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タイトル:公開特許公報(A)_二軸混練機を用いた乾式コーティング
出願番号:2005301953
年次:2007
IPC分類:B01J 2/00,B01F 7/04,B01J 2/10,A61K 9/28,A61K 9/42


特許情報キャッシュ

藤本 信司 植村 俊信 金子 貫太郎 福森 義信 JP 2007105705 公開特許公報(A) 20070426 2005301953 20051017 二軸混練機を用いた乾式コーティング 株式会社栗本鐵工所 000142595 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 斎藤 健治 100099988 藤本 信司 植村 俊信 金子 貫太郎 福森 義信 B01J 2/00 20060101AFI20070330BHJP B01F 7/04 20060101ALI20070330BHJP B01J 2/10 20060101ALI20070330BHJP A61K 9/28 20060101ALN20070330BHJP A61K 9/42 20060101ALN20070330BHJP JPB01J2/00 BB01F7/04 BB01J2/10 ZA61K9/28A61K9/42 9 OL 14 4C076 4G004 4G078 4C076AA38 4C076AA44 4C076AA45 4C076AA94 4C076BB01 4C076DD41H 4C076EE31A 4C076FF24 4C076FF25 4C076FF31 4C076GG16 4G004BA00 4G004FA01 4G004FA05 4G078AA06 4G078AB20 4G078BA07 4G078DA01 4G078EA03 4G078EA10 本発明は、連続生産可能な乾式コーティング製剤製造方法に関する。 製剤に胃溶性、腸溶性、徐放性などの様々な機能性を付与するため、製剤にコーティングを施したコーティング製剤が利用されている。コーティング剤を製剤にコーティングする方法は湿式法と乾式法とに分類されるが、湿式法が一般的である。 湿式法ではコーティング剤を溶解又は懸濁させた液を製剤に噴霧した後、液体を蒸発させるコーティング方法が代表的である。しかし、コーティング剤の溶媒が水である場合には噴霧後の蒸発に多くのエネルギーが必要となることや、核中に水によって劣化する成分が含まれている場合にはこれが劣化するためそのような成分の使用が制限されるなどの問題があった。また、コーティング剤の溶媒に有機溶媒を使用する場合には、有機溶媒の除去を完全にしないと有機溶媒が残存するという問題があった。 一方、乾式法では、溶媒を使用しないためこれらの問題は発生しない。しかし、溶媒なしでコーティング剤を製剤にコーティングすることが困難であるため、乾式の結合剤などの添加剤の使用が試みられているが、依然としてコーティングの効率が悪かった。また、セルフィア粒子に、ラウリン酸をもちいて水溶性のモデル薬物の固定コーティングをおこない、エチルセルロース水懸濁液を凍結乾燥して得たコーティング用粉末を高速楕円ローター型混合機によりコーティングした例が公表されている(非特許文献1参照)。しかし、この方法では、バッチ方式であることから大量生産には大型機を設計する必要がある。しかし高速で回転するローター部と回転容器とのクリアランスを1mm程度とする必要があるため、大型化が難しく、現在大量生産機は開発されていない。そのことから、製剤の生産効率が悪く、より効率の良い乾式コーティング製剤の製造方法が要望されていた。Preparation of Controlled Release Microcapsules by a High-Speed Elliptical-Rotor Type Mixer(要旨集), Proceedings of the World Congress on Particle Technology 3, No. 121, Brighton, UK, July 7-9, 1988 (英国化学工学協会主催) 本発明は、適切なコーティングが可能で、大量に乾式コーティング製剤を製造する方法の提供を目的とする。 本発明者は、乾式コーティング製剤の量産化プロセスについて鋭意検討を重ねた結果、乾式バインダーを使用して二軸混練機にて乾式コーティングすることにより、大量に乾式コーティング製剤を製造できることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、下記の製造方法、乾式バインダー粒子及び乾式コーティング粒子を提供するものである。項1.核粒子及び乾式バインダーを含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式バインダー粒子の製造方法。項2.乾式バインダーが流動層式ジェットミルにて粉砕されて得られるものである項1に記載の製造方法。項3.項1又は2の製造方法により得られる乾式バインダー粒子。項4.項3の粒子及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式コーティング粒子の製造方法。項5.コーティング用粉末が流動層式ジェットミルにて粉砕されて得られるものである項4に記載の製造方法。項6.項3又は4の製造方法により得られる乾式コーティング粒子。項7.医薬製剤である項6に記載の乾式コーティング粒子。項8.コーティング用粉末が薬物である項7に記載の乾式コーティング粒子。また、本発明は下記の製造方法も包含しうる。項9.核粒子、乾式バインダー及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式コーティング粒子の製造方法。 本発明の乾式バインダー粒子は、二軸混練機にて核粒子に乾式バインダーが乾式コーティングされたものである。この粒子は乾式バインダーが表面にコーティングされているため、従来は乾式コーティングが困難であったコーティング用粉末によるコーティングが非常に容易である。例えば、乾式バインダー粒子及びコーティング用粉末を二軸混練機に供給して混練することによって容易、大量にコーティング用粉末でコーティングされた乾式コーティング粒子を製造することができる。また、核粒子、乾式バインダー及びコーティング用粉末を一度に二軸混練機に供給して混練することによっても乾式コーティング粒子を製造することもできる。 乾式コーティング粒子を二軸混練機や他の乾式コーティング装置にてコーティング用粉末をさらにコーティングしてもよい。また、上記乾式コーティング粒子に乾式バインダーを二軸混練機にてさらに乾式コーティングしてもよく、これにより得られた乾式バインダーコーティング物にコーティング用粉末を二軸混練機にてさらにコーティングしてもよい。 乾式コーティング粒子は必要によりさらにコーティングが施されて、医薬をはじめ、食品、農薬、飼料、化学などのコーティング粒子を扱う分野で利用可能である。コーティング用粉末は、粒子の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、医薬であればコーティング用粉末として薬物を使用すればよい。 図1を参照して本発明の製造方法を説明する。図1は代表的な二軸連続混練機(KRC-S1、栗本鐵工所製)の側面断面図であり、図2はその正面断面図である。この混練機は、二軸に設けられたパドル及びスクリューが噛み合う構造をとっているために、良好な混合性とともに付着性の粉体にも適用し易く温度制御も良好である。この混練機の主な仕様を表1に示す。 混練機の左端は製剤排出口7である。混練機の軸には排出口7に近い方から排出スクリュー1、紡錘形の複数のパドル2及び供給スクリュー5が設けられている。なお、パドル2が紡錘形であることは図2から確認される。混練機には、図1では表現されていないが、排出スクリュー、パドル及び供給スクリューが設けられたもう一つの軸がある。一方の軸に設けられた排出スクリュー、パドル及び供給スクリューは、各々、もう一方の軸に設けられた排出スクリュー、パドル及び供給スクリューと噛み合うように二つに軸は設置されている。図2には、パドル同士が噛み合っていることが示されている。ケーシング4の軸周囲部分には温度制御用空間3が設けられたジャケット構造となっており、この空間内に必要に応じて温水、冷水、冷媒などが供給されて、ケーシング4内はコーティングに必要な温度に維持される。さらに、ケーシング外側にヒーターを設置することができ、ヒーターを設置すると最高300℃まで温度制御が可能となる。 供給スクリュー5上部に設けられた原料供給口6から原料が供給されると、原料は混合されながら供給スクリュー5によって排出口7に搬送される。移動した原料はパドル2の回転によって混練されて粒子表面にコーティング成分(乾式バインダー、コーティング用粉末など)がコーティングされる。コーティングされた製剤は排出スクリュー1によって排出口7から排出され、コーティング製剤が製造される。この間の機内滞留時間は、パドルの回転数により変化するが、数十秒から数分程度である。 二軸混練機としては一般的な二軸混練機が使用できる。例えば、特許第3590542などに記載の二軸混練機が使用できる。また、連続式の二軸混練機は大量生産に有利である。特に好ましいのは二軸に互いに噛み合うスクリュー及びパドルが設けられ、二軸に設けられた該スクリュー及びパドルが原料供給口側から排出口側に向かって、スクリュー(供給スクリュー)、パドル、スクリュー(排出スクリュー)の順に設けられている混練機である。 本発明の乾式バインダー粒子の製造方法は、核粒子及び乾式バインダーを含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする。原料における核粒子の含有量は特に制限されないが、通常70〜95重量%、好ましくは75〜95重量%である。また、原料における乾式バインダーの含有量は特に制限されないが、通常5〜30重量%、好ましくは5〜25重量%である。