生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_新規な含フッ素エポキシ化合物およびその製造方法
出願番号:2005280006
年次:2006
IPC分類:C07D 303/48,C07D 301/03,C07D 317/42,C08F 24/00,C08F 34/02


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渡壁 淳 田柳 順一 金子 勇 大春 一也 JP 2006290864 公開特許公報(A) 20061026 2005280006 20050927 新規な含フッ素エポキシ化合物およびその製造方法 旭硝子株式会社 000000044 渡壁 淳 田柳 順一 金子 勇 大春 一也 JP 2005073192 20050315 JP 2004311191 20041026 C07D 303/48 20060101AFI20060929BHJP C07D 301/03 20060101ALI20060929BHJP C07D 317/42 20060101ALI20060929BHJP C08F 24/00 20060101ALN20060929BHJP C08F 34/02 20060101ALN20060929BHJP JPC07D303/48C07D301/03C07D317/42C08F24/00C08F34/02 6 OL 15 4C048 4J100 4C048AA01 4C048BB05 4C048BB35 4C048CC01 4J100AU28P 4J100JA16 本発明は、新規な含フッ素エポキシ化合物と、その製造方法に関する。また本発明はペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の製造方法、およびペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物を製造する方法に関する。 フルオロスルホニル基を有するペルフルオロビニルエーテルを重合させて得た含フッ素重合体は、食塩電解・燃料電池用のイオン交換膜材料として有用である。しかし該ペルフルオロビニルエーテルは重合性が低く充分な物性を有する含フッ素重合体を得るためには、重合においてCF2=CF2等の他のフルオロモノマーと共重合させる必要があった。 重合性の高いフルオロスルホニル基を有するフルオロモノマーとしては、含フッ素脂肪族環構造とフルオロスルホニル基とを有する重合性化合物、たとえば下式(y)で表される化合物が知られている(特許文献1参照。)。 特許文献2には、下式(w)で表される化合物が記載されている。国際公開第03/037885号パンフレット特開昭57−176973号公報 本発明は、新規な含フッ素エポキシ化合物とその製造方法を提供する。本発明は、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の生産効率のよい製造方法、およびペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の生産効率のよい製造方法を提供することを目的とする。 本発明は、下記の発明を提供する。 <1>;下式(a1)で表される化合物(ただし、QF1は単結合または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基を示す。以下同様。)。 <2>;下式(b1)で表される化合物を酸化反応させて式(a1)で表される化合物を得ることを特徴とする式(a1)で表される化合物の製造方法。 <3>;下式(a)で表される化合物とカルボニル化合物を反応させて下式(mb)で表される化合物を得て、つぎに該化合物をヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させて下式(ma)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(ma)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合またはペルフルオロ2価有機基を示す。以下同様。)。 <4>;<3>に記載の製造方法で得た式(ma)で表される化合物を熱分解反応させて下式(m)で表される化合物を得る下式(m)で表される化合物の製造方法。 <5>;式(a)で表される化合物をルイス酸の存在下に反応させて下式(pd)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を下式(z)で表される化合物と反応させて下式(pc)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(pc)で表される化合物の製造方法(ただし、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。以下同様。)。 <6>;<5>に記載の製造方法で得た式(pc)で表される化合物を光照射下に塩素ガスと反応させて下式(pb)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を3フッ化アンチモンと5塩化アンチモンの存在下に反応させて下式(pa)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を脱塩素化剤と反応させる下式(p)で表される化合物の製造方法。 本発明によれば、新規な含フッ素エポキシ化合物とその製造方法が提供される。また本発明によれば、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の生産効率のよい製造方法、およびペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の生産効率のよい製造方法が提供される。 本明細書において、式(a)で表される化合物を化合物aと記す。他の式で表される化合物も同様に記す。 本発明は、下記化合物a1を提供する。 QF1が単結合であるとは、SO2F基とペルフルオロオキシラニル基とが直接結合していることを意味する(以下同様。)。QF1は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基であるのが好ましく、炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であるのが特に好ましい。炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基としては、式−(CF2)n−で表される基(ただし、nは1〜10の整数を示す。)であるのが好ましく、nが1〜6の該基であるのが特に好ましい。 