タイトル: | 公開特許公報(A)_シクロアルカノール及びシクロアルカノンの製法 |
出願番号: | 2005305269 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 27/00,C07C 29/132,C07C 35/08,C07C 45/53,C07C 49/403,B01J 31/24,C07B 61/00 |
山中 光男 島野 哲郎 JP 2007112741 公開特許公報(A) 20070510 2005305269 20051020 シクロアルカノール及びシクロアルカノンの製法 宇部興産株式会社 000000206 山中 光男 島野 哲郎 C07C 27/00 20060101AFI20070406BHJP C07C 29/132 20060101ALI20070406BHJP C07C 35/08 20060101ALI20070406BHJP C07C 45/53 20060101ALI20070406BHJP C07C 49/403 20060101ALI20070406BHJP B01J 31/24 20060101ALI20070406BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070406BHJP JPC07C27/00 310C07C29/132C07C35/08C07C45/53C07C49/403 AB01J31/24 ZC07B61/00 300 3 OL 6 4G169 4H006 4H039 4G169AA01 4G169AA04 4G169AA08 4G169BA02A 4G169BA02B 4G169BA21A 4G169BA21B 4G169BA27A 4G169BA27B 4G169BC70A 4G169BC70B 4G169BE26A 4G169BE26B 4G169BE33A 4G169BE33B 4G169BE37A 4G169BE37B 4G169CB35 4G169DA08 4G169EA01Y 4G169FA01 4G169FC04 4H006AA02 4H006AC41 4H006AC44 4H006BA23 4H006BA37 4H006BA48 4H006BA81 4H006FC22 4H006FE12 4H039CA60 4H039CA62 4H039CB40 4H039CG10 本発明は、シクロアルカンの酸化反応によって得られるシクロアルキルハイドロパーオキサイドを分解して、シクロアルカノール及びシクロアルカノンを製造する方法に関する。シクロアルカノール及びシクロアルカノンは、ナイロン等のポリアミド系高分子モノマーの製造原料、化学薬品の合成原料、有機溶剤として極めて有用な化合物である。 従来、ルテニウム触媒の存在下、シクロアルキルハイドロパーオキサイドを分解して、シクロアルカノール及びシクロアルカノンを製造する方法としては、例えば、ジクロロトリス(トリフェニルフェニルホスフィン)ルテニウム(II)等の二つの塩素原子と中性の配位子とを有するルテニウム触媒の使用が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、高い分解活性と目的物の高い選択性を示すものの、触媒の使用量が少量であるために回収して再利用するのが困難であり、工業的な製法としては問題を残していた。特許第3608252号公報Inorg.Chem.,4,p.1655(1965)Catal.Lett.,20,p.37(1993) 本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、高い分解活性と目的物の高い選択性を示し、触媒の回収・再利用が容易な、工業的に好適なシクロアルカノール及びシクロアルカノンの製法を提供することにある。 本発明の課題は、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルに固定化されたルテニウム触媒の存在下、シクロアルキルハイドロパーオキサイドを分解反応させることを特徴とする、シクロアルカノール及びシクロアルカノンの製法によって解決される。 本発明は、シクロアルキルハイドロパーオキサイドに対する高い分解活性と、目的物であるシクロアルカノール及びシクロアルカノンに対する高い選択性を示し、触媒の回収・再利用が容易な、工業的に好適なシクロアルカノール及びシクロアルカノンの製法を提供する。 本発明のシクロアルキルハイドロパーオキサイドの分解反応において使用するトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルに固定化されたルテニウム触媒は、例えば、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリドを水酸化カリウムと反応させてトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンを合成した後(例えば、非特許文献1参照)、次いで、これとシリカゲルを混合し濃縮乾固させてトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルを得た後(例えば、非特許文献2参照)、これとルテニウム触媒とを溶媒中で反応させる方法によって容易に得られる化合物である(参考例1〜3に記載)。 ここで、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンのシリカゲルへの担持量は、特に限定されない。また、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルに固定化されるルテニウム触媒の量も限定されない。 