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タイトル:特許公報(B2)_電子写真用トナーの評価方法および電子写真用トナー
出願番号:2005307989
年次:2010
IPC分類:G03G 9/087,G03G 9/08,G01N 13/00


特許情報キャッシュ

池谷 拓速 JP 4459888 特許公報(B2) 20100219 2005307989 20051024 電子写真用トナーの評価方法および電子写真用トナー 株式会社巴川製紙所 000153591 池谷 拓速 20100428 G03G 9/087 20060101AFI20100408BHJP G03G 9/08 20060101ALI20100408BHJP G01N 13/00 20060101ALI20100408BHJP JPG03G9/08 381G03G9/08 372G03G9/08 375G01N13/00 G01N 13/00 G03G 9/087 G03G 9/08 特開平11−352719(JP,A) 3 2007114630 20070510 16 20071030 井口 猶二 本発明は電子写真用トナーの評価方法および電子写真用トナーに関するものである。 電子写真方式の画像形成装置において複写枚数が増えるに従い現像器内のトナーが劣化し、これが原因で種々の不具合が発生することはよく知られている。 例えば、トナーの帯電量が低下して画像濃度の低下やカブリの上昇、文字抜け等が起こる。 このような不具合を防止するため、トナーに関して様々な研究開発が行われている。 これら研究開発過程で作製された種々のトナーについて、その性能、主にその耐久性を評価するには、作製されたトナーを複写機やプリンタなどに実際に使用して所定枚数コピーした後、例えば画像濃度やカブリ濃度、トナー帯電量などを測定し初期の値と比較する方法が一般的に用いられていた。 しかしながら、このような評価方法では、例えば一成分現像方式の場合には、トナーカートリッジ一個分のトナーを消費させるコピー試験を行わないとトナーの性能が評価できないといったように、評価結果が出るまでに長時間を要し迅速な研究開発の支障となっていた。 また多くの労力とコストとを要することも問題であった。 さらに、コピー試験には膨大な量の用紙が使用されるので、限りある資源の有効活用という観点からも新たな評価方法の確立が切望されていた。 これに対して、加熱試験によるブロッキングテスト等の提案がなされている(例えば、特許文献1)。特開2003−255583号公報 本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コピー試験や加熱試験を行うことなくコピー試験後のトナーの性能を迅速且つ簡便に評価できる電子写真用トナーの評価方法を提供することにある。 本発明は、下記の技術的構成により、前記課題を解決できたものである。(1)濃度の異なる複数のメタノール水溶液に電子写真用トナーを投入するステップと、 投入した電子写真用トナーに対する、浮いた状態の電子写真用トナーの比率を測定するステップと、 メタノールの濃度変化に伴う、前記浮いた状態の電子写真用トナーの比率の推移から、電子写真用トナーの疎水化度および疎水均一性を導出するステップと、前記疎水化度および疎水均一性がそれぞれ所定の範囲に入るかを評価基準として電子写真用トナーを評価するステップとを有することを特徴とする電子写真用トナーの評価方法。(前記疎水化度とは、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率aのトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度をいう。また、前記疎水均一性とは、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率b1のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液と、b1とは異なる任意の所定比率b2のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液とのメタノールの濃度差をいう。)(2)水またはメタノール水溶液に電子写真用トナーを投入するステップと、前記水またはメタノール水溶液にメタノールを加えていき、メタノールの濃度変化に伴う、浮いた状態の電子写真用トナーの比率の推移を測定するステップと、前記浮いた状態の電子写真用トナーの比率の推移から、電子写真用トナーの疎水化度および疎水均一性を導出するステップと、前記疎水化度および疎水均一性がそれぞれ所定の範囲に入るかを評価基準として電子写真用トナーを評価するステップとを有することを特徴とする電子写真用トナーの評価方法。