タイトル: | 公開特許公報(A)_シクロヘキサノンの製造方法 |
出願番号: | 2005253214 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 45/00,C07C 17/38,C07C 25/06,C07C 37/68,C07C 39/04,C07C 49/403 |
瀬尾 健男 鈴田 哲也 宇井 利明 JP 2007063209 公開特許公報(A) 20070315 2005253214 20050901 シクロヘキサノンの製造方法 住友化学株式会社 000002093 久保山 隆 100093285 中山 亨 100113000 榎本 雅之 100119471 瀬尾 健男 鈴田 哲也 宇井 利明 C07C 45/00 20060101AFI20070216BHJP C07C 17/38 20060101ALI20070216BHJP C07C 25/06 20060101ALI20070216BHJP C07C 37/68 20060101ALI20070216BHJP C07C 39/04 20060101ALI20070216BHJP C07C 49/403 20060101ALI20070216BHJP JPC07C45/00C07C17/38C07C25/06C07C37/68C07C39/04C07C49/403 A 5 1 OL 9 4H006 4H006AA02 4H006AC11 4H006AC30 4H006AC42 4H006AC44 4H006AD10 4H006BD33 4H006BD53 4H006BE20 本発明は、シクロヘキサノンの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ベンゼンと酸素と水素からモノクロルベンゼン、フェノールを経由してシクロヘキサノンを製造する方法であって、ベンゼンを間接的に酸化することにより高収率でシクロヘキサノンを得ることができ、また、塩素化工程および/または加水分解工程で発生する塩化水素ガスを有効にリサイクル利用することができるという優れた特徴を有するシクロヘキサノン化合物の製造方法に関するものである。 ベンゼンからシクロヘキサノンを製造する方法として、シクロヘキサンを経由する方法、シクロヘキセンを経由する方法、フェノールを経由する方法などがある。シクロヘキサンを経由する方法としては、たとえばベンゼンと水素を反応させてシクロヘキサンを得、これを酸素と反応させてシクロヘキサノンとシクロヘキサノールの混合物を得る方法が知られている。ここで副生するシクロヘキサノールは脱水素してシクロヘキサノンに変換し、発生した水素をシクロヘキサンの製造に再利用することもできる(たとえば向山ら、工業有機化学 第5版 参照)。ただし、この方法は主にシクロヘキサンを酸化する際シクロヘキサノン、シクロヘキサノール以外に不要なカルボン酸などが副生するためベンゼンからのシクロヘキサノンの収率が必ずしも高くない、また副生物の分離が必ずしも容易でないといった問題がある。 シクロヘキセンを経由する方法としては、たとえばベンゼンと水素を反応させてシクロヘキセンを得、これを水と反応させてシクロヘキサノールを得、更にこれを脱水素してシクロヘキサノンを得る方法が知られている。脱水素で発生した水素はシクロヘキセンの製造に再利用できる。ただし、この方法はシクロヘキサセンを得る際に、大量のシクロヘキサンが生成し、この分離に要するエネルギーが大きいといった問題がある。 フェノールを経由する方法について、原料であるフェノールの代表的な製法としては、ベンゼンをプロピレンと反応させクメンとし、これを酸化してクメンヒドロパーオキサイドとし、更にこれを分解してフェノールとアセトンを得るHock法があり、多くの商業プラントで採用されている。ただし、この方法は原料としてベンゼン以外にプロピレンが必要であり、生成物としてフェノールとほぼ等モルのアセトンが得られるため、フェノールのみを得る目的には適さないという問題がある。 他のフェノール製造法として、ベンゼン、塩化水素からオキシクロリネーションによりモノクロルベンゼンを得、これを水で加水分解してフェノールを製造するRaschig-Hooker法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。加水分解で副生する塩化水素は水溶液として回収され、オキシクロリネーションの原料として再利用される。 