タイトル: | 公開特許公報(A)_(パー)フルオロポリエーテル化合物 |
出願番号: | 2005327721 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C08G 65/00,C10M 105/70,C10M 133/40,C10M 169/04,C10M 169/02,C10M 105/54,C10M 107/38,C10M 115/06,A61K 8/86,C10N 20/02,C10N 30/08,C10N 50/10 |
クラウディオ トネッリ アントニオ ルッソ JP 2006144008 公開特許公報(A) 20060608 2005327721 20051111 (パー)フルオロポリエーテル化合物 ソルヴェイ ソレクシス エス.ピー.エー. 503023047 Solvay Solexis S.p.A. 野河 信太郎 100065248 クラウディオ トネッリ アントニオ ルッソ IT MI2004A002238 20041119 C08G 65/00 20060101AFI20060512BHJP C10M 105/70 20060101ALI20060512BHJP C10M 133/40 20060101ALI20060512BHJP C10M 169/04 20060101ALI20060512BHJP C10M 169/02 20060101ALI20060512BHJP C10M 105/54 20060101ALI20060512BHJP C10M 107/38 20060101ALI20060512BHJP C10M 115/06 20060101ALI20060512BHJP A61K 8/86 20060101ALN20060512BHJP C10N 20/02 20060101ALN20060512BHJP C10N 30/08 20060101ALN20060512BHJP C10N 50/10 20060101ALN20060512BHJP JPC08G65/00C10M105/70C10M133/40C10M169/04C10M169/02C10M105/54C10M107/38C10M115/06A61K8/86C10N20:02C10N30:08C10N50:10 19 OL 19 4C083 4H104 4J005 4C083AD041 4C083AD042 4H104BD06A 4H104BE27A 4H104BE27C 4H104CD02B 4H104CD04A 4H104EA02A 4H104EA02C 4H104LA04 4H104QA18 4J005BA00 4J005BD05 本発明は、フッ素化された潤滑オイルおよびグリース用の、熱酸化に対する安定化剤として使用されるフッ素化された添加剤に関する。本発明の生成物は、高い熱酸化安定性を有するフッ素化された潤滑オイルとしても使用できる。 より具体的には、本発明は、ポリマー主鎖中にピリジン環を含む(パー)フルオロポリエーテル構造を有するオリゴマー生成物に関する。本発明の生成物は、酸化環境下、任意に金属の存在下、200℃よりも高く、一般的に230℃よりも高く、好ましくは250℃よりも高く、より好ましくは300℃よりも高く、330℃までもの高い温度で、オイルおよびグリースの添加剤として、および自己−安定化潤滑オイルとしても使用できる。さらに、本発明の添加剤は、非常に高収率、好ましくは90%よりも高い収率を有する方法で得ることができる。 パーフルオロポリエーテルが、高い熱安定性を有し、それゆえ、酸化環境下、任意に金属の存在下、約200℃の温度までの過酷な作業条件下での多くの用途に対する潤滑剤、オイルもしくはグリースとして、または圧媒液として使用されることは、先行技術において公知である。 しかしながら、パーフルオロポリエーテルは、200℃より高温、例えば230℃〜250℃で使用した場合、オイルの完全な分解に至るまで、高い熱酸化安定性を示さない。この熱分解工程は、潤滑化合物のパーフルオロポリ−エーテル鎖の破損および切断を引き起こす。場合によっては、パーフルオロポリエーテル流体の全分解が起こる。これらの条件下、揮発性留分が形成され、それが蒸発し、それゆえに潤滑剤が完全になくなる。さらに、潤滑剤の分解は、一般的に、流体との接触による金属腐蝕の進行に関係する。 非常に過酷な使用条件下、例えば高温、例えば200℃よりも高い温度で、任意に金属の存在下、パーフルオロポリエーテル構造を有するオイルおよびグリースの酸化に対する抵抗性が、特定の安定化添加剤を用いることにより改良され得ることは、先行技術において公知である。 我々は、例えばアリールホスフィン基に結合したパーフルオロポリエーテル鎖を有する添加剤を挙げることができる。例えば、US特許第4,681,693号(特許文献1)を参照されたい。これらの物質は良好な熱酸化安定性を有しているが、それらは、無水で不活性な環境下、非常に低い温度、-70℃よりも低い温度を使用する方法で得られる欠点を有している。さらに、収率が低い。 先行技術に記載されている他の添加剤は、ホスホトリアジン基に結合したパーフルオロポリエーテル鎖を含んでいる。例えば、US特許第5,326,910号(特許文献2)を参照されたい。これらの物質は良好な熱酸化安定性を有する。しかしながら、上記添加剤の収率は低い。 先行技術に記載されている他の添加剤は、ホスファゼン(アリールが置換した)基に結合したパーフルオロポリエーテル鎖を含んでいる。例えば、EP第597,369号(特許文献3)を参照されたい。これらの物質は良好な熱酸化安定性を有する。この場合も、これら添加剤の収率は低く、さらに、不活性な環境、可燃性および揮発性の無水溶媒のような、かなり手間のかかる方法条件が使用され、さらに水素化ナトリウムが使用される。 上記のように、一般的に、先行技術の熱酸化安定化添加剤は、多工程の方法により製造される。複雑な合成によって、中間体化合物を製造することがしばしば必要であり、時々、単離された中間体が毒性を示す。さらに収率は低い。このことは、工業的な観点から欠点を意味する。さらに、先行技術に記載されたいくつかの添加剤の合成に使用される、例えばホスファゼン前駆体のような出発化合物は、高価な化合物であり、工業的方法における追加費用を意味する。 さらに、とりわけ、潤滑オイルとして使用されるパーフルオロポリエーテル化合物に関し、大きな分子量を有し、それにより種々の用途において要求されるような決められた粘度をもったパーフルオロポリエーテルオイルを、合成で得ることの困難性が知られている。 例えば、公知の合成方法を用いて、大きな分子量を有する化合物を得ることは、一般的に不可能である。