タイトル: | 公開特許公報(A)_蒸留酒の製造方法および蒸留酒 |
出願番号: | 2005317907 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C12G 3/08 |
細井 健二 吾郷 昇志 洞口 健一 JP 2007124906 公開特許公報(A) 20070524 2005317907 20051101 蒸留酒の製造方法および蒸留酒 アサヒビール株式会社 000000055 岸田 正行 100067541 小花 弘路 100108361 水野 勝文 100087398 高野 弘晋 100103506 細井 健二 吾郷 昇志 洞口 健一 C12G 3/08 20060101AFI20070420BHJP JPC12G3/08 5 OL 11 本発明は、原料の持つ難揮発性成分を効率的に回収した、原料本来の香気を有する蒸留酒の製造方法およびその製造方法によって得られる蒸留酒に関する。 焼酎、ウィスキー、ブランデー、スピリッツ類などの蒸留酒は、通常アルコールを含有する液体(発酵モロミや浸漬液などの液状物)を蒸留することによって製造される。以下本発明では、液状物を蒸留する方法を「液体蒸留法」と称する。液体蒸留法はエステル類、高級アルコール類、テルペン類などのような比較的低沸点の成分の回収には適しているが、バニリンや5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)、ラクトン類などのような難揮発性の成分の回収には適していない。 例えばバニリンはバニラの甘い香りの主成分として知られているが、バニラビーンズをアルコールに浸漬し、液体蒸留法によって蒸留しバニラ蒸留酒を作ろうとした場合、バニリンの大部分は蒸留残渣に残ったままで、バニラビーンズ本来の香りとは大きく異なる蒸留酒しか得ることができない。すなわち原料の持つ難揮発性成分を効率よく回収し、原料本来の好ましい香気を有する蒸留酒を製造することは困難であった。 本発明が解決しようとする課題は、従来の液体蒸留法では回収が困難であった難揮発性成分を効率的に回収することができ、原料本来の香気を有する蒸留酒の製造方法を提供することである。 上記の課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは固体原料を少量のアルコール存在下で水蒸気蒸留を行うことによって、難揮発性成分を効率的に回収できる蒸留酒の製造方法を完成した。すなわち、本発明は下記の通りである。(1) 穀類、芋類、果実、ハーブ類、木材、固形状乳製品若しくは糖類原料作物またはそれらの加工品からなる固体原料を、少量のアルコール存在下で水蒸気蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法。(2) 前記アルコールが原料用アルコール、蒸留酒、醸造酒及び蒸留酒若しくは醸造酒の発酵モロミからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)に記載の蒸留酒の製造方法。(3) 穀類、芋類、果実、ハーブ類、木材、固形状乳製品若しくは糖類原料作物またはそれらの加工品からなる固体原料をアルコールまたは発酵モロミに短期間接触させた後、固液分離し、固体部分を水蒸気蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法。(4) 得られる蒸留酒のアルコール度数が0.1〜20%であることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の蒸留酒の製造方法。(5) (1)ないし(4)のいずれか1項に記載の方法によって製造されることを特徴とする蒸留酒。 本発明方法により、固体原料から難揮発性の香り成分を効率的に蒸留酒に回収することが可能になり、固体原料本来の香気を有する蒸留酒を製造することができる。 本発明の蒸留酒の製造方法は、穀類や芋類、果実、木材またはハーブ類などの固体原料を、少量のアルコール存在下で水蒸気蒸留することを特徴とするものである。 以下本発明方法において、固体原料を用いて水蒸気蒸留する方法を、「固体蒸留」と称する。 