生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンの回収方法
出願番号:2005189665
年次:2007
IPC分類:C07D 233/34


特許情報キャッシュ

吉冨 英武 水田 秀樹 JP 2007008841 公開特許公報(A) 20070118 2005189665 20050629 1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンの回収方法 三井化学株式会社 000005887 吉冨 英武 水田 秀樹 C07D 233/34 20060101AFI20061215BHJP JPC07D233/34 3 OL 9 本発明は1, 3−ジアルキル−2-イミダゾリジノンを蒸留熱エネルギーが小さく、高い回収率で回収する方法に関する。 1, 3−ジアルキル−2-イミダゾリジノンは極性の高い非プロトン性溶媒であり、一般的な非プロトン性極性溶媒と比べて、酸、アルカリに対して極めて安定的であり、且つ各種の無機、有機化合物に対して強い溶解力をもつことから、医薬、農薬、染料、顔料等の合成溶媒、ポリ塩化ビフェニル類の分解溶媒、電子部品、モールド等の洗浄剤、高分子化合物の重合溶媒等として極めて有用な物質である。 例えば、1, 3−ジメチル−2-イミダゾリジノン(以下、DMIと略記する。)は、水と親和性が高い性質を利用した合成反応や有機化合物などの精製溶媒および抽出溶剤などに使用される。使用されたDMIは、通常、DMI、水、無機塩類、無機塩基類、無機酸類および有機溶剤などの有機化合物を含む混合物(以下、混合物と略記する。)となり、この混合物からDMIを回収して再使用することが必要な場合がある。 このような混合物に含まれるDMIの回収は、一般的には蒸留が用いられる。しかしながら、水とDMIは分離し難いため、含水量が極めて少ないDMIを回収するには高段数の蒸留塔が必要となるため、設備費が嵩む。また、蒸留釜には混合物に含まれる無機塩類、無機塩基類、無機酸類などの蒸留残渣が固着するため蒸留の際の熱効率が低下することなどの問題があった。さらにまた、蒸留により回収したDMI中に含有している水分を、モレキュラシーブまたはシリカゲルなどの脱水剤で脱水する方法も用いられるが、使用した脱水剤は再生処理する必要があるため、再生処理用の設備が必要である。また使用済みの脱水剤の廃棄は産業廃棄物の増大につながるなどの問題がある。 本発明者らはこれらの問題を解決するため、DMIと水との混合水溶液に水と共沸組成を作る溶媒を添加して脱水処理した後に蒸留精製する方法(特許文献1)、DMIと水および無機塩の混合物に水と共沸組成を作る溶媒を添加して脱水処理した後に濾過で無機塩を除き蒸留精製を行なう方法(特許文献2)、DMIを含む塩化カルシウム水溶液からハロゲン化炭化水素を混合して抽出する方法(特許文献3)、DMIと水を含む混合物に苛性アルカリを添加して水と有機相に分離する方法(特許文献4)などを見出し先に出願した。特開平7−70079号公報特開平7−70080号公報特開平3−38571号公報特開平11−152272号公報 しかしながら、前記の特許文献1の方法は含水量が少ないDMIが高回収率で得られるが、添加する共沸溶媒の使用量はDMI100重量部に対して30〜300重量部と多く使用する必要があり、回収するDMIに対して大型の蒸留釜が必要なため容積効率が悪いため蒸留のための熱エネルギー使用量が大きいなどの問題がある。前記の特許文献2の方法は蒸留釜への無機物固着がなく熱効率の低下を回避できるが、濾過工程が入ることにより操作が煩雑となること、濾過前の脱水処理釜に無機物が固着し脱水処理時の熱効率が低下するなどの問題がある。前記の特許文献3の方法は蒸留釜への無機物固着による熱効率の低下を回避できるが、抽出溶剤の使用量はDMIを含む水溶液100重量部に対し10〜200重量部と多く使用しても抽出時の回収率が低いことなどの問題があった。前記の特許文献4の方法は、蒸留釜の容積効率が向上し、蒸留のための熱エネルギーの使用量が削減され、且つ蒸留釜への無機物の固着が回避できるが、DMIの回収率が低いという問題があった。 したがって、本発明は、1, 3−ジアルキル−2-イミダゾリジノンと水を含む溶液から1, 3−ジアルキル−2-イミダゾリジノンを効率よく、かつ高い回収率で回収する方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記の課題を解決する為に鋭意検討した結果、一般式(1)で表される化合物と水を含む溶液に、水と易溶性の無機化合物を溶解させて水と一般式(1)で表される化合物を含む有機相とに分離し、得られた有機相に含まれる水分を水と共沸組成を形成する溶剤を用いて除去した後、一般式(1)で表される化合物を蒸留により回収する方法を採用することにより、蒸留に要する熱エネルギーが削減できること、無機物の蒸留釜への固着による熱効率の低下を回避できること、高い回収率で回収できること、水と共沸組成を形成する溶剤の使用量を低減できることなど、前述した問題を解決できることが判明した。 