生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_シマミミズが生産する生デンプン分解酵素
出願番号:2005275963
年次:2007
IPC分類:C12N 9/26


特許情報キャッシュ

上田 光宏 淺野 友彦 中澤 昌美 宮武 和孝 JP 2007082472 公開特許公報(A) 20070405 2005275963 20050922 シマミミズが生産する生デンプン分解酵素 公立大学法人大阪府立大学 505127721 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 廣幸 正樹 100118924 加藤 敬子 100110984 上田 光宏 淺野 友彦 中澤 昌美 宮武 和孝 C12N 9/26 20060101AFI20070309BHJP JPC12N9/26 A 12 OL 16 4B050 4B050CC01 4B050DD11 4B050FF11 4B050FF12 4B050LL02 本発明は一般的に生デンプン分解酵素に関する。より詳しくは、本発明はミミズの生デンプン分解酵素に関する。 ミミズは環形動物門貧毛目の生物で、地球上で3000〜7000種存在すると言われている。中国において、ミミズの乾燥粉末は、「地竜」と言う名で伝統的な漢方薬として知られており、解熱剤や利尿薬として長きに渡って用いられている。また、近年アカミミズ(Lumbrics rubellus)の凍結乾燥粉末から、血栓分解酵素が単離され、日本や韓国で研究が行われている(非特許文献1〜非特許文献3)。また、ミミズは重金属イオンを腸内に溜め込む習性があり、この習性を利用して汚染土壌のバイオマーカーとしても用いられている(非特許文献4、非特許文献5)。一方、日本の食品廃棄物は食品産業全体で1131万トン(2002年)と世界の食糧援助総量に匹敵するところまできている。また、環境省の2000年度の推計では、一般家庭からの食品廃棄物も1200万トンに上り、2001年に食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)が施行され、食品廃棄物の発生抑制と再生利用などを促進することが義務づけられ、その効果的処理方法が模索されている。その方法の一つに、食品廃棄物を未利用資源としてとらえたバイオコンバージョンによるコンポスト化がある。 日本では微生物を用いたコンポスト化が一般的であるが、欧米諸国では実際に一般家庭でも有機ゴミを処理するのにミミズが用いられており、摂取された有機ゴミは腸内酵素と腸内微生物群によって分解され、非常に栄養価の高い糞を排泄する事が知られている(非特許文献6)。これは土壌改良剤として使用されている。コンポスト化に用いられるミミズは、ごく少数であり、中でもシマミミズ(Eisenia fetida)が最もよく用いられている(非特許文献7、非特許文献8)。しかしながら、シマミミズのどの腸内酵素、どの腸内微生物群のどの酵素がコンポスト化に寄与しているかについては充分に明らかにされているとは言えない。記載なしノブヨシ ナカジマ,ヒサシ ミハラ,ヒロユキ スミ(1993),「ミミズ Lumbricus rubellus の強力なフィブリン分解酵素の特性決定」, Biosci. Biotech. Biochem., 57(10): 1726-1730。ノブヨシ ナカジマ,マナブ スギモト,コウジ イシハラ,カオル ナカムラ,ヒロキ ハマダ(1999),「ミミズのセリンプロテアーゼの更なる特性決定、ペプチド基質に対する及び自己消化に対する切断特異性」, Biosci. Biotech. Biochem., 63(11): 2031-2033。ジン チャン,リ リ,チェン ウ,ロン−キアオ ヘ(2003),「アイセニア・フェティダ由来の固定化されたミミズフィブリン分解酵素IIによるフィブリノーゲン及びプラズミノーゲンの加水分解」, Int. J. Biol. Macromolecules, 32: 165-171。S.A.ライネック,A.J.ライネック(2004),「ミミズにおける重金属遺伝毒性の生体マーカーとしてのコメット検定法」, Arch. Environ. Contam. Toxicol., 46: 208-215。