化合物a1の具体例としては、下記化合物が挙げられる。 化合物a1は、下記化合物b1を酸化反応させて製造するのが好ましい。 化合物b1の具体例としては、下記化合物が挙げられる。 CF2=CFSO2F、 CF2=CFCF2SO2F、 CF2=CFCF2CF2SO2F、 CF2=CF(CF2)3SO2F、 CF2=CF(CF2)4SO2F。 化合物a1の酸化反応は、化合物b1を酸素ガスと接触させる方法、または化合物b1を次亜塩素酸塩と接触させる方法によるのが好ましく、反応収率の観点から、化合物b1を酸素ガスと接触させる方法によるのが特に好ましい。 酸素ガスを用いる酸化反応は、不活性溶媒(たとえば、フルオロトリクロロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ペンタフルオロジクロロプロパン、ペルフルオロシクロブタン等。)の存在下に行ってもよく、溶媒の不存在下に行ってもよい。反応の温度は、収率と反応選択率の観点から、50℃〜200℃が好ましく、80℃〜150℃が特に好ましい。 次亜塩素酸塩を用いる酸化反応は、次亜塩素酸塩を含む水層と有機層を含む2層系の酸化反応であるのが好ましい。反応の温度は、収率と反応選択率の観点から、50℃〜200℃が好ましく、80℃〜150℃が特に好ましい。水層は無機塩基を含むのが好ましい。さらに水層は相間移動触媒を含むのが好ましい。 次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸セシウム、次亜塩素酸マグネシウムまたは次亜塩素酸カルシウムが好ましく、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムが特に好ましい。 無機塩基は、アルカリ金属水酸化物(たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等。)またはアルカリ土類金属水酸化物(たとえば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等。)が好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。 相間移動触媒は、次亜塩素酸塩中のカチオンに対する親油性錯化能と有機層に対する親和性とを有する相間移動触媒が好ましく、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩または第4級アルソニウム塩がより好ましく、第4級アンモニウム塩が特に好ましい。 第4級アンモニウム塩としては、式[(X11)(X21)(X31)(X41)N+]Y−で表される化合物が好ましい。ただし、X11、X21、X31およびX41は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、Y−は対イオンであるアニオンを示し、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、水酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオンまたはp−トルエンスルホン酸イオンを示す。 第4級アンモニウム塩におけるカチオン部分の具体例としては、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、テトラ−n−ブチルアンモニウムイオン、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。 Y−は塩素イオン、硫酸水素イオンまたは水酸イオンが好ましい。 有機層用の有機溶媒としては、水に不溶または難溶性である不活性有機溶媒が好ましくい。不活性有機溶媒の具体例としては、脂肪族炭化水素類(たとえば、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等。)、芳香族炭化水素類(たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等。)、クロロカーボン類(たとえば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等。)、クロロフルオロカーボン類(たとえば、フルオロトリクロロメタン、トリクロロトリフルオロエタン等。)、フルオロカーボン類(たとえば、ペルフルオロシクロブタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロデカン、ヘキサフルオロベンゼン等。)等が挙げられる。 本発明の化合物a1は、ペルフルオロオキシラニル基とフルオロスルホニル基とが、単結合または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基を介して結合した特徴ある構造を有する化合物である。 化合物a1からは、機能性材料の原料として有用な、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物、ペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物等を製造できる。 本発明は、化合物aとカルボニル化合物を反応させて下記化合物mbを得て、つぎに該化合物mbをヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させる下記化合物maの製造方法を提供する。なお該製造方法における化合物aとしては、化合物a1を用いるのが好ましい。 カルボニル化合物とは−C(O)−構造を1個以上有する化合物である。化合物aとカルボニル化合物の反応においては、化合物aの1モルに対してカルボニル化合物の、0.8〜2倍モル用いるのが好ましく、1〜1.5倍モル用いるのが特に好ましい。 カルボニル化合物は、ベンゾフェノンまたは式R1R2NCHO(ただし、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基を示す。以下同様。)で表される化合物が好ましく、ベンゾフェノンが特に好ましい。R1およびR2は共同して炭素数2〜6のアルキレン基を形成してもいてもよい。R1、R2またはR1およびR2から形成される基の炭素数が2以上である場合においては、炭素原子−炭素原子結合間にエーテル性酸素原子が挿入されていてもよい。式R1R2NCHOで表される化合物の具体例としては、(CH3)2NCHO、N−ホルミルモルホリン等が挙げられる。 反応温度は、−30〜+300℃が好ましい。ベンゾフェノンを用いる場合は、100〜300℃が好ましく、150〜300℃が特に好ましい。式R1R2NCHOで表される化合物を用いる場合は、−30〜+100℃が好ましく、−30〜+50℃が特に好ましい。 