更に、混合物から水相と一般式(1)で表される化合物を含む有機相を分離する際に抽出溶剤を用いることで、抽出溶剤の使用量を低減しても一般式(1)で表される化合物の有機相への回収率が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち本発明は、一般式(1) (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される化合物および水を含有する溶液から一般式(1)で表される化合物を回収するにあたり、該溶液に水に易溶性の無機化合物を溶解させ、水相と分離した有機相を回収し、該有機相中の水分を水と共沸組成を形成する溶剤とともに除去した後、一般式(1)で表される化合物を蒸留により回収する、一般式(1)で表される化合物の回収方法に関するものである。 本発明によれば、一般式(1)で表される化合物と水を含む溶液から、一般式(1)で表される化合物を効率よく、かつ高い回収率で回収する方法を提供することができる。 一般式(1)中のRは炭素数1〜4のアルキル基を示す。 一般式(1)で表される化合物としては、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジブチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。 一般式(1)で表される化合物および水を含む溶液は特に制限されないが、例えば、一般式(1)で表される化合物、水および無機塩類からなる溶液、およびこの溶液に無機塩基類、無機酸類、水に易溶性のアルコール類等の有機溶剤のような一般式(1)で表される化合物以外の有機化合物が溶解している溶液などが挙げられる。このような溶液としては、例えば、DMIと水およびメタノールからなる溶液(特開昭62−25167号公報を参照。)、DMI、水、水酸化カリウムおよび未反応のα―アミノアントラキノンを含む溶液(特開昭60−1169号公報を参照。)等が挙げられる。 前記の一般式(1)で表される化合物と水を含む溶液に水と易溶性の無機化合物を溶解させ、水相と分離する一般式(1)で表される化合物を含む有機相を回収する。 水に易溶性の無機化合物に特に制限はないが、水と易溶性の無機化合物としては、例えば、無機塩、無機塩基または無機酸が挙げられる。 無機塩としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、硫酸カリウム、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムなどが挙げられる。無機塩基類としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムなどが挙げられる。 無機酸類としては、硫酸、塩酸および燐酸などが挙げられる。これらの水に易溶性の無機化合物は単独で用いることもできるが二種以上を併用することもできる。これらの水に易溶性の無機化合物は、必要に応じて回収して再利用することもできる。 水に易溶性の無機化合物は、固体、懸濁液または水溶液のいずれかの形態で用いられる。 水に易溶性の無機化合物の使用量は、使用する一般式(1)で表される化合物および水を含む溶液に含まれる他の化合物の種類またはその混合割合等により異なるため一概に決めることはできないが、予め一般式(1)で表される化合物および水を含む溶液の一部を用いて、水相に残存する一般式(1)で表される化合物が所望の量となるような量を求めるなどの方法で決定することができる。通常、水に易溶性の無機化合物の使用量は一般式(1)で表される化合物および水を含む溶液中の水100重量部に対し、5〜300重量部である。使用する無機化合物がこの範囲内であると一般式(1)で表される化合物の回収率および有機相中の水分を除去する効率の点で好ましい。 一般式(1)で表される化合物と水を含む溶液に水に易溶性の無機化合物を溶解させる際の温度は、該溶液に水に易溶性の無機化合物が溶解する温度範囲であれば特に限定されない。通常、その温度は室温が選ばれる。 一般式(1)で表される化合物と水を含む溶液に水に易溶性の無機化合物を溶解させる際の圧力は特に限定されない。通常、その圧力は大気圧下である。 水相と一般式(1)で表される化合物を含む有機相とを分離する際の温度は、水相と一般式(1)で表される化合物を含む有機相が分離し、かつ一般式(1)で表される化合物の沸点以下であれば何ら制限されない。通常、その温度は室温である。 水相と一般式(1)で表される化合物を含む有機相と分離する際の圧力は、何ら制限されない。通常、その圧力は大気圧下である。 水相と一般式(1)で表される化合物を含む有機相との分離は、回分式、連続式のいずれでもよく、装置の型式も特に制限はない。例えば、攪拌槽型による回分式の処理方法や管型による連続式などが挙げられる。 