タイトル: | 公開特許公報(A)_真核生物のルビスコを原核生物中で発現させる方法、かかる方法に用いるキット、及びこれらのキットで形質転換された組換え原核生物 |
出願番号: | 2005226109 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12N 1/21 |
田中 聡 宮坂 均 鬼塚 拓男 JP 2007037474 公開特許公報(A) 20070215 2005226109 20050804 真核生物のルビスコを原核生物中で発現させる方法、かかる方法に用いるキット、及びこれらのキットで形質転換された組換え原核生物 関西電力株式会社 000156938 風早 信昭 100103816 浅野 典子 100120927 田中 聡 宮坂 均 鬼塚 拓男 C12N 15/09 20060101AFI20070119BHJP C12N 1/21 20060101ALI20070119BHJP JPC12N15/00 AC12N1/21 11 OL 12 4B024 4B065 4B024AA03 4B024AA08 4B024BA07 4B024CA04 4B024DA06 4B024DA20 4B024EA04 4B024HA14 4B065AA26X 4B065AA83X 4B065AA83Y 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065BD01 4B065BD15 4B065CA27 4B065CA53 本発明はリブロース−1,5ビスホスフェートカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(ルビスコとも称される)を原核生物中で発現させる方法に関する。本発明はまた、かかる方法に用いる遺伝子構築物又は遺伝子構築物のキット、及びこれらの遺伝子構築物又は遺伝子構築物のキットで形質転換された組換え原核生物に関する。 ルビスコは光合成を行う生物(高等植物や紅藻などの真核生物、藍藻などの原核生物)が有する酵素である。ルビスコは光合成の二酸化炭素固定反応のキー酵素であるため、作物などの高等植物(真核生物)のルビスコの二酸化炭素固定能を遺伝子工学やタンパク質工学により改良して光合成効率を向上させることは、作物などの収率の向上の観点から多くの関心を集めている。この改良のためには作物などの高等植物(真核生物)のルビスコや二酸化炭素固定能が元来優れている紅藻(真核生物)のルビスコを大腸菌などの原核生物中で発現させてルビスコを多量に得る必要がある。しかしながら、大腸菌などの原核生物中で真核生物のルビスコを発現させることは従来不可能であった。 一方、本発明者らは最近、原核生物の一種である藍藻シネココッカス(Synechococcus)sp.PCC7002ではrbcXという遺伝子がルビスコの発現に関与していることを見出している(非特許文献1)。ルビスコはラージサブユニット(L)及びスモールサブユニット(S)の二つのサブユニットからなるLS複合体の八量体(L8S8)タンパク質である。シネココッカスsp.PCC7002ではrbcX遺伝子はrbcL(ルビスコのラージサブユニット)遺伝子とrbcS(ルビスコのスモールユニット)遺伝子の間のスペーサー領域に存在しており、rbcLとrbcSの翻訳及びその後のL8S8ユニット形成を補助すると考えられている。しかしながら、rbcX遺伝子が他の生物、特に真核生物のルビスコの発現を補助することができるかどうかは今だ確認されていない。Plant Cell Physiol.,45(10)、1390、(2004) 本発明はかかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は真核生物のルビスコを原核生物中で発現させることを可能とすることである。 本発明者らはかかる課題を解決するため、原核生物の一種である藍藻のrbcX遺伝子の機能を鋭意研究した結果、藍藻のルビスコ遺伝子のオペロン構造中に存在するrbcX遺伝子を真核生物のrbcL遺伝子及び真核生物のrbcS遺伝子と共発現させることにより、真核生物のルビスコを原核生物中で発現させることができることを見出し、遂に本発明を想到するに至った。 即ち、本発明によれば、真核生物のリブロース−1,5ビスホスフェートカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼを原核生物中で発現させる方法であって、藍藻のrbcX遺伝子を真核生物のrbcL遺伝子及び真核生物のrbcS遺伝子と共に原核生物中で共発現させることを特徴とする方法が提供される。 