生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_αグルコシダーゼ阻害剤
出願番号:2005161274
年次:2006
IPC分類:A61K 36/73,A61P 3/10,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

浅野 年紀 石部 真純 倉地 道雄 JP 2006016388 公開特許公報(A) 20060119 2005161274 20050601 αグルコシダーゼ阻害剤 大正製薬株式会社 000002819 佐鳥 宗一 100115406 浅野 年紀 石部 真純 倉地 道雄 JP 2004162755 20040601 A61K 36/73 20060101AFI20051216BHJP A61P 3/10 20060101ALI20051216BHJP A61P 43/00 20060101ALI20051216BHJP JPA61K35/78 HA61P3/10A61P43/00 111 6 OL 13 4C088 4C088AB51 4C088AC02 4C088CA08 4C088NA14 4C088ZC20 4C088ZC35 本発明は、長期間服用しても安全で有効なαグルコシダーゼ阻害剤に関する。 近年、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣がその発症・進行に影響を及ぼすとされている生活習慣病が注目されている。先進諸国においては、食習慣、運動習慣との関連が大きいとされる肥満、インスリン非依存型糖尿病(II型糖尿病)、高脂血症、高血圧などの増加が国民の健康維持に支障をきたし、生活の質(QOL)の低下を招くばかりでなく、国民医療費の急激な増加を引き起こすなど、大きな社会問題となってきている。 αグルコシダーゼは、消化管での二糖質の分解を触媒する酵素であり、その働きを阻害すると、糖質の分解が抑制または遅延され、糖質の吸収を抑制することができる。したがって、αグルコシダーゼ阻害剤は食後の過血糖を顕著に抑制することから、糖尿病の予防あるいは改善に有効である。 現在、糖尿病の治療を目的にアカルボース、ボグリボースなどのαグルコシダーゼ阻害剤が糖尿病用剤として使用されている。しかし、これらの薬剤は腸内ガスの増加など、深刻ではないが患者にとっては不快な症状が報告されており、より良い薬剤が求められていた。 従来、天然物由来のαグルコシダーゼ阻害剤としては、マオウの水、極性溶媒あるいはそれらの混合溶媒より抽出して得られるαグルコシダーゼ阻害剤(特許文献1)、オールスパイス、チョウジの抽出物を有効成分とするαグルコシダーゼ阻害剤(特許文献2)、甜茶、シマバライチゴ、ワレモコウ、ゴショイチゴ、トックリイチゴ、ローザヘンリュイボウルから得たエラジタンニンを有効成分とする糖質分解消化酵素阻害剤(特許文献3)、ラフマ、ケイヒ、ユーカリ、ビワ(果実部分を除く)の抽出物を含有するαグルコシダーゼ阻害剤(特許文献4)などが知られている。 生薬のセンカクソウ(仙鶴草)は竜牙草とも称され、その基原植物にはバラ科のキンミズヒキ(Agrimonia pilosa )の全草があてられている(非特許文献1)。また、センカクソウの薬材としては上記以外にその亜種であるA. pilosa var. pilosa、A. pilosa var. nepalensis、A. pilosa var.viscidula、A. pilosa var. davurica、A. pilosa var. nipponicaなども用いられるが、同属植物のセイヨウキンミズヒキ(A.eupatria)はセンカクソウとしては用いられていない(非特許文献2)。センカクソウの薬理作用としては抗菌作用や抗腫瘍作用が知られており、漢方あるいは中医学においては止血作用を期待し、処方薬に配合して用いられている(非特許文献1)。しかし、センカクソウにはαグルコシダーゼ阻害作用およびこれに基づく、糖尿病の予防または改善に対する作用は知られていない。 また、センカクソウの抽出物を配合したアルドースレダクターゼ阻害剤(特許文献5)が知られているが、アルドースレダクターゼ阻害作用は糖尿病の予防または治療とは無関係である。 日本国公開特許平9−2963号公報日本国公開特許2001−181194号公報日本国公開特許平9−176019号公報日本国公開特許2001−163795号公報日本国公開特許2003−81849号公報難波恒夫著、「和漢薬百科図鑑」、保育社、[II]平成6年2月28日全改訂新版、p.62-64上海科学技術出版社 小学館 編、「中薬大辞典 第三巻」、小学館、昭和60年12月10日、p.1488 本発明の目的は、長期間継続的に服用しても安全かつ効果的なαグルコシダーゼ阻害剤を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ある種の生薬が優れたαグルコシダーゼ阻害活性を有すること、および、糖負荷(スクロース負荷)または糖尿病時の血糖上昇を抑制することから、医薬品または食品として有用なことを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、(1)センカクソウを含有することを特徴とするαグルコシダーゼ阻害剤。(2)センカクソウを含有することを特徴とする食後過血糖の予防又は改善剤。(3)センカクソウを含有することを特徴とする血糖低下剤。(4)センカクソウを含有することを特徴とする糖尿病の予防又は改善剤。(5)センカクソウがキンミズヒキ(Agrimonia pilosa)である(1)〜(4)のいずれかに記載の剤。