水相と分離される一般式(1)で表される化合物を含む有機相に含まれる水分を、水と共沸組成を形成する溶剤を用いて除去する。 水と共沸組成を形成する溶剤としては、一般式(1)で表される化合物と蒸留により分離可能なものであれば何ら制限されない。その中で水の共沸質量分率が0.05以上で、且つ工業的に汎用の溶剤を選択して使用することは、経済的見地上好ましい。この様な溶剤を例示するとすれば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、酸エステル類、アルコール類、エーテル類、ケトン類およびアミン類などが挙げられる。 炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、およびヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素が挙げられる。 ハロゲン化炭化水素類としては、例えば、塩化メチル、メチレンジクロライドなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素、およびクロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン化炭化水素が挙げられる。 酸エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタクリル酸メチルなどが挙げられる。 アルコール類としては、例えば、ヘキサノール、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。 エーテル類としては、例えば、アニソール、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテルなどが挙げられる。 ケトン類としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。 アミン類としては、例えば、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、トリメチルアミンなどが挙げられる。 これらの水と共沸組成を形成する溶剤は単独で用いることもできるが二種以上を併用することもできる。これらの水と共沸組成を形成する溶剤は回収して再利用することもできる。 有機相中に含まれる水分を除去するのに用いられる水と共沸組成を形成する溶剤の量は、通常、一般式(1)で表される化合物100重量部に対して5〜30重量部であれば十分である。 水と共沸組成を形成する溶剤を用いて有機相中の水分を除去する際に用いられる蒸留塔の段数は、通常、2〜5段、好ましくは2〜3段である。蒸留塔の段数が5段以上であっても蒸留効果は変わらない。 水と共沸組成を形成する溶剤を用いて有機相中の水分を除去する方法としては、公知の方法、例えば、分離回収した有機相に前記の水と共沸組成を形成する溶剤を添加して蒸留し、まず水を溶剤とともに系外に留出させ、留出した液を冷却凝縮して水と溶剤に分離して水を除去し、分離した溶剤は蒸留塔の塔頂部より系内へ戻して循環利用する方法が挙げられる。 水と共沸組成を形成する溶剤を用いて有機相中の水分を除去した後、水と共沸組成を形成する溶剤等を蒸留により除去し、続いて蒸留により一般式(1)で表される化合物を回収することができる。 一般式(1)で表される化合物および水を含有する溶液に水に易溶性の無機化合物を溶解させて水相と一般式(1)で表される化合物を含む有機相を分離する際に、一般式(1)で表される化合物を抽出溶剤中に回収することもできる。 抽出溶剤は、水相より一般式(1)で表される化合物を抽出可能な溶剤、水と混和しない溶剤、蒸留により一般式(1)で表される化合物と分離可能な溶剤であれば何ら制限されない。その中で工業的に汎用の溶剤を選択して使用することは、経済的見地上好ましい。この様な抽出溶剤を例示するとすれば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、酸エステル類、アルコール類、ケトン類およびアミン類が挙げられる。 炭化水素類としては芳香族炭化水素化合物であるベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼンなど、ハロゲン化炭化水素類としては塩化メチル、メチレンジクロライド、クロロフォルム、クロルベンゼンなど、酸エステル類としては酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、炭酸ジエチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチルなど、アルコール類としては炭素数5以上で回収する一般式(1)で表される化合物と蒸留分離可能な沸点差を有するヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコールなど、エーテル類としては炭素数2以上で回収する一般式(1)で表される化合物と蒸留分離可能な沸点差を有するアニソール、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルイソアミルエーテルなど、ケトン類としてはアルキル基の炭素数が2以上で回収する一般式(1)で表される化合物と蒸留分離可能な沸点差を有するメチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトンなど、アミン類としては炭素数4以上で回収する一般式(1)で表される化合物と蒸留分離可能な沸点差を有するジイソブチルアミン、トリエチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミンなどが挙げられる。 抽出溶剤として前述した水と共沸組成を形成し得る溶剤を用いることは、前記の一般式(1)で表される化合物を含む有機相中の水分の除去に用いることができる点で好ましい。 抽出溶剤を用いることにより水相と分離する際の一般式(1)で表される化合物の回収率を向上させることができる。 抽出溶剤の使用量は、通常、一般式(1)で表される化合物と水を含む水溶液100重量部に対して5〜10重量部である。 一般式(1)で表される化合物を抽出溶剤中に回収する際の温度は、抽出溶剤が一般式(1)で表される化合物を抽出する能力を発揮できれば特に制限はない。その温度は、通常、室温である。 一般式(1)で表される化合物を抽出溶剤中に回収する際の圧力に特に制限はない。その圧力は、通常、大気圧下である。 前記の水と分離する一般式(1)で表される化合物を含む有機相の回収に使用する抽出溶剤として水と共沸組成を形成する溶剤を使用した場合、抽出に使用した水と共沸組成を形成する溶剤の使用量がこれを含む有機相中の水分を除去するに十分な量であれば、水と共沸組成を形成する溶剤を新たに添加しなくても良い。 以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なおDMIの分析はガスクロマトグラフィー(以下、「GC」と略記する。)に依った。 GC分析の条件は次のとおりである。 カラム:Thermon1000+KOH(10+3%)、3mm×2m キャリアーガス:窒素ガス カラム温度:200℃ DMI159.7g(67.5重量%)と水71.6g(30.3重量%)、水酸化ナトリウム5.3g(2.2重量%)を含む水溶液236.6gに室温で95%水酸化ナトリウム水溶液175.3gを加え、攪拌した後に30分静置した。静置したマスを分液ロートで有機相と水相に分離し、DMI157.4g(90.7重量%)、水16.2g(9.3重量%)含む有機相を173.6g得た。この有機相にトルエン15.7g(DMI100重量部に対し10重量部)を蒸留釜に仕込み、2段の蒸留塔で水とトルエンを共沸させ、留出した液を還流管で分離してトルエン相は蒸留釜に戻し、水を系外に抜き出して脱水処理を行なった。蒸留塔の塔頂温度がトルエンの沸点となったところで脱水処理を完了し、続けて減圧度13.33kPaでトルエンを留去した後に減圧度を4.0kPaに変えて蒸留精製を行い、含水量100ppmのDMIを151.4g(回収率=94.8%)を得た。蒸留の初留カット分および釜残ロス分を次バッチにて回収すると回収率は99%まで改善される。 実施例1と同一組成の水溶液236.6gに塩化ナトリウム18.9gとメチレンクロライド15.9g(DMI100重量部に対して10重量部)を添加し、攪拌した後に30分静置した。分液ロートで有機相と水相に分離し、DMI159.0g(89.6重量%)、水2.5g(1.4重量%)を含む有機相177.4gを得た。この有機相を蒸留釜に仕込み、2段の蒸留塔で水とメチレンクロライドを共沸させ、留出した液を還流管で分離してメチレンクロライド相は蒸留釜に戻し、水を系外に抜き出して脱水処理を行なった。蒸留塔の塔頂温度がメチレンクロライドの沸点となったところで脱水処理を完了し、続けて減圧度26.7kPaでメチレンクロライドを留去した後に減圧度を4.0kPaに変えて蒸留精製を行い、含水量90ppmのDMIを151.1g(回収率=94.6%)を得た。蒸留の初留カット分および釜残ロス分を次バッチにて回収すると回収率は99%まで改善される。 実施例1と同一組成の水溶液236.6gに98%硫酸を182.6gとキシレン24.0g(DMI100重量部に対して15重量部)を添加し、攪拌した後に30分静置した。 分液ロートで有機相と水相に分離し、DMI158.3g(84.9重量%)、水4.3g(2.3重量%)を含む有機相186.5gを得た。この有機相を蒸留釜に仕込み、5段の蒸留塔で水とキシレンを共沸させ、留出した液を還流管で分離してキシレン相は蒸留釜に戻し、水を系外に抜き出して脱水処理を行なった。蒸留塔の塔頂温度がキシレンの沸点となったところで脱水処理を完了し、続けて減圧度26.7kPaでキシレンを留去した後に減圧度を4.0kPaに変えて蒸留精製を行い、含水量90ppmのDMIを150.2g(回収率=93.9%)を得た。