それゆえ、約13,000の数平均分子量を有する化合物を得るためには、未精製反応生成物の蒸留の操作が必要である。それゆえ、先行技術では、大きな分子量のオイルを得るために、合成方法に加えて、さらになる工程、例えばカラムまたは分子蒸留器による蒸留を必要とする。いずれにしても、大きな分子量の化合物の収率は低い。US特許第4,681,693号US特許第5,326,910号EP第597,369号 それゆえ、以下のものが利用できる必要性が感じられた:− 酸化環境下、任意に金属の存在下に、200℃よりも高く、一般的に230℃よりも高く、好ましくは250℃よりも高く、より好ましくは300℃よりも高く、330℃までもの温度での熱酸化環境下で、パーフルオロポリエーテルオイルおよびグリースを安定化する高い能力を有するパーフルオロポリエーテルオイルまたはグリース用の添加剤;− 酸化環境下、任意に金属の存在下に、200℃よりも高く、一般的に230℃よりも高く、好ましくは250℃よりも高く、より好ましくは300℃よりも高く、330℃までもの温度での熱酸化環境下で、高い安定性を有し、それゆえ、特定の熱酸化添加剤を用いることなく使用できる潤滑オイル;− 例えば-50℃よりも低いような、非常に低い温度で操作する必要がなく、無水溶媒またはハイドライドのような特に反応性に富んだ反応物を使用することのない単純な方法で得ることができ、その方法が、安価で無毒性の反応物を使用し、80%よりも高く、好ましくは90%よりも高い収率で特徴付けられ、その方法が、例えば蒸留のような、さらなる分離方法を必要としないで、所期の分子量を有する潤滑オイルを直接得ることができる、上記添加剤/オイル。 本出願人は、驚くことに且つ予測しなかったことに、上記の技術的問題を解決する、すなわち、パーフルオロポリエーテルオイルもしくはグリースの添加剤として、または熱酸化安定化剤を加える必要のない、それ自体をオイルとして使用できる、(パー)フルオロポリエーテル構造を有する物質を見出した。 本発明の課題は、次の式:(式中、AおよびA1は同一または異なって、それぞれHまたは芳香族末端基であり;該芳香族基は、H;直鎖または可能であれば分枝のC1-C8(パー)フルオロアルキル;1以上の酸素原子を任意に含んでいてもよい直鎖または可能であれば分枝のC1-C15(パー)フルオロオキシアルキル;NO2;CN;OH;直鎖または分枝のC1-C8アルキル;1以上の酸素原子を任意に含んでいてもよい直鎖または分枝のC1-C8オキシアルキルから選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい;nは、式(I)の化合物の数平均分子量が1,800〜50,000、好ましくは3,000〜30,000、より好ましくは8,000〜20,000の範囲であるような、0より大きい整数であり;Tは2価の結合基 -Y-CH2-CFW1-O-Rf-CFW2-CH2-Y-(ここで、− Y=O、S;− W1およびW2は同一または異なって、F、CF3であり;− Rfは、重合体の主鎖に沿って統計的に分布する、次の構造:(CFXO)、(C2F4O)、(CF2CF2CF2O)、(CF2CF2CF2CF2O)、(CR5R6CF2CF2O)、(C3F6O) (ここで、XはF、CF3であり;R5およびR6は互いに同一または異なって、H、Clもしくは1〜4の炭素原子のパーフルオロアルキルから選択され、上記Rfは500〜10,000、好ましくは800〜5,000の間の数平均分子量を有する)を有する繰り返し単位を1以上含む(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖である)であり;R1、R2、R3は互いに同一または異なって、H;NO2;CN;塩素および/または例えば酸素原子のようなヘテロ原子を任意に含んでいてもよい、直鎖または可能ならば分枝のC1-C8、好ましくはC1-C3のパーフルオロアルキルから選択される)を有する化合物である。 式(I)中のAおよび/またはA1における芳香族末端基について、それは、例えばN、O、Sのようなヘテロ原子を任意に含んでいてもよい単環式および多環式の1以上の芳香環から形成される置換基を意味し、好ましくはC6-C14の単−多環式芳香環、N、O、Sから選択される1もしくは2のヘテロ原子を含む5、6、9原子を有する単環式または2環式のヘテロ環から選択される。芳香族末端基として用いられる置換基の例は、次の:ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、ピリジン、チオフェン、ベンゾチオフェン、キノリン、ベンゾチアゾール、キノキサリン(ここで、これら各置換基には、式(I)の2価基Tと結合を形成するための遊離の結合手が存在する)である。 Rfにおける(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖の繰り返し単位(C3F6O)は: -(CF2CF(CF3)O)-または-(CF(CF3)CF2O)-であり得る。 好ましいパーフルオロポリエーテル鎖Rfは、以下の構造:(A) -(CF2CF(CF3)O)a(CFXO)b-CF2(R'f)CF2-O-(CFXO)b(CF2CF(CF3)O)a-(式中、R'fは1〜4のC原子のフルオロアルキレン基であり;Xは上記のとおりであり;aおよびbは、数平均分子量が上記の範囲内にあるような整数であり;a/bは10〜100の間である);(B) -(CF2CF2O)c(CF2O)d(CF2(CF2)zO)h-(式中、c、dおよびhは、数平均分子量が上記の範囲内にあるような整数であり;c/dは0.1〜10の間であり;h/(c+d)は0〜0.05の間であり、zは2または3であり;hは0でもあり得る);(C) -(C3F6O)e(CF2CF2O)f(CFXO)g-(式中、Xは上記のとおりであり;e、f、gは数平均分子量が上記の範囲内あるような整数であり;e/(f+g)は0.1〜10の間であり;f/gは2〜10の間である);(D) -(CF2(CF2)zO)s-(式中、sは上記の数平均分子量を与えるような整数であり、zは上記のような意味を有する);(E) -(CR5R6CF2CF2O)p'-R'f-O-(CR5R6CF2CF2O)q'-(式中、R5およびR6は互いに同一または異なって、H、Clまたは1〜4のC原子のパーフルオロアルキルから選択され;R'fは上記のとおりであり;p'およびq'は、上記の範囲の数平均分子量を有するような整数である);(F) -(CF(CF3)CF2O)j''-R'f-O-(CF(CF3)CF2O)j''-(式中、j''は上記の数平均分子量を与えるような整数であり、R'fは上記のとおりである)から選択される。 