ピーター K.ハンカード,クラウス スヴェンドセン,ジュリアン ライト,クレール ウィーンバーグ,サマンサ K.フィッシュウィック,デイヴィッド J.スパージオン,ジェイソン M.ウィークス(2004),「化学分析の支援としてミミズの生体マーカーを用いた汚染土壌の生物学的評価」, Sci. Total Environ., 330: 9-20。ルシアノ パスクアトロ カネラス,ファビオ ロペス オリバーセ,アンナ エル.オコロコヴァ−ファカンハ,アーノルド ロチャ ファカンハ(2002),「ミミズコンポストから単離された腐植酸(Humic acids)はトウモロコシの根の伸長、横根の出現、及び細胞質膜のH+−ATPアーゼ活性を増強する」, Plant Physiol. 130: 1951-1957 。メアリー アッペルホフ著(2002)「だれでもできるミミズで生ごみリサイクル」合同出版。佐原 みどり著(2002)「生ごみを食べてもらうミミズ御殿の作り方」VOICE。 そこで本研究では、コンポスト化において重要な働きをするであろうシマミミズ由来の加水分解酵素群のスクリーニングを行い、特に食品廃棄物処理に有用と考えられる、これまでミミズが生産することが知られていなかった生デンプン分解酵素をシマミミズから単離精製し、その性質を明らかにすることを目的とした。 本発明は、従来知られていなかった、シマミミズが生産する生デンプン分解酵素を提供する。 本発明の生デンプン分解酵素Iは、一晩絶食させたシマミミズを凍結乾燥し、乳鉢で粉砕して得た粉末状シマミミズを50mMトリス塩酸(pH7.0)に懸濁し、遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)した後上清を回収し、上清にプロテアーゼ阻害剤を加えて超遠心分離(100,000G、30分、4℃)した後上清を回収し、この上清に35%飽和になるよう硫酸アンモニウムを添加し、4℃で一晩保存し、続いて遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)した後沈殿を回収し、得られた沈殿を少量の50mMトリス塩酸(pH7.0)に溶解して透析を行った。透析膜は透析用セルロースチューブ(三光純薬株式会社)、外液は20mMトリス塩酸(pH7.0)を用いた。その透析内液を、デンプン又は生デンプンに対する分解活性を指標とし、DEAE−TOYOPEARL 650Mを用いる陰イオン交換クロマトグラフィーにかけて先に溶出する活性画分を分取し、この画分を集めて次にSephacryl S−200を用いるゲルろ過クロマトグラフィーにかけて活性画分を分取し、この画分をさらにBUTYL−TOYOPEARL 650Sを用いる疎水クロマトグラフィーにかけて活性画分を分取することにより、生デンプン分解酵素活性画分として得られる。 また、本発明の生デンプン分解酵素IIは、一晩絶食させたシマミミズを凍結乾燥し、乳鉢で粉砕して得た粉末状シマミミズを50mMトリス塩酸(pH7.0)に懸濁し、遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)した後、上清を回収し、上清にプロテアーゼ阻害剤を加え超遠心分離(100,000G、30分、4℃)した後上清を回収し、この上清に35%飽和になるよう硫酸アンモニウムを添加し、4℃で一晩保存し、続いて遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)した後沈殿を回収し、得られた沈殿を少量の50mMトリス塩酸(pH7.0)に溶解して透析を行った。透析膜は透析用セルロースチューブ(三光純薬株式会社)、外液は20mMトリス塩酸(pH7.0)を用いた。その透析内液を、デンプン又は生デンプンに対する分解活性を指標とし、DEAE−TOYOPEARL 650Mを用いる陰イオン交換クロマトグラフィーにかけて後に溶出する活性画分を分取し、この画分を集めて次にSephacryl S−200を用いるゲルろ過クロマトグラフィーにかけて活性画分を分取し、この画分をさらにBUTYL−TOYOPEARL 650Sを用いる疎水クロマトグラフィーにかけて活性画分を分取することにより、生デンプン分解酵素活性画分として得られる。 