タイトル: | 公開特許公報(A)_多孔性配位高分子およびその利用 |
出願番号: | 2005238742 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 63/307,C08G 79/00,B01J 20/22,B01D 53/28,C07F 11/00 |
秋山 穣慈 垣内 博行 JP 2007051112 公開特許公報(A) 20070301 2005238742 20050819 多孔性配位高分子およびその利用 三菱化学株式会社 000005968 星野 哲郎 100108800 山下 昭彦 100101203 岸本 達人 100104499 秋山 穣慈 垣内 博行 C07C 63/307 20060101AFI20070202BHJP C08G 79/00 20060101ALI20070202BHJP B01J 20/22 20060101ALI20070202BHJP B01D 53/28 20060101ALI20070202BHJP C07F 11/00 20060101ALN20070202BHJP JPC07C63/307C08G79/00B01J20/22 AB01D53/28C07F11/00 A 6 2 OL 10 1.テフロン 4D052 4G066 4H006 4H050 4J030 4D052AA08 4D052HA49 4G066AA34D 4G066AB07A 4G066AB24B 4G066BA31 4G066BA36 4G066CA43 4G066DA03 4G066FA20 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB90 4H006BJ50 4H006BS30 4H050AA01 4H050AB90 4H050WB13 4J030CA02 4J030CA03 4J030CC24 4J030CG10 4J030CG14 本発明は、吸着ヒートポンプや空調装置の水蒸気吸着材等として有用な、多孔性配位高分子に関する。 ゼオライトや活性炭、シリカゲル、モレキュラーシーブに代表される多孔性材料は、消臭、空気や水の浄化、石油の精製といった様々な用途に利用されており、現代の生活に必要不可欠な材料となっている。近年、新しい多孔性材料として、種々の配位形態を取りうる金属イオンと、2座以上の配位座を有する架橋配位子とを組み合わせて自己集合させた多孔性配位高分子が注目されている。多孔性配位高分子は、金属イオンと2座以上の配位座を有する架橋配位子とを組み合わせれば、どのような場合でも得られるというものではなく、特定の金属種や配位子の組み合わせに特異的に取り得る構造である。これら多孔性配位高分子としては、例えば、特許文献1にはジカルボン酸を含む金属錯体が開示されており、特許文献2には銅イオンとトリメシン酸類から合成された多孔質錯体が開示されている。また、非特許文献1には、金属クロムをフッ酸中で可溶化させ、トリメシン酸と反応させた場合に多孔性配位高分子が得られることが報告されており、水和物の形での具体的な高次構造も提案されている(図5参照)。 ところで、吸着ヒートポンプや空調装置等には、水蒸気の吸着および脱着の繰り返しを行う、水蒸気吸着材が利用されるが、従来、かかる水蒸気吸着材としては、ゼオライト、メソポーラスシリカ等が一般的に使用されてきた。 しかしながら、従来水蒸気吸着材として用いられてきたゼオライトは、例えばゼオライト13Xの25℃の水蒸気吸着等温線における平衡吸着量が、相対蒸気圧0.8で0.3g/g程度であり、水蒸気の吸着量の点でさらなる改善が求められていた。また、同じく従来用いられてきたメソポーラスシリカは、一般的なメソポーラスシリカ(MCM41)の25℃の水蒸気吸着等温線が相対蒸気圧0.5以上で吸着が始まるため、より低湿における吸着が求められていた。さらに、メソポーラスシリカは、一般に水熱合成および焼成により合成されるが、テンプレートを焼成により除去する為、製造費用が高いという問題もあった。したがって、吸着ヒートポンプや空調装置等の性能向上のためには、より水蒸気吸着能に優れた新たな水蒸気吸着材が求められていた。特開2001−348361号公報特開2000−327628号公報Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,6296−6301 ゼオライトやメソポーラスシリカに代わる水蒸気吸着材として、新たな多孔性材料である多孔性配位高分子が期待されるが、これらの多くは、通常、水等が取り込まれた溶媒和の形で合成される。