前記ルテニウム触媒としては、例えば、特許文献1に記載されているようなジクロロトリス(トリフェニルフェニルホスフィン)ルテニウム(II)等の二つの塩素原子と中性の配位子とを有するルテニウム触媒が挙げられるが、好ましくはジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロ(シクロオクタジエン)ルテニウム(II)会合体が使用される。 前記ルテニウム触媒の使用量は、シクロアルキルハイドロパーオキサイドを含む混合液に対して、ルテニウム原子として、好ましくは0.001〜250質量ppm、更に好ましくは0.01〜150質量ppmである。 前記シクロアルキルハイドロパーオキサイドの具体例としては、例えば、シクロペンチルハイドロパーオキサイド、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド、シクロヘプチルハイドロパーオキサイド、シクロオクチルハイドロパーオキサイド、シクロノニルハイドロパーオキサイド、シクロデシルハイドロパーオキサイド、シクロドデシルハイドロパーオキサイド、シクロペンタデシルハイドロパーオキサイド、シクロヘキサデシルハイドロパーオキサイド等の炭素原子数5〜20のシクロアルキルハイドロパーオキサイドが挙げられる。 前記シクロアルキルハイドロパーオキサイドは、通常、金属触媒の存在又は非存在下、反応温度が120〜180℃、反応圧が1〜20気圧の条件でシクロアルカンを空気等の分子状酸素と液相接触反応させて得ることができる。 本発明では、このようにして得られるシクロアルカンの酸化反応液から蒸留又は抽出により分離されたシクロアルキルハイドロパーオキサイドを原料のシクロアルカン又はベンゼン、トルエン等の溶媒で希釈又は溶解して用いてもよいが、未精製のシクロアルキルハイドロパーオキサイド(即ち、上記酸化反応液)をそのまま又は濃縮して使用しても、これらの混合液中のシクロアルキルヒドロパールオキサイドを効率よく分解してシクロアルカノール及びシクロアルカノンを製造することができる。なお、混合液中に含有されるシクロアルキルハイドロパーオキサイドは通常0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。 シクロアルカンの酸化反応液を使用する場合は、シクロアルキルハイドロパーオキサイドから目的物が直接生成する以外に、かなりの量で残存しているシクロアルカンがシクロアルキルハイドロパーオキサイドと反応してシクロアルカノン及びシクロアルカノールが生成することにより目的物の收率が高くなるという利点がある。なお、該酸化反応液を使用する場合は、シクロアルキルハイドロパーオキサイドの分解を行う前に必要に応じて該酸化反応液を水で洗浄することにより含有されている酸を除去することが好ましい。なお、水の代わりに弱アルカリ性水溶液(例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩の水溶液)を使用することも出来る。 シクロアルキルハイドロパーオキサイドの分解は、通常、シクロアルキルハイドロパーオキサイドを含有する前記混合液中にトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルに固定化されたルテニウム触媒を反応液中にルテニウム金属換算で0.01〜250質量ppm、好ましくは0.1〜150質量ppm存在させて、反応温度が25〜180℃、好ましくは50〜160℃、反応圧力が1〜30気圧の条件で行われる。反応温度が25℃より低くなると反応速度が遅くなり、180℃より高くなると目的物の收率が低下するために好ましくない。また、触媒の濃度は高くしても特別な効果は見られないので、上記の範囲が好ましい。 前記分解反応は、反応中に生じる反応熱を放出して反応温度を適切にコントロールするために、例えば還流冷却器及び攪拌装置を備えた耐圧又は非耐圧反応器で実施される。 以上のようにして、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロドデカノン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン等のシクロアルカノン、及びシクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロノナノール、シクロデカノール、シクロドデカノール、シクロペンタデカノール、シクロヘキサデカノール等のシクロアルカノールを含むシクロアルキルハイドロパーオキサイドの分解反応液が得られるが、シクロアルカノン及びシクロアルカノールは、必要ならば分解反応液を水又はアルカリ性水溶液で洗浄して酸を除去した後、蒸留等によって分離精製される。なお、シクロアルカンの酸化反応液を反応に用いた場合、未反応のシクロアルカンは蒸留分離されて酸化反応に循環使用される。参考例1(シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの合成) 還流冷却器、温度計、水分離器、ガス導入管、攪拌装置及び反応液取出し口を備えた内容積500mlの耐圧ガラス製オートクレーブにシクロヘキサン300gを仕込み、攪拌下(800rpm)、圧力10kg/cm2、流量40L/hrで窒素ガスを通気しながら昇温した。温度が150℃に達した後、窒素ガスを空気(圧力10kg/cm2、流量40L/hr)に切り換えて酸化反応を開始した。260分間反応を行った後、反応液を冷却して、酸化反応液1g当たり、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド0.2302mmol、シクロヘキサノール0.1212mmol、シクロヘキサノン0.0926mmolを含むシクロヘキサンの酸化反応液を得た。