反応は、溶媒の存在下に行っても溶媒の不存在下に行ってもよく、溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒は、非プロトン性溶媒が好ましく、エーテル系非プロトン性溶媒(たとえば、テトラグライム、トリグライム、ジグライム、モノグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等。)が特に好ましい。 化合物mbの具体例としては、下記化合物等が挙げられる。 FC(O)C(O)SO2F、 FC(O)C(O)CF2SO2F、 FC(O)C(O)CF2CF2SO2F、 FC(O)C(O)(CF2)3SO2F、 FC(O)C(O)(CF2)4SO2F、 FC(O)C(O)CF2OCF2CF2SO2F。 反応生成物中は、化合物mbを含むとともに、化合物aの2量化反応により形成された下記化合物miが含む場合がある。反応生成物は、そのまま次工程に用いてもよく、反応生成物を精製して化合物mbを単離してから次工程に用いてもよい。 化合物mbをヘキサフルオロプロペンオキシドと反応させる工程は、アルカリ金属フッ化物の存在下に行うのが好ましい。アルカリ金属フッ化物は、化合物mbの1モルに対して、0.1〜20倍モルを用いるのが好ましく、1〜10倍モルを用いるのが特に好ましい。アルカリ金属フッ化物は、NaF、KFまたはCsFが好ましく、CsFが特に好ましい。反応温度は、反応副生物である下記化合物miiの副生を抑制できるため、100℃〜180℃が好ましい。 反応は、溶媒の存在下に行っても溶媒の不存在下に行ってもよく、溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒は、極性溶媒が好ましく、グライム系溶媒(たとえば、テトラグライム、トリグライム、ジグライム、モノグライム等。)が特に好ましい。 化合物maの具体例としては、下記化合物等が挙げられる。 本発明の製造方法で得た化合物maは、熱分解反応により化合物mに変換するのが好ましい。すなわち、本発明は該化合物maの熱分解反応による下記化合物mの製造方法を提供する。 化合物mの具体例としては、下記化合物等が挙げられる。 熱分解反応は、気相反応で行っても液相反応で行ってもよく、反応効率の観点から気相反応で行うのが好ましい。 熱分解反応は、触媒の存在下に行うのが好ましい。触媒はアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が好ましい。また触媒の中心粒度は、100〜250μmが好ましい。 アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩としては、炭酸塩またはフッ化物が好ましい。アルカリ金属塩の具体例としては、Na2CO3、NaF、K2CO3、KF、Li2CO3等が挙げられる。アルカリ土類金属塩の具体例としては、CaCO3、CaF2、MgCO3、BaCO3等が挙げられる。 また熱分解反応は、化合物maに式M(OH)で表される化合物(ただし、Mはアルカリ金属原子を示す。以下同様。)を作用させて化合物ma中の−COF基を−COO−M+に変換した後に行ってもよい。アルカリ金属原子としては、NaまたはKが好ましい。 本発明は、化合物aをルイス酸の存在下に反応させて下記化合物pdを得て、つぎに該化合物pdと下記化合物zを反応させる下記化合物pcの製造方法を提供する。なお該製造方法における化合物aとしては、化合物a1を用いるのが好ましい。 化合物zにおけるXは、塩素原子が好ましい。 化合物aと反応させるルイス酸は、塩化アルミニウムまたはフッ化塩化アルミニウムが好ましい。 化合物pdと化合物zを反応させる工程は、塩基性化合物の存在下に行うのが好ましい。 また化合物pdから化合物pcを製造する別の方法としては、化合物pdとエチレンオキサイドをLiXと水の存在下に反応させる方法が挙げられる。 本発明の製造方法で得た化合物pcは、さらに化学変換して化合物pに変換するのが好ましい。すなわち本発明は、該化合物pcを光照射下に塩素ガスと反応させて下記化合物pbを得て、つぎに該化合物pbを3フッ化アンチモンと5塩化アンチモンの存在下に反応させて下記化合物paを得て、つぎに該化合物paを脱塩素化剤と反応させる下記化合物pの製造方法を提供する。 化合物paと反応させる脱塩素化剤とは、化合物pa中の2個の塩素原子を離脱せしめる反応剤である。脱塩素化剤は、Zn、Na、Mg、Sn、CuまたはFeが好ましく、低温反応が可能である観点からZnが特に好ましい。脱塩素化剤は、化合物paの1モルに対して、1〜20モル用いるのが好ましく、2〜8モル用いるのが特に好ましい。また、この場合の温度は、30℃〜100℃が好ましく、40℃〜70℃が特に好ましい。 化合物paの脱塩素化反応は、極性溶媒の存在下で行うのが好ましい。極性溶媒は、有機極性溶媒(たとえば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチルイミダゾリジン、1,4−ジオキサン、ジクライム、メタノール、エタノール、酢酸、無水酢酸、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等。)または水が好ましい。また該脱塩素化反応においては、反応を反応蒸留形式で行い蒸留精製された化合物pを直接得てもよい。 以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。 [例1]化合物a−4の製造例 オートクレーブ(内容積200mL)に、下記化合物b−4(313g)を仕込み、内温を115.0℃〜116.5℃に保持しながら酸素ガスをバブリングして酸化反応を行った。バブリングに伴いオートクレーブの内圧が1.0MPa(ゲージ圧)まで上昇した時点でバブリングを停止し、内温を25℃まで冷却して内圧をパージした。 オートクレーブ内容液の19F−NMR解析において、炭素原子に結合する全てのフッ素原子に由来するスペクトルの面積和に対する、炭素−炭素不飽和結合に結合するフッ素原子に由来するスペクトルの面積和の比が0.05以下になるまで、ひきつづき酸化反応を繰り返し行って下記化合物a−4を得た(収量298g)。 化合物a−4の19F−NMR(282.7MHz,溶媒:CDCl3,基準:CFCl3)δ(ppm):46.42(1F),−108.22(2F),−109.58(1F),−112.50(1F),−152.33(1F),−118.31〜−124.97(6F)。 [例2]化合物a−2の製造例 オートクレーブ(内容積200mL)に、下記化合物b−2(300g)を仕込み、内温を100.0℃〜101.5℃に保持しながら酸素ガスをバブリングして酸化反応を行った。