本発明方法における固体原料とは、例えば、麦、米、トウモロコシ、そば、栗、小麦、麦芽のような発芽穀類などの穀類、サツマイモ、ジャガイモなどの芋類、梅、桃、デーツ、バナナ、マンゴー、パイナップル、リンゴなどの果実、バニラビーンズ、シナモン、カモミール、シソなどのハーブ類、オークチップ等の木材、バター、チーズ、固形状のヨーグルトなどの固形状乳製品、さとうきび、バガスなど糖類原料作物である。また、固体原料としては、これらをロースト処理、凍結乾燥処理、カラメル化などした加工品であってもよい。 本発明方法は、上述の固体原料を少量のアルコールの存在下で水蒸気蒸留することを特徴とする。 本発明方法のアルコールとは、原料用アルコール、焼酎、ウィスキー、ブランデー、スピリッツ類などの蒸留酒、清酒、ワイン、ビールなどの醸造酒、蒸留酒や醸造酒の発酵モロミを挙げることができる。 本発明における少量のアルコールとは、得られる蒸留酒のアルコール度数が0.1〜20%であると定義する。蒸留液のアルコール度数がこの範囲を超える場合は、本発明の効果、すなわち固体原料に含まれる難揮発性成分を効率良く回収する効果が充分得られない。蒸留機に張り込むアルコールの量、蒸留酒の回収量は使用する原料やアルコールの種類によって異なるが、最終的に得られる蒸留酒のアルコール度数が0.1〜20%となるように調整する。 本発明に用いる蒸留機としては、蒸留機内の中空部分(蒸気の通り道)に固体原料を搭載できる網棚、若しくは籠が設置されているものを用いる。また水蒸気吹込みが可能であるものを用いる。 本発明では固体原料をそのまま用いることができるが、アルコールまたは発酵モロミに短期間接触させた後、固液分離し、固体部分を固体蒸留することも可能である。アルコールまたは発酵モロミとの接触期間は、固体原料の香味が液体部分に完全に移行してしまわないように、数時間〜2日間程度とすることが好ましい。固液分離の方法としては遠心分離やろ過などの一般的な方法の他に、固体原料を予め袋に入れておき、液体部分から引き上げるだけでも良い。また焼酎モロミなどの発酵モロミと接触させる場合、固体原料の一部が液化糖化され発酵される場合があるが、固液分離により固体部分が回収できる程度であれば問題はない。 本発明方法によって、固体原料から回収される難揮発性成分としては、例えばバニリン、ラクトン類、5−HMF、β−フェネチルアルコールなどを挙げることができる。 従来技術で述べたたように、多くの蒸留酒は液体蒸留によって製造される。一方、一部の蒸留酒には固体蒸留によって製造されるものも知られている。カストリ焼酎や中国の白酒、グラッパ、一部のジンがこれにあたる。これらの製造方法と本発明の相違点を以下に示す。(1)カストリ焼酎、白酒、グラッパとの違い これらの蒸留酒は発酵物あるいは発酵粕を固体蒸留するため、得られる蒸留酒は発酵に由来する香味が際立ち、雑で不快な香味も強く、固体原料本来の好ましい香味があまり感じられない。一方本発明では固体原料は発酵させない、あるいは発酵させても上述のようにごく短期間(長くても2日)とし、その後固液分離して固体部分を固体蒸留する。そうすることによって発酵由来の香味は弱く、固体原料本来の好ましい香味が際立った蒸留酒の製造が可能である。(2)ジンとの違い 通常ジンはハーブ類を浸漬したアルコール含有液を液体蒸留することによって製造されるが、ボンベイサファイヤ(商品名、ボンベイ・スピリッツ社)などの一部のジンは固体蒸留によって製造される。この場合の製造方法は、アルコールを蒸留機底に張り込み、ハーブ類を蒸留機内の中空部分に設置して蒸留することによって蒸留酒を得る。蒸留器に張り込むアルコールは大量であり、回収する蒸留酒のアルコール度数は通常40〜70%であることから、この場合の固体蒸留はアルコール蒸気による固体蒸留であるといえる。アルコールは水に比べて沸点が低いため、この方法では固体原料の持つ難揮発性成分の回収は依然として困難である。一方本発明は少量のアルコールを蒸留機に張り込んで固体蒸留し、アルコール度数の低い蒸留酒を得る。少量のアルコールは蒸留の初期に完全に蒸留され、その後、水蒸気による固体蒸留に切り替わる。そうすることによって固体原料の持つ難揮発性成分を蒸留酒中に効率良く回収することができる。固体蒸留と液体蒸留の比較 固体蒸留と液体蒸留による成分回収量の差、及び官能的な差を比較することを目的として以下の実験を行った。1−1.オークチップ 1cm角程度に破砕したオークチップ200gを固体蒸留機に入れ固体蒸留を行った。