生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_フラン環含有化合物の合成方法
出願番号:2005283938
年次:2007
IPC分類:C07D 307/30


特許情報キャッシュ

谷森 紳治 切畑 光統 JP 2007091646 公開特許公報(A) 20070412 2005283938 20050929 フラン環含有化合物の合成方法 公立大学法人大阪府立大学 505127721 河▲崎▼ 眞樹 100090608 谷森 紳治 切畑 光統 C07D 307/30 20060101AFI20070316BHJP JPC07D307/30 3 OL 4 本発明は、触媒を用いた新規なフラン環含有化合物の合成方法に関する。フラン環を含有する化合物は、天然物、医薬、農薬、香料などの分野で広く知られている物質で、生物学的に重要である。そのフラン環含有化合物の合成法は、例えば以下のように多数報告されている(非特許文献1、2を参照)。Kraus,G.A.et.al.,Synlett1997,1259−1260.Chan,W.et.al.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans1,1992,945−946.しかし、触媒を使用してこれらフラン環含有化合物を合成する報告は、非常に限られている。Hayashiらは、パラジウム触媒を使用して、基質である対称型アリル ジカーボネートに反応剤であるアセト酢酸エステルを反応させ、三置換フラン化合物を得たと報告している(非特許文献3を参照)。Hayashi,T.et.al.,Tetrahedron Lett.1988,29,669−672更にMoriらは同様の触媒を用いて、メソ体のジアセテート基質にアセトンジカルボン酸エステルを反応させ、二環フラン化合物を得ている(非特許文献4を参照)。Mori,M.et.al.,J.Org.Chem.1995,60,2016−2021.これらの例は、パラジウム触媒による、それぞれ複数の反応サイトを有する基質と電子吸引基の反応と考えられるが、これ以上の応用は報告されていない。触媒に用いる金属は、ポリマー、無機物なのの不活性物質上に担持して用いられることが多く、そのため再利用も可能で環境にやさしい反応であるといえる。 ところが、上述のような反応において用いられる反応条件は、150℃以上であったり、高圧が必要であったりして、エネルギー多消費型の工程であるため、この観点からは環境にやさしい反応とはいえないという問題があり、より温和な条件での反応が待たれていた。 本発明は、上記する課題に対処するためになされたものであり、環境に負荷を与えない温和な反応条件でのフラン環含有化合物の合成方法を提供することを目的としている。 すなわち本発明は、従来公知のパラジウム系触媒を用い、常温常圧の反応条件下で、基質である対称型のアリルジカーボネートに求核反応剤であるケトン(ジ)カルボン酸エステルを反応させ、フラン環含有化合物を合成する方法に関するものである。 すなわち、請求項1に記載の発明によれば、前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、化学式1で表されるアリル化合物系基質と、化学式2で表されるカルボン酸エステル系反応剤の反応において、化学式2が化学式1に求核反応することを特徴とする、新規フラン環含有化合物の合成方法に関する。ここで、R1はOCO2RA、R2はOCO2RB、R3はC−CO2RC、R4はC−(CO2)n(RD)m、RA、RBはアルキル基、RCはエステル基、(RD)mはアルキル基または芳香環、m、nは0または1の整数で互いに異なる値である。更に請求項2に記載の発明によれば、前記アリル化合物系基質が、メソ ジヒドロフランであることを特徴とする請求項1に記載の新規フラン環含有化合物の合成方法に関する。更に請求項3に記載の発明によれば、前記カルボン酸エステル系反応剤が、環状ジケトンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカルボン酸エステル系反応剤に関する。本発明におけるアリルジカーボネートは種々のものが使用可能であるが、代表的な例としては、アリルジメチルカーボネート、メソ ジアセトキシフランなどが挙げられる。また、本発明におけるカルボン酸エステルは種々のものが使用可能であるが、代表的な例としては、フェニルプロピオン酸メチル、アセトンジカルボン酸メチル、環状ジケトンなどが挙げられる。本発明における触媒系は、Pd(η3−C3H5)Cl)2で表される化合物と、ジフェニルフォスフィノフェロセンであり、溶媒としてジクロロメタン、テトラヒドロフランなどが使用できる。 以上のように、本発明の基質と反応剤を使用し、パラジウム系触媒を使用すれば、常温常圧の反応条件で、効率的にフラン環含有化合物の合成が可能になる。 以下、実施例をもって本発明について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。試験管に、2−ブテニレンジカルホネート(204mg, 1.0 ミリモル), 3−オキソー3−フェニルプロパン酸メチル(0.28g, 1.5 ミリモル), π−アリルパラジウムクロリドダイマー(3.7 mg, 0.01 ミリモル, 1 モル%)、ジフェニルホスフィノフェロセン(11 mg, 0.02 ミリモル, 2 モル%)、及び炭酸カリウム(0.28g, 2.0 ミリモル)を加え、テトラヒドロフラン (5ミリリットル)に溶解させた。セプタムキャップを施した後、窒素ガスを5分間ゆっくり通した。室温で3時間攪拌した後、反応混合物をシリカゲルパッドを用いてろ過した。濾液を吸引ろ過した後、残渣をヘキサン対酢酸エチル3対1の混合溶媒を用いた分取薄層クロマトグラフィーに附し、2−フェニルー5−ビニル4,5−ジヒドロフランー3−カルボン酸メチルを120mg(52%)得た。本発明に従って各種のフラン環を含有する化合物を、効率よく合成できる。また、これら合成されたフラン環を有する化合物は、天然物、医薬、農薬、香料など広範な分野で有用に用いることができる。 化学式1で表されるアリル化合物系基質と、化学式2で表されるカルボン酸エステル系反応剤の反応において、化学式2が化学式1に求核反応することを特徴とする、新規フラン環含有化合物の合成方法。ここで、R1はOCO2RA、R2はOCO2RB、R3はC−CO2RC、R4はC−(CO2)n(RD)m、RA、RBはアルキル基、RCはエステル基、(RD)mはアルキル基または芳香環、m、nは0または1の整数で互いに異なる値である。 前記アリル化合物系基質が、メソ ジヒドロフランであることを特徴とする請求項1に記載の新規フラン環含有化合物の合成方法。 前記カルボン酸エステル系反応剤が、環状ジケトンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカルボン酸エステル系反応剤。 【課題】フラン環を含有する化合物は、天然物、医薬、農薬、香料などの分野で広く知られている物質で、生物学的に重要であるが、しかし、触媒を使用してこれらフラン環含有化合物を合成する報告は、非常に限られており、また反応条件も高温、高圧などが必要とされていた。【解決手段】化学式1で表されるアリル化合物系基質と、化学式2で表されるカルボン酸エステル系反応剤を使用し、パラジウム系触媒を使用することで、常温常圧の反応条件で、効率的にフラン環含有化合物の合成が可能になった。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る