バブリングに伴いオートクレーブの内圧が1.0MPa(ゲージ圧)まで上昇した時点でバブリングを停止し、内温を25℃まで冷却して内圧をパージした。 オートクレーブ内容液の19F−NMR解析において、炭素原子に結合する全てのフッ素原子に由来するスペクトルの面積和に対する、炭素−炭素不飽和結合に結合するフッ素原子に由来するスペクトルの面積和の比が0.05以下になるまで、ひきつづき酸化反応を繰り返し行って下記化合物a−2を得た(収量260g)。 化合物a−2の19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):46.24(1F),−109.45(1F),−109.75(2F),−112.55(1F),−152.55(1F),−118.10〜−124.19(2F)。 [例3]化合物ma−4の製造例 温度計と冷却器を備えた4つ口フラスコ(内容積1L)に、窒素ガス雰囲気下でベンゾフェノンの9.8g、化合物a−4の20.4gを加える。続いてフラスコ内温を160〜170℃に保持して、反応を3時間行う。反応終了後、フラスコ内容物を、3つ口フラスコ(内容積50mL)に移し、さらに減圧蒸留して下記化合物mb−4を得る。 窒素ガス雰囲気下のフラスコに、テトラグライムとCsFの1〜10質量部を添加する。フラスコ内を0℃以下に保持して撹拌しながら、化合物mb−4の100質量部とガス状のヘキサフルオロプロペンオキシドの45〜85質量部を徐々に導入する。導入終了後、フラスコ内溶液をオートクレーブに移す。オートクレーブ内を110〜160℃に保持して数時間撹拌する。つぎにオートクレーブ内を冷却してから、オートクレーブ内容液を回収し蒸留して下記化合物ma−4を得る。 [例4]化合物m−4の製造例 ガラスビーズを充填した流動層型のU字型の反応管を300〜350℃に加熱する。反応管の出口の一方には冷却トラップを設置する。200〜300℃にて窒素ガスを用いて例3で得られる化合物ma−4を気化させてから反応管に流通させ、冷却トラップに留出する液体を捕集する。流通終了後、捕集した液体を蒸留して下記化合物m−4を得る。 本発明によって、フルオロスルホニル基とペルフルオロオキシラニル基が、単結合または特定のペルフルオロアルキレン基を介して結合した構造の新規化合物が提供される。 また本発明によって、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の効率のよい製造方法、およびペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の効率のよい製造方法が提供される。本発明の製造方法により提供される化合物を重合させて得た含フッ素重合体は、固体高分子型燃料電池用プロトン伝導性膜、固体高分子型燃料電池の触媒層用プロトン伝導性材料として有用である。また該含フッ素重合体は、食塩電解用イオン交換膜、リチウム一次電池、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池のポリマー電解質、イオン交換樹脂等の種々の電解質用途、および固体酸触媒、加湿膜、除湿膜等の材料としても有用である。 下式(a1)で表される化合物(ただし、QF1は単結合または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基を示す。)。 下式(b1)で表される化合物を酸化反応させて下式(a1)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(a1)で表される化合物の製造方法(ただし、QF1は単結合または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基を示す。)。 下式(a)で表される化合物とカルボニル化合物を反応させて下式(mb)で表される化合物を得て、つぎに該化合物をヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させて下式(ma)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(ma)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合またはペルフルオロ2価有機基を示す。)。 請求項3に記載の製造方法で得た下式(ma)で表される化合物を熱分解反応させて下式(m)で表される化合物を得る下式(m)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合またはペルフルオロ2価有機基を示す。)。 下式(a)で表される化合物をルイス酸の存在下に反応させて下式(pd)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を下式(z)で表される化合物と反応させて下式(pc)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(pc)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合またはペルフルオロ2価有機基を示し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)。 請求項5に記載の製造方法で得た下式(pc)で表される化合物を光照射下に塩素ガスと反応させて下式(pb)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を3フッ化アンチモンと5塩化アンチモンの存在下に反応させて下式(pa)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を脱塩素化剤と反応させる下式(p)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合またはペルフルオロ2価有機基を示す。)。 【課題】新規な含フッ素エポキシ化合物、その製造方法、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の製造方法、およびペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の製造方法を提供する。【解決手段】下式(a1)で表される化合物、下式(b1)で表される化合物を酸化させる該化合物の製造方法、下式(a)で表される化合物を用いた下式(m)で表される化合物の製造方法および下式(a)で表される化合物を用いた下式(p)で表される化合物の製造方法(ただし、QF1は単結合または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基を、QFは単結合またはペルフルオロ2価有機基を、示す。)。【化1】


