生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_睡眠の質改善用組成物
出願番号:2005255104
年次:2007
IPC分類:A61K 31/197,A23L 1/305,A61P 25/20


特許情報キャッシュ

吉田 善廣 堀江 健二 石渡 貴之 吉川 肖子 新井 淳一郎 金 武祚 JP 2007063236 公開特許公報(A) 20070315 2005255104 20050902 睡眠の質改善用組成物 株式会社ファーマフーズ 500101243 吉田 善廣 堀江 健二 石渡 貴之 吉川 肖子 新井 淳一郎 金 武祚 A61K 31/197 20060101AFI20070216BHJP A23L 1/305 20060101ALI20070216BHJP A61P 25/20 20060101ALI20070216BHJP JPA61K31/197A23L1/305A61P25/20 3 2 OL 8 特許法第30条第1項適用申請有り 2005年3月5日 社団法人日本農芸化学会発行の「日本農芸化学会 2005年度(平成17年度)大会講演要旨集」に発表 4B018 4C206 4B018LB08 4B018MD19 4B018ME14 4B018MF13 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA45 4C206MA37 4C206MA57 4C206MA72 4C206NA14 4C206ZA05本発明は、就寝前に経口で摂取することにより睡眠の質を改善させることができる、より詳しくは就寝後の深部体温の低下を促すことのできる、睡眠の質改善用組成物に関する。現代の生活において、運動不足、ストレス及び環境汚染などで上質な睡眠が取れないことにより仕事の効率、精神力及び病気に対する抵抗力の低下が問題のひとつとして注目されている。また、上質な睡眠は美容にとっても重要である。睡眠障害など症状が見られる場合は睡眠薬などの医薬品が処方されるが、依存症などの副作用が見られる場合もあるため、それほど深刻な不眠でない場合は、もう少し手軽な方法が求められる。従って、効果が確実で、副作用がなく、簡単に実行できる睡眠の質改善方法として、睡眠の効果を高める飲食品用の組成物がいくつか提案されてきた。 例えば、特許文献1では、バレリアーナ属植物又はその抽出物、鎮静作用を有する植物又はその抽出物及びγ−アミノ酪酸を含んだ睡眠障害に有効な組成物が提案されている。また、特許文献2では、テアニンを含有することを特徴とする睡眠促進用組成物が提案されている。一方、近年、睡眠の質の向上における目安として、深部体温が注目されている。(非特許文献1を参照。)即ち、日中の運動などにより深部体温を挙げておき、就寝後の深部体温との落差が大きい方がより深く快適な睡眠が得られる、という考え方である。上記の特許文献記載の組成物や、これまでの睡眠改善用組成物では、この深部体温で具体的に評価したものは見られなかった。特開2003−183174号公報国際公開WO01/074352号公報小田史郎ほか 北海道体育学研究, 36, p73. (2001)本発明では、食品素材を用いて、味もよく、過剰摂取の心配もなく、就寝前に経口で摂取することにより睡眠の質を改善させることができる、特に入眠時の深部体温を下げることにより、深い睡眠を促すような睡眠の質改善用組成物を提供することを課題とする。本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、γ−アミノ酪酸を経口的に摂取することにより、入眠時の深部体温を下げ、ポリグラフ解析による睡眠深度を深めることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明の睡眠の質改善用組成物は、γ―アミノ酪酸を有効成分として含有することを特徴とする。上記睡眠の質改善用組成物においては、就寝後の深部体温の低下を促すことが好ましい。本発明により、食品素材を用いて、味もよく、過剰摂取の心配もなく、就寝前に経口で摂取することにより睡眠の質を改善させることができる、質改善用組成物を提供することができる。発明のもう1つは、上記睡眠の質改善用組成物を含有することを特徴とする飲食品である。本発明によれば、味もよく、過剰摂取の心配もなく、就寝前に飲食することにより睡眠の質を改善させることができる飲食品を提供することができる。