タイトル: | 公開特許公報(A)_皮脂改善剤及び皮脂改善方法 |
出願番号: | 2005125910 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 8/00,A61Q 19/00,A61K 8/30 |
山村 由子 小口 希 JP 2006298870 公開特許公報(A) 20061102 2005125910 20050425 皮脂改善剤及び皮脂改善方法 株式会社資生堂 000001959 山村 由子 小口 希 A61K 8/00 20060101AFI20061006BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20061006BHJP A61K 8/30 20060101ALI20061006BHJP JPA61K7/48A61K7/00 C 4 OL 9 4C083 4C083AA112 4C083AA122 4C083AB031 4C083AB032 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC101 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC182 4C083AC352 4C083AC401 4C083AC402 4C083AC422 4C083AC442 4C083AC532 4C083AC902 4C083AD092 4C083AD332 4C083AD352 4C083AD532 4C083AD622 4C083AD642 4C083AD662 4C083BB11 4C083BB51 4C083CC02 4C083CC04 4C083CC05 4C083EE12本発明は、皮脂改善剤及び皮脂改善方法に関する。詳しくは、特定の高極性油と、水と、低級アルコールとを含有した皮脂改善剤である。また、これを皮脂に加えることによって、皮脂のてかりやべたつきを持続的の改善する皮脂改善方法に関する。これまで、皮脂によるてかりやべたつきを抑制する等の皮脂対策を目的とした化粧料は、大きく分けて、以下の3つの対策がなされてきた。1.脂吸着能のある粉末などの固形原料を配合することで、皮脂を吸着させる(例えば、特許文献1)。2.皮脂拭き取り用の化粧料を用い皮脂を拭き取る、もしくはティッシュなどで押さえて吸収させる(例えば、特許文献2)。3.皮脂抑制効果のあるシャクヤクなどの薬剤を用いて、皮脂分泌を抑制する。しかしながら、1の方法は、メイク前に肌に塗布して効果を発揮させることはできるが、メイク後にメイクを崩さずに塗布することが難しい。また、2の方法も、メイクを崩さずに行うことは難しく、また、一時的な効果は高いが、後から出てくる皮脂には効果がない。3の方法は、穏やかな作用であり、使用前後で明確な効果は見られない。特開平10−59817号公報特開平10−194914号公報本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、特定の高極性油と、水と、低級アルコールとを含有した皮脂改善剤であって、皮脂改善剤及び皮脂改善方法を提供することを技術的課題とする。本発明者等は、前記課題を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の高極性油と、水と、低級アルコールとを組み合わせて配合し、これを皮脂に加えることで、皮脂のてかりやべたつきを持続的の改善することができる皮脂改善剤及び皮脂改善方法を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。従来の皮脂対策の基本概念として、皮脂という油に対して、「皮脂が出るのを防ぐ」「皮脂を取り除く」ということが考えられてきたが、本発明による皮脂対策は、「皮脂にさらに油を加えて、皮脂を改善する」という全く新しい発想によるものである。一般的に、極性の高い油分は、肌上における使用感触が良好であることが経験的に知られており、これまでの皮膚化粧料においても、良好な使用感触を付与するために、極性の高い油分が乳液やクリームなどに使われているが、中でも特に、高極性油を水と混合して水系の基剤として用いる時に、高極性油の良好な使用感触が顕著に表れることがわかった。本発明においては、肌上に存在する皮脂を拭き取るのではなく、肌上に存在させたまま、皮脂に皮脂よりも極性の高い高極性油を加えることで皮脂の極性を高めて皮脂の物性を変え、てかりやべたつきを抑制する。すなわち、本発明は、(a)有機概念図におけるIOB値が0.4〜0.7である高極性油1.0〜60.0質量%と、(b)水と、(c)低級アルコール1.0〜50.0質量%とを含有する皮脂改善剤である。また、本発明は、前記(a)高極性油分が、下記一般式式(1)で示されるジネオペンタン酸アルキレンポリグリコールである、前記皮脂改善剤である。(式中、mは2〜4の整数、nは2〜3の整数を表わす。)また、本発明は、前記(a)高極性油分が、下記一般式(2)で表わされるジネオペンタン酸トリプロピレングリコールである前記皮脂改善剤である。また、本発明は、前記皮脂改善剤を用いて、皮脂の極性を高めることによる皮脂改善方法である。以下、本発明の構成について詳述する。本発明に用いる成分(a)高極性油は、皮脂よりも極性が高い油分であることが必要であり有機概念図におけるIOB値が0.4〜0.7である高極性油が用いられる。前記IOBが0.4未満の油分では、油っぽい感触があり好ましくない。