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タイトル:公開特許公報(A)_圧力損失推定方法、圧力損失推定装置、圧力損失推定プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体
出願番号:2005084428
年次:2006
IPC分類:G01N 15/08


特許情報キャッシュ

遠藤 禎行 JP 2006266824 公開特許公報(A) 20061005 2005084428 20050323 圧力損失推定方法、圧力損失推定装置、圧力損失推定プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体 住友化学株式会社 000002093 特許業務法人原謙三国際特許事務所 110000338 遠藤 禎行 G01N 15/08 20060101AFI20060908BHJP JPG01N15/08 D 11 1 OL 18 本発明は、単一粒子群を複数混合して成る粒子充填層である複数粒子群充填層に関して、該複数粒子群充填層を透過する流体の圧力損失を推定する圧力損失推定方法、圧力損失推定装置、圧力損失推定プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体に関するものである。 粒子充填層(固定層)の間隙を、液体、気体などの流体が透過する現象は、工業的には種々の装置で発生する。これらの装置の例としては、固液を分離する濾過装置、集塵のためのバグフィルタ、触媒粒子層にガスを通して反応させる触媒反応装置、および、湿った粉体を通気乾燥させる粉体乾燥装置が挙げられる。 上記現象が発生する場合、流体の流れは、粒子充填層からの抵抗などにより損失する。この損失を圧力の次元で表して圧力損失という。上記現象が発生する装置は、粒子充填層の圧力損失を予測した上で設計する必要がある。さもなくば、例えば、通液や通気が低下したり、それによって、反応や乾燥が不十分になったりといった不具合が発生する。 なお、本願では、粒子の周りの流体の流れが層流である、すなわち、ストークス域(粒径基準のレイノルズ数が5以下である領域)に限定している。この場合の圧力損失の関係式としては、最も簡単なダルシー(Darcy)の法則が知られている。ダルシーの法則は次式で表される。ΔP/H=(μ/k)×uS ・・・(1)。ここで、μは粘性率(Pa・s)であり、Hは粒子充填層の高さ(厚さ)(m)であり、uSは流体の空塔速度(見かけ速度)(m/s)である。また、kは粒子充填層の透過率であり、粒子充填層の物理的性質によって決まる無次元の定数である。 ダルシーの法則に対して、粒子充填層を1つの管とみなして管抵抗の概念を導入し、表面係数をφcとして球形以外の充填物を対象とすることにより、コゼニー・カーマン(Kozeny-Carman)の式が得られる。コゼニー・カーマンの式は次式の通りである。ΔP/H=180×(μ×uS/(φc2×dp2))×((1−ε)2/ε) ・・・(2)。ここで、dpは粒子の直径(粒径)(m)であり、εは空隙率(無次元)である。通常はコゼニー・カーマンの式を用いて、圧力損失を理論的に予測している(例えば、非特許文献1・2を参照)。社団法人化学工学会編,「化学工学便覧」,改訂6版,丸善株式会社,1999年2月25日,p.310−312社団法人化学工学会編,「現代の化学工学II」,初版,株式会社朝倉書店,1989年2月20日,p.39−41I. F. Macdonald, et al., Ind. Eng. Chem. Fundamentals, 18 (1979), 199-208M. J. Macdonald, et al., AIChE Journal, 37 (1991), 1583-1588Y. Li, et al., Ind. Eng. Chem. Res., 37 (1998), 2005-2011Y. Endo, et al., Filtration & Separation, March 1998, 191-195 しかしながら、コゼニー・カーマンの式は、粒径分布の狭い1種類の粒子からなる粒子充填層の場合にしか適用できないという問題点が存在する(例えば、非特許文献3を参照)。この問題点を解消するため、例えば非特許文献4〜6に記載のように、種々の圧力損失および透過率の関係式が提案されている。 非特許文献4には、ブレーク・コゼニー(Blake-Kozeny)の式を複数サイズの球形粒子に一般化することが開示されている。また、非特許文献4では、粒子形状が同じ球形であり、粒径分布が異なる3つの粒子群を混合したフリットガラスの粒子充填層について、空隙率および透過率を求める実験が行われている。また、非特許文献5には、種々の粒径分布を有する球形粒子から成る粒子充填層の透過率に関して開示されている。 このように、非特許文献4・5には、粒径分布の広い粒子から成る粒子充填層や、粒径分布の異なる複数の粒子群から成る粒子充填層に関する圧力損失および透過率の関係式が開示されている。しかしながら、非特許文献4・5では、粒子が球形である場合に限定されているため、粒子が砂などの非球形である場合には、上記圧力損失および透過率の関係式を満たさない虞がある。 一方、本発明者は、非特許文献6において、異なる粒径分布を有する2つの粒子群を混合した粒子充填層に関する圧力損失の関係式を提案している。非特許文献6では、粒子の形状は、球形粒子でなくてもよい。しかしながら、非特許文献6では、各粒子群の粒径分布が対数正規分布に従うと仮定している。 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、単一粒子群を複数混合して成る複数粒子群充填層に関して、各単一粒子群の粒径分布および粒子形状に関係なく、圧力損失を推定できる圧力損失推定方法などを提供することにある。 