タイトル: | 公開特許公報(A)_5−リポキシゲナーゼ阻害剤 |
出願番号: | 2005229099 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 31/085,A61K 31/235,A61K 31/121,A61P 43/00,C12N 9/99,A23L 1/30,A61P 9/10,A61P 19/02,A61P 17/06,A61P 37/08,A61P 29/00,A61K 8/35,A61K 8/34 |
在原 重信 吉川 和子 加藤 久豊 山口 修平 JP 2007045717 公開特許公報(A) 20070222 2005229099 20050808 5−リポキシゲナーゼ阻害剤 東亞合成株式会社 000003034 在原 重信 吉川 和子 加藤 久豊 山口 修平 A61K 31/085 20060101AFI20070126BHJP A61K 31/235 20060101ALI20070126BHJP A61K 31/121 20060101ALI20070126BHJP A61P 43/00 20060101ALI20070126BHJP C12N 9/99 20060101ALI20070126BHJP A23L 1/30 20060101ALI20070126BHJP A61P 9/10 20060101ALI20070126BHJP A61P 19/02 20060101ALI20070126BHJP A61P 17/06 20060101ALI20070126BHJP A61P 37/08 20060101ALI20070126BHJP A61P 29/00 20060101ALI20070126BHJP A61K 8/35 20060101ALI20070126BHJP A61K 8/34 20060101ALN20070126BHJP JPA61K31/085A61K31/235A61K31/121A61P43/00 111C12N9/99A23L1/30 ZA61P9/10 101A61P19/02A61P17/06A61P37/08A61P29/00A61K8/35A61K8/34 1 OL 11 4B018 4C083 4C206 4B018MD08 4B018ME07 4B018ME14 4C083AC171 4C083AC211 4C083AC331 4C083CC01 4C083EE11 4C083EE16 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA27 4C206CB14 4C206DB15 4C206DB57 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZC02 4C206ZC20 本発明は、食品、医薬品、医薬部外品、及び化粧品等の分野で好適に使用可能な5−リポキシゲナーゼ阻害剤に関する。 生体内の様々の組織に存在し、細胞膜を構成する不飽和脂肪酸のアラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ又はリポキシゲナーゼが関与する代謝酵素によって、それぞれプロスタグランジンやロイコトリエン(LT)などの代謝産物を生成する。 リポキシゲナーゼ類には5−リポキシゲナーゼ、8−リポキシゲナーゼ、12−リポキシゲナーゼ、及び15−リポキシゲナーゼなど複数のリポキシゲナーゼの存在が確認されており、例えば炎症性疾患やアレルギー性疾患では5−リポキシゲナーゼが主に関与する。その代謝過程としては、5−リポキシゲナーゼがサイトカインなどの刺激によって酵素活性を発現し、基質であるアラキドン酸の5位を酸化し、5−ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸(5−HPETE)を生成する。この5−HPETEから、LTA4が生成し、次いでLTB4又はLTC4が生成する。さらにLTC4からはLTD4及びLTE4が生成する。 LTの薬理作用は、気道抵抗上昇作用や気管粘膜分泌促進作用、その他炎症反応系では、血管透過性亢進作用や白血球遊走作用などの様々な作用を持っている(非特許文献1〜3)。例えば、LTC4、LTD4、LTE4などからなるアナフィラキシー緩反応性物質(slow reacting substance of anaphylaxis,略号SRS-A)は、気管支喘息やアナフィラキシーなどのアレルギー性疾患の発現に関与しているといわれる。またLTB4は、低濃度で白血球に対して脱顆粒、血管透過亢進、遊走亢進、カルシウム輸送等を起こす生物活性が知られている。これらLTB4の作用は、例えばリューマチ、脊椎関節炎、痛風、乾癬、潰瘍性大腸炎、呼吸器疾患などの原因と考えられている(特許文献1)。 このように5−リポキシゲナーゼは関節炎、乾癬、アレルギー、喘息及び炎症の媒介物の生合成に重要な役割を演じており、5−リポキシゲナーゼの活性を阻止或いは抑制する薬剤は、これらのロイコトリエン由来の疾病の治療に有用であることが知られている。 また、動脈硬化では従来12−あるいは15−リポキシゲナーゼが関与すると言われていたが、最近、動脈硬化巣に存在するリポキシゲナーゼは、5−リポキシゲナーゼが大部分であることが報告され、5−リポキシゲナーゼの阻害により炎症と動脈硬化が抑制できる可能性が示唆されている(非特許文献4及び5)。 