また、本発明によれば、藍藻のrbcX遺伝子、真核生物のrbcL遺伝子及び真核生物のrbcS遺伝子を含み、さらにこれらの遺伝子の発現を制御する制御配列を含むことを特徴とする遺伝子構築物が提供される。 また、本発明によれば、以下のものを含むことを特徴とする遺伝子構築物のキットが提供される: 藍藻のrbcX遺伝子及びこの遺伝子の発現を制御する制御配列を含む第一遺伝子構築物;及び 真核生物のrbcL遺伝子及び真核生物のrbcS遺伝子を含み、さらにこれらの遺伝子の発現を制御する制御配列を含む第二遺伝子構築物。 さらに、本発明によれば、前記遺伝子構築物又は遺伝子構築物のキットで形質転換されたことを特徴とする組換え原核生物が提供される。 本発明の好ましい実施態様においては、藍藻のrbcX遺伝子は配列番号1によって表されるDNAからなるか、又は配列番号1によって表されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしかつ藍藻のrbcX遺伝子の機能を有するDNAからなり、ルビスコの由来する真核生物は高等植物又は真核藻類であり、発現ホストである原核生物は大腸菌又は藍藻である。 本発明の方法で発現対象とするルビスコは、そのrbcL遺伝子及びrbcS遺伝子が同定されている真核生物由来のルビスコであればいかなるものも発現対象とすることができるが、例えば高等植物や真核藻類である紅藻のルビスコを挙げることができる。 本発明の方法で発現ホストとする原核生物は発現目的によって適宜選択すればよい。例えば遺伝子工学やタンパク質工学によりルビスコを改良するためのルビスコの多量生産を目的とする場合は、大腸菌などの増殖能力が高い原核生物を選択すればよい。また、実際に改良した高機能ルビスコを品種改良対象の植物に導入する前段階としての発現確認を目的とする場合は、光合成能を有する原核生物でありかつ遺伝子導入が容易な藍藻を選択して藍藻での正常な発現を確認すればよい。 本発明の方法で用いるrbcX遺伝子は藍藻のルビスコオペロン中、rbcL遺伝子とrbcS遺伝子の間のスペーサー領域に存在する遺伝子であり、藍藻のrbcLとrbcSの翻訳及びその後のL8S8ユニット形成を補助する遺伝子である。rbcX遺伝子を持つ藍藻としては、例えばシネココッカス(Synechococcus)属、アナベナ(Anabena)属、アナシスティス(Anacystis)属、アファニゾメノン(Aphanizomenon)属、ノストック(Nostoc)属、ミクロシスティス(Microcystis)属、プランクトスリックス(Planktothrix)属、及びチコネマ(Tychonema)属の藍藻がある。好ましくは、本発明の方法で用いるrbcX遺伝子はシネココッカスsp.PCC7002株のrbcX遺伝子である。そのDNA配列を配列表の配列番号1に示す。また、配列番号1のいわゆる均等の範囲に含まれる遺伝子、つまり配列番号1によって表されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしかつ藍藻のrbcX遺伝子の機能を有するDNAも本発明で好適に用いることができる。 配列番号1のいわゆる均等の範囲に含まれる配列は、データベースを用いた配列検索、又は配列番号1の塩基配列もしくはその一部をプローブとするコロニーもしくはプラークハイブリダイゼーションにより得ることができる。なお、本明細書において用いる用語「ストリンジェントな条件」は、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えばある塩基配列と60%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上の相同性を有するDNAのみが特異的にハイブリダイズする条件であることができる。ストリンジェントな条件はハイブリダイゼーション溶液の塩濃度、温度等を調節することにより作り出すことができる。 ハイブリダイゼーションの手順としては、先ず目的の遺伝子源から得たDNA(染色体DNA又はcDNA)のライブラリーを作製する。そのライブラリーをプレート上で培養し、生育したコロニー等をニトロセルロース等の膜に移し取り、変性処理によりDNAを膜に固定する。この膜を32P等で標識したプローブ(配列番号1の塩基配列又はその一部)を含む溶液中で保温し、膜上のDNAとプローブとの間でハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションはストリンジェントな条件下、例えば6×SSC、1% SDS、100μg/mlのサケ精子DNA、5×デンハルツを含む溶液中で65℃で20時間行う。ハイブリダイゼーション後、非特異的に吸着したプローブを洗い流し、オートラジオグラフィー等によりプローブとハイブリッド形成したクローンを同定する。