(前記疎水化度とは、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率aのトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度をいう。また、前記疎水均一性とは、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率b1のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液と、b1とは異なる任意の所定比率b2のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液とのメタノールの濃度差をいう。)(3)前記疎水化度が、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、50wt%のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度(50%疎水化度)であり、前記疎水均一性が、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、50wt%のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度と、10wt%のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度との濃度差(50%〜10%疎水均一性)であって、前記電子写真用トナーを評価するステップは、該50%疎水化度が30vol%以上であり、かつ、該50%〜10%疎水均一性が20vol%差未満であることを評価基準とすることを特徴とする前記(1)または(2)記載の電子写真用トナーの評価方法。 本発明によれば、コピー試験や加熱試験を行うことなくコピー試験後のトナーの性能を迅速且つ簡便に評価できる電子写真用トナーの評価方法を提供することができる。 また、高温高湿、低温低湿でも帯電変動が少なく、感光体フィルミングやカブリ、文字抜けが発生せず、クリーニング性について優れた特性を有し、解像度が良く高画質の画像を得ることができる電子写真用トナーを提供することができる。 本発明の電子写真用トナーの評価方法について、具体的に説明する。 まず、濃度の異なる複数のメタノール水溶液を調製し、そこに一定量の電子写真用トナーを投入する。そして、投入した電子写真用トナー全量に対する、浮いた状態の電子写真用トナーの比率をwt%などで測定し、メタノールの濃度変化に伴う、前記浮いた状態の電子写真用トナーの比率の推移から、グラフや数式などを用いて、電子写真用トナーの疎水化度および疎水均一性を導出する。 疎水化度: 疎水化度とは、メタノール水溶液に対する疎水性の程度をいう。具体的には、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率aのトナーが浮いた状態となるときの該メタノール水溶液のメタノール濃度を疎水化度という。 なお、所定比率aを50wt%としたときの疎水化度を50%疎水化度xとよび(図1(a)、(c)参照)、以下同様とする。 50%疎水化度xはトナーの平均的な疎水性を示すのに有効と考えられる。 疎水均一性:疎水均一性とは、個々のトナー粒子間でメタノール水溶液に対する濡れ性が揃っている程度をいう。具体的には、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率b1のトナーが浮いた状態となるときのメタノール濃度と、b1とは異なる所定比率b2だけ浮いた状態となるときのメタノール濃度との濃度差(vol%差)をいう。 なお、所定比率b1を50wt%としたときの疎水化度と、所定比率b2を10wt%としたときの疎水化度との差を50%〜10%疎水均一性dとよび(図1(a)、(c)参照)、以下同様とする。 50%〜10%疎水均一性dが小さければ小さいほど、メタノール濃度のわずかな変化でトナー全量に対する浮いた状態のトナーが50wt%から10wt%に急激に減少することになり、個々のトナー粒子間の濡れ性は揃っていると考えられる。 50%〜10%疎水均一性dは経験的に測定の際の誤差が小さく、かつ、その良否は実際のトナー特性の良否とよく一致する。 そして、これらの50%疎水化度xおよび50%〜10%疎水均一性dがそれぞれ所定の範囲に入るか否かにより、トナーを評価する。 例えば、50%疎水化度xが30vol%以上であり、かつ、50%〜10%疎水均一性dが20vol%差未満であることを評価基準とすることができる。 