タイトル: | 公開特許公報(A)_遺伝子組み込み部位の解析方法 |
出願番号: | 2005108456 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12Q 1/68 |
白髪 正宏 上野 はるみ 小林 英二 佐川 裕章 加藤 郁之進 JP 2006280333 公開特許公報(A) 20061019 2005108456 20050405 遺伝子組み込み部位の解析方法 タカラバイオ株式会社 302019245 白髪 正宏 上野 はるみ 小林 英二 佐川 裕章 加藤 郁之進 C12N 15/09 20060101AFI20060922BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20060922BHJP JPC12N15/00 AC12Q1/68 A 9 OL 14 4B024 4B063 4B024AA20 4B024CA01 4B024HA14 4B063QA01 4B063QA18 4B063QQ42 4B063QR08 4B063QR32 4B063QR56 4B063QR62 4B063QS25 4B063QS34 4B063QX02 本発明はレトロウイルスベクターで遺伝子導入された細胞における、染色体上の遺伝子組み込み部位を解析する際に有用なオリゴヌクレオチドプライマーの配列に関する。 遺伝子治療は、細胞のもつ「遺伝情報の誤り」に起因する遺伝病やがんなどの難病について、正しい遺伝子情報の付加によってその細胞の機能を修正したり、細胞が本来持っていなかった新しい「保護遺伝子」を付加したりして病気の治療または予防をしようとする治療法である。 遺伝子治療に使用される細胞への遺伝子導入法としては、ウイルスベクターを用いる方法、裸のDNAをエンドサイトーシスや電気穿孔法、遺伝子銃によって導入する方法、リポソームのような遺伝子導入剤を使用する方法等が知られている。 ウイルスベクターは遺伝子治療の分野で基礎から臨床まで幅広く利用されている技術であり、例えばアデノウイルスベクターは標的細胞で目的遺伝子を一過性に大量発現させるのに適している。一方、レトロウイルスベクターは宿主染色体に目的の遺伝子を安定に組み込む機能を有しているために、長期にわたり安定して遺伝子発現させることが可能であり、遺伝病の遺伝子治療への利用、トランスジェニック動物作製の分野に期待されているベクターである。しかし、レトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入方法では、目的遺伝子が宿主染色体上にランダムに組み込まれることから、組み込まれる部位によっては細胞ががん化するなどの可能性が指摘されている。そのため、このレトロウイルスベクターにより遺伝子が組み込まれている宿主染色体上の部位を解析すること、また被験細胞集団におけるクローン種(モノクローン、オリゴクローン、ポリクローン)の判定を感度良くモニタリングすることが重要となってくる。 一般的にウイルス、トランスポゾンやトランスジーンなどの染色体DNA中への挿入、組み込み部位の解析方法としては、インバースPCR(inverse PCR)法(非特許文献1)やLM PCR法(非特許文献2)、Linear amplification mediated PCR(LAM PCR法)(特許文献1、非特許文献3)がある。国際公開第00/24929号パンフレットジャーナル オブ ヴィロロジー(J. Virol.)、第63巻、第1924〜1928頁(1989)サイエンス(Science)、第246巻、第780〜786頁(1989)ブラッド(Blood)、第100巻、第2737〜2743頁(2002) 前記の方法は、PCR法あるいはプライマーエクステンション法とPCR法に基づいた遺伝子組み込み部位の解析方法である。現在使用されているレトロウイルスベクターはその塩基配列にいくつかのバリエーションがある。MMLVベクター、PCMVベクターのLTR領域の塩基配列を配列表の配列番号6、7にそれぞれ示すが、これらはそのサイズ(それぞれ約340bp、約260bp)においても相違している。このため、宿主染色体上のどの部位に遺伝子が組み込まれているのかを解析するためには、遺伝子導入に用いたそれぞれのレトロウイルスベクター特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを設計する必要がある。また、オリゴヌクレオチドプライマーを設計する場合には、被験細胞集団におけるクローン種の判定、細胞集団中の特定の細胞の存在割合を高感度に、高い再現性をもってモニタリングできるように配列を選択する必要がある。 本発明の目的は、種類の異なるレトロウイルスベクターで遺伝子導入された細胞においても、前記ベクターの染色体上の遺伝子組み込み部位を解析することが可能なオリゴヌクレオチドプライマーの配列を提供することにある。 本発明者らは、MMLV、PCMVあるいはこれらに類似した配列の3’−LTR領域の塩基配列を有するレトロウイルスベクターを対象として、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、これらレトロウイルスベクターで遺伝子導入された細胞において、染色体上の遺伝子組み込み部位の解析を行う際に有用なオリゴヌクレオチドプライマー配列を見出し、本発明を完成させた。 上記プライマーを用いてLAM PCR法を行った場合には、より多くの組み込み部位由来のDNA断片を増幅させ、また、その集団に含まれる特定の増幅断片を感度よく検出できる。つまり、被験細胞集団におけるクローン種(モノクローン、オリゴクローン、ポリクローン)の判定、細胞集団中の特定の細胞の存在割合を高感度に、高い再現性をもってモニタリングすることが可能となる。