(6)センカクソウが、センカクソウを15−70%のエタノールを用いて抽出したエキスである(1)〜(5)のいずれかに記載の剤。である。 本発明に用いるセンカクソウは、バラ科のキンミズヒキ(A. pilosa)およびその亜種を基原とするものであり、生薬末の他、水、極性溶媒、非極性溶媒それらの混合溶媒などで抽出したエキス、乾燥エキス、流エキスなどの形態で用いることができるが、製剤化、投与の容易さ、効力の点からエキスの形態が好ましい。 エキスを製造する場合に抽出に用いる溶媒の種類としては、15−70%のエタノールが好ましく、さらに好ましくは20−50%のエタノールであり、最も好ましくは25−35%のエタノールである。 抽出は原料の状態、使用する溶媒の種類などによりその条件が異なるが、通常常圧または加圧下で加温または加熱して行われる。 一般的に生薬はその由来により効力が異なる場合が多く、本発明のセンカクソウについては、キンミズヒキ(A.pilosa)またはその亜種の全草(地上部)を乾燥したものを用いることができるが、好ましくはキンミズヒキ(A.pilosa)の全草(地上部)である。 本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤の投与量は、年齢、性別などを考慮して適宜増減できるが、通常成人で1日、原生薬換算量として100mg〜50gの範囲で用いることができ、好ましくは、500mg〜30gである。また、センカクソウは、一般中華食材として用いられる他、若芽および葉を茹でて和え物などとして、さらには、お茶としても利用するなど、長期間に渡り食用に供されてきたことから、その安全性に問題がないことが確認されている。そのため、連続投与や連続摂取も可能である。 本発明は、発明の効果を損なわない質的および量的範囲で、ビタミン、キサンチン誘導体、アミノ酸、賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを配合して、常法により、液剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ドライシロップ剤、チュアブル錠、経粘膜剤などの経口または非経口製剤とすることができる。 本発明により、糖質の過剰摂取による血糖値の上昇を予防または改善でき、さらには、糖尿病などの生活習慣病を予防あるいは改善できる安全性の高い薬剤あるいは食品の提供が可能になった。 以下に製造例、実施例及び試験例をあげ、本発明をさらに具体的に説明する。製造例1 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の50%エタノールを加え、沸騰状態で30分間加熱抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例2 センカクソウ(日本:四国産)を用い、実施例1と同様の方法により、エキスを得た。製造例3 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の30%エタノールを加え、約60℃で1時間加温抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例4 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の水を加え、約60℃1時間加温抽出し、濾過後減圧下で濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例5 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の5%エタノールを加え、約60℃で1時間加温抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例6 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の10%エタノールを加え、約60℃で1時間加温抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例7 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の15%エタノールを加え、約60℃で1時間加温抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例8 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の20%エタノールを加え、約60℃で1時間加温抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例9 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の25%エタノールを加え、約60℃で1時間加温抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例10 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の30%エタノールを加え、約60℃で1時間加温抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例11 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の水を加え、沸騰状態で30分間加熱抽出し、濾過後減圧下で濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例12 