特に好ましい構造は(A)および(B)、より好ましくは(B)である。 上記の(パー)フルオロポリオキシアルキレン構造は、GB第1,104,482号、US特許第3,715,378号、US特許第3,242,218号、US特許第4,647,413号、EP第148,482号、US特許第4,523,039号、EP第340,740号、WO90/03357号、US特許第3,810,874号、EP第239,123号、US特許第5,149,842号、US特許第5,258,110号に記載された合成方法を用いて得ることができる。 本発明の化合物は、透明で且つ無臭の粘調な液体である。 上記のように、本発明の化合物は、潤滑オイルとしても使用することができる。本発明の化合物が、任意に金属の存在下、200℃よりも高く、一般的には230℃よりも高く、好ましくは250℃よりも高く、より好ましくは300℃よりも高く、330℃までもの温度で、高い熱的安定性を有することを、本出願人が見出したことは、実に驚嘆すべきことであり、予測できなかったことである。 上記のように、式(I)の化合物は、改良された熱酸化的性質を与えるために、フッ素化された潤滑剤、オイルおよび/またはグリースの添加剤としても使用することできる。 本発明のさらなる課題は:− パーフルオロポリエーテル構造を有するオイルまたはグリース;− 全組成物中に、本発明の式(I)の化合物を0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%含む潤滑組成物である。 オイルとしてまたはグリースを製造するための成分として使用可能なパーフルオロポリエーテルは、以下に記載される:(1) E-O-[CF(CF3)CF2O]m'(CFXO)n'-E'(式中、Xは上記のとおりであり;EおよびE'は互いに同一または異なって、-CF3、-C2F5または-C3F7から選択され;m'およびn'は、m'/n'比が20〜1,000の間にあるような整数であり、20℃での該オイルの粘度が後記の範囲にあり;上記の繰り返し単位が鎖に沿って統計的に分布している)。 これらの化合物は、GB第1,104,432号に記載されているパーフルオロプロペン光酸化、およびGB第1,226,566号に記載されている末端基の次なる変換により得ることができる。(2) C3H7O-[CF(CF3)CF2O]o'-D(式中、Dは-C2F5または-C3F7と同じであり;o'は、物質の粘度が後記の範囲にあるような整数である)。 これらの物質は、US特許第3,242,218号に記載されている、パーフルオロプロピレンオキサイドのイオンオリゴマー化および次なるフッ素での処理により製造することができる。(3) [C3F7O-[CF(CF3)CF2O]p'-CF(CF3)-]2(式中、p'は、物質の粘度が後記の範囲にあるような整数である)。 これらの物質は、US特許第3,214,478に報告されている、パーフルオロプロピレンオキサイドのイオンテロマー化および次なる光化学2量化により得ることができる。(4) E-O-[CF(CF3)CF2O]q'(C2F4O)r'(CFX)s'-E'(式中、Xは上記のとおりであり;EおよびE'は互いに同一または異なって、上記のとおりであり;q'、r'およびs'は、物質の粘度が後記の範囲にあるような、0を含む整数である)。 これらの生成物は、US特許第3,665,041号に記載されている、C3F6およびC2F4の混合物の光酸化および次なるフッ素での処理により得ることができる。(5) E-O-(C2F4O)t'(CF2O)u'-E'(式中、EおよびE'は互いに同一または異なって、上記のとおりであり;tおよびu'は、t'/u'比が0.1〜5の間にあり、物質の粘度が後記の範囲にあるような整数である)。 これらの物質は、US特許第3,715,378号に報告されている、C2F4の光酸化および次いでUS特許第3,665,041号に記載されているフッ素での処理により得ることができる。(6) E-O-(CF2CF2CF2O)v'-E'(式中、EおよびE'は互いに同一または異なって、上記のとおりであり;v'は、粘度が後記の範囲にあるような数である)。 これらの物質は、EP第148,482号に報告されたようにして得ることができる。(7) D-O-(CF2CF2O)z'-D'(式中、DおよびD'は互いに同一または異なって、上記のとおりであり;z'は、物質の粘度が後記の範囲にあるような整数である)。 これらの物質は、US特許第4,523,039号に記載されたようにして得ることができる。 (1)〜(7)のクラスのパーフルオロポリエーテルは、非常に低い蒸気圧を有する液体であり、20℃で測定された動粘度が、一般的に10〜10,000 cSt、好ましくは300〜2,000 cStである動粘度を有する。 好ましいパーフルオロポリエーテルオイルは (1)、(4)、(5)のクラスであり、ソルヴェイ ソレクシス(Solvay Solexis)によりホムブリン(FOMBLIN)(登録商標)として市販されており、市場で入手可能である。 本発明の式(I)のオイルおよび組成物(ここで、式(I)の化合物はフッ素化されたオイルおよびグリース用の添加剤として使用される)は、パーフルオロポリエーテル構造を有する潤滑剤の配合物中に、通常使用される他の添加剤を含むことができる。例えば、耐磨耗、耐錆の添加剤および耐ルイス酸添加剤を挙げることができる。例えば、使用可能な耐磨耗添加剤は、例えば本出願人名のEP第1,336,614号に記載されているような、ホスファゼン環に結合したパーフルオロポリエーテルベースを有するものである。 さらに、フッ素化された潤滑グリースの場合、その配合物は、上記クラスの1以上に属する1以上のパーフルオロポリエーテルオイルおよび増粘剤、好ましくはPTFE、任意にテレフタル酸ナトリウム、カルシウムまたはリチウム石鹸、ポリ尿素を含む。グリース中に一般的に含まれる他の成分は、次の:例えば界面活性剤、特に非イオン系界面活性剤で好ましくはパーフルオロポリエーテルまたはパーフルオロアルキル構造を有する界面活性剤のような分散剤;さらにタルクまたは無機充填剤である。 