本発明の睡眠の質改善用組成物、又はこれを含有する飲食品によれば、就寝前の摂取で、深部体温を下げ、深めの眠りを促し、夜中に起きるのを防ぐなど睡眠の質を改善させることができるので、ひいては疲労回復や美容、健康の増進、日中の作業効率の改善などに役立てることも可能となる。本発明におけるγ−アミノ酪酸とは、一般にGABA(ギャバ)とも呼ばれ、自然界に広く分布している非タンパク質アミノ酸の1種を指す。食品の成分としても、茶、野菜類、穀類などに普通に含まれており、生体内においては、グルタミン酸が脱炭酸されて生成され、人体では特に、脳内の黒質、大脳基底核、視床下部等に高濃度に存在していることが分かっている。本発明に用いられるγ−アミノ酪酸は、特に限定するものではないが、野菜、果物、穀物などから抽出されたγ−アミノ酪酸、発酵法により生産されたγ−アミノ酪酸、有機合成から生産されたγ−アミノ酪酸のことをいう。中でも、特に限定するものではないが、大量且つ安価にγ−アミノ酪酸を得ることができる乳酸菌による発酵法が好ましい。例えば、グルタミン酸ソ−ダ、ブドウ糖、パン酵母エキス等を含む培養液に、乳酸菌(ラクトバチルスブレ ビス(IFO12005株)、ラクトバチルス ヒルガルディーK−3株(FERM P−18422)等)の培養液を添加し、20〜 30℃で、1〜3日間培養し、この培養液を、加熱殺菌後、濾過して濾液を得る。なお、乳酸菌としてラクトバチルスヒルガルディー K−3株(FERM P−18422)を用いた場合、培養液中のγ−アミノ酪酸含量は約5質量%、固形分当りに換算するとγ−アミノ酪酸は約50%を占める。この濾液は、適宜濃縮してそのまま、又は更に乾燥して粉末として、本発明の睡眠の質改善用組成物に用いることができる。また、市販品「ファーマギャバ20―D」「ファーマギャバ100」(株式会社ファーマフーズ製)を用いてもよい。本発明の組成物中または飲食品中のγ−アミノ酪酸の検出方法は特に限定されるものではないが、イオン交換カラムを用いての高速クロマトグラフィー(HPLC)で分離し、オルトフタルアルデヒド(OPA)によるポストカラムでの誘導体化後、蛍光検出器で検出定量する方法が好ましい。本発明の睡眠の質改善用組成物におけるγ−アミノ酪酸の含有量は、特に限定されるものではないが、γ−アミノ酪酸を5〜100質量%含むことが好ましい。含有量が5質量%未満であると、本睡眠の質改善用組成物を有効摂取量摂るのに大量の粉末や液体を摂取する必要が出てきたり、本睡眠の質改善用組成物を飲食品に添加する場合、高濃度で添加することになるため、好ましくない。本発明の睡眠の質改善用組成物の形態は特に制限はなく、用途に応じて溶液、粉末などを選択できる。粉末化の方法としては、熱風乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、通常の公知の粉末化方法を採用できる本発明の睡眠の質改善用組成物は、上述した成分のほかに、賦形剤、乳化剤、安定剤、甘味料、pH調整剤、増粘剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、多糖類、オリゴ糖等の通常食品に用いられる成分を含んでいてもよい。本発明の睡眠の質改善用組成物は、飲食品に加えるだけでなく投与形態に応じて種々の形に調製され、粉末(または顆粒)、ドリンク剤、錠剤、カプセル剤等として用いることもできる。本発明に包含される飲食品としては、乾燥食品、サプリメント等の固形食品、また、清涼飲料やスポーツドリンク・ミネラルウォーター、嗜好飲料等の液状飲食品を挙げることができる。固形食品としては特に限定されるものではないが、詳しくは、たとえば、練り製品、大豆加工品、ムース、ゼリー、ヨーグルト、冷菓、飴、チョコレート、ガム、クラッカー、ビスケット、クッキー、ケーキ、パン等が挙げられる。また、液状飲食品としては特に限定されるものではないが、詳しくは、たとえば、炭酸飲料、スポーツドリンク、清涼飲料、緑茶・ウーロン茶・紅茶・ハーブティー等の茶類、ココア飲料、濃縮果汁、濃縮還元ジュース、ストレートジュース、果実ミックスジュース、果肉入り果実ジュース、果汁入り飲料、果実・野菜ミックスジュース、野菜ジュース、ミネラルウォーター、牛乳、乳飲料等が挙げられる。 本発明の飲食品の製法は特に限定されるものではなく、たとえば、γ−アミノ酪酸と他の原材料を粉体混合する製法、溶媒中にγ−アミノ酪酸と他の原材料を溶かし混合溶液とする製法、またその混合溶液を凍結乾燥する製法、噴霧乾燥する製法等、一般的な飲食品の製法を適用することができる。