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の5%エタノールを加え、沸騰状態で30分間抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例13 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の10%エタノールを加え、沸騰状態で30分間加熱抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例14 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の15%エタノールを加え、沸騰状態で30分間加熱抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例15 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の20%エタノールを加え、沸騰状態で30分間加熱抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例16 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の25%エタノールを加え、沸騰状態で30分間加熱抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例17 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の30%エタノールを加え、沸騰状態で30分間加熱抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例18 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の30%エタノールを加え、約25℃で16時間加温抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例19 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の50%エタノールを加え、約25℃で16時間加温抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例20 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の70%エタノールを加え、沸騰状態で30分間加熱抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。製造例21 センカクソウ(中国:浙江省産)を細切後、10倍量の95%エタノールを加え、沸騰状態で30分間加熱抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことにより、エキスを得た。試験例1(αグルコシダーゼ阻害作用の測定) 製造例1および2で得たセンカクソウエキス(1.0% DMSOで溶解)25μL、リン酸緩衝液(0.25M、pH6.5)125μL、基質溶液50μL(1.4 mM p-nitrophenyl-α-D-glucopyranoside)、酵素溶液(Bacillus stearothermophilus由来α-Glucosidase 1.0 U/mL)50μLを添加し、37℃で30分間反応させた後、波長405 nmにおける吸光度の変化を基に抑制率を測定した。なお、各生薬エキスは最終濃度として12.5、25、50および100μg/mLの各濃度になるように添加した。 結果を表1および図1に示した。 表1および図1から明らかなように、センカクソウの50%エタノール抽出エキスは、優れたαグルコシダーゼ阻害作用を示すことが明らかになった。試験例2(スクロース投与後の血糖上昇抑制作用の測定) 製造例1で得たセンカクソウエキスのスクロース投与後の血糖上昇に及ぼす影響を検討した。 SD系雄性ラット(6週齢、日本チャールスリバー)に生薬エキスを600mg/kg(乾燥エキス換算)の用量で経口投与し、5分後にスクロース溶液を2g/kgの用量で経口投与した。また、正常群(スクロース非投与)および対照群には水を経口投与した。 20分後、エーテル麻酔下で後大静脈より採血し、遠心分離法(3000rpm、20℃)により、血清を分離した。血清中のグルコース濃度はグルコースCIIテストワコー(商品名:和光純薬)を用いて定量した。 結果を表2および図2に示した。 表2および図2から明らかなように、センカクソウはスクロース投与20分後の血糖値の上昇を有意に抑制することが明らかになった。これらのことから、センカクソウは糖の吸収を抑制し、食後過血糖、糖尿病に対して予防あるいは改善作用を有することが明らかになった。試験例3(スクロース投与後の血糖上昇抑制作用の測定) 製造例1で得たセンカクソウエキスのスクロース投与後の血糖上昇に及ぼす影響を検討した。 SD系雄性ラット(6週齢、日本チャールスリバー)に生薬エキスを600mg/kg(乾燥エキス換算)の用量で経口投与し、5分後にスクロース溶液を2g/kgの用量で経口投与した。また、正常群(スクロース非投与)および対照群には水を経口投与した。 20,60,90および120分後、エーテル麻酔下でキャピラリーを用いて、眼窩静脈叢より採血し、遠心分離法(12000rpm、20℃)により、血漿を分離した。