本発明の生デンプン分解酵素I及びIIは、その生デンプン分解様式からいずれもエンド型のα−アミラーゼである。 本発明のデンプン分解酵素I及びIIの最適作用温度はいずれも約50℃であったが、30分の熱処理においては本発明のデンプン分解酵素Iは10〜60℃で安定であり、本発明のデンプン分解酵素IIは10〜50℃である。 本発明のデンプン分解酵素I及びIIの最適作用pHはいずれも5.5であり、4℃で24時間処理後の本発明のデンプン分解酵素IのpH安定性は7〜9であり、本発明のデンプン分解酵素IIのpH安定性は7〜8である。 本発明の生デンプン分解酵素Iは、4℃でのアミラーゼ活性が37℃のアミラーゼ活性の約40%を保持し、好ましくは37%の活性を保持する。 本発明の生デンプン分解酵素IIは、4℃でのアミラーゼ活性が37℃のアミラーゼ活性の約25%を保持し、好ましくは21%の活性を保持する。 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。本発明で使用した主材料及び酵素活性測定法は以下の通りである。1.実験材料 シマミミズ(Eisenia fetida)は、神奈川県伊勢原市三ノ宮116に住所を有する、相模浄化サービス(有)から購入した。2.還元糖の測定法(ソモギーネルソン法(参考文献9)) 試料、対照共に0.4%各基質を100μl、緩衝液を100μlずつ入れて37℃で5分プレインキュベートし、その後、試料にのみ酵素液を20μl加え、15分反応させた。反応後、試料、対照共にソモギー試薬を200μlずつ、対照にのみ酵素液を20μl加えた後、100℃で10分煮沸し反応を停止させた。試料、対照共に10分間水冷した後、ネルソン試薬を200μlずつ加え、20分間放置し発色させた。20分後、蒸留水2.0mlを加えてよく混和し、655nmの波長で吸光度を測定した。酵素活性はソモギーネルソンの検量線から得られた式を用いて求めた。なお、1単位は1分間に1μmolのグルコースに相当する還元糖を遊離する酵素量とした。基質には可溶化馬鈴薯デンプン、生馬鈴薯デンプン、生米デンプン、CMC(カルボキシルメチルセルロース)、キシラン、ラミナリンを用いた。3.アミラーゼ活性測定法(ヨウ素デンプン反応(参考文献10)) 試料、対照共に0.4%デンプン溶液150μl、0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を220μl、0.2MCaCl2溶液を30μlずつ入れた。試料にのみ粗酵素液を200μl加え、37℃で15分反応させた。その後、試料、対照共に1.5N酢酸溶液を200μlずつ入れ、反応を停止させた。対照にのみ粗酵素液を200μl加えた後、試料、対照共にヨウ素ヨウ化カリウム溶液を200μl加えて発色させ、20分放置した。その後、蒸留水3.4mlを加えてよく混和し、690nmの波長で吸光度を測定した。このときの対照値−試料値をアミラーゼ活性とする。なお、1単位は、澱粉を基質として、1分間でA690を0.01低下させる酵素量と定義した。4.タンパク質の定量法 精製過程におけるタンパク質は、ベックマンDU7400を用い、280nmの吸光度を測定した。また、ウシ血清アルブミンを標準タンパク質としてブラッドフォード法(参考文献12)により測定した。生デンプン分解活性の測定法(参考文献9) 試料、対照共に0.4%生デンプン懸濁液を100μl、緩衝液を100μlずつ入れて37℃で5分プレインキュベートし、その後試料にのみ酵素液を20μl加え、15分反応させた。反応後、試料、対照共にソモギー試薬を200μlずつ、対照にのみ酵素液を20μl加えた後、100℃で10分間煮沸し反応を停止させた。試料、対照共に10分間水冷した後ネルソン試薬を200μlずつ加え、20分間放置し発色させた。20分後、蒸留水2.0mlを加えてよく混和し、2500rpmで5分遠心分離を行った後、655nmの波長で吸光度を測定した。酵素活性はソモギーネルソンの検量線から得られた式を用いて求めた。なお、1単位は1分間に1μmolのグルコースに相当する還元糖を遊離する酵素量とした。