本発明の飲食品を製造する際に用いることができるγ−アミノ酪酸以外の成分は、γ−アミノ酪酸による所望の効果の発現が阻害されないかぎり、適宜所望の用途に合わせて選択することができる。 本発明の飲食品における睡眠の質改善用組成物の添加量は、特に限定されるものではないが、0.1質量%以上100質量%以下が好ましい。0.1質量%未満であると、有効成分であるγ−アミノ酪酸の摂取が難しい。本発明である睡眠の質改善用組成物は、前記γ−アミノ酪酸を有効成分として含有するものである。その有効摂取量は年齢や性別、体質などにより異なるが、通常、就寝1回あたりγ−アミノ酪酸換算で50mgから500mgが好ましい。50mg以下では、あまり効果が体感できない。また、1回につきγ−アミノ酪酸換算で3,000mgほど摂取しても特に悪影響は見られないが、1回あたり500mg以上摂取しても、特に効果が顕著になるわけではない。本発明の睡眠の質改善用組成物においては、上記有効摂取量投与して就寝後一時間以内に、深部体温を0.2℃以上低下させることが好ましい。深部体温低下が0.2℃以下であれば、睡眠の質改善効果が見られない。また、通常1.0℃以上深部体温が下がることは見られない。本発明において深部体温とは、体表近くの体温ではなく、体の内部の温度に近い体温を指す。実際の測定のしやすさからみて、直腸温が好ましい。本発明において用いられるγ−アミノ酪酸の安全性は高く、たとえば、マウスを用いた急性毒性試験において5g/kg経口投与で死亡例はなく、一般状態および体重等に異常は認められない。食品衛生法上、その添加量に制限はない。しかも、従来の薬物と異なり、γ−アミノ酪酸による副作用は全く認められないので、本発明の組成物によれば、安全かつ効果的に睡眠の質を改善させることができる。 以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって特に限定されるものではない。(乳酸菌発酵γ−アミノ酪酸高含有素材の調製) 表1に示す割合で各成分を含有する発酵原料水溶液(pH5.0)50Lを、90℃で10分間加熱殺菌した後、同様の発酵原料液で前培養した乳酸菌(ラクトバチルス ヒルガルディーK−3株(FERM P−18422))培養液50mLを接種し、30℃で3日間培養した。この発酵液を90℃で10分間加熱殺菌した後、濾過助剤を加えてろ過し、ろ液を得た。得られたろ液にデキストリン(三和澱粉株式会社製)を添加して、噴霧乾燥機にて乾燥、粉末化して乳酸菌発酵γ−アミノ酪酸高含有素材約11kgを得た。なお、本製造方法はγ−アミノ酪酸の調製の例示であり、本発明を限定するものではない。(γ−アミノ酪酸濃度の測定)各試料を0.2Nクエン酸ナトリウム緩衝液(pH2.2)で適宜希釈後、遠心分離又はろ過して固形物を除去し、測定試料とした。γ−アミノ酪酸の含量はアミノ酸含量測定の常法に従って高速液体クロマトグラフで以下の条件で分析した。使用機器:(株)島津製作所製の高速液体クロマトグラフLC−9A分析用カラム:強酸性陽イオン交換樹脂カラムShin−pack Isc−07Na型移動層緩衝液:(株)島津製作所製のアミノ酸移動層キットNa型移動層流量:0.3ml/分反応層1:0.04%次亜塩素酸ナトリウム溶液(pH10のホウ酸−炭酸緩衝液500mlに対して次亜塩素酸0.2ml)反応層2:(株)島津製作所製のアミノ酸分析キットOPA試薬反応層流量:0.2ml/分検出:蛍光検出 Ex348nm、Em450nm上記測定法によれば、実施例1記載の発酵終了後発酵液のγ−アミノ酪酸含量は51g/Lであった。また、実施例1記載の粉末化乳酸菌発酵γ−アミノ酪酸高含有素材のγ−アミノ酪酸含量は21質量%であった。また、「ファーマギャバ100」(株式会社ファーマフーズ製)のγ−アミノ酪酸含量は100質量%であった。ヒトでの睡眠の質を調べる為、ヒトボランティアを集め、睡眠試験を実施した。(被験者)20歳から29歳までの健常男性5名を選抜し、これら全員に、就寝前に水を摂取する試験(対照群)と、γ‐アミノ酪酸を100mg含有する水溶液を摂取する試験(GABA群)とを、間に1週間以上の間を置いて合計2回行なってもらった。(方法) 「ファーマギャバ100」(株式会社ファーマフーズ製)100mgを500mLの水道水に溶解したもの(GABA群)または対照用水道水500ml(対照群)を就寝60分前の午後10時に、被験者に飲用させた。