血漿中のグルコース濃度はグルコースCIIテストワコー(商品名:和光純薬)を用いて定量した。 結果を表3および図3に示した。なお、表中の数値は血漿グルコース濃度(mg/dL)の平均値と標準誤差を示す。 表3および図3から明らかなように、ラットにスクロースを投与すると、対照群の血糖値は急激に上昇し、20分後に最大となった。その後、血糖値は徐々に低下し、90分後、120分後ではほぼ一定の値を示した。センカクソウはこのスクロース投与による血糖値の上昇をスクロース投与20および60分後において、有意に抑制することが明らかになった。これらのことから、センカクソウは糖の吸収を抑制し、食後過血糖に対して改善作用を有することが明らかになった。すなわち、糖尿病の予防または改善に有効であることが示された。試験例4(グルコース投与後の血糖上昇抑制作用の測定) 製造例1で得たセンカクソウエキスのグルコース投与後の血糖上昇に及ぼす影響を検討した。 SD系雄性ラット(6週齢、日本チャールスリバー)に生薬エキスを600mg/kg(乾燥エキス換算)の用量で経口投与し、5分後にグルコース溶液を2g/kgの用量で経口投与した。また、正常群(グルコース非投与)および対照群には水を経口投与した。 20,60,90および120分後、エーテル麻酔下でキャピラリーを用いて,眼窩静脈叢より採血し、遠心分離法(12000rpm、20℃)により、血漿を分離した。血漿中のグルコース濃度はグルコースCIIテストワコー(商品名:和光純薬)を用いて定量した。 結果を表4および図4に示した。なお、表中の数値は血漿グルコース濃度(mg/dL)の平均値と標準誤差を示す。 表4および図4から明らかなように、ラットにグルコースを投与すると、対照群の血糖値は急激に上昇し、20から120分後までの間持続した。センカクソウはこのグルコース投与による血糖値に対しては影響を及ぼさなかった。試験例1から試験例4の結果はセンカクソウの糖吸収抑制作用が二糖類の分解酵素であるα−グルコシダーゼ阻害作用により発現することを示している。試験例5(αグルコシダーゼ阻害作用の測定) 製造例1、3、18および19で得たセンカクソウエキス(1.0% DMSOで溶解)25μL、リン酸緩衝液(0.25M、pH6.5)125μL、基質溶液50μL(1.4 mM p-nitrophenyl-α-D-glucopyranoside)、酵素溶液(Bacillus stearothermophilus由来α-Glucosidase 1.0 U/mL)50μLを添加し、37℃で30分間反応させた後、波長405nmにおける吸光度の変化を基に抑制率を測定した。なお、各生薬エキスは最終濃度として12.5、25、50および100μg/mLの各濃度になるように添加した。 結果は表5および図5に示した。 表5および図5から明らかなように、センカクソウの30%および50%エタノール抽出エキスは沸騰抽出および25℃抽出すべての抽出条件において、αグルコシダーゼ阻害作用を示すことが明らかになった。試験例6(スクロース投与後の血糖上昇抑制作用の測定) 製造例1および3で得たセンカクソウエキスのスクロース投与後の血糖上昇に及ぼす影響を検討した。 SD系雄性ラット(6週齢、日本チャールスリバー)に生薬エキスを600mg/kg(乾燥エキス換算)の用量で経口投与し、5分後にスクロース溶液を2g/kgの用量で経口投与した。また、正常群(スクロース非投与)および対照群には水を経口投与した。 20分後、エーテル麻酔下で後大静脈より採血し、遠心分離法(3000rpm、20℃)により、血清を分離した。血清中のグルコース濃度はグルコースCIIテストワコー(商品名:和光純薬)を用いて定量した。 結果を表6および図6に示した。 図6および表6から明らかなように、センカクソウは30%エタノール、60℃1時間抽出した場合と50%エタノール沸騰30分抽出した場合で、スクロース投与による血糖値の上昇を抑制する作用に差が認められず、対照に比較して、共に有意な抑制作用を示すことが明らかになった。試験例7(αグルコシダーゼ阻害作用の測定) 製造例3〜17で得たセンカクソウエキス(1.0% DMSOで溶解)25μL、リン酸緩衝液(0.25M、pH6.5)125μL、基質溶液50μL(1.4 mM p-nitrophenyl-α-D-glucopyranoside)、酵素溶液(Bacillus stearothermophilus由来α-Glucosidase 1.0 U/mL)50μLを添加し、37℃で30分間反応させた後、波長405 nmにおける吸光度の変化を基に抑制率を測定した。なお、各生薬エキスは最終濃度として6.25、12.5、25、50および100μg/mLの各濃度になるように添加した。 結果は表7および図7−1、7−2に示した。 表7および図7−1、7−2から明らかなように、センカクソウの15%−30%エタノール抽出エキスはその他の濃度のエタノール抽出エキスと比べより高い活性が得られることが明らかになった。試験例8(αグルコシダーゼ阻害作用の測定) 製造例1、3、20および21で得たセンカクソウエキス(1.0% DMSOで溶解)25μL、リン酸緩衝液(0.25M、pH6.5)125μL、基質溶液50μL(1.4 mM p-nitrophenyl-α-D-glucopyranoside)、酵素溶液(Bacillus stearothermophilus由来α-Glucosidase 1.0 U/mL)50μLを添加し、37℃で30分間反応させた後、波長405nmにおける吸光度の変化を基に抑制率を測定した。