固体蒸留は水蒸気吹込みが可能な蒸留機を使用し、中空部分に固体原料を載せることが出来る網棚を設置した構造のものを用いた。また原料用アルコール(アルコール度数;95.6%)を15ml蒸留機底に張り込んだ。水蒸気を蒸留機の底部から吹き込んで蒸留を行い、アルコール度数1.5%の蒸留酒1Lを得た。一方対照として、同量のオークチップをアルコール度数0.3%のアルコール水5Lに浸漬し、これを同様の蒸留機を用いて液体常圧蒸留を行い、アルコール度数1.5%の蒸留酒1Lを得た。 上記のようにして得られた2つの蒸留酒について、HPLCを用いて成分分析を行った。HPLCはGLサイエンス社製のものを用い、カラムオーブン;CO630、送液ポンプ;PU712、カラム;Inertsil C8-3、検出器;ED623を用いた。移動相は、0.05%HClO4含有メタノールと0.05%HClO4含有ミリQ水を用い、直線的にグラジエントをかけて流速1ml/分で送液した。混合比はメタノール:水=15:85で3分間、その後メタノール比率を1%/2分の速度で30:70まで直線的に増加し、30:70で15分間流した。また専門パネリスト7名により、表1に示す5点法で官能評価を行った。官能評価では点数が高いほど良い評価を受けたことになる。成分の分析結果と官能評価の結果を表2に示す。 表2に示すように、固体蒸留によって得られた蒸留酒は液体蒸留によって得られた蒸留酒に比べ難揮発性の成分が多く含まれ、また官能的にも好ましい評価が得られた。1−2.バニラビーンズ バニラビーンズ100gを用いて、上記1−1と同様に固体蒸留を行い、アルコール度数1.5%の蒸留酒1Lを得た。対照として同量のバニラビーンズを用い、上記1−1と同様に液体蒸留を行い、アルコール度数1.5%の蒸留酒1Lを得た。これらの蒸留酒を1−1と同様に成分分析、及び官能評価を行った。結果を表3に示す。 表3に示すように、固体蒸留によって得られた蒸留酒は液体蒸留によって得られた蒸留酒に比べて、バニリンなどの難揮発性香り成分が多く含まれ、また官能的にも好ましい評価が得られた。1−3.ローストさつま芋 さつま芋を2〜3cm角にカットし、180℃で20分間焼き上げたローストさつま芋を用いて上記と同様に固体蒸留を行った。ローストさつま芋は500g使用し、原料用アルコール(アルコール度数;95.6%)160mlを張り込んで固体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。対照として、同量のローストさつま芋を、20Lのアルコール水(アルコール度数;0.8%)に浸漬し、これを液体常圧蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。 得られた蒸留酒を1−1と同様に官能評価を行った。表4に示すように、固体蒸留によって得られた蒸留酒は液体蒸留によって得られた蒸留酒に比べて、芳ばしい焼芋の香味が強いという評価が得られた。1−4.カラメル麦芽 カラメル麦芽500gを用いて、1−3と同様に固体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。対照として、同量のカラメル麦芽を用いて、1−3と同様に液体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。得られた蒸留酒を1−1と同様に官能評価を行った。表5に示すように、固体蒸留した蒸留酒は液体蒸留した蒸留酒と比較して、カラメル様の甘い香味が強いという評価が得られた。1−5.ローストさとうきび さとうきびを200℃、30分間オーブンでローストして得られたローストさとうきび500gを用いて、1−3と同様に固体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。対照として、同量のローストさとうきびを用いて、1−3と同様に液体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。得られた蒸留酒を1−1と同様に官能評価を行った。表6に示すように、固体蒸留した蒸留酒は液体蒸留した蒸留酒と比較して、甘く芳ばしいカラメル様の香味が強いという評価が得られた。1−6.