有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細は"Pharmaceutical Bulletin", vol.2, 2, pp.163-173(1954)、「化学の領域」vol.11,10, pp.719-725(1957)、「フレグランスジャーナル」, vol.50, pp.79-82(1981)等で説明されている。すなわち、すべての有機化合物の根源をメタン(CH4)とし、他の化合物はすべてメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、変態部、環等にそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値、無機性値を求め、この値を有機性値をX軸、無機性値をY軸にとった図上にプロットしていくものである。この有機概念図は、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984)等にも示されている。 有機概念図におけるIOBとは、有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、すなわち「無機性値(IV)/有機性値(OV)」をいう。かかる(a)高極性油としては、例えば、下記一般式式(1)で示されるジネオペンタン酸アルキレンポリグリコール(式中、mは2〜4の整数、nは2〜3の整数を表わす。)、ベンゼン環を含有するメトキシケイ皮酸オクチル、含窒素系油分であるN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、等が挙げられる。中でも、さらっとした感触を付与できることから、ジネオペンタン酸アルキレンポリグリコールを用いることが好ましく、さらには、一般式式(1)において、m=3、n=3であるジネオペンタン酸トリプロピレングリコールであることが好ましい。前記成分(a)は、必要に応じて一種または二種以上を併用することができる。また、IOBが0.4未満の油分を混合して用いることもできるが、皮脂改善剤中の全ての油分を混合したもののIOB値が0.4〜0.7であることが必要である。本発明の皮脂改善剤において、前記成分(a)は、皮脂改善剤全量に対して1.0〜60.0質量%配合され、好ましくは1.0〜30.0質量%である。1.0質量%以下では、皮脂改善効果がほとんど感じられず、また、60.0質量%を超えて配合すると、油っぽくなり好ましくない。本発明に用いる成分(b)水は、通常、化粧料や医薬品に使用される水を用いることができる。本発明において、前記成分(b)は、全量に対して皮脂改善剤全量に対して40〜98.5質量%配合される。好ましくは70〜96質量%である。本発明に用いる成分(c)低級アルコールは、通常、化粧料や医薬品に使用される水を用いることができ、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、変性エタノール等があげられる。これらのうち特に好ましいのは、エタノールである。前記(c)成分は、必要に応じて一種または二種以上を併用することができる。本発明の皮脂改善剤において、前記成分(c)は、皮脂改善剤全量に対して1.0〜50.0質量%配合される。好ましくは3.0〜30.0質量%である。1.0質量%以下では、爽快感が感じられない上に皮脂改善効果が劣り、また、50.0質量%を超えて配合すると、肌への刺激が高まる傾向にあり好ましくない。本発明の皮脂改善剤おいて、前記(a)〜(c)成分以外に、薬剤や保湿剤、その他の非極性油分、活性剤、高分子、緩衝剤、防腐剤、その他安定化剤等を配合することができる。本発明の皮脂改善剤の剤型は、特に限定されないが、液状、乳液状、クリーム状等とすることができる。中でも、二層の液状であることが好ましい。また、本発明の皮脂改善剤は、ディスペンサーやエアゾール等の噴霧用容器に充填して用いたり、不織布やコットンに含浸させて用いることができる。本発明によれば、特定の高極性油と、水と、低級アルコールとを組み合わせて配合し、これを皮脂に加えることで、皮脂のてかりやべたつきを持続的の改善することができる皮脂改善剤及び皮脂改善方法が得られる。本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。なお、配合量の単位は質量%である。表1、2に示す各成分を混合して試料を調製し、後述の評価基準のよって、べたつきの低減感、てかりの低減感、べたつき・てかりの低減効果持続性、使用後のサラサラ感を評価した。結果を表1、2に示す。[評価基準]メークをした専門パネル(5名)に、27℃のオフィスで3時間の通常業務を行ってもらった。その後、二層状のサンプルを振って混合してから、コットンもしくは手で各試料を肌に塗布してもらい、(1)べたつきの低減感、(2)てかりの低減感、(3)べたつき・てかりの低減効果持続性、(4)使用後のサラサラ感について、官能で5段階評価させ、その平均値で評価した。<評価基準> 5:非常によい 4:よい 3:普通2:悪い 1:非常に悪い(評価) ◎: 評価値(平均値)4.0以上5.0以下 ○: 評価値(平均値)3.0以上4.0未満 △: 評価値(平均値)2.0以上3.0未満 ×: 評価値(平均値)1.0以上2.0未満表1に示すとおり、試験例1・2は、べたつきの低減やてかりの低減感は感じられたものの、持続効果や使用後のサラサラ感では効果がみられなかった。試験例3・4・5・6ではすべての項目において、顕著な改善効果がみられた。試験例7・8では試験例3・4・5・6ほどの改善効果はみられなかったが、全体的には好評な結果が得られた。試験例9・10のようにのように水の無い場合においては、どの項目においても改善効果がみられなかった。