5−リポキシゲナーゼに対して阻害作用を示す物質の具体例としては、AA−861(特許文献2)、ノルジヒドログアイアレチン酸(非特許文献6)、ヒドロキサム酸(特許文献3及び4)、カフェ酸などがあげられる。 一方、ジンゲロールはショウガオールと並び、生姜抽出物の主要成分であり、例えば、血行促進作用(特許文献5)、体臭抑制効果(特許文献6)、抗酸化効果(非特許文献7)、保湿効果(非特許文献8)、プロスタグランジン産生阻害作用(非特許文献9〜11)を有することが知られている。 本発明者らは、以前にジンゲロールに類似した化学構造を有する化合物が、チロシナーゼ活性阻害作用(特許文献7)、過酸化脂質生成抑制作用(特許文献8)、及びシクロオキシゲナーゼ阻害作用(特許文献9)示すことを見出している。特開平8−143529号公報(特許請求の範囲)米国特許第4393075号明細書米国特許第4608390号明細書米国特許第4623661号明細書特開平6−183959号公報(特許請求の範囲)米国特許6264928号明細書特開2003−342224号公報(特許請求の範囲)国際公開第WO03/099752号(請求の範囲)特開2003−279606公報(特許請求の範囲)Adams G. K., Lichtenstein L. M., J. Immunol., 122, 555-562(1979)Watanabe-Kohno S., Yasui K. et. al., Jpn. J. Pharmacol., 60, 209-216(1992)Coles s S. J., Neill K. H. et. al., Prostaglandins, 25, 155-170(1983)Lotzer K.,Habenicht A. J.,Arterioscler Thromb Vasc Biol.,23,E32-36(2003)Spanbroek R.,Grabner R.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,100,1238-1243(2003)Corey, E. J. et. al., J. Am. Chem. Soc., 106, 1503(1984)Kikuzaki,H.et al.,J.Food Sci.,58,6,1407-1410(1993)鈴木正人 監修、「新しい化粧品機能素材300 上巻」、311−312頁、シーエムシー出版(2002)Kiuchi, F., Shibuya, M., Sankawa, U., Chem. Pharm. Bull., 30, 754(1982)三川潮、医学のあゆみ、126、867−874(1983)末川守他7名、日薬理誌、88、263−269(1986) 本発明の目的は、上述のような状況をふまえ、食品、医薬品、医薬部外品及び化粧品等の分野で有用な5−リポキシゲナーゼ阻害剤を提供することにある。 本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、下記一般式(1)で示されるジンゲロール類似化合物又は(2)で示されるジンゲジオール類似化合物が、優れた5−リポキシゲナーゼ阻害効果を有していることを見出し、本発明を完成した。 式(1)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3は炭素数1〜4の分岐を有してもよいアルキル基を示し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。 式(2)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3は炭素数1〜4の分岐を有してもよいアルキル基を示し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。 本発明のジンゲロール類似化合物及びジンゲジオール類似化合物は優れた5−リポキシゲナーゼ阻害効果を有しており、食品、医薬品、医薬部外品及び化粧品等の分野に利用することができる。○式(1)又は(2)で示される化合物について 式(1)又は(2)において、R1は炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ぺプチル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、およびステアリル基等が例示できる。当該アルキル基としては、直鎖アルキル基が好ましく、さらに天然界に存在するジンゲロールの構造を考慮すると、R1の炭素数は偶数であることが好適である。具体的には、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、およびデシル基が好適なものとして例示できる。 式(1)又は(2)において、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくはメチル基またはエチル基であり、更に好ましくはメチル基である。 式(1)又は(2)において、R3は炭素数1〜4の分岐を有してもよいアルキル基あり、好ましくはメチル基またはエチル基である。 式(1)又は(2)において、Aは炭素数1〜4のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基またはブチレン基であり、さらに好ましくはエチレン基である。 