上記の課題を解決するため、本発明に係る圧力損失推定方法は、単一粒子群を複数混合して成る粒子充填層である複数粒子群充填層に関して、該複数粒子群充填層を透過する流体の圧力損失ΔPを推定する圧力損失推定方法であって、前記単一粒子群は、該単一粒子群から成る粒子充填層である単一粒子群充填層が、ΔP’/H’=(μ’/k’)×uS’ ・・・(1)’、(但し、H’:前記単一粒子群充填層の高さ、μ’:前記単一粒子群充填層を透過する流体の粘性率、k’:前記単一粒子群充填層を透過する流体の透過率、uS’:前記単一粒子群充填層を透過する流体の空塔速度)を充足する単一粒子群であって、各単一粒子群充填層における前記比μ’/k’を取得するステップと、前記複数粒子群充填層を透過する流体の体積流量Qを取得するステップと、前記複数粒子群充填層を所定寸法のセルに細分し、前記複数粒子群充填層を構成する複数の前記単一粒子群の構成比に従って、複数の前記単一粒子群に関する複数の前記単一粒子群充填層を、前記複数のセルにそれぞれ配置したセルモデルを構築するステップと、構築されたセルモデルの各セルに関して、隣接するセルから流入する流体、または隣接するセルに流出する流体が受ける抵抗Rを、前記セルの寸法と、前記セルに配置された前記単一粒子群充填層の前記比μ’/k’とに基づいて算出するステップと、各セルに流体の合流点を有し、隣接する2つのセルの前記合流点間を流れる流体は、該2つのセルにそれぞれ配置された2つの前記単一粒子群充填層の前記抵抗Rを受ける流路モデルを構築するステップと、構築された流路モデルに対して、前記体積流量Qを利用することにより、前記流体が前記流路モデルを透過することにより生じる圧力損失ΔPを算出するステップとを含むことを特徴としている。 上記の方法によると、単一粒子群を複数混合して成る複数粒子群充填層を、上式(1)’を充足する単一粒子群充填層が配置されるセルに細分化している。前記単一粒子群充填層では、比μ’/k’が一定であるから、比μ’/k’とセルの寸法とを用いて、該セルにて流体が受ける抵抗Rを求めることができる。これにより、抵抗Rが既知の流路モデルを構築することができ、流体の体積流量Qに基づいて圧力損失ΔPを求めることができる。したがって、各単一粒子群充填層が上式(1)’を充足することを前提として、単一粒子群の種類や、粒径分布や、粒子形状に関係なく、複数粒子群充填層を透過する流体の圧力損失ΔPを推定することができる。 なお、前記比μ’/k’を取得するステップにおいて、前記比μ’/k’は、前記式(1)’を利用して、前記流体の空塔速度uS’と、単位厚さ当りの圧力損失ΔP’/H’とから取得することが好ましい。この場合、単一粒子群充填層に対して、流体の透過特性試験を行って、前記流体の空塔速度uS’と、単位厚さ当りの圧力損失ΔP’/H’との比を求めることにより、容易に比μ’/k’を取得することができる。 また、複数の単一粒子群が充分に混合された複数粒子群充填層は、単一粒子群充填層をランダムに配置した構成となっていることが考えられる。そこで、前記セルモデルを構築するステップにおいて、前記セルモデルは、複数の前記単一粒子群充填層を、前記複数のセルにそれぞれランダムに配置したセルモデルであることが好ましい。この場合、圧力損失ΔPをより精度良く推定することができる。 また、前記複数粒子群充填層の寸法を取得するステップをさらに含んでおり、前記セルモデルを構築するステップにおいて、前記複数粒子群充填層の寸法に基づいて、前記複数粒子群充填層を所定寸法のセルに細分することが好ましい。この場合、種々の寸法の複数粒子群充填層に関して圧力損失ΔPを推定することができる。 また、前記圧力損失ΔPを算出するステップは、前記流路モデルに対して、前記流体の体積流量Qを電流値に対応付け、前記流体の合流点を接続点に対応付け、前記抵抗Rを電気抵抗に対応付け、前記圧力損失を電圧降下に対応付けて、キルヒホッフの法則を利用することにより、前記流路モデル全体の圧力損失を求め、これを前記複数粒子群充填層の圧力損失ΔPとするステップであることが好ましい。 この場合、流路モデルを電気回路網に置き換えることができる。この電気回路網は、キルヒホッフの法則を利用することにより、複数の線形一次方程式に置き換えることができる。したがって、線形一次方程式の解法を含むコンピュータプログラムをコンピュータ上で実行することにより、電気回路網全体の電圧降下を容易に求めることができる。これにより、上記コンピュータプログラムを利用して、圧力損失ΔPを容易に推定することができる。 また、前記セルは同一寸法の立方体であることが好ましい。この場合、隣接するセルから流入する流体、または隣接するセルに流出する流体が受ける抵抗Rは、隣接する方向に関わらず同一となるので、計算を簡略化することができる。 なお、圧力損失ΔPを精度良く推定するには、セルの寸法を小さくして、セルの数を増やすことが好ましい。具体的には、セルの一辺の長さを5mm以下にすることが好ましく、約3.4mmにすることがより好ましい。 本発明に係る圧力損失推定装置は、前記複数粒子群充填層を透過する流体の圧力損失ΔPを推定する圧力損失推定装置であって、前記単一粒子群は、前記単一粒子群充填層が、上式(1)’を充足する単一粒子群であって、各単一粒子群充填層の前記比μ’/k’を取得する単一粒子群充填層特性取得手段と、前記複数粒子群充填層を透過する流体の体積流量Qを取得する流体特性取得手段と、前記複数粒子群充填層を所定寸法のセルに細分し、前記複数粒子群充填層を構成する複数の前記単一粒子群の構成比に従って、複数の前記単一粒子群に関する複数の前記単一粒子群充填層を、前記複数のセルにそれぞれ配置したセルモデルを構築するセルモデル構築手段と、構築されたセルモデルの各セルに関して、隣接するセルから流入する流体、または隣接するセルに流出する流体が受ける抵抗Rを、前記セルの寸法と、前記セルに配置された前記単一粒子群充填層の前記比μ’/k’とに基づいて算出する抵抗算出手段と、各セルに流体の合流点を有し、隣接する2つのセルの前記合流点間を流れる流体は、該2つのセルにそれぞれ配置された2つの前記単一粒子群充填層の前記抵抗Rを受ける流路モデルを構築する流路モデル構築手段と、構築された流路モデルに対して、前記体積流量Qを利用することにより、前記流体が前記流路モデルを透過することにより生じる圧力損失ΔPを算出する圧力損失算出手段とを備えることを特徴としている。 