タイトル: | 公開特許公報(A)_多価カルボン酸とビスオキサゾリンの反応物、及びその製造方法 |
出願番号: | 2005279438 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07D 263/14 |
杉山 広道 番場 敏夫 池田 拓司 JP 2007091598 公開特許公報(A) 20070412 2005279438 20050927 多価カルボン酸とビスオキサゾリンの反応物、及びその製造方法 住友ベークライト株式会社 000002141 杉山 広道 番場 敏夫 池田 拓司 C07D 263/14 20060101AFI20070316BHJP JPC07D263/14 5 OL 8 4C056 4C056AA01 4C056AB01 4C056AC02 4C056AD01 4C056AE02 4C056BA13 4C056BB01 4C056BC01 本発明は、多価カルボン酸とビスオキサゾリンの反応物、及びその製造方法に関する。 ビスオキサゾリンと多価カルボン酸等を反応させて生成する化合物は、硬化性樹脂組成物の原料であり、この樹脂組成物は硬化性、耐薬品性、耐溶剤性、耐水性等の利点を有することから、塗料、表面処理剤、コーティング剤、接着剤、粘着剤、シーリング剤、成形材料等の分野で広く利用されている。また、この化合物はカルボキシル基を有する各種樹脂への架橋剤やポリエステルの改質剤等の用途にも用いられている。 ここでビスオキサゾリンとジカルボン酸、ジチオ−ル化合物、モノメルカプト−モノカルボン酸、及びモノアミノ−モノカルボン酸等の2官能性反応物との反応においては、ビスオキサゾリンが有機溶媒中に溶解し難いため、一般的にバルク中で反応が行われている。 さらに最近では、酢酸エチルなどの溶剤を用いて溶液系での反応も行われている。特公平5−117253 しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。 第一に、バルク中で反応させる場合、高温(160℃以上)で反応させることが困難であるという課題があった。 第二に、溶剤を用いて希釈した場合でも、反応容器に一度に混ぜて反応させると高分子量体の物質も生成してしまう可能性があり、二量体あるいは三量体などの低分子量体のみを生成することが困難であるという課題があった。 本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは有機溶剤に可溶な低分子量体から成るビスオキサゾリン化合物、及びその化合物を得るための反応方法を提供することにある。 上記課題は次のような手段によって解決される。[1]一般式(1)で表される構造で表される化合物。(式中、R1は有機基、nは1以上の正数を表す。)[2]R1が下記式(2)で表されることを特徴とする[1]記載の化合物。(式中、R2は−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF3)2−のいずれかを表す。)[3]得られた生成物の平均重合度nが1以上、8以下である[1]又は[2]記載の化合物。[4]ビスオキサゾリンと下記式で表されるカルボン酸を反応させて得られる化合物。(式中、R2は−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF3)2−のいずれかを表す。)[5]ビスオキサゾリンと多価カルボン酸を反応させる方法であって、当該2つの成分の一方を溶剤で希釈して反応容器に準備する工程と、当該2つの成分の他方を溶剤で希釈した溶液を、前記準備した反応容器に滴下する工程、及び、前記滴下後の混合溶液を加熱処理する工程、を含むことを特徴とするビスオキサゾリンと多価カルボン酸を反応させる方法。 本発明によれば、有機溶剤に可溶な低分子量体から成るビスオキサゾリン化合物、及びその化合物を得るための反応方法を提供することができる。 本発明は、一般式(1)で表される化合物に関するものである。この化合物は、特定のビスオキサゾリンと多価カルボン酸を反応させることによって生成する。なお下記は例示であり、本発明は何ら下記に限定されるものではない。以下に本発明の化合物について詳細に説明する。 本発明の一般式(1)で表される化合物は、ビスオキサゾリンを溶解させた反応溶液へ、ジカルボン酸又は多価カルボン酸希釈溶液を2.0〜9.0 g/min で2回に分けて滴下し、反応温度100〜160℃として1〜8時間反応させることによって得られる。本発明の反応における攪拌速度は120〜180rpm、希釈溶液の滴下速度は2.0〜9.0 g/min、希釈液の滴下温度は110〜160℃である。 ビスオキサゾリン化合物として、脂肪族あるいは芳香族を含むビスオキサゾリン化合物、ジカルボン酸化合物として、脂肪族あるいは芳香族を含むジカルボン酸、多価カルボン酸が好ましい。 脂肪族あるいは芳香族を含むビスオキサゾリン化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,8−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼンより選ばれるものであり、これらは2種類以上用いても良い。これらの中で特に好ましいものとしては1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼンである。 