タイトル: | 公開特許公報(A)_飛灰の処理方法 |
出願番号: | 2005102767 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | B09B 3/00,G01N 27/04 |
奥村 諭 関口 善利 JP 2006281055 公開特許公報(A) 20061019 2005102767 20050331 飛灰の処理方法 日立造船株式会社 000005119 日比 紀彦 100083149 岸本 瑛之助 100060874 渡邊 彰 100079038 清末 康子 100069338 奥村 諭 関口 善利 B09B 3/00 20060101AFI20060922BHJP G01N 27/04 20060101ALI20060922BHJP JPB09B3/00 304GG01N27/04 A 4 OL 8 2G060 4D004 2G060AA14 2G060AA19 2G060AD02 2G060AE20 2G060AF07 2G060CA03 2G060CE09 2G060FA03 2G060JA03 2G060KA10 4D004AA37 4D004AB10 4D004BA02 4D004CA15 4D004CA35 4D004CC01 4D004CC03 4D004DA01 4D004DA02 4D004DA03 4D004DA09 4D004DA20 本発明は、都市ごみ処理施設において用いられる飛灰の処理方法に関する。 都市ごみ焼却により生じる飛灰は、無害化、飛散防止、および輸送の便宜等のために灰混練装置を用いて、一定量の水分や薬剤を添加して、混練処理がなされる。 また、都市ごみ焼却により生じる廃ガス中には、焼却炉で揮散された鉛等の重金属を含むダストや塩化水素、硫黄酸化物等の強酸性のガスが含まれることから、これらの処理を施すことが必要である。 その処理方法の一つとして、消石灰等のアルカリ粉末を廃ガスに加えて中和した後、集塵機によって飛灰を捕捉する方法がある。この方法で排出される飛灰には、焼却炉で揮散されたダストと中和生成物の他に、未反応の消石灰等のアルカリ粉末が含まれ、このため、この飛灰は強アルカリ性を示す。 このようにして生じたアルカリ性の飛灰は、埋立て、地盤工事等に有効利用されるか、あるいは、廃棄処分される。この場合、飛灰中には鉛等の重金属が含まれ、また、アルカリ性の飛灰は、pHが高いために鉛などが溶出しやすくなっているので、含有される鉛等の重金属の溶出を防止する処理を施す必要がある。 このための処置方法としては、飛灰に特定量の水溶性リン酸またはその塩を添加して、鉛等の溶出を防止するリン酸(塩)処理法がある(例えば、特許文献1)。 この方法によるアルカリ性の飛灰の処理方法は、リン酸またはその塩を添加する前に、飛灰中のアルカリ分を炭酸ガスで中和しておくようにしたものである。リン酸(塩)の添加に先立ってアルカリ性の飛灰中の未反応消石灰と炭酸ガスを反応させると、消石灰が難溶性の炭酸カルシウムになり、その後、リン酸またはその塩を添加して鉛等の重金属をリン酸鉛等の難溶性塩として固定化する際、未反応の消石灰が低減されているために、未反応消石灰によって消費されるリン酸またはその塩の量が少なくなり、重金属固定化のために必要なリン酸またはその塩の添加量の低減を図ることができる。さらに、処理飛灰は、消石灰と炭酸ガスとの反応によって生じた炭酸カルシウムによってpH緩衝能力が強化されているので、酸性水による溶出液のpH低下を軽減でき、重金属の溶出を抑制できる。 このように、鉛等の重金属固定化に当たっては、リン酸(塩)の添加に先立って、アルカリ性の飛灰中の未反応消石灰と炭酸ガスとを反応させることが実施される。一般に、炭酸ガスとアルカリ性の飛灰との炭酸化反応において、飛灰の含水率は一定の範囲までは高いほど反応効率が高くなるが、一定の範囲を超えると飛灰が造粒化され、その粒の内部まで炭酸ガスが浸透しないことから反応効率が低下する。したがって、その処理過程においてアルカリ飛灰の含水量を制御することが重要である。 アルカリ性の飛灰に炭酸ガスを添加する際の含水量を制御する方法が特許文献2に記載されている。この文献の方法では、飛灰中に導入される炭酸ガス中の水蒸気量と、排出されるガスの水蒸気量との差に基づいて飛灰中の含水率を算出し、この算出値が設定範囲内になるようにアルカリ性の飛灰への水分供給量を制御している。特開平8−155417号公報特開2002−273374号公報 都市ごみ焼却により飛灰では、焼却後に生じる飛灰毎に含まれる水分量が異なり、飛灰中の水分量の多少により、所望の水分濃度にするために添加されるべき水分量が異なる。