表2に示すとおり、試験例11・12は、べたつきの低減やてかりの低減感は感じられたものの、持続効果や使用後のサラサラ感では効果がみられなかった。試験例13・14・15・16ではすべての項目において、顕著な改善効果がみられた。試験例17・18では試験例13・14・15・16ほどの改善効果はみられなかったが、全体的には好評な結果が得られた。試験例19のように水の無い場合においては、どの項目においても改善効果がみられなかった。表3に示すとおり、試験例20では、べたつきの低減やてかりの低減感は感じられたものの、持続効果や使用後のサラサラ感では効果がみられなかった。試験例21では、試験例22・23ほどの改善効果はみられなかったが、全体的には好評な結果が得られた。22・23ではすべての項目において、顕著な改善効果がみられた。ただし、試験例23においては、使用中に低級アルコールによる刺激感が感じられたため、好ましくない。 次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。断りのない限り、配合量の単位は質量%である。配合例1 二層液状化粧料A.油相ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール 10.0スクワラン 1.0マカデミアナッツ油 0.01茶実油 0.01香料 0.05防腐剤 適量B.水相エタノール 10.0グリセリン 4.01,3ブチレングリコール 3.0ヒアルロン酸ナトリウム 1.0アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.1エデト酸三ナトリウム 0.05精製水 残 余(製法及び評価)Aの油相部とBの水相部をそれぞれ混合する。得られた二層液状化粧料は皮脂によるべたつきやてかりの低減などの改善効果が認められた。配合例2 クリームA.油相 ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール 10.0 重量% オクタン酸セチル 1.0 ステアリン酸ブチル 8.0 ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.0 ビタミンEアセテート 0.5 ビタミンAパルミテート 0.1 香料 0.01 防腐剤 適 量B.水相 エタノール 3.0グリセリン 4.0ジプロピレングリコール 3.0キサンタンガム 1.0 水酸化カリウム 2.0 グリチルリチン酸ジカリウム 0.05シャクヤクエキス 0.01オウバクエキス 0.01ヨモギエキス 0.01 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05 青色1号 0.0004 精製水 残 余(製法及び評価) Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し完全溶解する。A相をB相に加えて、乳化機で乳化する。乳化物を、熱交換機を用いて冷却してクリームを得た。得られたクリームは皮脂によるべたつきやてかりの低減などの改善効果が認められた。配合例3 クリームA.油相ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール 10.0セタノール 4.0イソプロピルミリステート 8.0ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.2POE(20)ソルビタンモノステアレート 2.8ビタミンEニコチネート 2.0香料 0.3酸化防止剤 適量防腐剤 適量B.水相エタノール 5.0グリセリン 10.0キシリトール 4.0ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1.0エデト酸二ナトリウム 0.01精製水 残余(製法及び評価)配合例1に準じてクリームを得た。得られたクリームは皮脂によるべたつきやてかりの低減などの改善効果が認められた。配合例4 乳液A.油相ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール 10.0スクワラン 0.5オレイルオレート 3.0ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20EO) 1.2月見草油 0.5香料 0.3防腐剤 適量B.水相エタノール 3.01,3ブチレングリコール 4.5カルボキシビニルポリマー 0.2水酸化カリウム 0.1エデト酸塩 0.05精製水 残余(製法及び評価)配合例1に準じて乳液を得た。得られた乳液は皮脂によるべたつきやてかりの低減などの改善効果が認められた。(a)有機概念図におけるIOB値が0.4〜0.7である高極性油1.0〜60.0質量%と、(b)水と、(c)低級アルコール1.0〜50.0質量%とを含有する皮脂改善剤。(a)高極性油分が、下記一般式(1)で示されるジネオペンタン酸アルキレンポリグリコールである、請求項1記載の皮脂改善剤。(式中、mは2〜4の整数、nは2〜3の整数を表わす。)(a)高極性油分が、下記一般式(2)で表わされるジネオペンタン酸トリプロピレングリコールである請求項1又は2項記載の皮脂改善剤。請求項1乃至3のいずれかの皮脂改善剤を用いて、皮脂の極性を高めることによる皮脂改善方法。 【課題】皮脂改善剤を提供する。【解決手段】 特定の高極性油と、水と、低級アルコールとを含有した皮脂改善剤及びこれを 用いた皮脂改善方法であって、(a)有機概念図におけるIOB値が0.4〜 0.7である高極性油1.0〜60.0質量%と、(b)水と、(c)低級ア ルコール1.0〜50.0質量%とを含有する皮脂改善剤。【選択図】なし