50%疎水化度xは、35vol%以上または50vol%以上とすることもできる。 50%疎水化度xが30vol%未満だと、感光体とトナーとの物理的付着力およびトナー粒子間の凝集力が強くなり、文字抜けが発生する。 50%〜10%疎水均一性dは、8vol%差未満または5vol%差未満とすることもできる。 50%〜10%疎水均一性dが20vol%差以上だと、トナー粒子間の帯電量が不均一になるので、現像器内で帯電量の高いトナー粒子ほど早く消費されるいわゆる選択現像が起き、カブリが発生する。 本発明の電子写真用トナーの評価方法は、トナー表面のわずかな差でも評価できるので、外添剤などで表面処理を行ったトナーの評価に特に適したものである。 本発明の電子写真用トナーの評価方法は以上のように行われるが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば以下のようにすることができる。 ○複数のメタノール水溶液ではなく、1つの水またはメタノール水溶液に電子写真用トナーを投入し、そこに純メタノールを加えていくことで徐々にメタノール濃度を増すことで、メタノールの濃度変化に伴う、浮いた状態の電子写真用トナーの比率の推移を測定することもできる。測定は簡便になる反面、トナーに純メタノールが直接触れて測定結果に影響してしまうおそれがある。 ○50%疎水化度の代わりに、0%疎水化度(全てのトナーが浮いた状態ではなくなるメタノール濃度)を導出し、これをもとにトナーを評価することも可能である。測定が簡便になる反面、疎水化度の高い一部のトナーに結果を左右されるおそれがある。 ○50%〜10%疎水均一性の代わりに、100%〜0%疎水均一性(浮いた状態のトナーが減少し始めるメタノール濃度と全てのトナーが浮いた状態ではなくなるメタノール濃度との濃度差)を導出し、これをもとにトナーを評価することも可能である。測定が簡便になる反面、疎水化度の高い一部のトナーと疎水化度の低い一部のトナーとに結果を左右されるおそれがある。 ○メタノール水溶液の代わりにエタノール水溶液等を用いることもできる。 次に、本発明の電子写真用トナーについて説明する。 本発明の電子写真用トナーは、本発明の電子写真用トナーの評価方法によって、50%疎水化度xが30vol%以上であって、かつ50%〜10%疎水均一性dが20vol%差未満であると評価されることを特徴とする。 50%疎水化度xは、35vol%以上がさらに好ましく、50vol%以上がもっとも好ましい。 50%疎水化度xが30vol%未満のトナーは、文字抜けが発生するので好ましくない。 50%〜10%疎水均一性dは、8vol%差未満であることがさらに好ましく、5vol%差未満がもっとも好ましい。 50%〜10%疎水均一性dが20vol%差以上のトナーは、カブリが発生するので好ましくない。 本発明の電子写真用トナーは、以下のようにして製造される。 すなわち、本発明の電子写真用トナーの製造方法は、結着樹脂および帯電制御剤を主成分とする配合物を熱溶融混練して混練物を得るステップ、該混練物を粉砕分級してトナー母体粒子を得るステップ、該トナー母体粒子を環状シロキサン化合物、直鎖状シリコーンオイルなどの所定の外添剤と混合撹拌して混合物を得るステップからなり、必要に応じて、該混合物に流動改質剤を混合し撹拌するステップを有する。 さらに詳述するならば、電子写真用トナーに使用するトナー母体粒子は、結着樹脂、帯電制御剤、その他必要に応じて添加剤を所定の配合にブレンドし、この混合物を2軸混練機、エクストルーダ、ロールミル等を用いて溶融混練せしめ、得られた塊状体をジェットミル等の気流式粉砕手段により粉砕して、分級機により所定の粒径の粒子に分級することで製造される。 なお、懸濁重合法やスプレードライ法など他の造粒法によるものであってもよい。 結着樹脂としては、従来からトナーに用いられているものであれば特に限定されないが、スチレン−アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロース系樹脂及びそれらのモノマーの共重合樹脂等の熱可塑性樹脂の他、変性アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂を使用できる。またこれらの混合物でもよい。 帯電制御剤としては、トナーに用いられる帯電制御剤なら使用できるが、特に摩擦帯電性が良好となる鉄系含金染料、クロム系染料、ニグロシン化合物、第四級アンモニウム塩等が好適に使用できる。 その他必要に応じて添加される添加剤としてはカーボンブラック、カラー用着色剤等の着色剤、低分子量ポリプロピレン等の定着助剤、離型剤、磁性粉等がある。 