生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_トリアジンジチオール誘導体の製造方法
出願番号:2005324827
年次:2007
IPC分類:C07D 251/46


特許情報キャッシュ

森 邦夫 JP 2007131557 公開特許公報(A) 20070531 2005324827 20051109 トリアジンジチオール誘導体の製造方法 三協化成株式会社 000175618 森 邦夫 C07D 251/46 20060101AFI20070427BHJP JPC07D251/46 B 3 OL 8本発明は、トリアジンジチオール誘導体の新しい製造方法に関する。従来、トリアジンジチオール誘導体は、溶剤中で受酸剤の存在下、−5〜5℃の温度範囲で塩化シアヌルとアミン類の反応から6−置換−1,3,5−トリアジン−2,4−ジクロリドを合成し、これと水硫化ソーダーとの反応により合成していた。 J.T.Thurston and F.C.Schaefer; J.Amer.Chem.Soc., 46, 2981(1951) =非特許文献1、中村儀郎;日本化学会誌、46、779(1973)=非特許文献2 しかしながら、これまでのトリアジンジチオールの合成法は原料の塩化シアヌル及びジクロリドの皮膚毒性や合成条件に問題があった。例えば、原料と皮膚毒性のため従業員は重装備して作業に当たる必要性があり、工場の環境整備が重厚になっていた。また原料が空気中の水分で容易に加水分解するので、原料の保存管理に細心の注意が必要であった。さらに反応時の加水分解の危険性と温度上昇の制御に課題があるため、作業員の熟練訓練は不可欠であった。加えて、ジクロリドのチオール化において副反応生成物である悪臭不純物が生成するため廃棄物処理の点でも問題があった。特に、材料表面に働くナノテクノロジー材料としての用途、例えば、森邦夫;日本化学会誌、281(2000)=非特許文献3が開発されてくると、少量多種のトリアジンジチオールを簡単かつ高収率で得る合成方法の開発が重要になってきている。最近、トリアジントリチオールが大量に生産されるようになると、トリアジンジチオールは塩化シアヌルを原料とするのではなく、トリアジントリチオールを原料として一段で合成できないかという課題が発生してきた。その結果、偶然にもトリアジントリチオール類と特定のアミン類とを有機溶媒中で加熱反応させることにより、トリアジンジチオールを高収率で合成する方法を見出し、本発明を完成するに至った。J.T.Thurston and F.C.Schaefer; J.Amer.Chem.Soc., 46, 2981(1951)中村儀郎;日本化学会誌、46、779(1973)森邦夫;日本化学会誌、281(2000)本発明が解決しようとする課題(目的)は、以上のように、塩化シアヌルを原料とするのではなく、トリアジントリチオールを原料としてトリアジンジチオールを工業的に有利に製造することにある。本発明は、一般式〔1〕(式中Mは、H, Li, Na, K, 及びCsを表わす)で示されるトリアジントリチオール類と、一般式〔2〕(式中R1、R2は、それぞれ独立に水素または更に置換基を含んでもよい炭素数1〜30の炭化水素残基であり、かつR1とR2は同時に水素原子であることはなく、また、R1とR2 とは他の端でつながって環を形成してもよい)で示される第一級又は第二級アミン類とを、溶媒中で加熱反応させることを特徴とする一般式〔3〕(式中M、R1、R2は、前記の意味を表わす)で示されるトリアジンジチオール誘導体の製造方法(項1)である。また、本発明は、反応溶媒が、メチルセルソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、アセトニトリル、プロピオニトリル、メチルピロリドン、デカリンから選ばれる項1に記載のトリアジンジチオール誘導体の製造方法である。更にまた、本発明は、反応温度が、40℃〜240℃であることを特徴とする項1乃至2の何れかに記載のトリアジンジチオール誘導体の製造方法である。本発明によれば、トリアジントリチオールからトリアジンジチオールを工業的有利に製造することができる。特に少量多種品のトリアジンジチオール誘導体を一段で合成できるため、表面処理などの種々の用途に有効である。以下、本発明の製造方法についてさらに詳しく説明する。本発明に用いられる一般式〔1〕(式中Mは、H、 Li、Na、K 及びCsを表わす)で示されるトリアジントリチオール類としては、具体的にはトリアジントリチオール、トリアジントリチオールモノナトリウム、トリアジントリチオールモノカリウム、トリアジントリチオールモノリチウム、トリアジントリチオールモノセシウムなどが挙げられる。また、本発明の他の原料成分として用いられる一般式〔2〕(式中R1、R2は、それぞれ独立に水素または更に置換基を含んでもよい炭素数1〜30の炭化水素残基であり、かつR1とR2は同時に水素原子であることはなく、また、R1とR2 とは他の端でつながって環を形成してもよい)で示される第一級又は第二級アミン類としては、具体的には、以下のような置換基を有する第一級又は第二級アミン化合物が挙げられる。