それを培養および継代して用いることもできる。 本発明の方法では、通常、例えばEpiLife(倉敷紡績株式会社)のような培地中で培養維持した表皮ケラチノサイトを、24穴または48穴培養プレートに5x104から5x105cells/wellで播種し、同培地中にADAM活性化剤および被験物質を所望の濃度で添加して、37℃でインキュベートする。また必要に応じて対照として、ADAM活性化剤のみまたはADAM活性化剤とエタノール等のADAMの活性に影響を与えないことが分かっている物質を添加して同様にインキュベートする。 ADAM活性化剤と被験物質は、同時に添加してもよいが、先に被験物質を添加して所望時間インキュベート後にADAM活性化剤を添加してよく、あるいは予めADAM活性化剤を添加して所望時間表皮ケラチノサイトをADAM活性化剤で刺激した後被験物質を添加してもよい。 本発明の方法で用いるADAM活性化剤は、表皮ケラチノサイトにおいてADAMの活性を高めるものであれば特に限定されない。本発明の方法で用いることができるADAM活性化剤として、例えばホルボールミリステートアセテート(PMA)のようなホルボールエステル、H2O2、Caイオン、ソルビトール等が挙げられる。特に、その反応が安定していることからホルボールエステル、中でもホルボールミリステートアセテート(PMA)をADAM活性化剤として用いることが好ましい。表皮ケラチノサイトに上記のようなADAM活性化剤を接触させることによって、表皮ケラチノサイトからのHB-EGF、TNF-α、アンフィレギュリンまたはTGF-αの遊離を促進させて、表皮ケラチノサイト培養系においてそれら因子の検出を可能にする。 表皮ケラチノサイトに接触させるADAM活性化剤の濃度および接触時間は、ケラチノサイトから遊離される上記因子の検出を可能にする濃度および時間であれば特に限定されず、活性化剤の種類やケラチノサイトの細胞数等によって異なる。たとえばPMAをADAM活性化剤として用いる場合、通常、その濃度は約1nMから100nM、より好ましくは5nMから20nMであり、また接触時間は約4時間から48時間、より好ましくは6時間から8時間である。 本発明のスクリーニング方法で評価する被験物質の種類は特に限定されず、動植物由来物のような天然のものであっても、あるいは合成したものであっても差し支えない。また、表皮ケラチノサイトに被験物質を接触させる時間も特に限定はされないが、通常4時間から48時間であり、より好ましくは6時間から8時間である。 本発明のスクリーニング方法では、HB-EGF、TNF-α、アンフィレギュリンおよびTGF-αから選択される因子を検出するが、それら因子の1種類のみを検出しても、あるいは2種以上を組み合わせて検出してもよい。また、上記因子のいずれを指標としても本発明の方法においてADAM活性阻害剤のスクリーニングを行うことができるが、特に表皮および真皮の肥厚や炎症との関連性が高いと考えられていることから、HB-EGFまたはTNF-αを検出することが好ましい。 HB-EGF、TNF-α、アンフィレギュリンおよびTGF-αの検出方法は特に限定されず、例えばELISA、ウェスタンブロット法、ラジオイムノアッセイ(RIA)等、任意の公知の方法を用いてそれら因子を検出することができる。尚、上記因子の検出は定量的であることが好ましく、例えば、被験物質を添加しないでADAM活性化剤のみを添加したウェルでの培地中の濃度と比較して、ADAM活性化剤および被験物質を添加したウェルでの培地中の濃度が有意に低い場合に、その被験物質をADAM活性阻害剤として特定することができる。 尚、本発明のスクリーニング方法の使用態様は特に限定されず、例えば皮膚の増殖、肥厚により生じるしわ形成を防止または改善する抗しわ剤や、皮膚細胞の増殖や分化により悪影響を受ける各種疾患を治療または改善する物質等のスクリーニングに用いることができる。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例では、表皮ケラチノサイトとしてヒト表皮由来正常ケラチノサイトを用い、EpiLife培地(倉敷紡績株式会社)で培養維持した。1.表皮ケラチノサイト培養系での測定系の確立 表皮ケラチノサイト培養系において細胞から遊離されるHB-EGF、TNF-α等の因子を指標としてADAM活性阻害を評価するために、表皮ケラチノサイトから遊離されるそれら因子を定量的に検出できる系を確立した。細胞数の検討 まず、HB-EGFを指標として表皮ケラチノサイトの細胞数について検討した。 表皮ケラチノサイトを1、2、4 x 105 cells/500μl/wellで24穴培養プレート(Falcon社)に播種した。