生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_関節リウマチ感受性遺伝子、及び関節リウマチ罹患リスクの測定方法
出願番号:2005287114
年次:2007
IPC分類:C12N 15/09,C12N 9/12,C12Q 1/68


特許情報キャッシュ

板倉 光夫 安井 夏生 井上 寛 高田 洋一郎 JP 2007089546 公開特許公報(A) 20070412 2005287114 20050930 関節リウマチ感受性遺伝子、及び関節リウマチ罹患リスクの測定方法 国立大学法人徳島大学 304020292 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 中野 睦子 100108084 板倉 光夫 安井 夏生 井上 寛 高田 洋一郎 C12N 15/09 20060101AFI20070316BHJP C12N 9/12 20060101ALI20070316BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20070316BHJP JPC12N15/00 AC12N9/12C12Q1/68 AC12Q1/68 Z 11 OL 37 4B024 4B050 4B063 4B024AA01 4B024AA11 4B024BA10 4B024CA02 4B024CA09 4B024HA08 4B024HA12 4B050CC01 4B050CC03 4B050DD11 4B050LL03 4B063QA01 4B063QA17 4B063QA18 4B063QA19 4B063QQ02 4B063QQ08 4B063QQ12 4B063QQ27 4B063QQ43 4B063QQ53 4B063QR08 4B063QR32 4B063QR35 4B063QR42 4B063QR50 4B063QR55 4B063QR62 4B063QR66 4B063QR77 4B063QR82 4B063QS03 4B063QS25 4B063QS28 4B063QS34 4B063QS36 4B063QS39 4B063QX01 本発明は、関節リウマチ感受性遺伝子に関する。また本発明は、関節リウマチ罹患の危険度を測定し判定する方法に関する。当該方法は、より詳細にはヒトゲノムDNAを含む試料から、関節リウマチ罹患に関連したSNPs(単一塩基多型)、好ましくはハプロタイプを検出することにより、該試料提供者(被験者)が関節リウマチに罹患する潜在的な危険度を有するか否かを検出し、判定する方法である。さらに本発明は、かかる検出方法の実施にあたり有効に使用することができる関節リウマチ罹患診断マーカー、プローブ、プライマー並びに試薬キットに関する。 関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis :(RA [ MIM 180300 ])(以下、「RA」ともいう)は、自己免疫性の全身炎症性疾患であり、罹患者は全世界の人口の約1%である。RAは、滑膜の炎症とそれに伴う軟骨・骨破壊による関節破壊を特徴とする。遺伝的要因と環境要因が発症に関与するとされているが、その詳細な病因はいまだ明らかにされていない。一卵性および二卵性双生児研究で、遺伝的背景が疾患感受性の約60%を占めることが明らかにされている(非特許文献1)。 従来より多くの関節リウマチ感受性座位が報告されているが、複数の人種間で再現性をもってRAと連鎖を示したのはHLA-DRB1座位のみである (非特許文献2〜4)。しかしながら、HLAですら、RAの遺伝的背景の3分の1に寄与するのみであると考えられている(非特許文献5)。 最近、ゲノムワイドアプローチもしくは候補遺伝子領域アプローチに基づいて、RAの感受性遺伝子として、SLC22A4(非特許文献6), PADI4 (非特許文献7), PTPN22 (非特許文献8) 、及びFCRL3 (非特許文献9)が報告されている。また、全ゲノムにたいする罹患同胞対解析により、1q13、3q13、6q21-23、14q21-23、16pと18q21-23などがRAの疾患感受性領域として報告されている(非特許文献10〜13)。これらのRA感受性領域のなかで、14q21-23(D14S285)はヨーロッパの白人において、P=0.049でRAと関連を示し(非特許文献10)、また14q21-23(D14S276)は日本人と英国の白人の両方においてRAと連鎖を示している。 しかしながら、前述するように、RAは遺伝的要因と環境的要因とが共に関与して発症にいたる多因子疾患であるため、一遺伝子の変異や異常だけからその罹患リスクを判断することは困難であり、さらなる検討が求められている。MacGregor AJ, Snieder H, Rigby AS, Koskenvuo M, Kaprio J, Aho K, Silman AJ (2000) Characterizing the quantitative genetic contribution to rheumatoid arthritis using data from twins. Arthritis Rheum 43:30-37Wordsworth BP, Lanchbury JS, Sakkas LI, Welsh KI, Panayi GS, Bell JI (1989) HLA-DR4 subtype frequencies in rheumatoid arthritis indicate that DRB1 is the major susceptibility locus within the HLA class II region. Proc Natl Acad Sci U S A 86:10049-10053Del Rincon I, Battafarano DF, Arroyo RA, Murphy FT, Fischbach M, Escalante A (2003) Ethnic variation in the clinical manifestations of rheumatoid arthritis: role of HLA-DRB1 alleles. Arthritis Rheum 15:200-208Wakitani S, Murata N, Toda Y, Ogawa R, Kaneshige T, Nishimura Y, Ochi T (1997) The relationship between HLA-DRB1 alleles and disease subsets of rheumatoid arthritis in Japanese. Br J Rheumatol 36:630-63Deighton CM, Walker DJ, Griffiths ID, Roberts DF (1989) The contribution of HLA to rheumatoid arthritis. Clin Genet 36:178-182Tokuhiro S, Yamada R, Chang X, Suzuki A, Kochi Y, Sawada T, Suzuki M, Nagasaki M, Ohtsuki M, Ono M, Furukawa H, Nagashima M, Yoshino S, Mabuchi A, Sekine A, Saito S, Takahashi A, Tsunoda T, Nakamura Y, Yamamoto K (2003) An intronic SNP in a RUNX1 binding site of SLC22A4, encoding an organic cation transporter, is associated with rheumatoid arthritis. Nat Genet 35:341-348Suzuki A, Yamada R, Chang X, Tokuhiro S, Sawada T, Suzuki M, Nagasaki M et al. (2003) Functional haplotypes of PADI4, encoding citrullinating enzyme peptidylarginine deiminase 4, are associated with rheumatoid arthritis. Nat Genet 34:395-402Begovich AB, Carlton VE, Honigberg LA, Schrodi SJ, Chokkalingam AP, Alexander HC, Ardlie KG et al. (2004) A missense single-nucleotide polymorphism in a gene encoding a protein tyrosine phosphatase (PTPN22) is associated with rheumatoid arthritis. Am J Hum Genet 75:330-337Kochi Y, Yamada R, Suzuki A, Harley JB, Shirasawa S, Sawada T, Bae SC, Tokuhiro S, Chang X, Sekine A, Takahashi A, Tsunoda T, Ohnishi Y, Kaufman KM, Kang CP, Kang C, Otsubo S, Yumura W, Mimori A, Koike T, Nakamura Y, Sasazuki T, Yamamoto K (2005) A functional variant in FCRL3, encoding Fc receptor-like 3, is associated with rheumatoid arthritis and several autoimmunities. Nat Genet 37:478-485Cornelis F, Faure S, Martinez M, Prud'homme JF, Fritz P, Dib C, Alves H, et al. (1998) New susceptibility locus for rheumatoid arthritis suggested by a genome-wide linkage study. Proc Natl Acad Sci U S A 95:10746-10750Shiozawa S, Hayashi S, Tsukamoto Y, Goko H, Kawasaki H, Wada T, Shimizu K,Yasuda N, Kamatani N, Takasugi K, Tanaka Y, Shiozawa K, Imura S (1998) Identification of the gene loci that predispose to rheumatoid arthritis. Int Immunol 10:1891-1895Jawaheer D, Seldin MF, Amos CI, Chen WV, Shigeta R, Monteiro J, Kern M, Criswell LA, Albani S, Nelson JL, Clegg DO, Pope R, Schroeder HW Jr, Bridges SL Jr, Pisetsky DS, Ward R, Kastner DL, Wilder RL, Pincus T, Callahan LF, Flemming D, Wener MH, Gregersen PK (2001) A genomewide screen in multiplex rheumatoid arthritis families suggests genetic overlap with other autoimmune diseases. Am J Hum Gnenet 68:927-936MacKay K, Eyre S, Myerscough A, Milicic A, Barton A, Laval S, Barrett J, Lee D, White S, John S, Brown MA, Bell J, Silman A, Ollier W, Wordsworth P, Worthington J (2002) Whole-genome linkage analysis of rheumatoid arthritis susceptibility loci in 252 affected sibling pairs in the United Kingdom. Arthritis Rheum 46:632-639 本発明の目的は、日本人における関節リウマチの発症に有意に関連する遺伝子多型並びに関節リウマチ感受性遺伝子を提供し、さらにこれらの情報をもとにして個々の被験者について関節リウマチの罹患リスクを判定するための方法を提供することである。さらに本発明の目的は、当該方法を簡便に実施するために有用な試薬および試薬キットを提供することである。 本発明者らは、日本人集団を対象として、関節リウマチ(RA)の発症に関与するRA疾患感受性遺伝子および遺伝子多型を見いだすことを目的として、かねてより複数の人種間で繰り返して連鎖が報告されてきた領域(第14染色体長腕21-23:14q21-23)を候補領域として選択し、関節リウマチ患者と対照者との間(ケースコントロール間)での感受性領域に存在するマーカーSNPのアレル頻度の差を比較調査した結果、当該ヒト第14染色体(14q21-23)に存在するPRKCH遺伝子のイントロン2およびエクソン9の中にケースコントロール間でアレル頻度に有意差を認める特定の遺伝子多型を有する領域が3箇所存在することを見いだした。そして、個々の被験者について当該領域の遺伝子多型、好ましくはこれら領域の少なくとも2領域の遺伝子多型の組み合せを検出することにより、当該被験者について関節リウマチを発症する潜在的な危険度が、高い確率で検出できることを見いだし、本発明を完成するにいたった。 すなわち、本発明は下記の発明を提供するものである:項1.配列番号1に示すアミノ酸配列を有する変異ヒトプロテインキナーゼCエタ。項2.項1に記載する変異ヒトプロテインキナーゼCエタをコードするヒトPRKCH遺伝子またはその遺伝子産物。 項3.下記の21からなる群から選択される少なくとも一つのオリゴまたはポリヌクレオチドからなる、関節リウマチの罹患診断マーカー:(1) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77624位(PK011)に位置するCまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(2) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77995位(SNP316)に位置するCまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(3) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、79479位(PK015)に位置するGまたはAを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、 (4) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、80267位(PK018)に位置するCまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、 (5) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、81682位(PK022)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(6) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85179位(PK028)に位置するTまたはCを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(7) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85309位(PK030)に位置するAまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(8) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85639位(PK031)に位置するTまたはCを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(9) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85859位(PK032)に位置するGまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(10) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85933位(SNP317)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(11) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、86306位(PK033)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(12) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88042位(PK035)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(13) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88549位(PK037)に位置するTまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(14) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90690位(PK039)に位置するTまたはCを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(15) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90983位(PK040)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(16) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、128663位(Int5)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(17) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、135724位(Ex9)に位置するGまたはAを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(18) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、144962位(Add9-1)に位置するTまたはCを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(19)ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145076位(Add9-2)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(20) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145503位(Int9-1)に位置するCまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(21) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、148285位(Add9-3)に位置するGまたはAを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド。 