しかしながら、配位高分子を乾燥して溶媒和の溶媒を飛ばすと結晶構造が変化してしまうため、水蒸気吸着能を予測することは困難であり、また実際に水を飛ばしても水蒸気吸着能を示さないことが多く、水蒸気吸着材として有用な多孔性配位高分子が見出されていなかった。 そこで、本発明は、新規な構造を有する多孔性配位高分子、特に水蒸気吸着材として優れた多孔性配位高分子を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、新規な配位高分子が、水蒸気吸着材として優れた性能を有することを見出し、本発明に到達した。 本発明の第一の態様は、金属クロムまたはクロム塩と、トリメシン酸類と、前記トリメシン酸類のpKa値よりも小さいpKa値を有する酸(フッ酸を除く)とを反応させることにより得られることを特徴とする多孔性配位高分子を提供して前記課題を解決するものである。 この態様において、多孔性配位高分子は、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において、相対蒸気圧を0.2から0.4まで変化させたときの吸着量差が0.1g/g以上であり、かつ相対蒸気圧を0.2から0.8まで変化させたときの吸着量差が0.3g/g以上であることが好ましい。 本発明の第二の態様は、金属クロムまたはクロム塩と、トリメシン酸類と、前記トリメシン酸類のpKa値よりも小さいpKa値を有する酸とを反応させることにより得られる多孔性配位高分子からなる吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材を提供して前記課題を解決するものである。 本発明の第三の態様は、金属クロムまたはクロム塩と、トリメシン酸類と、前記トリメシン酸類のpKa値よりも小さいpKa値を有する酸とを反応させることにより得られる多孔性配位高分子からなるデシカント空調装置用水蒸気吸着材を提供して前記課題を解決するものである。 本発明の第四の態様は、請求項3に記載の水蒸気吸着材を備えてなる吸着ヒートポンプを提供して前記課題を解決するものである。 本発明の第五の態様は、請求項4に記載の水蒸気吸着材を備えてなるデシカント空調装置を提供して前記課題を解決するものである。 本発明の多孔性配位高分子は、製造が容易であり、また、水蒸気吸着量が大きいので相対蒸気圧の変化により効率良く水蒸気を吸脱着することが可能なため、吸着ヒートポンプやデシカント空調装置用の水蒸気吸着材として極めて有用である。また、この多孔性配位高分子は、相対蒸気圧の変化による水蒸気の吸脱着量差が大きいことから、少ない量の水蒸気吸着材で吸着ヒートポンプや空調装置を作動することができるため、これら装置を小型化することが可能である。 本発明のこのような作用および利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。 本発明の多孔性配位高分子は、金属クロムまたはクロム塩(以下まとめてクロム源ともいう)と、トリメシン酸類と、トリメシン酸類のpKa値よりも小さいpKa値を有する酸とを反応させることにより得られるものである。 クロム源としては、通常、過塩素酸クロム、蟻酸クロム、酢酸クロム、硝酸クロム、塩化クロム、硫酸クロムなどの3価のクロム塩または水和塩が好適に用いられる。また、金属クロムや、1価あるいは2価のクロム塩を反応系中で酸化することによって3価のクロム塩としたものを用いることもできる。 本発明に用いられるトリメシン酸類とは、トリメシン酸(1,3,5−ベンゼントリカルボン酸)、または、トリメシン酸のベンゼン環の2、4、6位にある水素原子のうちの、少なくとも1つがアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンに置換された誘導体、およびこれらの塩を意味し、ここでアルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、通常、1〜4である。 トリメシン酸およびその誘導体の塩としては、上述のトリメシン酸およびその誘導体のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩などが挙げられるが、トリメシン酸およびその誘導体が有する3つのカルボキシル基全てが塩の形になっている必要はなく、1つあるいは2つのカルボキシル基のみが塩になっていてもよい。本発明に用いられるトリメシン酸類の中では、反応性の制御の点で、トリメシン酸が好ましい。 本発明に用いられる酸としては、使用するトリメシン酸類のpKa値よりも小さいpKa値を有するものであればよく、無機酸、有機酸のどちらであってもよい。