この操作をハイブリッド形成したクローンが単一になるまで繰り返す。こうして得られたクローンの中には目的の遺伝子が挿入されている。得られた遺伝子が藍藻のrbcX遺伝子の機能を有するかどうかは、例えば得られた遺伝子を藍藻のrbcL遺伝子及びrbcS遺伝子と共に大腸菌に導入し、形質転換体中のL8S8ユニットの発現をウェスタンブロッティング等により測定することにより確認することができる。 本発明の方法では藍藻のrbcX遺伝子は発現対象の真核生物のrbcL(ルビスコのラージサブユニット)遺伝子及びrbcS(ルビスコのスモールサブユニット)遺伝子と共に原核生物中で共発現される。藍藻のrbcX遺伝子の共発現により、原核生物中での真核生物のrbcLとrbcSの翻訳及びその後のL8S8ユニット形成が可能になる。 原核生物である藍藻のrbcL遺伝子、rbcS遺伝子と真核生物のrbcL遺伝子、rbcS遺伝子の塩基配列の相同性はいずれもかなり低い(本願実施例で用いた紅藻のrbcL遺伝子、rbcS遺伝子の場合、それぞれ56%及び59%にすぎない)。また、rbcX遺伝子は真核生物には本来存在しない(真核生物ではrbcL遺伝子は葉緑体DNAに、rbxS遺伝子はゲノムDNAにそれぞれ別にコードされており、原核生物のようなrbcX遺伝子を介したオペロン構造をとっていない)。これらの事実を考慮すると、藍藻のrbcX遺伝子が真核生物ルビスコの発現に有用であることは極めて意外であり、予想外のことである。 藍藻のrbcX遺伝子と真核生物のrbcL遺伝子及びrbcS遺伝子の原核生物中での共発現は、具体的にはこれらの遺伝子を含む遺伝子構築物を作成し、この遺伝子構築物で発現ホスト原核生物を形質転換することにより組換え原核生物を作成しておき、この組換え原核生物を増殖に好適な条件下で培養することにより実行することができる。これらの手順は当業者には周知であるので、ここではこれ以上説明しない。 本発明の方法に用いる遺伝子構築物上の藍藻のrbcX遺伝子、真核生物のrbcL遺伝子及びrbcS遺伝子の配置は特に限定されず、これらの三つの遺伝子を一つの遺伝子構築物上に配置してもよいし、藍藻のrbcX遺伝子を一つの(第一)遺伝子構築物上に、真核生物のrbcL遺伝子及びrbcS遺伝子を別の(第二)遺伝子構築物上に配置して第一遺伝子構築物及び第二遺伝子構築物を含む遺伝子構築物のキットとしてもよい。これらの遺伝子構築物は、配置された遺伝子の発現を制御する制御配列(プロモーターやターミネーター)も含む。制御配列としては普遍的なプロモーターやターミネーターを用いることができるが、rbcX遺伝子が由来する藍藻のルビスコオペロンのプロモーターやターミネーターも用いることができる。特に、ターミネーターについてはrbcX遺伝子が由来する藍藻のルビスコオペロンのターミネーターを用いることにより真核生物のルビスコの発現が促進されることが明らかになっている(データは示さず)。 本発明によれば、従来不可能であった真核生物のルビスコの原核生物中での発現が可能になるので、例えばホスト原核生物として大腸菌を用いることにより真核生物のルビスコの遺伝子工学的・タンパク質工学的改良のために真核生物のルビスコを容易に多量に得ることができる。また、実際に改良した高機能ルビスコを品種改良対象の植物に導入する際には、ホスト原核生物として藍藻(光合成能を有する生物であり、かつ遺伝子導入が容易である)を用いて改良高機能ルビスコの藍藻での正常な発現を事前に確認することにより、最終目的である植物への改良高機能ルビスコの導入の成功率を上げることができる。さらに、改良高機能ルビスコを発現する藍藻自体を改良高機能ルビスコの二酸化炭素固定能を調査・スクリーニングするために用いることもできる。 以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例の記載は純粋に発明の理解のためのみに挙げるものであり、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。実施例1(1)紅藻ガルディエリア パルティタ(Galdieria partita)のリブロース−1,5ビスホスフェート カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(ルビスコ)遺伝子(DNA Data Bank of Japanアクセッション番号AB018008)のラージサブユニット(rbcL)とスモールサブユニット(rbcS)部分、および藍藻のシネココッカスPCC7002株のrbcX遺伝子(配列番号1)をPCRで増幅し、図1に示すような紅藻のrbcL(G.rbcL)のみを持つもの、紅藻のrbcL(G.rbcL)と藍藻のrbsX(S.rbcX)を持つもの、及び紅藻のrbcL(G.rbcL)、rbcS(G.rbcS)と藍藻のrbcX(S.rbcX)を持つものの三種類のルビスコ遺伝子構築物を作成した。