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特許公報(B2)_新規な含フッ素エポキシ化合物およびその製造方法

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タイトル:特許公報(B2)_新規な含フッ素エポキシ化合物およびその製造方法
出願番号:2005280006
年次:2012
IPC分類:C07D 303/48,C07D 301/04,C07D 317/42,C07D 317/18


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渡壁 淳 田柳 順一 金子 勇 大春 一也 JP 4940608 特許公報(B2) 20120309 2005280006 20050927 新規な含フッ素エポキシ化合物およびその製造方法 旭硝子株式会社 000000044 棚井 澄雄 100106909 志賀 正武 100064908 鈴木 三義 100094400 柳井 則子 100106057 渡壁 淳 田柳 順一 金子 勇 大春 一也 JP 2005073192 20050315 JP 2004311191 20041026 20120530 C07D 303/48 20060101AFI20120510BHJP C07D 301/04 20060101ALI20120510BHJP C07D 317/42 20060101ALI20120510BHJP C07D 317/18 20060101ALI20120510BHJP JPC07D303/48C07D301/04C07D317/42C07D317/18 C07D 301/,303/,317/ C08F 24/, 34/ REGISTRY/CAPLUS(STN) 国際公開第03/037885(WO,A1) 特開昭57−176973(JP,A) 特開平10−110028(JP,A) 国際公開第2004/097851(WO,A1) 6 2006290864 20061026 14 20080806 深谷 良範 本発明は、新規な含フッ素エポキシ化合物と、その製造方法に関する。また本発明はペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の製造方法、およびペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物を製造する方法に関する。 フルオロスルホニル基を有するペルフルオロビニルエーテルを重合させて得た含フッ素重合体は、食塩電解・燃料電池用のイオン交換膜材料として有用である。しかし該ペルフルオロビニルエーテルは重合性が低く充分な物性を有する含フッ素重合体を得るためには、重合においてCF2=CF2等の他のフルオロモノマーと共重合させる必要があった。 重合性の高いフルオロスルホニル基を有するフルオロモノマーとしては、含フッ素脂肪族環構造とフルオロスルホニル基とを有する重合性化合物、たとえば下式(y)で表される化合物が知られている(特許文献1参照。)。 特許文献2には、下式(w)で表される化合物が記載されている。国際公開第03/037885号パンフレット特開昭57−176973号公報 本発明は、新規な含フッ素エポキシ化合物とその製造方法を提供する。本発明は、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の生産効率のよい製造方法、およびペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の生産効率のよい製造方法を提供することを目的とする。 本発明は、下記の発明を提供する。 <1>;下式(a1)で表される化合物(ただし、QF1は単結合または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基を示す。以下同様。)。 <2>;下式(b1)で表される化合物を酸化反応させて式(a1)で表される化合物を得ることを特徴とする式(a1)で表される化合物の製造方法。 <3>;下式(a)で表される化合物とカルボニル化合物を反応させて下式(mb)で表される化合物を得て、つぎに該化合物をヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させて下式(ma)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(ma)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合、−CF2−、−CF2CF2−、−(CF2)3−、−(CF2)4−または−CF2OCF2CF2−を示す。以下同様。)。 <4>;<3>に記載の製造方法で得た式(ma)で表される化合物を熱分解反応させて下式(m)で表される化合物を得る下式(m)で表される化合物の製造方法。 <5>;式(a)で表される化合物をルイス酸の存在下に反応させて下式(pd)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を下式(z)で表される化合物と反応させて下式(pc)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(pc)で表される化合物の製造方法(ただし、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。以下同様。)。 <6>;<5>に記載の製造方法で得た式(pc)で表される化合物を光照射下に塩素ガスと反応させて下式(pb)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を3フッ化アンチモンと5塩化アンチモンの存在下に反応させて下式(pa)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を脱塩素化剤と反応させる下式(p)で表される化合物の製造方法。 本発明によれば、新規な含フッ素エポキシ化合物とその製造方法が提供される。また本発明によれば、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の生産効率のよい製造方法、およびペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の生産効率のよい製造方法が提供される。 本明細書において、式(a)で表される化合物を化合物aと記す。他の式で表される化合物も同様に記す。 本発明は、下記化合物a1を提供する。 QF1が単結合であるとは、SO2F基とペルフルオロオキシラニル基とが直接結合していることを意味する(以下同様。)