項4. ヒト被験者から得られるゲノムDNAを対象として、下記A群〜C群から選択される少なくとも2群に記載する塩基の中から各々少なくとも1つの塩基を検出し同定する工程を含む、当該被験者について関節リウマチの罹患リスクを検出する方法:A群 (1) ヒトPRKCH遺伝子の77624位(PK011)の塩基(2) ヒトPRKCH遺伝子の77995位(SNP316)の塩基(3) ヒトPRKCH遺伝子の79479位(PK015)の塩基(4) ヒトPRKCH遺伝子の80267位(PK018)の塩基(5) ヒトPRKCH遺伝子の81682位(PK022)の塩基(6) ヒトPRKCH遺伝子の85179位(PK028)の塩基(7) ヒトPRKCH遺伝子の85309位(PK030)の塩基(8) ヒトPRKCH遺伝子の85639位(PK031)の塩基(9) ヒトPRKCH遺伝子の85859位(PK032)の塩基(10) ヒトPRKCH遺伝子の85933位(SNP317)の塩基(11) ヒトPRKCH遺伝子の86306位(PK033)の塩基B群(12) ヒトPRKCH遺伝子の88042位(PK035)の塩基(13) ヒトPRKCH遺伝子の88549位(PK037)の塩基(14) ヒトPRKCH遺伝子の90690位(PK039)の塩基(15) ヒトPRKCH遺伝子の90983位(PK040)の塩基C群(16) ヒトPRKCH遺伝子の128663位(Int5)の塩基(17) ヒトPRKCH遺伝子の135724位(Ex9)の塩基(18) ヒトPRKCH遺伝子の144962位(Add9-1)の塩基(19)ヒトPRKCH遺伝子の145076位(Add9-2)の塩基(20)ヒトPRKCH遺伝子の145503位(Int9-1)の塩基(21)ヒトPRKCH遺伝子の148285位(Add9-3)の塩基 項5.ヒト被験者から得られるゲノムDNAを対象として、A群(3)の塩基(PK015)、B群(13)の塩基(PK037)及びC群(20)の塩基(Int9-1)から選択される少なくとも2つの塩基を検出し同定する工程、及び 上記で検出し同定した少なくとも2つの塩基が、下記の条件:A群(3)の塩基(PK015):アデニンB群(13)の塩基(PK037):グアニンC群(20)の塩基(Int9-1):シトシンまたはチミンを満たしている場合に当該被験者が関節リウマチ易罹患性であると判定する工程を有する、項4に記載する関節リウマチの罹患リスクを検出する方法。 項6. ヒト被験者から得られるゲノムDNAを対象として、少なくともC群(17)の塩基(Ex9)を検出し同定する工程を有し、検出し同定した当該塩基(Ex9)がアデニン(A)である場合に当該被験者が関節リウマチ易罹患性であると判定する工程を有する、項4に記載する関節リウマチの罹患リスクを検出する方法。項7.ヒト被験者の生体試料を対象として、ヒトプロテインキナーゼCエタの374番目のアミノ酸変異(V→I)の有無を検出するか、または当該アミノ酸変異をもたらす遺伝子多型を検出する工程を有する、当該被験者について関節リウマチの罹患リスクを検出する方法。項8.下記の(1)〜(21)からなる群から選択される少なくとも一つのオリゴまたはポリヌクレオチド(但し、当該オリゴ若しくはポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)にハイブリダイズする15〜30塩基長のオリゴヌクレオチドまたはその標識物からなる、関節リウマチ発症リスクを検出するために用いられるプライマー:(1) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77624位(PK011)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(2) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77995位(SNP316)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(3) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、79479位(PK015)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(4) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、80267位(PK018)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(5) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、81682位(PK022)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(6) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85179位(PK028)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(7) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85309位(PK030)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(8) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85639位(PK031)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(9) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85859位(PK032)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(10) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85933位(SNP317)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(11) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、86306位(PK033)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(12) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88042位(PK035)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(13) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88549位(PK037)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(14) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90690位(PK039)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(15) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90983位(PK040)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(16) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、128663位(Int5)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(17) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、135724位(Ex9)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(18) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、144962位(Add9-1)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(19) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145076位(Add9-2)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(20) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145503位(Int9-1)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(21) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、148285位(Add9-3)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド。 項9.下記の(1)〜(21)からなる群から選択される少なくとも一つのオリゴまたはポリヌクレオチド(但し、当該オリゴ若しくはポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)にハイブリダイズする16〜500塩基長のオリゴヌクレオチドまたはその標識物からなる、関節リウマチ発症リスクを検出するために用いられるプローブ:(1) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77624位(PK011)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(2) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77995位(SNP316)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(3) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、79479位(PK015)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(4) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、80267位(PK018)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(5) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、81682位(PK022)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(6) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85179位(PK028)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(7) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85309位(PK030)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(8) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85639位(PK031)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(9) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85859位(PK032)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(10) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85933位(SNP317)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(11) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、86306位(PK033)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(12) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88042位(PK035)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(13) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88549位(PK037)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(14) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90690位(PK039)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(15) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90983位(PK040)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(16) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、128663位(Int5)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(17) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、135724位(Ex9)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(18) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、144962位(Add9-1)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(19) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145076位(Add9-2)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(20) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145503位(Int9-1)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(21) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、148285位(Add9-3)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド。項10.任意の固相に固定してなる固相化プローブである項9に記載するプローブ。項11.項8に記載するプライマー、または/及び項9若しくは10に記載するプローブを含む、関節リウマチ罹患リスク検出用試薬、または当該試薬を含むキット。 本発明によれば、関節リウマチ(RA)を発症する相対的な危険度を簡便に検出することができる。本発明の検出方法は、in vitroでしかも医師等の専門的な知識を要することなく簡単に実施することができる方法である。本発明の検出方法によってRAを発症する潜在的な危険度が相対的に高いことが判明した被験者に対しては、その旨を告知し、予めRAの発症を防ぐか、または少しでも遅延させるための的確な対策を講じることができる。従って、本発明は、RAの発症を予防するための、またはRA発症を遅延させるための検査方法として極めて有用である。さらに本発明は上記検出法において使用される試薬を提供するものであり、これにより上記方法を簡便に実施することが可能となる。1.本発明で使用する用語の定義 本明細書における塩基配列(ヌクレオチド配列)、核酸などの略号による表示は、IUPAC−IUBの規定〔IUPAc-IUB communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138; 9 (1984)〕、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作製のためのガイドライン」(特許庁編)及び当該分野における慣用記号に従うものとする。 本明細書中において「遺伝子」は、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNA、及び1本鎖DNA(センス鎖)、並びに当該センス鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(アンチセンス鎖)、及びそれらの断片のいずれもが含まれる、また、本明細書で「遺伝子」とは、特に言及しない限り、調節領域、コード領域、エクソン、及びイントロンを区別することなく示すものとする。 また、本明細書中において、「ヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は、核酸と同義であって、DNAおよびRNAの両方を含むものとする。