しかしながら、オキシクロリネーションでは、塩化水素と酸素とベンゼンを200℃以上という高温下で共存させるため、モノクロルベンゼン以外の塩素化芳香族化合物やダイオキシン類が発生しやすい問題がある。(たとえば、特許文献2参照。)オキシクロリネーションを200℃以下の低温で実施する方法も開示されているが、高価な貴金属触媒が必要であること、ダイオキシン類の発生がやはり懸念されること、安定した性能が得られないことより、有効な製法とは言い難い。(たとえば、特許文献3および特許文献4参照。)米国特許第3221063号明細書特開昭53−9723号公報特公昭45−28366号公報特公昭50−34011号公報 かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、ベンゼンと酸素と水素から、モノクロルベンゼンおよびフェノールを経てシクロヘキサノンを製造する方法であって、モノクロルベンゼン以外の塩素化芳香族化合物の生成量が極めて小さく、かつ塩化水素ガスを効率良くリサイクル利用することができるという優れた特徴を有するシクロヘキサノンの製造方法に関するものである。 すなわち、本発明は、下記の工程を含むシクロヘキサノン化合物の製造方法に係るものである。 塩素化工程:ベンゼンと塩素より、モノクロルベンゼンと塩化水素を得る工程 加水分解工程:モノクロルベンゼンと水より、フェノールと塩化水素を得る工程 酸化工程:塩素化工程、および/または酸化工程で得た塩化水素を酸素と反応させて塩素を得、該塩素の少なくとも一部を塩素化工程へリサイクルする工程 水素化工程:フェノールと水素より、シクロヘキサノンを得る工程 本発明により、ベンゼンと酸素と水素から、モノクロルベンゼン、フェノールを経由して間接的にシクロヘキサノンを製造する方法であって、モノクロルベンゼン以外の塩素化芳香族化合物の生成量が極めて小さく、かつ副生する塩化水素ガスを効率良くリサイクル利用することができるという優れた特徴を有するフェノールの製造方法を提供することができる。 本発明の塩素化工程は、ベンゼンと塩素を反応させ、モノクロルベンゼンと塩化水素を得る工程である。 ベンゼンと塩素を反応させる方法については、特に制限はなく、公知の方法を使用することができる。具体的な方法の例を示すと、次のとおりである。反応は、液相、気相いずれによっても実施される。塩素とベンゼンのモル比(塩素/ベンゼン)は1以下であり、反応温度は0〜80℃であり、反応圧力は減圧、常圧、加圧いずれでもよいが、通常は常圧である。反応の触媒としては、鉄粉、塩化第二鉄、ヨウ素、塩化アルミニウム、五塩化アンチモン、各種金属塩化物などのルイス酸、ゼオライト、シリカアルミナ等の固体酸を用いることができる。 本発明の加水分解工程は、モノクロルベンゼンと水よりフェノールと塩化水素を得る工程である。 モノクロルベンゼンと水を反応させる方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的な方法の例を示すと、次のとおりである。反応は、液相、気相いずれによっても実施される。水とモノクロルベンゼンのモル比(水/モノクロルベンゼン)は通常0.5以上であり、反応温度は600℃以下であり、反応圧力は減圧、常圧、加圧いずれでもよいが、通常は常圧である。触媒として担持燐酸系触媒、担持銅系触媒を用いることができる。 本発明の酸化工程は、塩素化工程および/または加水分解工程で得た塩化水素を酸素と反応させて塩素を得、該塩素の少なくとも一部を塩素化工程へリサイクルする工程である。 塩化水素と酸素を反応させる方法については、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的な方法の例を示すと、次のとおりである。塩化水素と酸素のモル比(塩化水素/酸素)は0.5〜2であり、反応温度は200〜500℃、好ましくは200〜380℃であり、反応圧力は0.1〜5MPaであり、空塔速度は0.7〜10m/sである。反応器としては、固定床反応器、流動床反応器、移動床反応器を用いることができる。反応には触媒として酸化クロム触媒、酸化ルテニウム触媒を用いることができる。 本発明の水素化工程はフェノールと水素からシクロヘキサノンを得る工程である。 フェノールと水素を反応させる方法については、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的な方法の例を示すと、次のとおりである。