本発明のさらなる課題は、式(I)の化合物を得るための方法であり、該方法は以下の工程:a)式: H-Y-CH2-CFW1-O-Rf-CFW2-CH2-Y-H (II)(式中、Y、W1、W2、Rfは上記のとおりである)の化合物を、式:(式中、Q = Cl、Br、ヨウ素、好ましくはCl;R1、R2、R3は上記のとおりである)のヘテロ環式化合物と、塩基の存在下、30℃〜120℃、好ましくは60℃〜100℃の間の温度で、任意に反応条件下で不活性な有機溶媒の存在下に反応させること;b) 水性の酸で有機相を洗浄し、相を分離し、溶媒を除去し、生成する式(I) (ここで、AおよびA1はHである化合物(化合物IA))の反応生成物を回収すること;c) b)で単離された化合物IAを、置換されたモノ−ハロゲン芳香族化合物(ここで、ハロゲンはCl、Br、ヨウ素を意味する)と、塩基の存在下、任意に反応条件下で不活性な有機溶媒を使用し、その温度はa)で示されたものと同じで、反応させることにより、1または2の芳香族末端基を任意に導入すること;d) c)で得られた反応混合物を水性の酸で洗浄し、相を分離し、任意に有機溶媒を除去し、式(I)の物質を回収することを含む。 工程a)で用いられる式(II)の化合物は、先行技術で公知であり、例えば、それらはUS特許第3,810,874号に記載されたようにして製造することができる。 工程a)において、化合物(II)/化合物(III)のモル比は1〜2の範囲である。好ましい化合物(II)/塩基の当量比は1である。 一般的に、化合物(II)/化合物(III)のモル比が1近くから大きくなるにつれて、式(I)の化合物の分子量は大きくなる。 工程a)において、用いることができる塩基は、例えばKOHおよびNaOHから選択される無機塩基、または例えばカリウムterブチレート、例えばトリエチルアミンのような脂肪族アミンのような有機塩基である。 本発明の方法で任意に用いられる有機溶媒は、好ましくは、例えばterブチルアルコール、アセトニトリル、ジグライム、DMF、トルエン、キシレンのような水素化溶媒、または20℃〜150℃、好ましくは60℃〜100℃の間の沸点を有するフッ素化もしくは水素フッ素化溶媒から選択される。 工程b)の最後に得られる式(IA)の化合物の収率は高く、80%より高く、好ましくは90%より高い。 一般的に、工程a)および工程c)において、その反応時間は8〜24時間の間である。 工程c)において、化合物(IA)/置換されたモノ−ハロゲン芳香族化合物の当量比は2〜1の範囲、好ましくは1である。 上記のように、本発明の(パー)フルオロポリエーテル化合物は、オイルおよびグリース、ならびに一般的にパーフルオロポリエーテルベースの潤滑流体の組成物中の添加剤として使用することができる。それらは、200℃よりも高く、一般的には230℃よりも高く、好ましくは250℃よりも高く、より好ましくは300℃よりも高く、そして330℃までもの使用温度でさえの熱酸化環境下、金属の存在下でも、パーフルオロポリエーテルオイルおよびグリースを安定化する性質を有する。さらに、上記添加剤は、パーフルオロポリエーテル潤滑オイルのそれに匹敵するかまたはさらに低い、非常に低減された蒸気圧を示す。それゆえ、適用条件が高い温度を要し、かつ減圧下での作動においてでも、蒸発による添加剤の実質的な損失は認められない。したがって、その潤滑配合物は、長時間の使用で、その性能が実質的に不変であることを保証する。 上記のように、本発明の化合物は、高い熱安定性を有する潤滑オイルとしても使用できる。それゆえ、熱酸化的環境下、金属の存在下でも、一般的に200℃より高く330℃までの高い温度で使用することできる。 上記のように、式(I)の本発明の化合物は、潤滑オイルとして使用される場合、熱酸化に対する特別な安定化添加剤の添加を要求しない利点を有する。このことは、例えば空気中のような酸化環境中、高温で潤滑オイルが使用される場合、常に熱酸化安定化剤の添加を必要とする先行技術の潤滑オイルに対して、予測できなことであり、驚嘆すべきことである。 さらに、本発明の化合物は、単純な方法で、上記のように80%よりも高く、好ましくは90%よりも高い、高収率で得ることができ、そしてそれは、多くの用途に対して要求されるような大きな分子量を有するオイルさえも製造可能にする。 本出願人により行われた試験は、本発明の化合物がパーフルオロポリエーテルオイル用の耐磨耗添加剤としても使用できることを示した。 さらに、本出願人により行われた試験は、本発明の化合物が、200℃よりも高く330℃までの高温で、ルイス酸の存在下でも、有意なオイルの分解を認めず、添加剤としてまたはそれ自体オイルとして使用できることも示した。 いくつかの例が、本発明を限定するためにではなく、本発明を説明するために、以下に報告される。実施例方法 本発明に記載された添加剤の有効性を評価するために使用された試験が、以下に簡単に報告される:熱酸化試験 熱酸化試験は、ASLE Transactions, 13(3), 171-180 (1975)にCarl E. Snyder, Jr.およびRonald E. Dolle, Jr.によって記載された装置を使用して行われた。使用された操作条件は、以下である:− 試験温度:270℃(示された場合を除いて);− 風量:1 l/h;− 流体中に浸漬された金属:ステンレス鋼(AISI 304)およびTi合金(Al 6%、V 4%)。 試験される流体の試料が、無添加流体の状態で行われた比較例を除いて、添加剤を含んで、装置のガラス試験管(参考文献の実施例の図1を参照)に導入される。それは秤量され、試験温度に加熱される。必要とされる時間の経過後、ガラス試験管は室温に冷却され、再度秤量される。試験前の試料の重量を参照して、加熱前後の重量の差から試験された流体の損失重量パーセントが得られる。試験の最後に、流体に浸漬された金属の状態が目視で評価される。耐磨耗試験 ASTM D 4172法が、以下に記載されたように磨耗を測定することができる応用試験として用いられた。 前もってn-ヘキサンに(15分間)、次いでガルデン(Galden、登録商標)HT55に(15分間)浸漬し洗浄し、次いで乾燥することによりきれいにされた、12.7 mmの直径、25 EP度(特別研磨)を有する3つのAISI N. E-52100鋼球を、3点で接触するような適当な中空を備えた容器中に置き、次いで試験される潤滑剤で覆う。回転するように電気モーターに接続された、同じ種類の第4の球を、40±0.2 kgf (392 N)の負荷で上記3つの球の上に置く。全部を組み立て、密閉し、75±2℃に加熱する。上記の温度に達した時に、基準の3つの上に置かれた第4の球を1200±60 rpmで60±1分間回転する。試験の最後に、容器を分解し、潤滑剤を除去し、その中に含まれている3つの球の磨耗を、0.01 mmの精度を有する光学顕微鏡で測定する。 各球に対して、それを中空から取り去らないで、回転方向の磨耗直径とそれに垂直な直径を測定することにより、mmで表された磨耗値が、6測定の算術平均として得られる。