そして、得られたトナー母体粒子に環状シロキサン化合物もしくは直鎖状シリコーンオイルなどの外添剤を付着させることで本発明の電子写真用トナーが得られる。 当該外添剤としては、環状シロキサン化合物が好ましく、下記の(1)式で示される環状シロキサン化合物がさらに好ましい。(ただしnは3ないし10のいずれかが好ましく、さらに好ましくは3〜7、さらに好ましくは3〜5、もっとも好ましくは5である。Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルキル変性基のいずれかが好ましく、さらに好ましくは水素、炭素数1〜3のアルキル基のいずれか、もっとも好ましくはメチル基である。R′はアルキル基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、縮合環炭化水素基およびこれらの変性基のいずれかが好ましく、さらに好ましくはアルキル基、フェニル基、ビニル基およびこれらの変性基のいずれか、もっとも好ましくはメチル基である。) 本発明において使用する環状シロキサン化合物もしくは直鎖状シリコーンオイルなどの外添剤の動粘度は、25℃で50mm2/s以下であることが好ましく、さらに好ましくは20mm2/s以下である。 環状シロキサン化合物もしくは直鎖状シリコーンオイルなどの外添剤の動粘度が50mm2/sを越えて大きい場合には、トナー母体粒子の表面を均一に被覆することができず、疎水均一性に劣るので好ましくない。 動粘度が50mm2/s以下の環状シロキサン化合物もしくは直鎖状シリコーンオイルは、従来からトナーに使用されてきたシリコーンオイルに比べて沸点が低いが、最近の定着装置は低温定着が主流となっているので実用上問題ない。 環状シロキサン化合物または直鎖状シリコーンオイルなどの外添剤は1種類を用いることが出来るが、必要に応じて複数種を混合して用いることも可能である。 環状シロキサン化合物または直鎖状シリコーンオイルなどの外添剤の選択および混合比は、最終的に所望のトナーの帯電特性、流動性等によって決定される。 本発明において使用される環状シロキサン化合物または直鎖状シリコーンオイルなどの外添剤の量は、トナー100重量部に対して0.01〜2.0重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1.0重量部、もっとも好ましくは0.01〜0.1重量部である。 この場合、0.01重量部未満では本発明の目的を達成することが出来ず、2.0重量部を越えるとトナー粒子間の流動性が不良となり好ましくない。 環状シロキサン化合物または直鎖状シリコーンオイルでシリカ等の粉末状外添剤を疎水性処理して、そのシリカをトナーに付着させる方法もあるが、環状シロキサン化合物または直鎖状シリコーンオイルでトナー母体粒子表面を隈なく被覆することができず、本発明の効果が得られない。 本発明においては、環状シロキサン化合物または直鎖状シリコーンオイルなどの外添剤をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機で撹拌することで直接トナー母体粒子の表面に付着させることにより、少量でも弊害無く十分な効果をもたらすことが出来る。さらにトナー母体粒子撹拌中にスプレー等で噴霧することもできる。 さらに、必要に応じて下記に述べる流動改質剤を外添することが好ましい。 該流動改質剤としては疎水性シリカ、コロイダルシリカ、脂肪酸金属塩、アルミナ、チタン化合物、樹脂微粒子等を適宜使用することができ、帯電性の観点から疎水性シリカが好ましい。 また得られた電子写真用トナーは一成分現像剤として使用できるほか、キャリアと混合して二成分現像剤として使用することもできる。 キャリアは公知のものならば如何なるものでも使用することができるが、磁力、帯電特性、形状等から、例えば、スプレードライ−造粒−焼成のプロセスで製造されたフェライトキャリア或いは造粒マグネタイトキャリアが好ましく使用できる。<トナー母体粒子の製法>スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂(商品名:TTR−591、藤倉化成社製) 90.0重量部帯電制御剤(ニグロシン染料 商品名:CCA3、中央合成社製) 3.6重量部カーボンブラック(商品名:ミツビシカーボン#40、三菱化学社製) 4.6重量部低分子量ポリプロピレン(商品名:ビスコール660P、三洋化成工業社製) 1.8重量部 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサで混合し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕し、その後、乾式気流分級機で分級して、体積平均粒子径(D50)が9.0μmの非磁性一成分現像剤用のトナー母体粒子を得た。