タイトル: | 公開特許公報(A)_凍結薄切片を粘着支持するのに適した粘着性プラスチックフィルム |
出願番号: | 2005207723 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | G01N 1/28,C09J 7/02,C09J 201/00 |
川本 忠文 JP 2006038847 公開特許公報(A) 20060209 2005207723 20050620 凍結薄切片を粘着支持するのに適した粘着性プラスチックフィルム 川本 忠文 500269820 川本 忠文 JP 2004212307 20040622 G01N 1/28 20060101AFI20060113BHJP C09J 7/02 20060101ALI20060113BHJP C09J 201/00 20060101ALI20060113BHJP JPG01N1/28 UC09J7/02 ZC09J201/00G01N1/28 F 5 2 書面 9 2G052 4J004 4J040 2G052AA28 2G052AD34 2G052AD52 2G052DA07 2G052FA01 2G052FA08 2G052GA31 2G052JA04 2G052JA07 2G052JA16 4J004AA05 4J004AA10 4J004AB01 4J004AB04 4J004CA06 4J004CB03 4J004CC02 4J004CE03 4J004DB02 4J004EA05 4J004FA08 4J040CA001 4J040DF001 4J040JA09 4J040JB09 4J040PA23 本発明は、包埋(例えば、凍結包埋)した試料(例えば、生物試料)から、生命科学の研究(例えば、組織学的研究、組織化学的研究、酵素組織化学的研究、免疫組織化学的研究、遺伝子組織化学的研究)に利用できる薄切片を作製する時、薄切片を染色する時、且つ薄切片を封入する時に、薄切片の損壊を防ぎ、且つ薄切片の形状を保つために使用する粘着性支持材に関するものである。 生命科学の研究では、組織機能を解明するために光学顕微鏡による組織の観察が必要で、より正確な組織像を観察するために、形状(例えば、組織の形、位置関係)の保たれた生物試料の薄切片(例えば、厚さ2〜20μm)が必要とされている。通常、凍結薄切片は、凍結試料、あるいは凍結包埋試料から、薄切片を支持する材料を用いないで作製されている。しかし、性状の異なる組織を含んだ試料(例えば、小動物の全身)、損壊しやすい試料(例えば、肺、昆虫、植物)、あるいは硬組織(例えば、骨)を含んだ試料等から、薄切片の支持材を用いないで、形状が保たれた薄い薄切片(例えば、厚さ2〜10μm)を作製することは極めて困難である。この問題を解決するために、粘着テープで粘着支持した状態で薄切片を作製する方法が、特開昭58−158534号公報に提案されている。粘着テープとして、梱包、あるいは紙等の固定に使用されている市販の透明な粘着テープが使用されているために、粘着テープを凍結包埋試料に貼り付けて薄切する時、薄切片を粘着テープに貼り付けた状態で、染色、脱水、透徹、封入等の操作を行う時、更に薄切片を粘着テープに貼り付けた状態で、光学顕微鏡に取り付けたレーザ装置からのレーザ光により薄切片を切断して微小領域から試料を採取する時に次のような問題が起こる。1)粘着テープは、温度の低下とともに粘着力が低下するため、従来の梱包用粘着テープを凍結薄切片の支持材として用いて、凍結薄切装置の通常の使用温度(例えば、−20℃)で薄切片の作製を実施すると、粘着テープが薄切片を十分に粘着支持できず、組織が損壊して組織の形状が完全に保たれた薄切片を作製できない。2)凍結薄切片の作製において、組織(例えば、脳など)により、通常の薄切温度よりも低い温度(例えば、−25℃〜−35℃)で薄切を実施しなければならない場合があり、その温度では、従来の梱包用粘着テープは粘着力を完全に失って、凍結薄切片を粘着支持することができない。3)粘着テープに塗布されている粘着剤が、染色で使用する試薬により変性して粘着力が低下し、薄切片が粘着テープから剥離して組織が損壊する。4)粘着テープに塗布されている粘着剤が、染色液で染色され、組織を光学顕微鏡により詳細に観察することが困難となる。5)粘着テープに使用されている材料(例えば、プラスチックフィルム、粘着剤)が、永久標本の作製過程(染色・脱水・透徹・封入等)で使用する試薬や溶媒(例えば、水、アルコール、キシレン等)で変性して、粘着剤が粘着性を失ったり、粘着層が基材のプラスチックフィルムから剥離したり、粘着剤あるいはプラスチックフィルムが膨大したりする。その結果、薄切片が、損壊、あるいは粘着テープから剥離し、組織を光学顕微鏡により詳細に観察することが困難となる。