本製造方法によれば、原料を連続的に供給することにより粒子を連続的に製造できる。 混練時の温度は特に制限されないが、通常乾式バインダーの融点を上回らない近傍である。好ましくは融点より0.5℃〜10℃低い温度、さらに好ましくは0.5〜7℃低い温度である。また、1分当たりのパドル回転数は特に制限されないが、通常50〜300回、好ましくは100〜300回である。原料の供給速度は特に制限されず、混練機のスケールによって変化しうるが、KRC-S1の場合、通常1分当たり5g〜50g、好ましくは6〜40gである。 核粒子は有効成分(例えば医薬であれば薬物)であっても、担体と薬物の混合物であっても良いし、担体表面を薬物で覆った粒子でも良いし、薬物を一切含まない担体でも良い。核粒子は操作中に型崩れを起こすものでなければ特に制限なく使用できる。核粒子は、その平均粒子径が30〜1000μmのものが好ましく、50〜500μmのものがより好ましいが、これら範囲に限定されるものではない。核粒子としては、例えば、丸剤、顆粒剤、散剤、薬物の単結晶、薬物粉末の凝集物、乳糖粒子、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム粒子、製剤領域ではコーティング核粒子として市販されている結晶セルロース顆粒(セルフィア;旭化成社製)、シュクロース球形顆粒、マンニトール球形顆粒(いずれもノンパレル;フロイント社製)等が使用できる。該核粒子は、速放性製剤および放出持続型製剤(徐放性製剤)などの放出制御型製剤であってもよい。核粒子は慣用の添加剤を含有していてよく、また、公知の方法にしたがって製造することができる。該添加剤としては、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、徐放化剤、安定化剤、酸味料、香料、流動化剤などが挙げられる。これら添加剤は、製剤分野において慣用の量が用いられる。 また、医薬の有効成分である薬物としては、中枢神経系用薬(アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、塩酸メクロフェノキサート、クロルプロマジン、トルメチンナトリウム、塩酸ミルナシプラン、フェノバルビタール等)、末梢神経系用薬(エトミドリン、塩酸トルペリゾン、臭化エチルピペタナート、臭化メチルベナクチジウム、フロプロピオン等)、止血薬(カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、硫酸プロタミン等)、循環器官用薬(アミノフィリン、塩酸エチレフリン、塩酸ジルチアゼム、ジギトキシン、カプトプリル等)、呼吸器官用薬(塩酸エフェドリン、塩酸クロルプレナリン、クエン酸オキセラジン、クロペラスチン、クロモグリク酸ナトリウム等)、消化器官用薬(塩化ベルベリン、塩酸ロペラミド、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン等)、冠血管拡張薬(ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル等)、ビタミン剤(アスコルビン酸、塩酸チアミン、パントテン酸カルシウム、酪酸リボフラビン等)、代謝性製剤(メシル酸カモスタット、ミゾリビン、塩化リゾチーム等)、アレルギー用薬(塩酸シプロヘプタジン、塩酸ジフェンヒドラミン、酒石酸アリメマジン、トシル酸スプラタスト、マレイン酸ジフェンヒドラミン等)、化学療法剤(アシクロビル、エノキサシン、オフロキサシン、ピペミド酸三水和物、レボフロキサシン等)、抗生物質(エリスロマイシン、塩酸セフカペンピボキシル、セフテラムピボキシル、セフポドキシムプロキセチル、セファクロル、セファレキシン、クラリスロマイシン、ロキタマイシン)などが挙げられる。 賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類;乳糖、果糖、ブドウ糖、D−マンニトール、ソルビトール等の糖・糖アルコール類:無水リン酸カルシウム、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。 崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が用いられる。該崩壊剤の使用量は、固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。 結合剤としては、例えば結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末などが挙げられる。該結合剤の使用量は、固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜40重量部である。 滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。 着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。 界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。 安定化剤としては、例えばトコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類などが挙げられる。 酸味料としては、例えばアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。 香料としては、例えばメントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。 流動化剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。 乾式バインダーは二軸混練機による乾式コーティングを容易にするものであり本発明の製造方法において非常に重要である。製造時の加温によってバインダー作用を発揮するため乾式コーティングが容易になるためである。乾式バインダーは、その平均粒子径が1〜100μmのものが好ましく、1〜50μmのものがより好ましく、1〜20μmのものがよりいっそう好ましい。乾式バインダーは、有機脂肪酸(ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸など)、有機脂肪酸のエステル誘導体、高級アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコールなど)、グリセリン脂肪酸エステル(グリセリルモノステアレートなど)、ポリエチレングリコール類(マクロゴール6000など)、天然ワックス(カルナバワックス、ライスワックスなど)などのワックス様物質の少なくとも1種を使用することが好ましく、これらの中でもラウリン酸、ミリスチン酸、マクロゴール6000などは融点が44〜60℃程度であるため、製造時の温度管理が容易であるし、バインダー特性にも優れることから、さらに好ましい。 本発明の乾式バインダー粒子の製造方法により得られる粒子の平均粒子径は特に制限されないが、通常40〜1050μm、好ましくは60〜550μmである。 本発明の乾式コーティング粒子の製造方法は、上記の乾式バインダー粒子及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする。原料における乾式バインダー粒子の含有量は特に制限されないが、通常40〜98重量%、好ましくは50〜95重量%である。また、原料におけるコーティング用粉末は特に制限されないが、通常2〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。本製造方法によれば、原料を連続的に供給すれば粒子を連続的に製造できる。 混練時の温度は特に制限されないが、通常乾式バインダー融点近傍である。好ましくは融点より0.5〜15℃低い温度、さらに好ましくは1〜10℃低い温度である。また、1分当たりのパドル回転数は特に制限されないが、通常50〜300回、好ましくは100〜300回である。原料の供給速度は特に制限されず、混練機のスケールによって変化しうるが、KRC-S1の場合、通常1分当たり5g〜50g、好ましくは6〜40gである。 また、本発明の別の乾式コーティング粒子の製造方法は、核粒子、乾式バインダー及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする。原料における核粒子含有量は特に制限されないが、通常20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%である。また、原料における乾式バインダー含有量は特に制限されないが、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。また、原料におけるコーティング用粉末含有量は特に制限されないが、通常2〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。本製造方法によれば、原料を連続的に供給することにより粒子を連続的に製造できる。混練条件(温度等、パドル回転数など)の条件はもう一方の乾式コーティング粒子の製造方法と同様である。 コーティング用粉末は、その平均粒子径が0.1〜20μmのものが好ましく用いられ、0.1〜10μmのものがより好ましく用いられるが、これらの範囲に限定されない。コーティング用粉末としては、医薬分野で徐放性を目的として利用されるコーティング用ポリマーをはじめとし、ここでは薬物等の有効成分も包含するが、コーティングが達成できる限り時に限定されない。また、コーティング用粉末による乾式コーティングは1回に限られず、必要であれば2回以上繰り返すこともできる。また、必要であれば、コーティング用粉末により乾式コーティングした後、乾式バインダーで乾式コーティングしてもよい。すなわち、乾式バインダー又はコーティング用粉末による乾式コーティングの回数は必要に応じて決定すればよい。 