被験者を快眠カプセル(ダイキン環境・空調技術研究所製)に入れ、午後10:30から付属の測定装置(ポリグラフ装置及び温度ロガー(サーミスタ))を常法にて装着し、測定準備を行った。午後11時就寝とし、脳波・心電・筋電・眼電・体表温(皮膚温)・深部体温(直腸温)の測定を開始した。翌日午前6時に起床させ、測定を終了した。脳波・心電図・筋電図・眼電図の結果を基にポリグラフ解析(詳細は、神山 潤著「睡眠の生理と臨床」(診断と治療社発行 2003)を参照)を行った。その一例を図1に示す。睡眠深度は、脳波や心電図・筋電図・眼電図をもとに判断されるが、深度の段階を脳波を目安に説明すると、睡眠深度1(最も浅い)ではα波(8〜13Hz)が50%以下、睡眠深度2では睡眠紡錘波が出現、睡眠深度3ではδ波(2Hz以下、75μV以上)が20%以上、睡眠深度4(最も深い)では、δ波が50%以上、となる。以下、入眠潜時とは、入眠、即ち就寝後の睡眠深度3へ至る移行時間を指す。また深睡眠時間とは、睡眠深度3または4の状態を保つ時間を指す。(結果)まずの深部体温(直腸温)の推移結果を図2に示す。GABA群では対照群よりも入眠時の深部体温の下がり方が急で大きく、就寝後50分で約0.3℃下がっていることが示された。次に各群の入眠潜時を図3に、就寝後60分以内の各群の深睡眠時間を図4に示す。図3と図4のように、GABA群では対照群よりも入眠にいたる時間が短く、深度3または4の深い睡眠の時間が長いことが示された。即ち、より寝つきが良く深い睡眠が得られることが示された。 以下、本発明の睡眠の質改善用組成物を含有する飲食品の処方例を挙げる。(清涼飲料水)実施例1で調製した乳酸菌発酵γ−アミノ酪酸高含有素材を含有する清涼飲料水を調製した。すなわち、組成が混合異性化糖1500g、レモン果汁1000g、乳酸菌発酵γ−アミノ酪酸高含有素材50g、香料10g、炭酸カルシウム10gに水を加えて10Lとなるように原料を混合し、プレート殺菌機を用いて90℃、15秒間殺菌し、γ−アミノ酪酸を含有する睡眠の質改善用の清涼飲料水を製造した。即ち、飲料200mL中にγ−アミノ酪酸を約200mg含有する。(カプセル剤)実施例1で得られた乳酸菌発酵γ−アミノ酪酸高含有素材90%、コーンスターチ10%を含むように各原料を配合して、ゼラチンカプセルに充填(カプセル1個当たり200mg)し、睡眠の質改善用のカプセル剤を製造した。(錠剤)実施例1で得られた乳酸菌発酵γ−アミノ酪酸高含有素材50%、還元麦芽糖18%、結晶セルロース28%、ショ糖エステル4%を含むように各原料を配合後打錠(1錠当たり300mg)して、睡眠の質改善用の錠剤を製造した。本発明の睡眠の質改善用組成物およびそれを含有する飲食品は、安全で安価なγ−アミノ酪酸を原料とし、就寝前の摂取により睡眠の質を改善し、ひいては疲労回復や美容、健康の増進、日中の作業効率の改善などに役立てることも可能となるため、機能性の食品や飲料として市販することができる。実施例3に記載したヒトボランティア睡眠試験における睡眠ポリグラフ解析の一例を示した図である。実施例3に記載したヒトボランティア睡眠試験の各群における深部体温(直腸温)の推移の平均を示したグラフである。実施例3に記載したヒトボランティア睡眠試験の各群における入眠潜時(入眠への移行時間;分)の平均を示したグラフである。実施例3に記載したヒトボランティア睡眠試験の各群における入眠後60分間中の深睡眠時間(睡眠深度3と4;分)の平均を示したグラフである。γ―アミノ酪酸を有効成分として含有することを特徴とする、睡眠の質改善用組成物。就寝後の深部体温の低下を促すことを特徴とする請求項1記載の睡眠の質改善用組成物。請求項1または2記載の睡眠の質改善用組成物を含有することを特徴とする飲食品。 【課題】 食品素材を用いて、味もよく、過剰摂取の心配もなく、就寝前に摂取することにより睡眠の質を改善させることができる、睡眠の質改善用組成物を提供することを課題とする。【解決手段】 本睡眠の質改善用組成物は、γ−アミノ酪酸を含有することを特徴とする。即ち、本発明の睡眠の質改善用組成物は、就寝前の摂取により深部体温を下げて深い睡眠を促す作用を有するγ−アミノ酪酸を有効成分として含有することを特徴とする。また、この睡眠の質改善用組成物は、飲食品に使用できる。【選択図】 図2


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