また、これらは2本鎖であっても1本鎖であってもよく、ある配列を有する「ヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」)といった場合、特に言及しない限り、これに相補的な配列を有する「ヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」)も包括的に意味するものとする。さらに、「ヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」)がRNAである場合、配列表に示される塩基記号「T」は「U」と読み替えられるものとする。 本明細書において「遺伝子多型」とは、2つ以上の遺伝的に決定された対立遺伝子がある場合にそれらの対立遺伝子を指す。具体的には、ヒトの集団において、ある一個体のゲノム配列を基準として、他の1または複数の個体ゲノム中の特定部位に、1又は複数のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、転移、逆位などの変異が存在するとき、その変異が当該1または複数の個体に生じた突然変異でないことが統計学的に確実か、または当該個体内特異変異でなく、1%以上の頻度で集団内に存在することが家系的に証明される場合、その変異を「遺伝子多型」とする。本明細書で用いる「遺伝子多型」の意味には、単一のヌクレオチドの変化によって引き起こされる多型であるいわゆる1塩基多型〔Single Nucleotide Polymorphism:SNP(又はSNPs)〕と連続した複数ヌクレオチドにわたる多型の両方が含まれる。「一塩基多型」とは、単一の核酸の変化によって引き起こされる多型である。多型は選択された集団の1%より大きな頻度、好ましくは10%以上の頻度で存在する。また「ハプロタイプ」とは、一つのアレル(ハプロイド)に存在する遺伝子変異の組み合わせをいう。 本明細書において「関節リウマチ疾患感受性遺伝子」(RA疾患感受性遺伝子)とは、多遺伝子性疾患である関節リウマチ(RA)を発症しやすい体質を決める遺伝子のことをいう。 また、本明細書において「アレル頻度」とは、一つの遺伝子の座位について、集団中に存在する全遺伝子数のうち、その対立遺伝子が占める割合をいう。 本明細書において「連鎖不平衡」とは、集団における任意の対立遺伝子の組み合わせの頻度について、偶然によって期待されるよりも、より頻繁に近傍の特定対立と出現する関係のことをいう。例えば、遺伝子座Xが対立遺伝子a及びb(これらの等しい頻度で存在する)を有し、近傍の遺伝子座Yが対立遺伝子c及びd(これらは等しい頻度で存在する)を有する場合、別の遺伝子多型の組み合わせであるハプロタイプacは、集団において0.25の頻度で存在することが期待される。ハプロタイプacがこうした期待値よりも大きい場合、つまりacという特定の遺伝子型が頻繁に出現する場合、対立遺伝子acは連鎖不平衡にあるという。連鎖不平衡は、対立遺伝子の特定の組み合わせの自然選択または集団に導入された時期が進化的にみて最近であることによって生じたもので、連鎖する対立遺伝子同士が平衡に達していないことから生じ得る。従って、民族や人種などのように、別の集団においては連鎖不平衡の様式は異なり、ある集団においてacが連鎖不平衡である場合でも、別の集団でadが連鎖不平衡の関係である場合もある。連鎖不平衡における遺伝子多型の検出は、当該多型そのものが直接疾患を引き起こさないにも拘わらず、疾患に対する感受性を検出するのに有効である。例えば、ある遺伝子座Xの対立遺伝子aについて、それが疾患の原因遺伝子要素ではないが、遺伝子座Yの対立遺伝子cとの連鎖不平衡により、疾患感受性を示し得ることがある。 本明細書において「連鎖不平衡解析」とは、ゲノム領域における連鎖不平衡の強さの度合いを解析することをいう。例えば、連鎖不平衡解析は2つのマーカー間での連鎖不平衡の強さを示す連鎖不平衡係数|D’|を健常者(対照者)のタイピングデータから算出することで行うことができる。 本明細書において「マイナーアレル」とは、一つの遺伝子の座位について2つの対立遺伝子が存在する場合において、遺伝子頻度の低い対立遺伝子(アレル)をいう。 なお、本明細書に記載する各塩基番号は、The National Center for Biotechnology Information data baseの位置情報に基づくものである。また、本明細書において「ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列」という場合の位置情報「xxxx位」というのは、PRKCH遺伝子のエクソン1の1番目の塩基を1としたときの位置情報を意味する。 2.関節リウマチ疾患感受性遺伝子 多因子疾患である関節リウマチ(RA)の遺伝的要因や環境因子を同定することは、個々の因子が病因や病態に関与する度合いが少ないがゆえに困難である。均一に配置された頻度の高いSNPを使用して、広範囲領域にわたってケースコントロール関連解析を行うアプローチ(領域ワイドのケースコントロール関連解析)は、多因子疾患であるRAの疾患感受性遺伝子を同定するための効果的かつ強力なアプローチである。 そこで本発明者らは、日本人におけるRA疾患感受性遺伝子を探索するために、第14番染色体のq21-23(14q21-23)の領域をRAの感受性候補領域として選び、gene-centric evenly-spaced common SNP「遺伝子領域に均一に配置された頻度の高い一塩基多型(SNP)」を用いて、領域ワイドのケースコントロール関連解析ならびに連鎖不平衡(LD)マッピングを行うことにより、14q22に位置するプロテインキナーゼCエタをコードするヒトPRKCH遺伝子がRAの感受性を規定する遺伝子であることを見出した。当該ヒトPRKCH遺伝子は、ヒト第14染色体のゲノム配列(Genbank Sequence Accession IDs: NC 000014)中、塩基番号60,858,268番〜61,087,451番に位置する229,184bpの遺伝子である(Gene Name: Homo sapiens gene PRKCH, encoding protein kinase C, eta)。 なお本発明のRA疾患感受性遺伝子の同定は、実施例に記載するように、具体的には下記に説明する方法によって行われた。 前述するようにRAの感受性候補領域として第14番染色体のq21-23(14q21-23)を選択し、その領域内に等間隔に配置された422のSNPを用いて、2段階のケースコントロール関連解析を行った。422のSNPのうち2つのSNP(SNP316とSNP317)がRAと有意な関連を示し、続いて行った追加タイピングと連鎖不平衡解析により、RA疾患感受性座位はPRKCH遺伝子のイントロン2にある異なる2つの連鎖不平衡ブロック(連鎖不平衡ブロックA、連鎖不平衡ブロックB)に存在することが明らかになった。なお、ここで連鎖不平衡ブロックA(LDブロックA)はヒト第14染色体のゲノム配列中、塩基番号60,935,892番〜60,945,653番(PRKCH遺伝子の塩基配列中、77624 〜87385位に相当する)に位置する領域であり、連鎖不平衡ブロックB(LDブロックB)はヒト第14染色体のゲノム配列中、塩基番号60,946,310番〜60,949,251番(PRKCH遺伝子の塩基配列中、88042〜90983位に相当する)に位置する領域である。LDブロックAおよびBには、図5に示すように各々14つおよび4つのSNPが存在している。 次いでブロックAを構成する14つのSNPに対して、進化論に基づくハプロタイプ解析を行い、3つの疾患感受性候補SNP(PK015、PK032、PK033)を同定した。ブロックBに存在する有意SNP(PK035、PK037、PK039、PK040)はブロックAの上記SNPと中程度の連鎖不平衡の状態にあった。しかし、その他のパラメータ(LDUや組み替え率)から、ブロックAとブロックBは一連のLDブロックではなく別個のLDブロックであると考えられた。 さらにPRKCH遺伝子の全コード領域をシークエンスした。これから、プロテインキナーゼCエタのATP結合サイトをコードするエクソン9に、アミノ酸置換(V374I)を伴う非同義置換SNP(Ex9)を同定した。この非同義置換SNPはアレル頻度が高く(>0.2)、RAと有意な関連を示した(p=0.0016)。さらに、このSNPはイントロン2の有意SNPと低い連鎖不平衡の関係にあった。このSNP(Ex9)のほか、RAと有意な関連を示すSNPを含む領域を連鎖不平衡ブロックCとした(図5参照)。当該連鎖不平衡ブロックC(LDブロックC)はヒト第14染色体のゲノム配列中、塩基番号60,986,931番〜61,006,553番(PRKCH遺伝子の塩基配列中、128663〜148285位に相当する)に位置する領域である。 次いで、これら別々の3つの連鎖不平衡ブロック(LDブロックA〜C)に存在するSNPの相互関係を明らかにするために、それぞれのブロックから最も強い有意差を示したSNP (PK015, PK037, Int9-1)を選択し、それぞれのSNP同士の遺伝子型の組み合わせの分布をケースコントロール間で比較した。その結果、それぞれのSNPの遺伝子型の2もしくは3つの組み合わせは、SNP単独でのオッズ比よりもすべて高いオッズ比を示した。このことから、上記ヒト第14染色体(14q22)に位置するヒトPRKCH遺伝子の塩基配列上の3つの連鎖不平衡ブロックに存在するそれぞれのSNPが相互的にRA疾患感受性に寄与していると考えられた。 なお、本発明においてRA疾患感受性遺伝子として同定されたヒトPRKCH遺伝子は、これまでに行われた罹患同胞対解析で連鎖を示したマイクロサテライトマーカー(D14S285とD14S276)から、約6Mb離れた位置に存在する遺伝子である。また最近、日本人のゲノムワイドのケースコントロール関連解析が報告されているが(Tamiya G, Shinya M, Imanishi T, Ikuta T, Makino S, Okamoto K, Furugaki K et al. (2005) Whole genome association study of rheumatoid arthritis using 27,039 microsatellites. Hum Mol Genet 14:2305-2321)、その中で、RA疾患感受性遺伝子とされたRTN1遺伝子(14q32.1)は、本発明で同定したPRKCH遺伝子の約1.8Mb上流に存在する遺伝子である。 PRKCH遺伝子がコードするプロテインキナーゼC-エタ(PKCエタ)が属するプロテインキナーゼC(PKC)は、リン脂質依存性のセリン/スレオニン・キナーゼであり、少なくとも11のアイソフォームからなり、さまざまな細胞内シグナル伝達に関与することが報告されている。一般に、PKCアイソフォームは共同分子の依存性に応じて下記の3種類に分類される:(1)ジアシルグリセロールや酸性フォスファターゼやCa2+依存性のconventional PKC(アルファ、ベータ、ガンマ)(2) Ca2+非依存性のNovel PKC(デルタ、エプシロン、エタ、シータとミュー)(3) ジアシルグリセロールとCa2+のどちらによっても活性化されないAtypical PKC(ゼータとラムダ)。 それぞれのPKCアイソフォームは異なった組織分布を示すことが報告されており、それぞれの組織や細胞はしばしば複数のアイソフォームを発現する。PKCエタは、novel PKCサブグループのメンバーであって、当初、人間の皮膚と肺のcDNAライブラリーから分離されたものである(Osada et al. (1990) A phorbol ester receptor/protein kinase, nPKC eta, a new member of the protein kinase C family predominantly expressed in lung and skin. J Biol Chem 265:22434-22440)。 いくつかのPKCに関してノックアウトマウスが作成されており、様々な細胞機能、特に中枢神経系と免疫系に関わることが報告されている(Abeliovich A, et al., (1993) PKC gamma mutant mice exhibit mild deficits in spatial and contextual learning. Cell 31: 1263-1271; Leitges M, et al., (1996) Immunodeficiency in protein kinase cbeta-deficient mice. Science 273:788-791; Leitges M, et al., (2001) Targeted disruption of the zetaPKC gene results in the impairment of the NF-kappaB pathway. Mol Cell 8:771-780; Hodge CW, et al., (1999) Supersensitivity to allosteric GABA(A) receptor modulators and alcohol in mice lacking PKCepsilon. Nat Neurosci 2:997-1002; Sun Z, et al., (2000) PKC-theta is required for TCR-induced NF-kappaB activation in mature but not immature T lymphocytes. Nature 23:402-407; Mecklenbrauker I, et al., (2002) Protein kinase Cdelta controls self-antigen-induced B-cell tolerance. Nature 25:860-865; Miyamoto A, et al., (2002) Increased proliferation of B cells and auto-immunity in mice lacking protein kinase Cdelta. Nature 25:865-869)。 PKCエタのノックアウトマウスは、野生型マウスと比較して明らかな外見上の相違は認められなかったが、PKCエタが上皮細胞の再生やリモデリングを通して腫瘍発生に関与することがin vivo で示されている(Chida K, et al., (2003) Disruption of protein kinase Ceta results in impairment of wound healing and enhancement of tumor formation in mouse skin carcinogenesis. Cancer Res 15:2404-2408)。また、PKCエタは様々な免疫系の機能、例えば、サイトカイン生産(Fima E, et al., (1999) Expression of PKCeta in NIH-3T3 cells promotes production of the pro-inflammatory cytokine interleukin-6. Eur Cytokine Netw 10:491-500) またはB細胞分化(Morrow TA, et al., (1999) Pro-B-cell-specific transcription and proapoptotic function of protein kinase Ceta. Mol Cell Biol 19:5608-5618)に関係していることが報告されている。さらに、炎症性関節炎患者から得られた単球由来のマクロファージ(PB-MDM)において、PKCエタは誘導性NO合成酵素(iNOS)の発現に相関していることが報告されている。また、MCF-7細胞において、PRKCHを過剰発現することにより、カスパーゼの活性化を阻害し、TNF誘導性のアポトーシスを抑制することが報告されている(Akkaraju GR, et al., (2000) Overexpression of protein kinase C-eta attenuates caspase activation and tumor necrosis factor-alpha-induced cell death. Biochem Biophys Res Commun 279:103-107)。 実施例に示すように、PRKCH遺伝子は脾臓を含むヒト組織でユビキタスに発現していた。またT細胞のセルラインでPRKCHが強く発現していることが報告されていることから、PRKCHは自己免疫に関与している可能性が考えられる。 以上のことは、PRKCH遺伝子が、有力な関節リウマチ(RA)の疾患感受性遺伝子であるという本発明の知見を裏付けるものである。 前述するように、PRKCH遺伝子の全コード領域をシークエンスすることによって見出されたエクソン9上の非同義置換SNP(Ex9)(PRKCH遺伝子の135724位、G/A)は、PRKCH遺伝子の発現産物であるプロテインキナーゼCエタ(PKCエタ)の374番目のアミノ酸置換(V→I)を伴う。このことから、PKCエタの374番目のアミノ酸置換(V→I)(「アミノ酸置換(V374I)」ともいう)は、ヒト被験者について関節リウマチの易罹患性を判断する指標となる。すなわち、当該アミノ酸置換(V374I)を有するPKCエタ(変異PKCエタ(V374I))またはこの遺伝子〔PRKCH遺伝子(G135724A)(PRKCH遺伝子(DNA)の135724位のグアニンがアデニンに置換されている)〕を保有するヒトは、RA易罹患性と判断することができる。 従って、本発明は、かかる変異プロテインキナーゼCエタ(V374I)ならびにこの遺伝子(PRKCH遺伝子(DNA))およびその遺伝子産物(mRNA、cDNA)を、ヒト、特に日本人の関節リウマチの易罹患性を規定する蛋白質ならびに遺伝子および遺伝子産物の一つとして提供する。なお、変異PKCエタのアミノ酸配列を後述する配列表の配列番号1に、これをコードするPRKCH遺伝子の遺伝子産物(mRNA、cDNA)の塩基配列(PRKCH遺伝子のコード領域の塩基配列)を配列番号2に示す。 ところで、この変異PKCエタをもたらすPRKCH遺伝子のエクソン9の非同義置換SNP(V374I:rs22030500)は、ATP結合配列(GxGx2Gx16K)の13番目のバリンをイソロイシンに置換するSNPである。