コーティング粉末の例としては、医薬製剤などの分野において利用されるコーティング用ポリマー、上記薬物などが使用できるが、上記の添加物でもよい。有効成分、添加剤などを核粒子に含めるかコーティング用粉末に含めるかの選択は製造する粒子の特性、用途などに応じて適宜すればよい。 コーティング用ポリマーとしては、例えば、セルロース系高分子、アクリル系高分子、生体内分解性高分子、ポリビニル系高分子などを1種単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。コーティング用粉末の基剤としてはセルロース系高分子、アクリル系高分子、生体内分解性高分子などのコーティング用高分子を使用できる。1種単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。 セルロース系高分子としては、例えば、粉末のエチルセルロース(例えば、ダウケミカル社製 STDプレミアムFP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどが使用できる。好ましくはエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートである。 アクリル系高分子としては、例えば、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(E100、EPO)、メタアクリル酸−メチルメタアクリレートコポリマーL(L100、L100-55)メタアクリル酸−メチルメタアクリレートコポリマーS(S-100)、アミノアルキルマタクリレートコポリマーRL(RL100、RLPO)アミノアルキルマタクリレートコポリマーRS(RS100、RSPO)などのオイドラギットシリーズが挙げられるが好ましくは、オイドラギットEPO、L100、L100-55、S-100、RLPO、RSPOである。 生体内分解性高分子としては、例えばL−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、N−メチルピロリドンなどのホモポリマー、コポリマー又はこれらポリマーの混合物、ポリカプロラクタム、キチン、キトサンなどが使用できる。 ポリビニル系高分子としては、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(例えば三共社製AEA)、PVAコポリマー(日新化成)が挙げられる。なお、コーティング用粉末にタルク、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、軟質無水ケイ酸などの凝集防止剤を加えるとことができる。 乾式コーティング時の静電気付着を防止できる。凝集防止剤の使用量はコーティング用粉末重量に対して通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。 本発明において、コーティング用粉末及び乾式バインダーは流動層式ジェットミルにより粉砕されたものが好ましい。例えば、分級ロータ内設型流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)が使用できる。流動層式ジェットミルで粉砕されたコーティング用粉末及び乾式バインダーは、分級ロータ内設型流動層式ジェットミルでは分級ロータの効果で粗大粒子の混在が軽減された粉砕物として得られる。得られた粉砕物の粒子径分布幅が狭いため、粒子が核粒子にオーダードミクスチャーを形成する際により均一にコーティングされることになる。このため、粒子同士の付着凝集が抑制され単核のコーティング粒子が効率よく生成するのでより好ましい。 本発明の乾式コーティング製剤の製造方法により得られる製剤の平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは50〜1150μm、より好ましくは70〜530μmである。また、本発明の乾式コーティング製剤には、上記の二軸混練機以外の公知の乾式コーティング装置により従来のコーティング用物質を乾式コーティングしてもよい。このような乾式コーティング装置としては、ボルテックスミキサー、振動ミル、V型混合機、円心回転型混合機(メカノミル;岡田精工製)などが使用できる。 本発明によれば、乾式コーティング製剤を容易に大量に製造できる。 以下、実施例等により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1:乾式バインダーによる乾式コーティング 下記原料を二軸連続式混練機(KRC-S1;栗本鐵工所製)に供給し、乾式バインダー粒子を製造した。なお、混練機の仕様は表1と同じである(温度とパドル回転数を除く)。また、事前に、核粒子単独をニーダに供給したが核粒子の粉砕や破損は全く観察されないことを確認した。〔原料〕核粒子:結晶性セルロース球形顆粒(以下、CPと称することがある)(セルフィアCP-102;旭化成社製)分級せずそのまま使用した。(CP-102の分級(ロータップシャカー)画分当たりの粒子頻度は74-106μm;0.3%、106-150μm;37.8%、150-177μm;36.5%、177-210μm;24.1%、210-250μm;1.3%である。)乾式バインダー:ラウリン酸(和光純薬製;融点44℃)(以下、LAと称することがある)分級ロータ内設の流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)を分級ロータ回転速度8000rpm/分で操作して得られた平均粒子径平均粒子径(レーザー散乱式粒子径測定装置;LDSA-2400A、東日コンピュ−タアプリケーション)5.5μmの微粒子。 CP500gとLA60gをビニール袋にて5分間混合し、39g/分の供給速度で定量供給機(KUMA社製)にて二軸混練機に供給した。二軸混練機の設定温度は43℃、パドル回転数200回転/分とし、約15分間の連続運転をした。 LAで乾式コーティングされたCP(以下、CP/LAと称することがある)が得られた。CP/LAにおけるLAコーティング率は、まず63μmふるいとエアージェット(ALPINE社製;10インチH2O 3分)を使用して未コーティングのLAを除去し、その重量差から未コーティングLA量をもとめた。コーティング率は、仕込みLA量から未コーティングLA量の差をコーティングLA量として算出した。その結果LAコーティング率は94.1%であった。 また、得られた粒子を顕微鏡観察したところ、LA単独で凝集している粒子は認められずCPがLAにコーティングされていることが観察された。また、ロータップシェイカーを用いて10分間ふるいにかけた後に得られた250μm以上の画分を凝集粒子とし、凝集率を求めると2.4%であった。すなわち、操作時間約15分で533gの粒子が得られ、LAコーティング率は94.1%で凝集粒子率2.4%の結果が得られた。 実施例2:乾式バインダーによる乾式コーティング 二軸混練機の温度を42.5℃、パドル回転数200回転/分、供給速度を21g/分とし、実施例1と同様にしてCP/LAを製造した。LAコーティング率は91.9%、凝集率は0.7%であった。 実施例3:乾式バインダーによる乾式コーティング 原料のCPを200g、LAを30g(LA仕込み含量13重量%)使用し、二軸混練機の温度を42.5℃、パドル回転数200回転/分、混合物のニーダへの供給速度を14g/分とし、実施例1と同様にしてCP/LAを製造した。LAコーティング率は90.3%、凝集率は0%であった。 実施例4:乾式バインダーによる乾式コーティング 核粒子として下記のCPを500g使用し、LA60g使用し、二軸混練機の温度を42.5℃、パドル回転数200回転/分、供給速度を43g/分とし、実施例1と同様にしてCP/LAを製造した。収量は549gであった。LAコーティング率は95.3%、凝集率(355μm以上の分級画分率より算出)は0.3%であった。核粒子:結晶性セルロース球形顆粒(セルフィアCP-203;旭化成社製)分級せずそのまま使用した。(CP-203の分級(ロータップシャカー)画分当たりの粒子頻度は177-210μm;7.2%、210-250μm;68.9%、250-297μm;23.9%、である。) 実施例5:乾式バインダーによる乾式コーティング 核粒子として実施例4のCP-203を100g使用し、乾式バインダーとして下記のミリスチン酸(以下、MAと称することがある)を12g使用し、二軸混練機の温度を52.5℃、パドル回転数200回転/分、供給速度を19.5g/分とし、実施例1と同様にしてCP/MAを製造した。収量は114gであった。MAコーティング率は96.7%、凝集率は0.1%であった。乾式バインダー:ミリスチン酸(和光純薬製;融点58℃)分級ロータ内設の流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)を分級ロータ回転速度15000rpm/分で操作して得られた平均粒子径9.0μmの微粒子。 実施例6:乾式バインダーによる乾式コーティング 核粒子として実施例4のCP-203を100g使用し、乾式バインダーとして下記のポリエチレングリコール6000(以下、PEG6000と称することがある)を12g使用し、二軸混練機の温度を51.0℃、パドル回転数300回転/分、供給速度を17.4g/分とし、実施例1と同様にしてCP/PEG6000を製造した。収量は105gであった。PEG6000コーティング率は93.0%、凝集率は0.6%であった。乾式バインダー:PEG6000(和光純薬製;融点56〜61℃)分級ロータ内設の流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)を分級ロータ回転速度6000rpm/分で操作して得られた平均粒子径6.7μmの微粒子。 