上記の構成によると、単一粒子群を複数混合して成る複数粒子群充填層を、上式(1)’を充足する単一粒子群充填層が配置されるセルに細分化している。前記単一粒子群充填層では、比μ’/k’が一定であるから、比μ’/k’とセルの寸法とを用いて、該セルにて流体が受ける抵抗Rを求めることができる。これにより、抵抗Rが既知の流路モデルを構築することができ、流体の体積流量Qに基づいて圧力損失ΔPを求めることができる。したがって、各単一粒子群充填層が上式(1)’を充足することを前提として、単一粒子群の種類や、粒径分布や、粒子形状に関係なく、複数粒子群充填層を透過する流体の圧力損失ΔPを推定することができる。 なお、上記の圧力損失推定方法における各ステップを、圧力損失推定プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、前記圧力損失推定プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で前記圧力損失推定プログラムを実行させることができる。 以上のように、本発明に係る圧力損失推定方法は、単一粒子群を複数混合して成る複数粒子群充填層を、上式(1)’を充足する単一粒子群充填層が配置されるセルに細分化することにより、単一粒子群の種類や、粒径分布や、粒子形状に関係なく、複数粒子群充填層を透過する流体の圧力損失ΔPを推定できるという効果を奏する。 本発明の実施形態について説明する前に、本発明の圧力損失推定方法の概要について、図2〜図8を参照しつつ説明する。 上述のように、粒子充填層(固定層)を流体が透過するときの圧力損失に関する最も簡単な法則としては、次式で示されるダルシーの法則が知られている。ΔP/H=(μ/k)×uS ・・・(1)。また、ストークス近似が成立する条件下では、上述のコゼニー−カーマンの式(式(2))、およびルース(Ruth)の式は、例えば濾材、フィルタなど、粒子充填層を支持する物体の抵抗を無視すると、上記のダルシーの法則に従う。ダルシーの法則を利用すれば、後述する流体透過特性試験を一度行って、流体の空塔速度uSと単位厚さ当りの圧力損失ΔP/Hとから比(μ/k)を取得することにより、粒子充填層の任意の高さHと流体の任意の空塔速度uSとにおける圧力損失ΔPを推定することができる。 空塔速度uSは粒子充填層の断面領域における単位面積当りの体積流量に等しいから、式(1)に示されるダルシーの法則は次式で表すことができる。ΔP=(μ/k)×H×(Q/A) ・・・(3)。ここで、Qは流体の体積流量(m3/s)であり、Aは粒子充填層の断面積(m2)である。流体の空塔速度uSの代わりに、流体の体積流量Qを用いる理由は後述する。 式(3)は変形すると次式となる。ΔP=Rp×Q (但し、Rp≡(μ/k)×(H/A)) ・・・(4)。この式(4)から、比(μ/k)のみが、流体の粘性と、粒子充填層の特性(例えば、粒径分布、粒子の形状、および空隙率)とに依存することが理解できる。 即ち、上記比(μ/k)は、流体が同じであり、かつ粒子充填層を構成する粒子群が同じである場合には一定であるが、粒子群の構成または構成比が変わる場合には変化することになる。この場合、圧力損失ΔPを推定するには、流体透過特性試験を再度行って比(μ/k)を取得する必要があり煩雑である。 この問題点に対し、本発明者は、粒子充填層を構成する複数の粒子群(以下「単一粒子群」と称する。)のそれぞれに関して、該単一粒子群から成る粒子充填層(以下「単一粒子群充填層」と称する。)の比(μ’/k’)を流体透過特性試験などにより予め取得しておき、各単一粒子群充填層の比(μ’/k’)に基づいて、単一粒子群を複数混合してなる粒子充填層(以下「複数粒子群充填層」と称する。)の比(μ/k)を算出する方法を案出した。これにより、単一粒子群の構成または構成比が変わっても、単一粒子群充填層の比(μ’/k’)が既知であれば、複数粒子群充填層の比(μ/k)を算出できるので圧力損失ΔPを容易に推定することができる。 以下、各単一粒子群充填層の比(μ’/k’)と複数粒子群充填層の比(μ/k)との関係について説明する。なお、以下の「粒子充填層」は、単一粒子群充填層および複数粒子群充填層の何れにも適用可能なものを示している。 まず、本発明者は、粒子充填層を電気回路に対応付けることを考えた。式(4)は、電気回路におけるオームの法則に類似している。オームの法則は、理想的な導体における電圧Vと電流Iとの関係を次式で示すものである。V=Re×I (但し、Re≡ρ×(L/S)) ・・・(5)。ここで、Reは導体の電気抵抗(Ω)であり、ρは電気抵抗率(比抵抗)(Ω・m)であり、Lは導体の長さ(m)であり、Sは導体の断面積(m2)である。比抵抗ρは、導体に固有のものである。 式(4)および(5)を比較すると、電圧降下Vは圧力損失ΔPに対応し、電流Iは体積流量Qに対応し、電気抵抗Reは関数Rpに対応し、比抵抗ρは比(μ/k)に対応し、粒子充填層の高さHは導体の長さLに対応し、粒子充填層の断面積Aは導体の断面積Sに対応することが理解できる。このように、ダルシーの法則をオームの法則に対応付けるため体積流量Qを使用している。なお、以下では、上記関数Rpを「抵抗」と称する。 したがって、抵抗器を流れる電流は、対象となっている粒子充填層の断面領域を横切る全体の流れ、すなわち体積流量Qと等価である。また、上記の類似性から、比抵抗ρおよび比(μ/k)は、材料の特性に関連するものであり、したがって一定であると考えられる。 図2(a)・(b)は、上記対応付けを図にて示すものである。