ATP結合部位はほとんどのPKC分子間で共通して保存され、酵素活性に不可欠であり、他のプロテインキナーゼCアイソフォームのATP結合部位の点突発変異がキナーゼ活性を失活させることが報告されている(Ohno S, et al., (1990) A point mutation at the putative ATP-binding site of protein kinase C alpha abolishes the kinase activity and renders it down-regulation-insensitive. A molecular link between autophosphorylation and down-regulation. J Biol Chem 15:6296-6300; Ohno S, et al., (1990) A point mutation at the putative ATP-binding site of protein kinase C alpha abolishes the kinase activity and renders it down-regulation-insensitive. A molecular link between autophosphorylation and down-regulation. J Biol Chem 15:6296-6300; Li W, et al., (1995) Characterization of a protein kinase C-delta (PKC-delta) ATP binding mutant. An inactive enzyme that competitively inhibits wild type PKC-delta enzymatic activity. J Biol Chem 27:8311-8318)。 このことから、遺伝子の候補座位の一つであるLDブロックCが、RAの感受性に関わるメカニズムとして、拘束はされないが、この非同義置換SNP(V374I:rs22030500)が、PKCエタの触媒領域のATP結合サイトに構造的変化を起こすことによって、PRKCHの酵素活性を変化させることが考えられる。 3.関節リウマチ罹患診断マーカー 本発明は、上記RA疾患感受性遺伝子であるヒトPRKCH遺伝子の上記3つの連鎖不平衡ブロック(LDブロックA〜C)内に存在する関節リウマチ疾患感受性SNP(RA疾患感受性SNP)を含むオリゴまたはポリヌクレオチドであって、ヒトゲノム上で特異的に認識されるオリゴまたはポリヌクレオチドを、関節リウマチ罹患診断マーカー(RA罹患診断マーカー)として提供する。 ここでRA疾患感受性SNPとしては、下記の21つのSNPを挙げることができる。(i)LDブロックA(ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、77624〜87385位)内に存在するSNPである下記(1)〜(11): (1) PK011;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、77624位に位置するSNP (2) SNP316;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、77995位に位置するSNP (3) PK015;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、79479位に位置するSNP (4) PK018;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、80267位に位置するSNP (5) PK022;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、81682位に位置するSNP (6) PK028;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、85179位に位置するSNP (7) PK030;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、85309位に位置するSNP (8) PK031;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、85639位に位置するSNP (9) PK032;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、85859位に位置するSNP (10) SNP317;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、85933位に位置するSNP (11) PK033;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、86306位に位置するSNP(ii)LDブロックB(ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、88042〜90983位)内に存在するSNPである下記(12)〜(15): (12) PK035;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、88042位に位置するSNP (13) PK037;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、88549位に位置するSNP (14) PK039;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、90690位に位置するSNP (15) PK040;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、90983位に位置するSNPおよび(iii)LDブロックC(ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、128663〜148285位)内に存在するSNPである下記(16)〜(21): (16) Int5 ;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、128663位に位置するSNP (17) Ex9 ;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、135724位に位置するSNP (18) Add9-1;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、144962位に位置するSNP (19) Add9-2;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、145076位に位置するSNP (20) Int9-1;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、145503位に位置するSNP (21) Add9-3;ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、148285位に位置するSNP。 これらの各SNPを含むオリゴまたはポリヌクレオチドの長さ(塩基長)は、ヒトゲノム上で特異的に認識される長さであればよく、その限りにおいて特に制限されない。通常10塩基長以上、好ましくは20塩基長以上である。従って、本発明のRA罹患診断マーカーは、ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、上記3つのLDブロック内に存在する各RA疾患感受性SNP((1)〜(21))を中心として、51塩基(上記各SNPの5’側及び3’側各25塩基ずつ)、201塩基(上記各SNPの5’側及び3’側各100塩基ずつ)、601塩基(上記各SNPの5’側及び3’側各300塩基ずつ)などを有するオリゴまたはポリヌクレオチドであることができる。 本発明のRA罹患診断マーカーとして、具体的には下記の塩基配列を含有するオリゴまたはポリヌクレオチドを挙げることができる:(1) PK011(塩基CまたはT)を挟んで、配列番号3記載の塩基配列と配列番号4記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(2) SNP316(塩基CまたはT)を挟んで、配列番号5記載の塩基配列と配列番号6記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(3) PK015(塩基GまたはA)を挟んで、配列番号7記載の塩基配列と配列番号8記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(4) PK018(塩基CまたはT)を挟んで、配列番号9記載の塩基配列と配列番号10記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(5) PK022(塩基AまたはG)を挟んで、配列番号11記載の塩基配列と配列番号12記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(6) PK028(塩基TまたはC)を挟んで、配列番号13記載の塩基配列と配列番号14記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(7) PK030(塩基AまたはT)を挟んで、配列番号15記載の塩基配列と配列番号16記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(8) PK031(塩基TまたはC)を挟んで、配列番号17記載の塩基配列と配列番号18記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(9) PK032(塩基GまたはT)を挟んで、配列番号19記載の塩基配列と配列番号20記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(10) SNP317(塩基AまたはG)を挟んで、配列番号21記載の塩基配列と配列番号22記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(11) PK033(塩基AまたはG)を挟んで、配列番号23記載の塩基配列と配列番号24記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(12) PK035(塩基AまたはG)を挟んで、配列番号25記載の塩基配列と配列番号26記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(13) PK037(塩基TまたはG)を挟んで、配列番号27記載の塩基配列と配列番号28記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(14) PK039(塩基TまたはC)を挟んで、配列番号29記載の塩基配列と配列番号30記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(15) PK040(塩基AまたはG)を挟んで、配列番号31記載の塩基配列と配列番号32記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(16) Int5(塩基AまたはG)を挟んで、配列番号33記載の塩基配列と配列番号34記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(17) Ex9(塩基GまたはA)を挟んで、配列番号35記載の塩基配列と配列番号36記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(18) Add9-1(塩基TまたはC)を挟んで、配列番号37記載の塩基配列と配列番号38記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(19) Add9-2(塩基AまたはG)を挟んで、配列番号39記載の塩基配列と配列番号40記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(20) Int9-1(塩基CまたはT)を挟んで、配列番号41記載の塩基配列と配列番号42記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド、(21) Add9-3(塩基GまたはA)を挟んで、配列番号43記載の塩基配列と配列番号44記載の塩基配列を含有する、塩基長が51〜601の範囲にあるオリゴまたはポリヌクレオチド。 これらの塩基配列で特定されるオリゴまたはポリヌクレオチド(DNA断片)は、関節リウマチに対する罹患性(易罹患性、抵抗性)を規定する遺伝的素因マーカーである。ゆえに、当該マーカーを含む遺伝子を検出することにより、被験者における関節リウマチ罹患の遺伝的素因を検査・診断することができる。この意味で、上記オリゴまたはポリヌクレオチドは、RA罹患診断マーカーとして規定することができ、かつ使用することができる。 4.関節リウマチの発症リスクを検出する方法 本発明は、また被験者について関節リウマチ(RA)の罹患危険度(関節リウマチを発症し易いか、発症し難いかの別)を検出する方法を提供する。本発明のRA罹患リスクの検出方法は、被験者から得られるゲノムDNAを対象として、下記A群〜C群のうち少なくとも2群の中に記載する塩基の中から各群少なくとも1つの塩基を検出し同定する工程を有するものである。 A群 (1) ヒトPRKCH遺伝子の77624位(PK011)の塩基(2) ヒトPRKCH遺伝子の77995位(SNP316)の塩基(3) ヒトPRKCH遺伝子の79479位(PK015)の塩基(4) ヒトPRKCH遺伝子の80267位(PK018)の塩基(5) ヒトPRKCH遺伝子の81682位(PK022)の塩基(6) ヒトPRKCH遺伝子の85179位(PK028)の塩基(7) ヒトPRKCH遺伝子の85309位(PK030)の塩基(8) ヒトPRKCH遺伝子の85639位(PK031)の塩基(9) ヒトPRKCH遺伝子の85859位(PK032)の塩基(10) ヒトPRKCH遺伝子の85933位(SNP317)の塩基(11) ヒトPRKCH遺伝子の86306位(PK033)の塩基。 B群(12) ヒトPRKCH遺伝子の88042位(PK035)の塩基(13) ヒトPRKCH遺伝子の88549位(PK037)の塩基(14) ヒトPRKCH遺伝子の90690位(PK039)の塩基(15) ヒトPRKCH遺伝子の90983位(PK040)の塩基。 C群(16) ヒトPRKCH遺伝子の128663位(Int5)の塩基(17) ヒトPRKCH遺伝子の135724位(Ex9)の塩基(18) ヒトPRKCH遺伝子の144962位(Add9-1)の塩基(19)ヒトPRKCH遺伝子の145076位(Add9-2)の塩基(20)ヒトPRKCH遺伝子の145503位(Int9-1)の塩基(21)ヒトPRKCH遺伝子の148285位(Add9-3)の塩基。 なお、A群はLDブロックA(ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、77624〜87385位)内に存在するRA疾患感受性SNPの集合、B群はLDブロックB(ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、88042〜90983位)内に存在するRA疾患感受性SNPの集合、およびC群はLDブロックA(ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列中、128663〜148285位)内に存在するRA疾患感受性SNPの集合である。 ここで検出し同定する塩基(SNP)の組合せとしては、A群に属する(1)〜(11)のいずれか1つの塩基(SNP)とB群に属する(12)〜(15)のいずれか1つの塩基(SNP)との組合せ;A群に属する(1)〜(11)のいずれか1つの塩基(SNP)とC群に属する(16)〜(21)のいずれか1つの塩基(SNP)との組合せ;B群に属する(12)〜(15)のいずれか1つの塩基(SNP)とC群に属する(16)〜(21)のいずれか1つの塩基(SNP)との組合せ;A群に属する(1)〜(11)のいずれか1つの塩基(SNP)とB群に属する(12)〜(15)のいずれか1つの塩基(SNP)とC群に属する(16)〜(21)のいずれか1つの塩基(SNP)との組合せを挙げることができる。A群に属する塩基(SNP)として、好ましくはPK011, SNP316, PK015, PK022, PK028, PK030, PK031, PK032, SNP317,および PK033であり、より好ましくはPK011およびPK015である。またB群に属する塩基(SNP)として、好ましくはPK035, PK037,およびPK039であり、より好ましくはPK037である。さらにC群に属する塩基(SNP)として、好ましくはEx9,Add9-1, Add9-2, Int9-1および Add9-3であり、より好ましくはEx9,Int9-1および Add9-3を挙げることができる。 本発明の検出方法として好ましくは、ヒト被験者から得られるゲノムDNAを対象として、A群(1)の塩基(PK015)、B群(5)の塩基(PK037)及びC群(11)の塩基(Int9-1)から選択される少なくとも2つの塩基を検出し同定する工程を有する方法である。当該方法は、さらに、検出し同定した少なくとも2つの塩基が、下記の条件: A群(3)の塩基(PK015):アデニン B群(13)の塩基(PK037):グアニン C群(20)の塩基(Int9-1):チミンを満たしている場合に当該被験者が関節リウマチに罹りやすい(RA易罹患性)と判定する工程を有することができる。 当該方法によれば、RA易罹患性及びRA難罹患性の別、すなわちRA罹患リスクを判定し診断することができる。当該RA罹患リスクの判定(診断)は、上記塩基の別を判断基準(判断指標)として医師等の専門知識を有する者の判断を要することなく、機械的に行なうことができる。このため、本発明の方法は、関節リウマチの罹患危険度の検出方法と言うことができる。 なお、上記ゲノムDNAの抽出および目的塩基の検出は、公知の方法〔例えば、Bruce, et al., Geneme Analysis/A laboratory Manual (vol.4), Cold Spring Harbor Laboratory, NY., (1999)〕を用いて行うことができる。 ゲノムDNAの抽出を行う検体は、被験者および臨床検体等から単離されたあらゆる細胞(培養細胞を含む。但し生殖細胞は除く)、組織(培養組織を含む)、臓器、または体液(例えば、唾液、リンパ液、気道粘膜、精液、汗、尿等)などを材料とすることができる。該材料としては末梢血から分離した白血球または単核球が好ましく、特に白血球が最も好適である。これらの材料は、臨床検査において通常用いられる方法に従って単離することができる。 例えば白血球を材料とする場合、まず被験者より単離した末梢血から常法に従って白血球を分離する。次いで、得られた白血球にプロティナーゼKとドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加えてタンパク質を分解、変性させた後、フェノール/クロロホルム抽出を行うことによりゲノムDNA(RNAを含む)を得る。RNAは、必要に応じてRNaseにより除去することができる。なお、ゲノムDNAの抽出は、上記の方法に限定されず、当該技術分野で周知の方法(例えば、Sambrook J. et. al., “Molecular Cloning: A Laboratry Manual (2nd Ed.)”Cold Spring Harbor Laboratory, NY)や、市販のDNA抽出キット等を利用して行なうことができる。