分子量の決定 数平均分子量は、S. Turriら、Macromolecules, 1995, 28, 7271-7275およびS. Turriら、Macromol. Chem. Phsy. 198 3215-3228 (1997)に従った19F NMR分析によって決定される。粘度指数の決定 粘度指数は、ASTM D 2270法に従い、20℃、40℃および100℃での動粘度を測定することによって決定される。実施例1数平均分子量7814を有し、ニトロ基および2つのメチロール末端基で置換されたピリジン環を鎖中に含む本発明の(パー)フルオロポリエーテル誘導体の製造、そしてそれは次の式を有する: 機械的撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えたガラス反応器(250 ml)中に、terブチルアルコール(30 g)およびカリウムterブチレート(1.75 g、0.0156 mol)を導入する。次いで、HOCH2CF2O(CF2CF2O)c(CF2O)dCF2CH2OH(EW=1923)(ここで、c/d=0.97)(30 g、0.0156当量)を、撹拌下、室温で導入する。反応混合物を撹拌下に約30分間置き、次いで2,6-ジクロロ-3-ニトロピリジン(0.75 g、0.0039 mol)を反応器に供給する。そのようにして得られた混合物を80℃に加熱し、撹拌下に約6時間保持する。冷却後、5重量%のHCl水溶液(100 g)を加える。次いで相を分離させ、底に集まる有機相を回収し、脱イオン水(100 g)で2回洗浄する。分離後、有機相を120℃、10-2 mbarの残留圧力で約4時間のストリッピングにより無水化し、次いで0.2 μm PTFEフィルターで濾過する。生成物(27.7 g)を得る。 IRおよびNMR(1H、19Fおよび13C)分析は、上記の式で示された生成物の構造を確かにする。実施例2数平均分子量11,782を有し、それぞれニトロ基および2つのメチロール末端基で置換された2つのピリジン環を鎖中に含む(パー)フルオロポリエーテル誘導体の製造、そしてそれは次の式を有する: 機械的撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えたガラス反応器(250 ml)中に、terブチルアルコール(30 g)およびカリウムterブチレート(1.75 g、0.0156 mol)を導入する。次いで、HOCH2CF2O(CF2CF2O)c(CF2O)dCF2CH2OH(EW=1923)(ここで、c/d=0.97)(30 g、0.0156当量)を、撹拌下、室温で導入する。反応混合物を撹拌下に約30分間置き、次いで2,6-ジクロロ-3-ニトロピリジン(1.0 g、0.0052 mol)を反応器に供給する。そのようにして得られた混合物を80℃に加熱し、撹拌下に約6時間保持する。冷却後、5重量%のHCl水溶液(100 g)を加える。次いで相を分離させ、重い有機相を回収し、脱イオン水(100 g)で2回洗浄する。分離後、有機相を120℃、10-2 mbarの残留圧力で約4時間のストリッピングにより無水化し、次いで0.2 μm PTFEフィルターで濾過する。生成物(27.9 g)を得る。 IRおよびNMR(1H、19Fおよび13C)分析は、上記生成物の平均構造を確かにする。 熱重量分析は、損失重量パーセントで表される次の結果を示した:窒素:1%、242℃;2%、275℃;10%、378℃;50%、477℃。実施例3数平均分子量19,710を有し、それぞれニトロ基および2つのメチロール末端基で置換された4つのピリジン環を鎖中に含む(パー)フルオロポリエーテル誘導体の製造、そしてそれは次の式を有する: 機械的撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えたガラス反応器(250 ml)中に、terブチルアルコール(30 g)およびカリウムterブチレート(1.75 g、0.0156 mol)を導入する。次いで、HOCH2CF2O(CF2CF2O)c(CF2O)dCF2CH2OH(EW=1923)(ここで、c/d=0.97)(30 g、0.0156当量)を、撹拌下、室温で導入する。反応混合物を撹拌下に約30分間置き、次いで2,6-ジクロロ-3-ニトロピリジン(1.2 g、0.0062 mol)を反応器に供給する。そのようにして得られた混合物を80℃に加熱し、撹拌下に約6時間保持する。冷却後、5重量%のHCl水溶液(100 g)を加える。次いで相を分離させ、有機相を回収し、脱イオン水(100 g)で2回洗浄する。水相から分離後、有機相を120℃、10-2 mbarの残留圧力で約4時間のストリッピングにより無水化し、次いで0.2 μm PTFEフィルターで濾過する。生成物(27.5 g)を得る。 IRおよびNMR(1H、19Fおよび13C)分析は、上記生成物の平均構造を確かにする。 熱重量分析は、損失重量パーセントで表される次の結果を示した:窒素:1%、245℃;2%、275℃;10%、378℃;50%、469℃。実施例4数平均分子量8,146を有し、ニトロ基で置換されたピリジン環を鎖中に、そして2つのニトロ基で置換された1つの芳香環をそれぞれの末端に含む(パー)フルオロポリエーテル誘導体の製造、そしてそれは次の式を有する: 機械的撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えたガラス反応器(250 ml)中に、terブチルアルコール(30 g)およびカリウムterブチレート(1.75 g、0.0156 mol)を導入する。次いで、HOCH2CF2O(CF2CF2O)c(CF2O)dCF2CH2OH(EW=1923)(ここで、c/d=0.97)(30 g、0.0156当量)を、撹拌下、室温で導入する。反応混合物を撹拌下に約30分間置き、次いで2,6-ジクロロ-3-ニトロピリジン(0.75 g、0.0039 mol)を反応器に供給する。そのようにして得られた混合物を80℃に加熱し、撹拌下に約3時間保持する。次いで、1-クロロ-2,4-ジニトロベンゼン(1.58 g、0.0078 mol)を加え、それを撹拌下にさらに3時間置く。それを冷却し、5重量%のHCl水溶液(100 g)を加える。次いで相を分離させ、有機相を回収し、脱イオン水(100 g)で2回洗浄する。分離後、有機相を120℃、10-2 mbarの残留圧力で約4時間のストリッピングにより無水化し、次いで0.2 μm PTFEフィルターで濾過する。生成物(29.7 g)を得る。 IRおよびNMR(1H、19Fおよび13C)分析は、上記の式を有する生成物の構造を確かにする。