蒸留の初留カット分および釜残ロス分を次バッチにて回収すると回収率は99%まで改善される。 [比較例1] 実施例1と同一組成の水溶液236.6gを蒸留釜に仕込み、10段の蒸留塔を用いて減圧度4.0kPaで蒸留精製を行なった。初留として水をカットし、更に中留として水を2.4重量%含んだDMIを7.9gカットした後に、含水量400ppmのDMIを128.9g(回収率=80.7%)を得た。蒸留の初留カット分および釜残ロス分を次バッチにて回収しても回収率は85.5%までしか改善されない。また初留として水をカットした後は蒸留釜の器壁に無機塩が固着していた。 [比較例2] 実施例1と同一組成の水溶液236.6gとトルエン63.9g(DMI100重量部に対して40重量部)をフラスコに仕込み、2段の蒸留塔で水とトルエンを共沸させ、留出した液を還流管で分離してトルエン相は蒸留釜に戻し、水を系外に抜き出して脱水処理を行なった。蒸留塔の塔頂温度がトルエンの沸点となったところで脱水処理を完了し、冷却した後に濾過を行い、析出した無機物を取り除いたが、大半はフラスコに固着していた。濾過で分離した無機塩に付着したDMIをトルエン31.0g(DMIに対して19重量部)で洗浄して有機相を得た。得られた有機相を蒸留釜に仕込み、減圧度13.33kPaでトルエンを留去した後に減圧度を4.0kPaに変えて蒸留精製を行い、含水量100ppmのDMIを150.1g(回収率=94.0%)を得た。蒸留の初留カット分および釜残ロス分を次バッチにて回収すると回収率は99%まで改善される。 [比較例3] 実施例1と同一組成の水溶液236.6gとメチレンクロライド 71.0g(水溶液100重量部に対し30重量部)をフラスコに仕込み、室温で10分間激しく攪拌した後に、30分間静置して分液を行い、有機相と水相に分液した。得られた有機相を蒸留釜に仕込み、2段の蒸留塔で減圧度26.7KPaでメチレンクロライドを留去した後に減圧度を4.0kPaに変えて蒸留精製を行い、含水量400ppmのDMIを121.4g(回収率=76.0%)を得た。蒸留の初留カット分および釜残ロス分を次バッチにて回収しても回収率は80%までしか改善されない。 [比較例4] 実施例1と同一組成の水溶液236.6gに85%の水酸化カリウム111.3g添加し、攪拌した後に30分静置した。静置したマスを分液ロートで有機相と水相に分離し、DMI 157.1g(83.0重量%)、水32.1g(17.0重量%)含む有機相を189.2g得た。得られた有機相を蒸留釜に仕込み、5段の蒸留塔を用いて減圧度4.0kPaで蒸留精製を行なった。初留として水をカットした後に、含水量500ppmのDMIを142.1g(回収率=89.0%)を得た。 本発明の回収方法は、一般式(1)で表される化合物と水を含む混合物から、一般式(1)で表される化合物を効率的、かつ高い回収率で回収するのに有用である。また、本発明の回収方法は、蒸留設備のコストおよび蒸留に要するエネルギーが削減でき、使用する水と共沸組成を形成する溶剤等の使用量を低減することができる。一般式(1)(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される化合物および水を含有する溶液から一般式(1)で表される化合物を回収するにあたり、該溶液に水に易溶性の無機化合物を溶解させ、水相と分離した有機相を回収し、該有機相中の水分を水と共沸組成を形成する溶剤とともに除去した後、一般式(1)で表される化合物を蒸留により回収する、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンの回収方法。水に易溶性の無機化合物が無機塩、無機塩基または無機酸類である、請求項1記載の回収方法。一般式(1)で表される化合物および水を含有する溶液に水に易溶性の無機化合物を溶解させて水相と分離した有機相の回収に抽出溶剤を使用する、請求項1記載の回収方法。 【課題】 1, 3−ジアルキル−2-イミダゾリジノンと水を含む溶液から1, 3−ジアルキル−2-イミダゾリジノンを効率的、かつ高い回収率で回収する方法を提供することを目的とする。【解決手段】(1)一般式(1)(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される化合物および水を含有する溶液から一般式(1)で表される化合物を回収するにあたり、該溶液に水に易溶性の無機化合物を溶解させ、水相と分離した有機相を回収し、該有機相中の水分を水と共沸組成を形成する溶剤とともに除去した後、一般式(1)で表される化合物を蒸留により回収する、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンの回収方法。【選択図】なし


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