タイトル: | 公開特許公報(A)_W/O/W型エマルション組成物 |
出願番号: | 2005130348 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 8/06,A61K 8/30,A61K 8/72 |
前田 真理子 後藤 昌史 JP 2006282649 公開特許公報(A) 20061019 2005130348 20050331 W/O/W型エマルション組成物 サンスター株式会社 000106324 前田 真理子 後藤 昌史 A61K 8/06 20060101AFI20060922BHJP A61K 8/30 20060101ALI20060922BHJP A61K 8/72 20060101ALI20060922BHJP JPA61K7/00 NA61K7/00 CA61K7/00 J 5 書面 8 4C083 4C083AC351 4C083AC352 4C083AC391 4C083AC421 4C083AC422 4C083AC442 4C083CC01 4C083DD34 4C083EE01 4C083FF01 本発明は、長期間の乳化安定性及び内水相成分の漏洩防止に優れたW/O/W型エマルション組成物に関する。 W/O/W型エマルション組成物は、水性成分中に油中水型エマルションを含む複合エマルション組成物である。このエマルション組成物は、W/O/W型エマルションの内水相中に様々な有用成分を内包させることにより、徐放性や酸化防止などの効果をもつ機能性エマルション組成物として利用が可能であり、医薬、化粧品、食品などの分野で有用である。 しかし、W/O/W型エマルションの乳化安定性は極めて低いため、乳化安定性を改善することが課題であり、例えば、ポリマーを用いて安定化する方法(特開平11−33391号公報)が提案されている。しかしながら、この方法では、外水相をポリマーで固めるため、応用できる製剤が限定される。また、特定の乳化剤を用いて安定化する方法(特開昭60−183031号公報、特開昭60−199833号公報、特開2001−25360号公報)も提案されているが、特定の乳化剤を使用しても流動パラフィンや植物油脂などのオイル成分を使用した場合には、経時での十分な安定性は得られず、さらに乳化安定性が求められているのが現状である。 最近では、内水相に有用成分を配合したW/O/W型エマルションを長期間保存すると、外観上安定に見えても、内水相成分が漏洩するという問題が注目されており、乳化安定性と、内水相成分の漏洩防止性を有するW/O/W型エマルションの開発が求められ、特開2003−275573号公報には、モノヒドロキシカルボン酸自己縮合物の多価アルコールエステル及び陰イオン性界面活性剤を含有させることで、低粘度でありながら経時安定性の良好なW/O/W型エマルション組成物が開示されているが、オイル組成は限定されておらず、一般的な炭化水素油やミリスチン酸イソプロセルのような直鎖脂肪酸エステルを使用した場合には、内水相成分の漏洩を防ぐことはできない。 特開平11−33391号公報 特開昭60−183031号公報 特開昭60−199833号公報 特開2001−25360号公報 特開2003−275573号公報 本発明は、長期間の乳化安定性及び内水相成分の漏洩防止に優れたW/O/W型エマルション組成物の提供を目的とする。 本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、オイル成分として特定の分岐または不飽和脂肪酸エステルと、親油性乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含有するW/O/W型エマルション組成物が、長期間の乳化安定性及び内水相成分の漏洩防止に優れることを見出し、本発明を完成させた。 即ち、本発明は、下記のエマルション組成物を提供するものである。項1 25℃で液体の分岐または不飽和脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含有するW/O/W型エマルション組成物。項2 分岐または不飽和脂肪酸エステルが、イソノナン酸エステル、2−エチルヘキサン酸エステル、イソステアリン酸エステル、トリイソステアリン酸エステル、テトライソステアリン酸エステルおよびオレイン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種以上である請求項1に記載のW/O/W型エマルション組成物。項3 分岐または不飽和脂肪酸エステルが、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、オレイン酸デシル、オレイン酸イソプロピルおよびオレイン酸エチルからなる群から選択される少なくとも1種以上である請求項1、2の何れか1項に記載のW/O/W型エマルション組成物。項4 ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルがテトラグリセリン縮合レシノレイン酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである請求項1〜3のいずれか1個に記載のW/O/W型エマルション組成物。項5 分岐または不飽和脂肪酸エステルが、イソステアリン酸イソステアリルである請求項1〜4の何れか1項に記載のW/O/W型エマルション組成物。 本発明によれば、経日安定性に優れたW/O/W型エマルション組成物が提供でき、そのエマルション組成物は、医薬品、医薬部外品、化粧品などの分野で利用できる。 以下、本発明を説明する。 