また、例えば、これらのオリゴヌクレオチドプライマーについては、インバースPCR法やLM PCR法にも有効に利用できる。 本発明の第1の発明は、配列番号1に示される塩基配列中の連続する12塩基以上の配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドに関する。 第1の発明のオリゴヌクレオチドとして、配列番号2または3に示される塩基配列を有することを特徴とするオリゴヌクレオチドが例示される。また、本発明のオリゴヌクレオチドは標識が付加されたものであってもよい。 本発明の第2の発明はレトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAにおける、前記ベクターに隣接する染色体由来のDNA領域を解析する方法に関し、第1の発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてレトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAに相補的なDNAを合成する工程を包含することを特徴とする。 第2の発明の方法としては、下記工程を包含する方法が例示される。(1)第1の発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてレトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAを鋳型としたプライマー伸長反応を行う工程、(2)工程(1)で得られたプライマー伸長物を回収し、当該伸長物に相補的なDNAを合成して二本鎖DNAを得る工程、(3)工程(2)で得られた二本鎖DNAの末端に二本鎖オリゴヌクレオチドを付加する工程、および(4)工程(3)で得られたオリゴヌクレオチド付加二本鎖DNAを鋳型とし、レトロウイルスベクターのLTRの塩基配列に相補的な配列を有するプライマーと前記二本鎖オリゴヌクレオチドの塩基配列に相補的な配列を有するプライマーとを使用する核酸増幅反応を実施する工程。 本発明の第3の発明はレトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAにおける、前記ベクターに隣接する染色体由来のDNA塩基配列を決定するためのキットであって、下記の要素を包含することを特徴とする。(a)第1の発明のオリゴヌクレオチド、および(b)DNAポリメラーゼ。 第3の発明のキットとしては、さらに、DNAポリメラーゼによる反応を実施するための緩衝液を含有するものが例示される。 本発明の第4の発明は配列番号4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドに関する。 本発明の第5の発明は配列番号5に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドに関する。 本発明によれば、従来のLAM PCR法では避けられなかった、使用されるレトロウイルスベクターごとのプライマー設計や条件設定が不要となる。特に、本発明のオリゴヌクレオチドを含有するキットを使用することにより、染色体上のレトロウイルスベクター組み込み部位の解析を簡便に、かつ高い再現性をもって実施することができる。1.本発明のオリゴヌクレオチド 本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、レトロウイルスベクターのLTR領域の塩基配列に相補的な配列を有し、前記領域を含む核酸を鋳型とした相補鎖合成反応においてプライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチドである。配列表の配列番号1には複数のレトロウイルスベクター、例えばMMLVベクターやPCMVベクターに共通して存在する塩基配列が記載されており、本発明のプライマーは該領域に相補的となるよう設計されたオリゴヌクレオチドであれば、その塩基配列、鎖長には特に限定はない。なお、プライマー伸長反応、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においてプライマーとしての機能を発揮する観点からは前記領域の連続する12塩基以上の配列に相補的な塩基配列を有するプライマーが本発明に使用することができ、例えば、連続する12〜40塩基の配列、好ましくは連続する13〜35塩基の配列、さらに好ましくは連続する15〜30塩基の配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが使用できる。 本明細書に言う「相補的」とは、本発明のオリゴヌクレオチドが鋳型となるべき核酸にアニーリング可能であることを指す。従って、配列番号1の塩基配列と完全に相補的ではないが、プライマー伸長反応の際のアニーリング工程の条件、例えば100mM トリス塩酸緩衝液、pH9.2、28mM 硫酸アンモニウム、20mM 塩化カリウム、5.0mM 塩化マグネシウム、0.02%(w/v) BSA、10%(v/v) DMSO、0.5M ベタイン(トリメチルグリシン)の組成の溶液中、58℃において配列番号1の塩基配列を有する核酸にアニーリング可能なオリゴヌクレオチドであれば、前記配列に完全に相補的な配列を有するものでなくても本発明のオリゴヌクレオチドに包含される。 本発明の特に好適な態様のひとつとして、特に本発明を限定するものではないが、配列番号2または3の塩基配列を有するプライマーが例示される。 