タイトル: | 公開特許公報(A)_薄膜密着性評価方法 |
出願番号: | 2005106643 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | G01N 19/04,G01N 3/00 |
桐田 科 河嶋 利孝 下田 和人 JP 2006284453 公開特許公報(A) 20061019 2005106643 20050401 薄膜密着性評価方法 ソニー株式会社 000002185 小池 晃 100067736 田村 榮一 100086335 伊賀 誠司 100096677 桐田 科 河嶋 利孝 下田 和人 G01N 19/04 20060101AFI20060922BHJP G01N 3/00 20060101ALI20060922BHJP JPG01N19/04 BG01N3/00 P 4 1 OL 7 2G061 2G061AB01 2G061BA00 2G061CA20 2G061DA01 2G061EA01 2G061EA02 2G061EC01 本発明は、薄膜と基材との密着性を定量的に評価する薄膜密着性評価方法に関する。 従来、プラスチック基板上に、ドライプロセスあるいはウエットプロセスによって薄膜が形成され、様々なエレクトロデバイスに用いられている。 薄膜の密着性を評価する試験方法としては、圧縮薄利試験、引き剥がし試験、引き倒し試験などが知られている。そして、μmオーダーレベルでの膜と基材との密着性を定量的に評価するための各種改善が試みられている(例えば、特許文献1,2参照)。 また、JIS規格では、格子状に膜をカットし、テープで引き剥がした後、残ったクロスカット部分の膜の数で密着性を評価するクロスカット法(JIS K5600−5−6)が規定されている。特開平7−146230号公報特開平8−75635号公報 しかしながら、上述の如き従来の方法では、nmオーダーレベルの膜厚である薄膜の密着力を測定しようとすると、測定結果に再現性がなく、定量的に再現性良く、評価することはできないという問題点があった。 そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の問題点に鑑み、nmオーダーレベルの膜厚である薄膜の密着力を、定量的に再現性良く、評価することのできる薄膜密着性評価方法を提供することのある。 本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。 本発明は、プラスチック基板上に成膜された薄膜と基材との密着性を定量的に評価する薄膜密着性評価方法であって、ダイヤモンド圧子を薄膜にある荷重をかけながら押し込んで、押し込み深さ−荷重曲線特性を測定し、得られた押し込み深さ−荷重曲線特性における膜が弾性変形から塑性変形に変わる変位点を剥離点とすることを特徴とする。 また、本発明では、上記剥離点までの押し込み深さと荷重をかけ合わせたものを仕事量とし、剥離点までの積分値を薄膜と基板との密着強さの指標とする。 また、本発明に係る薄膜密着性評価方法では、具体的には、トライボインデンター装置を用いて、曲率半径の短い、先端の鋭い3角錐型のダイヤモンド圧子を薄膜に押し込むことにより、押し込み深さ−荷重曲線特性を測定する。 さらに、本発明に係る薄膜密着性評価方法では、プラスチック基板上に無機材料により成膜された薄膜と基材との密着性を定量的に評価する。 本発明では、垂直インデントを用いることにより、nmオーダー、例えば、膜厚が数10nm程度の極薄膜における基板と膜の密着力を定量的に再現性良く測定することができ、nmオーダーレベルの膜厚である薄膜の密着力を定量的に再現性良く評価することができる。 以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。 本発明に係る薄膜密着性評価方法では、例えば図1に示すように、図1の(A)に示すように、プラスチック基板1上に成膜された薄膜2に垂直方向からダイヤモンド圧子10を最大荷重Fをかけながら押し込むと、ある荷重点にて、図1の(B)に示すように膜が割れ、剥離するので、トライボインデンター装置により、上記ダイヤモンド圧子10を最大荷重Fをかけながら押し込み、図2に示すような押し込み深さ−荷重曲線特性を測定し、得られた押し込み深さ−荷重曲線特性における膜が弾性変形から塑性変形に変わる変位点Pを剥離点とすることによって、プラスチック基板1に対する薄膜2の密着力を定量的に評価する。 