同図(a)は、流体が粒子充填層を透過するときの圧力損失ΔP、体積流量Q、および抵抗Rpを示しており、同図(b)は、電流が抵抗器を流れるときの電圧降下V、電流I、および電気抵抗Reを示している。また、図3(a)は、流体が2つの粒子充填層を直列に透過する状態を示しており、同図(b)は、流体が2つの粒子充填層を並列に透過する状態を示している。図2(a)・(b)の関係を参照すると、直列接続した粒子充填層は、直列接続した抵抗器に対応付けることができ、並列接続した粒子充填層は、並列接続した抵抗器に対応付けることができると考えられる。 したがって、一方の粒子充填層における抵抗をRp1とし、他方の粒子充填層における抵抗をRp2とすると、直列接続した2つの粒子充填層(図3(a))の全抵抗RpTは、直列接続した2つの抵抗器の全抵抗の公式と同様に次式となる。RpT=Rp1+Rp2 ・・・(6)。一方、並列接続した2つの粒子充填層(図3(b))の全抵抗RpTは、並列接続した2つの抵抗器の全抵抗の公式と同様に次式となる。1/RpT=1/Rp1+1/Rp2 ・・・(7)。なお、以下では、粒子充填層の抵抗Rpと抵抗器の電気抵抗Reとを区別するために用いた添え字e・pを省略する。 次に、本発明者は、複数粒子群充填層が小寸法の単一粒子群充填層を多数組み合わせたものであると考え、前記複数粒子群充填層を所定寸法のセルCiに細分し、前記複数粒子群充填層を構成する複数の前記単一粒子群の構成比に従って、複数の前記単一粒子群に関する複数の前記単一粒子群充填層を、前記複数のセルにそれぞれ配置したセルモデルを構築することを考えた。そして、単一粒子群充填層の比(μ’/k’)と式(4)とから、各セルCiの上記抵抗Riを求め、求めた抵抗Riを用いて、複数粒子群充填層の全抵抗RTを求め、求めた全抵抗RTと体積流量Qとを式(4)に適用して圧力損失ΔPを求めることを考えた。 図4は、粒子充填層を多数(図示の場合は8×8×8=512個)のセルに分割したセルモデルの例を示している。また、図5は、各セルCiの流路モデルを回路記号で示している。各セルCiは、隣接するセルと相互に接続している。このため、各セルCiの流路モデルは、中心に合流点(ノード)nodを有し、合流点nodから隣接するセルに向けて抵抗Riが設けられた構成となっている。 また、図6は、隣接する複数のセルの流路モデルを回路記号で示しており、同図(a)は平面的に示したものであり、同図(b)は立体的に示したものである。なお、同図(a)にて黒点で示される合流点と側壁Wとの間の抵抗器は除外されている。これは、粒子充填層から側壁への流れが存在しないとみなしているためである。 上記のように、各セルが、隣接するセルと相互に接続しているため、複数粒子群充填層の流路モデルは、抵抗が相互に接続した複雑な回路網となる。したがって、複数粒子群充填層の全抵抗RTを求めることは困難である。そこで、抵抗器の複雑な電気回路網による電圧降下を求めるために利用されるオームの法則とキルヒホッフの第一法則とを、本願発明に適用している。 図7は、キルヒホッフの第一法則を説明するための簡単な例を示している。キルヒホッフの第一法則によると、或る接続点に流入する電流の総和は、上記接続点から流出する電流の総和に等しい。図示の例では、キルヒホッフの第一法則は次式に対応付けることができる。Q1=Q2+Q3 ・・・(8)。また、接続点に流入する電流を正とし、接続点から流出する電流を負とすると、キルヒホッフの第一法則は、或る接続点における電流の総和はゼロであるといえる。したがって、図示の例では、キルヒホッフの第一法則は次式に対応付けることができる。Q1−Q2−Q3=0 ・・・(9)。上式(8)または上式(9)を各合流点nodに適用することにより、セルごとの線形一次方程式が得られる。 図8は、2次元の流路モデルを回路記号で示している。図示の場合では、合流点aにおいて、キルヒホッフの第一法則は次式に対応付けることができる。Q’(b→a)+Q’(c→a)+Q’(d→a)+Q’(e→a)=0 ・・・(10)。ここで、Q’(b→a)は、合流点bから合流点aに流れる流体の体積流量を表し、その他の合流点に関しても同様である。 上式(10)にオームの法則を対応付けると次式となる。(ΔP’(b→a)/R(b→a))+(ΔP’(c→a)/R(c→a))+(ΔP’(d→a)/R(d→a))+(ΔP’(e→a)/R(e→a))=0 ・・・(11)。ここで、ΔP’(b→a)は、合流点bから合流点aまでの圧力損失を表し、その他の合流点に関しても同様である。また、R(b→a)は、合流点bから合流点aまでの全抵抗を表し、その他の合流点に関しても同様である。 次に、合流点a〜eのそれぞれにおける圧力をP’a〜P’eとする。また、合流点bから合流点aまでには、合流点bに対応するセルの抵抗Rbと、合流点aに対応するセルの抵抗Raとが含まれるとする。この場合、上式(11)は次式となる。((P’b−P’a)/(Rb+Ra))+((P’c−P’a)/(Rc+Ra))+((P’d−P’a)/(Rd+Ra))+((P’e−P’a)/(Re+Ra))=0 ・・・(12)。 なお、各セルは、構成が均一である最小の体積単位とすることが望ましい。また、抵抗Rは、比(μ’/k’)だけでなく、断面積に対する高さの比(H’/A’)にも依存するので、セルは、内部で垂直方向の抵抗と水平方向の抵抗とが同じとなるように、正方形または立方体であることが好ましい。この場合、上式(12)のように、合流点aの周囲の抵抗全てがRaに等しくなる。また、上式(12)は、3次元の流路モデルに容易に拡張できる。具体的には、図8の記載された図面の法線方向に隣り合う2つの合流点に関する2つの項を上式(12)に追加すればよい。 回路網に対応付けられる流路モデル、すなわち粒子充填層の複雑さが増すにつれて、線形一次方程式および未知数の数が急激に増加する。