なお、本発明のオリゴヌクレオチドは前記領域に相補的な塩基配列を有するものであれば、該配列に加えて前記領域とは無関係な塩基配列を、例えば当該プライマーの5’末端に付加されていてもよい。前記領域とは無関係な塩基配列としては、例えば制限酵素の認識配列や当該プライマーならびに該プライマーより伸長された伸長産物の回収に使用する塩基配列等が例示される。 さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、必要に応じて適当な修飾を施して使用することが可能である。ビオチンやジゴキシゲニンのようなリガンドや蛍光物質などを付したオリゴヌクレオチドは、伸長反応や増幅反応後の産物の検出を容易にするのみならず、前記産物の回収を可能とする。下記実施例に記載のように、ビオチン標識された本発明のオリゴヌクレオチドはレトロウイルスによる染色体上の遺伝子組み込み部位の解析に特に有用である。 また、本発明はMMLVベクターに類似した配列の3’−LTR領域の塩基配列を有するレトロウイルスベクターについて、該ベクターによる遺伝子組込み部位の解析に有用なオリゴヌクレオチドを提供する。例えば、MMLVベクターに類似したベクターとして、配列番号8に示す塩基配列の3’−LTRを有するレトロウイルスベクターが存在する。当該ベクターに対しては、配列番号4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを遺伝子組み込み部位の解析のために使用することができる。 上記のオリゴヌクレオチドは、レトロウイルスによる遺伝子組込み部位の解析において、レトロウイルスベクターの組み込まれた部位に隣接する、被遺伝子導入細胞染色体由来のDNA断片を取得するためのプライマー伸長反応に有用である。2.本発明の遺伝子組み込み部位の解析方法 本発明は、前記のオリゴヌクレオチドを使用した、レトロウイルスベクターにより染色体上に組み込まれた遺伝子の、染色体上の組込み部位を解析する方法を提供する。当該方法は、例えば特許文献1や非特許文献3に記載された手順に従って、あるいは下記の工程により実施することができる。 なお、本発明の方法を適用することができるレトロウイルスベクターには特に限定はなく、配列番号1に示される塩基配列、もしくは該配列に類似した塩基配列の領域を含有するLTRを有するレトロウイルスベクターに適用できる。 本発明の遺伝子組み込み部位の解析方法を適用することができるレトロウイルスベクターとしては、特に本発明を限定するものではないが、MMLV(Moloney murine leukemia virus)に由来するベクター、あるいはPCMV(PCC4−cell passaged myeloproliferative sarcoma virus)に由来するベクターが例示される。MMLV由来のレトロウイルスベクターとしては、例えばpBabe[Nucleic Acids Research、第18巻、第3587〜3596頁(1990)]、pLXIN(クロンテック社製)、pDON−AI(タカラバイオ社製)等のレトロウイルスベクターやこれらを改変したベクターが例示される。また、PCMV由来のレトロウイルスベクターとしては、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第84巻、第5232〜5236頁(1990)記載のレトロウイルスベクターや該ベクターを改変したベクターが例示される。 以下に本発明の遺伝子組み込み部位の解析方法について説明する。(1)LTRに隣接する染色体DNAを含むDNA(プライマー伸長物)の合成 材料となる細胞より染色体DNAを調製し、上記の本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用してプライマー伸長物を合成する 前記の細胞には特に限定はなく、生体から採取された細胞、生体外で培養された細胞のいずれであってもよい。生体から採取された細胞としては、例えば造血幹細胞のような造血系の細胞が遺伝子導入の対照であった場合には、これらの細胞、もしくはこれらの細胞より分化した細胞(例えばT細胞、B細胞、単球、マクロファージ等)やそれらの混合物を本発明の方法に使用する染色体DNAの調製材料とすることができる。 本発明に試料として使用される染色体DNAには特に限定はないが、通常はレトロウイルスベクターにより遺伝子導入された、もしくはその可能性のある細胞より調製された染色体DNAである。当該染色体DNAの調製材料となる細胞はモノクローン、オリゴクローン、ポリクローン由来のいずれのものでもよい。 レトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAに上記のオリゴヌクレオチドをアニーリングさせ、このオリゴヌクレオチドをプライマーとしたDNA伸長反応を行ってLTRならびにそれに隣接する染色体DNAを含むDNA鎖を合成する。この工程にはDNAポリメラーゼが使用される。 本発明に使用されるDNAポリメラーゼには特に限定はなく、鋳型DNA鎖に相補的なDNA鎖を合成できるものであればよい。たとえば、大腸菌由来DNAポリメラーゼ、好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼ(Bst DNAポリメラーゼ、Bca DNAポリメラーゼ等)、サーマス(Thermus)属細菌由来DNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ等)、古細菌由来DNAポリメラーゼ(Pfu DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Deep Vent DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ等)ならびにこれらの改変体を本発明に使用することができる。 