タイトル: | 公開特許公報(A)_N−メチル−2−ピロリドンの精製方法。 |
出願番号: | 2005292029 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07D 207/267,B01D 3/14 |
松下 竜二 守谷 修 JP 2007099690 公開特許公報(A) 20070419 2005292029 20051005 N−メチル−2−ピロリドンの精製方法。 住友化学株式会社 000002093 久保山 隆 100093285 中山 亨 100113000 榎本 雅之 100119471 松下 竜二 守谷 修 C07D 207/267 20060101AFI20070323BHJP B01D 3/14 20060101ALI20070323BHJP JPC07D207/267B01D3/14 A 4 OL 5 4C069 4D076 4C069AB12 4C069BA01 4C069BC12 4C069CC24 4D076AA12 4D076AA22 4D076BA19 4D076BB06 4D076CD01 4D076EA12Z 4D076JA03 本発明は、N−メチル−2−ピロリドンの精製方法に関する。詳しくは、無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液を蒸留して精製する方法に関する。 N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと称することがある。)は、溶剤、洗浄剤等として広く使用されている。例えば、レゾルシンと2,6−ジクロロベンゾニトリルからポリシアノアリールエーテルを製造する際に重合溶媒として使用し、洗浄等に使用した水と共に、NMP37.0重量%、水62.1重量%および無機塩0.9重量%からなるNMP水溶液として回収され、これを蒸留塔で蒸留して水を分離し、塔底から無機塩を含有するNMP溶液を得ている(特許文献1参照。)。 一方、NMPは酸素に接触すると過酸化物が生成し、蒸留等の加熱条件下で生成が顕著になり、爆発等の危険が生じる可能性がある。過酸化物の生成を抑制してNMPを蒸留して精製する方法として、実験で求めた、過酸化物濃度と蒸留塔の塔底温度との特定の関係式および留出割合と滞留時間、塔底温度との特定の関係式を満足するように蒸留塔を用いて蒸留する方法(特許文献2参照。)、充填塔、棚段塔を用いてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して蒸留する方法(特許文献3参照。)が知られている。 しかしながら、無機塩を含有するNMP溶液を蒸留する場合には、過酸化物の生成と共に、回収率を上げると無機塩が析出し、閉塞を起こしたり、伝熱が低下したりするといった問題を有している。特開平3−281531号公報特開平8−27105号公報特開2004−284958号公報 本発明の目的は、過酸化物の生成を抑制すると共に、無機塩による閉塞を起こすことなく、無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液を蒸留して高回収率でN−メチル−2−ピロリドンを精製する方法を提供することにある。 本発明者らはかかる課題を解決するために、無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液の精製方法について鋭意検討した結果、無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液を掻き取り式薄膜蒸発器を用いて蒸留することによって、滞留時間を短くして過酸化物の発生を抑制し、無機塩の析出による閉塞や、伝熱の低下を無くし、高回収率でN−メチル−2−ピロリドンを分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液を、掻き取り式薄膜蒸発器を用いて蒸留してN−メチル−2−ピロリドンを分離することを特徴とするN−メチル−2−ピロリドンの精製方法である。 無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液から、過酸化物の発生を抑制し、無機塩の析出による閉塞や、伝熱の低下を無くし、高回収率でN−メチル−2−ピロリドンを分離することができる。 本発明における無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液の由来は特に限定されるものではないが、通常、溶媒として使用し、洗浄等に使用した水と共に回収された無機塩を含有するNMPの水溶液から水を蒸留して除いた溶液等である。無機塩としては、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。 無機塩を含有するNMP溶液には、残存する水分、中和等に使用された酸またはアルカリ、有機物を含んでいても良い。 使用する掻き取り式薄膜蒸発器は、薄膜蒸発器の円筒状の蒸発面内に回転羽根を有し、回転羽根の先端部が蒸発面に接触し、蒸発面の付着物を掻き取る方式の蒸発器であり、例えば、ハイエバオレーター(櫻製作所製)として市販されている。 本発明において、蒸発器の器底温度を約50〜150℃、好ましくは約80〜130℃で、必要により減圧下に行う。 滞留時間は、約10分以内、好ましくは約5分以内とする。この掻き取り式薄膜蒸発器を用いて、通常の蒸留操作を行えば、この滞留時間は達成される。 過酸化物の生成を抑制する観点から、上記の範囲で出来るだけ低い温度、短い滞留時間で蒸留するのが好ましい。 蒸発器から蒸発する蒸気を凝縮して精製されたNMPが得られ、蒸発器の器底からは、NMP、高沸点物および無機塩を含む固体状の物質が得られる。 上記の方法で無機塩を含有するNMP溶液を蒸留することによって、過酸化物の生成を抑制し、かつ無機塩の析出による閉塞や伝熱低下を起こすことなく、NMPを精製することができるが、無機塩を含有するNMP溶液にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して行うと、より過酸化物の生成が抑制されるので好ましい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の添加量は、NMP溶液の約0.05〜0.3重量%、好ましくは約0.1〜0.2重量%である。この水酸化物は、通常、水溶液として添加される。 以下、実施例を示し、本発明を具体的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。 なお、過酸化物濃度の測定は、ヨウ素滴定法で行った。実施例1 掻き取り式蒸発器(直径55mmφ、伝熱面積0.04m2)を用い、窒素ガスを流しながら、塩化カルシウムを含有するNMP溶液(CaCl2:3.3重量%、NMP:96.55重量%、過酸化物:20ppm)を平均108g/分で供給し、器底温度150℃で連続蒸留を行った。滞留時間は約1分であった。NMPの留出量は平均90g/分で回収率は86%であった。得られたNMP中の過酸化物濃度は50ppmであった。 器底からは固体状の物質が得られた。実施例2 塩化カルシウムを含有するNMP溶液に水酸化ナトリウムを添加(NMP溶液の0.15重量%)した溶液を供給した以外は実施例1と同様に連続蒸留を行った。滞留時間は約1分であった。NMPの留出量は平均90g/分で回収率は86%であった。得られたNMP中の過酸化物濃度は10ppm以下であった。比較例1 充填塔(理論段数:10段、塔径30mm、缶容積3000ml)に、実施例1と同じ塩化カルシウムを含有するNMP溶液を3000g仕込み、窒素ガスを流しながら塔底温度125〜130℃で回分蒸留を6時間行った。NMPの留出量は1800gで回収率は62%であった。得られたNMP中の過酸化物濃度は130ppmであった。 無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液を、掻き取り式薄膜蒸発器を用いて蒸留してN−メチル−2−ピロリドンを分離することを特徴とするN−メチル−2−ピロリドンの精製方法。 蒸発器の器底温度を50〜150℃であることを特徴とする請求項1記載の精製方法。 アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して行うことを特徴とする請求項1記載の精製方法。 無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液が、無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン水溶液を蒸留して水を除いて得られる溶液であることを特徴とする請求項1記載の精製方法。 【課題】過酸化物の生成を抑制すると共に、無機塩による閉塞を起こすことなく、無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液を蒸留して高回収率でN−メチル−2−ピロリドンを蒸留精製する方法を提供する。【解決手段】本発明の無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドンの精製方法は、無機塩を含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液を、掻き取り式薄膜蒸発器を用いて蒸留してN−メチル−2−ピロリドンを分離することを特徴とし、その際に、蒸発器の器底温度を50〜150℃で行うことが好ましく、さらに、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して行うことが好ましい。【選択図】なし