上記式[2]において、R1 およびR2を構成する炭化水素残基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ノニル、オクチル、ドデシル、エチルヘキシルなどのアルキル基、シクロヘキシル、シクロペンチルなどのシクロアルキル基、ベンジル、フェネチルなどのアラルキル基、フェニル、ナフチル、メチルフェニル、エチルフェニル、n−ブチルフェニル、t−ブチルフェニルなどのアリール基または置換アリール基、アリル、プロペニル、オレイルなどのアルケニル基などが例示される。また、R2 とR3 とが他の端でつながって他の環を形成しているものとしては、モルホリノ、ピペリジル、ピペコリルなどが例示される。本発明の製造方法に用いられる溶媒としては、具体的には水、メタノール、エタノール、イソパノールなどのアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのカルビトール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチルなどのエステル類、ジブチルエーテル、アニソールなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、テトラリン、デカリンなどの脂肪族炭化水素類、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの第1級、2級及び3級アミン類、ホルムアミド、ジメチルフォルムアミド、ヘキサメチル燐酸アミド、メチルピロリドンなどの酸アミド類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類など、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。トリアジントリチオール類はこれらの溶媒に対して、0.1〜500g/Lの濃度範囲、望ましくは1〜100g/Lの濃度範囲である。1g/L以下の濃度では効率が悪すぎる。また、100g/L以上の濃度では溶液または分散媒体の粘度が高くなりすぎて攪拌が困難となり、均一な反応が起こらない場合がある。本発明の他の原料成分として用いられる一般式〔2〕で示される第一級又は第二級アミン類は、基本的にはトリアジントリチオール類1モルに対して略当モルを添加して反応を行うが、実際には1.00〜1.02モルの範囲が好ましく選択される。1.00モル以下では未反応のトリアジントリチオール類が残る場合がある。また、1.02モル以上ではアミン類がトリアジンジチオール誘導体に混入するので、エチルエーテルや炭化水素などトリアジントリジチオール誘導体の非溶媒で洗浄する必要がある。さらに、1.02モル以上では6,4-ジ置換-1,3,5-トリアジン-2-チオールが生成する場合があり、これを分離する必要がある。溶媒の選択はトリアジンジチオール誘導体を製品として効率よく取り出すために重要である。トリアジントリチオール類は溶媒に必ずしも溶解していなくても良いが、第一級又は第二級アミン類は溶媒に溶けることが必須である。また、生成したトリアジンジチオール誘導体が必ずしも溶媒に溶解する必要はないが、溶解したほうが原料と生成物の分離が容易になる。本発明に用いられる特に好ましい溶媒としては、メチルセルソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、アセトニトリル、プロピオニトリル、メチルピロリドン、デカリンなどが挙げられる。反応温度は使用する溶媒の沸点と関係するので一義的に設定できないが、通常20〜250℃の温度範囲が可能であるが、望ましくは40〜240℃の範囲、特に好ましくは60℃〜200℃である。40℃以下の温度では反応時間が長くなり、生産性が落ちる。また、240℃以上の温度では反応速度が高くなり生産性は良いが、トリアジンジチオール誘導体のみならずトリアジンチオール類(例えば二置換アミノ体など)が副生するので、目的物を取り出す精製過程が重要となるので注意を要する。反応終了後、溶媒を留去するとトリアジンジチオール誘導体が白色結晶として得られるが、これを溶剤抽出や洗浄により、または蒸留や結晶化により精製することが可能である。また、トリアジンジチオール誘導体とトリアジンチオール類の分別はアルカリ水溶液中での溶解性の差を利用することによって可能となる。以下、本発明の製造方法を参考例及び実施例によって更に詳細に説明する。参考例1トリアジントリチオール17.72g(0.1 mol)とトリブチルアミン18.90(0.102 mol)をメチルセルソルブ100mL に加える。100℃60分間加熱攪拌した。反応終了後、溶剤は減圧下で留去して回収し、得られた固体はエチルエーテルにより洗浄して、微量の未反応アミン類を除去すると黄色固体をえた。これを、エタノールにより再結晶して精製した。融点、及び分解点は300℃以上であった。C: 19.9%(20.31)、N:23.5%(23.71)、S:53.9%(54.27).参考例1の結果は原料のトリアジントリチオールが回収されたことを示し、トリアジントリチオールと三級アミンとは反応しないことを示す。実施例1〜12表1に示される配合で、トリアジントリチオール17.72g(0.1 mol)と第1級及び第2級アミン類0.102 molを溶剤100mL に加える。ここで、トリアジントリチオールは溶剤に分散し、アミン類は溶媒に溶解した状況にある。これらの混合物を表1の所定の条件で加熱攪拌して反応を進行させる。