なお、各生薬エキスは最終濃度として12.5、25、50および100μg/mLの各濃度になるように添加した。 結果は表8および図8に示した。 表8および図8から明らかなように、センカクソウの30%−70%エタノール抽出エキスは同等の活性を示し、70%以上のエタノール抽出エキスでは活性が低下することが明らかになった。試験例7の結果と総合的に勘案すると、15%−70%エタノールで抽出されたエキスの活性が高く、各エキスの作用強度は、ほぼ同等であることが明らかになった。特に20%−50%のエキスの活性が最も高いことが明らかになった。 紅茶茶葉約2.3gに約90℃のお湯200mlを注ぎ、3分間静置、ろ過して紅茶を得た。紅茶100mLに対し、製造例10のセンカクソウエキスを約260mg(乾燥物としては約130mg)配合し、さらに、アスコルビン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを添加して液剤形態のαグルコシダーゼ阻害剤を得た。液剤のpHは約6.3であった。 抹茶入り煎茶茶葉約2.5gに約75℃のお湯200mlを注ぎ、3分間静置、ろ過して緑茶を得た。緑茶100mLに対し、製造例10のセンカクソウエキスを約260mg(乾燥物としては約130mg)配合し、さらに、アスコルビン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを添加して液剤形態のαグルコシダーゼ阻害剤を得た。液剤のpHは約6.4であった。 ほうじ茶茶葉約2.5gに約90℃のお湯200mlを注ぎ、3分間静置、ろ過してほうじ茶を得た。ほうじ茶100mLに対し、製造例10のセンカクソウエキスを約260mg(乾燥物としては約130mg)配合し、さらに、アスコルビン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを添加して液剤形態のαグルコシダーゼ阻害剤を得た。液剤のpHは約6.6であった。 市販の烏龍茶100mLに対し、製造例10のセンカクソウエキスを約260mg(乾燥物としては約130mg)配合して液剤形態のαグルコシダーゼ阻害剤を得た。液剤のpHは約5.9であった。 水100mLに対し、製造例10のセンカクソウエキスを約260mg(乾燥物としては約130mg)配合して液剤形態のαグルコシダーゼ阻害剤を得た。液剤のpHは約5.2であった。 本発明により優れた効果があり、継続して服用しても安全性が高いαグルコシダーゼ阻害剤の提供が可能になったことから、食後過血糖、糖尿病などの生活習慣病を予防または改善する医薬品または食品、血糖値が気になる人、血糖値が高めの人向けの保健機能食品(特定保健用食品)などに使用可能である。センカクソウのαグルコシダーゼ活性を示すグラフであり、縦軸に抑制率(%)、横軸に濃度(μg/mL)を示した。スクロース負荷による血糖値上昇に及ぼす影響を示すグラフであり、縦軸に血漿グルコース濃度(mg/dL)横軸に試料を示した。スクロース負荷による血糖値の経時的変化を示すグラフであり、縦軸に血漿グルコース濃度(mg/dL)、横軸に時間(分)を示した。グルコース負荷による血糖値の経時的変化に及ぼす影響を示すグラフであり、縦軸に血漿グルコース濃度(mg/dL)、横軸に時間(分)を示した。抽出条件の異なるセンカクソウエキスのスクロース負荷による血糖値上昇に及ぼす影響を示すグラフであり、縦軸に抑制率(%)、横軸に濃度(μg/mL)を示した。抽出条件の異なるセンカクソウエキスのαグルコシダーゼ活性に及ぼす影響を示すグラフであり、縦軸に血糖値(mg/dL)、横軸に試料を示した。抽出条件の異なるセンカクソウエキスのαグルコシダーゼ活性に及ぼす影響を示すグラフであり、縦軸に抑制率(%)、横軸に濃度(μg/mL)を示した。抽出条件の異なるセンカクソウエキスのαグルコシダーゼ活性に及ぼす影響を示すグラフであり、縦軸に抑制率(%)、横軸に濃度(μg/mL)を示した。抽出条件の異なるセンカクソウエキスのαグルコシダーゼ活性に及ぼす影響を示すグラフであり、縦軸に抑制率(%)、横軸に濃度(μg/mL)を示した。 センカクソウを含有することを特徴とするαグルコシダーゼ阻害剤。 センカクソウを含有することを特徴とする食後過血糖の予防又は改善剤。 センカクソウを含有することを特徴とする血糖低下剤。 センカクソウを含有することを特徴とする糖尿病の予防又は改善剤。 センカクソウがキンミズヒキ(Agrimonia pilosa)である請求項1〜4のいずれかに記載の剤。 センカクソウが、センカクソウを15−70%のエタノールを用いて抽出したエキスである請求項1〜5のいずれかに記載の剤。 【課題】 αグルコシダーゼは、消化管での二糖質の分解を触媒する酵素であり、その働きを阻害すると、糖質の分解が抑制または遅延され、糖質の吸収を抑制することができる。したがって、αグルコシダーゼ阻害剤は食後の過血糖を顕著に抑制することから、糖尿病の予防あるいは改善に有効である。 現在、糖尿病の治療を目的にアカルボース、ボグリボースなどのαグルコシダーゼ阻害剤が糖尿病用剤として使用されている。これらの薬剤は、腸内ガスの増加など、深刻ではないが患者にとっては不快な症状が報告されており、より良い薬剤が求められていた。本発明の目的は、長期間継続的に服用しても安全かつ効果的なαグルコシダーゼ阻害剤を提供することにある。【解決手段】 センカクソウを含有することを特徴とするαグルコシダーゼ阻害剤。【選択図】 なし


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