。QF1は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基であるのが好ましく、炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であるのが特に好ましい。炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基としては、式−(CF2)n−で表される基(ただし、nは1〜10の整数を示す。)であるのが好ましく、nが1〜6の該基であるのが特に好ましい。 化合物a1の具体例としては、下記化合物が挙げられる。 化合物a1は、下記化合物b1を酸化反応させて製造するのが好ましい。 化合物b1の具体例としては、下記化合物が挙げられる。 CF2=CFSO2F、 CF2=CFCF2SO2F、 CF2=CFCF2CF2SO2F、 CF2=CF(CF2)3SO2F、 CF2=CF(CF2)4SO2F。 化合物a1の酸化反応は、化合物b1を酸素ガスと接触させる方法、または化合物b1を次亜塩素酸塩と接触させる方法によるのが好ましく、反応収率の観点から、化合物b1を酸素ガスと接触させる方法によるのが特に好ましい。 酸素ガスを用いる酸化反応は、不活性溶媒(たとえば、フルオロトリクロロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ペンタフルオロジクロロプロパン、ペルフルオロシクロブタン等。)の存在下に行ってもよく、溶媒の不存在下に行ってもよい。反応の温度は、収率と反応選択率の観点から、50℃〜200℃が好ましく、80℃〜150℃が特に好ましい。 次亜塩素酸塩を用いる酸化反応は、次亜塩素酸塩を含む水層と有機層を含む2層系の酸化反応であるのが好ましい。反応の温度は、収率と反応選択率の観点から、50℃〜200℃が好ましく、80℃〜150℃が特に好ましい。水層は無機塩基を含むのが好ましい。さらに水層は相間移動触媒を含むのが好ましい。 次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸セシウム、次亜塩素酸マグネシウムまたは次亜塩素酸カルシウムが好ましく、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムが特に好ましい。 無機塩基は、アルカリ金属水酸化物(たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等。)またはアルカリ土類金属水酸化物(たとえば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等。)が好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。 相間移動触媒は、次亜塩素酸塩中のカチオンに対する親油性錯化能と有機層に対する親和性とを有する相間移動触媒が好ましく、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩または第4級アルソニウム塩がより好ましく、第4級アンモニウム塩が特に好ましい。 第4級アンモニウム塩としては、式[(X11)(X21)(X31)(X41)N+]Y−で表される化合物が好ましい。ただし、X11、X21、X31およびX41は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、Y−は対イオンであるアニオンを示し、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、水酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオンまたはp−トルエンスルホン酸イオンを示す。 第4級アンモニウム塩におけるカチオン部分の具体例としては、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、テトラ−n−ブチルアンモニウムイオン、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。 Y−は塩素イオン、硫酸水素イオンまたは水酸イオンが好ましい。 有機層用の有機溶媒としては、水に不溶または難溶性である不活性有機溶媒が好ましくい。不活性有機溶媒の具体例としては、脂肪族炭化水素類(たとえば、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等。)、芳香族炭化水素類(たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等。)、クロロカーボン類(たとえば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等。)、クロロフルオロカーボン類(たとえば、フルオロトリクロロメタン、トリクロロトリフルオロエタン等。)、フルオロカーボン類(たとえば、ペルフルオロシクロブタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロデカン、ヘキサフルオロベンゼン等。)等が挙げられる。 本発明の化合物a1は、ペルフルオロオキシラニル基とフルオロスルホニル基とが、単結合または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基を介して結合した特徴ある構造を有する化合物である。 化合物a1からは、機能性材料の原料として有用な、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物、ペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物等を製造できる。 本発明は、化合物aとカルボニル化合物を反応させて下記化合物mbを得て、つぎに該化合物mbをヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させる下記化合物maの製造方法を提供する。なお該製造方法における化合物aとしては、化合物a1を用いるのが好ましい。 カルボニル化合物とは−C(O)−構造を1個以上有する化合物である。化合物aとカルボニル化合物の反応においては、化合物aの1モルに対してカルボニル化合物の、0.8〜2倍モル用いるのが好ましく、1〜1.5倍モル用いるのが特に好ましい。 カルボニル化合物は、ベンゾフェノンまたは式R1R2NCHO(ただし、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基を示す。以下同様。)で表される化合物が好ましく、ベンゾフェノンが特に好ましい。