本発明の組成物に用いる分岐または不飽和脂肪酸エステルは、25℃で液体であれば特に限定されるものではないが、脂肪酸部分の炭素数6〜22、好ましくは8〜20である分岐または不飽和脂肪酸エステルが好ましく、不飽和脂肪酸エステルの脂肪酸部分の不飽和結合は通常1〜3個、好ましくは1個である。これら分岐または不飽和脂肪酸エステルの脂肪酸の例として、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸であり、好ましくは、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、中でもイソステアリン酸が最も好ましい。 分岐または不飽和脂肪酸エステルの好ましい例を挙げると2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、オレイン酸デシル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸エチルなどであり、最も好ましくはイソステアリン酸イソステアリルである。これら脂肪酸エステルは1種または2種以上を用いることができ、その配合量は組成物全量に対して0.1〜50重量%、より好ましくは1〜30重量%であり、配合量が0.1重量%に満たないと、きれいなW/O/W型エマルションが得られず、50重量%を超えると組成物の使用感が悪くなる。 本発明に用いるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、特に限定されるものではないが、例えば、テトラグリセリン縮合レシノレイン酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、デカグリセリン縮合リシノレイン酸エステルなどが挙げられ、中でもテトラグリセリン縮合レシノレイン酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが好ましい。これらテトラグリセリン縮合レシノレイン酸エステルは、サンソフトNo.818DG(太陽化学株式会社)、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、サンソフトNo.818H(太陽化学株式会社)として商業的に入手できる。 本発明では、また、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有割合は特に制限されないが、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。 本発明の油相には、25℃で液体の分岐または不飽和脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの必須の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば流動パラフィンなどの炭化水素類、脂肪酸エステル類(パルミチン酸イソプロピル等);ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、カルボキシ変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油、アミノ変性シリコーン油、エポキシ変性シリコーン油、フッ素変性シリコーン油、アルコール変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、アンモニウム塩変性シリコーン油等などのシリコーン類;ジアルキルエーテル類などの油成分、ワックス類、油溶性薬効剤、香料、顔料、乳化剤など)を含んでいてもよい。また、本発明の内水相には、水以外に、グリセリン、1,2−ヘキサンジオールなどのポリオール、食塩などの電解質塩類、パラベン、フェノキシエタノールなどの防腐剤、塩酸ピリドキシン、ビタミンC、グリチルリチン酸ジカリウム、植物エキス、加水分解タンパク質などの水溶性薬効剤などが配合できる。 本発明の外水相には、水のほかに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンなどの非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノアルキルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル酢酸エステル塩、脂肪酸石鹸、ポリオキシエチレンアルキルモノエタノールアミド硫酸エステル塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸、アシル化ペプチド、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩などのアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン性界面活性剤、及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤のうち、非イオン性界面活性剤が好ましい。また、その他高分子増粘剤、保存剤、着色料などが配合できる。 本発明のW/O/W型エマルションは、公知の方法により製造することができる。例えば以下に示すように製造する。25℃で液体の分岐または不飽和脂肪酸エステルとポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとその他の油相成分を、必要に応じて50〜90℃の範囲内の温度に加温し、ホモジナイサー、高圧ホモジナイサー、超音波乳化機などで撹拝しながら内水相成分を混ぜ合わせることにより、一次W/Oエマルションを調製する。