構築物の5’上流にはシネココッカスPCC7002株のrbc遺伝子プロモーター領域を、3’下流にはターミネーター領域を結合した。これらの構築物をシアノバクテリア用シャトルベクターpAQJ4(文献Miyasaka,H.,Nakano,H.,Akiyama,H.,Kanai,S.and Hirano,M.Production of PHA(poly hydroxyalkanoate)by the genetically engineered marine cyanobacterium.Stud.Surf.Sci.Catal.,114,237−242,(1998))に導入して、図1に示すような三種類のプラスミドDNA pRbcGL,pRbcGLSXおよびpRbcGLSXGSを作成した。(2)次に、(1)で作成した3種のプラスミドDNAを用いて大腸菌での発現を検討した。作成したプラスミドDNAを用いて大腸菌(JM109株)を形質転換し、LB/Amp培地で6時間培養後OD600を測定し、集菌した後PBS緩衝液に懸濁して菌体数を合わせた。懸濁液を電気泳動用サンプル緩衝液と1:1に混合し、4−20% SDS−PAGEを実施した。一方、タンパク質を抽出する際は菌体を超音波破砕し、遠心により上清画分と沈殿画分に分離して調製した。Bradford法でタンパク質濃度を測定した後、タンパク質量を合わせて4−20% SDS−PAGEを実施した。(3)その結果を図2に示す。図2から明らかな通り、紅藻のrbcLのみを持つ発現プラスミドpRbcGLで形質転換された大腸菌では紅藻のrbcLの発現を検出できなかった(レーン1)。これに対し、紅藻のrbcLに加えて藍藻のrbcXを持つ発現プラスミドpRbcGLSX、及び紅藻のrbcL,rbcSに加えて藍藻のrbcXを持つ発現プラスミドpRbcGLSXGSで形質転換された大腸菌では、紅藻のrbcLおよびrbcSの発現量が大幅に上昇した(レーン2およびレーン3)。以上の結果から藍藻のrbcX遺伝子は藍藻のルビスコのみならず、真核生物である紅藻のルビスコタンパク質のrbcLとrbcSの翻訳にも重要な役割を果たすことが明らかになった。実施例2(1)実施例1と同様に、紅藻ガルディエリア パルティタ(Galdieria partita)のリブロース−1,5ビスホスフェート カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(ルビスコ)遺伝子(DNA Data Bank of Japanアクセッション番号AB018008)のラージサブユニット(rbcL)とスモールサブユニット(rbcS)部分、および藍藻のシネココッカスPCC7002株のrbcX遺伝子をPCRで増幅し、図3に示すような紅藻のrbcL(G.rbcL)とrbcS(G.rbcS)のみを持ち藍藻のrbsX(S.rbcX)を持たないもの、及び紅藻のrbcL(G.rbcL)、rbcS(G.rbcS)と藍藻のrbcX(S.rbcX)を持つものの二種類のルビスコ遺伝子構築物を作成した。構築物の5’上流にはシネココッカスPCC7002株のrbc遺伝子プロモーター領域を、3’下流にはターミネーター領域を結合した。これらの構築物をシアノバクテリア用シャトルベクターpAQJ4(文献Miyasaka, H.,Nakano,H.,Akiyama,H.,Kanai,S.and Hirano,M.Production of PHA(poly hydroxyalkanoate)by the genetically engineered marine cyanobacterium.Stud.Surf.Sci.Catal.,114,237−242,(1998))に導入して、図3に示すような二種類のプラスミドpRbcGLGSおよびpRbcGLSXGSを作成した。これらのプラスミドで大腸菌(JM109株)を形質転換して以下の発現実験に用いた。(2)藍藻のrbcX遺伝子が紅藻のルビスコのL8S8ユニット形成に及ぼす影響を調べるために、抗Galdieria rbc抗体(L8S8ユニットに対する抗体)を用いたウエスタンブロッティングを行った。(1)で作成した組換え大腸菌をLB/アンピシリン培地で6時間培養後、菌体数を合わせてPBS緩衝液に懸濁して、超音波破砕によりタンパク質を抽出した。不溶性画分を遠心により除き、上清画分の可溶性タンパク質を同量アプライして4−12% Native−PAGEを行った。電気泳動の後、タンパク質をゲルからPVDFメンブレン(Hybond−P、Amersham Pharmacia Biotech)に100 Vで1時間トランスファーし、メンブレンをブロッキングバッファーに浸して4℃で一晩浸とうした後、1次抗体(抗Galdieria rbc抗体)、2次抗体(抗rabbit IgG−HRP)を順次加えて各1時間反応させた。