したがって、これらの線形一次方程式の解法を含むコンピュータプログラム(例えば、フォートラン(Compaq Visual Fortran Version 6 (Hewlett-Packard Development Company, L.P.))で書かれたプログラム)をコンピュータ上で実行することにより、上記線形一次方程式の解を求めることが望ましい。この場合、流路モデル全体の圧力損失ΔPを容易に求めることができる。 ユーザは、例えば、複数粒子群充填層の寸法および体積流量Qと、各セルに配置される単一粒子群充填層の比(μ’/k’)といったパラメータを入力すると、上記プログラムが上記線形一次方程式を生成して解くことを自動的に行う。上記プログラムの出力は、合流点間の圧力損失ΔP’および体積流量Q’を含んでいる。したがって、流路モデルにおける上端部の合流点から下端部の合流点までの圧力損失を求めることにより、複数粒子群充填層における圧力損失ΔPを求めることができる。なお、上記プログラムは、体積流量Qを変えて再実行することにより、圧力損失と体積流量との関係を容易に取得できる。 〔実施の形態〕 次に、本発明の一実施形態について図1および図9〜図15を参照しつつ説明する。図9は、或る粒子充填層を流体が透過する時の圧力損失を推定する圧力損失推定システムの概要を示している。図示のように、圧力損失推定システム1は、流体透過特性試験機2および圧力損失推定装置3を備える構成である。これらの装置2・3は、一般的なコンピュータと同様の構成を有している。なお、本実施形態では、流体として圧縮乾燥空気を用いているが、液体などその他の流体に対しても同様に適用することができる。 流体透過特性試験機2は、混合される各単一粒子群に関して、該単一粒子群から成る単一粒子群充填層の流体透過特性を測定して出力するものである。また、圧力損失推定装置3は、流体透過特性試験機2が測定した各単一粒子群の流体透過特性を用いて、各単一粒子群を混合して成る複数粒子群充填層における圧力損失を推定して出力するものである。以下、上記装置2・3のそれぞれについて詳述する。 なお、上記の装置2・3おいて、外部に情報を出力する形態としては、任意の形態を利用することができ、例えば、印刷媒体にデータを印刷する形態、記録媒体にデータを記録する形態、および、通信媒体を介して外部の装置にデータを送信する形態が挙げられる。同様に、外部から情報を入力する形態としては、任意の形態を利用することができ、例えば、印刷媒体のスキャニングを行う形態、記録媒体からデータを読み出す形態、および、外部の装置から通信媒体を介してデータを受信する形態が挙げられる。 まず、流体透過特性試験機2の詳細について図10を参照しつつ説明する。図10は、流体透過特性試験機2の概略構成を示している。図示のように、流体透過特性試験機2は、充填塔11、ポンプ12、圧力計13、制御装置14、流量計15、およびバグフィルタ16を備える構成である。 充填塔11は、断面が正方形の筒状であり、略鉛直方向に立設している。充填塔11内の中央から稍下方には分散板20が設けられ、分散板20の上には粒子充填層21が配置される。分散板20は、粉体が下方へ落下することを防止する一方で、圧縮乾燥空気を下方に透過させるものである。分散板20には、例えば、多孔板や網が利用される。 また、充填塔11内における分散板20の下方と粒子充填層21の上方とには、空気圧を検知して電気信号に変換する感圧素子22・23がそれぞれ設けられている。感圧素子22・23は、変換した電気信号を外部の圧力計13に出力する。 なお、充填塔11としては、乾燥空気を粉体に通して粉体を乾燥させる乾燥装置や気相で粉体を触媒と反応させる反応装置、気液または固液を分離する濾過装置などを流用することができる。 ポンプ12は、充填塔11に乾燥した圧縮空気(以下、「乾燥圧縮空気」と略称する。)を供給するものである。ポンプからの乾燥圧縮空気は、流量計15を介して、充填塔11の上端から内部に供給される。流量計15は、ポンプからの圧縮乾燥空気の流量を測定するものである。 圧力計13は、充填塔11内に設けられた感圧素子22・23からの電気信号に基づいて、粒子充填層21の下方の空気圧に対する分散板20の上方の空気圧の差圧を求めるものである。すなわち、この差圧は、粒子充填層21を透過する前の空気と、粒子充填層21を透過した後の空気との圧力損失ΔPとなる。 制御装置14は、流体透過特性試験機2内の各種構成を統括的に制御するものである。バグフィルタ16は、充填塔11から排出される空気の流路に設けられており、充填塔11から排出される空気に含まれる粉体を、フィルタバッグを用いて濾過収集するものであり、粉体が外部に漏れることを防止するものである。 次に、圧力損失推定装置3の詳細について、図1および図11を参照しつつ説明する。図11は、圧力損失推定装置3の概略構成を示している。図示のように、圧力損失推定装置3は、入力部30、制御部31、記憶部32、および出力部33を備える構成である。 入力部30は、入力デバイス、スキャンデバイス、再生デバイス、受信デバイスなどを用いて、流体透過特性試験機2からの情報の入力を受け付けるものである。また、入力部30は、入力された情報を制御部31に送信する。 なお、入力デバイスの例としては、キーボード、テンキー、カーソルキー、例えばマウスなどのポインティングデバイス、およびタッチパネルが挙げられる。また、再生デバイスは、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどの外部記録媒体に記録されたデータを再生するものであり、例えば、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、MOドライブなどが挙げられる。 制御部31は、圧力損失推定装置3における各構成を統括的に制御するものである。なお、制御部31の詳細な構成については後述する。 記憶部32は、各種情報を記憶する機能を有するものである。