6)粘着テープの基材として使用しているプラスチックフィルムは厚く(通常50μm〜100μm)、そのために永久標本作製用の封入剤中に含まれている有機溶媒(例えば、キシレン)による反り返りが強く、薄切片をプラスチックフィルムとガラス板あるいはプラスチック板等の間に封入しても、プラスチックフィルムの反り返りにより、プラスチックフィルムがガラス板あるいはプラスチック板から剥離し、結果として薄切片を粘着テープに貼り付けた状態で永久標本として封入保存することができない。7)梱包用粘着テープは厚いために、粘着テープに貼り付いた薄切片をレーザ光で切断する事ができない。上記の様々な問題があるために、本願発明者によって、特開2002−31586号広報に凍結薄切片の作製に適した粘着プラスチックフィルムが提案され、その粘着プラスチックフィルムを使用することにより、上記に述べている性質の異なる組織を含んだ試料、損壊しやすい試料、あるいは硬組織を含んだ試料などから、容易に薄い凍結薄切片を作製することができるようになった。そして、染色後、その粘着プラスチックフィルムに粘着支持された薄切片を水溶性包埋剤を用いて封入保存することができることが示されている。しかし、提案された粘着プラスチックフィルムは、有機溶媒に対して不溶化処理を施していないために、永久標本作製の際に使用する有機溶媒(例えば、アセトンやキシレン等)により、粘着剤が容易に溶解し、薄切片が粘着プラスチックフィルムから剥離し、損壊する欠点があり、それを解決するために薄切片の封入剤として水溶性封入剤が使用されている。しかしながら、染色により、染色剤が組織から水溶性封入剤中に溶出し、保存中に組織像が不鮮明になる欠点がある。且つ、粘着プラスチックフィルムがアクリル板上に作製されるため、作製後直ちに使用しなければ粘着プラスチックフィルムがアクリル板から剥離することができなくなる欠点がある。同様に本願発明者によって、特開2004−37434号広報に薄切片を作製する時に使用する粘着性プラスチックフィルムについて記載がある。特開2004−37434号の粘着性プラスチックフィルムは薄切片の作製後、粘着剤を溶解して薄切片をガラス板上に残すようにしたもので、粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた薄切片を有機溶媒に浸漬すると、薄切片が容易に損壊してしまう欠点がある。 上記の理由により、従来の透明な梱包用粘着テープ、あるいは本願発明者(特開2002−31586号広報、特開2004−37434号広報)によって提案された粘着プラスチックフィルムに薄切片を貼り付けた状態で、染色・脱水・透徹等の操作を行った後、パラフィン包埋試料等から作製した薄切片を封入する時に使用する永久標本作製用の封入剤を用いて、粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で薄切片を永久標本として封入保存することができなかった。また、薄切片から微小試料片を採取する時に使用されている光学顕微鏡に取り付けられたレーザ装置からのレーザ光(例えば、レーザマイクロダイセクション装置)では、それらの粘着支持材が厚いために切断することができなかった。 特許文献1には、梱包用の粘着テープを用いて薄切片を作製する方法についての開示があり、特許文献2、3には、薄切片の作製に適した粘着性プラスチックフィルムに関する開示がある。 特開昭58−158534号公報 特開2002−31586号公報 特開2004−37434号公報 上記に述べているように、従来の凍結薄切片支持材(例えば、市販の粘着テープ、特開2002−31586号公報と特開2004−37434号公報に記載された粘着プラスチックフィルム)では、薄切片を粘着支持材に貼り付けた状態で、染色液による染色処理、アルコールによる脱水処理、キシレンによる透徹処理等の操作を行った後、パラフィン包埋試料等から作製した薄切片を、永久標本として封入する時に使用する永久標本作製用封入剤を用いて、光学顕微鏡により組織を詳細に観察できる永久標本として封入保存することができない。また粘着支持材に貼り付けた状態の薄切片をレーザ光線(例えば、マイクロダイセクション装置のレーザ光)で切断することができなかった。 本発明は、このような問題を解決するために、凍結薄切装置の使用温度(例えば、−10度〜−35度)で薄切片を確実に粘着支持でき、且つ薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、染色液による染色処理、アルコール等による脱水処理、キシレン等による透徹処理後、永久標本作製用封入剤を用いて、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、薄切片を粘着性プラスチックフィルムとガラス板の間に封入することを可能にする粘着性プラスチックフィルムを提供すること、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態でレーザ光線による切断を可能にする極めて薄い(例えば、全体の厚さが3〜6μm程度)粘着性プラスチックフィルムを提供することを課題とする。 