実施例5数平均分子量8,953を有し、それぞれニトロ基および2つのメチロール末端基で置換された2つのピリジン環を鎖中に含む(パー)フルオロポリエーテル誘導体の製造、そしてそれは次の式を有する: 機械的撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えたガラス反応器(250 ml)中に、terブチルアルコール(40 g)およびカリウムterブチレート(2.29 g、0.0204 mol)を導入する。次いで、HOCH2CF2O(CF2CF2O)c(CF2O)dCF2CH2OH(EW=980)(ここで、c/d=0.97)(20 g、0.0204当量)を、撹拌下、室温で導入する。反応混合物を撹拌下に約30分間置き、次いで2,6-ジクロロ-3-ニトロピリジン(1.4 g、0.0070 mol)を反応器に供給する。そのようにして得られた混合物を80℃に加熱し、この温度で撹拌下に約6時間保持する。それを室温に冷却し、5重量%のHCl水溶液(100 g)を加える。次いで相を分離させ、有機相を回収し、脱イオン水(100 g)で2回洗浄する。分離後、有機相を120℃、10-2 mbarの残留圧力で約4時間のストリッピングにより無水化し、次いで0.2 μm PTFEフィルターで濾過する。生成物(19.3 g)を得る。 IRおよびNMR(1H、19Fおよび13C)分析は、上記生成物の平均構造を確かにする。 熱重量分析は、損失重量パーセントで表される次の結果を示した:窒素:10%、269℃;50%、455℃。実施例6数平均分子量8,092を有し、ニトロ基およびそれぞれ1つのトリフルオロメチル置換基を有するピリジン末端基で置換された1つのピリジン環を鎖中に含む次の構造式:の(パー)フルオロポリエーテル誘導体の製造 機械的撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えたガラス反応器(250 ml)中に、terブチルアルコール(40 g)およびカリウムterブチレート(2.95 g、0.026 mol)を導入する。次いで、HOCH2CF2O(CF2CF2O)c(CF2O)dCF2CH2OH(EW=1923)(ここで、c/d=0.97)(50 g、0.026当量)を、撹拌下、室温で導入する。反応混合物を撹拌下に約30分間置き、次いで2,6-ジクロロ-3-ニトロピリジン(1.25 g、0.0065 mol)を反応器に供給する。そのようにして得られた混合物を80℃に加熱し、この温度で撹拌下に約3時間保持する。次いで、2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(2.3 g、0.0128 mol)を加え、80℃で撹拌下にさらに3時間置く。 室温に冷却後、5重量%のHCl水溶液(100 g)を加える。次いで相を分離させ、有機相を回収し、脱イオン水(100 g)で2回洗浄する。分離後、有機相を120℃、10-2 mbarの残留圧力で約4時間のストリッピングにより無水化し、次いで0.2 μm PTFEフィルターで濾過する。生成物(46.0 g)を得る。 IRおよびNMR(1H、19Fおよび13C)分析は、上記生成物の平均構造を確かにする。実施例7数平均分子量8,000を有し、ニトロ基および2つのベンゾチアゾール基から形成される末端基で置換された1つのピリジン環を鎖中に含む(パー)フルオロポリエーテル誘導体の製造、そしてそれは次の式を有する: 機械的撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えたガラス反応器(250 ml)中に、terブチルアルコール(20 g)およびカリウムterブチレート(1.17 g、0.0104 mol)を導入する。次いで、HOCH2CF2O(CF2CF2O)c(CF2O)dCF2CH2OH(EW=1923)(ここで、c/d=1.0)(20 g、0.0104当量)を、撹拌下、室温で導入する。反応混合物を撹拌下に約30分間置き、次いで2,6-ジクロロ-3-ニトロピリジン(0.5 g、0.0026 mol)を反応器に供給する。そのようにして得られた混合物を80℃に加熱し、この温度で撹拌下に約3時間保持する。次いで、2-クロロベンゾチアゾール(1 g、0.0057 mol)を加え、それを80℃で撹拌下、さらに3時間置く。それを室温に冷却し、脱イオン水(100 g)を加え、次いで、それを5重量%のHCl水溶液で中和する。次いで、相を分離させ、有機相を回収し、脱イオン水(100 g)で2回洗浄する。分離後、有機相を約4時間、120℃、10-2 mbarの残留圧力で無水化し、次いで0.2 μm PTFEフィルターで濾過する。98%のアルコール基のエーテル基への転化で生成物(19.6 g)を得る。 IRおよびNMR(1H、19Fおよび13C)分析は、上記生成物の構造を確かにする。実施例8熱酸化でオイルを安定化するために、添加剤として実施例2で製造した化合物の使用 パーフルオロポリエーテルオイル ホムブリン(Fomblin、登録商標)Z25に、実施例2の化合物の1%(w/w)に等しい量を添加する。添加されたオイルで、上記の熱酸化試験が行われる。270℃で250時間後、添加された潤滑剤の1.4重量%に等しい重量損失が測定される。試験期間中流体に浸漬された金属(ステンレススチールおよびTi、Al、V合金)は、酸化/腐食の兆候を示さなかった。試験の最後で、それらの様相は、処理を付されない同じ金属の試料のそれに匹敵するものであった。ルイス酸への安定性 パーフルオロポリエーテルオイル ホムブリン(登録商標)Z25に、上記で製造された化合物の1%(w/w)に等しい量を添加する。添加されたオイルで、以下に記載された方法に従って、ルイス酸に対する安定性試験が行われる。オイル+添加剤の組成物(5 g)をAlF3(0.1 g)と一緒にガラス試験管(約10 cc)中に供給する。試験管を秤量し、起こりうる分解生成物を採集シリンダー中に含まれるNaOH溶液(0.1 N)中に搬送する30 cmのPTFE小管が取り付けられた、真中に穴を有するスクリュープラグで密閉する。試験管を秤量し、次いで250℃で24時間加熱する。最後に試験管を冷却し、再度秤量する。 加熱前の試料重量を参照して、加熱前後の試料重量の差として計算された重量損失は、0.65重量%に等しい。 ルイス酸に対する安定性試験を、無添加のパーフルオロポリエーテルオイル ホムブリン(登録商標)Z25の試料で繰り返す。試験の最後で、100%の重量損失が認められる。実施例9(比較) 添加剤なしのオイルそのままで、熱酸化試験を繰り返した。250時間後、完全なオイル損失が起こった(重量損失=100%)。試験期間中流体に浸漬された金属は、最後には著しい腐食兆候を示す。