シマミミズからの生デンプン分解酵素の単離 一晩絶食させたシマミミズ(Eisenia fetida)を凍結乾燥した後、10gを乳鉢で破砕した。粉末状にしたミミズを50mMトリス塩酸(pH7.0)に懸濁し、遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)した後上清を回収した。上清にプロテアーゼ阻害剤カクテル(ナカライテクス)を2%(v/v)になるように加えた。そして、超遠心(100,000G、30分、4℃)後、上清を回収した。上清に35%飽和になるよう硫酸アンモニウムを添加し、4℃で一晩保存した。続いて遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)し、沈殿を回収した。回収した沈殿を少量の50mMトリス塩酸(pH7.0)に溶解して得られた酵素液を透析した。透析膜は透析用セルロースチューブ(三光純薬株式会社)、外液は20mMトリス塩酸(pH7.0)を用いた。その透析内液を、陰イオン交換クロマトグラフィー(DEAE−TOYOPEARL 650M)、ゲルろ過クロマトグラフィー(Sephacryl S−200)、疎水クロマトグラフィー(BUTYL−TOYOPEARL 650S)の順で精製を行った(図1)。結果:イオン交換クロマトグラフィー シマミミズ乾燥重量10gから得られた粗酵素液を超遠心により、不溶性の物質を取り除いた後、35%硫安塩析により、目的とするアミラーゼのほとんどは沈殿した。この沈殿を少量の20mMトリス塩酸(pH7.0)に溶解したものを透析した。透析膜は透析用セルロースチューブ(三光純薬株式会社)、外液は20mMトリス塩酸(pH7.0)を用いた。その透析内液を、DEAE−TOYOPEARL 650Mを用いる陰イオン交換クロマトグラフィーにかけた。透析内液を20mMトリス塩酸(pH7.0)で平衡化したDEAE−TOYOPEARL 650M(2.5×21cm、103ml)に負荷し、同緩衝液で洗浄後、0から0.5Mの濃度勾配をつけたNaClを含む同緩衝液で溶出を行った。その結果は図2に示すように、生デンプン分解活性のピークが2箇所見られた。このうち画分No.54〜61を生デンプン分解酵素I、画分No.66〜73を生デンプン分解酵素IIとして回収した。結果:ゲルろ過クロマトグラフィー 次いで、得られた生デンプン分解酵素Iの画分、及び生デンプン分解酵素IIの画分に、それぞれ80%飽和になるように硫酸アンモニウムを添加し、4℃で一晩放置した。続いて遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)で得られた沈殿を8mlの20mMトリス塩酸(pH7.0)に溶解し、透析を行った。透析膜は透析用セルロースチューブ(三光純薬株式会社)、外液は20mMトリス塩酸(pH7.0)を用いた。その透析内液を、0.5M NaClを含む20mMトリス塩酸(pH7.0)で平衡化したSephacryl S−200(2.5×90cm、442ml)に負荷し、同緩衝液で溶出を行った。Sephacryl S−200を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにより、図3及び図4に示すような結果を得た。このうち生デンプン分解酵素Iでは画分No.86〜100を、生デンプン分解酵素IIでは画分No.64〜80を活性画分として回収した。結果:疎水クロマトグラフィー 次いで、ゲルろ過クロマトグラフィー後の生デンプン分解酵素Iの活性画分、及び生デンプン分解酵素IIの活性画分にそれぞれ、0.5Mになるように硫酸アンモニウムを添加したものを、0.5M硫酸アンモニウムを含む20mMトリス塩酸(pH7.0)で平衡化したBUTYL−TOYOPEARL 650S(3.0×7.0cm、50ml)に負荷し、0.5から0Mの濃度勾配をつけた硫酸アンモニウムを含む20mMトリス塩酸(pH7.0)で溶出を行った。その結果を図4〜図6に示す。このうち生デンプン分解酵素Iでは画分No.30〜35を、生デンプン分解酵素IIでは画分No.40〜44を回収し、精製を終了した。以上の精製ステップを表1にまとめた。 精製したアミラーゼの比活性は生デンプン分解酵素Iでは約85倍、生デンプン分解酵素IIでは約260倍に上昇し、回収率はおのおの3.6%、5.9%であった。