培地中に、代表的なホルボールエステルであるホルボールミリステートアセテート(PMA)を100nMの濃度になるように添加して、37℃で8時間インキュベートした。また対照として、各細胞数のウェルにPMAを添加しないで同様にインキュベートした。8時間後の培養上清中のHB-EGFを下記のELISA法により測定した。 HB-EGFの測定方法(1)抗hHB-EGF抗体のコーティング:抗hHB-EGF抗体 (R&D Systems社、AF-259-NA)を0.1μg/mlの濃度になるように50 mM NaHCO3(pH 8.5)に溶解し、50μlずつ96穴プレートの各ウェルに分注し、37℃で2時間インキュベートした後、4℃で一晩保存する;(2)ブロッキング:ウェル当たり300μlの洗浄液(PBS(-)、0.05% Tween 20)で各ウェルを3回洗浄し、その後、50 mM NaHCO3 (pH 8.5)でブロックエース(大日本製薬)を4倍希釈し、ウェル当たり100μlずつ添加して室温で1時間放置する;(3)標準液と試料の添加:3回洗浄した後、HB-EGFの標準液(0, 6.25, 12.5, 25, 50, 100, 200 pg/ml)あるいは試料をウェル当たり50μlずつ添加し、37℃で2時間インキュベートする;(4)ビオチン化抗体の添加(Biotinylated polyclonal antibidy、R&D BAF259):3回洗浄した後、 PBS(-)で4倍希釈したブロックエース溶液(PBS/ブロックエース)で0.5 -1 μg/mlに希釈したビオチン化抗体を50μlずつ添加し、37℃で1.5時間インキュベートする;(5)ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼの添加:PBS/ブロックエースで10000倍希釈したストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ溶液をウェル当たり50 μlずつ添加し、室温で45分間放置する;(6)基質の添加・発色:3,3‘,5,5’-tetramethylbenzidine (TMB)やABTS (2,2‘-azino-bis[3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonate)などの基質溶液を添加し、20-30分間発色させ、2N硫酸等で反応を停止後、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定する;HB-EGFの標準液を添加したウェルの測定値から得られた標準曲線から試料中のHB-EGF濃度を算出する。 HB-EGFの測定結果を図2に示す。PMAを添加しない場合、用いた細胞数のいずれにおいても表皮ケラチノサイトから遊離されるHB-EGFは非常に微量であったが、PMAで表皮ケラチノサイトを刺激することによって、表皮ケラチノサイト培養系においてHB-EGFの細胞からの遊離を定量的に検出することができた。表皮ケラチノサイトから遊離されるHB-EGFの量は細胞数依存的に増加した。PMA濃度の検討 HB-EGFおよびTNF-αを指標として、ADAM活性化剤としてのPMAの濃度について検討した。 表皮ケラチノサイトを2x105 cells/500μl/wellで24穴培養プレート(Falcon社)に播種した。培地中にPMAを1、10、100nMの濃度になるように添加して、37℃で8時間インキュベートした。また対照としてPMAを添加しないで同様にインキュベートした。8時間後の培養上清中のHB-EGFおよびTNF-αを測定した。HB-EGFは上記のELISA法により測定した。TNF-αの測定は、市販のキット(DuoSet ELISA Development System human TNF-α/TNFSF1A; R&Dシステムズ社)を用いてキットのプロトコルに従って行い、TNF-αの標準液を添加したウェルの測定値から得られた標準曲線から試料中のTNF-α濃度を算出した。 HB-EGFおよびTNF-αの測定結果を図3(AおよびB)に示す。評価したいずれの濃度でもPMAを添加することによって表皮ケラチノサイトから遊離するHB-EGFおよびTNF-αの量は増加したが、HB-EGFは10nMのPMA濃度でほぼ平衡に達し、それ以上PMA濃度を上げても殆ど変化しなかった。PMAによる刺激時間の検討 HB-EGFおよびTNF-αを指標として、ADAM活性化剤としてのPMAによる刺激時間について検討した。 ケラチノサイトを2x105 cells/500μl/wellで24穴培養プレート(Falcon社)に播種した。