実施例10 300℃で24時間以外は、実施例8を繰り返した。重量損失は2.0%であることが分かった。 この結果は、本発明の添加剤は、著しく過酷な条件においてさえ、さらに著しく高い温度最高点の存在下でも効果的にオイルを保護することを示す。試験期間中流体に浸漬された金属(イノックス(inox)スチールおよびTi、Al、V合金)は、酸化/腐食の兆候を示さなかった。試験の最後で、それらの様相は、処理を付されない同じ金属の試料のそれに匹敵するものであった。実施例11本発明のパーフルオロポリエーテル誘導体の熱酸化での安定性 実施例2で合成された化合物を上記熱酸化試験に付す。270℃で250時間後、1.0重量%の化合物の重量損失が認められる。実施例12オイルに耐磨耗性を与えるために、実施例7で製造された化合物の添加剤としての使用 パーフルオロポリエーテルオイル ホムブリン(登録商標)Z25に、実施例7の化合物の1%(w/w)に等しい量を加える。 1.16 mmに等しい磨耗値が測定される。実施例13(比較) 添加剤を除いた以外は、実施例12を繰り返す。この場合、1.50 mmに等しい磨耗値が測定される。 それゆえ、本発明の添加剤の存在は、磨耗値を約23%減少させた。実施例14粘度測定 実施例2、3で得られた生成物を、3つの異なる温度:20℃、40℃および100℃での粘度で特徴付け、パーフルオロポリエーテルオイル ホムブリン(登録商標)M60と比較した。 その結果を次の表に要約する。 上記で報告された値は、パーフルオロポリエーテル構造を有するフッ素化されたオイルの典型的な用途で要求されることに適した範囲であることを確かにする。特に、高い粘度指数値は、幅広い温度範囲で潤滑性が実質的にほとんど変化せずかつ良好である、これらのオイルの高い静粘性(viscostaticity)を確かにする。実施例15熱酸化でオイルを安定化するために、実施例6で製造された化合物の添加剤としての使用 パーフルオロポリエーテルオイル ホムブリン(登録商標)Z25に、実施例6の化合物の1%(w/w)に等しい量を添加する。添加されたオイルで、上記の熱酸化試験を行う。270℃で250時間後、添加された潤滑剤の1.3重量%に等しい重量損失が測定される。試験期間中流体に浸漬された金属(ステンレススチールおよびTi、Al、V合金)は、酸化/腐食の兆候を示さなかった。試験の最後で、それらの様相は、処理を付されない同じ金属の試料のそれに匹敵するものであった。式:(式中、AおよびA1は同一または異なって、それぞれHまたは芳香族末端基であり;該芳香族基は、H;直鎖または分枝のC1-C8(パー)フルオロアルキル;1以上の酸素原子を任意に含んでいてもよい直鎖または分枝のC1-C15(パー)フロオロオキシアルキル;NO2;CN;OH;直鎖または分枝のC1-C8アルキル;1以上の酸素原子を任意に含んでいてもよい直鎖または分枝のC1-C8オキシアルキルから選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよく;nは、式(I)の化合物の数平均分子量が1,800〜50,000、好ましくは3,000〜30,000、より好ましくは8,000〜20,000の範囲であるような0より大きい整数であり;Tは2価の基-Y-CH2-CFW1-O-Rf-CFW2-CH2-Y-(ここで、− Y=O、S;− W1およびW2は同一または異なって、F、CF3であり;− Rfは、重合体の主鎖に沿って統計的に分布する、次の構造:(CFXO)、(C2F4O)、(CF2CF2CF2O)、(CF2CF2CF2CF2O)、(CR5R6CF2CF2O)、(C3F6O) (ここで、XはF、CF3であり;R5およびR6は互いに同一または異なって、H、Clまたは1〜4の炭素原子のパーフルオロアルキルから選択され、上記のRfは500〜10,000、好ましくは800〜5,000の間の数平均分子量を有する)を有する繰り返し単位を1以上含む(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖である)であり;R1、R2、R3は互いに同一または異なって、H;NO2;CN;塩素および/またはヘテロ原子、好ましくは酸素を任意に含んでいてもよい、直鎖または分枝のC1-C8、好ましくはC1-C3のパーフルオロアルキルから選択される)を有する化合物。式(I)中のAおよび/またはA1における芳香族末端基が、例えばN、O、Sのようなヘテロ原子を任意に含んでいてもよい、1以上の芳香環から形成される置換基であり、該環が単環式および多環式であり;好ましくは該置換基が、C6-C14の単−多環式芳香環、好ましくはO、S、Nから選択される1または2のヘテロ原子を含む5、6、9の原子を有する単環式または2環式のヘテロ環から選択される、請求項1に記載の化合物。芳香族末端基として用いられる置換基が、次の:ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、ピリジン、チオフェン、ベンゾチオフェン、キノリン、ベンゾチアゾール、キノキサリン (ここで、これらの各置換基には、式(I)の基Tと結合を形成するための遊離の結合手が存在する)から選択される、請求項2に記載の化合物。(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖Rfの繰り返し単位(C3F6O)が、式:-(CF2CF(CF3)O)-または-(CF(CF3)CF2O)-の単位である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。パーフルオロポリエーテル鎖Rfが次の構造:(A) -(CF2CF(CF3)O)a(CFXO)b-CF2(R'f)CF2-O-(CFXO)b(CF2CF(CF3)O)a-(式中、R'fは1〜4のC原子のフルオロアルキレン基であり;Xは上記のとおりであり;aおよびbは、数平均分子量が上記の範囲内にあるような整数であり;a/bは10〜100の間である);(B) -(CF2CF2O)c(CF2O)d(CF2(CF2)zO)h-(式中、c、dおよびhは、数平均分子量が上記の範囲内にあるような整数であり;c/dは0.1〜10の間であり;h/(c+d)は0〜0.05の間であり、zは2または3であり;hは0でもあり得る);(C) -(C3F6O)e(CF2CF2O)f(CFXO)g-(式中、Xは上記のとおりであり;e、f、gは数平均分子量が上記の範囲内あるような整数であり;e/(f+g)は0.1〜10の間であり;f/gは2〜10の間である);(D) -(CF2(CF2)zO)s-(式中、sは上記の数平均分子量を与えるような整数であり、zは上記の意味を有する);(E) -(CR5R6CF2CF2O)p'-R'f-O-(CR5R6CF2CF2O)q'-(式中、R5およびR6は互いに同一または異なって、H、Clまたは1〜4のC原子のパーフルオロアルキルから選択され;R'fは上記のとおりであり;p'およびq'は、上記の範囲内の数平均分子量を有するような整数である);(F) -(CF(CF3)CF2O)j''-R'f-O-(CF(CF3)CF2O)j''-(式中、j''は上記の数平均分子量を与えるような整数であり、R'fは上記のとおりである)から選択される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物:Rfが(A)および(B)、好ましくは(B)から選択される、請求項5に記載の化合物。