このため、水分濃度を一定にするように添加される水量を調整することが困難であり、混練処理する毎に処理済みの飛灰中の水分濃度が異なり、水分濃度が常時安定した状態で排出することができないという問題がある。 また、炭酸化反応処理において飛灰中の水分濃度のバラツキが大きいと、炭酸化反応の進行にも大きな差異が生じ、この結果、反応終了後のpHは12〜7付近の間で変動する。灰からの鉛の溶出量を抑制するためには、pHを9〜11の範囲に調整するのがよいとされ、pHをこのような範囲に調整するためには、炭酸化反応処理時の水分濃度を所定の水分量に維持する必要があるが、飛灰中に含まれる水分は、燃焼処理される毎に異なり、必要な水分添加量は飛灰ごとに異なる。 特許文献2に記載された方法では、水分濃度が一定になるように水分を添加しながらアルカリ飛灰の炭酸化工程を行うものであるが、この方法では、飛灰に含まれる水分量を直接的に計測するものではなく、炭酸化反応が発熱反応であることから反応中に水分量が減り易く、また、温度条件、含まれる消石灰量、pH等の条件によって、算出される水蒸気量が影響を受けやすい面があり、求められた飛灰の水分量の信頼性が高くなく、飛灰中水分濃度調整を安定的に行うことも困難であり、結果として、炭酸化工程後の飛灰のpHを安定的に所定範囲に維持することは難しい。 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、飛灰中に含まれる水分量を正確に計測することができ、これにより、飛灰を混練する工程および炭酸化する工程前のそれぞれにおいて、適正な水分量を添加することができ、安定した水分量を有し、また、炭酸化工程後のpHを安定的に維持して鉛等の溶出を確実に防止することのできる飛灰の処理方法を提供することを目的とする。 本発明の飛灰の処理方法は、水分を添加しながら飛灰を混練する工程を包含する飛灰の処理方法において、飛灰の電気抵抗を計測し、飛灰中の水分濃度と飛灰の電気抵抗との相関関係に基づいて、飛灰中の水分濃度を所望の濃度に調整することにより飛灰を混練する工程を行うことを特徴とするものである。 ここで、本明細書において記載する飛灰とは、都市ごみの焼却処理後に排出されるダスト分であり、通常、焼却炉で揮散された鉛等の重金属を含むダストや塩化水素、硫黄酸化物等の強酸性のガス、水分等が含まれる。 飛灰の電気抵抗は、従来公知の抵抗測定電極を用いた電気抵抗の測定方法により測定される。このような抵抗測定電極は、混練装置の下部等に備えられる。 飛灰中の水分濃度と飛灰の電気抵抗との相関関係は、燃焼処理した燃焼炉から排出される飛灰を溶融処理した溶融被灰(水分不含有)に各規定量の水分を添加することにより水分濃度が予め分かっている数種のものについてその水分濃度と飛灰抵抗値とをプロットすることにより求める。飛灰中の水分濃度と飛灰の電気抵抗とが直線的な相関関係にあることは、本発明者らによって見出されたものである。 上記本発明の飛灰の処理方法において、前記飛灰を混練する工程を行った後、飛灰を炭酸ガスと接触させて炭酸化処理する炭酸化工程をさらに包含することが好ましい。 上記本発明の飛灰の処理方法において、前記炭酸化工程を行う前に、飛灰の電気抵抗を計測し、飛灰中の水分濃度と飛灰の電気抵抗との相関関係に基づいて炭酸化工程後の水分濃度を所定濃度に維持するように水分を添加することが好ましい。 上記本発明の飛灰の処理方法において、炭酸化工程後の飛灰のpHが9〜11となるように、飛灰に添加される水分量を調整することが好ましい。 本発明は、飛灰の電気抵抗を計測し、飛灰中の水分濃度と飛灰の電気抵抗との相関関係に基づいて、飛灰中の水分濃度を所望の濃度に調整することにより飛灰を混練するので、適正な水分量を飛灰に添加することができ、安定した水分量を有するように飛灰を混練処理することができる。 また、飛灰に水を添加して混練する工程を行った後、飛灰を炭酸ガスと接触させて炭酸化処理する炭酸化工程をさらに行う場合に、飛灰の電気抵抗を計測し、飛灰中の水分濃度と飛灰の電気抵抗との相関関係に基づいて炭酸化工程後の水分濃度を所定濃度に維持するように水分を添加するので、炭酸化工程後のpHを鉛が溶出することを防止する9〜11に安定して維持することができる。 次に、本発明を具体的に説明するために、本発明の実施例をいくつか挙げる。 (実施例1) 本実施例1では、飛灰を混練する工程における飛灰中の水分濃度と電気抵抗との相関関係を求めた。飛灰としては、それぞれ異なる被処理物を燃焼処理した燃焼炉から排出される飛灰を溶融処理した溶融被灰A、Bを用いた。 図1に装置概要を示す。飛灰に水分を添加して混練する飛灰混練器は、小型のもの(容量7L)を用いた。