これらの酸は、反応促進および/または金属可溶の為に用いられる。このように使用するトリメシン酸類よりも小さいpKa値の酸、すなわちトリメシン酸類よりも強い酸を用いることで、トリメシン酸類のプロトン類が酸によって引き抜かれ、系中の反応が促進される。無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、過塩素酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、モノフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。なお、25℃での水溶液中におけるトリメシン酸のpKaは4.88程度であり、塩酸は−3.7、臭化水素酸は−4.1、硝酸は−1.8、硫酸は2.0、酢酸は4.76である。 多孔性配位高分子の合成は、クロム源と、トリメシン酸類と、上述した酸とをそれぞれ溶媒に分散させ、これを混合することにより行われる。上述した酸は、酸の形で直接添加する以外にも、酸を構成する骨格部分を有する別の化合物(例えば酢酸クロム等の塩)の形で添加して、系中のプロトンと共に存在させることで酸として機能するようにすることも可能である。クロム源と、トリメシン酸類とのモル比は、クロム源3モルに対しトリメシン酸類が2モルを目安とするが、その比率よりもどちらかを過剰ないし大過剰に用いてもよい。また、上述した酸は、クロム源またはトリメシン酸類に対して、0.1〜100倍モル、好ましくは1〜20倍モル程度用いられる。 溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノールまたはn−プロパノール等のアルコール類の他、アセトニトリル、クロロホルム、テトラヒドロキシフラン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等の一般的な有機溶媒および水を用いことができ、これら溶媒は単一でも2種以上の混合溶媒を用いてもよい。また、クロム塩を溶解する溶媒と、トリメシン酸類を分散する溶媒とは、同一でも異なっていてもよい。溶媒の使用量については、特に限定はないものの、質量基準で、クロム源とトリメシン酸類との合計量の10〜2000倍程度、特に30〜1000倍程度用いることが、反応の制御の容易さの点で好ましい。 反応温度は、通常、常温〜300℃の間であり、反応温度が余りに高いときには生成物が分解するおそれがあるので、好ましくは、250℃以下である。また、反応時間は、反応温度、合成のスケールによって一概には決められないが、低温であるほど長時間を要し、一般に30分〜3週間である。 生成した多孔性配位高分子の単離は、反応終了後に沈殿物をろ取することによって、容易に行うことができる。単離後は、必要に応じて水や有機溶媒による洗浄を行う。単離した配位高分子の陰イオンを交換させる為に、塩酸、蟻酸、酢酸、硝酸、硫酸、リン酸などの酸に浸してもよい。 単離された多孔性配位高分子を種々の物質の吸着材として使用するためには、減圧下で加熱することによって脱溶媒することが好ましい。脱溶媒することにより多孔性配位高分子が安定化し、多孔質構造が維持される傾向にある。一方、脱溶媒せずに長時間から数日間放置すると、多孔性配位高分子の結晶構造が変わって比表面積が減少し、吸着材としての性能を損ねる怖れがあるため、脱溶媒は、生成物を単離後、速やかに行うことが特に好ましい。脱溶媒時における加熱温度は、50〜200℃程度が好適である。 こうして得られる多孔性配位高分子は、非特許文献1に、[Cr3OX(C9H3O6)2]を基本単位とする骨格を有することが提案されている。ここで、Xは酸の対アニオンであり、非特許文献1においてはフッ化物イオンである。これは、三価のクロムカチオンにトリメシン酸類の酸素原子が配位結合して形成されるオクタヘドラルなクロム錯体ユニットが3次元的に広がって、内部に無数の空孔が形成された構造を有するものである。 この多孔性配位高分子を合成した際に配位していたり細孔内に取り込まれていたりしていた水等の溶媒分子は、通常、上述した脱溶媒により除去される。しかし、多孔性配位高分子の構造上、完全に溶媒分子を抜き取ることは困難であり、また容易に分子を捕捉してしまうことから、本発明の多孔性配位高分子は、他の溶媒等の分子を含んでいる場合を排除するものではない。 本発明の多孔性配位高分子は、BET表面積が300m2/g以上と非常に大きい表面積を有する。合成条件によりBET表面積は増減するが、通常、300〜4000m2/gの範囲に収まる。