実施例7:コーティング用粉末による乾式コーティング 実施例1で得られたCP/LAを63μmでエアージェットシーブしたあと、分級によって粒径250μm以上の粒子を除き、下記に示す薬物であるカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム(以下、CCSSと称することがある)を混合した。CCSSの添加量はCP/LAの10.7重量%に相当する量である。この混合物を実施例1と同様にして二軸混練機に供給し、CCSSでコーティングされたCP/LA(以下、CP/LA/CCSSと称することがある)を製造した。なお、混練温度は42.8℃、供給速度は16g/分、パドル回転数200回転/分であった。CCSSコーティング率は89.7%、凝集率は1.7%であった。コーティング用粉末:水溶性薬物であるカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム(三和ケミカル社製)を分級ロータ内設の流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)を用いて、分級ロータ回転速度15000回転/分で操作して得られた平均粒子径4.0μmの微粒子。 実施例8:コーティング用粉末による乾式コーティング 実施例3で得られたCP/LAを63μmでエアージェットシーブしたあと、分級によって粒径355μm以上の粒子を除き、CCSSを混合した。CCSSの添加量はCP/LAの10.7重量%に相当する量である。この混合物を実施例1と同様にして二軸混練機に供給し、CP/LA/CCSSを製造した。なお、混練温度は42.5℃、供給速度は16.5g/分、パドル回転数250回転/分であった。CCSSコーティング率は91.2%、凝集率は5.1%であった。 実施例9:コーティング用粉末による乾式コーティング 実施例4で得られたCP/LAを63μmでエアージェットシーブしたあと、分級によって粒径355μm以上の粒子を除き、CCSSを混合した。CCSSの添加量はCP/LAの10.7重量%に相当する量である。この混合物を実施例1と同様にして二軸混練機に供給し、CP/LA/CCSSを製造した。なお、混練温度は42.5℃、供給速度は16g/分、パドル回転数275回転/分であった。CCSSコーティング率は89.3%、凝集率は0.4%であった。 実施例10:乾式バインダー及びコーティング用粉末による一括乾式コーティング 実施例1で使用したCP及びLAと実施例7で使用したCCSSを重量比87:8:5で混合し、実施例1と同様にして二軸混練機に供給し、CP/LA/CCSSを製造した。なお、混練温度は42.7℃、供給速度は29g/分、パドル回転数200回転/分であった。コーティング用粉末としてのLA及びCCSSのコーティング率は91.8%、凝集率は6.0%であった。 比較例1:従来法による乾式コーティング 非特許文献1に記載の方法に準じて行った。150〜170μmの粒子径のCPを核粒子とした。LAは、ハンマーミル(不二パウダ社製)にて粉砕した後、63μm以下に分級したものを用いた。CCSSは遊星ボールミル(Pulverisette-7, Fritsch,ドイツ)にて90分粉砕後63μm以下に分級して用いた。平均粒子径(レーザー散乱式粒子径測定装置;LDSA-2400A、東日コンピュ−タアプリケーション)はLA;21.3μm、CCSS;5.4μmである。 CPにLAのコーティングを行った。コーティングには楕円式高速撹拌混合機(シータコンポーザ;徳寿工作所)を使用した。CP25gとLA3gをローターと容器間の内容物投入部に仕込み、ベッスルの回転速度を20rpmに設定し、ローターの回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、2000rpm(5分)、3000rpm(5分)の順に操作し、せん断力を増加させた。次いで、ベッスルの回転速度を30rpmに上げて90分間コーティングを行いCP/LAを製造した。その結果、収量27.3gでLAのコーティング率は85%であった。ここまでのコーティング時間は105分であった。 次に、得られたCP/LAにCCSSのコーティングを行った。CP/LA25gと3gのCCSSを上記混合機に仕込み、ベッスルの回転速度を20rpmに設定し、ローター回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、1500rpm(5分)、2000rpm(135分)の順に操作し、CP/LA/CCSSを得た。CP/LA/CCSSの収量は27.4gでコーティング率は89.7%であった。CCSSのコーティング時間は145分であった。 試験例1二軸連続混練機により得られたCP/LAの製剤学的有用性を検証するために以下の試験を実施した。 非特許文献1にLA及びCCSSを用い、微粉ポリマーとしてエチルセルロース(以下、ECと称することがある)を用いた例が記載されている。 そこで、実施例8で得られたCP/LA/CCSSにECを乾式コーティングした製剤を製造した。EC(エトセル7FP;ダウケミカル社製)はジェットミル粉砕(分級ロータ;15000rpm)して平均粒子径2.5μmに微粉化したものを用いた。 実施例8で得たCP/LA/CCSSを63μmの篩いを用いてエアージェットシーブし未コーティング粒子を除きその後、篩いを用いて250μm以上の凝集粒子を除き、得られたCP/LA/CCSSの20g及びECの2.5g(11.1重量%に相当)を内容量50mLの7号規格ビンに仕込み、ボルテックスミキサー(Automatic Lab-mixer, HM-10; Iuchi Co. 製)で一分間混合し、コーティングし粒子(以下、CP/LA/CCSS/ECと称することがある)を得た。この時点のCP/LA/CCSS/EC をP1とする。顕微鏡観察によりECが効率よくコーティングされていたことを確認した。 得られたCP/LA/CCSS/ECの2.5gをサンプリングし、さらにECを1.28g(6.0%に相当に相当)を仕込み、同様の操作をしてさらにECコーティング量を増加させた。この時点で得られたCP/LA/CCSS/EC をP2とする。さらに、3gのサンプリング後、同様の操作で1.28gのECをコーティング(6.5重量%に相当)した。この時点で得られたCP/LA/CCSS/EC をP3とする。 サンプリングした検体P1〜P3は355μmの篩いでわずかに認められるエチルセルロース単独の凝集粒子を除き、CCSS含量を定量(363nm)してコーティング含量を求めた。得られた3検体のエチルセルロースコーティング量はそれぞれ、10.7、16.4、21.9重量%であった。 P1〜P3を、各々、1重量%の軟質無水ケイ酸(Aerosil#200、日本アエロジル社製)を混合した後、40℃で3時間続いて60℃で3時間加熱しキュアリングした。すなわち、製剤をサンプル瓶にとり、アエロジルをくわえて、手で振り混ぜて混合した。装置はミニジェットオーブンで40℃に加温し、約5分毎にサンプルを振り混ぜることを5回繰り返して製剤間の付着を防止しその後静置した。続いて60℃で3時間同様にキュアリングした。加熱終了後、サンプルを手で振りながら冷却(付着防止のため)した。その後、63μmの篩いを備えたエアージェット(Alpine 200LS)でエアーシーブして軽質無水ケイ酸を除いた。得られた製剤を、日本薬局方第2法(パドル法、100rpm)の溶出試験に供した。溶出試験液には蒸留水900mLを使用した。薬効成分であるCCSSの濃度は吸光度(363nm)から求めた。溶出試験結果を図3に示した。コーティング量が増加するに伴ってCCSSの溶出速度が減少した。このことから、コーティング量の変更によって溶出速度を制御可能であることが示された。 本発明は医薬をはじめ、食品、農薬、飼料、化学などのコーティング粒子を扱う分野で利用可能である。例えば、薬物のレアリング、持続性製剤、苦味マスキング製剤などである。図1は、代表的な二軸連続混練機(KRC-S1、栗本鐵工所製)の側面断面図である。図2は、代表的な二軸連続混練機(KRC-S1、栗本鐵工所製)の正面断面図である。断面位置はパドルの位置である。図3は試験例1の溶出試験結果を示すグラフである。縦軸はCCSS溶出量を表し、横軸は溶出時間を表す。符号の説明1 排出スクリュー2 パドル3 温度制御用空間4 ケーシング5 供給スクリュー6 原料供給口7 製剤排出口核粒子及び乾式バインダーを含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式バインダー粒子の製造方法。乾式バインダーが流動層式ジェットミルにて粉砕されて得られるものである請求項1に記載の製造方法。請求項1又は2の製造方法により得られる乾式バインダー粒子。請求項3の粒子及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式コーティング粒子の製造方法。コーティング用粉末が流動層式ジェットミルにて粉砕されて得られるものである請求項4に記載の製造方法。請求項3又は4の製造方法により得られる乾式コーティング粒子。医薬製剤である請求項6に記載の乾式コーティング粒子。コーティング用粉末が薬物である請求項7に記載の乾式コーティング粒子。核粒子、乾式バインダー及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式コーティング粒子の製造方法。 【課題】乾式コーティング製剤の大量生産可が可能な乾式コーティング方法の提供。【解決手段】核粒子及び乾式バインダー(ラウリン酸、ミリスチン酸など)を含有する原料を二軸混練機にて混練することによって、核粒子表面に乾式バインダーが乾式コーティングされた乾式バインダー粒子を製造する方法は、乾式コーティング製剤を従来よりも効率的に大量に製造できる。また、核粒子、乾式バインダー及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式コーティング粒子の製造方法も乾式コーティング製剤を従来よりも効率的に大量に製造できる。【選択図】なし