記憶部32の例としては、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリと、ハードディスクとが挙げられる。本実施形態では、記憶部32は、セルの寸法を記憶している。 出力部33は、制御部31から受信した圧力損失ΔPなどのデータを、印刷出力デバイス、記録デバイス、送信デバイスなどを用いて出力するものである。なお、記録デバイスは、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどの外部記録媒体にデータを記録するものであり、例えば、フレキシブルディスクドライブ、CD−Rドライブ、MOドライブなどが挙げられる。 次に、制御部31の構成について説明する。図11に示されるように、制御部31は、数値取得部(単一粒子群充填層特性取得手段、流体特性取得手段)40、セルモデル構築部(セルモデル構築手段)41、抵抗決定部(抵抗算出手段)42、流路モデル構築部(流路モデル構築手段)43、および圧力損失算出部(圧力損失算出手段)44を備える構成である。 数値取得部40は、流体透過特性試験機2から入力部30を介して、各単一粒子群に関する比μ’/k’を取得するものである。また、数値取得部40は、入力部30から入力された複数粒子群充填層の寸法と、圧縮乾燥空気の体積流量Q(m3/s)とを取得するものである。数値取得部40は、複数粒子群充填層の寸法をセルモデル構築部41に送信し、各単一粒子群に関する比μ’/k’を抵抗決定部42に送信し、かつ、体積流量Qを圧力損失算出部44に送信する。 セルモデル構築部41は、数値取得部40からの複数粒子群充填層の寸法と、記憶部32からのセルの寸法とに基づいて、セルの配列(数および配置)を決定するものである。また、セルモデル構築部41は、決定したセルの配列情報を流路モデル構築部43に送信する。例えば、複数粒子群充填層の寸法が縦60×横60×高さ60(mm3)であり、セルの寸法が一辺3.3mmの立方体である場合、セルを縦方向に18個、横方向に18個、高さ方向18個それぞれ配列した、合計5832個のセルからなるセルモデルが構築されることになる。 抵抗決定部42は、数値取得部40からの各単一粒子群に関する比μ’/k’と、記憶部32からのセルの寸法とに基づいて、上述のように、或る単一粒子群からなるセルの抵抗Rを単一粒子群ごとに決定するものである。また、抵抗決定部42は、決定した抵抗Rを流路モデル構築部43に送信する。 流路モデル構築部43は、セルモデル構築部41からのセルの配列情報と、抵抗決定部42からの抵抗Rとに基づいて、複数粒子群充填層の流路モデルを構築する。具体的には、まず、複数粒子群充填層を構成する複数の単一粒子群の構成比に従って、複数の単一粒子群に関する複数の単一粒子群充填層を、複数のセルにそれぞれランダムに配置する。そして、各セルに配置された単一粒子群充填層を、図5に示される流路モデルに変換し、隣接するセルの流路モデルどうしを接続することにより、複数粒子群充填層の流路モデルを構築する。流路モデル構築部43は、構築された流路モデルに基づいて、上式(12)のような各合流点における方程式を作成し、圧力損失算出部44に送信する。 圧力損失算出部44は、流路モデル構築部43からの方程式に、数値取得部40からの体積流量Qを代入して解くことにより、流路モデル全体の圧力損失ΔPを算出し、これを複数粒子群充填層における圧力損失ΔPとするものである。また、圧力損失算出部44は、求めた圧力損失ΔPを体積流量Qと共に出力部33に出力する。 図1は、上記構成の圧力損失推定システム1が行う圧力損失ΔPの推定処理を示している。図示のように、まず、流体透過特性試験機2が、個々の単一粒子群について流体(本実施形態では圧縮乾燥空気)の透過特性試験を行って、比μ’/k’を取得する(ステップS10(以下「S10」と略称することがある。他のステップについても同様である。))。 次に、数値取得部40が、複数粒子群充填層の寸法と、流体の体積流量Qと、流体透過特性試験機2が取得した各単一粒子群に関する比μ’/k’とを取得する(S11)。次に、セルモデル構築部41が、複数粒子群充填層の寸法とセルの所定寸法とに基づいて、セルの数および配置を決定する(S12)。また、抵抗決定部42が、各単一粒子群に関する比μ’/k’とセルの所定寸法とに基づいて、各セルの抵抗Rを決定する(S13)。 次に、決定されたセルの数および配置と、決定された各セルの抵抗Rとに基づいて、流路モデル構築部43が流路モデルを構築する(S14)。次に、構築された流路モデルと、流体の体積流量Qとに基づいて、圧力損失算出部44が複数粒子群充填層の圧力損失ΔPを算出する(S15)。そして、算出された圧力損失ΔPを出力部33が出力する(S16)。その後、圧力損失ΔPの推定処理が終了する。 〔実施例〕 上記実施形態の圧力損失推定システム1を用いて、各単一粒子群に対して圧縮乾燥空気の透過特性試験を行って、各単一粒子群に関する比μ’/k’を計測した。図12および図13には、上記構成の流体透過特性試験機2を用いた実施例を示している。 図12は、使用した単一粒子群と、各単一粒子群の平均粒径(μm)、空隙率ε、および単一粒子群充填層の高さH’(mm)とを表形式で示している。同図において、GB A〜Cは、それぞれ平均粒径および空隙率の異なる3種類のガラスビーズである。また、PP A〜Cは、平均粒径の異なる3種類のポリプロピレンである。 また、図13は、図12に示される単一粒子群のそれぞれに対して流体透過特性試験を行うことにより求められたグラフである。このグラフは、流体の空塔速度uS’(m/s)と、単一粒子群充填層の単位高さ当りの圧力損失ΔP’/H’(Pa/m)との対応関係を示している。ダルシーの法則(上式(1))によると、上記グラフの傾きが比μ’/k’に相当する。したがって、図13に示されるグラフから、図12に示されるような、各単一粒子群に関する傾き(比μ’/k’)(Pa・s/m2)の測定値を取得した。この測定値を圧力損失推定装置3に出力した。 