さらに必要に応じて、ヒト第14染色体上のPRKCH遺伝子またはそのイントロン2およびエクソン9を含むDNAを単離してもよい。当該DNAの単離は、PRKCH遺伝子またはそのイントロン2またはエクソン9にハイブリダイズするプライマーを用いて、ゲノムDNAを鋳型としたPCR等によって行うことができる。 目的塩基を検出する工程において、上記のようにして得られたヒトゲノムDNAを含む抽出物から、関節リウマチに極めて関連性の深いRA疾患感受性SNPを検出する。なお、当該塩基の検出は、ヒトゲノムDNAを含む試料からさらに単離したヒト第14染色体上のPRKCH遺伝子、好ましくはそのイントロン2(LDブロックA、LDブロックB)およびエクソン9を含むLDブロックC中の塩基配列を直接決定し、各ブロック内に位置する各種SNPの塩基の変異を調べる方法によってもよい。 例えば目的の塩基を検出する方法としては、上記のように該当領域の遺伝子配列を直接決定する方法の他に、多型配列が制限酵素認識部位である場合は、制限酵素切断パターンの相違を利用して、遺伝子型を決定する方法(以下、RFLPという)、多型特異的なプローブを用いハイブリダイゼーションを基本とする方法(例えば、チップやガラススライド、ナイロン膜上に特定なプローブを張り付け、それらのプローブに対するハイブリダイゼーション強度の差を検出することによって、多型の種類を決定する、または、特異的なプローブのハイブリダイゼーションの効率を、鋳型2本鎖増幅時にポリメレースが分解するプローブの量を検出することにより遺伝子型を特定する方法、ある種の2本鎖特異的な蛍光色素が発する蛍光を温度変化を追うことにより2本鎖融解の温度差を検出し、これにより多型を特定する方法、多型部位特異的なオリゴプローブの両端に相補的な配列を付け、温度によって該当プローブが自己分子内で2次構造をつくるか、ターゲット領域にハイブリダイズするかの差を利用して遺伝子型を特定する方法など)がある。また、さらに鋳型特異的なプライマーからポリメレースによって塩基伸長反応を行わせ、その際に多型部位に取り込まれる塩基を特定する方法(ダイデオキシヌクレオタイドを用い、それぞれを蛍光標識し、それぞれの蛍光を検出する方法、取り込まれたダイデオキシヌクレオタイドをマススペクトロメトリーにより検出する方法)、さらに鋳型特異的なプライマーに続いて変異部位に相補的な塩基対または非相補的な塩基対の有無を酵素によって認識させる方法などがある。 以下、従来公知の代表的な遺伝子多型の検出方法を列記するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。 (a)RFLP(制限酵素切断断片長多型)法、(b)PCR−SSCP法(一本鎖DNA高次構造多型解析)〔Biotechniques, 16, 296-297 (1994)、及びBiotechniques, 21, 510-514 (1996)〕、(c)ASO(Allele Specific Oligonucleotide)ハイブリダイゼーション法〔Clin. Chim. Acta, 189, 153-157 (1990)〕、(d)ダイレクトシークエンス法〔Biotechniques, 11, 246-249 (1991)〕、(e)ARMS(Amplification Refracting Mutation System)法〔Nuc. Acids. Res., 19, 3561-3567 (1991);Nuc. Acids. Res., 20, 4831-4837 (1992)〕、(f)変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(Denaturing Gradient Gel Electrophoresis;DGGE)法〔Biotechniques, 27, 1016-1018 (1999)〕、(g)RNaseA切断法〔DNA Cell. Biol., 14, 87-94 (1995)〕、(h)化学切断法〔Biotechniques, 21, 216-218 (1996)〕、(i)DOL(Dye-labeled Oligonucleotide Ligation)法〔Genome Res., 8, 549-556 (1998)〕、(j)TaqMan−PCR法〔Genet. Anal., 14, 143-149 (1999);J. Clin. Microbiol., 34, 2933-2936 (1996)〕、(k)インベーダー法〔Science, 5109, 778-783 (1993);J.Biol.Chem., 30,21387-21394 (1999);Nat. Biotechnol., 17, 292-296 (1999)〕、(l)MALDI−TOF/MS法(Matrix Assisted Laser Desorption-time of Flight/Mass Spectrometry)法〔Genome Res., 7, 378-388 (1997);Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem., 35, 545-548 (1997)〕、(m)TDI(Template-directed Dye-terminator Incorporation)法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 10756-10761 (1997)〕、(n)モレキュラー・ビーコン(Molecular Beacons)法〔Nat. Biotechnol., 1, p49-53 (1998);遺伝子医学、4, p46-48 (2000)〕、(o)ダイナミック・アレル−スペシフィック・ハイブリダイゼーション(Dynamic Allele-Specific Hybridization;DASH)法〔Nat.Biotechnol.,1.p.87-88 (1999);遺伝子医学,4, 47-48 (2000)〕、(p)パドロック・プローブ(Padlock Probe)法〔Nat. Genet.,3,p225-232 (1998) ;遺伝子医学,4, p50-51 (2000)〕、(q)UCAN法〔タカラ酒造株式会社ホームぺージ(http://www.takara.co.jp)参照〕、(r)DNAチップまたはDNAマイクロアレイ(「SNP遺伝子多型の戦略」松原謙一・榊佳之、中山書店、p128-135)、(s)ECA法〔Anal. Chem., 72, 1334-1341, (2000)〕。 以上は代表的な遺伝子多型検出方法であるが、本発明のRA罹患リスクの判定には、これらに限定されず、他の公知または将来開発される遺伝子多型検出方法を広く用いることができる。また、本発明の遺伝子多型検出に際して、これらの遺伝子多型検出方法を単独で使用してもよいし、また2以上を組み合わせて使用することもできる。 なお、上記塩基(SNP)のうち、C群の(17)の塩基(Ex9)における多型は、PRKCH遺伝子によってコードされるプロテインキナーゼCエタ(PKCエタ)のアミノ酸の変異(V374I)を伴う。そこで本発明の方法は、上記塩基について遺伝子多型の有無を直接検出する方法に限らず、遺伝子変異の結果生じた遺伝子産物PKCエタの374番目のアミノ酸変異(V→I)を検出することによっても行うことができる。かかる方法としては、被験者のPRKCH遺伝子の発現産物(例えば、mRNA、PKCエタ)について上記アミノ酸変異が生じているかどうかを測定する方法を挙げることができる。具体的には、PRKCH遺伝子の発現産物の配列を決定する方法のほか、PKCエタまたは変異PKCエタ(V374I)に対する抗体を用いたウエスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、免役沈降法、酵素結合免疫測定法(ELISA)。及び免疫蛍光法、またはPKCエタの374番目のアミノ酸変異(V→I)によって生じた(または消失した)活性を測定する方法を例示することができる。 本発明の方法によって、関節リウマチ(RA)を発症する潜在的な危険度が相対的に高いことが判明した被験者に対しては、その旨を告知し、予めRAの発症を防ぐための的確な対策を講じることができる。従って、本発明は、RAの発症を予防するための検査方法として、さらにはRAに伴って生じる他の疾患や症状発生の予防のための検査方法として極めて有用である。 5.関節リウマチ発症リスクの検出用試薬、これを含むキット(1)プローブ 目的とする塩基(RA疾患感受性SNP)並びに当該塩基を含むヌクレオチドの検出には、ヒト第14染色体のPRKCH遺伝子上のRA疾患感受性SNPを含むオリゴまたはポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズし、当該SNPを検出することができるオリゴまたはポリヌクレオチドが用いられる。かかるオリゴまたはポリヌクレオチドは、上記PRKCH遺伝子上において個々のSNP((1)〜(21))を各々含む16〜500塩基長、好ましくは20〜200塩基長、より好ましくは20〜50塩基長の連続した遺伝子領域と特異的にハイブリダイズするように、上記塩基長を有するオリゴまたはポリヌクレオチドとして設計される。 ここで「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、サムブルックら、Molecular Cloning, Cold Spring Harbour Laboratory Press, New York, USA, 第2版、1989に記載の条件)において、他のDNAとクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。好適には当該オリゴまたはポリヌクレオチドは、上記検出するSNPを含む遺伝子領域の塩基配列に対して相補的な塩基配列を有することが望ましいが、かかる特異的なハイブリダイゼーションが可能であれば、完全に相補的である必要はない。 かかるオリゴまたはポリヌクレオチドとしては、下記(1)〜(21)からなる群から選択される少なくとも一つのオリゴまたはポリヌクレオチド(但し、当該オリゴ若しくはポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)にハイブリダイズする16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチドを挙げることができる。 (1) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77624位(PK011)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(2) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77995位(SNP316)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(3) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、79479位(PK015)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(4) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、80267位(PK018)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(5) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、81682位(PK022)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(6) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85179位(PK028)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(7) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85309位(PK030)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(8) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85639位(PK031)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(9) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85859位(PK032)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(10) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85933位(SNP317)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(11) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、86306位(PK033)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(12) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88042位(PK035)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(13) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88549位(PK037)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(14) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90690位(PK039)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(15) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90983位(PK040)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(16) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、128663位(Int5)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(17) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、135724位(Ex9)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(18) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、144962位(Add9-1)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(19) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145076位(Add9-2)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(20) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145503位(Int9-1)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(21) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、148285位(Add9-3)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド。 当該オリゴまたはポリヌクレオチドは、被験者について関節リウマチに対する罹患性を判定するために、ヒト第14染色体上のPRKCH遺伝子上に位置するRA疾患受性SNP((1)〜(21))を含むオリゴまたはポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴまたはポリヌクレオチド「プローブ」として設計される。なお、これらのオリゴまたはポリヌクレオチドは、PRKCH遺伝子の塩基配列に基づいて、例えば市販のヌクレオチド合成機によって常法に従って作成することができる。 さらに好ましくは、当該プローブは、上記各SNP((1)〜(21))を含むオリゴヌクレオチドが検出できるように、放射性物質、蛍光物質、化学発光物質、または酵素等で標識される(後述)。 上記プローブ(オリゴまたはポリヌクレオチド)は任意の固相に固定化して用いることもできる。このため本発明はまた、上記プローブ(オリゴまたはポリヌクレオチド)を固定化プローブ(例えばプローブを固定化した遺伝子チップ、cDNAマイクロアレイ、オリゴDNAアレイ、メンブレンフィルター等)として提供するものである。当該プローブは、好適にはRA疾患感受性遺伝子検出用のDNAチップとして利用することができる。 固定化に使用される固相は、オリゴまたはポリヌクレオチドを固定化できるものであれば特に制限されることなく、例えばガラス板、ナイロンメンブレン、マイクロビーズ、シリコンチップ、キャピラリーまたはその他の基板等を挙げることができる。固相へのオリゴまたはポリヌクレオチドの固定は、予め合成したオリゴまたはポリヌクレオチドを固相上に載せる方法であっても、また目的とするオリゴまたはポリヌクレオチドを固相上で合成する方法であってもよい。固定方法は、例えばDNAマイクロアレイであれば、市販のスポッター(Amersham社製など)を利用するなど、固定化プローブの種類に応じて当該技術分野で周知である〔例えば、photolithographic技術(Affymetrix社)、インクジェット技術(Rosetta Inpharmatics社)によるオリゴヌクレオチドのin situ合成等〕。 例えば、ASO法の一例であるTaqMan PCR法〔Livak KJ. Gene Anal 14, 143 (1999), Morris T et al., J Clin Microbiol 34, 2933 (1996)〕の場合、各種のRA疾患感受性SNPを含む領域に相補的な20塩基長程度のオリゴヌクレオチドがプローブとして設計される。当該プローブは、5’末端を蛍光色素、3’末端を消光物質により標識され、検体DNAと特異的にハイブリダイズするが、そのままでは発光せず、別に加えられたPCRプライマーの上流からの伸長反応により5’側の蛍光色素結合が切断され、遊離した蛍光色素により検出される。 