上記の精製過程において、各画分のタンパク質量はベックマンDU7400を用い、280nmの吸光度を測定し、ウシ血清アルブミンを標準タンパク質としてブラッドフォード法(参考文献12)により定量した。結果:SDS−PAGEによる均一性分析 上記の精製により得られた本発明の生デンプン分解酵素をSDS−PAGEにより電気泳動を行なった。レムリーの方法(参考文献13)に従い、分離ゲルを10%、濃縮5%で行った。泳動はゲル1枚あたり20mAで行った。その結果は、図7に示すとおり電気泳動的に均一であり、生デンプン分解酵素I及びIIの分子量は共に約60kDaと推測された。本発明の生デンプン分解酵素のデンプン分解様式 本発明の生デンプン分解酵素による生デンプン分解産物を、TLC(薄層クロマトグラフィー)により経時的に分析した。生米デンプンを精製したシマミミズ由来生デンプン分解酵素で、37℃の条件下で3時間、12時間、72時間反応させ、各時間の生成糖を薄層クロマトグラフィーにより分析した。薄層クロマトグラフィーはTLCプレートシリカゲル6(MERCK)に各時間の反応液をスポットし、常温で、クロロホルム:酢酸:水=5:7:1の展開溶媒で展開を行った後、ドラフト内で乾燥させ、20%硫酸エタノールを噴霧し、120℃で30分間放置し、糖検出を行った。結果 図8から明らかなように、3時間後の分解産物はG2、G3、G4、G5そしてそれ以上のオリゴ糖が多く、G1はほとんど観測されなかった。12時間後では主にG2、G3が生成し、72時間後ではG1、G2が主要産物となっている。つまり、反応初期では重合度の大きなオリゴ糖が見られ、時間の経過に伴い重合度の小さなオリゴ糖が得られることより、これら2つの酵素はエンド型のα−アミラーゼであると決定した。本発明のデンプン分解酵素活性に対する温度の影響1.最適作用温度 0.1M CH3COOH/CH3COONa緩衝液(pH5.5)中で、30℃〜80℃の各温度で可溶化馬鈴薯デンプンを基質としてアミラーゼ活性を測定した。2.熱安定性 酵素液を10℃〜80℃の各温度で30分間インキュベートした後、直ちに氷冷し、0.1M CH3COOH/CH3COONa緩衝液(pH5.5)中、37℃で可溶化馬鈴薯デンプンを基質として残存活性を測定した。結果 可溶化した馬鈴薯デンプンに対する最適作用温度は、生デンプン分解酵素I及び生デンプン分解酵素II共に50℃であった(図9A)。熱安定性に関しては、生デンプン分解酵素Iは10〜60℃まで、生デンプン分解酵素IIは10〜50℃まで安定であった(図9B)。本発明の生デンプン分解酵素活性に対するpHの影響1.最適作用pH 37℃で、pH3.0〜9.0までの各緩衝液を用いて、可溶化馬鈴薯デンプンを基質としてアミラーゼ活性を測定した。用いた緩衝液は以下に示すとおりである。0.1M CH3COOH/HCl(pH3.0)、0.1M CH3COOH/CH3COONa(pH4.0〜6.0)、0.1M KH2PO4/NaOH(pH7.0〜8.0)、0.1M Na2CO3/NaHCO3(pH9.0)。2.pH安定性 pH4.0〜10.0までの各緩衝液に酵素液を加え、4℃で24時間放置した後、pHを5.5に戻し、37℃で可溶化馬鈴薯デンプンを基質として残存活性を測定した。用いた緩衝液は以下に示すとおりである。0.1M CH3COOH/CH3COONa(pH4.0〜6.0)、0.1Mトリス塩酸(pH7.0〜9.0)、0.1M Na2CO3/NaHCO3(pH10.0)。結果 可溶化馬鈴薯デンプンに対する最適作用pHは生デンプン分解酵素I及び生デンプン分解酵素II共に5.5であった(図10A)。pH安定性に関しては、生デンプン分解酵素IはpH7〜9まで、生デンプン分解酵素IIは7〜8まで安定であった(図10B)。本発明の生デンプン分解酵素活性に対する金属イオンの影響 0.1Mトリス塩酸(pH8.0)80μlに、10U/ml酵素液10μl、10mM金属イオン溶液10μlを加え、4℃で24時間放置した後、これを酵素液として、pH5.5、37℃で、可溶化馬鈴薯デンプンを基質としてアミラーゼ活性を測定し、金属イオンに対する影響を調べた。