生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_セメント中のジエチレングリコール量の定量方法
出願番号:2005096867
年次:2006
IPC分類:G01N 33/38,G01N 30/88


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佐野 奨 市川 牧彦 加藤 和巳 JP 2006275841 公開特許公報(A) 20061012 2005096867 20050330 セメント中のジエチレングリコール量の定量方法 太平洋セメント株式会社 000000240 佐野 奨 市川 牧彦 加藤 和巳 G01N 33/38 20060101AFI20060915BHJP G01N 30/88 20060101ALI20060915BHJP JPG01N33/38G01N30/88 C 4 OL 6 本発明は、セメント中のジエチレングリコール含量を測定する方法に関する。 従来より、ポルトランドセメントの製造において、ジエチレングリコールは粉砕助剤として使用されている(例えば、非特許文献1)。笠井芳夫編、「コンクリート総覧」、技術書院、1998年6月10日、p.8 セメント中に存在するジエチレングリコールは、モルタルやコンクリートの流動性、凝結や強度発現性に影響を与えるため、セメントの品質管理上その含量を把握することが重要である。 しかしながら、従来、セメント中のジエチレングリコール量は、セメント中のジエチレングリコールを溶媒で抽出した後、該抽出液をガスクロマトグラフィーを用いて測定していたが、この方法では、実機セメントにおいて、測定されるジエチレングリコール量は添加量の10〜20質量%程度であり、常温に近い状態で粉砕した試製セメントにおいても、測定されるジエチレングリコール量は添加量の40質量%程度であり(後述比較例1参照)、特に、セメントと化学吸着しているジエチレングリコールはほとんど抽出できていない可能性が高く、ジエチレングリコール量を正確に把握することが困難であった。 従って、本発明の目的は、セメント中のジエチレングリコール量を正確に測定することができる定量方法を提供することにある。 本発明者らは、斯かる実情に鑑み、鋭意研究した結果、セメント中のジエチレングリコールをハロゲン化リチウムを含有する溶液で抽出すれば、セメント中に含まれるジエチレングリコールの絶対量やセメントの粉砕条件(温度等)に影響を受けないで、ほぼ一定の抽出率(セメント中の全ジエチレングリコールの約75質量%)になることを見いだし、本発明を完成させたものである。 即ち、本発明は、セメント中のジエチレングリコールをハロゲン化リチウムを含有する溶液で抽出した後、該溶液中のジエチレングリコール量をガスクロマトグラフィーを用いて測定することを特徴とするセメント中のジエチレングリコール量の定量方法である。 そして、上記ハロゲン化リチウムとしては塩化リチウムを用いることが好ましい。溶媒としては、アルコール又はアセトンを用いることが好ましく、特に、エタノールを用いることが好ましい。 本発明の方法では、セメント中のジエチレングリコール量を短時間で正確に把握することができるので、セメントの品質管理の精度を向上させることができる。 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明では、まず、ハロゲン化リチウムを含有する溶液中でセメントを攪拌し、セメント中のジエチレングリコール(以降、「DEG」と称す)を抽出する。 対象となるセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、ポルトランドセメントに石灰石粉末やシリカフューム等の混和材を添加したセメント等が挙げられる。 ハロゲン化リチウムを含有する溶液において、ハロゲン化リチウムの含有量は、セメントに対して0.3〜10質量%であることが好ましく、0.5〜2質量%であることがより好ましい。ハロゲン化リチウムの含有量を前記範囲とすることにより、セメント中に含まれるDEGの絶対量やセメントの粉砕条件(温度等)に影響を受けないで、セメント中の全DEGの約75質量%を溶液へ抽出することができる。ハロゲン化リチウムの含有量がセメントに対して0.3質量%未満では、セメント中の全DEGの溶液への抽出率が低下する。