反応は、液相、気相いずれによっても実施される。水素とフェノールのモル比(水素/フェノール)は通常1以上であり、反応温度は400℃以下であり、反応圧力は常圧、加圧いずれでもよい。液相で反応させる場合は、未反応の水素をガスとして分離し、昇圧して再利用することができる。 本発明においては、下記のモノクロルベンゼン精製工程を用いることが好ましい。 モノクロルベンゼン精製工程:塩素化工程で得られたモノクロルベンゼンを精製する工程 塩素化工程で得られた反応混合物は、モノクロルベンゼンの他に、塩素化工程での原料であった未反応のベンゼンや少量の副生物を含んでいる。かかる混合物より精製されたモノクロルベンゼンを分離回収することができる。一方、本工程で用いられたベンゼンは分離回収され、その少なくとも一部は塩素化工程へリサイクルされる。 モノクロルベンゼン精製工程を実施するには、たとえば蒸留、抽出蒸留、吸着分離等を用いればよい。 本発明においては、下記のフェノール精製工程を用いることが好ましい。 フェノール精製工程:加水分解工程で得られたフェノールを精製する工程 加水分解工程で得られた反応混合物は、フェノールの他に、加水分解工程での原料であったモノクロルベンゼン、水や副生成物の塩化水素、さらに少量の他副生物を含んでいる。かかる混合物より精製されたフェノールを分離回収することができる。一方、本工程で用いられたモノクロルベンゼン、水は分離回収され、その少なくとも一部は加水分解工程へリサイクルされる。副生する塩化水素は分離回収され、その少なくとも一部は酸化工程へリサイクルされる。 フェノール精製工程を実施するには、たとえば油水分離、抽出、蒸留、抽出蒸留等を用いればよい。特に、未反応の水や副生する塩化水素の分離回収には、油水分離、抽出により水相として回収することができ、更にこの水相を蒸留して塩化水素と水に分離することができる。油相からは蒸留により他副生成物や未反応モノクロルベンゼンとフェノールを分離する。 本発明においては、下記の塩化水素精製工程を用いることが好ましい。 塩化水素精製工程:塩素化工程および/または加水分解工程で得た塩化水素を含む混合物から塩化水素を主として含む部分とベンゼン、モノクロルベンゼンを主として含む部分に各々分離し、塩化水素を主として含む部分を酸化工程へ送り、ベンゼン、モノクロルベンゼンを主として含む部分を直接又は間接に塩素化工程へ送る工程 本工程としては、たとえば蒸留を用いればよい。ここで分離回収されたベンゼン、モノクロルベンゼンは、直接又は間接に塩素化工程および/または加水分解工程へ送られる。間接に塩素化工程へ送る場合とは、分離回収されたモノクロルベンゼンを他の工程(たとえば、モノクロルベンゼン精製工程)を経由した後、塩素化工程へ送ることを意味する。 本発明においては、下記の塩化水素精製工程を用いることが好ましい。 塩化水素精製工程:塩素化工程および/または加水分解工程で得た塩化水素を含む混合物から塩化水素を主として含む部分とベンゼン、モノクロルベンゼンを主として含む部分に各々分離し、塩化水素を主として含む部分を酸化工程へ送り、ベンゼン、モノクロルベンゼンを主として含む部分を直接又は間接に塩素化工程へ送る工程 本工程としては、たとえば蒸留を用いればよい。ここで分離回収されたベンゼン、モノクロルベンゼンは、直接又は間接に塩素化工程および/または加水分解工程へ送られる。間接に塩素化工程へ送る場合とは、分離回収されたモノクロルベンゼンを他の工程(たとえば、モノクロルベンゼン精製工程)を経由した後、塩素化工程へ送ることを意味する。 本発明においては、下記の塩素分離回収工程を用いることが好ましい。 塩素分離回収工程:酸化工程の反応混合物を、塩素を主とする部分、塩化水素を主とする部分、酸素を主とする部分及び水を主とする部分に分離し、塩素を主とする部分の少なくとも一部を塩素化工程へリサイクルし、塩化水素を主とする部分の少なくとも一部及び酸素を主とする部分の少なくとも一部を酸化工程へリサイクルする工程 酸化工程の反応混合物は、塩素、塩化水素、水及び酸素を含んでいる。これらの各成分を本工程で各々分離し、塩素、塩化水素、酸素は回収するのである。 塩素分離回収工程を実施するには、たとえば吸収、凝縮、蒸留を用いればよい。塩化水素、水については、凝縮または、溶媒に吸収させた後、塩化水素は放散、または蒸留により回収し酸化工程へリサイクルすることができる。