上記体積平均粒子径(D50)とはコールターカウンターTA−II型による体積基準積算50%値を示す。 上記トナー母体粒子の表面に表1に示す外添剤としての環状シロキサン化合物もしくは直鎖状シリコーンオイルを付着させ、または付着させず、さらに疎水性シリカを外添して実施例1〜6および比較例1〜3の電子写真用トナーを作製した。 以下具体的に説明する。 (実施例1) 上記トナー母体粒子100重量部に対して、環状シロキサン化合物である式(2)に示すジメチル環状シロキサン(D5)を、0.06重量部添加してスーパーミキサーにて撹拌した。 撹拌の後、さらに、シリカを直鎖状ジメチルシリコーンオイル(商品名:KF96−50CS、信越化学工業社製)でコートした流動改質用の疎水性シリカを、0.4wt%添加して混合撹拌を行い、実施例1の電子写真用トナーを得た。 (実施例2) 実施例1で使用したジメチル環状シロキサン(D5)を式(3)に示すジメチル環状シロキサン(D4)に代えたことを除いて、実施例1と同様にして実施例2の電子写真用トナーを得た。 (実施例3) 実施例1で使用したジメチル環状シロキサン(D5)を式(4)に示すビニルメチル環状シロキサン(V4)に代えたことを除いて、実施例1と同様にして実施例3の電子写真用トナーを得た。 (実施例4) 実施例1で使用したジメチル環状シロキサン(D5)を式(5)に示すフッ化アルキル環状シロキサン(F3)に代えたことを除いて、実施例1と同様にして実施例4の電子写真用トナーを得た。 (実施例5) 実施例1で使用したジメチル環状シロキサン(D5)を、表1および式(6)に示す直鎖状ジメチルシリコーンオイル(20CS)に代えたことを除いて、実施例1と同様にして実施例5の電子写真用トナーを得た。(ただしkは1以上の整数) (実施例6) 実施例1で使用したジメチル環状シロキサン(D5)を、表1および式(6)に示す直鎖状ジメチルシリコーンオイル(50CS)に代えたことを除いて、実施例1と同様にして実施例6の電子写真用トナーを得た。(ただしkは1以上の整数) (比較例1) 実施例1において、環状シロキサン化合物もしくは直鎖状シリコーンオイルを付着させず、かつ、直鎖状ジメチルシリコーンオイル(商品名:KF96−50CS、信越化学工業社製)でコートした疎水性シリカの代わりにオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)でコートした疎水性シリカを用いたことを除いて、実施例1と同様にして比較例1の電子写真用トナーを得た。 (比較例2) 実施例1において、環状シロキサン化合物もしくは直鎖状シリコーンオイルを付着させなかったことを除いて、実施例1と同様にして比較例2の電子写真用トナーを得た。 (比較例3) 実施例1で使用したジメチル環状シロキサン(D5)を、表1および式(6)に示す直鎖状ジメチルシリコーンオイル(200CS)に代えたことを除いて、実施例1と同様にして比較例3の電子写真用トナーを得た。(ただしkは1以上の整数) 以上の実施例1〜6および比較例1〜3の電子写真用トナーを、本発明の電子写真用トナーの評価方法により評価した。 <本発明の電子写真用トナーの評価方法による50%疎水化度xと50%〜10%疎水均一性dの導出> a)メタノール(和光純薬工業製、純度99.9%)とイオン交換水を混合してメタノール濃度が10vol%から70vol%までのメタノール水溶液を5vol%刻みで各々調製し、100mlのガラス製サンプル瓶に80ml入れる。 b)トナー2.0gをそのガラス製サンプル瓶中のメタノール水溶液に入れ、瓶に蓋をして、上下運動式のシェーカーにて30分間撹拌する。 c)ガラス製サンプル瓶をシェーカーから取り出し、水平な台の上に置いて一晩静置する。 d)ガラス製サンプル瓶上部に浮いた状態のトナー粒子を10ml用駒込ピペットを用いて蒸発皿上に回収し、50℃オーブン中で一晩乾燥させて重量を測定する。 測定結果として、図1に、横軸のメタノール濃度(vol%)と縦軸のトナー全量に対する浮遊トナー(wt%)との関係を示す。 すなわち、図1は、本発明の電子写真用トナーの評価方法による浮いた状態のトナー(浮遊トナー)とメタノール濃度との関係を示す図であって、(a)は実施例1〜4のトナーに関する評価結果、(b)は実施例5〜6のトナーに関する評価結果、(c)は比較例1〜3のトナーに関する評価結果である。 