2は主軸、3はチョッパ、4は鋤、5はスクレーパ、6は抵抗測定電極、7はデジタルマルチメータを、それぞれ示している。 この混練装置を用いて溶融飛灰A、Bを混練し、各水分濃度と飛灰の電気抵抗との関係を求めた。その結果を図2に示す。図2のグラフから、水分濃度が5〜30%の範囲において飛灰の水分濃度と電気抵抗との間には直線的な相関関係があることが明らかとなった。 (実施例2) 本実施例2では、飛灰を炭酸ガスと接触させて炭酸化処理する炭酸化工程前における飛灰中の水分濃度と電気抵抗との相関関係、および、炭酸化工程前の水分量と炭酸化工程後の飛灰のpHとの相関関係を求めた。飛灰としては、それぞれ異なる被処理物を燃焼処理した燃焼炉から排出される飛灰を溶融処理した溶融被灰A、Bを用いた。 図3に装置概要を示す。飛灰に水分を添加して混練する飛灰混練器は、小型のもの(容量7L)を用いた。2は主軸、3はチョッパ、4は鋤、5はスクレーパ、6は抵抗測定電極、7はデジタルマルチメータ、8はCO2濃度計、9はガス混合器、をそれぞれ示している。 この混練装置を用いて溶融飛灰A、Bを混練し、飛灰中の水分濃度と電気抵抗との相関関係、および、炭酸化工程前の水分量と炭酸化工程後の飛灰のpHとの相関関係をそれぞれ求めた。その結果を、図4および図5にそれぞれ示す。図4の結果から、水分濃度が5〜30%の範囲において飛灰の水分濃度と電気抵抗との間には直線的な相関関係があることが明らかとなった。また、図5の結果から、炭酸工程前の飛灰の水分量と炭酸化工程後のpHとの間にも相関関係があることも明らかとなった。これらの結果、飛灰の電気抵抗と炭酸化工程後のpHとの間にも相関関係が成り立ち、炭酸化工程前の飛灰の電気抵抗値を所定範囲に維持することにより、炭酸化工程後のpHを所定範囲に維持することができることが分かった。すなわち、図4および図5の結果によると、鉛の溶出を防止するpH9〜11に維持するためには、図5により、炭酸化工程前の水分量を、12〜28%程度に維持すればよく、さらに、水分量を12〜28%程度にするためには、図4により、電気抵抗を1800〜6000Ω程度に維持すればよいことが分かる。 本発明は、都市ごみ処理施設において用いられる飛灰の処理方法に関し、飛灰中に含まれる水分量を正確に計測することができ、これにより、飛灰を混練する工程および炭酸化する工程前のそれぞれにおいて、適正な水分量を添加することができ、安定した水分量を有し、また、鉛等の溶出を確実に防止することのできる飛灰の処理方法を提供することができる。実施例1に使用される飛灰混練装置を示す概略図である。溶融飛灰A、Bを混練し、各水分濃度と飛灰の電気抵抗との関係を求めた、実施例1の結果を示すグラフである。実施例2に使用される飛灰混練装置を示す概略図である。溶融飛灰A、Bを混練し、飛灰中の水分濃度と電気抵抗との相関関係を求めた、実施例2の結果を示すグラフである。溶融飛灰A、Bを混練し、炭酸化工程前の水分量と炭酸化工程後の飛灰のpHとの相関関係を求めた、実施例2の結果を示すグラフである。符号の説明1 飛灰混練器2 主軸3 チョッパ4 鋤5 スクレーパ6 抵抗測定電極7 デジタルマルチメータ8 CO2濃度計9 ガス混合器 水分を添加しながら飛灰を混練する工程を包含する飛灰の処理方法において、 飛灰の電気抵抗を計測し、飛灰中の水分濃度と飛灰の電気抵抗との相関関係に基いて、飛灰中の水分濃度を所望の濃度に調整することにより飛灰を混練する工程を行うことを特徴とする飛灰の処理方法。 前記飛灰に水を添加して混練する工程を行った後、飛灰を炭酸ガスと接触させて炭酸化処理する炭酸化工程をさらに包含する、請求項1に記載の飛灰の処理方法。 前記炭酸化工程を行う前に、飛灰の電気抵抗を計測し、飛灰中の水分濃度と飛灰の電気抵抗との相関関係に基づいて炭酸化工程後の水分濃度を所定濃度に維持するように水分を添加する、請求項2に記載の飛灰の処理方法。 炭酸化工程後の飛灰のpHが9〜11となるように、飛灰に添加される水分量を調整する、請求項2または3に記載の飛灰の処理方法。 【課題】 飛灰中に含まれる水分量を正確に計測することができ、これにより、飛灰を混練する工程および炭酸化する工程前のそれぞれにおいて、適正な水分量を添加することができ、安定した水分量を有し、また、炭酸化工程後のpHを安定的に維持して鉛等の溶出を確実に防止することのできる飛灰の処理方法を提供する。【解決手段】 水分を添加しながら飛灰を混練する工程を包含する飛灰の処理方法において、飛灰の電気抵抗を計測し、飛灰中の水分濃度と飛灰の電気抵抗との相関関係に基いて、飛灰中の水分濃度を所望の濃度に調整することにより飛灰を混練する工程を行う。【選択図】なし