脂肪族あるいは芳香族を含むジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエ−テル−4,4’ −ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’ −ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’ −ジカルボン酸、4,4’ −ビフェニルジカルボン酸、2,2’ −ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(カルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸より選ばれるものであり、これらは2種類以上用いても良い。これらの中で好ましいものとしてはジフェニルエ−テル−4,4’ −ジカルボン酸である。 脂肪族あるいは芳香族を含む多価カルボン酸としては、例えば1,2,4 −ベンゼントリカルボン酸、2,5,7 −ナフタレントリカルボン酸、1,2,4 −ナフタレントリカルボン酸、1,2,4 −ブタントリカルボン酸、1,2,5 −ヘキサントリカルボン酸、1,2,4 −シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ (メチレンカルボキシル) メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸などより選ばれるものであり、これらは2種類以上用いても良い。 ビスオキサゾリンと多価カルボン酸の反応モル比は、ビスオキサゾリン1.0モルに対し、多価カルボン酸2.0〜8.0モルである。 本発明で用いられる溶剤は、γ―ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチルなどである。 本発明で用いる希釈溶液は、ジカルボン酸100重量部を溶剤300〜700重量部で希釈することにより作製する。<実施例> 2,2−(1,3−フェニレン)ビス−2−オキサゾリン50.40g(0.232モル)およびγ-ブチロラクトン260gを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れた。この反応溶液を入れたフラスコをオイルバス中に浸し攪拌しながら温度を上げていくと、50℃付近で2,2−(1,3−フェニレン)ビス−2−オキサゾリンが溶媒に溶解する。それを確認後、γ-ブチロラクトン30gにジフェニルエ−テル−4,4’ −ジカルボン酸14.80g(0.058モル)を加えて作製した希釈溶液を滴下速度4.48g/minでフラスコ内に投入する。その後、120℃付近で再度γ-ブチロラクトン30gにジフェニルエ−テル−4,4’ −ジカルボン酸14.80g(0.058モル)を加えて作製した希釈溶液を同じ滴下速度にて投入し、3時間、130℃で反応させた。これより、得られた反応溶液をGPC分析した結果を図1に示す。分析時間18〜24minに見られるピークが生成物のピークであり、高分子量体の化合物は生成していない。得られた生成物の平均重合度は6である。<比較例> 2,2−(1,3−フェニレン)ビス−2−オキサゾリン50.40g(0.232モル)、ジフェニルエ−テル−4,4’ −ジカルボン酸29.60g(0.116モル)およびγ-ブチロラクトン320gを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに一括投入した。この反応溶液を入れたフラスコをオイルバス中に浸し攪拌しながら温度を130℃まで上げ、3時間反応させた。これより、得られた反応溶液をGPC分析した結果を図2に示す。生成物のピークの分子量分布は広がり、19min付近に高分子量体の化合物が生成している。得られた生成物の平均重合度は18である。 本発明におけるGPCの測定条件は、流量1.0ml/min、溶離液はTHF/DMF/りん酸=100:100:1の割合で混ぜた溶液を用いる。カラムは日立化成工業製ゲルパックカラムGL−S300MDT−5であり、日本分光社製のUV検出器は波長270 nmに設定する。 実施例1、比較例1のGPCチャートをそれぞれ図1、2に示す。図1では生成物、ビスオキサゾリン、溶媒の3つのピークが観測されるのに対し、図2では、図1で観測される3つのピークの他に生成物よりも高分子量体であるピークが観測される。本発明の化合物は、カルボン酸や水酸基等のオキサゾリンと反応する官能基を含む樹脂の架橋剤などに用いることができる。図1は実施例1のGPCチャートを示す。図2は比較例1のGPCチャートを示す。符号の説明1 生成物のピーク2 比較的高分子量体のピーク3 ビスオキサゾリンのピーク4 溶媒(γ―ブチロラクトン)のピーク 一般式(1)で表される構造で表される化合物。(式中、R1は有機基、nは1以上の正数を表す。) R1が下記式(2)で表されることを特徴とする請求項1記載の化合物。(式中、R2は−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF3)2−のいずれかを表す。) 得られた生成物の平均重合度nが1以上、8以下である請求項1又は2記載の化合物。ビスオキサゾリンと下記式で表されるカルボン酸を反応させて得られる化合物。(式中、R2は−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF3)2−のいずれかを表す。)ビスオキサゾリンと多価カルボン酸を反応させる方法であって、当該2つの成分の一方を溶剤で希釈して反応容器に準備する工程と、当該2つの成分の他方を溶剤で希釈した溶液を、前記準備した反応容器に滴下する工程、及び、前記滴下後の混合溶液を加熱処理する工程、を含むことを特徴とするビスオキサゾリンと多価カルボン酸を反応させる方法。 【課題】硬化性樹脂組成物の原料として有用であり、有機溶媒に可溶な低分子量体からなるビスオキサゾリン化合物、及びその製造方法の提供。【解決手段】一般式(1)で表される化合物及びその製造方法。(式中、R1は有機基、nは1以上の正数を表す。)【選択図】なし