− パーフルオロポリエーテル構造を有するオイルまたはグリース;− 全組成物中に、式(I)の化合物を0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%含む潤滑組成物。オイルとして、またはグリースを製造するための成分として使用され得るパーフルオロポリエーテルが、次のクラス:(1)E-O-[CF(CF3)CF2O]m'(CFXO)n'-E'(式中、Xは上記のとおりであり;EおよびE'は互いに同一または異なって、-CF3、-C2F5または-C3F7から選択され;m'およびn'は、m'/n'比が20〜1,000の間にあるような整数であり、20℃での該オイルの粘度が後記の範囲内にあり;上記の繰り返し単位が鎖に沿って統計的に分布している);(2) C3H7O-[CF(CF3)CF2O]o'-D(式中、Dは-C2F5または-C3F7に等しく;o'は、物質の粘度が後記の範囲内にあるような整数である);(3) [C3F7O-[CF(CF3)CF2O]p'-CF(CF3)-]2(式中、p'は、物質の粘度が後記の範囲内にあるような整数である);(4) E-O-[CF(CF3)CF2O]q'(C2F4O)r'(CFX)s'-E'(式中、Xは上記のとおりであり;EおよびE'は互いに同一または異なって、上記のとおりであり;q'、r'およびs'は、物質の粘度が後記の範囲内にあるような、0を含む整数である);(5) E-O-(C2F4O)t'(CF2O)u'-E'(式中、EおよびE'は互いに同一または異なって、上記のとおりであり;t'およびu'は、t'/u'比が0.1〜5の間にあり、物質の粘度が後記の範囲内にあるような整数である);(6) E-O-(CF2CF2CF2O)v'-E'(式中、EおよびE'は互いに同一または異なって、上記のとおりであり;v'は、その粘度が後記の範囲内にあるような数である);(7) D-O-(CF2CF2O)z'-D'(式中、DおよびD'は互いに同一または異なって、上記のとおりであり;z'は、物質の粘度が後記の範囲内にあるような整数である)から選択され、20℃で測定された動粘度が10〜10,000 cStの間、好ましくは300〜2,000 cStにある、請求項7に記載の組成物。パーフルオロポリエーテルオイルがクラス(1)、(4)および(5)から選択される、請求項8に記載の組成物。耐磨耗添加剤を含む、請求項7〜9のいずれか1つに記載の組成物。フッ素化されたグリースが1以上のパーフルオロポリエーテルオイルおよび増粘添加剤、好ましくはPTFEを含む、請求項7〜10のいずれか1つに記載の組成物。界面活性剤、好ましくはパーフルオロポリエーテルもしくはパーフルオロアルキル構造を有する非イオン系界面活性剤から選択される分散剤、タルクまたは無機充填剤を含む、請求項11に記載の組成物。次の工程:a)式: H-Y-CH2-CFW1-O-Rf-CFW2-CH2-Y-H (II)(式中、Y、W1、W2、Rfは上記のとおりである)の化合物を、式:(式中、Q = Cl、Br、ヨウ素、好ましくはCl;R1、R2、R3は上記のとおりである)のヘテロ環式化合物と、塩基の存在下、30℃〜120℃、好ましくは60℃〜100℃の範囲の温度で、任意に反応条件下で不活性な有機溶媒の存在下に反応させること;b) 水性の酸で有機相を洗浄し、相を分離し、溶媒を除去し、生成する式(I) (ここで、AおよびA1はHである化合物(化合物IA))の反応生成物を回収すること;c) b)で単離された化合物を、置換されたモノ−ハロゲン芳香族化合物(ここで、ハロゲンはCl、Br、ヨウ素の意味を有する)と、塩基の存在下、任意に反応条件下で不活性な有機溶媒を使用し、採用される反応温度はa)で示されたものと同じで、反応させることにより、1または2の芳香族末端基を任意に導入すること;d) c)で得られた反応混合物を水性の酸で洗浄し、相を分離し、任意に有機溶媒を除去し、式(I)の生成物を回収することを含む、請求項1〜6のいずれか1つに記載の式(I)の化合物を得る方法。工程a)において、化合物(II)/化合物(III)のモル比が1〜2の範囲で、化合物(II)/塩基の当量比が1に等しい、請求項13に記載の方法。工程a)において、使用される塩基が、無機塩基、好ましくはKOHもしくはNaOH、または有機塩基、好ましくはカリウムterブチレートおよび脂肪族アミン、好ましくはトリエチルアミンである、請求項13または14に記載の方法。任意の有機溶媒が、水素化溶媒、好ましくはterブチルアルコール、アセトニトリル、ジグライム、DMF、トルエン、キシレン;20℃〜150℃、好ましくは60℃〜100℃の間の沸点を有するフッ素化または水素フッ素化溶媒から選択される、請求項13〜15のいずれか1つに記載の方法。工程c)において、化合物(IA)/置換されたモノ−ハロゲン芳香族化合物の当量比が2〜1の範囲、好ましくは1である、請求項13〜16のいずれか1つに記載の方法。パーフルオロポリエーテル−ベースの潤滑流体の請求項7〜12のいずれか1つの組成物において、安定化添加剤としての請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物の使用。潤滑オイルとしての、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物の使用。 【課題】フッ素化された潤滑オイルおよびグリース用の熱酸化に対する安定剤として使用される化合物を提供する。【解決手段】ポリマー主鎖中に芳香族置換基を有するピリジン環および(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖構造を有し、数平均分子量が1,800〜50,000の範囲にある化合物を含む、フッ素化された潤滑オイルおよびグリース組成物。【選択図】なし