結果 1mMの金属イオンの存在下で、4℃で24時間インキュベートした後の残存活性を調べたところ、表2に示すような結果が得られた。Cu2+、Fe2+、Hg2+によって生デンプン分解酵素I、生デンプン分解酵素IIの活性は阻害を受けることが分かる。また、一般的にアミラーゼの安定化に関与すると言われているCa2+の存在下では、両者の活性はコントロールに比べてわずかであるが、上昇した。また生デンプン分解酵素IはAl3+、Mg2+の存在によって活性化もしくは安定化されたことが分かる。低温条件下での生デンプン加水分解率の測定 基質である米デンプンは、3度水で洗浄し、遠心分離後、凍結乾燥したものを使用した。0.4%生米デンプン1.0ml、0.1M酢酸緩衝液(pH6.0)980μl、酵素液200μl、2%アジ化ナトリウム20μlを含む反応液を37℃でインキュベートし、24時間、48時間、72時間、96時間の各時間で測定を行った。酵素は、シマミミズ由来生デンプン分解酵素(生デンプン分解酵素I、生デンプン分解酵素II)、A.oryzae由来α−アミラーゼ(SIGMA)、ブタ膵臓由来α−アミラーゼ(SIGMA)をそれぞれ2U/ml(基質・可溶化馬鈴薯デンプン)に調製して用いた。 加水分解率(Rd)は以下の式により定義した。 Rd(%) = (A1/A0)×100ここで、A1は反応後の遊離糖のモル濃度であり、A0は反応前の生デンプンのモル濃度である。結果本発明の生デンプン分解酵素I及び生デンプン分解酵素IIの生米デンプンに対する加水分解率を生デンプン分解能を有するブタ膵臓由来α−アミラーゼ(PPA)(参考文献14、19)と、タカアミラーゼ(TAA)を用いて比較した。(図11)。本発明の生デンプン分解酵素Iは4日で37%、生デンプン分解酵素IIは43.5%であった。これは一般的に生デンプンを分解するPPAよりは若干劣っているが、同程度の加水分解能を有していると考えられる。本酵素は4℃でも、37℃の37%(生デンプン分解酵素I)、20%(生デンプン分解酵素II)の活性が維持されることから、低温条件下での利用が可能であると考えられる。低温条件下でのアミラーゼ活性 0.1MCH3COOH/CH3COONa緩衝液(pH6.0)中で、4℃と37℃での可溶化馬鈴薯デンプンを基質としてアミラーゼ活性を比較した。結果 4℃と37℃での可溶化馬鈴薯デンプンに対する本発明の酵素のアミラーゼ活性の比較を行ったところ、生デンプン分解酵素Iでは4℃で37℃の36.8%、生デンプン分解酵素IIでは20.7%の活性が維持されていた(図12A、12B)。参考文献(1) ルシアノ パスクアトロ カネラス,ファビオ ロペス オリバーセ,アンナ エル.オコロコヴァ−ファカンハ,アーノルド ロチャ ファカンハ(2002),「ミミズコンポストから単離された腐植酸(Humic acids)はトウモロコシの根の伸長、横根の出現、及び細胞質膜のH+−ATPアーゼ活性を増強する」, Plant Physiol. 130: 1951-1957 。(2) ノブヨシ ナカジマ,ヒサシ ミハラ,ヒロユキ スミ(1993),「ミミズ Lumbricus rubellus の強力なフィブリン分解酵素の特性決定」, Biosci. Biotech. Biochem., 57(10): 1726-1730。(3) ノブヨシ ナカジマ,マナブ スギモト,コウジ イシハラ,カオル ナカムラ,ヒロキ ハマダ(1999),「ミミズのセリンプロテアーゼの更なる特性決定、ペプチド基質に対する及び自己消化に対する切断特異性」, Biosci. Biotech. Biochem., 63(11): 2031-2033。(4) ジン チャン,リ リ,チェン ウ,ロン−キアオ ヘ(2003),「アイセニア・フェティダ由来の固定化されたミミズフィブリン分解酵素IIによるフィブリノーゲン及びプラズミノーゲンの加水分解」, Int. J. Biol. Macromolecules, 32: 165-171。(5) S.A.ライネック,A.J.ライネック(2004),「ミミズにおける重金属遺伝毒性の生体マーカーとしてのコメット検定法」, Arch. Environ. Contam. Toxicol., 46: 208-215。(6) ピーター K.ハンカード,クラウス スヴェンドセン,ジュリアン ライト,クレール ウィーンバーグ,サマンサ K.