参考例2(トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンの合成) 攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積500mlのガラス製フラスコに、濃度0.5mmol/Lのエタノール性水酸化カリウム200mlを加え、攪拌しながらテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド19.0g(0.1mol)をエタノール175mlに溶解させた溶液をゆるやかに滴下し、そのまま室温で15分間反応させた。反応終了後、反応液を濾過した後、濾液を減圧下で濃縮し、オイル状の透明液体として、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン10.7gを得た(単離収率;86.3%)。参考例3(トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルの合成) 内容積100mlのガラス製フラスコに、参考例2で合成したトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン1.32g(10.4mmol)、シリカゲル(富士デヴィソン社製;BET表面積450m2/g、0.36〜0.84mm破砕品)10g及びエタノール50mlを加え、エバポレーターを使用して減圧下で濃縮し、リン含量1.02mmol/gのトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲル11gを得た。参考例4(トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルに固定化されたルテニウム触媒[固定化ルテニウム触媒]) 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積100mlのガラス製フラスコに、参考例3で合成したトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲル6.72g、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)0.657g(0.685mmol)及びエタノール30mlを加え、攪拌しながら78〜80℃で6時間反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾物をエタノール及び塩化メチレンで繰り返し洗浄した後に乾燥させ、ルテニウム金属含量610質量ppmの固定化ルテニウム触媒7.20gを得た。実施例1(シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解反応) 内容積50mlの耐圧ガラス製オートクレーブに、参考例1で合成したシクロヘキサン酸化液10g及び参考例4で合成した固定化ルテニウム触媒をルテニウム金属濃度が1.0質量ppmになるように加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら120℃で30分間分解反応させた。その結果、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解率は100%、シクロヘキサノール及びシクロヘキサノンの合計収率は118.6%であった。実施例2(シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解反応) 実施例1で使用した固定化ルテニウム触媒を、濾過により反応液から回収し、これを再度使用して実施例1と同様に反応させた。その結果、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解率は100%、シクロヘキサノール及びシクロヘキサノンの合計収率は121.2%であった。 本発明は、シクロアルカンの酸化反応によって得られるシクロアルキルハイドロパーオキサイドを分解して、シクロアルカノール及びシクロアルカノンを製造する方法に関する。シクロアルカノール及びシクロアルカノンは、ナイロン等のポリアミド系高分子モノマーの製造原料、化学薬品の合成原料、有機溶剤として極めて有用な化合物である。 トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルに固定化されたルテニウム触媒の存在下、シクロアルキルハイドロパーオキサイドを分解反応させることを特徴とする、シクロアルカノール及びシクロアルカノンの製法。 ルテニウム触媒がジクロロトリス(トリフェニルフェニルホスフィン)ルテニウム(II)である請求項2記載のシクロアルカノール及びシクロアルカノンの製法。 トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルとジクロロトリス(トリフェニルフェニルホスフィン)ルテニウム(II)とを反応させることによって得られる、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルに固定化されたルテニウム触媒。 【課題】高い分解活性と目的物の高い選択性を示す、工業的に好適なシクロアルカノール及びシクロアルカノンの製法を提供する。【解決手段】トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン修飾シリカゲルに固定化されたジクロロトリス(トリフェニルフェニルホスフィン)ルテニウム(II)等のルテニウム触媒の存在下、シクロアルキルハイドロパーオキサイドを分解反応させることを特徴とする、シクロアルカノール及びシクロアルカノンの製法。【選択図】なし