油相と内水相との重量比は、好ましくは80:20〜20:80、より好ましくは60:40〜40:60である。一次W/Oエマルションの調製後、これを、外水相とともに室温で攪拌してW/O/W型エマルションを調製する。一次W/Oエマルションと外水相の重量比は、好ましくは0.1:99.9〜70:30、より好ましくは1:99〜60:40、さらに好ましくは5:95〜50:50である。 このエマルションを、必要に応じて、たとえば水酸化アルカリ金属、有機酸、有機酸塩等の添加によって所望のpH値に調整してもよい。本発明のW/O/W型エマルション組成物は、医薬品、医薬部外品・化粧品などの分野である。より具体的には、ヘアトニック、スキャルプローション、ヘアミルク、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、シャンプー、ヘアクリーム、乳液、ファンデーション、マッサージクリーム、ハンドクリーム、スキンローション、ボディーローション、ボディークリーム、フェイスクリーム、美容液などとして使用することができる. 以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また、特に断らない限り〔%〕は〔重量%〕を示す。 表1、表2、表3及び表4に示した実施例及び比較例を製造し、評価した。各実施例、比較例の製造法を示す。まず、内水相成分を油相成分に混合し、高圧ホモジナイサーで乳化してW/O型エマルションを製造し、該エマルションを外水相成分に混合し、プロペラ撹絆機を用いて攪拌し、W/O/W型エマルションを製造した。 次に評価方法を示す。1)経日安定性(W/O/W型エマルション状態) 各実施例及び比較例を調製し、40℃で30日経過した後、夫々のW/O/W型エマルション粒子を顕微鏡にて観察評価した。評価基準を示す。評価基準 ◎:W/O/W型エマルションが良好な状態 ○:W/O/W型エマルションが一部崩壊 △:W/O/W型エマルションが半分以上崩壊 ×:W/O/W型エマルションがほとんど崩壊あるいは完全に油水分離 2)経日安定性(漏洩試験) 40℃に30日放置した各実施例、及び比較例を遠心分離(1000rpm、5分間)し、外水相を分取し、その色差(A)を色差計(Color Meter ZE2000(日本電色工業(株)製)により測定した。標準として食用黄色5号0.001重量%を外水相成分(全70重量%)溶解した溶液の色差(B)を用い、下記式により漏洩率を算出し、評価基準に基づいて評価した。 式1 式1 漏洩率(%)=100×A/B 評価基準◎:漏洩率が10%未満○:漏洩率が40%未満×:漏洩率が40%以上 3)総合評価経日安定性について、下記評価基準により総合評価した。評価基準を示す。◎:評価結果に×が無く、◎が3個以上○:評価結果に×が無く、◎が1または2個×:評価結果に×がある表1、表2、表3及び表4に結果を示す。 表1に示すように、イソステアリン酸イソステアリルにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを併用することにより、イソステアリン酸イソステアリルに他の油相成分を併用した場合と比較して、乳化状態が良好で内水相中の色素の漏洩が少ないことが示された。 表2〜表4に示すように、25℃で液体の分岐または不飽和脂肪酸エステルを使用することによって、他の脂肪酸エステル等を使用した場合と比較して、乳化状態が良好で内水相中の色素の漏洩が少ないことが示された。 25℃で液体の分岐または不飽和脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含有するW/O/W型エマルション組成物。 分岐または不飽和脂肪酸エステルが、イソノナン酸エステル、2−エチルヘキサン酸エステル、イソステアリン酸エステル、トリイソステアリン酸エステル、テトライソステアリン酸エステルおよびオレイン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種以上である請求項1に記載のW/O/W型エマルション組成物。 分岐または不飽和脂肪酸エステルが、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、オレイン酸デシル、オレイン酸イソプロピルおよびオレイン酸エチルからなる群から選択される少なくとも1種以上である請求項1、2の何れか1項に記載のW/O/W型エマルション組成物。 ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルがテトラグリセリン縮合レシノレイン酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである請求項1〜3のいずれか1個に記載のW/O/W型エマルション組成物。 分岐または不飽和脂肪酸エステルが、イソステアリン酸イソステアリルである請求項1〜4の何れか1項に記載のW/O/W型エマルション組成物。 【課題】 経時安定性に優れ、幅広い製品に応用出来るW/O/W型エマルション組成物を提供する。【解決手段】 2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、オレイン酸デシル、オレイン酸イソプロピルおよびオレイン酸エチルからなる群から選択される25℃で液体の分岐または不飽和脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含有するW/O/W型エマルション組成物。【選択図】 なし