なお、塩化水素、水を吸収する溶媒としては、水または塩酸水溶液であってもよい。塩素、酸素は蒸留により分離することができる。分離された酸素は酸化工程にリサイクルすることができる。分離された塩素は、塩素化工程にリサイクルすることができる。 本発明においては、下記のシクロヘキサノン精製工程を用いることが好ましい。 シクロヘキサノン精製:水素化工程で得たシクロヘキサノンを精製する工程 水素化工程で得られた反応混合物は、シクロヘキサノンの他に、水素化工程での原料であった水素、フェノール、シクロヘキサンが更に水素化されて生成したシクロヘキサノール、さらに少量の他副生物を含むことがある。かかる混合物より精製されたシクロヘキサノンを分離回収することができる。 シクロヘキサノン精製工程を実施するには、たとえば凝縮、蒸留を用いればよい。ここで水素はガスとして分離し、昇圧して反応にリサイクルすることができる。またフェノールについては蒸留により分離し、水素化工程にリサイクルすることができる。 以上説明したとおり、本発明は、ベンゼンと塩素を反応させて得られたモノクロクロルゼンを原料とし、該フェノールと水素から目的物であるシクロヘキサノンを得る方法である。この方法は、前記の背景技術で説明した本発明によらない方法で得られたフェノールを原料とする技術に比べ、シクロヘキサノンを得るに際し、アセトン等の大量の副生成物を伴わず、かつ塩素化工程、加水分解工程で生成する塩化水素をダイオキシンや多塩素化芳香族化合物などの好ましくない化合物の生成を伴うこと無く有効に利用することができるという優れた特徴を有するものである。 次に本発明を実施例により説明する。 実施例1 本発明は、たとえば図1のフローと表1の物質収支により最適に実施することができる。本発明を実施するフローの例である。符号の説明 A 塩素化工程 B 加水分解工程 C 酸化工程 D 水素化工程 E モノクロルベンゼン精製工程 F フェノール精製工程 G 塩化水素精製工程 H 塩素分離回収工程 I シクロヘキサノン精製工程下記の工程を含むシクロヘキノンの製造法。 塩素化工程:ベンゼンと塩素より、モノクロルベンゼンと塩化水素を得る工程 加水分解工程:モノクロルベンゼンと水より、フェノールと塩化水素を得る工程 酸化工程:塩素化工程、および/または加水分解工程で得た塩化水素を酸素と反応させて塩素を得、該塩素の少なくとも一部を塩素化工程へリサイクルする工程 水素化工程:フェノールと水素より、シクロヘキサノンを得る工程下記のモノクロルベンゼン精製工程を含む請求項1記載の製造方法。 モノクロルベンゼン精製工程:塩素化工程で得られたモノクロルベンゼンを精製する工程下記のフェノール精製工程を含む請求項1記載の製造方法。 フェノール精製工程:加水分解工程で得られたフェノールを精製する工程下記の塩化水素精製工程を含む請求項1記載の製造方法。 塩化水素精製工程:塩素化工程および/または加水分解工程で得た塩化水素を含む混合物から塩化水素を主として含む部分とベンゼンを主として含む部分に各々分離し、塩化水素を主として含む部分を酸化工程へ送り、ベンゼンを主として含む部分を直接又は間接に塩素化工程へ送る工程下記の塩素分離回収工程を含む請求項1記載の製造方法。 塩素分離回収工程:酸化工程の反応混合物を、塩素を主とする部分、塩化水素を主とする部分、酸素を主とする部分及び水を主とする部分に分離し、塩素を主とする部分の少なくとも一部を塩素化工程へリサイクルし、塩化水素を主とする部分の少なくとも一部及び酸素を主とする部分の少なくとも一部を酸化工程へリサイクルする工程 【課題】 ベンゼンと酸素と水素から、モノクロルベンゼン、フェノールを経由して間接的にシクロヘキサノンを製造する方法であって、モノクロルベンゼン以外の塩素化芳香族化合物の生成量が極めて小さく、かつ副生する塩化水素ガスを効率良くリサイクル利用することができるという優れた特徴を有するフェノールの製造方法を提供する。【解決手段】 下記の工程を含むシクロヘキサノン化合物の製造方法。 塩素化工程:ベンゼンと塩素より、モノクロルベンゼンと塩化水素を得る工程 加水分解工程:モノクロルベンゼンと水より、フェノールと塩化水素を得る工程 酸化工程:塩素化工程、および/または酸化工程で得た塩化水素を酸素と反応させて塩素を得、該塩素の少なくとも一部を塩素化工程へリサイクルする工程 水素化工程:フェノールと水素より、シクロヘキサノンを得る工程【選択図】 図1