ASO法の別の1例であるInvade法〔Lyamichev V. et al., Nat Biotechnol 17, 292 (1999)〕では、多型部位に隣接する配列(3’側と5’側の2種)に相補的なオリゴヌクレオチドがプローブとして設計される。検出は、これら2種のプローブと検体とは無関係な第3のプローブによって達成される。 (2)プライマー 本発明は、またヒト第14染色体のPRKCH遺伝子上のRA疾患感受性SNPを含む配列領域を特異的に増幅するためのプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドを提供する。 かかるオリゴまたはポリヌクレオチドとしては、下記(1)〜(21)からなる群から選択される少なくとも一つのオリゴまたはポリヌクレオチド(但し、当該オリゴ若しくはポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)にハイブリダイズする15〜30塩基長のオリゴまたはポリヌクレオチドを挙げることができる。 (1) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77624位(PK011)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(2) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77995位(SNP316)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(3) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、79479位(PK015)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(4) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、80267位(PK018)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(5) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、81682位(PK022)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(6) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85179位(PK028)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(7) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85309位(PK030)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(8) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85639位(PK031)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(9) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85859位(PK032)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(10) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85933位(SNP317)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(11) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、86306位(PK033)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(12) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88042位(PK035)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(13) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88549 位(PK037)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(14) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90690位(PK039)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(15) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90983位(PK040)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(16) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、128663位(Int5)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(17) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、135724位(Ex9)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(18) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、144962位(Add9-1)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(19) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145076位(Add9-2)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(20) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145503位(Int9-1)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(21) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、148285位(Add9-3)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド。 このようなオリゴヌクレオチドは、PRKCH遺伝子において、RA疾患感受性SNPの塩基(ヌクレオチド)を含む連続したオリゴまたはポリヌクレオチドの1部に特異的にハイブリダイズし、当該オリゴまたはポリヌクレオチドを特異的に増幅するための15〜30塩基長、好ましくは18〜25塩基長程度のオリゴヌクレオチドとして設計される。増幅するオリゴまたはポリヌクレオチドの長さは、用いられる検出方法に応じて適宜設定されるが、一般的には15〜1000塩基長、好ましくは20〜500塩基長、より好ましくは20〜200塩基長である。 ヒト第14染色体のPRKCH遺伝子上の、各種RA疾患感受性SNP((1)〜(21))近傍の15塩基以上連続した塩基配列に特異的にハイブリダイズする塩基配列を有する上記の各種オリゴヌクレオチドは、本発明においてプライマーとして利用することができる。なお、これらのオリゴヌクレオチドは、PRKCH遺伝子の塩基配列に基づいて、例えば市販のヌクレオチド合成機によって常法に従って作成することができる。 Mass Array法にMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Ionization Time-Of-Flight Mass Spectrometry)を応用した方法〔Haff LA et al. Genome Res 7, 378 (1997), Little DP et al., Nature Medicine vol.3, No.12, 1413-1416, (1997)〕を例にとって、プライマーの具体的な利用方法を説明する。この場合、シリコンチップ上に固定した検体DNAに前記プライマーをハイブリダイズさせ、ddNTPを添加して一塩基だけを伸長させる。次いで、一塩基伸長産物を分離し、質量分析法により多型を検出する。この方法では、プライマーは通常15塩基長以上で可能な限り短く設計することが望ましい。 (3)標識物 上記本発明のプローブまたはプライマーには、遺伝子多型検出のための適当な標識物、例えば蛍光色素、酵素、タンパク質、放射性同位体、化学発光物質、ビオチン等が付加されたものが含まれる。 なお、本発明において用いられる蛍光色素としては、一般にヌクレオチドを標識して、核酸の検出や定量に用いられるものが好適に使用でき、例えば、HEX(4,7,2’,4’,5’,7’-hexachloro-6-carboxylfluorescein、緑色蛍光色素)、フルオレセイン(fluorescein)、NED(商品名、アプライドバイオシステムズ社製、黄色蛍光色素)、あるいは、6−FAM(商品名、アプライドバイオシステムズ社製、黄緑色蛍光色素)、ローダミン(rhodamin)またはその誘導体〔例えば、テトラメチルローダミン(TMR)〕を挙げることができるが、これらに限定されない。蛍光色素でヌクレオチドを標識する方法は、公知の標識法のうち適当なものを使用することができる〔Nature Biotechnology, 14, 303-308 (1996)参照〕。また、市販の蛍光標識キットを使用することもできる(例えば、アマシャム・ファルマシア社製、オリゴヌクレオチドECL 3’−オリゴラベリングシステム等)。 また、本発明のプライマーには、その末端に多型検出のためのリンカー配列が付加されたものも含まれる。このようなリンカー配列としては、例えば、前述したインベーダー法で用いられるオリゴヌクレオチド5’末端に付加される、フラップ(多型近傍の配列とは全く無関係な配列)等が挙げられる。 以上の、プローブまたはプライマー(標識されていてもよい)は、RA発症リスクの検出用試薬として利用することができる。 (4)関節リウマチ罹患リスク検出用試薬キット 本発明はまた、上記RA罹患リスク検出用試薬をキットとして提供するものである。当該キットは、上記プローブまたはプライマーとして用いられるオリゴまたはポリヌクレオチド(なお、これらは標識されていても、また固相に固定化されていてもよい)を少なくとも1つ含むものである。本発明のキットは上記プローブまたはプライマーの他、必要に応じてハイブリダイゼーション用の試薬、プローブの標識、ラベル体の検出剤、緩衝液など、本発明の方法の実施に必要な他の試薬、器具などを適宜含んでいてもよい。 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。 解析対象 下記の実施例で示す解析は、合計1946人の日本人の被験者を対象として行った。1946人のうち、950人は関節リウマチ患者(RA患者)(199人の男性と751人の女性)であり、996人は非関節リウマチ患者(対照者)(229人の男性と767人の女性)である。すべてのRA患者はACRの診断基準を満たし、発症から最低3年以上経過した症例者である。本研究は、徳島大学倫理委員会の承認を得ており、全ての参加者から、書面でのインフォームドコンセントが得られたのちに採血を行い、標準のプロトコルを用いて、末梢血白血球からゲノムDNAを抽出し、被験サンプルとして使用した。 統計分析 下記の実施例において、SNPのアレル頻度に関する関連検定は、2X2の分割表を作成し、カイ2乗検定を行った。permutation 法を利用したハプロタイプ頻度のカイ2乗検定は、SNPAlyze ver.3.2プロ(DYNACOM、日本)を用いて行った。ペアワイズの連鎖不平衡の程度は、連鎖不平衡係数(|D‘|)と相関係数(r2)を算出することによって評価した。強い連鎖不平衡にあるSNPのハプロタイプ推定や、連続して隣り合う2SNP間の組換え率の推定は、Bayesian統計方法により、遺伝子タイピング・データからハプロタイプを推定するPHASE ver2.1プログラム(Stephens M, et al.,(2001) Am J Hum Genet 68:978-989、Stephens M, Donnelly P (2003) A comparison of Bayesian methods for haplotype reconstruction from population genotype data. Am J Hum Genet 73:1162-1169)でおこなった。 進化論に基づくハプロタイプ分析は、EHAPプログラム(Seltman H, Roeder K, Devlin B (2003) Evolutionary-based association analysis using haplotype data. Genet Epidemiol. 25:48-5)を使用して行った。このプログラムは、一般線形化モデルを用いて、集団内での特定のハプロタイプの進化・発生関係を検定するプログラムである。まず、ハプロタイプの分岐図を作成し(0−ステップ)、それから、ワンステップとして、1回の変異によって生じたハプロタイプを内部の(より以前から存在した)ハプロタイプに纏める。このステップを最終的に収束するまで行い、RA患者(ケース)と対照者(コントロール)との間で分布が異なるハプロタイプ群を推定する。 実施例1 (1)RAの感受性候補領域の選択 従来、全ゲノムに対する罹患同胞対解析により、1q13、3q13、6q21-23、14q21-23、16pと18q21-23などが関節リウマチの疾患感受性領域として報告されている(非特許文献10:Cornelis et al. 1998、 非特許文献11:Shiozawa et al. 1998、 非特許文献12:Jawaheer et al. 2001、 非特許文献13:Mackay et al. 2002)。これらのRA疾患感受性領域のなかで、マーカーD14S285はヨーロッパの白人においてP=0.049でRAと関連を示し(非特許文献10:Cornelis et al. 1998)、またマーカー14q21-23は日本人と英国人(白人)の両方においてRAと連鎖を示す。 本発明では、これら2つのマーカーを含む第14番染色体の長腕21-23(14q21-23)の27Mbの領域をRAの感受性候補領域として選択し、領域ワイドのケースコントロール関連解析を行った。 公共のデータベース(dbSNPやTSC SNPやセレラ・ディスカバリー・システム)を検索し、上記候補領域(27Mb)に存在する多数のSNPの中から、下記の基準(i)〜(iii)を満たすSNP(遺伝子領域に等間隔で配置された頻度の高いSNP)を選択した:(i)遺伝子領域の上流・下流のそれぞれ10kbを含む領域内に存在するSNPであること、(ii)可能な限り10kbに1つの割合で配置されたSNPであること、(iii)日本人対照者46名のコントロールサンプルにおいてアレル頻度が15%以上であること。 その結果、438個のSNPを関連解析のマーカーSNPとして選択した。これらのマーカーSNP間の距離は平均16.9kbで中央値は10.3kbであった。また、438個のうち、マーカー間の距離が100kbを超えるものが41個あった。 (2)ジェノタイピング 第1ステージとして、RA患者と対照者の各々380名の被験サンプル(計760例)を対象として、RAの感受性候補領域(14q21-23)に対して、上記で選択したマーカーSNP(合計438SNP)についてSNPsタイピングを行った。SNPsタイピングは、2つのSNP(rs2230500とrs2230501)については、ダイレクトシークエンスによって行う以外は、すべてTaqManケミストリを用いて、384ウェルプレートフォーマットによりABI PRISM 7900HT Sequence Detection System(アプライドバイオシステム社製、米国)を用いることで行った。TaqManアッセイを行ったうち、422のSNPがタイピング可能であった。これらの422SNPのうち、407のSNP(96.4%)は、候補領域(14q21-23)内に位置する79個の遺伝子領域内に配置されており、全体の遺伝子カバー率は46.4%であった。このうち、45のSNPは、RA患者と対照者の両方においてアレル頻度が15%以下であるか、ハーディーワインベルグ平衡を満たさなかった(対照者サンプルにおいて、p<0.05)ため、解析から除外した。その結果、37つのSNPが、p<0.05で有意差を示したため、次の第2ステージでは、これらをRA疾患感受性候補SNPとして、RA患者と対照者の各々570名の被験サンプル(計1140例)を対象に解析を行った。 第2ステージの解析の結果、これら37つのSNPの中で、3SNPが、上記と同様に、RA患者と対照者の両方においてアレル頻度が15%以下であるか、ハーディーワインベルグ平衡を満たさなかった(対照者サンプルにおいて、p<0.05)ため、解析から除外した。残りの34SNPのうち、3SNP(SNP317, SNP382およびSNP383)が、再現性をもって有意差(p<0.05)を示した(図1)。 この34SNPに関して、第1ステージと第2ステージのデータを併せて全体としてRA患者と対照者の各々950名の被験サンプル(計1900例)を対象にして関連検定を行った結果、プロテインキナーゼC(PKC)ファミリーに属するプロテインキナーゼCエタ(protein kinase C, eta)をコードする遺伝子であるPRKCH遺伝子(MIM 605437)のイントロン2に存在する2つのSNP(SNP316およびSNP317)が、アレル頻度比較で、RAと最も高い関連を示した(SNP316: p=0.00054、SNP317:p=0.00013、オッズ比(OR)=1.33、95%信頼区間 1.13-1.57とOR= 1.37、1.17-1.62)(図1及び図2参照)。 このことから、PRKCH遺伝子は日本人の関節リウマチ感受性遺伝子であると考えられた。 (3)RA疾患感受性領域のSNP探索とタイピング さらにRA疾患感受性領域を絞り込むために、公共のデータベース(dbSNPやTSC SNPやセレラ・ディスカバリー・システム)から、上記で有意差を示した2つのSNP(SNP316とSNP317)周辺に存在する5つのSNP(UTR-1、Ex2、PK032、Int2-4、SNP318)を選択して、合計7つのSNPについて、RA患者と対照者の各々950名の被験サンプル(計1900例)を対象にしてタイピングを行った。この追加タイピングのデータを加えて、連鎖不平衡分析を行った結果、RA疾患感受性領域は、第14染色体長腕21-23(14q21-23)中のrs3742633(Ex2)からrs2209386(Int2-4)までの約26kbの中に存在することが分かった(図3参照)。 