一般式(1)で表わされる化合物、及び一般式(2)で表わされる化合物は、例えば特開2003−342224号公報、国際公開第WO03/099752号公報、及び特開2003−279606号公報などに記載の方法に準じて製造することができる。 一般式(1)で表わされる化合物、及び一般式(2)で表わされる化合物は、後記する実施例からも明らかなように、5−リポキシゲナーゼ阻害作用を有するため、食品、医薬品、医薬部外品や化粧品等の処方に配合して使用することができる。 医薬品として用いる場合は、本発明の化合物を単独か或いは製薬上受け入れられる腑形剤又は担体や他の添加剤と共に各種の製剤形態に調合され使用される。その割合および性質は選ばれる化合物の溶解度及び化学的性質、選ばれた投与経路、及び標準の製剤学的慣用法によって決定される。腑形剤又は担体は固体、半固体、又は液体物質であることができ、これらは活性成分のビヒクル又は担体としての役目をすることができる。適当な腑形剤又は担体は製剤学の分野で一般的なものである。製剤組成物は経口又は非経口の使用のために適合化することができ、錠剤、カプセル、坐薬、溶液、懸濁液などの形態で患者に投与することができる。 製剤組成物は経口的、例えば不活性希釈剤または食べることのできる担体と共に投与できる。これらはゼラチンカプセル中に包むか又は錠剤に圧縮することができる。経口投与を行うためには、本発明の化合物は腑形剤と共に混入させることができ、錠剤、トローチ、カプセル、エルキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、チューインガムなどの形態で使用できる。錠剤、トローチ、カプセルなどは一つ又はそれ以上の助剤を含有することができる。助剤とは、結合剤、(例えば微結晶セルロース、トラガカントゴム、ゼラチン)、腑形剤(例えば、澱粉、乳糖)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、プライモゲル、コーンスターチ)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステロテックス)、滑剤(例えば、コロイド状二酸化シリコン)、甘味剤(例えば、ショ糖、サッカリン)、及び香味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジフレーバー)などである。投与単位形がカプセルであるときには上記の種類の物質に加えて液体担体(例えば、ポリエチレングリコール、脂肪族油)を含有させることができる。他の投与単位系は投与単位の物理的形態を変更する他の物質(例えば、コーティング)を含有させることができる。このように錠剤又は坐薬は、糖、シェラック又は他の腸溶皮剤で被覆することができる。シロップは活性成分のほか、甘味剤としてショ糖及びある種の防腐剤、染料及び着色及び香味剤を含有させることができる。 非経口投与を行うためには、本発明の化合物は溶液又は懸濁液中に混入できる。溶液又は懸濁液は一つまたはそれ以上の助剤を含有することができる。助剤とは滅菌希釈剤(例えば、注射用水、塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール類、グリセリン、プロピレングリコール、他の合成溶媒)、抗細菌剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラペン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム)、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)、緩衝剤(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩)、及び毒性を調製するための薬剤(例えば、塩化ナトリウム、デキストロース)などである。非経口製剤はアンプル、使い捨て注射、またはガラス又はプラスチック製の複数投与のバイアル中に封入することができる。 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、Tsはp−トルエンスルホニル基を示す。<合成例1>○ベンゾイル基保護の[6]−ショウガオール(化合物4)の合成 化合物1および化合物2を用いて化合物3を調製した。さらに化合物3をパラジウム触媒存在下で、脱Ts化することにより、化合物4を合成した。 具体的な合成法を以下に示した。[化合物1][化合物2][化合物3][化合物4] 50mlのテトラヒドロフランに3.46g(13.7mmol)の化合物1を溶かし、ドライアイス/アセトンで−78℃に冷却した。この溶液に、1.50Mのn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液9.10ml(13.7mmol)を滴下した。そして同温度で20分間攪拌後、50mlのテトラヒドロフランに3.49g(13.0mmol)の化合物2を溶かした溶液を滴下した。滴下後、同温度で10分間攪拌後、徐々に昇温した。反応溶液の温度が−10℃になったところで、メタノール2mlを加えて反応を停止させた。この反応混合物に飽和食塩水30mlを加えて攪拌後、有機層を分取した。