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特許公報(B2)_二軸混練機を用いた乾式コーティング

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_二軸混練機を用いた乾式コーティング
出願番号:2005301953
年次:2008
IPC分類:B01J 2/00,B01F 7/04,B01J 2/10,A61J 3/02,A61K 9/28,A61K 9/42


特許情報キャッシュ

藤本 信司 植村 俊信 金子 貫太郎 福森 義信 JP 4092587 特許公報(B2) 20080314 2005301953 20051017 二軸混練機を用いた乾式コーティング 株式会社栗本鐵工所 000142595 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 斎藤 健治 100099988 藤本 信司 植村 俊信 金子 貫太郎 福森 義信 20080528 B01J 2/00 20060101AFI20080501BHJP B01F 7/04 20060101ALI20080501BHJP B01J 2/10 20060101ALI20080501BHJP A61J 3/02 20060101ALI20080501BHJP A61K 9/28 20060101ALN20080501BHJP A61K 9/42 20060101ALN20080501BHJP JPB01J2/00 BB01F7/04 BB01J2/10 ZA61J3/02 BA61K9/28A61K9/42 B01J 2/00−2/30 B01F 7/04 A61K 9/00−9/72 A61J 3/00−3/10 特開平08−215599(JP,A) 特開2004−275935(JP,A) 特開平06−126146(JP,A) 特開2002−253983(JP,A) 特開平01−180241(JP,A) 特開2004−143071(JP,A) 特開平04−338323(JP,A) 9 2007105705 20070426 14 20070619 澤田 浩平 本発明は、連続生産可能な乾式コーティング製剤製造方法に関する。 製剤に胃溶性、腸溶性、徐放性などの様々な機能性を付与するため、製剤にコーティングを施したコーティング製剤が利用されている。コーティング剤を製剤にコーティングする方法は湿式法と乾式法とに分類されるが、湿式法が一般的である。 湿式法ではコーティング剤を溶解又は懸濁させた液を製剤に噴霧した後、液体を蒸発させるコーティング方法が代表的である。しかし、コーティング剤の溶媒が水である場合には噴霧後の蒸発に多くのエネルギーが必要となることや、核中に水によって劣化する成分が含まれている場合にはこれが劣化するためそのような成分の使用が制限されるなどの問題があった。また、コーティング剤の溶媒に有機溶媒を使用する場合には、有機溶媒の除去を完全にしないと有機溶媒が残存するという問題があった。 一方、乾式法では、溶媒を使用しないためこれらの問題は発生しない。しかし、溶媒なしでコーティング剤を製剤にコーティングすることが困難であるため、乾式の結合剤などの添加剤の使用が試みられているが、依然としてコーティングの効率が悪かった。また、セルフィア粒子に、ラウリン酸をもちいて水溶性のモデル薬物の固定コーティングをおこない、エチルセルロース水懸濁液を凍結乾燥して得たコーティング用粉末を高速楕円ローター型混合機によりコーティングした例が公表されている(非特許文献1参照)。しかし、この方法では、バッチ方式であることから大量生産には大型機を設計する必要がある。しかし高速で回転するローター部と回転容器とのクリアランスを1mm程度とする必要があるため、大型化が難しく、現在大量生産機は開発されていない。そのことから、製剤の生産効率が悪く、より効率の良い乾式コーティング製剤の製造方法が要望されていた。Preparation of Controlled Release Microcapsules by a High-Speed Elliptical-Rotor Type Mixer(要旨集), Proceedings of the World Congress on Particle Technology 3, No. 121, Brighton, UK, July 7-9, 1988 (英国化学工学協会主催) 本発明は、適切なコーティングが可能で、大量に乾式コーティング製剤を製造する方法の提供を目的とする。 本発明者は、乾式コーティング製剤の量産化プロセスについて鋭意検討を重ねた結果、乾式バインダーを使用して二軸混練機にて乾式コーティングすることにより、大量に乾式コーティング製剤を製造できることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、下記の製造方法、乾式バインダー粒子及び乾式コーティング粒子を提供するものである。項1.核粒子及び乾式バインダーを含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式バインダー粒子の製造方法。項2.乾式バインダーが流動層式ジェットミルにて粉砕されて得られるものである項1に記載の製造方法。項3.項1又は2の製造方法により得られる乾式バインダー粒子。項4.項3の粒子及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式コーティング粒子の製造方法。項5.コーティング用粉末が流動層式ジェットミルにて粉砕されて得られるものである項4に記載の製造方法。項6.項3又は4の製造方法により得られる乾式コーティング粒子。項7.医薬製剤である項6に記載の乾式コーティング粒子。項8.コーティング用粉末が薬物である項7に記載の乾式コーティング粒子。また、本発明は下記の製造方法も包含しうる。項9.核粒子、乾式バインダー及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする乾式コーティング粒子の製造方法。 本発明の乾式バインダー粒子は、二軸混練機にて核粒子に乾式バインダーが乾式コーティングされたものである。この粒子は乾式バインダーが表面にコーティングされているため、従来は乾式コーティングが困難であったコーティング用粉末によるコーティングが非常に容易である。例えば、乾式バインダー粒子及びコーティング用粉末を二軸混練機に供給して混練することによって容易、大量にコーティング用粉末でコーティングされた乾式コーティング粒子を製造することができる。また、核粒子、乾式バインダー及びコーティング用粉末を一度に二軸混練機に供給して混練することによっても乾式コーティング粒子を製造することもできる。 乾式コーティング粒子を二軸混練機や他の乾式コーティング装置にてコーティング用粉末をさらにコーティングしてもよい。また、上記乾式コーティング粒子に乾式バインダーを二軸混練機にてさらに乾式コーティングしてもよく、これにより得られた乾式バインダーコーティング物にコーティング用粉末を二軸混練機にてさらにコーティングしてもよい。 乾式コーティング粒子は必要によりさらにコーティングが施されて、医薬をはじめ、食品、農薬、飼料、化学などのコーティング粒子を扱う分野で利用可能である。コーティング用粉末は、粒子の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、医薬であればコーティング用粉末として薬物を使用すればよい。 図1を参照して本発明の製造方法を説明する。図1は代表的な二軸連続混練機(KRC-S1、栗本鐵工所製)の側面断面図であり、図2はその正面断面図である。この混練機は、二軸に設けられたパドル及びスクリューが噛み合う構造をとっているために、良好な混合性とともに付着性の粉体にも適用し易く温度制御も良好である。この混練機の主な仕様を表1に示す。 混練機の左端は製剤排出口7である。混練機の軸には排出口7に近い方から排出スクリュー1、紡錘形の複数のパドル2及び供給スクリュー5が設けられている。なお、パドル2が紡錘形であることは図2から確認される。混練機には、図1では表現されていないが、排出スクリュー、パドル及び供給スクリューが設けられたもう一つの軸がある。一方の軸に設けられた排出スクリュー、パドル及び供給スクリューは、各々、もう一方の軸に設けられた排出スクリュー、パドル及び供給スクリューと噛み合うように二つに軸は設置されている。図2には、パドル同士が噛み合っていることが示されている。ケーシング4の軸周囲部分には温度制御用空間3が設けられたジャケット構造となっており、この空間内に必要に応じて温水、冷水、冷媒などが供給されて、ケーシング4内はコーティングに必要な温度に維持される。さらに、ケーシング外側にヒーターを設置することができ、ヒーターを設置すると最高300℃まで温度制御が可能となる。 供給スクリュー5上部に設けられた原料供給口6から原料が供給されると、原料は混合されながら供給スクリュー5によって排出口7に搬送される。移動した原料はパドル2の回転によって混練されて粒子表面にコーティング成分(乾式バインダー、コーティング用粉末など)がコーティングされる。コーティングされた製剤は排出スクリュー1によって排出口7から排出され、コーティング製剤が製造される。この間の機内滞留時間は、パドルの回転数により変化するが、数十秒から数分程度である。 二軸混練機としては一般的な二軸混練機が使用できる。例えば、特許第3590542などに記載の二軸混練機が使用できる。また、連続式の二軸混練機は大量生産に有利である。特に好ましいのは二軸に互いに噛み合うスクリュー及びパドルが設けられ、二軸に設けられた該スクリュー及びパドルが原料供給口側から排出口側に向かって、スクリュー(供給スクリュー)、パドル、スクリュー(排出スクリュー)の順に設けられている混練機である。 本発明の乾式バインダー粒子の製造方法は、核粒子及び乾式バインダーを含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする。原料における核粒子の含有量は特に制限されないが、通常70〜95重量%、好ましくは75〜95重量%である。また、原料における乾式バインダーの含有量は特に制限されないが、通常5〜30重量%、好ましくは5〜25重量%である。本製造方法によれば、原料を連続的に供給することにより粒子を連続的に製造できる。 混練時の温度は特に制限されないが、通常乾式バインダーの融点を上回らない近傍である。好ましくは融点より0.5℃〜10℃低い温度、さらに好ましくは0.5〜7℃低い温度である。また、1分当たりのパドル回転数は特に制限されないが、通常50〜300回、好ましくは100〜300回である。原料の供給速度は特に制限されず、混練機のスケールによって変化しうるが、KRC-S1の場合、通常1分当たり5g〜50g、好ましくは6〜40gである。 核粒子は有効成分(例えば医薬であれば薬物)であっても、担体と薬物の混合物であっても良いし、担体表面を薬物で覆った粒子でも良いし、薬物を一切含まない担体でも良い。核粒子は操作中に型崩れを起こすものでなければ特に制限なく使用できる。核粒子は、その平均粒子径が30〜1000μmのものが好ましく、50〜500μmのものがより好ましいが、これら範囲に限定されるものではない。核粒子としては、例えば、丸剤、顆粒剤、散剤、薬物の単結晶、薬物粉末の凝集物、乳糖粒子、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム粒子、製剤領域ではコーティング核粒子として市販されている結晶セルロース顆粒(セルフィア;旭化成社製)、シュクロース球形顆粒、マンニトール球形顆粒(いずれもノンパレル;フロイント社製)等が使用できる。該核粒子は、速放性製剤および放出持続型製剤(徐放性製剤)などの放出制御型製剤であってもよい。核粒子は慣用の添加剤を含有していてよく、また、公知の方法にしたがって製造することができる。該添加剤としては、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、徐放化剤、安定化剤、酸味料、香料、流動化剤などが挙げられる。これら添加剤は、製剤分野において慣用の量が用いられる。 また、医薬の有効成分である薬物としては、中枢神経系用薬(アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、塩酸メクロフェノキサート、クロルプロマジン、トルメチンナトリウム、塩酸ミルナシプラン、フェノバルビタール等)、末梢神経系用薬(エトミドリン、塩酸トルペリゾン、臭化エチルピペタナート、臭化メチルベナクチジウム、フロプロピオン等)、止血薬(カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、硫酸プロタミン等)、循環器官用薬(アミノフィリン、塩酸エチレフリン、塩酸ジルチアゼム、ジギトキシン、カプトプリル等)、呼吸器官用薬(塩酸エフェドリン、塩酸クロルプレナリン、クエン酸オキセラジン、クロペラスチン、クロモグリク酸ナトリウム等)、消化器官用薬(塩化ベルベリン、塩酸ロペラミド、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン等)、冠血管拡張薬(ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル等)、ビタミン剤(アスコルビン酸、塩酸チアミン、パントテン酸カルシウム、酪酸リボフラビン等)、代謝性製剤(メシル酸カモスタット、ミゾリビン、塩化リゾチーム等)、アレルギー用薬(塩酸シプロヘプタジン、塩酸ジフェンヒドラミン、酒石酸アリメマジン、トシル酸スプラタスト、マレイン酸ジフェンヒドラミン等)、化学療法剤(アシクロビル、エノキサシン、オフロキサシン、ピペミド酸三水和物、レボフロキサシン等)、抗生物質(エリスロマイシン、塩酸セフカペンピボキシル、セフテラムピボキシル、セフポドキシムプロキセチル、セファクロル、セファレキシン、クラリスロマイシン、ロキタマイシン)などが挙げられる。 賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類;乳糖、果糖、ブドウ糖、D−マンニトール、ソルビトール等の糖・糖アルコール類:無水リン酸カルシウム、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。 崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が用いられる。該崩壊剤の使用量は、固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。 結合剤としては、例えば結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末などが挙げられる。該結合剤の使用量は、固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜40重量部である。 滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。 着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。 界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。 安定化剤としては、例えばトコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類などが挙げられる。 酸味料としては、例えばアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。 香料としては、例えばメントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。 流動化剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。 乾式バインダーは二軸混練機による乾式コーティングを容易にするものであり本発明の製造方法において非常に重要である。製造時の加温によってバインダー作用を発揮するため乾式コーティングが容易になるためである。乾式バインダーは、その平均粒子径が1〜100μmのものが好ましく、1〜50μmのものがより好ましく、1〜20μmのものがよりいっそう好ましい。乾式バインダーは、有機脂肪酸(ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸など)、有機脂肪酸のエステル誘導体、高級アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコールなど)、グリセリン脂肪酸エステル(グリセリルモノステアレートなど)、ポリエチレングリコール類(マクロゴール6000など)、天然ワックス(カルナバワックス、ライスワックスなど)などのワックス様物質の少なくとも1種を使用することが好ましく、これらの中でもラウリン酸、ミリスチン酸、マクロゴール6000などは融点が44〜60℃程度であるため、製造時の温度管理が容易であるし、バインダー特性にも優れることから、さらに好ましい。 本発明の乾式バインダー粒子の製造方法により得られる粒子の平均粒子径は特に制限されないが、通常40〜1050μm、好ましくは60〜550μmである。 本発明の乾式コーティング粒子の製造方法は、上記の乾式バインダー粒子及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする。原料における乾式バインダー粒子の含有量は特に制限されないが、通常40〜98重量%、好ましくは50〜95重量%である。また、原料におけるコーティング用粉末は特に制限されないが、通常2〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。本製造方法によれば、原料を連続的に供給すれば粒子を連続的に製造できる。 混練時の温度は特に制限されないが、通常乾式バインダー融点近傍である。好ましくは融点より0.5〜15℃低い温度、さらに好ましくは1〜10℃低い温度である。また、1分当たりのパドル回転数は特に制限されないが、通常50〜300回、好ましくは100〜300回である。原料の供給速度は特に制限されず、混練機のスケールによって変化しうるが、KRC-S1の場合、通常1分当たり5g〜50g、好ましくは6〜40gである。 また、本発明の別の乾式コーティング粒子の製造方法は、核粒子、乾式バインダー及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練することを特徴とする。原料における核粒子含有量は特に制限されないが、通常20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%である。また、原料における乾式バインダー含有量は特に制限されないが、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。また、原料におけるコーティング用粉末含有量は特に制限されないが、通常2〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。本製造方法によれば、原料を連続的に供給することにより粒子を連続的に製造できる。混練条件(温度等、パドル回転数など)の条件はもう一方の乾式コーティング粒子の製造方法と同様である。 コーティング用粉末は、その平均粒子径が0.1〜20μmのものが好ましく用いられ、0.1〜10μmのものがより好ましく用いられるが、これらの範囲に限定されない。コーティング用粉末としては、医薬分野で徐放性を目的として利用されるコーティング用ポリマーをはじめとし、ここでは薬物等の有効成分も包含するが、コーティングが達成できる限り時に限定されない。また、コーティング用粉末による乾式コーティングは1回に限られず、必要であれば2回以上繰り返すこともできる。