以上の課題を解決するために、第一発明は、有機溶媒に浸漬しても変性せず、且つ透明で薄い(例えば、厚さ2〜12μm程度)プラスチックフィルム上に、有機溶媒に浸漬しても溶解せず、且つ透明な薄い(例えば、厚さ1〜10μm程度)粘着層を形成し、更にプラスチックフィルム上に粘着性を有する領域と粘着性の無い領域を設け、粘着性の無い領域で挟まれた粘着性を有する領域の長さが、薄切試料の薄切する長さとほぼ等しく、プラスチックフィルムの幅が、薄切試料の幅とほぼ等しいことを特徴とする粘着性プラスチックフィルムを提供する。 第一発明によれば、粘着性プラスチックフィルムが有機溶媒に溶解せず、且つ粘着層とプラスチックフィルムが非常に薄いために、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、永久標本封入用封入剤を使って薄切片を粘着性プラスチックフィルムとガラス板あるいはプラスチック板の間に封入しても、粘着性プラスチックフィルムの反り返りがなく、且つ粘着剤の膨大による薄切片への影響が小さいために、第一発明の粘着性プラスチックフィルムを使うことにより、脱水透徹後、薄切片を永久標本として粘着性プラスチックフィルムとガラス板の間に封入保存することが可能となる。 また、第二発明は、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、染色処理(例えば、組織学的染色、免疫組織化学的染色等)、アルコール等による脱水処理、キシレン等による透徹処理等を行った後、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、パラフィン包埋試料から作製した薄切片を封入する時に使用する永久標本作製用封入剤を塗布したガラス板あるいはプラスチック板(テープ状でもよい)と粘着性プラスチックフィルムの間に、薄切片を永久標本として封入保存し、その標本を光学顕微鏡により詳細に観察することを可能にすることを特徴とする粘着性プラスチックフィルムまたは粘着性シートを提供する。 第二発明によれば、薄切片を第二発明の粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、組織学的染色、免疫組織化学的染色等の染色を行い、次いで、脱水、透徹処理後、永久標本として薄切片を粘着性プラスチックフィルムとガラス板の間に光学顕微鏡により詳細に観察する標本として封入保存することが可能となる。 また、第三発明は、無色透明な粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤)に硬化剤あるいは触媒を加えて撹拌した粘着剤を、撹拌後直ちに、染色液で染色されず、且つ薄切片の染色・脱水・封入等で使用する有機溶媒に浸漬しても光学顕微鏡観察に支障のないほど変性の少ない薄くて透明なプラスチックフィルム(例えば、厚さ2〜15μm程度のPETフィルム)の片面の全面に薄く塗布し、次いで乾燥することにより粘着性プラスチックフィルム上に薄い粘着層(例えば、厚さが1〜10μm程度)を形成し、次いで帯状の薄い着色プラスチックフィルム(例えば、厚さ10〜50μm程度)を所定の間隔で、且つ着色プラスチックフィルムの両側に粘着領域が残るように、着色プラスチックフィルムを密着して粘着性の無い領域を形成し、その後、剥離紙を全面に密着して粘着面を保護し、使用時に薄切試料の大きさに切断して使用するようにしたことを特徴とする粘着性プラスチックフィルムあるいは粘着シートを提供する。 第三発明によれば、粘着性プラスチックフィルムの粘着面が剥離紙により保護されているために、必要な時に切断して使用することができ、且つ非粘着領域である着色プラスチックフィルムの両側に粘着領域を残しているために、粘着性プラスチックフィルムが剥離紙から剥離し難く、粘着性プラスチックフィルムを長期間保存することが可能となる。 また、第四発明は、凍結薄切装置の使用温度(例えば、−10度〜−35度)で薄切片を粘着支持できる粘着力を有し、薄切片の染色で使用する染色液で染色されず、薄切片の染色・脱水・封入などの操作で使用する溶媒(例えば、水、アルコール、キシレン等)に浸漬しても溶解せず、且つ膨大の少ない薄くて透明であることを特徴とする粘着性プラスチックフィルムあるいは粘着シートを提供する。 