R1およびR2は共同して炭素数2〜6のアルキレン基を形成してもいてもよい。R1、R2またはR1およびR2から形成される基の炭素数が2以上である場合においては、炭素原子−炭素原子結合間にエーテル性酸素原子が挿入されていてもよい。式R1R2NCHOで表される化合物の具体例としては、(CH3)2NCHO、N−ホルミルモルホリン等が挙げられる。 反応温度は、−30〜+300℃が好ましい。ベンゾフェノンを用いる場合は、100〜300℃が好ましく、150〜300℃が特に好ましい。式R1R2NCHOで表される化合物を用いる場合は、−30〜+100℃が好ましく、−30〜+50℃が特に好ましい。 反応は、溶媒の存在下に行っても溶媒の不存在下に行ってもよく、溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒は、非プロトン性溶媒が好ましく、エーテル系非プロトン性溶媒(たとえば、テトラグライム、トリグライム、ジグライム、モノグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等。)が特に好ましい。 化合物mbの具体例としては、下記化合物等が挙げられる。 FC(O)C(O)SO2F、 FC(O)C(O)CF2SO2F、 FC(O)C(O)CF2CF2SO2F、 FC(O)C(O)(CF2)3SO2F、 FC(O)C(O)(CF2)4SO2F、 FC(O)C(O)CF2OCF2CF2SO2F。 反応生成物中は、化合物mbを含むとともに、化合物aの2量化反応により形成された下記化合物miが含む場合がある。反応生成物は、そのまま次工程に用いてもよく、反応生成物を精製して化合物mbを単離してから次工程に用いてもよい。 化合物mbをヘキサフルオロプロペンオキシドと反応させる工程は、アルカリ金属フッ化物の存在下に行うのが好ましい。アルカリ金属フッ化物は、化合物mbの1モルに対して、0.1〜20倍モルを用いるのが好ましく、1〜10倍モルを用いるのが特に好ましい。アルカリ金属フッ化物は、NaF、KFまたはCsFが好ましく、CsFが特に好ましい。反応温度は、反応副生物である下記化合物miiの副生を抑制できるため、100℃〜180℃が好ましい。 反応は、溶媒の存在下に行っても溶媒の不存在下に行ってもよく、溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒は、極性溶媒が好ましく、グライム系溶媒(たとえば、テトラグライム、トリグライム、ジグライム、モノグライム等。)が特に好ましい。 化合物maの具体例としては、下記化合物等が挙げられる。 本発明の製造方法で得た化合物maは、熱分解反応により化合物mに変換するのが好ましい。すなわち、本発明は該化合物maの熱分解反応による下記化合物mの製造方法を提供する。 化合物mの具体例としては、下記化合物等が挙げられる。 熱分解反応は、気相反応で行っても液相反応で行ってもよく、反応効率の観点から気相反応で行うのが好ましい。 熱分解反応は、触媒の存在下に行うのが好ましい。触媒はアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が好ましい。また触媒の中心粒度は、100〜250μmが好ましい。 アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩としては、炭酸塩またはフッ化物が好ましい。アルカリ金属塩の具体例としては、Na2CO3、NaF、K2CO3、KF、Li2CO3等が挙げられる。アルカリ土類金属塩の具体例としては、CaCO3、CaF2、MgCO3、BaCO3等が挙げられる。 また熱分解反応は、化合物maに式M(OH)で表される化合物(ただし、Mはアルカリ金属原子を示す。以下同様。)を作用させて化合物ma中の−COF基を−COO−M+に変換した後に行ってもよい。アルカリ金属原子としては、NaまたはKが好ましい。 本発明は、化合物aをルイス酸の存在下に反応させて下記化合物pdを得て、つぎに該化合物pdと下記化合物zを反応させる下記化合物pcの製造方法を提供する。なお該製造方法における化合物aとしては、化合物a1を用いるのが好ましい。 化合物zにおけるXは、塩素原子が好ましい。 化合物aと反応させるルイス酸は、塩化アルミニウムまたはフッ化塩化アルミニウムが好ましい。 化合物pdと化合物zを反応させる工程は、塩基性化合物の存在下に行うのが好ましい。 また化合物pdから化合物pcを製造する別の方法としては、化合物pdとエチレンオキサイドをLiXと水の存在下に反応させる方法が挙げられる。 本発明の製造方法で得た化合物pcは、さらに化学変換して化合物pに変換するのが好ましい。すなわち本発明は、該化合物pcを光照射下に塩素ガスと反応させて下記化合物pbを得て、つぎに該化合物pbを3フッ化アンチモンと5塩化アンチモンの存在下に反応させて下記化合物paを得て、つぎに該化合物paを脱塩素化剤と反応させる下記化合物pの製造方法を提供する。 化合物paと反応させる脱塩素化剤とは、化合物pa中の2個の塩素原子を離脱せしめる反応剤である。脱塩素化剤は、Zn、Na、Mg、Sn、CuまたはFeが好ましく、低温反応が可能である観点からZnが特に好ましい。脱塩素化剤は、化合物paの1モルに対して、1〜20モル用いるのが好ましく、2〜8モル用いるのが特に好ましい。また、この場合の温度は、30℃〜100℃が好ましく、40℃〜70℃が特に好ましい。 化合物paの脱塩素化反応は、極性溶媒の存在下で行うのが好ましい。極性溶媒は、有機極性溶媒(たとえば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチルイミダゾリジン、1,4−ジオキサン、ジクライム、メタノール、エタノール、酢酸、無水酢酸、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等。)または水が好ましい。また該脱塩素化反応においては、反応を反応蒸留形式で行い蒸留精製された化合物pを直接得てもよい。 以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。 [例1]化合物a−4の製造例 オートクレーブ(内容積200mL)に、下記化合物b−4(313g)を仕込み、内温を115.0℃〜116.5℃に保持しながら酸素ガスをバブリングして酸化反応を行った。バブリングに伴いオートクレーブの内圧が1.0MPa(ゲージ圧)まで上昇した時点でバブリングを停止し、内温を25℃まで冷却して内圧をパージした。 オートクレーブ内容液の19F−NMR解析において、炭素原子に結合する全てのフッ素原子に由来するスペクトルの面積和に対する、炭素−炭素不飽和結合に結合するフッ素原子に由来するスペクトルの面積和の比が0.05以下になるまで、ひきつづき酸化反応を繰り返し行って下記化合物a−4を得た(収量298g)。 