ハロゲン化リチウムの含有量がセメントに対して10質量%を越えると、ガスクロマトグラフィーやそのカラムの消耗が大きくなるうえ、コストも高くなる。 ハロゲン化リチウムとしては、塩化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム等が挙げられるが、本発明においては、コストや取り扱いの容易性の観点から、塩化リチウムを使用することが好ましい。 溶媒としては、アルコール又はアセトンを用いることが好ましく、溶媒の沸点や取り扱いの容易性の観点から、エタノールを用いることが特に好ましい。 溶液に対するセメントの量としては、1〜50質量%とすることが好ましく、5〜30質量%とすることがより好ましい。セメントの量が1質量%未満では、溶液へ抽出されるDEGの量が少なくなるので、ガスクロマトグラフィーでの測定の誤差が大きくなる。セメントの量が50質量%を越えると、セメント中の全DEGの溶液への抽出率が低下する。 本発明において、セメント中のDEGの溶液への抽出は、40〜70℃で行うことが好ましく、50〜65℃で行うことがより好ましい。抽出時間は、1〜3時間が好ましい。抽出温度が40℃未満では、抽出に長時間を要する。抽出温度が70℃を越えると、溶媒が蒸発する可能性がある。抽出時間が1時間未満では、セメント中の全DEGの溶液への抽出率が低下する。抽出時間が3時間を越えても、セメント中の全DEGの溶液への抽出率は向上しない。 次に、本発明では、上記セメントと溶液の混合物をろ過して、セメントとろ液(溶液)を分離する。ろ過は、慣用のフィルターやろ過器を使用して行うことができる。 ろ過後、ろ液(溶液)を20±5℃に冷却し、内標準液としてトリエチレングリコール(以降、「TEG」と称す)を添加して、ガスクロマトグラフィーを用いて、ろ液(溶液)中のDEG量を測定する。この場合、ろ過後のろ液をそのまま使用してガスクロマトグラフィー分析することもできるが、ガスクロマトグラフィーでの測定の誤差が大きくなる可能性がある。そこで本発明では、ろ液を好ましくは20〜30倍に濃縮した濃縮液を使用してガスクロマトグラフィー分析することが好ましい。ろ液の濃縮は、ロータリーエバポレーター等を使用して行うことができる。 なお、TEGは、セメントに対して、0.005〜0.1質量%添加するのが好ましい。 また、溶液中のDEG量は、DEGとTEGの混合比を変化させた溶液をガスクロマトグラフィー分析して得られる検量線から求めることができる。 本発明において、セメント中の全DEGの溶液への抽出率は、セメント中に含まれるDEGの絶対量やセメントの粉砕条件(温度等)に影響を受けないで、ほぼ75質量%であるので、セメント中のDEG量は、以下の式により求めることができる。 セメント中のDEG量=DEG分析量/0.75 以下、実施例により本発明を説明する。実施例11.セメントの試製 普通ポルトランドセメントクリンカー100質量部と2水石膏3質量部とDEGをステンレス製ポットミル(φ105mm×L100mm、媒体:鋼鉄製7mmφ)で粉砕してセメントを試製した。なお、DEGの添加量は、セメントに対して200ppmとした。 粉砕直後のセメントの温度は、25℃であった。2.セメント中のDEGの抽出 エタノール100cm3に塩化リチウム100mgを添加してエタノール溶液を調製し、該エタノール溶液に上記セメント5gを添加し、60℃の水浴中で2時間攪拌した。攪拌後、セメントとエタノール溶液の混合物をメンブランフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ過後、ろ液を20℃まで冷却し50cm3分取した。前記分取したろ液にTEGを0.5mg添加後、ロータリーエバポレーターを用いて2cm3に濃縮した。3.エタノール溶液中のDEG量の測定 上記濃縮液を試料液として、ガスクロマトグラフィーを用いてエタノール溶液中のDEG量を測定した(測定装置及び測定条件は、表1に示す通りである)。 その結果、エタノール溶液中のDEG量は152ppmであった。実施例21.セメントの試製 普通ポルトランドセメントクリンカー100質量部と2水石膏3質量部とDEGをステンレス製ポットミル(φ105mm×L100mm、媒体:鋼鉄製7mmφ)で加熱しながら粉砕してセメントを試製した。なお、DEGの添加量は、セメントに対して200ppmとした。 