ここで、プラスチック基板1は、例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、又はポリオレフィンを含む高分子材料からなる。 また、プラスチック基板1上の薄膜2は、透明導電性薄膜として用いられるIn2O3系材料、例えば、ITO(Indiumu-Tin-Oxide)、IXO、ZnO系材料、AZO、GZO等、あるいは、金属薄膜として用いられる、Al、Au、Ni、Ti、Ag、APC、等、また、光学薄膜材料として用いられる金属酸化物材料、例えば、SiO2、Nb2O5、TiO2、Nb2O5、Ta2O5等の無機材料からなり、ドライ方式、例えば、スパッタリング法、蒸着、あるいは、ウエット方式、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング法によってnmオーダ例えば数10nmの膜厚に成膜されている。 上記押し込み深さ−荷重曲線特性を測定するトライボインデンター装置には、インデンテーションとスクラッチ機能を併せ持ち、全自動でナノメータ(nm)計測、検査、解析が可能な、例えば、米国Hysitron社製のナノメカニカルテストシステムを用いることが可能である。 図2は、プラスチック基板1上に膜厚20nm程度の極薄のITO薄膜2が成膜された成膜条件の異なるサンプルA,B,Cについて、押し込み深さ−荷重曲線特性を測定した結果を示している。通常の薄膜の硬度を算出する場合は、ダイヤモンドチップから成る三角錐の圧子を薄膜や材料の表面に押し込み、その時の圧子にかかる荷重と圧子の下の射影面積から求まる。ここで、本発明では、図2中に点線で囲って示す弾性変形から塑性変形へと変化する変位点を剥離点とした。 ここで、トライボインデンター装置では、通常、図3の(B)に示すように、先端曲率半径の大きな(100nm程度)バーコビッチ圧子が用いられているが、本発明の実施の形態では、図3の(A)に示すように、先端形状の鋭い、つまり、先端曲率半径の小さな(50nm程度)キューブコーナー圧子、すなわち、先端の鋭い3角錐型のダイヤモンド圧子を用いた。 また、本発明の実施の形態では、上記剥離点までの押し込み深さと荷重をかけ合わせたものを仕事量とし、剥離点までの積分値を薄膜と基板との密着強さの指標とする。 ここで、上記変位点すなわち剥離点までの仕事量(押し込み深さ×荷重)の積分値を算出した結果を表1に示す。 この表1から明らかなように、成膜条件Bのものが仕事量の値が大きく、最も密着の良いものと判断される。このような垂直インデント法を用いた密着性評価方法によって、膜厚20nm程度の極薄膜でも密着力を評価することができる。 このように、基板と膜との密着性の“粘り強さ”(押し込み深さ)と、膜の持っている硬さ(荷重)を掛け合わせることで、同時に両特性を評価し、総合的に膜の密着性を測定することができる。本発明に係る薄膜密着性評価方法の原理説明図である。押し込み深さ−荷重曲線特性の測定結果を示す特性図である。トライボインデンター装置で使用されるダイヤモンド圧子の形状例を示す図である。符号の説明 1 プラスチック基板、2 薄膜、10 ダイヤモンド圧子 プラスチック基板上に成膜された薄膜と基材との密着性を定量的に評価する薄膜密着性評価方法であって、 ダイヤモンド圧子を薄膜にある荷重をかけながら押し込んで、押し込み深さ−荷重曲線特性を測定し、得られた押し込み深さ−荷重曲線特性における膜が弾性変形から塑性変形に変わる変位点を剥離点とすることを特徴とする薄膜密着性評価方法。 上記剥離点までの押し込み深さと荷重をかけ合わせたものを仕事量とし、剥離点までの積分値を薄膜と基板との密着強さの指標とすることを特徴とする請求項1記載の薄膜密着性評価方法。 トライボインデンター装置を用いて、曲率半径の短い、先端の鋭い3角錐型のダイヤモンド圧子を薄膜に押し込むことにより押し込み深さ−荷重曲線特性を測定することを特徴とする請求項1記載の薄膜密着性評価方法。 プラスチック基板上に無機材料により成膜された薄膜と基材との密着性を定量的に評価することを特徴とする請求項1記載の薄膜密着評価方法。 【課題】 nmオーダーレベルの膜厚である薄膜の密着力を、定量的に再現性良く、評価する。【解決手段】 ダイヤモンド圧子10をプラスチック基板1上に成膜された薄膜2にある荷重Fをかけながら押し込んで、押し込み深さ−荷重曲線特性を測定し、得られた押し込み深さ−荷重曲線特性における膜が弾性変形から塑性変形に変わる変位点を剥離点とする。【選択図】 図1