第四発明によれば、作製した粘着性プラスチックフィルムを使って、凍結薄切装置の使用温度(例えば、−10度〜−35度)で薄切片を粘着支持でき、且つ粘着性プラスチックフィルムに薄切片が貼り付いた状態で染色し、粘着性プラスチックフィルムに薄切片が貼り付いた状態で永久標本とすることを可能にすることが可能となる。 第五発明によれば、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、薄切片をレーザ光により切断して、微小試料片(例えば、特定の細胞、組織)を採取する目的の粘着性プラスチックフィルムとしては、極めて薄いプラスチックフィルム(例えば、厚さ2〜3μm程度)上に、極めて薄い粘着層(例えば、厚さ1〜3μm程度)を形成し、レーザ光(例えば、マイクロダイセクション装置のレーザ光)により、薄切片が貼り付いた粘着性プラスチックフィルムを容易に切断できるようにしたことを特徴とする粘着性プラスチックフィルムあるいは粘着シートを提供する。 第五発明によれば、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、光学顕微鏡に取り付けたレーザ装置からのレーザ光により薄切片を切断し、微小試料片を採取することが可能になる。 本発明の粘着性プラスチックフィルムは、以上に説明したような特徴の粘着剤とプラスチックフィルムを使って、薄切片を粘着支持するのに適した形状で、且つ極めて薄い粘着性プラスチックフィルムを作製することにより、次のような効果を奏する。作製された粘着性プラスチックフィルムは、使用の際に掴む領域として、着色したプラスチックフィルムで示された粘着力を有しない非粘着域を設けているために、粘着性プラスチックフィルムの粘着領域を正確に、且つ容易に薄切面へ貼付することができ、且つ切片の移動などの操作時に非粘着領域を掴むことにより染色、脱水、封入などの作業を効率よく実施することが可能となる。 しかも本発明の粘着性プラスチックフィルムを用いて作製した薄切片は、本発明の粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、多くの生命科学の研究(例えば、組織学的研究、組織化学的研究、酵素組織化学的研究、免疫組織化学的研究、遺伝子組織化学的研究)の染色に使用することができ、且つ薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、アルコールによる脱水処理とキシレンによる透徹処理を行った後、薄切片をパラフィン包埋試料から作製した薄切片を封入する時に用いる永久標本作製用封入剤を用いて、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、確実に封入保存することができるために、特別な熟練がなくても、損壊がなく、且つ形状の保たれた薄切片を、効率よく永久標本とすることが可能となる。 更に、本発明の粘着性プラスチックフィルムにおいて、極めて薄いプラスチックフィルム(例えば、厚さ2〜3μm)上に、極めて薄い(例えば、厚さ1〜3μm)粘着層を形成した粘着性プラスチックフィルムを粘着支持材として用いて作製した薄切片は、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、レーザマイクロダイセクション装置のレーザ光により粘着性プラスチックフィルムと薄切片を容易に切断することができるため、従来の方法で凍結薄切片の作製が困難であった損壊しやすい試料や硬組織試料からも、光学顕微鏡と上記装置のレーザ光を使って正確に微小領域から試料を採取することができる。 以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら順に説明する。 i)透明な粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤)に、作製した粘着性プラスチックフィルムの粘着層の厚みが使用目的に適した厚み(1〜10μm)になるように溶媒を加えて濃度調整をし、次いで触媒あるいは硬化剤を加えて攪拌する。使用する粘着剤の種類は、本発明で最も重要で、作製した粘着性プラスチックフィルムが、凍結薄切装置の使用温度(例えば、−10度〜−35度)で薄切片を粘着支持できる粘着力を有し、薄切片の染色で使用する染色液で染色されず、脱水・封入等の操作で使用する有機溶媒(例えば、アルコールやキシレン)に浸漬しても溶解せず、且つ膨大の少ない特徴を備えた粘着剤でなくてはならない。ii)粘着剤の攪拌後、直ちに粘着剤を、薄切片の染色・脱水・封入等の操作で使用する有機溶媒(例えば、アルコールやキシレン)に浸漬しても変性のない、薄くて引張強度に優れた透明な第1のプラスチックフィルム2(例えば、厚さ2〜15μmのポリエステルフィルム)上の全面に塗布する。