フィッシュウィック,デイヴィッド J.スパージオン,ジェイソン M.ウィークス(2004),「化学分析の支援としてミミズの生体マーカーを用いた汚染土壌の生物学的評価」, Sci. Total Environ., 330: 9-20。(7) メアリー アッペルホフ著(2002),「だれでもできるミミズで生ごみリサイクル」合同出版。(8) 佐原 みどり著(2002),「生ごみを食べてもらうミミズ御殿の作り方」VOICE。(9) ミハエル ソモギー (1952),「糖量測定について」, J.Biol.Chem., 195:19-23。(10)サイトウ N (1973),「Bacillus Iicheniformis由来の好熱性細胞外α-アミラーゼについて」, Arch.Biochem.Biophys., 155:290-298。(11)日本生化学会編 (1992),「微生物実験法17」, 東京化学同人:36-37。(12)ブラッドフォード MM (1976),「タンパク質の色素結合原理を用いた迅速かつ高感度のタンパク定量方法」, Anal.Biochem., 72:248-254。(13)レムリー U.K. (1980),「バクテリオファージT4の上部集合の際の構造タンパク質の分裂」, Nature(London) , 227: 680-68。(14)ハルユキ イエフジ,マリコ チノ,ミヨシ カトウ,ユズル イイムラ(1996), 「酵母Criptococcus S-2株由来の生デンプン分解し熱に安定なα-アミラーゼの精製、特性決定、クローニングおよび配列決定」, Biochem.J., 318:989-996。(15)シンサク ハヤシバ,ユウジ テラモト,タケヒロ イノウエ(1988),「Bacillus subtilis 65由来の生ポテトデンプン分解α-アミラーゼの生産と特性決定」, Apple.Environ.Microbiol., 54(6): 1516-1522。 シマミミズが生産する本発明の生デンプン分解酵素は生デンプンを含む廃棄物の処理に、特に低温での処理に有用である。図1は、シマミミズ由来の生デンプン分解酵素の精製スキームである。図2は、DEAE TOYOPEARL 650Mによるシマミミズの生デンプン分解酵素の陰イオンクロマトグラフィーの結果である。図3は、Sephacryl S−200による生デンプン分解酵素Iのゲルろ過クロマトグラフィーの結果である。図4は、Sephacryl S−200による生デンプン分解酵素IIのゲルろ過クロマトグラフィーの結果である。図5は、BUTYL−TOYOPEARL 650Sによる生デンプン分解酵素Iの疎水クロマトグラフィーの結果である。図6は、BUTYL−TOYOPEARL 650Sによる生デンプン分解酵素IIの疎水クロマトグラフィーの結果である。図7は、本発明の生デンプン分解酵素I及びIIのゲル電気泳動図である。図8は、本発明の生デンプン分解酵素I及びIIによる生デンプンの分解産物のTLCによる経時的分析の結果である。図9は、本発明の生デンプン分解酵素I及びIIの酵素活性と安定性に及ぼす温度の影響を示す図である。図10は、本発明の生デンプン分解酵素I及びIIの酵素活性と安定性に及ぼすpHの影響を示す図である。図11は、本発明の生デンプン分解酵素I及びIIによる生デンプンに対する加水分解率を示す図である。図12は、低温条件下における本発明の生デンプン分解酵素I及びIIの生デンプン加水分解率を示す図である。 一晩絶食させたシマミミズ(Eisenia fetida)を凍結乾燥し、乳鉢で粉砕して得た粉末状シマミミズを50mMトリス塩酸(pH7.0)に懸濁し、遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)した後上清を回収し、上清にプロテアーゼ阻害剤加え、超遠心分離(100,000G、30分、4℃)した後上清を回収し、この上清に35%飽和になるよう硫酸アンモニウムを添加し、4℃で一晩保存し、続いて遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)した後沈殿を回収し、得られた沈殿を少量の50mMトリス塩酸(pH7.0)に溶解して得られた酵素液を、透析用セルロースチューブ(三光純薬株式会社)を用い、該液(20mMトリス塩酸(pH7.0))に対して透析し、その透析内液を、デンプン又は生デンプンに対する分解活性を指標とし、DEAE−TOYOPEARL 