反応終了後、溶媒は減圧下で留去して回収し、ガス成分は20%NaOH水溶液に吸収させて発生した硫化水素を除く。得られた固体はエチルエーテルにより洗浄して、微量の未反応アミン類を除去すると粗製トリアジンジチオールが96%以上の収率で得られる。実施例1〜7までの粗製トリアジンジチオールはトルエンで再結晶して精製する。また、実施例8〜12の粗製トリアジンジチオールは等モルのNaOHをアルコールに加熱溶解して再結晶後、水に溶解し、水溶液を1%−塩酸水溶液で中和して精製する。表1には再結晶後のトリアジンジチオールの融点および元素分析値を示す。融点は三田理研工業社製融点測定器、炭素と窒素分析値は柳本CHNコーダー(Mt-5)を、また硫黄分析はパーキンエルマ社製CHNコーダー(2400)を使用した。また、SH分析はホルハルト法(Ag法)によってモル数を測定し、SH基含量に換算した値である。トリアジンジチオールによっては融点に幅があるが、これは不純物を含むためではなく、チオール基とアミノ基の塩形成に起因する化合物特有の現象である。従って、元素分析値は非常に良く一致しており、単一物質であることを示している。これらの反応の結果は、トリアジントリチオールのチオール基と第一級(実施例8〜12)及び第二級(実施例1〜7)アミノ基が置換反応した結果、トリアジンジチオールが高収率で簡単に合成できたことを示している。実施例13トリアジントリチオールモノナトリウム20.02g(0.1 mol)とジブチルアミン13.18g(0.102 mol)をメチルカルビトール100mL に加える。これらの混合物を100℃で60分間加熱攪拌して反応を進行させる。反応終了後、溶剤は減圧下で留去して回収し、ガス成分は20%NaOH水溶液に吸収させて発生した硫化水素を除く。得られた混合物はエチルエーテルにより洗浄して、未反応アミン類を除去すると粗製6−ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールモノナトリウムが98%以上の収率で得られる。粗製6−ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールモノナトリウムはイソプロパノ−ルに溶解して再結晶後、エチルエーテルで洗浄すると6−ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールモノナトリウムが得られる。6−ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールモノナトリウムは融点を持たないが、水によく溶解する。6−ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールモノナトリウムを水に溶解し、水溶液を1%−塩酸水溶液で中和すると、6−ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールが得られる。mp:141.2〜142.2℃、C:48.3%(48.46)、N:20.4%(20.57)、S:23.3%(23.54).以上の結果は、トリアジンジチオールのアルカリ金属塩を簡便に一段で合成するのに有効であることを示す。本発明によれば、トリアジントリチオールからトリアジンジチオールを工業的有利に製造することができ、特に少量多種品のトリアジンジチオール誘導体を一段で容易に合成することができるので、表面処理などの種々の用途に効果的に使用することができる。一般式〔1〕(式中Mは、H、 Li、Na、K 又はCsを表わす)で示されるトリアジントリチオール類と、一般式〔2〕(式中R1、R2は、それぞれ独立に水素または更に置換基を含んでもよい炭素数1〜30の炭化水素残基であり、かつR1とR2は同時に水素原子であることはなく、また、R1とR2 とは他の端でつながって環を形成してもよい)で示される第一級又は第二級アミン類とを、溶媒中で加熱反応させることを特徴とする一般式〔3〕(式中M、R1、R2は、前記の意味を表わす)で示されるトリアジンジチオール誘導体の製造方法。反応溶媒が、メチルセルソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、アセトニトリル、プロピオニトリル、メチルピロリドン、デカリンから選ばれる請求項1に記載のトリアジンジチオール誘導体の製造方法。反応温度が、40℃〜240℃であることを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載のトリアジンジチオール誘導体の製造方法。 【課題】トリアジンジチオールの工業的に有利な製造方法を提供すること。【解決手段】トリアジントリチオール類〔1〕と、第一級又は第二級アミン類〔2〕とを、溶媒中で加熱反応させることを特徴とする一般式〔3〕【化1】(式中Mは、H、 Li、Na、K 又はCsを表わし、R1、R2は、それぞれ独立に水素または更に置換基を含んでもよい炭素数1〜30の炭化水素残基であり、かつR1とR2は同時に水素原子であることはなく、また、R1とR2とは他の端でつながって環を形成してもよい)で示されるトリアジンジチオール誘導体の製造方法。【選択図】なし


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