iii)第1のプラスチックフィルム2上に塗布した液状粘着剤の乾燥後、図1に符号4で示す粘着面の幅が、図7に示す包埋ブロック10の薄切方向の長さ11と、ほぼ同等の長さになるように、第2の着色プラスチックフィルム3を粘着面に密着し、非粘着域6を作る。第2の着色プラスチックフィルム3の幅は、作製した粘着性プラスチックフィルムを使用する時に掴むために使用し、幅は任意に設定できる(例えば、幅5mm〜30mm程度)。この操作で作製される帯状の粘着領域4の数は、第二の着色プラスチックフィルム3の数により自由に設定することができる。第二の着色プラスチックフィルム3の両端には、次の操作で密着する剥離紙7から粘着処理済みプラスチックフィルムが浮き上がるのを防止するために粘着領域5を作る。iv)次いで、図2に示すように剥離紙7を、図1に示す粘着処理済みプラスチックフィルムの全表面に密着する。v)シート状の粘着処理済みプラスチックフィルムを使用する場合、粘着面の大きさが図7に示す包埋ブロック10の薄切面の大きさとほぼ同等になるように、図3に示す切断線8にそって切断し、図4及び、その断面図である図5に示す形状の凍結薄切片支持用粘着性プラスチックフィルムを作製する。vi)使用直前に、図6に示すように、剥離紙7を取り除いて、図7に示すように包埋ブロック10の薄切面に粘着性プラスチックフィルムの粘着領域4を正確に密着する。 以上説明したように、本発明によると、包埋した生物試料の薄切片を作製する場合に、薄切片を粘着支持するために用いる粘着力を有するプラスチックフィルムにおいて、有機溶媒に溶解しない薄くて透明なプラスチックフィルム(例えば、厚さ2μm〜12μm)上に、有機溶媒に浸漬しても溶解せず、且つ膨大の少ない透明な粘着剤で薄い粘着層(例えば、厚さ1μm〜10μm)を形成し、粘着性を有する領域と粘着性の無い領域を設け、粘着性の無い領域で挟まれた粘着性を有する領域の長さが、薄切試料の薄切する長さとほぼ等しく、粘着性プラスチックフィルムの幅が、薄切試料の幅とほぼ等しくした粘着性プラスチックフィルムが得られる。 また本発明によると、薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、染色処理(例えば、組織学的染色、免疫組織化学的染色等)、アルコール等による脱水処理、キシレン等による透徹処理等を行った後、薄切片が粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた状態で、パラフィン包埋試料から作製した薄切片を封入する時に使用する永久標本作製用封入剤を塗布したガラス板あるいはプラスチック板(テープ状でもよい)と粘着性プラスチックフィルムの間に薄切片を永久標本として封入保存し、その標本を光学顕微鏡により詳細に観察することが可能な粘着性プラスチックフィルム(またはシート)が得られる。 さらに本発明は、無色透明な粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤)に硬化剤あるいは触媒を加えて撹拌した粘着剤を、撹拌後直ちに、染色液で染色されず、且つ薄切片の染色・脱水・封入等で使用する有機溶媒に浸漬しても光学顕微鏡観察に支障のないほど変性の少ない薄くて透明なプラスチックフィルム(例えば、厚さ2〜15μm程度のPETフィルム)の片面の全面に薄く塗布し、次いで乾燥することにより粘着性プラスチックフィルム上に薄い粘着層(例えば、1〜10μm)を形成し、次いで帯状の薄い着色プラスチックフィルム(例えば、幅が8〜30mm程度、厚さ10〜50μm程度)を所定の間隔で、且つ着色プラスチックフィルムの両側に粘着領域が残るように、着色プラスチックフィルムを密着して粘着性の無い領域を形成し、その後、剥離紙を全面に密着して粘着面を保護し、使用時に薄切試料の大きさに切断して使用することができる粘着性プラスチックフィルム(あるいは粘着シート)が得られる。 さらにまた本発明は、凍結薄切装置の使用温度(例えば、−10度〜−35度)で薄切片を粘着支持できる粘着力を有し、薄切片の染色で使用する染色液で染色されず、薄切片の染色・脱水・封入などの操作で使用する溶媒(例えば、水、アルコール、キシレン等)に浸漬しても溶解せず、且つ膨大の少ない薄くて透明な粘着性プラスチックフィルムあるいは粘着シートを提供することにより、粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた状態の薄切片を永久標本として封入保存することが可能となる。 