次いで、この感受性領域を詳細に調査するため、これらのSNPのうち強い連鎖不平衡(|D’|>0.99)にある3つのSNP(SNP316、PK032、SNP317)で構成されるハプロタイプの頻度に基づいて選択されたRA患者及び対照者の各12名の被験サンプル(計24例)を用いて、この26kbの領域(rs3742633−rs2209386)をダイレクトシークエンスした結果、63個の多型(61つのSNPと2つの挿入欠失多型)が同定された。なお、ダイレクトシークエンスは、BigDye Terminator Cycle Sequencingキットver 1.1を用いてABI 3730xl DNAアナライザー(アプライドバイオシステム)にて行った。 これらの多型のうち、11つの多型(SNP)はアレル頻度が5%以下であり、残りの52つの多型はアレル頻度が5%以上であった。この領域のおおよその連鎖不平衡パターンを推定するために、これら頻度の高い52つの多型(図4)についてペアワイズの連鎖不平衡解析を行い、互いに強い相関関係(r2>0.8)にある多型をグループ分けした。 次いで各グループの各々からそれぞれ1つずつ代表SNPを選択し、RA患者と対照者の各々950名の全被験サンプル(計1900例)に対してタイピングを行った。その結果、3つの代表SNPが関節リウマチと有意な関連を示した。このため、これらの3つのグループに含まれる他のSNPをタイピングした。その結果、この領域内に存在する26個のSNPがタイピングされ、マーカー間隔は平均1kbであった。中でも3つのSNP(PK011, PK015 と PK037)が最も強い有意差を示し(PK011:p=0.000059, OR=0.719 95% CI 0.618-0.834 / PK015:p= 0.000077, OR=0.770 95% CI 0.675-0.875 / PK037:p=0.000062, OR=1.30 95% CI 1.134-1.475)、多重検定の補正であるボンフェローニの補正を行っても有意差を示した(PK011:p=0.027、PK015:p=0.035、PK037:p=0.028、 458回の検定で補正)(図5)。 (4)詳細なLDマッピング この26kbのRA疾患感受性領域(rs3742633−rs2209386)に関してより詳細な連鎖不平衡マッピングを行うために、稠密に配置されたSNPマーカーを用いて、3つのパラメータ(|D’|、 LDU、および組み替え率)を検討した(図6)。|D’| によるLDマッピングにより、2つの異なったLDブロックがこの26kbの領域に存在することが明らかになった(図6の上パネル)。そこで、この領域をより正確に分析するために、LDMAPプログラム(Maniatis N, Collins A, Xu CF, McCarthy LC, Hewett DR, Tapper W, Ennis S, Ke X, Morton NE (2002) The first linkage disequilibrium (LD) maps: delineation of hot and cold blocks by diplotype analysis. Proc Natl Acad Sci U S A 99:2228-2233)を用いた。その結果、PK011からPK034までの14つのSNPで構成される9.7kbの領域にプラトー領域(ブロックA)が認められ、それに続いてLDUのステップアップによって区別される約3kbのプラトー領域(ブロックB)が認められた。 次いで、LDUによるLDマッピングをさらに確認するために、このプラトー領域(ブロックAとブロックB)で隣り合うSNP間での組換え率を、PHASE v2.1ソフトウェア(Stephens M, Smith NJ, Donnelly P (2001) A new statistical method for haplotype reconstruction from population data. Am J Hum Genet 68:978-989、Stephens M, Donnelly P (2003) A comparison of Bayesian methods for haplotype reconstruction from population genotype data. Am J Hum Genet 73:1162-1169)を用いて解析した。その結果、ブロックAとBのそれぞれのプラトー領域は低い組換え率を示した。一方、ブロックAとブロックBとの境界は高い組み替え率を示し、2つのブロックの間に明らかな歴史的組み替えが存在していることが明らかとなった(図6の下パネル)。 (5)進化に基づいたハプロタイプ解析 ブロックAにおけるハプロタイプと関節リウマチ(RA)との関連を検証するために、EHAPプログラム(Seltman H, Roeder K, Devlin B (2003) Evolutionary-based association analysis using haplotype data. Genet Epidemiol. 25:48-5)を用いて、進化に基づいたハプロタイプ解析を行った。EHAPプログラムは、多座位のデータをハプロタイプとして解析して、ハプロタイプと表現型の間に関係があるかどうか解析するプログラムである。 Bayesian統計方法に基づいたPHASE v2.1ソフトウェアを用いて、ブロックA内の14つのSNPについて、RA患者と対照者(各950名)をあわせた全体集団(各1900名)でのハプロタイプ頻度を推定した(図7)。その結果、全てのハプロタイプの約98%を占める5つの頻度の高いハプロタイプ(#1〜5)が推定され、5つのSNP(PK011、PK018、PK019、PK032、及びPK034)が、ハプロタイプタギングSNP(htSNP)として選出された。この5つのhtSNPを用いてEHAP解析した結果、AからHの8つのハプロタイプが観察され、ハプロタイプの派生関係をしめす分岐図が得られた(図8)。分岐論的解析は、真の疾患感受性座位と連鎖不平衡にあるマーカー座位を検出する方法である。この解析の結果、RA疾患感受性を規定する座位がハプロタイプAからCまで派生の過程で発生したことが判明した(scoreテストp=0.0004)。ハプロタイプAは、PK032によってハプロタイプCと区別されるので、PK032をhtSNPとするSNP群(PK015、PK032、PK033)がRAの候補感受性SNP群と考えられた。ブロックBにおいては、領域内に4つのSNPしか存在しないためEHAPプログラムを適用することができなかった。ブロックAとブロックBのそれぞれのSNPを用いたハプロタイプ関連解析をした結果は、有意差を認めたが、それぞれのSNPの単独での検定の有意差とほぼ同様であった(図9AとB)。 実施例2(1)PRKCH遺伝子の全コード領域のSNP検索と遺伝子タイピング PRKCH遺伝子の全コード領域とエクソンとイントロンの境界領域に関して、24サンプル(RA患者と対照者各12名の被験サンプル)を用いてダイレクトシークエンスを行った。その結果、エクソン9とエクソン12に存在する3つの多型を同定し、これらの多型について、RA患者と対照者の計1900名の全サンプル(計1900例)においてタイピングを行った。 その結果、エクソン9に存在するアミノ酸置換をともなうSNP(V374I, rs2230500、SNP-ID:Ex9)が、関節リウマチ(RA)と有意な関連を示した(p=0.0016, オッズ比1.284 95% 信頼区間1.108-1.496で、図5参照)。このSNPの周辺のSNPについて追加タイピングと連鎖不平衡解析を行うことにより、このSNP(Ex9)はブロックAやブロックBとは別の連鎖不平衡ブロック(ブロックC)に存在することがわかり、そのブロックC内に存在する他のSNP(Add-9-1、Add-9-2、Int9-1、Add-9-3)もRAと有意な関連を示した(図5参照)。 (2)複数のRA感受性候補SNPの組み合わせ解析 ブロックAに関して、進化論に基づくハプロタイプ関連解析で得られた3つの候補SNP(PK015、PK032、PK033)の中で、最も強い有意差を認めたPK015と、ブロックBとCのそれぞれにおいて最も強い有意差を示したPK037とInt9-1を、RAの感受性候補SNPとして選択した。この3つのSNP(PK015、PK037、Int9-1)の組み合わせのRA感受性への効果を調査するために、これら3つのSNPから考えられうる遺伝子型の各組合わせのオッズ比を算出した(図10)。最も高いオッズ比は、PK037とInt9-1の感受性アレルのホモの組み合わせ(PK037:G/G、Int9-1:T/T)で認められた(OR=2.981、95% CI:1.45-6.13)。3つのSNP(PK015、PK037、Int9-1)の各々のペアワイズ(図10A〜C)または三つのSNPの組合せ(図10D)は、各々のSNPの単点のオッズ比より高いオッズ比を示した。 (3)ヒト組織でのPRKCH遺伝子の発現 RA患者のさまざまな組織(脳、骨髄、腎臓、心臓、脾臓および副腎)と滑膜細胞(FLS)を対象として、リアルタイムPCRによってPRKCH mRNAの発現を調べた。なお、滑膜細胞(FLS)は、RA患者から人工膝関節全置換時に集めた滑膜組織を、10%のウシ胎児血清を含むDMEM培地で培養することによって調製した(Mishiro T, Nakano S, Takahara S, Miki M, Nakamura Y, Yasuoka S, Nikawa T, Yasui N (2004) Relationship between cathepsin B and thrombin in rheumatoid arthritis. J Rheumatol 31:1265-1273)。滑膜細胞(FLS)からのトータルRNAは、RNeasy Mini Kit (Qiagen)を使用して抽出した。 他のヒト組織(脳、骨髄、腎臓、心臓、脾臓および副腎)のmRNAは、Human Total RNA Master PanelIIキット(BD Biosciences、San Jose、CA)を用いて調製した。逆転写反応はランダムヘキサマーで、SuperScriptII(インビトロジェン、Carlsbad,CA)を用いて行った。リアルタイムPCRは、TaqMan(登録商標)Gene Expression Assays Probeを用いてABI 7900 Sequence Detection System(アプライドバイオシステム)で行った。リアルタイムPCRのテンプレートとして肺由来のmRNAの希釈系列をスタンダードとして検量線を作成し、ACTB(actin, beta)の発現量を用いてPRKCHの発現量を補正した。 その結果、PRKCHは脾臓を含むさまざまなヒト組織内に遍在的に発現していた。しかし、RA患者の滑膜細胞(FLS)には、他の組織(脳、骨髄、腎臓、心臓、副腎皮質)に比較して微量しか発現していなかった(図11)。各ステージにおいて選択された関節リウマチ(RA)疾患感受性候補とRAとの関連検定の結果を纏めた図である。ヒト第14染色体長腕21-23(14q21-23)の全マーカーSNPの関連検定の結果を示すグラフ(下パネル)と対応する候補領域14q21-23の遺伝子位置を示す。全サンプル(RA患者と対照者各950名ずつ)で解析された58SNPの結果と第1ステージ(RA患者と対照者各380名ずつ)で解析された残りのSNPの結果を纏めてグラフにしている。有意SNP(SNP316とSNP317)の周辺の7つのSNPsのペアワイズLD値を示す図yである。左下に|D’|を示し、右上にr2を示す。強い連鎖不平衡(|D’|値>0.95、r2>0.95)にあるSNPの組合せは灰色で示す。PRKCH遺伝子内のSNPについて、dbSNP、メジャーアレル/マイナーアレル、アレル頻度(MAF§:シークエンスを行った24サンプルでのアレイ頻度を示す)、染色体上での位置を纏めた図である。なお、各SNPの染色体上の位置情報は、UCSC(the University of California, Santa Cruz)Genome Bioinformatics site(http://genome.ucsc.edu/index.html/)より取得した。PRKCH遺伝子内のSNPの関連解析の結果を纏めた図である。合わせて、LDブロックA〜Cに属するSNPについても記載する。図中、「MAF」は第1+第2ステージサンプル(RA患者と対照者の各950名ずつ)でのマイナーアレル頻度MAFを示す。また「Odds ratio」は、RA感受性に対するマイナーアレルのオッズ比を示す。なお、「p-value」は多重検定に対して補正をしていないp値を示す。PRKCH遺伝子内のSNPs連鎖不平衡マップを示す。上パネルは、PRKCH遺伝子の42SNPのペアワイズLD値(|D’|)をGOLD(the graphical overview of linkage disequilibrium)(Abecasis and Cookson 2000)プログラムを用いて描画したものである。これらのSNPの物理的な位置とPRKCH遺伝子のエクソン・イントロン構造を中パネルに示す。中パネル中、黒バーはイントロン2の連鎖不平衡領域を示し、灰色のバーはエクソン9を含む連鎖不平衡ブロックを示す。イントロン2の有意SNPはアスタリスク(*)でマークし、エクソン9の非同義置換SNPはシャープ(#)でマークされている。下パネルがそれぞれ隣り合うSNP間の組換率を棒グラフで、LDUのグラフを折れ線で示す。連鎖不平衡ブロックAの14SNPで構成されるハプロタイプの頻度を示す。全体のハプロタイプ頻度の98%を示すハプロタイプ#1−5を示す。なお、アスタリスク(*)は、ハプロタイプタギングSNPs(htSNPs)である。連鎖不平衡ブロックAの5つのhtSNPからなる8つのハプロタイプ(A−H)の頻度(左図)とそれらのハプロタイプの分岐図(右図)を示す。分岐図中、各ハプロタイプは円で示され、ハプロタイプの派生の過程で生じた変異を線で表している。円の大きさはそれぞれのハプロタイプ頻度に対応している。PK032によって、2群のハプロタイプ(ハプロタイプA,B,D及びGとハプロタイプC,E,F及びH)に分類される。連鎖不平衡ブロックA(A図)及びB(B図)での、有意SNPからなるハプロタイプの関連検定の結果を示す。なお、多重検定に対するp値の補正は10000回のpermutation法を用いた。PRKCH遺伝子内の異なる連鎖不平衡ブロックA〜Cから選択された3つのSNP(PK015、PK037、Int9-1)の遺伝子ガタの組合せの関連解析の結果を示す。OR(オッズ比)は非感受性アレルのホモ接合体同士の組み合わせを参照(1.000)としたオッズ比、p値は非感受性アレルのホモ接合体同士の組み合わせを参照としたカイ二乗検定のp値である。有意なp値、オッズ比は太字で示す。リアルタイムPCRを用いた各種のヒト組織(脳、骨髄、腎臓、心臓、脾臓、副腎)および滑膜細胞(FLS)におけるPRKCH mRNAの発現量を示す。なお、PRKCH mRNAの発現量はACTB mRNAの発現量に対する相対値で示す。 配列番号1に示すアミノ酸配列を有する変異ヒトプロテインキナーゼCエタ。 請求項1に記載する変異ヒトプロテインキナーゼCエタをコードするヒトPRKCH遺伝子またはその遺伝子産物。 下記の21からなる群から選択される少なくとも一つのオリゴまたはポリヌクレオチドからなる、関節リウマチの罹患診断マーカー:(1) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77624位(PK011)に位置するCまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(2) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77995位(SNP316)に位置するCまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(3) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、79479位(PK015)に位置するGまたはAを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、 (4) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、80267位(PK018)に位置するCまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、 (5) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、81682位(PK022)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(6) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85179位(PK028)に位置するTまたはCを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(7) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85309位(PK030)に位置するAまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(8) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85639位(PK031)に位置するTまたはCを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(9) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85859位(PK032)に位置するGまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(10) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85933位(SNP317)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(11) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、86306位(PK033)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(12) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88042位(PK035)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(13) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88549位(PK037)に位置するTまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(14) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90690位(PK039)に位置するTまたはCを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(15) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90983位(PK040)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(16) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、128663位(Int5)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(17) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、135724位(Ex9)に位置するGまたはAを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(18) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、144962位(Add9-1)に位置するTまたはCを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(19)ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145076位(Add9-2)に位置するAまたはGを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(20) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145503位(Int9-1)に位置するCまたはTを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド、(21) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、148285位(Add9-3)に位置するGまたはAを挟んで5’側および3’側に各々最長300塩基長の塩基配列を有するオリゴまたはポリヌクレオチド。 