図1より、実施例1〜6および比較例1〜3のトナーについて、それぞれ、50wt%のトナーが浮いた状態となるときのメタノール濃度を算出して50%疎水化度xとし、50wt%のトナーが浮いた状態となるときのメタノール濃度と10wt%のトナーが浮いた状態となるときのメタノール濃度との濃度差(vol%差)を算出して50%〜10%疎水均一性dとした。 例として、実施例1と比較例3について、50%疎水化度xと50%〜10%疎水均一性dとを図示した。 そして、評価基準として、50%疎水化度xが30vol%以上で、かつ、50%〜10%疎水均一性dが20vol%差未満であるときの評価を○とし、そうでないときの評価を×として表2に示した。 表2に示したように、実施例1〜6は50%疎水化度xが38.5〜50.6vol%であり、又、50%〜10%疎水均一性dが3.7〜16.0vol%差であり、50%疎水化度xも50%〜10%疎水均一性dも本発明の作用効果を奏するために十分な値であった(評価○)。 しかし、比較例1および2は50%疎水化度xが29.0vol%および28.5vol%と不十分であり、比較例3は50%〜10%疎水均一性dが21.7vol%差と不十分であり、いずれも50%疎水化度xと50%〜10%疎水均一性dとを同時に満足しないので問題がある(評価×)。 次に、実施例1〜6および比較例1〜3で得た電子写真用トナーについて、コピーテストを行った。 <コピーテスト> 常温常湿下(25℃/55%RH、以下N/Nと示す。)、高温高湿下(30℃/80%RH、以下H/Hと示す。)、低温低湿下(10℃/20%RH、以下L/Lと示す。)において、非磁性一成分マイナストナーを用いる市販のレーザープリンタ(印字速度A4用紙25枚/分)で連続3000枚のコピーテストを行い、現像スリーブ帯電量について評価を行った。 さらに、N/Nのコピーテストにおいて、画像濃度、カブリ、文字抜けを評価した。 具体的な評価方法を以下に示す。 (i)現像スリーブ帯電量(μc/g) 現像スリーブ帯電量Aを求めるには、電子写真用トナーを入れた現像装置を24時間放置し、その後現像装置の撹拌機を10分間撹拌して下記の測定装置にて求めることができる。 図2は、現像スリーブ帯電量Aを求める測定装置の概略図である。 図2において、31が現像スリーブ、32が電子写真用トナー、33が吸引機、34がQメーター及び35がフィルタである。 ここで吸引機33は吸い込み口を現像スリーブ31表面上の電子写真用トナー32の表面すれすれに近づけて吸引するものであり、掃除機等を用いて吸引するものである。 また、Qメーターとは東芝ケミカル社製のブローオフ摩擦帯電量測定装置に付属する電荷量測定器である。 現像スリーブ帯電量Aは具体的に次のように求めることができる。 (1)吸引機33の吸引ノズルに紙製のフィルタ35を2枚重ねて被せる。 (2)吸引ノズルの吸引前の重量ma(g)を測定する。 (3)現像スリーブ31表面に付着している電子写真用トナー32を現像スリーブ31の長手方向に20cm移動させながら吸引ノズルにて1分間吸引し、Qメーター34により電荷量q(μc)を求める。 (4)吸引後の電子写真用トナーが付着された吸引ノズルの重量mb(g)を測定する。 (5)そして、吸引された電子写真用トナーの重量m(g)をmb−maから求め次の式により現像スリーブ帯電量Aを求めることができる。A=q/m(μc/g) (ii)画像濃度 画像濃度:ベタ画像部の反射濃度をマクベス反射濃度計(RD−914)で測定した。 (iii)カブリ カブリ:非画像部の反射濃度をマクベス反射濃度計(RD−914)で測定した。 (iv)文字抜け 文字抜け:A4版に記号「i」を30個印字し、目視で文字抜けの有無を調べた。 コピーテストの結果を表3に示す。 表3から明らかなように、初期から3000枚のコピー後(以下末期という。表も同じ。)の現像スリーブ帯電量は、いずれの環境下でも実施例は、比較例と同じか、より高い値を示す。 特に実施例1は、すべての環境下で安定して優れた現像スリーブ帯電量を示した。 画像濃度は、実施例と比較例で大きな差はなかった。 カブリは、比較例3の末期に現れた。 文字抜けは、比較例1および2の末期に現れた。 すなわち、本評価方法による評価で、50%疎水化度xも50%〜10%疎水均一性dも十分な値であった実施例1〜6は、現像スリーブ帯電量が高く保たれ、画像濃度、カブリ、文字抜けについても実用上問題ない。 しかし、50%〜10%疎水均一性dが20vol%差以上であった比較例3はカブリが発生しており、50%疎水化度xが30vol%未満であった比較例1〜2は文字抜けが発生しており、いずれも実用性がない。 したがって、本評価方法による評価は、実際のトナー特性とよく一致している。 図3に、N/Nコピーテストにおけるコピー枚数と現像スリーブ帯電量との関係を示す。 