ローストバガス バガス(さとうきびの絞り粕)を200℃、30分間オーブンでローストして得られたローストバガス500gを用いて、1−3と同様に固体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。対照として、同量のローストバガスを用いて、1−3と同様に液体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。得られた蒸留酒を1−1と同様に官能評価を行った。表7に示すように、固体蒸留した蒸留酒は液体蒸留した蒸留酒と比較して、甘く芳ばしいカラメル様の香味が強いという評価が得られた。1−7.ローストトウモロコシ トウモロコシを200℃、30分間オーブンでローストして得られたローストトウモロコシ500gを用いて、1−3と同様に固体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。対照として、同量のローストトウモロコシを用いて、1−3と同様に液体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.5%)を得た。得られた蒸留酒を1−1と同様に官能評価を行った。表8に示すように、固体蒸留した蒸留酒は液体蒸留した蒸留酒と比較して、甘く芳ばしいローストコーン様の香味が強いという評価が得られた。1−8.固形状ヨーグルト 10%脱脂粉乳液にヨーグルト用乳酸菌スターター(YO−MIX601、ダニスコ社)を0.1g/L添加し、42℃で10時間静置発酵を行い、固形状ヨーグルトを製造した。このヨーグルト1.0kgをガーゼ状の布で包み、蒸留器内の網棚に設置した。蒸留器に16mlの原料用アルコール(アルコール度数;95.6%)を張り込み、水蒸気を吹き込んで固体蒸留を行い、1000mlの蒸留液(アルコール度数;1.5%)を得た。対照として、同量のヨーグルトに5000mlのアルコール水(アルコール度数;0.3%)を加えて混合し、これを同様の蒸留機を用いて液体常圧蒸留を行い、1000mlの蒸留液(アルコール度数;1.5%)を得た。得られた蒸留液を1−1と同様に官能評価を行った。表9に示すように、固体蒸留した蒸留液は液体蒸留した蒸留液と比較して、しっかりとしたヨーグルト香が強いという評価が得られた。原料用アルコールの代わりに焼酎モロミを用いた場合 常法に従って製造した米麹320gに水560mlと、YPD培地で前培養した焼酎用酵母0.1mlを加え、30℃で3日間発酵を行った。発酵終了後のモロミはアルコール度数15.6%となった。このモロミ800mlを実施例1で用いた蒸留機内に張り込んだ。蒸留機の網棚の上には実施例1−3と同様のローストさつま芋500gを搭載した。この状態で水蒸気を吹き込んで固体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.2%)を得た。対照として、上記米麹の発酵モロミ800mlに、ローストさつま芋500gと水20Lを加え、これを同じ蒸留機で液体常圧蒸留し、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.2%)を得た。 得られた蒸留酒を実施例1と同様に専門パネリスト7名による官能評価を行った。結果を表10に示す。表10に示すように、固体蒸留から得られた蒸留酒は、液体蒸留から得られた蒸留酒に比べ、焼芋様の甘く、香ばしい香味が強いという好ましい評価が得られた。焼酎モロミに短期間接触させ、その後固液分離し固体蒸留した場合 常法に従って製造した米麹320gに水560mlと、YPD培地で前培養した焼酎用酵母0.1mlを加え、30℃で3日間発酵を行った。3日後のモロミのアルコール度数は15.6%となった。このモロミ800mlに実施例1−3と同様のローストさつま芋500gと水500mlを加え、一晩発酵を続けた。発酵終了後のモロミをザルで固液分離し、固体部分を蒸留機内の網棚に搭載し、液体部分を蒸留液底に張り込んだ。この状態で水蒸気を吹き込み、固体蒸留を行い、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.2%)を得た。対照として、上記米麹の発酵モロミ800mlに、ローストさつま芋500gと水20Lを加え、一晩発酵を続け、翌日これを固液分離を行わずにそのまま液体常圧蒸留し、10Lの蒸留酒(アルコール度数;1.2%)を得た。 