さらに2以上のDNAポリメラーゼを混合して使用してもよい。例えば、3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ(例えばPfu DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Deep Vent DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ等)と当該活性を有しないDNAポリメラーゼ(例えばTaq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、前記の3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ欠失変異体等)とを混合して使用する方法が本発明に特に好適である。このようなDNAポリメラーゼの混合物は、例えば米国特許第5436149号に開示されている。さらに、3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼと当該活性を有しないDNAポリメラーゼとを混合したDNAポリメラーゼ組成物として、TaKaRa Ex Taq、TaKaRa LA Taq(いずれもタカラバイオ社製)等が市販されている。 多くのプライマー伸長物を得る観点からは、レトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAを鋳型としたプライマー伸長反応を複数回繰り返すことが望まれる。この場合にはプライマー伸長物の合成をPCRによって実施し、伸長物の鋳型DNAからの解離、新たなプライマーの鋳型DNAへのアニーリング、プライマー伸長反応、の3工程を反復すればよい。 例えば、前記反応には二本鎖核酸のTm値を低下させる作用を示す化合物、たとえばベタイン(トリメチルグリシン等)、有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド)、テトラメチルアンモニウム塩[テトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、テトラメチルアンモニウムアセテート(TMAA)、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)]等を含有させてもよい。前記化合物の添加により、より多くの分子種から構成されるプライマー伸長物が得られることが期待できる。その濃度は所望の効果を得られる範囲であれば特に限定はない。たとえばベタインの場合には終濃度0.1〜3M、好ましくは0.1〜1Mの範囲で、ジメチルスルフォキシドの場合には終濃度0.5〜15%、好ましくは1〜10%の範囲で、また、テトラメチルアンモニウム塩の場合には終濃度0.1〜100mM、好ましくは1〜50mMの範囲で、それぞれ本発明に使用することができる。(2)プライマー伸長物の二本鎖への変換 以上に説明した工程において合成されたプライマー伸長物は、たとえばプライマーとしたオリゴヌクレオチドに付加された標識を利用して反応液から回収される。 オリゴヌクレオチドにリガンド標識が付されている場合には当該リガンドに結合するレセプター、また、ハプテン標識の場合には当該ハプテンを認識する抗体を使用することができる。このような標識物質に結合する物質を固定化した固層を利用すればプライマー伸長物を容易に反応液から回収することができる。たとえば、ビオチン標識を付加したプライマーを用いて得られたプライマー伸長物は、伸長反応液にアビジンを固定化したビーズを添加してビーズ上に伸長物を捕獲し、次いでこのビーズを洗浄した後に伸長物をビーズから脱着させることにより鋳型とされた染色体DNAから分離されたプライマー伸長物を得ることができる。 さらに、前記のプライマー伸長物の回収に先立って未反応のオリゴヌクレオチドを除去する操作を行ってもよい。このような操作は、例えば適当なポアサイズのフィルターを用いたろ過や長鎖の核酸のみが選択的に沈殿するような条件での分別沈殿法により実施することができる。 次に、回収されたプライマー伸長物(一本鎖DNA)を二本鎖DNAに変換する。その手段には限定はなく、例えば、プライマー伸長物にランダムプライマーをアニーリングさせた後、DNAポリメラーゼを用いてランダムプライマーから前記プライマー伸長物に相補的なDNAを合成し、二本鎖核酸を得ることができる。(3)リンカーカセットの付加 上記(2)の工程で二本鎖に変換されたプライマー伸長物を制限酵素消化し、生じた末端に二本鎖オリゴヌクレオチドを付加する。 本発明に使用される制限酵素には特に限定はないが、プライマー伸長物に含有されるLTR部分の塩基配列中に認識切断部位が存在するものは適当ではない。次の二本鎖オリゴヌクレオチドの付加を効率よく行う観点からは、付着末端を生じる制限酵素が本発明にはより好ましい。また、適切な鎖長のDNA断片を得るためには4塩基認識の制限酵素が好適であり、例えば、Tsp509I(Sse9I)、MboI(Sau3AI)等を使用することができる。制限酵素消化は使用する制限酵素に応じた条件で実施すればよい。 制限酵素消化された二本鎖のプライマー伸長物の末端には二本鎖のオリゴヌクレオチド(リンカーカセット)が付加される。リンカーカセットは上記の制限酵素消化で生じる末端に対応する末端、好ましくは付着末端と、以降の核酸増幅工程において使用されるプライマーがアニーリングしうる配列とを有している。以上の条件を満たすものであればその配列、鎖長には特に限定はないが、通常、20〜100塩基対、好ましくは30〜60塩基対のリンカーカセットが本発明に使用される。