650Mによる陰イオン交換クロマトグラフィーにかけて得られる二つの活性画分のうち先に溶出する活性画分を分取し、この画分を次いでSephacryl S−200を用いるゲルろ過クロマトグラフィーにかけて活性画分を分取し、この活性画分をBUTYL−TOYOPEARL 650Sを用いる疎水クロマトグラフィーにかけてその活性画分を分取することにより生デンプン分解酵素活性画分として得られる、シマミミズが生産する生デンプン分解酵素I。 一晩絶食させたシマミミズを凍結乾燥し、乳鉢で粉砕して得た粉末状シマミミズを50mMトリス塩酸(pH7.0)に懸濁し、遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)した後上清を回収し、上清にプロテアーゼ阻害剤加え、超遠心分離(100,000G、30分、4℃)した後上清を回収し、この上清に35%飽和になるよう硫酸アンモニウムを添加し、4℃で一晩保存し、続いて遠心分離(15,000rpm、20分、4℃)した後沈殿を回収し、得られた沈殿を少量の50mMトリス塩酸(pH7.0)に溶解して得られた酵素液を、透析用セルロースチューブ(三光純薬株式会社)を用い、該液(20mMトリス塩酸(pH7.0))に対して透析し、その透析内液を、デンプン又は生デンプンに対する分解活性を指標とし、DEAE−TOYOPEARL 650Mによる陰イオン交換クロマトグラフィーにかけて得られる二つの活性画分のうち後に溶出する活性画分を分取し、この画分を次いでSephacryl S−200を用いるゲルろ過クロマトグラフィーにかけて活性画分を分取し、この活性画分をBUTYL−TOYOPEARL 650Sを用いる疎水クロマトグラフィーにかけてその活性画分を分取することにより生デンプン分解酵素活性画分として得られる、シマミミズが生産する生デンプン分解酵素II。 電気泳動的に単一であり、分子量が電気泳動によれば60kDaである、請求項1又は請求項2記載の生デンプン分解酵素。 エンド型のα−アミラーゼである、請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の生デンプン分解酵素。 最適作用温度が50℃である、請求項1〜請求項4いずれか1項に記載の生デンプン分解酵素。 最適作用pHが5.5である、請求項1〜請求項5いずれか1項に記載の生デンプン分解酵素。 4℃でのアミラーゼ活性が37℃のアミラーゼ活性の37%である、請求項1記載の生デンプン分解酵素I。 4℃でのアミラーゼ活性が37℃のアミラーゼ活性の21%である、請求項2記載の生デンプン分解酵素II。 pH安定性が7〜9である、請求項1記載の生デンプン分解酵素I。 pH安定性が7〜8である、請求項2記載の生デンプン分解酵素II。 熱安定性が10〜60℃である、請求項1記載の生デンプン分解酵素I。 熱安定性が10〜50℃である、請求項2記載の生デンプン分解酵素II 【課題】 シマミミズが生産する新規な生デンプン分解酵素を提供する。【解決手段】 シマミミズの凍結乾燥粉末を緩衝液に懸濁し、遠心分離した後、上清を回収し、上清にプロテアーゼ阻害剤を加え超遠心分離した後得られた上清に35%飽和になるよう硫酸アンモニウムを添加し、得られた沈殿を少量の緩衝液に溶解して、デンプン又は生デンプンに対する分解活性を指標とし、陰イオン交換クロマトグラフィーにかけ、二つの生デンプン分解酵素活性を有する画分(先に溶出する活性画分を生デンプン分解酵素I、後に溶出する活性画分を生デンプン分解酵素IIと命名)を得た。これらの画分をそれぞれゲルろ過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィーに順にかけてその活性画分を分取することにより、シマミミズが生産する均一な生デンプン分解酵素I及び生デンプン分解酵素IIを得た。【選択図】なし


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