得られた蒸留酒を実施例1と同様に専門パネリスト7名による官能評価を行った。結果を表11に示す。表11に示すように、固体蒸留から得られた蒸留酒は、液体蒸留から得られた蒸留酒に比べ、焼芋様の甘く、香ばしい香味が強いという好ましい評価が得られた。高濃度アルコール存在下での固体蒸留との比較 蒸留液のアルコール度数の違い、すなわち蒸留時のアルコール使用量の違いによる成分回収量の差、及び官能的な差を調べることを目的とし、以下の実験を行った。 固体原料として、実施例1で用いたローストさつま芋を用いた。蒸留機の網棚に400gのローストさつま芋を搭載し、蒸留機底部に原料用アルコールを25ml張り込んだものをNo.1、250ml張り込んだものをNo.2、750ml張り込んだものをNo.3とした。水蒸気を吹込んでそれぞれ固体蒸留を行い、いずれの試験区においても蒸留酒1200mlを回収した。得られた蒸留酒のアルコール度数はそれぞれ、No.1;1.9%、No.2;18.1%、No.3;60.2%となった。これらの蒸留酒をGCMSを用いて成分分析を行った。分析条件は、まずサンプルに内部標準(3−Octanol)を加え、蒸留水で10倍希釈する。これをOASISカラム(Waters社製)を用いて固相抽出を行い、抽出液を窒素ガスを吹き付け濃縮し、約25倍の濃縮液を得る。この抽出液をGCMS(アジレント社製6890)による成分分析に供した。分析条件は、カラム;BP21(SGE社製)、注入モード;パルスドスプリット(スプリット比20:1)、オーブン温度;40℃、1分→8℃/minで100℃まで昇温→4℃/minで180℃まで昇温→2℃/minで220℃まで昇温→220℃、30分、で行った。これとは別に、内部標準を加えたスタンダード混合液(5−MF;5ppm、5−HMF;5ppm)を作成し、同様に抽出、濃縮を行ったものを作成し、スタンダードとして分析を行った。定量はピーク面積から内部標準法によって算出した。結果を表12に示す。 表12の結果から、回収する蒸留酒のアルコール度数が低いほど、すなわち使用するアルコール量が少ないほど難揮発性の成分が効率よく回収できることが分かる。 ここで得られた蒸留酒を、表13に記載の通り配合し、官能評価を行った。官能評価は専門パネリスト7名により、5点法で行った。結果を表13に示す。 表13の結果から、回収する蒸留酒のアルコール度数が低いほど、すなわち使用するアルコール量が少ない方が、甘さや焼芋らしさが強く、好ましい香味であることが分かった。 本発明は、固体原料から難揮発性の香り成分を回収して、固体原料本来の香気を有する蒸留酒を製造することができるので極めて有用である。穀類、芋類、果実、ハーブ類、木材、固形状乳製品若しくは糖類原料作物またはそれらの加工品からなる固体原料を、少量のアルコール存在下で水蒸気蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法。前記アルコールが原料用アルコール、蒸留酒、醸造酒及び蒸留酒若しくは醸造酒の発酵モロミからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の蒸留酒の製造方法。穀類、芋類、果実、ハーブ類、木材、固形状乳製品若しくは糖類原料作物またはそれらの加工品からなる固体原料をアルコールまたは発酵モロミに短期間接触させた後、固液分離し、固体部分を水蒸気蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法。得られる蒸留酒のアルコール度数が0.1〜20%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の蒸留酒の製造方法。請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法によって製造されることを特徴とする蒸留酒。 【課題】従来の液体蒸留法では回収が困難であった難揮発性成分を効率的に回収することができる蒸留酒の製造方法を提供する。【解決手段】穀類、芋類、果実、ハーブ類、木材、固形状乳製品若しくは糖類原料作物またはそれらの加工品からなる固体原料を、少量のアルコール存在下で水蒸気蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方法。【選択図】なし