さらにまた本発明は、上述した粘着性プラスチックフィルムにおいて、極めて薄いプラスチックフィルム(例えば、厚さ2〜3μm程度)上に、極めて薄い粘着層(例えば、厚さ1〜3μm程度)を形成し、レーザ光(例えば、マイクロダイセクション装置のレーザ光)により容易に切断できる粘着性プラスチックフィルムが得られる。 本発明の実施の形態による粘着処理したプラスチックフィルムの平面図である。 図1のI−I線に沿う断面図である。 図1の粘着処理したプラスチックフィルムの切断個所を示す平面図である。 図3に示す切断線に沿って切断され、作製された粘着性プラスチックフィルムの平面図である。 図4のII−II線に沿う断面図である。 粘着性プラスチックフィルムから剥離紙を取り除いた状態を示す断面図である。 粘着性プラスチックフィルムを包埋ブロックの薄切面に貼り付けた状態を示す斜視図である。 符号の説明 1…粘着剤、2…第1のプラスチックフィルム、3…第2のプラスチックフィルム、4…粘着領域、5…粘着域、6…非粘着域、7…剥離紙、8…切断線、9…粘着性プラスチックフィルム、10…包埋ブロック、11…包埋ブロックの縦(薄切方向)の長さ、12…包埋ブロックの横の長さ 包埋した生物試料の薄切片を作製する場合に、薄切片を粘着支持するために用いる粘着力を有するプラスチックフィルムにおいて、 有機溶媒に溶解しない薄くて透明なプラスチックフィルム上に、有機溶媒に浸漬しても溶解せず、且つ膨大の少ない透明な粘着剤で薄い粘着層を形成し、粘着性を有する領域と粘着性の無い領域を設け、粘着性の無い領域で挟まれた粘着性を有する領域の長さが、薄切試料の薄切する長さとほぼ等しく、粘着性プラスチックフィルムの幅が、薄切試料の幅とほぼ等しくしたことを特徴とする粘着性プラスチックフィルム。 薄切片を粘着性プラスチックフィルムに貼り付けた状態で、染色処理、脱水処理、透徹処理等を行った後、薄切片が粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた状態で、パラフィン包埋試料から作製した薄切片を封入する時に使用する永久標本作製用封入剤を塗布したガラス板あるいはプラスチック板と粘着性プラスチックフィルムの間に薄切片を永久標本として封入保存し、封入保存した標本を光学顕微鏡により詳細に観察することを可能にすることを特徴とする粘着性プラスチックフィルム。 請求項1又は請求項2記載の粘着性プラスチックフィルムにおいて、 無色透明な粘着剤に硬化剤あるいは触媒を加えて撹拌した粘着剤を、撹拌後直ちに、染色液で染色されず、且つ薄切片の染色・脱水・封入等で使用する有機溶媒に浸漬しても光学顕微鏡観察に支障のないほど変性の少ない薄くて透明なプラスチックフィルムの片面の全面に薄く塗布し、次いで乾燥することにより粘着性プラスチックフィルム上に薄い粘着層を形成し、次いで帯状の薄い着色プラスチックフィルムを所定の間隔で、且つ着色プラスチックフィルムの両側に粘着領域が残るように、着色プラスチックフィルムを密着して粘着性の無い領域を形成し、その後、剥離紙を全面に密着して粘着面を保護し、使用時に薄切試料の大きさに切断して使用するようにしたことを特徴とする粘着性プラスチックフィルムあるいは粘着シート。 請求項1記載の粘着性プラスチックフィルムにおいて、 凍結薄切装置の使用温度で薄切片を粘着支持できる粘着力を有し、薄切片の染色で使用する染色液で染色されず、薄切片の染色・脱水・封入などの操作で使用する溶媒に浸漬しても溶解せず、且つ膨大の少ない薄くて透明であることを特徴とする粘着性プラスチックフィルムあるいは粘着シート。 請求項1記載の粘着性プラスチックフィルムにおいて、 前記プラスチックフィルム上に、極めて薄い粘着層を形成し、レーザ光により容易に切断できるようにしたことを特徴とする粘着性プラスチックフィルム。 【課題】 凍結薄切片の作製時に薄切片を粘着支持,染色でき、且つ永久標本として封入保存することを可能にする粘着性プラスチックフィルムを提供する。【解決手段】 凍結薄切装置の使用温度(−10〜−35度)で薄切片を粘着支持できる粘着力を有し、染色液で染色されず、染色・脱水・封入等の操作で使用する有機溶媒(例えば、アルコールやキシレン)に浸漬しても溶解せず、膨大が少なく、且つ透明な粘着剤(例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤)の薄い粘着層(厚さ1μm〜10μm)を、染色・脱水・封入などの操作で使用する有機溶媒に浸漬しても変性のない、薄くて透明なプラスチックフィルム(例えば、厚さ2μm〜15μmのポリエステルフィルム)の片面の全面に形成し、更に作業を効率良く行うために帯状の薄い着色プラスチックフィルムを所定の間隔で密着させて、粘着性の無い領域を形成させた粘着性プラスチックフィルムを作製する。【選択図】 図2