プライマーがアニーリングしうる配列にも特に限定はなく、プライマーの設計に不適切な配列(GC含量が偏ったもの、分子内もしくは分子間で水素結合を形成しうるもの)を除く任意の配列が使用できる。 リンカーカセットの付加は公知のDNA結合方法(ライゲーション反応)によって実施することができ、例えば市販のキット等を使用してもよい。(4)二本鎖DNAの増幅 こうして得られた二本鎖DNAは、一方の末端にLTR由来の塩基配列を、もう一方の末端にリンカーカセットの塩基配列を有している。このDNAを鋳型とし、LTR由来の塩基配列にアニーリングできるプライマー、リンカーカセットの塩基配列にアニーリングできるプライマーとを使用する核酸増幅反応を行うことにより、前記の二本鎖DNAを増幅することができる。 本発明の方法に使用される核酸増幅方法には特に限定はなく、公知の核酸増幅法、例えばPCR法、ICAN法、SDA法、TMA法などが使用できる。 PCR法を使用する場合には公知の方法に準じ、適切な条件(反応液組成、サイクル条件)を設定して実施すればよい。好ましくは上記(1)に記載された方法に準じて、二本鎖核酸のTm値を低下させる作用を示す化合物を含有する反応液、3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼと当該活性を有しないDNAポリメラーゼとの混合物が使用される。また、サイクル条件も上記(1)記載のものを使用できるが、サイクル数については上記条件よりも少なくすることができる。また、ネスティッド(nested)PCR法として知られている、2段階のPCR法を使用してもよい。 LTR由来の塩基配列にアニーリングできるプライマーは、上記二本鎖DNAに含有されているLTR領域にアニーリングし、かつリンカーカセットの塩基配列にアニーリングできるプライマーと組み合わせて核酸増幅反応を実施できるものであれば特に限定はない。例えば、非特許文献3にLTR2、LTR3として記載されているプライマーを使用することができる。さらに、下記実施例において使用された、前記のLTR2と類似した塩基配列(配列番号5)を有するプライマーはMMLVベクター、PCMVベクターのどちらの遺伝子組込み部位解析にも有用であり、本発明の方法に好適である。また、リンカーカセットの塩基配列にアニーリングできるプライマーは、前記塩基配列に基づいて任意に設計、作製すればよい。 以上の(1)〜(4)に示した一連の工程によって、レトロウイルスベクターのLTR部分の塩基配列と、染色体上の当該ベクターが組み込まれた位置に隣接する(すなわち前記LTRに隣接する)領域の塩基配列とを含有するDNA断片を得ることができる。 また、別法として、工程(1)において鋳型として使用される染色体DNAをあらかじめ適切な制限酵素、例えば上記(3)の項に記載された制限酵素であらかじめ消化しておき、これを使用してプライマー伸長反応を行うことができる。この場合には、得られた伸長産物を二本鎖DNAに変換した後、これを制限酵素消化することなくリンカーカセットの付加が実施される。この場合、リンカーカセットとしては平滑末端を有するものが使用される。 本発明の方法で得られた増幅DNA断片は、例えばアガロースゲル電気泳動によって分析することにより、試料とされた細胞集団中にどの程度の種類の組み込み部位が存在するかを調べることができる。 さらに、上記の増幅DNA断片の塩基配列を公知の方法、例えばジデオキシ法によって決定することができる。増幅されたDNA断片は反応液より回収した後、適当なベクター(プラスミドベクター、ファージベクター等)に連結される。この組換えDNA分子で適当な宿主を形質転換して得られる形質転換体より組換えDNA分子を調製し、これを鋳型としてシークエンシング反応を行い、上記のDNA断片の塩基配列を解読することができる。PCR法によって増幅されたDNA断片のクローニングには3’末端にT塩基が突出したベクター(T−ベクター)が好適であるが、これに限定されるものではない。また、増幅されたDNA断片の分子種が限られており、アガロースゲル電気泳動等によって単離可能である場合には、単離された増幅DNA断片を鋳型としたダイレクトシークエンシングを行ってもよい。 以上の工程により、多種類のレトロウイルスベクターについて個別のプライマー合成を行うことなく、レトロウイルスベクターの染色体組み込み部位の特定、組み込み頻度の高い配列または領域の推定、特定の遺伝子導入細胞の生体中での分布や割合のモニタリング等を実施することができる。さらに、同一のプライマーを使用するためにベクターごとに解析条件、特にプライマー伸長反応、遺伝子増幅反応の条件を至適化する必要がないことから、より簡便に、高い再現性で種々のレトロウイルスベクターの組込み部位の解析が可能となる。3.本発明の遺伝子組み込み部位の解析方法に使用されるキット 本発明の、レトロウイルスベクターによる遺伝子組み込み部位の解析方法に使用されるキットは、コンポーネントとして(a)本発明のオリゴヌクレオチド、および(b)DNAポリメラーゼ、を含有する。さらに、上記2.に記載された各工程に使用される試薬類を含有するものであってもよい。 2.−(1)に記載されたプライマー伸長反応をPCRによって実施する場合、上記(b)のDNAポリメラーゼには耐熱性を有するものが選択される。このDNAポリメラーゼは3’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼと当該活性を有しない耐熱性DNAポリメラーゼとを混合したDNAポリメラーゼ組成物であってもよい。 