このBET表面積は、BET表面積を流通式一点法により評価したものであり、試料をキャリアーガス(N2/(He+N2) =30.6%)で473K(200℃)にて30分保持し、試料中の吸着水を除去した後、測定を行った値である(窒素ガス吸着による相対圧0.3〜0.35)。 本発明の多孔性配位高分子は、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において、相対蒸気圧(蒸気圧/飽和蒸気圧)を0.2から0.4まで変化させたときの吸着量差が0.1g/g以上であり、かつ0.2から0.8までの変化させたときの吸着量差が0.3g/g以上であることが好ましい。0.2から0.8までの変化させたときの吸着量差は好ましくは、0.4(g/g)以上、さらに好ましくは、0.5(g/g)以上である。吸着量差が上記の範囲にある場合には、相対蒸気圧の変化により効率良く水蒸気を吸脱着することができ、吸着ヒートポンプや空調装置用の水蒸気吸着材として使用した場合、使用する吸着材量を少なくすることができるため、システムをコンパクトにすることが可能となる。 上記多孔性配位高分子は、多孔質であり、BET表面積も300m2/g以上と非常に大きいことから、水蒸気やメタン、二酸化炭素、水素などのガス吸蔵材として、混合ガス、混合溶液の分離材料として、また水の光分解による水素生成反応、アルコールの酸化反応、カルボン酸とアルコールのエステル化反応、アルデヒドのシリル化反応、固体酸触媒反応、塩基触媒反応、ポリエステル、ポリオレフィン等の重合反応、フェノール類モノマーの酸化カップリング重合反応等の固体触媒として利用することができ、さらには、排気ガス浄化用触媒、乾燥剤、分析材料、電池材料などの用途も期待される。 この配位高分子は、従来広く使用されている水蒸気吸着材であるゼオライトや活性炭、多孔質シリカと比較して低い相対蒸気圧において良好な水蒸気吸蔵量を示すことから、特に水蒸気吸着材として好ましく使用される。上記多孔性配位高分子を水蒸気吸着材として用いる場合には、必要により他の水蒸気吸着材と併用してもよく、また、一般に水蒸気吸着材のバインダーとして使用されているバインダー等を用いて成型し使用してもよい。 本発明の多孔性配位高分子を水蒸気吸着材とする場合には、特に吸着ヒートポンプやデシカント空調装置用の水蒸気吸着材として有効である。 吸着ヒートポンプは、水蒸気吸着材が吸着塔において水蒸気の吸着と脱着を繰り返す際に、吸着塔での水蒸気の吸着あるいは脱着に伴って発生する吸脱着熱を冷熱あるいは温熱として回収することが可能な装置である。吸着ヒートポンプの原理は公知であり、例えば特開平9−178292号公報、特開2002−372332号公報等を参照することができる。 デシカント空調装置は、水蒸気吸着材への水蒸気の吸着と水蒸気の脱離による再生の繰り返しにより、除湿あるいは加湿を行うものである。除湿装置の場合には、水蒸気吸着材が空調空間の水蒸気を吸着することによって除湿が行われ、加湿装置の場合には、水蒸気吸着材に吸着された水蒸気を脱離して空調空間に放出することにより加湿が行われる。デシカント空調装置の原理も公知であり、例えば特開2004−136269号公報等を参照することができる。 以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において実施された各測定における測定条件は以下の通りである。 (1)BET表面積の測定 大倉理研社製、全自動粉体比表面積測定装置(AMS1000)を用いて、流通式一点法により測定を行った。試料の測定は、キャリアーガス(N2/(He+N2) =30.6%)で473K(200℃)にて30分保持し、試料中の吸着水を除去した後に行われた(窒素ガス吸着による相対圧0.3)。 (2)粉末X線回折測定 粉末X線回折装置を用い、ターゲットにCuを有するX線管球から発生したX線を試料に照射し、試料により回折された回折X線をモノクロメーターまたはNiフィルターにてCuKα線に単色化されたものを検出することにより行った。回折ピークの位置は、2θ(回折角)として表される。なおθはブラッグ角を示し、オングストローム単位における面間隔(d値)はブラッグの条件式(2dsinθ=λ)から計算される。ここでλは測定に用いたX線の波長を表す。ピーク位置はピークトップとして表す。<粉末X線回折の分析>X線回折装置:PANalytical社製 PW1700使用X線:CuKα線(λ=1.54184Å)管電圧、管電流:40kV、30mV発散スリット(DS):0.5度散乱スリット(SS):0.5度受光スリット(RS):0.1mm走査方法:θ/2θスキャン走査角度:1.5〜50度 (3)水蒸気吸着等温線の測定 日本ベル社製、吸着等温線測定装置(ベルソープ18)を用いて測定を行った。