化合物a−4の19F−NMR(282.7MHz,溶媒:CDCl3,基準:CFCl3)δ(ppm):46.42(1F),−108.22(2F),−109.58(1F),−112.50(1F),−152.33(1F),−118.31〜−124.97(6F)。 [例2]化合物a−2の製造例 オートクレーブ(内容積200mL)に、下記化合物b−2(300g)を仕込み、内温を100.0℃〜101.5℃に保持しながら酸素ガスをバブリングして酸化反応を行った。バブリングに伴いオートクレーブの内圧が1.0MPa(ゲージ圧)まで上昇した時点でバブリングを停止し、内温を25℃まで冷却して内圧をパージした。 オートクレーブ内容液の19F−NMR解析において、炭素原子に結合する全てのフッ素原子に由来するスペクトルの面積和に対する、炭素−炭素不飽和結合に結合するフッ素原子に由来するスペクトルの面積和の比が0.05以下になるまで、ひきつづき酸化反応を繰り返し行って下記化合物a−2を得た(収量260g)。 化合物a−2の19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):46.24(1F),−109.45(1F),−109.75(2F),−112.55(1F),−152.55(1F),−118.10〜−124.19(2F)。 [例3]化合物ma−4の製造例 温度計と冷却器を備えた4つ口フラスコ(内容積1L)に、窒素ガス雰囲気下でベンゾフェノンの9.8g、化合物a−4の20.4gを加える。続いてフラスコ内温を160〜170℃に保持して、反応を3時間行う。反応終了後、フラスコ内容物を、3つ口フラスコ(内容積50mL)に移し、さらに減圧蒸留して下記化合物mb−4を得る。 窒素ガス雰囲気下のフラスコに、テトラグライムとCsFの1〜10質量部を添加する。フラスコ内を0℃以下に保持して撹拌しながら、化合物mb−4の100質量部とガス状のヘキサフルオロプロペンオキシドの45〜85質量部を徐々に導入する。導入終了後、フラスコ内溶液をオートクレーブに移す。オートクレーブ内を110〜160℃に保持して数時間撹拌する。つぎにオートクレーブ内を冷却してから、オートクレーブ内容液を回収し蒸留して下記化合物ma−4を得る。 [例4]化合物m−4の製造例 ガラスビーズを充填した流動層型のU字型の反応管を300〜350℃に加熱する。反応管の出口の一方には冷却トラップを設置する。200〜300℃にて窒素ガスを用いて例3で得られる化合物ma−4を気化させてから反応管に流通させ、冷却トラップに留出する液体を捕集する。流通終了後、捕集した液体を蒸留して下記化合物m−4を得る。 本発明によって、フルオロスルホニル基とペルフルオロオキシラニル基が、単結合または特定のペルフルオロアルキレン基を介して結合した構造の新規化合物が提供される。 また本発明によって、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の効率のよい製造方法、およびペルフルオロ(1,3−ジオキソール)構造とフルオロスルホニル基とを有する化合物の効率のよい製造方法が提供される。本発明の製造方法により提供される化合物を重合させて得た含フッ素重合体は、固体高分子型燃料電池用プロトン伝導性膜、固体高分子型燃料電池の触媒層用プロトン伝導性材料として有用である。また該含フッ素重合体は、食塩電解用イオン交換膜、リチウム一次電池、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池のポリマー電解質、イオン交換樹脂等の種々の電解質用途、および固体酸触媒、加湿膜、除湿膜等の材料としても有用である。 下式(a1)で表される化合物(ただし、QF1は単結合または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基を示す。)。 下式(b1)で表される化合物を酸化反応させて下式(a1)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(a1)で表される化合物の製造方法(ただし、QF1は単結合または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基を示す。)。 下式(a)で表される化合物とカルボニル化合物を反応させて下式(mb)で表される化合物を得て、つぎに該化合物をヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させて下式(ma)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(ma)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合、−CF2−、−CF2CF2−、−(CF2)3−、−(CF2)4−または−CF2OCF2CF2−を示す。)。 請求項3に記載の製造方法で得た下式(ma)で表される化合物を熱分解反応させて下式(m)で表される化合物を得る下式(m)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合、−CF2−、−CF2CF2−、−(CF2)3−、−(CF2)4−または−CF2OCF2CF2−を示す。)。 下式(a)で表される化合物をルイス酸の存在下に反応させて下式(pd)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を下式(z)で表される化合物と反応させて下式(pc)で表される化合物を得ることを特徴とする下式(pc)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合、−CF2−、−CF2CF2−、−(CF2)3−、−(CF2)4−または−CF2OCF2CF2−を示し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)。 請求項5に記載の製造方法で得た下式(pc)で表される化合物を光照射下に塩素ガスと反応させて下式(pb)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を3フッ化アンチモンと5塩化アンチモンの存在下に反応させて下式(pa)で表される化合物を得て、つぎに該化合物を脱塩素化剤と反応させる下式(p)で表される化合物の製造方法(ただし、QFは単結合、−CF2−、−CF2CF2−、−(CF2)3−、−(CF2)4−または−CF2OCF2CF2−を示す。)。


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