(3)図4にウエスタンブロティングの結果を示す。図4から明らかな通り、藍藻のrbcX遺伝子が紅藻のrbcL遺伝子及びrbcS遺伝子と共発現することにより、明らかに紅藻のルビスコのL8S8ユニットの量が増加した(レーン2)。このことから藍藻のrbcX遺伝子が真核生物である紅藻のルビスコタンパク質のL8S8ユニット形成を促進することが確認された。 本発明の方法によれば真核生物のルビスコを原核生物中で発現させることができるので、大腸菌を用いた真核生物のルビスコの多量生産や、藍藻を用いた真核生物の改良ルビスコの発現確認、スクリーニング等に広く応用することができる。実施例1で作成した三種類のプラスミドDNAの構成を示す。図1のプラスミドDNAで形質転換した大腸菌培養物のSDS−PAGEの結果を示す。実施例2で作成した二種類のプラスミドDNAの構成を示す。図2のプラスミドDNAで形質転換した大腸菌培養物のウェスタンブロッティングの結果を示す。 配列番号1はシネココッカスPCC7002株のrbcX遺伝子の塩基配列であり、配列番号2はシネココッカスPCC7002株のrbcX遺伝子のアミノ酸配列である。 真核生物のリブロース−1,5ビスホスフェートカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼを原核生物中で発現させる方法であって、藍藻のrbcX遺伝子を真核生物のrbcL遺伝子及び真核生物のrbcS遺伝子と共に原核生物中で共発現させることを特徴とする方法。 藍藻のrbcX遺伝子が、配列番号1によって表されるDNAからなるか、又は配列番号1によって表されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしかつ藍藻のrbcX遺伝子の機能を有するDNAからなることを特徴とする請求項1に記載の方法。 真核生物が高等植物又は真核藻類であり、原核生物が大腸菌又は藍藻であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 藍藻のrbcX遺伝子、真核生物のrbcL遺伝子及び真核生物のrbcS遺伝子を含み、さらにこれらの遺伝子の発現を制御する制御配列を含むことを特徴とする遺伝子構築物。 藍藻のrbcX遺伝子が、配列番号1によって表されるDNAからなるか、又は配列番号1によって表されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしかつ藍藻のrbcX遺伝子の機能を有するDNAからなることを特徴とする請求項4に記載の遺伝子構築物。 真核生物が高等植物又は真核藻類であることを特徴とする請求項4又は5に記載の遺伝子構築物。 以下のものを含むことを特徴とする遺伝子構築物のキット: 藍藻のrbcX遺伝子及びこの遺伝子の発現を制御する制御配列を含む第一遺伝子構築物;及び 真核生物のrbcL遺伝子及び真核生物のrbcS遺伝子を含み、さらにこれらの遺伝子の発現を制御する制御配列を含む第二遺伝子構築物。 藍藻のrbcX遺伝子が、配列番号1によって表されるDNAからなるか、又は配列番号1によって表されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしかつ藍藻のrbcX遺伝子の機能を有するDNAからなることを特徴とする請求項7に記載の遺伝子構築物のキット。 真核生物が高等植物又は真核藻類であることを特徴とする請求項7又は8に記載の遺伝子構築物のキット。 請求項4〜6のいずれか一項に記載の遺伝子構築物又は請求項7〜9のいずれか一項に記載の遺伝子構築物のキットで形質転換されたことを特徴とする組換え原核生物。 原核生物が大腸菌又は藍藻であることを特徴とする請求項10に記載の組換え原核生物。 【課題】 真核生物のルビスコを原核生物中で発現させることを可能とする方法を提供する。【解決手段】 本発明によれば、真核生物のリブロース−1,5ビスホスフェートカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼを原核生物中で発現させる方法であって、藍藻のrbcX遺伝子を真核生物のrbcL遺伝子及び真核生物のrbcS遺伝子と共に原核生物中で共発現させることを特徴とする方法が提供される。前記方法において好ましくは真核生物は高等植物又は真核藻類であり、原核生物は大腸菌又は藍藻である。本発明によれば、かかる方法に用いる遺伝子構築物又は遺伝子構築物のキット、及びこれらの遺伝子構築物又は遺伝子構築物のキットで形質転換された組換え原核生物も提供される。【選択図】 なし配列表