ヒト被験者から得られるゲノムDNAを対象として、下記A群〜C群から選択される少なくとも2群に記載する塩基の中から各々少なくとも1つの塩基を検出し同定する工程を含む、当該被験者について関節リウマチの罹患リスクを検出する方法:A群 (1) ヒトPRKCH遺伝子の77624位(PK011)の塩基(2) ヒトPRKCH遺伝子の77995位(SNP316)の塩基(3) ヒトPRKCH遺伝子の79479位(PK015)の塩基(4) ヒトPRKCH遺伝子の80267位(PK018)の塩基(5) ヒトPRKCH遺伝子の81682位(PK022)の塩基(6) ヒトPRKCH遺伝子の85179位(PK028)の塩基(7) ヒトPRKCH遺伝子の85309位(PK030)の塩基(8) ヒトPRKCH遺伝子の85639位(PK031)の塩基(9) ヒトPRKCH遺伝子の85859位(PK032)の塩基(10) ヒトPRKCH遺伝子の85933位(SNP317)の塩基(11) ヒトPRKCH遺伝子の86306位(PK033)の塩基B群(12) ヒトPRKCH遺伝子の88042位(PK035)の塩基(13) ヒトPRKCH遺伝子の88549位(PK037)の塩基(14) ヒトPRKCH遺伝子の90690位(PK039)の塩基(15) ヒトPRKCH遺伝子の90983位(PK040)の塩基C群(16) ヒトPRKCH遺伝子の128663位(Int5)の塩基(17) ヒトPRKCH遺伝子の135724位(Ex9)の塩基(18) ヒトPRKCH遺伝子の144962位(Add9-1)の塩基(19)ヒトPRKCH遺伝子の145076位(Add9-2)の塩基(20)ヒトPRKCH遺伝子の145503位(Int9-1)の塩基(21)ヒトPRKCH遺伝子の148285位(Add9-3)の塩基 ヒト被験者から得られるゲノムDNAを対象として、A群(3)の塩基(PK015)、B群(13)の塩基(PK037)及びC群(20)の塩基(Int9-1)から選択される少なくとも2つの塩基を検出し同定する工程、及び 上記で検出し同定した少なくとも2つの塩基が、下記の条件:A群(3)の塩基(PK015):アデニンB群(13)の塩基(PK037):グアニンC群(20)の塩基(Int9-1):シトシンまたはチミンを満たしている場合に当該被験者が関節リウマチ易罹患性であると判定する工程を有する、請求項4に記載する関節リウマチの罹患リスクを検出する方法。 ヒト被験者から得られるゲノムDNAを対象として、少なくともC群(17)の塩基(Ex9)を検出し同定する工程を有し、検出し同定した当該塩基(Ex9)がアデニン(A)である場合に当該被験者が関節リウマチ易罹患性であると判定する工程を有する、請求項4に記載する関節リウマチの罹患リスクを検出する方法。 ヒト被験者の生体試料を対象として、ヒトプロテインキナーゼCエタの374番目のアミノ酸変異(V→I)の有無を検出するか、または当該アミノ酸変異をもたらす遺伝子多型を検出する工程を有する、当該被験者について関節リウマチの罹患リスクを検出する方法。 下記の(1)〜(21)からなる群から選択される少なくとも一つのオリゴまたはポリヌクレオチド(但し、当該オリゴ若しくはポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)にハイブリダイズする15〜30塩基長のオリゴヌクレオチドまたはその標識物からなる、関節リウマチ発症リスクを検出するために用いられるプライマー:(1) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77624位(PK011)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(2) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77995位(SNP316)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(3) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、79479位(PK015)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(4) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、80267位(PK018)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(5) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、81682位(PK022)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(6) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85179位(PK028)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(7) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85309位(PK030)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(8) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85639位(PK031)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(9) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85859位(PK032)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(10) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85933位(SNP317)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(11) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、86306位(PK033)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(12) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88042位(PK035)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(13) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88549位(PK037)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(14) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90690位(PK039)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(15) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90983位(PK040)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(16) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、128663位(Int5)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(17) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、135724位(Ex9)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(18) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、144962位(Add9-1)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(19) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145076位(Add9-2)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(20) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145503位(Int9-1)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(21) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、148285位(Add9-3)に位置するヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド。 下記の(1)〜(21)からなる群から選択される少なくとも一つのオリゴまたはポリヌクレオチド(但し、当該オリゴ若しくはポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)にハイブリダイズする16〜500塩基長のオリゴヌクレオチドまたはその標識物からなる、関節リウマチ発症リスクを検出するために用いられるプローブ:(1) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77624位(PK011)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(2) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、77995位(SNP316)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(3) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、79479位(PK015)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(4) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、80267位(PK018)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(5) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、81682位(PK022)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(6) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85179位(PK028)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(7) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85309位(PK030)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(8) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85639位(PK031)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(9) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85859位(PK032)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(10) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、85933位(SNP317)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(11) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、86306位(PK033)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(12) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88042位(PK035)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(13) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、88549位(PK037)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(14) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90690位(PK039)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(15) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、90983位(PK040)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(16) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、128663位(Int5)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(17) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、135724位(Ex9)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(18) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、144962位(Add9-1)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(19) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145076位(Add9-2)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(20) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、145503位(Int9-1)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド、(21) ヒトPRKCH遺伝子の塩基配列において、148285位(Add9-3)に位置するヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したオリゴまたはポリヌクレオチド。 任意の固相に固定してなる固相化プローブである請求項9に記載するプローブ。 請求項8に記載するプライマー、または/及び請求項9若しくは10に記載するプローブを含む、関節リウマチ罹患リスク検出用試薬、または当該試薬を含むキット。 【課題】日本人における関節リウマチ(RA)疾患感受性遺伝子、及び関節リウマチの発症リスクを検出し判定する方法の提供。この検出方法に使用される関節リウマチ易罹患診断マーカー、プローブ、プライマー並びに試薬キットの提供。【解決手段】ヒトRA疾患感受性遺伝子としてPRKCH遺伝子を、また、RA疾患感受性SNPとして、PK015、PK032、PK033(以上、LDブロックAに存在)、PK035、PK037、PK039、PK040(以上、LDブロックBに存在)、Ex9、Add9-1、Add9-2、Int9-1、Add9-3(以上、LDブロックCに存在)を提供する。さらに、RA罹患リスクを検出する方法として、ヒト被験者から得られるゲノムDNAを対象として、上記各ブロックから選択される少なくとも2つのLDブロック中のSNPの中から各々少なくとも1つのSNPを検出し同定する工程を含む方法を提供する。【選択図】なし配列表


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