培地中にPMAを10nMの濃度になるように添加して37℃でインキュベートし、0、1、2、4、8、24、48時間後の培養上清中のHB-EGFおよびTNF-αを上記と同様に測定した。 HB-EGFおよびTNF-αの測定結果を図4(AおよびB)に示す。遊離したHB-EGFおよびTNF-αの量は共に8時間のインキュベート後に最も高く、それ以上インキュベートすると減少する傾向が認められた。 上記の検討の結果、5x104から5x105cells/wellの細胞数で、1nMから100nMのPMA濃度で約4時間から48時間刺激することによって、正常表皮ケラチノサイト培養系において細胞から遊離されるHB-EGF、TNF-α等のサイトカインを定量的に検出できることが分かった。さらに、5nMから20nM、最も好ましくは10nMの濃度のPMAで、6から8時間刺激した場合により良好な結果が得られる。2.ADAM活性阻害剤の評価 次に、表皮ケラチノサイトからのHB-EGFの遊離を指標として、ADAM活性を阻害することが知られているCB-R7785(例えば、Tanida, S. et al. 2004. The mechanism of cleavage of EGFR ligands induced by inflammatory cytokines in gastric cancer cells. Gastroenterology 127: 559-569を参照)を本発明のスクリーニング方法で評価した。 表皮ケラチノサイトを1x105cells/250μl/wellで48穴培養プレート(Falcon社)に播種した。培地中に各濃度のCB-R7785を添加して37℃で30分間インキュベートして前処置した後、10nMのPMAを添加し、37℃で8時間インキュベートした。8時間後の培養上清中のHB-EGFを上記のELISA法により測定した。結果は、PMAのみ添加した場合の培養上清中のHB-EGF濃度に対する、PMAと各濃度のCB-R7785を添加した場合の培養上清中のHB-EGF濃度の低下を、阻害割合(%)として表した。 結果を図5に示す。本発明の表皮ケラチノサイトを用いたスクリーニング方法において、ADAM活性を阻害することが知られているCB-R7785は、濃度依存的に表皮ケラチノサイトからのHB-EGFの遊離を阻害した。したがって、本発明のスクリーニング方法において、表皮ケラチノサイトからのHB-EGF等の上記サイトカインを指標としてADAM活性阻害剤を評価できることが示唆された。図1は、本発明のスクリーニング方法の機構について説明した概略図図2は、100nMのPMAを添加した場合としない場合における、表皮ケラチノサイトから遊離されるHB-EGF量の細胞数依存性を示すグラフ。図3は、表皮ケラチノサイトから遊離されるHB-EGF量(A)およびTNF-α量(B)のPMA濃度依存性を示すグラフ図4は、表皮ケラチノサイトから遊離されるHB-EGF量(A)およびTNF-α量(B)のPMAでの刺激時間依存性を示すグラフ図5は、PMA刺激表皮ケラチノサイトでのCB-R7785のHB-EGF遊離阻害効果を示すグラフADAM(a disintegrin and metalloprotease)活性阻害剤のスクリーニング方法であって、表皮ケラチノサイトに、ADAM活性化剤および被験物質を接触させ、該表皮ケラチノサイトから遊離するHB-EGF、TNF-α、アンフィレギュリンおよびTGF-αよりなる群から選択される因子を検出する工程を含むことを特徴とする方法。前記因子がHB-EGFまたはTNF-αであることを特徴とする請求項1記載の方法。前記ADAM活性化剤がホルボールエステルであることを特徴とする請求項1または2記載の方法。前記表皮ケラチノサイトがヒト表皮ケラチノサイトであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の方法。抗しわ剤のスクリーニングに用いることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の方法。 【課題】皮膚におけるADAM(a disintegrin and metalloprotease)の活性を阻害する物質を簡便かつ効率的にスクリーニングする方法を提供する。【解決手段】表皮ケラチノサイトに、ホルボールエステル等のADAM活性化剤および被験物質を接触させ、該表皮ケラチノサイトから遊離するHB-EGF、TNF-α、アンフィレギュリンおよびTGF-αよりなる群から選択される因子を検出する工程を含む抗しわ剤のスクリーニング方法を提供する。【選択図】図1


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る