そして、各単一粒子群に関する比μ’/k’の測定値を用いて流路モデルを構築し、圧力損失ΔPを算出した。その結果、図14に示される表と、図15に示されるグラフとが得られた。図14は、混合したガラスビーズと、混合したポリプロピレンとに関して、圧縮乾燥空気の体積流量Qを5×10−5m3/sで一定とし、粒子充填層の高さを種々に変えて実験を行ったものである。図示において、実験値は、流体透過特性試験機2にて複数粒子群充填層を形成して実際に計測された圧力損失ΔPであり、計算値は、圧力損失推定装置3が算出した圧力損失ΔPである。図15は、これらの実験値と計算値との関係を示すものである。図15を参照すると、本実施例で算出された圧力損失ΔPが、実験値とほぼ一致することが理解できる。 なお、圧力損失ΔPを精度良く求めるには、セルの寸法を小さくして、セルの数を増やすことが考えられる。そこで、セルの寸法を種々に変更して圧力損失ΔPを推定したところ、前記セルの一辺の長さが5mm以下であれば、実験値と計算値との誤差が良好に収束した。一方、セルの数が増えると、方程式および未知数の数が急激に増加して計算処理に費やす時間が急激に増加することになる。そこで、セルの寸法を種々に変更して圧力損失ΔPの計算に費やす時間を測定したところ、セルの一辺の長さが約3.4mmであれば、圧力損失ΔPを短時間かつ精度良く求めることができた。 また、本実施例では、3つの粒子群を混合しているが、2つの粒子群を混合してもよいし、4つ以上の粒子群を混合してもよい。 本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。 例えば、上記実施形態では、断面正方形の充填塔11が用いられ、これにより粒子充填層21は、断面正方形の直方体となっている。しかしながら、任意の断面形状の充填塔11を用いることができる。例えば、断面円形の充填塔11を用いる場合、粒子充填層21は円柱となる。このとき、円周側壁付近で三角柱のセルを利用し、その他の領域で立方体のセルを利用してもよい。 また、圧力損失推定装置3の各構成は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。 すなわち、圧力損失推定装置3は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである圧力損失推定装置3の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、圧力損失推定装置3に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。 上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。 また、圧力損失推定装置3を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された搬送波あるいはデータ信号列の形態でも実現され得る。 以上のように、単一粒子群を複数混合して成る複数粒子群充填層の圧力損失ΔPを、各単一粒子群から成る単一粒子群充填層における比μ’/k’と、流体の体積流量Qとから精度良く推定できるので、固液を分離する濾過装置、集塵のためのバグフィルタ、触媒粒子層にガスを通して反応させる触媒反応装置、および、湿った粉体を通気乾燥させる粉体乾燥装置などの設計に利用できる。本発明の一実施形態である圧力損失推定システムの処理動作を示すフローチャートである。同図(a)は、流体が粒子充填層を透過する状態を示す図であり、同図(b)は、電流が抵抗器を流れる状態を示す回路図である。同図(a)は、流体が2つの粒子充填層を直列に透過する状態を示す図であり、同図(b)は、流体が2つの粒子充填層を並列に透過する状態を示す図である。複数粒子群充填層をセルに細分化した状態を示す斜視図である。或るセルを流体が透過するときの流路モデルを回路記号で示す斜視図である。隣接する複数のセルの流路モデルを回路記号で示す図であり、同図(a)は側面図であり、同図(b)は斜視図である。キルヒホッフの第一法則を説明するための簡単な例を示す図である。2次元の流路モデルを回路記号で示す図である。上記圧力損失推定システムの概略構成を示すブロック図である。上記圧力損失推定システムにおける流体透過特性試験機の概略構成を示すブロック図である。上記圧力損失推定装置の概略構成を示すブロック図である。本発明の一実施例において使用した単一粒子群と、各単一粒子群の平均粒径、空隙率、単一粒子群充填層の高さ、および傾きとを表形式で示す図である。上記実施例において、流体の空塔速度と、単一粒子群充填層の単位厚さ当りの圧力損失との関係を示すグラフである。上記実施例において、単一粒子群を複数混合して成る複数粒子群充填層における圧力損失の実験値および計算値を表形式で示す図である。上記実験値と上記計算値との関係を示すグラフである。符号の説明 2 流体透過特性試験機 3 圧力損失推定装置 21 粒子充填層 40 数値取得部(単一粒子群充填層特性取得手段、流体特性取得手段) 41 セルモデル構築部(セルモデル構築手段) 42 抵抗決定部(抵抗算出手段) 43 流路モデル構築部(流路モデル構築手段) 44 圧力損失算出部(圧力損失算出手段) Ci セル ΔP 圧力損失 Q 流体の体積流量 nod 合流点 単一粒子群を複数混合して成る粒子充填層である複数粒子群充填層に関して、該複数粒子群充填層を透過する流体の圧力損失ΔPを推定する圧力損失推定方法であって、 前記単一粒子群は、該単一粒子群から成る粒子充填層である単一粒子群充填層が、ΔP’/H’=(μ’/k’)×uS’ ・・・(1)’、(但し、H’:前記単一粒子群充填層の高さ、μ’:前記単一粒子群充填層を透過する流体の粘性率、k’:前記単一粒子群充填層を透過する流体の透過率、uS’:前記単一粒子群充填層を透過する流体の空塔速度)を充足する単一粒子群であって、 