さらに、上記のキットは制限酵素、プライマー伸長物の二本鎖化のための試薬、リンカーカセット、ライゲーションや遺伝子増幅反応に使用される試薬、各工程の酵素反応を実施するための緩衝液等を含んでいてもよい。特に本発明を限定するものではないが、2.−(1)、2.−(4)に記載された工程に使用される緩衝液としては、二本鎖核酸のTm値を低下させる作用を示す化合物、例えば2−(1)記載の化合物を含有する緩衝液が好適である。また、その組成は(b)のDNAポリメラーゼの使用に適したものであることが好ましい。また、その形態として、緩衝液中にプライマーやDNAポリメラーゼがあらかじめ添加されているもの、緩衝液とは別にdNTPやMg塩が添付されているものなども本発明のキットに包含される。 また、(a)のオリゴヌクレオチドは伸長物の回収に適した標識、例えばビオチン等が付加されていてもよい。この場合には、当該標識に適した伸長産物の精製のためのコンポーネント、例えばアビジン固定化ビーズ等がさらに含まれているキットが好適である。 該キットを用いることで、レトロウイルスベクターの組み込まれた部位に隣接する、被遺伝子導入細胞染色体由来のDNA断片を取得することが容易となり、レトロウイルス組み込み部位解析を簡便に行なうことが可能となる。 以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。実施例1(1)染色体DNAの調製 配列番号8に示す塩基配列の3’−LTR領域を有するレトロウイルスベクターを用いて293細胞(ATCC CRL−1573)に遺伝子導入を行い、次いで前記ベクターが染色体に組み込まれた細胞を選択、クローニングすることによりクローン16、20を得た。これらクローンの−80℃凍結細胞(それぞれ約2.0×106細胞相当)を5mlの懸濁溶液(10mM トリス塩酸緩衝液、pH8.0、10mM EDTA、150mM 塩化ナトリウム)に懸濁し、1μlのRNaseA溶液(10mg/ml)、50μlの10%SDS溶液、及び25μlのproteinaseK(20mg/ml、タカラバイオ社製)を加えて転倒混和した。その後、50℃で3時間加熱し、次いで等量のフェノール溶液を加えて15分間転倒混和した。室温で遠心分離した後に上清を回収し、これに等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール溶液を加えて15分間転倒混和した。遠心して上清を回収した後、全量の1/25量になるように5M 塩化ナトリウムを加えて混合した。さらに全量の2.5倍量になるようにエタノールを添加し、室温で放置後、生じた沈殿物を回収した。沈殿物を70%エタノールで洗浄して10分間風乾した後、ここにTE緩衝液(10mM トリス塩酸緩衝液、pH8.0、1mM EDTA)を加え、24時間低温室に放置して溶解させた。以上の操作を行うことによって、クローン16、20の染色体DNAのサンプルが回収された。(2)遺伝子導入部位の解析 MMLV、PCMV、配列番号8に示す塩基配列の3’−LTR領域を有するレトロウイルスベクターのLTR領域に共通に存在する塩基配列(配列番号1)からそれぞれ配列番号2、3の塩基配列を有し5’末端にビオチンが付加されたプライマー LTRI−AおよびLTRI−B、ならびに配列番号5の塩基配列を有するプライマー LTRII−1を設計し合成した。また、非特許文献3に記載されたLTR3プライマーと同じ塩基配列(配列番号9)を有するLTRIIIプライマー、リンカーカセットA(配列表の配列番号10、11にそれぞれリンカーカセットAを構成する二つのオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す)、リンカーカセットAに相補的な配列を持つプライマー LC1、LC2(配列番号12、13にそれぞれプライマー LC1、LC2の塩基配列を示す)を作製した。上記プライマーを用いて、LAM PCR法によりクローンゲノム中のレトロウイルスベクターの組み込み部位を含む領域が検出されるかを実施した。 実施例1−(1)で調製したクローン16ゲノムDNA 100ng、10ngに25μlの×2 PCR buffer[100mM トリス塩酸緩衝液、pH9.2、28mM 硫酸アンモニウム、20mM 塩化カリウム、5.0mM 塩化マグネシウム、0.02%(w/v) BSA、10%(v/v) DMSO、0.5M ベタイン(トリメチルグリシン)]、5μlのdNTP混合液(各2.5mM)、プライマー LTRI−AまたはLTRI−B 0.1pmol、0.25μlのEx Taq(5U/μl、タカラバイオ社製)及び滅菌水を加えて最終容量50μlの反応液を調製した。この反応液をサーマルサイクラー(タカラバイオ社製)にセットし、95℃、5分間の変性の後、95℃、60秒間(変性)、58℃、45秒間(プライマーのアニーリング)、72℃、90秒間(合成反応)を1サイクルとする50サイクルのPCRを実施し、その後72℃で10分間保温した。 反応終了後、上記のPCR反応液に300μlのTE溶液を加え、Suprec02(タカラバイオ社製)に添加し、5,000rpm、約7分間遠心した。さらに350μlのTE溶液を添加し、同様にして遠心し、フィルターを洗浄した。次いでフィルターに液量が40μlとなるようにTE溶液を添加して、プライマーが除去されたDNA溶液を回収した。 回収された溶液にストレプトアビジンが固定化された磁性ビーズ(MPG streptavidin、タカラバイオ社製) 40μl(200μg相当)を加え、時折混和しながら室温で1時間放置した。反応液の入ったチューブを磁石スタンド(Magnetight Separation Stand、タカラバイオ社製)上で1分間静置した後、上清を廃棄し、ビーズの回収を行なった。