粉砕直後のセメントの温度は、120℃であった。2.セメント中のDEGの抽出 エタノール100cm3に塩化リチウム100mgを添加してエタノール溶液を調製し、該エタノール溶液に上記セメント5gを添加し、60℃の水浴中で2時間攪拌した。攪拌後、セメントとエタノール溶液の混合物をメンブランフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ過後、ろ液を20℃まで冷却し50cm3分取した。前記分取したろ液にTEGを0.5mg添加後、ロータリーエバポレーターを用いて2cm3に濃縮した。3.エタノール溶液中のDEG量の測定 上記濃縮液を試料液として、ガスクロマトグラフィーを用いてエタノール溶液中のDEG量を測定した(測定装置及び測定条件は、表1に示す通りである)。 その結果、エタノール溶液中のDEG量は151ppmであった。実施例31.セメントの試製 普通ポルトランドセメントクリンカー100質量部と2水石膏3質量部とDEGをステンレス製ポットミル(φ105mm×L100mm、媒体:鋼鉄製7mmφ)で粉砕してセメントを試製した。なお、DEGの添加量は、セメントに対して300ppmとした。 粉砕直後のセメントの温度は、25℃であった。2.セメント中のDEGの抽出 エタノール100cm3に塩化リチウム100mgを添加してエタノール溶液を調製し、該エタノール溶液に上記セメント5gを添加し、60℃の水浴中で2時間攪拌した。攪拌後、セメントとエタノール溶液の混合物をメンブランフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ過後、ろ液を20℃まで冷却し50cm3分取した。前記分取したろ液にTEGを0.5mg添加後、ロータリーエバポレーターを用いて2cm3に濃縮した。3.エタノール溶液中のDEG量の測定 上記濃縮液を試料液として、ガスクロマトグラフィーを用いてエタノール溶液中のDEG量を測定した(測定装置及び測定条件は、表1に示す通りである)。 その結果、エタノール溶液中のDEG量は225ppmであった。 実施例1〜3から、本発明の方法では、セメント中に含まれるDEGの絶対量やセメントの粉砕条件(温度等)に影響を受けないで、セメント中の全DEGの75質量%がエタノール溶液へ抽出されたことが確認された。 従って、セメント中のDEG量は、DEG分析量/0.75によって求めることができる。比較例1(従来法) 実施例1で試製したセメント100gをエタノール100cm3に添加し、10分間振とう後、遠心分離(2600rpm×10分)した。遠心分離後、メンブランフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ過後、ろ液を50cm3分取した。前記分取したろ液にTEGを0.5mg添加後、ロータリーエバポレーターを用いて5cm3に濃縮した。 上記濃縮液を試料液として、ガスクロマトグラフィーを用いてエタノール中のDEG量を測定した(測定装置及び測定条件は、表1に示す通りである)。 その結果、エタノール中のDEG量は75ppmであった。 セメント中のジエチレングリコールをハロゲン化リチウムを含有する溶液で抽出した後、該溶液中のジエチレングリコール量をガスクロマトグラフィーを用いて測定することを特徴とするセメント中のジエチレングリコール量の定量方法。 ハロゲン化リチウムとして、塩化リチウムを用いる請求項1記載のセメント中のジエチレングリコール量の定量方法。 溶媒として、アルコール又はアセトンを用いる請求項1又は2に記載のセメント中のジエチレングリコール量の定量方法。 溶媒として、エタノールを用いる請求項1又は2に記載のセメント中のジエチレングリコール量の定量方法。 【課題】セメント中のジエチレングリコール量を正確に測定することができる定量方法を提供する。【解決手段】セメント中のジエチレングリコールをハロゲン化リチウムを含有する溶液で抽出した後、該溶液中のジエチレングリコール量をガスクロマトグラフィーを用いて測定するセメント中のジエチレングリコール量の定量方法。 ハロゲン化リチウムとしては塩化リチウムを用いることが好ましい。 溶媒としては、アルコール又はアセトンを用いることが好ましく、特に、エタノールを用いることが好ましい。


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