また、必要であれば、コーティング用粉末により乾式コーティングした後、乾式バインダーで乾式コーティングしてもよい。すなわち、乾式バインダー又はコーティング用粉末による乾式コーティングの回数は必要に応じて決定すればよい。 コーティング粉末の例としては、医薬製剤などの分野において利用されるコーティング用ポリマー、上記薬物などが使用できるが、上記の添加物でもよい。有効成分、添加剤などを核粒子に含めるかコーティング用粉末に含めるかの選択は製造する粒子の特性、用途などに応じて適宜すればよい。 コーティング用ポリマーとしては、例えば、セルロース系高分子、アクリル系高分子、生体内分解性高分子、ポリビニル系高分子などを1種単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。コーティング用粉末の基剤としてはセルロース系高分子、アクリル系高分子、生体内分解性高分子などのコーティング用高分子を使用できる。1種単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。 セルロース系高分子としては、例えば、粉末のエチルセルロース(例えば、ダウケミカル社製 STDプレミアムFP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどが使用できる。好ましくはエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートである。 アクリル系高分子としては、例えば、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(E100、EPO)、メタアクリル酸−メチルメタアクリレートコポリマーL(L100、L100-55)メタアクリル酸−メチルメタアクリレートコポリマーS(S-100)、アミノアルキルマタクリレートコポリマーRL(RL100、RLPO)アミノアルキルマタクリレートコポリマーRS(RS100、RSPO)などのオイドラギットシリーズが挙げられるが好ましくは、オイドラギットEPO、L100、L100-55、S-100、RLPO、RSPOである。 生体内分解性高分子としては、例えばL−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、N−メチルピロリドンなどのホモポリマー、コポリマー又はこれらポリマーの混合物、ポリカプロラクタム、キチン、キトサンなどが使用できる。 ポリビニル系高分子としては、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(例えば三共社製AEA)、PVAコポリマー(日新化成)が挙げられる。なお、コーティング用粉末にタルク、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、軟質無水ケイ酸などの凝集防止剤を加えるとことができる。 乾式コーティング時の静電気付着を防止できる。凝集防止剤の使用量はコーティング用粉末重量に対して通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。 本発明において、コーティング用粉末及び乾式バインダーは流動層式ジェットミルにより粉砕されたものが好ましい。例えば、分級ロータ内設型流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)が使用できる。流動層式ジェットミルで粉砕されたコーティング用粉末及び乾式バインダーは、分級ロータ内設型流動層式ジェットミルでは分級ロータの効果で粗大粒子の混在が軽減された粉砕物として得られる。得られた粉砕物の粒子径分布幅が狭いため、粒子が核粒子にオーダードミクスチャーを形成する際により均一にコーティングされることになる。このため、粒子同士の付着凝集が抑制され単核のコーティング粒子が効率よく生成するのでより好ましい。 本発明の乾式コーティング製剤の製造方法により得られる製剤の平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは50〜1150μm、より好ましくは70〜530μmである。また、本発明の乾式コーティング製剤には、上記の二軸混練機以外の公知の乾式コーティング装置により従来のコーティング用物質を乾式コーティングしてもよい。このような乾式コーティング装置としては、ボルテックスミキサー、振動ミル、V型混合機、円心回転型混合機(メカノミル;岡田精工製)などが使用できる。 本発明によれば、乾式コーティング製剤を容易に大量に製造できる。 以下、実施例等により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1:乾式バインダーによる乾式コーティング 下記原料を二軸連続式混練機(KRC-S1;栗本鐵工所製)に供給し、乾式バインダー粒子を製造した。なお、混練機の仕様は表1と同じである(温度とパドル回転数を除く)。また、事前に、核粒子単独をニーダに供給したが核粒子の粉砕や破損は全く観察されないことを確認した。〔原料〕核粒子:結晶性セルロース球形顆粒(以下、CPと称することがある)(セルフィアCP-102;旭化成社製)分級せずそのまま使用した。(CP-102の分級(ロータップシャカー)画分当たりの粒子頻度は74-106μm;0.3%、106-150μm;37.8%、150-177μm;36.5%、177-210μm;24.1%、210-250μm;1.3%である。)乾式バインダー:ラウリン酸(和光純薬製;融点44℃)(以下、LAと称することがある)分級ロータ内設の流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)を分級ロータ回転速度8000rpm/分で操作して得られた平均粒子径平均粒子径(レーザー散乱式粒子径測定装置;LDSA-2400A、東日コンピュ−タアプリケーション)5.5μmの微粒子。 CP500gとLA60gをビニール袋にて5分間混合し、39g/分の供給速度で定量供給機(KUMA社製)にて二軸混練機に供給した。二軸混練機の設定温度は43℃、パドル回転数200回転/分とし、約15分間の連続運転をした。 LAで乾式コーティングされたCP(以下、CP/LAと称することがある)が得られた。CP/LAにおけるLAコーティング率は、まず63μmふるいとエアージェット(ALPINE社製;10インチH2O 3分)を使用して未コーティングのLAを除去し、その重量差から未コーティングLA量をもとめた。コーティング率は、仕込みLA量から未コーティングLA量の差をコーティングLA量として算出した。その結果LAコーティング率は94.1%であった。 また、得られた粒子を顕微鏡観察したところ、LA単独で凝集している粒子は認められずCPがLAにコーティングされていることが観察された。また、ロータップシェイカーを用いて10分間ふるいにかけた後に得られた250μm以上の画分を凝集粒子とし、凝集率を求めると2.4%であった。すなわち、操作時間約15分で533gの粒子が得られ、LAコーティング率は94.1%で凝集粒子率2.4%の結果が得られた。 実施例2:乾式バインダーによる乾式コーティング 二軸混練機の温度を42.5℃、パドル回転数200回転/分、供給速度を21g/分とし、実施例1と同様にしてCP/LAを製造した。LAコーティング率は91.9%、凝集率は0.7%であった。 実施例3:乾式バインダーによる乾式コーティング 原料のCPを200g、LAを30g(LA仕込み含量13重量%)使用し、二軸混練機の温度を42.5℃、パドル回転数200回転/分、混合物のニーダへの供給速度を14g/分とし、実施例1と同様にしてCP/LAを製造した。LAコーティング率は90.3%、凝集率は0%であった。 実施例4:乾式バインダーによる乾式コーティング 核粒子として下記のCPを500g使用し、LA60g使用し、二軸混練機の温度を42.5℃、パドル回転数200回転/分、供給速度を43g/分とし、実施例1と同様にしてCP/LAを製造した。収量は549gであった。LAコーティング率は95.3%、凝集率(355μm以上の分級画分率より算出)は0.3%であった。核粒子:結晶性セルロース球形顆粒(セルフィアCP-203;旭化成社製)分級せずそのまま使用した。(CP-203の分級(ロータップシャカー)画分当たりの粒子頻度は177-210μm;7.2%、210-250μm;68.9%、250-297μm;23.9%、である。) 実施例5:乾式バインダーによる乾式コーティング 核粒子として実施例4のCP-203を100g使用し、乾式バインダーとして下記のミリスチン酸(以下、MAと称することがある)を12g使用し、二軸混練機の温度を52.5℃、パドル回転数200回転/分、供給速度を19.5g/分とし、実施例1と同様にしてCP/MAを製造した。収量は114gであった。MAコーティング率は96.7%、凝集率は0.1%であった。乾式バインダー:ミリスチン酸(和光純薬製;融点58℃)分級ロータ内設の流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)を分級ロータ回転速度15000rpm/分で操作して得られた平均粒子径9.0μmの微粒子。 実施例6:乾式バインダーによる乾式コーティング 核粒子として実施例4のCP-203を100g使用し、乾式バインダーとして下記のポリエチレングリコール6000(以下、PEG6000と称することがある)を12g使用し、二軸混練機の温度を51.0℃、パドル回転数300回転/分、供給速度を17.4g/分とし、実施例1と同様にしてCP/PEG6000を製造した。収量は105gであった。PEG6000コーティング率は93.0%、凝集率は0.6%であった。乾式バインダー:PEG6000(和光純薬製;融点56〜61℃)分級ロータ内設の流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)を分級ロータ回転速度6000rpm/分で操作して得られた平均粒子径6.7μmの微粒子。 