このビーズに100μlのBW緩衝液(5mM トリス塩酸緩衝液、pH7.5、0.5mM EDTA、1.0M 塩化ナトリウム)を添加して穏やかに混和し、磁石スタンド上で静置後、同様に上清を廃棄し、さらに100μlの滅菌水で同様の操作を行い、ビーズの回収を行なった(この操作をビーズ洗浄操作とする)。 洗浄したビーズを14.1μlの滅菌水に穏やかに懸濁し、×10 Klenow緩衝液(下記Klenow Flagmentに添付のもの) 2μl、dNTP混合液(各2.5mM) 2.4μl、ランダムプライマー(ランダム6mer、100pmol/μl、タカラバイオ社製) 1μl、及びKlenow fragment(タカラバイオ社製) 0.5μlを加えて全量を20μlとしたものを調製し、37℃で時折混和させながら1時間反応させ、相補鎖の合成を行なった。反応後、ビーズ洗浄操作を行い、回収したビーズを17.5μlの滅菌水に懸濁し、そこに2μlの×10 NE buffer1(下記Tsp509Iに添付のもの)、0.5μlの制限酵素Tsp509I(10U/μl、NEW ENGLAND BioLabs社製)を加えて、時折混和させながら65℃で1時間保温した。ビーズ洗浄操作を行い、そのビーズに50pmol/μl リンカーカセットA 2μl、Solution A(Takara Ligation kit ver.1、タカラバイオ社製)16μl、Solution B(Takara Ligation kit ver.1、タカラバイオ社製) 2μlを添加し、時折混和しながら16℃で1時間反応させた。 滅菌水でビーズの洗浄を1回行った後、ビーズを回収して5μlの0.1N 水酸化ナトリウムに懸濁し、室温で10分間放置した。磁石スタンド上で約5μlの上清を回収し、このうち1μlを用いて以下のPCR反応を行なった。1μlの上記溶液に25μlの×2 nested PCR buffer[100mM トリス塩酸緩衝液、pH9.2、28mM 硫酸アンモニウム、20mM 塩化カリウム、4.0mM 塩化マグネシウム、0.02%(w/v) BSA、10%(v/v) DMSO、0.5M ベタイン(トリメチルグリシン)]、5μlのdNTP混合液(各2.5mM)、プライマー LTRII−1(25pmol/μl)及びプライマー LC1(25pmol/μl)をそれぞれ1μlずつ、0.25μlのEx Taq及び滅菌水を加えて50μlとした。この反応液をサーマルサイクラーにセットし、95℃、5分間の変性の後、95℃、60秒間(変性)、58℃、45秒間(プライマーのアニーリング)、72℃、90秒間(合成反応)を1サイクルとする30サイクルのPCRを実施し、その後72℃で10分間保温した(一回目)。その後、一回目のPCR反応液1μlを鋳型として用いて、プライマー LTRIII(25pmol/μl)、及びプライマー LC2(25pmol/μl)で二回目のPCRを行った。なお二回目のPCRは一回目のPCR条件に従った。 こうして得られた反応液50μlの内、5μlを3.0%(w/v)アガロースゲルで電気泳動し、反応液中の増幅産物の確認を行った。その結果、プライマー LTRI−A、LTRI−Bのどちらを用いてプライマー伸長物を作成した場合でも10ngの鋳型濃度で増幅バンドが確認された。このことから、今回新たに設計したプライマー LTRI−A、LTRI−BおよびLTRII−1を用い、LAM PCRで良好な感度が得られることが明らかとなった。実施例2 プライマー LTRI−Cを用いたLAM PCR(1)モノクローン由来染色体DNAを鋳型とした場合の増幅 配列番号8のLTR領域の塩基配列から配列番号表の配列番号4の塩基配列を有し、5’末端にビオチンが付加されたプライマー LTRI−Cを作製した。実施例1(1)で調製したクローン16及びクローン20の染色体DNAをそれぞれ0、0.1ng、1ng、10ng、50ng、100ngを鋳型とし、プライマー LTRI−AまたはLTRI−Bの代わりに、LTRI−Cを用いて実施例1(2)と同様の操作を行うことによってクローンゲノム中のレトロウイルスベクターの組み込まれた部位が検出されるか実施した。最終反応液の一部を3.0%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供し、ゲルをエチジウムブロマイドで染色して増幅産物の確認を行った。その結果、クローン16、20ともに1ngの染色体DNAまでクローン由来の増幅断片が確認された。これにより、今回新たに設計したプライマー LTRI−C、LTRII−1を用いることで、LAM PCRにより特定のクローン由来の増幅断片が感度よく検出されることが明らかとなった。(2)2種類のクローン由来染色体DNAの混合物を鋳型とした場合 実施例1(1)で調製したクローン16、クローン20の染色体DNAを重量比(クローン1:クローン2、w:w)で1:0、4:1、2:1、1:1、1:2、1:4、0:1となるように混合し、全量を100ngとしたものを調製した。これらを鋳型として実施例2(1)と同様の操作を行った場合に、各比率で混合したクローン1、2の由来の増幅断片が検出されるか実施した。 上記の操作で得られた最終反応液の一部を3.0%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供し、増幅産物の確認を行った。その結果、クローン16、クローン20の何れの混合比の鋳型を用いた場合にも、各クローン由来の増幅断片が得られることが確認された。これにより、今回新たに設計したプライマー LTRI−C、LTRII−1を用いることで、2種のクローンが混在した場合にも感度よく検出されることが明らかとなった。 