水層を酢酸エチル30mlで抽出し、合せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、淡黄色の高粘度液状の化合物5.79g(収率79%)を得た。 本品の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、0.72-0.89(3H,m)、0.98-1.24(4H,m)、1.52-2.04(4H,m)、2.45(3H,s)、2.82-2.94(2H,m)、3.16-3.64(1H,m)、3.79(3H,s)、4.04-4.65(2H,m)、5.03-5.85(2H,m)、6.70-6.84(2H,m)、6.96-7.05(1H,m)、7.32(2H,d)、7.45-7.75(5H,m)、8.20(2H,d)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は、3520,2950,2930,2870,1740,1600,1510,1450,1280,1260,1200,1140, 1120,1080,1060,1020,710であった。さらに、元素分析の結果は、炭素69.22%、水素6.55%であった。 以上の分析により、得られた化合物が化合物3であることを確認した。 1,2−ジクロロエタン39g、イソプロピルアルコール13gおよびグリセリン13gの混合溶媒に1.31g(2.51mmol)の化合物3を溶かし、これにトリエチルアミン1.05ml(7.53mmol)、トリフェニルホスフィン39.5mg(0.151mmol)、およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム87.0mg(0.0753mmol)を加えてバス温100℃で18時間攪拌した。つぎに、溶媒等を留去した後、蒸留水50ml、飽和食塩水20mlおよび酢酸エチルエステル50mlを加えて分配し、有機層を分取した。この抽出後の水層を酢酸エチルエステル20mlで再抽出した。合せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、酢酸エチルエステルとn−ヘキサンとの混合溶媒による再結晶を行い、無色結晶性の化合物603mg(収率63%)を得た。 本品の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、0.91(3H,t)、1.25-1.60(6H,m)、2.21(2H,q)、2.85-3.00(4H,m)、3.82(3H,s)、6.16(1H,d)、6.79-6.94(3H,m)、7.05(1H,d)、7.45-7.68(3H,m)、8.20(2H,d)であった。また、本品の赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は、2950,2930,2870,1730,1660,1600,1510,1470,1450,1420,1270,1200, 1150, 1060,710であった。さらに、本品のCHN元素分析の結果は、炭素75.56%、水素7.70%であった。 以上の分析により、得られた化合物が化合物4であることを確認した。<合成例2>○ジンゲロール類似化合物(化合物5)の合成 上述の合成例1で得た化合物4に水酸化ナトリウムの存在下でメタノールを付加させるとともに、ベンゾイル基の除去を行い、化合物5を合成した。[化合物5] 330mg(0.867mmol)の化合物4をイソプロピルアルコール2mlに溶解した後、メタノール8mlおよび1N水酸化ナトリウム水溶液0.9mlを加え、室温で2時間攪拌した後、0.5N塩酸2mlを加えて反応を停止させた。反応液中のメタノールを留去した後、飽和食塩水25mlを加え、酢酸エチルエステル25mlで2回抽出した。これらの酢酸エチルエステルを合わせ無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。この濃縮物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーにより精製し、無色液状の化合物191mg(71%)を得た。 本品の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、0.89(3H,t)、1.20-1.83(8H,m)、2.34-2.89(6H,m)、3.28(3H,s)、3.57-3.70 (1H,m)、3.86(3H,s)、5.49(1H,s)、6.63-6.73(2H,m)、6.81(1H,d)であった。また、本品の赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は、3400,2930,2860,1710,1600,1510,1460,1450,1430,1370,1270,1230,1090,1030であった。さらに、本品の元素分析の結果は、炭素69.80%、水素8.98%であった。 以上の分析により、得られた化合物が化合物5であることを確認した。<合成例3>○ジンゲジオール類似化合物(化合物6)の合成 合成例2で得られた化合物5を還元して、化合物6を合成した。