図3から明らかなように、実施例1〜6の現像スリーブ帯電量は、比較例1〜3と比べていずれのコピー枚数においても同じか、より高く保たれた。 現像スリーブ帯電量の低下は、カブリや文字抜けの発生と密接な関係があることが知られている。 したがって、本評価方法による評価は、いずれのコピー枚数のときでも実際のトナー特性とよく一致していると考えられる。本発明の電子写真用トナーの評価方法による浮いた状態のトナー(浮遊トナー)とメタノール濃度との関係を示す図であって、(a)は実施例1〜4のトナーに関する評価結果、(b)は実施例5〜6のトナーに関する評価結果、(c)は比較例1〜3のトナーに関する評価結果現像スリーブ帯電量を求める測定装置の概略図N/Nコピーテストにおけるコピー枚数と現像スリーブ帯電量との関係を示す図符号の説明31 現像スリーブ32 電子写真用トナー33 吸引機34 Qメーター35 フィルタ濃度の異なる複数のメタノール水溶液に電子写真用トナーを投入するステップと、投入した電子写真用トナーに対する、浮いた状態の電子写真用トナーの比率を測定するステップと、メタノールの濃度変化に伴う、前記浮いた状態の電子写真用トナーの比率の推移から、電子写真用トナーの疎水化度および疎水均一性を導出するステップと、前記疎水化度および疎水均一性がそれぞれ所定の範囲に入るかを評価基準として電子写真用トナーを評価するステップとを有することを特徴とする電子写真用トナーの評価方法。(前記疎水化度とは、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率aのトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度をいう。また、前記疎水均一性とは、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率b1のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液と、b1とは異なる任意の所定比率b2のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液とのメタノールの濃度差をいう。)水またはメタノール水溶液に電子写真用トナーを投入するステップと、前記水またはメタノール水溶液にメタノールを加えていき、メタノールの濃度変化に伴う、浮いた状態の電子写真用トナーの比率の推移を測定するステップと、前記浮いた状態の電子写真用トナーの比率の推移から、電子写真用トナーの疎水化度および疎水均一性を導出するステップと、前記疎水化度および疎水均一性がそれぞれ所定の範囲に入るかを評価基準として電子写真用トナーを評価するステップとを有することを特徴とする電子写真用トナーの評価方法。(前記疎水化度とは、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率aのトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度をいう。また、前記疎水均一性とは、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、任意の所定比率b1のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液と、b1とは異なる任意の所定比率b2のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液とのメタノールの濃度差をいう。)前記疎水化度が、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、50wt%のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度(50%疎水化度)であり、前記疎水均一性が、メタノール水溶液に投入したトナー全量に対して、50wt%のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度と、10wt%のトナーが浮いた状態となるときのメタノール水溶液のメタノール濃度との濃度差(50%〜10%疎水均一性)であって、前記電子写真用トナーを評価するステップは、該50%疎水化度が30vol%以上であり、かつ、該50%〜10%疎水均一性が20vol%差未満であることを評価基準とすることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真用トナーの評価方法。


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