本発明によれば、レトロウイルスベクターによって遺伝子が導入された染色体における、前記遺伝子の組み込み部位を簡便に、かつ高い再現性をもって解析することができる。従って、本発明は遺伝子導入技術の開発、遺伝子治療における治療効果のモニタリング等に非常に有用である。 SEQ ID NO:1; A portion of LTR sequence of MMLV retroviral vector. SEQ ID NO:2; PCR primer LTRI-A to amplify a DNA fragment having LTR sequence. SEQ ID NO:3; PCR primer LTRI-B to amplify a DNA fragment having LTR sequence. SEQ ID NO:4; PCR primer LTRI-C to amplify a DNA fragment having LTR sequence. SEQ ID NO:5; PCR primer LTRII-1 to amplify a DNA fragment having LTR sequence. SEQ ID NO:6; LTR sequence of MMLV retroviral vector. SEQ ID NO:7; LTR sequence of PCMV retroviral vector. SEQ ID NO:8; LTR sequence of a certain retroviral vector. SEQ ID NO:9; PCR primer LTRIII to amplify a DNA fragment having LTR sequence. SEQ ID NO:10; Oligonucleotide constituting linker-cassette A. SEQ ID NO:11; Oligonucleotide constituting linker-cassette A. SEQ ID NO:12; PCR primer LC1 to amplify a DNA fragment having linker-cassette A. SEQ ID NO:13; PCR primer LC2 to amplify a DNA fragment having linker-cassette A.配列番号1に示される塩基配列中の連続する12塩基以上の配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。配列番号2または3に示される塩基配列を有することを特徴とする請求項1記載のオリゴヌクレオチド。標識が付加されている請求項1または2記載のオリゴヌクレオチド。請求項1〜3いずれか記載のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてレトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAに相補的なDNAを合成する工程を包含する、レトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAにおける、前記ベクターに隣接する染色体由来のDNA領域を解析する方法。下記工程を包含する請求項4記載の方法; (1)請求項1〜3いずれか記載のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてレトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAを鋳型としたプライマー伸長反応を行う工程、(2)工程(1)で得られたプライマー伸長物を回収し、当該伸長物に相補的なDNAを合成して二本鎖DNAを得る工程、(3)工程(2)で得られた二本鎖DNAの末端に二本鎖オリゴヌクレオチドを付加する工程、および(4)工程(3)で得られたオリゴヌクレオチド付加二本鎖DNAを鋳型とし、レトロウイルスベクターのLTRの塩基配列に相補的な配列を有するプライマーと前記二本鎖オリゴヌクレオチドの塩基配列に相補的な配列を有するプライマーとを使用する核酸増幅反応を実施する工程。レトロウイルスベクターが組み込まれた染色体DNAにおける、前記ベクターに隣接する染色体由来のDNA塩基配列を決定するためのキットであって、下記の要素を包含するキット;(a)請求項1〜3いずれか記載のオリゴヌクレオチド、および(b)DNAポリメラーゼ。さらに、DNAポリメラーゼによる反応を実施するための緩衝液を含有する請求項6記載のキット。配列番号4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。配列番号5に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。 【課題】 種類の異なるレトロウイルスベクターで遺伝子導入された細胞においても、前記ベクターの染色体上の遺伝子組み込み部位を解析することが可能なオリゴヌクレオチドプライマーの配列を提供すること。【解決手段】 配列番号1に示される塩基配列中の連続する12塩基以上の配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを提供する。 前記オリゴヌクレオチドを使用することにより、従来のLAM PCR法では避けられなかった、使用されるレトロウイルスベクターごとのプライマー設計や条件設定が不要となる。また前記オリゴヌクレオチドを含有するキットを使用することにより、染色体上のレトロウイルスベクター組み込み部位の解析を簡便に、かつ高い再現性をもって実施することができる。【選択図】 なし配列表