空気高温槽温度 :50℃吸着温度 :25℃初期導入圧力 :399Pa導入圧力設定点数 :0飽和蒸気圧 :3.16kPa平衡時間 :500秒 (実施例1) 100mlテフロン容器に、金属クロム0.52g、トリメシン酸1.5g、塩酸(1N)40mlを入れ、さらに水12mlを添加して攪拌した。これをステンレス製オートクレーブに仕込み、220℃で96時間反応させた。反応後冷却し、反応液をろ過して反応液中の沈殿物を回収した。この沈殿物を水―アセトンの混合溶液で洗浄し、120℃で減圧乾燥した。さらに、これを200℃、30分窒素下で乾燥することにより、結晶水および付着水を除去した多孔性配位高分子を得た。 得られた多孔性配位高分子について、BET表面積および粉末X線回折測定を行った。その結果、BET表面積は1995m2/gであり、非常に大きな表面積を有していた。粉末X線回折の結果については図1に示す。 さらに、この多孔性配位高分子を120℃、真空下で5時間減圧乾燥することにより、再び結晶水および付着水を除去した後、水蒸気吸着等温線を測定した。結果を図2に示す。 (比較例1) テトラエチルオルトシリケート5.27g、臭化セチルトリメチルアンモニウム(1.14gを水43gに溶解し、これに28%アンモニア水1.98gを滴下して30分攪拌を行った。その後、ホットスターラ上で約2時間80℃に加熱して、水、アンモニア、および加水分解により生じたエタノールを蒸発させて、固体生成物を得た。さらに、この固体生成物を550℃で6時間焼成することによって、メソポーラスシリカ(MCM−41)を得た。 このメソポーラスシリカ(MCM−41)を120℃、真空下で減圧乾燥することにより、結晶水および付着水を除去した後、水蒸気吸着等温線を測定した。水蒸気吸着等温線を図3に示す。また、参考例として公知の水蒸気吸着材の水蒸気吸着等温線を図4に示す。 本発明の多孔性配位高分子の水蒸気吸着等温線である図2を見ると、従来の水蒸気吸着材の水蒸気吸着等温線(図3、図4)と比較して吸着水分量が多いだけでなく、相対蒸気圧を0.2から0.4まで変化させたときの吸着量差が約0.3g/g、0.2から0.8まで変化させたときの吸着量差が約0.6g/gと、非常に大きな水分吸着量差も有している。このことから、本発明の多孔性配位高分子は水蒸気吸着材として優れていることが分かる。 以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う多孔性配位高分子もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。実施例1の多孔性配位高分子の粉末X線回折パターンを示す図である。実施例1の多孔性配位高分子の25℃における水蒸気吸着等温線を示すグラフである。比較例1のMCM41メソポーラスシリカの25℃における水蒸気吸着等温線を示すグラフである。公知の水蒸気吸着材の水蒸気等温吸着性能を示した曲線である。非特許文献1に記載の多孔性配位高分子の高次構造を表した図である。金属クロムまたはクロム塩と、トリメシン酸類と、前記トリメシン酸類のpKa値よりも小さいpKa値を有する酸(フッ酸を除く)とを反応させることにより得られることを特徴とする多孔性配位高分子。25℃で測定した水蒸気吸着等温線において、相対蒸気圧を0.2から0.4まで変化させたときの吸着量差が0.1g/g以上であり、かつ相対蒸気圧を0.2から0.8まで変化させたときの吸着量差が0.3g/g以上である請求項1に記載の多孔性配位高分子。金属クロムまたはクロム塩と、トリメシン酸類と、前記トリメシン酸類のpKa値よりも小さいpKa値を有する酸とを反応させることにより得られる多孔性配位高分子からなる吸着ヒートポンプ用水蒸気吸着材。金属クロムまたはクロム塩と、トリメシン酸類と、前記トリメシン酸類のpKa値よりも小さいpKa値を有する酸とを反応させることにより得られる多孔性配位高分子からなるデシカント空調装置用水蒸気吸着材。請求項3に記載の水蒸気吸着材を備えてなる吸着ヒートポンプ。請求項4に記載の水蒸気吸着材を備えてなるデシカント空調装置。 【課題】 新規な構造を有する多孔性配位高分子、特に水蒸気吸着材として優れた多孔性配位高分子を提供する。【解決手段】 金属クロムまたはクロム塩と、トリメシン酸類と、前記トリメシン酸類のpKa値よりも小さいpKa値を有する酸(フッ酸を除く)とを反応させることにより得られることを特徴とする多孔性配位高分子とする。【選択図】 図2