実施例7:コーティング用粉末による乾式コーティング 実施例1で得られたCP/LAを63μmでエアージェットシーブしたあと、分級によって粒径250μm以上の粒子を除き、下記に示す薬物であるカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム(以下、CCSSと称することがある)を混合した。CCSSの添加量はCP/LAの10.7重量%に相当する量である。この混合物を実施例1と同様にして二軸混練機に供給し、CCSSでコーティングされたCP/LA(以下、CP/LA/CCSSと称することがある)を製造した。なお、混練温度は42.8℃、供給速度は16g/分、パドル回転数200回転/分であった。CCSSコーティング率は89.7%、凝集率は1.7%であった。コーティング用粉末:水溶性薬物であるカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム(三和ケミカル社製)を分級ロータ内設の流動層式ジェットミル(ポケットジェット;栗本鐵工所製)を用いて、分級ロータ回転速度15000回転/分で操作して得られた平均粒子径4.0μmの微粒子。 実施例8:コーティング用粉末による乾式コーティング 実施例3で得られたCP/LAを63μmでエアージェットシーブしたあと、分級によって粒径355μm以上の粒子を除き、CCSSを混合した。CCSSの添加量はCP/LAの10.7重量%に相当する量である。この混合物を実施例1と同様にして二軸混練機に供給し、CP/LA/CCSSを製造した。なお、混練温度は42.5℃、供給速度は16.5g/分、パドル回転数250回転/分であった。CCSSコーティング率は91.2%、凝集率は5.1%であった。 実施例9:コーティング用粉末による乾式コーティング 実施例4で得られたCP/LAを63μmでエアージェットシーブしたあと、分級によって粒径355μm以上の粒子を除き、CCSSを混合した。CCSSの添加量はCP/LAの10.7重量%に相当する量である。この混合物を実施例1と同様にして二軸混練機に供給し、CP/LA/CCSSを製造した。なお、混練温度は42.5℃、供給速度は16g/分、パドル回転数275回転/分であった。CCSSコーティング率は89.3%、凝集率は0.4%であった。 実施例10:乾式バインダー及びコーティング用粉末による一括乾式コーティング 実施例1で使用したCP及びLAと実施例7で使用したCCSSを重量比87:8:5で混合し、実施例1と同様にして二軸混練機に供給し、CP/LA/CCSSを製造した。なお、混練温度は42.7℃、供給速度は29g/分、パドル回転数200回転/分であった。コーティング用粉末としてのLA及びCCSSのコーティング率は91.8%、凝集率は6.0%であった。 比較例1:従来法による乾式コーティング 非特許文献1に記載の方法に準じて行った。150〜170μmの粒子径のCPを核粒子とした。LAは、ハンマーミル(不二パウダ社製)にて粉砕した後、63μm以下に分級したものを用いた。CCSSは遊星ボールミル(Pulverisette-7, Fritsch,ドイツ)にて90分粉砕後63μm以下に分級して用いた。平均粒子径(レーザー散乱式粒子径測定装置;LDSA-2400A、東日コンピュ−タアプリケーション)はLA;21.3μm、CCSS;5.4μmである。 CPにLAのコーティングを行った。コーティングには楕円式高速撹拌混合機(シータコンポーザ;徳寿工作所)を使用した。CP25gとLA3gをローターと容器間の内容物投入部に仕込み、ベッスルの回転速度を20rpmに設定し、ローターの回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、2000rpm(5分)、3000rpm(5分)の順に操作し、せん断力を増加させた。次いで、ベッスルの回転速度を30rpmに上げて90分間コーティングを行いCP/LAを製造した。その結果、収量27.3gでLAのコーティング率は85%であった。ここまでのコーティング時間は105分であった。 次に、得られたCP/LAにCCSSのコーティングを行った。CP/LA25gと3gのCCSSを上記混合機に仕込み、ベッスルの回転速度を20rpmに設定し、ローター回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、1500rpm(5分)、2000rpm(135分)の順に操作し、CP/LA/CCSSを得た。CP/LA/CCSSの収量は27.4gでコーティング率は89.7%であった。CCSSのコーティング時間は145分であった。 試験例1二軸連続混練機により得られたCP/LAの製剤学的有用性を検証するために以下の試験を実施した。 非特許文献1にLA及びCCSSを用い、微粉ポリマーとしてエチルセルロース(以下、ECと称することがある)を用いた例が記載されている。 そこで、実施例8で得られたCP/LA/CCSSにECを乾式コーティングした製剤を製造した。EC(エトセル7FP;ダウケミカル社製)はジェットミル粉砕(分級ロータ;15000rpm)して平均粒子径2.5μmに微粉化したものを用いた。 実施例8で得たCP/LA/CCSSを63μmの篩いを用いてエアージェットシーブし未コーティング粒子を除きその後、篩いを用いて250μm以上の凝集粒子を除き、得られたCP/LA/CCSSの20g及びECの2.5g(11.1重量%に相当)を内容量50mLの7号規格ビンに仕込み、ボルテックスミキサー(Automatic Lab-mixer, HM-10; Iuchi Co. 製)で一分間混合し、コーティングし粒子(以下、CP/LA/CCSS/ECと称することがある)を得た。この時点のCP/LA/CCSS/EC をP1とする。顕微鏡観察によりECが効率よくコーティングされていたことを確認した。 得られたCP/LA/CCSS/ECの2.5gをサンプリングし、さらにECを1.28g(6.0%に相当に相当)を仕込み、同様の操作をしてさらにECコーティング量を増加させた。この時点で得られたCP/LA/CCSS/EC をP2とする。さらに、3gのサンプリング後、同様の操作で1.28gのECをコーティング(6.5重量%に相当)した。この時点で得られたCP/LA/CCSS/EC をP3とする。 サンプリングした検体P1〜P3は355μmの篩いでわずかに認められるエチルセルロース単独の凝集粒子を除き、CCSS含量を定量(363nm)してコーティング含量を求めた。得られた3検体のエチルセルロースコーティング量はそれぞれ、10.7、16.4、21.9重量%であった。 P1〜P3を、各々、1重量%の軟質無水ケイ酸(Aerosil#200、日本アエロジル社製)を混合した後、40℃で3時間続いて60℃で3時間加熱しキュアリングした。すなわち、製剤をサンプル瓶にとり、アエロジルをくわえて、手で振り混ぜて混合した。装置はミニジェットオーブンで40℃に加温し、約5分毎にサンプルを振り混ぜることを5回繰り返して製剤間の付着を防止しその後静置した。続いて60℃で3時間同様にキュアリングした。加熱終了後、サンプルを手で振りながら冷却(付着防止のため)した。その後、63μmの篩いを備えたエアージェット(Alpine 200LS)でエアーシーブして軽質無水ケイ酸を除いた。得られた製剤を、日本薬局方第2法(パドル法、100rpm)の溶出試験に供した。溶出試験液には蒸留水900mLを使用した。薬効成分であるCCSSの濃度は吸光度(363nm)から求めた。溶出試験結果を図3に示した。コーティング量が増加するに伴ってCCSSの溶出速度が減少した。このことから、コーティング量の変更によって溶出速度を制御可能であることが示された。 本発明は医薬をはじめ、食品、農薬、飼料、化学などのコーティング粒子を扱う分野で利用可能である。例えば、薬物のレアリング、持続性製剤、苦味マスキング製剤などである。図1は、代表的な二軸連続混練機(KRC-S1、栗本鐵工所製)の側面断面図である。図2は、代表的な二軸連続混練機(KRC-S1、栗本鐵工所製)の正面断面図である。断面位置はパドルの位置である。図3は試験例1の溶出試験結果を示すグラフである。縦軸はCCSS溶出量を表し、横軸は溶出時間を表す。符号の説明1 排出スクリュー2 パドル3 温度制御用空間4 ケーシング5 供給スクリュー6 原料供給口7 製剤排出口核粒子と、融点が44〜60℃の乾式バインダーとを含有する原料を二軸混練機にて混練して、核粒子に乾式バインダーがコーティングされた乾式バインダー粒子を得る工程、得られた乾式バインダー粒子及びコーティング用粉末を含有する原料を二軸混練機にて混練し乾式コーティング粒子を得る工程を包含することを特徴とする乾式コーティング粒子の製造方法。乾式バインダーが流動層式ジェットミルにて粉砕されて得られるものである請求項1に記載の製造方法。コーティング用粉末が流動層式ジェットミルにて粉砕されて得られるものである請求項1又は2に記載の製造方法。乾式バインダーがラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、及びステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。前記乾式バインダー粒子を得る工程において、核粒子を70〜95重量%と、乾式バインダーを5〜30重量%の割合で配合する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。乾式コーティング粒子の平均粒子径が50〜1150μmである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られた乾式コーティング粒子。医薬製剤である請求項7に記載の乾式コーティング粒子。コーティング用粉末が薬物である請求項8に記載の乾式コーティング粒子。


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