各単一粒子群充填層における前記比μ’/k’を取得するステップと、 前記複数粒子群充填層を透過する流体の体積流量Qを取得するステップと、 前記複数粒子群充填層を所定寸法のセルに細分し、前記複数粒子群充填層を構成する複数の前記単一粒子群の構成比に従って、複数の前記単一粒子群に関する複数の前記単一粒子群充填層を、前記複数のセルにそれぞれ配置したセルモデルを構築するステップと、 構築されたセルモデルの各セルに関して、隣接するセルから流入する流体、または隣接するセルに流出する流体が受ける抵抗Rを、前記セルの寸法と、前記セルに配置された前記単一粒子群充填層の前記比μ’/k’とに基づいて算出するステップと、 各セルに流体の合流点を有し、隣接する2つのセルの前記合流点間を流れる流体は、該2つのセルにそれぞれ配置された2つの前記単一粒子群充填層の前記抵抗Rを受ける流路モデルを構築するステップと、 構築された流路モデルに対して、前記体積流量Qを利用することにより、前記流体が前記流路モデルを透過することにより生じる圧力損失ΔPを算出するステップとを含むことを特徴とする圧力損失推定方法。 前記比μ’/k’を取得するステップにおいて、前記比μ’/k’は、前記式(1)’を利用して、前記流体の空塔速度uS’と、単位厚さ当りの圧力損失ΔP’/H’とから取得することを特徴とする請求項1に記載の圧力損失推定方法。 前記セルモデルを構築するステップにおいて、前記セルモデルは、複数の前記単一粒子群充填層を、前記複数のセルにそれぞれランダムに配置したセルモデルであることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力損失推定方法。 前記複数粒子群充填層の寸法を取得するステップをさらに含んでおり、 前記セルモデルを構築するステップにおいて、前記複数粒子群充填層の寸法に基づいて、前記複数粒子群充填層を所定寸法のセルに細分することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の圧力損失推定方法。 前記圧力損失ΔPを算出するステップは、前記流路モデルに対して、前記流体の体積流量Qを電流値に対応付け、前記流体の合流点を接続点に対応付け、前記抵抗Rを電気抵抗に対応付け、前記圧力損失を電圧降下に対応付けて、キルヒホッフの法則を利用することにより、前記流路モデル全体の圧力損失を求め、これを前記複数粒子群充填層の圧力損失ΔPとするステップであることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の圧力損失推定方法。 前記セルは同一寸法の立方体であることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の圧力損失推定方法。 前記セルの一辺の長さが5mm以下であることを特徴とする請求項6に記載の圧力損失推定方法。 前記セルの一辺の長さが約3.4mmであることを特徴とする請求項7に記載の圧力損失推定方法。 単一粒子群を複数混合して成る粒子充填層である複数粒子群充填層に関して、該複数粒子群充填層を透過する流体の圧力損失ΔPを推定する圧力損失推定装置であって、 前記単一粒子群は、該単一粒子群から成る粒子充填層である単一粒子群充填層が、ΔP’/H’=(μ’/k’)×uS’、(但し、H’:前記単一粒子群充填層の高さ、μ’:前記単一粒子群充填層を透過する流体の粘性率、k’:前記単一粒子群充填層を透過する流体の透過率、uS’:前記単一粒子群充填層を透過する流体の空塔速度)を充足する単一粒子群であって、 各単一粒子群充填層の前記比μ’/k’を取得する単一粒子群充填層特性取得手段と、 前記複数粒子群充填層を透過する流体の体積流量Qを取得する流体特性取得手段と、 前記複数粒子群充填層を所定寸法のセルに細分し、前記複数粒子群充填層を構成する複数の前記単一粒子群の構成比に従って、複数の前記単一粒子群に関する複数の前記単一粒子群充填層を、前記複数のセルにそれぞれ配置したセルモデルを構築するセルモデル構築手段と、 構築されたセルモデルの各セルに関して、隣接するセルから流入する流体、または隣接するセルに流出する流体が受ける抵抗Rを、前記セルの寸法と、前記セルに配置された前記単一粒子群充填層の前記比μ’/k’とに基づいて算出する抵抗算出手段と、 各セルに流体の合流点を有し、隣接する2つのセルの前記合流点間を流れる流体は、該2つのセルにそれぞれ配置された2つの前記単一粒子群充填層の前記抵抗Rを受ける流路モデルを構築する流路モデル構築手段と、 構築された流路モデルに対して、前記体積流量Qを利用することにより、前記流体が前記流路モデルを透過することにより生じる圧力損失ΔPを算出する圧力損失算出手段とを備えることを特徴とする圧力損失推定装置。 請求項1ないし8の何れか1項に記載の圧力損失推定方法における各ステップをコンピュータに実行させるための圧力損失推定プログラム。 請求項10に記載の圧力損失推定プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体。 【課題】 単一粒子群を複数混合してなる複数粒子群充填層に関して、各単一粒子群の粒径分布および粒子形状に関係なく圧力損失を推定する。【解決手段】 まず、複数粒子群充填層の寸法と、流体の体積流量Qと、各単一粒子群に関する比μ’/k’とを取得する(S11)。次に、複数粒子群充填層の寸法とセルの所定寸法とから、セルの数と配置とを決定する(S12)。次に、各単一粒子群に関する比μ’/k’と、セルの所定寸法とから、各セルの抵抗を決定する(S13)。次に、決定したセルの数および配置と、決定した各セルの抵抗とに基づいて、流路モデルを構築する(S14)。そして、構築された流路モデルと、流体の体積流量Qとに基づいて、複数粒子群充填層の圧力損失ΔPを算出する(S15)。【選択図】 図1


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