[化合物6] 154mg(0.5mmol)の化合物5をテトラヒドロフラン5mlに溶解した溶液を、水素化リチウムアルミニウム19mg(0.5mmol)のテトラヒドロフラン1ml溶液中に滴下し、室温で16時間攪拌した。つぎに、蒸留水5ml、0.5N塩酸2mlを滴下し、酢酸エチル10mlで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、シリカゲル薄層クロマトグラフィーにより精製し、無色液状の化合物 146mg(94%)を得た。 本品の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、0.89(3H,t)、1.20-1.87(12H,m)、2.52-2.81(2H,m)、3.30-3.55(4H,m)、3.72-4.00(4H,m)、5.55(1H,s)、6.65-6.75(2H,m)、6.81(1H,d)であった。また、本品の赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は、3390,2930, 2860,1600,1510,1460,1450,1430,1370,1270,1230,1080,1030であった。さらに、本品の元素分析の結果は、炭素69.74%、水素9.47%であった。 以上の分析により、得られた化合物が化合物6であることを確認した。<実施例1> 合成例2で得られた化合物5及び合成例3で得られた化合物6について5−リポキシゲナーゼ阻害活性を測定した。 5−リポキシゲナーゼ源としてラット好塩基性白血病細胞(RBL−1)を使用し、これによるアラキドン酸から5−HETEへの転換率を酵素活性として算出した。活性測定は、以下のように行った。 ジメチルスルホキシド水溶液に溶解した被検試料5μLに、200mM塩化カルシウム水溶液10μLと20mg/mLのアラキドン酸−メタノール溶液を10μL加え、37℃で5分間プレインキュベーションした。これに、0.25Mスクロース、1.0mM EDTA、2mMグルタチオンを含有する50mMリン酸緩衝液(pH7.4)中に1.5×107cell/mLで分散させたRBL−1細胞縣濁液475μLを添加して攪拌し、37℃で3分間反応させた。その後、メタノールを500μL加えて反応を停止し、この溶液を4℃、4000rpmで20分間遠心した。この上清400μLを分取して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析をした。HPLC分析は、日立製ポンプL6200、 日立製検出器L4000UV、およびナカライテスク製カラムCOSMOSIL 5C18−MS(内径4.6×長さ150mm)を用いて、0.04%の酢酸を含む60%アセトニトリル−水溶液で展開し、検出波長235nmでピーク面積を測定した。 また、対照としてジメチルスルホキシド水溶液に溶解した6−ショウガオール5μL、またはノルジヒドログアイアレチン酸 (NDGA)を被検試料5μLの代わりに用いた。被検試料無添加の場合のピーク面積と比較して、アラキドン酸から5−HETEへの転換率を算出した、{100%−転換率(%)}を転換阻害率(%)とした。 転換阻害率と被検試料濃度との関係から、5−HETEへの転換を50%阻害する濃度(IC50)を算出し、結果を表1に示した。 化合物5及び化合物6は、NDGAには及ばないものの、濃度依存的に5−リポキシゲナーゼ阻害活性を示した。 本発明の一般式(1)又は(2)で表わされる化合物は優れた5−リポキシゲナーゼ阻害効果を有しており、食品、医薬品、医薬部外品及び化粧品等の分野に利用することができる 下記一般式(1)で示されるジンゲロール類似化合物又は(2)で示されるジンゲジオール類似化合物を含有することを特徴とする5−リポキシゲナーゼ阻害剤。〔式(1)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3は炭素数1〜4の分岐を有してもよいアルキル基を示し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。〕〔式(2)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3は炭素数1〜4の分岐を有してもよいアルキル基を示し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。〕 【課題】 食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等の分野において好適に使用できる5−リポキシゲナーゼ阻害剤を提供する。【解決手段】 下記一般式(1)又は(2)で示される化合物を含有することを特徴とする5−リポキシゲナーゼ阻害剤。【化1】〔式(1)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3は炭素数1〜4の分岐を有してもよいアルキル基を示し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。〕【化2】(2)〔式(2)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3は炭素数1〜4の分岐を有してもよいアルキル基を示し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。〕