生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_乳化剤
出願番号:2005082013
年次:2005
IPC分類:7,B01F17/52,A61K7/00,A61K7/48


特許情報キャッシュ

バレリー ボンナルデル フローレンス カテルソン アニヤ ゲストマン JP 2005270975 公開特許公報(A) 20051006 2005082013 20050322 乳化剤 ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション 590000824 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 加藤 憲一 100098486 西山 雅也 100082898 バレリー ボンナルデル フローレンス カテルソン アニヤ ゲストマン US 10/805857 20040322 7B01F17/52A61K7/00A61K7/48 JPB01F17/52A61K7/00 JA61K7/48 15 OL 29 4C083 4D077 4C083AA122 4C083AA162 4C083AB332 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC182 4C083AC342 4C083AC352 4C083AC422 4C083AC442 4C083AC482 4C083AC532 4C083AC542 4C083AC852 4C083AD092 4C083AD241 4C083BB60 4C083CC04 4C083CC05 4C083DD33 4D077AA03 4D077AA04 4D077AA08 4D077AA09 4D077AB06 4D077AB10 4D077AB11 4D077AB12 4D077AB17 4D077AC03 4D077BA07 4D077CA12 4D077DD63Y 4D077DD63Z 4D077DE10Y 4D077DE32Y 本発明は、新規な乳化剤に関する。特に、本発明は、C2〜C5ヒドロキシアルキル澱粉及びC2〜C18アシル澱粉から選択された少なくとも1種のα化され(pregelatinized)、架橋された澱粉、並びに疎水性基を、又は親水性基と疎水性基の両方を含有する少なくとも1種の澱粉誘導体を有する乳化剤に向けられている。 乳化剤は、水に不溶性の薬剤のキャリヤーとして表面への使用又は適用のための物質として、産業界で広く製造され、使用されている。化粧品(ローション、クリーム、軟膏)、料理(ソース、クリーム)、医薬(塗薬、クリーム)、ペイント(低臭気ペイント)、道路産業(乳化ビチューメン(bitumen))、農薬(植物保護剤)、洗浄剤、ローリング(rolling)、鉄及び鋼の製造、並びに種々のデポジット(deposit)又はコーティング(印刷、接着剤など)の製造の分野において、エマルションが見られる。化粧品及び医薬において、エマルションは、種々のタイプの成分の調和した組合せ、衛生用製品又は化粧品の製造に容易に使用するための均一に表出される特性を達成する有効な手段を提供する。 芳香油を含有する工業用製品を乳化するのに有用な化工澱粉が知られている。そのような澱粉は、好ましくはβ‐アミラーゼを用いることによる、澱粉分子の非還元末端から1,4‐α‐D‐グルコシド結合の酵素分解によって製造され得る。疎水性基を、又は親水性置換基と疎水性置換基の両方を含有する澱粉誘導体の製造の前又は後に、この分解が実施され得る。 パーソナルケアー又は化粧品組成物において有用な乳化剤は、特にハロゲン化物又は無水物の形で、少なくとも1種の多糖と少なくとも1種の脂肪酸との反応性生物から生成される、多糖/脂肪酸複合生成物を含む。その脂肪酸は、飽和又は不飽和であり、8〜28の炭素原子を含有し得る。 化粧品又はスキンケアー組成物において有用な他の乳化剤には、アミノ‐多重カルボキシレート澱粉誘導体が含まれる。 塩耐性であり、加えて種々の温度及びプロセス条件において安定な乳化剤に対するニーズが未だにある。 本発明は、少なくとも第1の澱粉成分と第2の澱粉成分のブレンド又は混合物から形成された乳化剤を提供する。その第1の澱粉成分は、C2〜C5ヒドロキシアルキル澱粉又はC2〜C18アシル澱粉のような、少なくとも1種のα化され、架橋された澱粉を含むことが出来る。第2の澱粉成分は、疎水性部分及び/又は親水性部分を有する少なくとも1種の澱粉誘導体を含むことが出来る。その澱粉誘導体は、澱粉の非還元末端から1,4‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来るが、澱粉の1,6‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来ないエキソ‐酵素との反応によって分解され得る。 一つの態様において、その第1の澱粉成分は、C4〜C18のアルカン又はアルケンジカルボン酸の燐酸化を用いて架橋される。この点において、有用な架橋剤には、オキシ塩化燐、五酸化燐、トリメタ燐酸ナトリウム及びそれらの混合物が含まれる。一つの側面では、その第1の澱粉成分はオキシ塩化燐で架橋される。 もう一つの態様において、その第1の澱粉成分が、α化され、架橋されたヒドロキシプロピル化澱粉、又はα化され、架橋されたアシル化澱粉である。この点において、有用な第1の澱粉成分には、α化されたヒドロキシプロピルジスターチホスフェートが含まれる。他の有用な第1の澱粉成分には、α化されたアセチル化ジスターチアジペートが含まれる。 その澱粉誘導体は、澱粉の非還元末端から1,4‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来るが、澱粉の1,6‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来ないエキソ‐酵素との反応によって分解され得る。そのような乳化剤は、塩耐性であって粘着性を示さない、安定な組成物を達成する。更には、その乳化剤はエトキシレートを含まず、化粧品組成物を含めた種々の組成物に使用され得る。 第2の澱粉成分は、アルケニル環状ジカルボン酸無水物との反応によって誘導体化され得る。その使用に好適なアルケニル環状ジカルボン酸無水物の例には、オクテニル琥珀酸無水物、ドデセニル琥珀酸無水物及びそれらの混合物が含まれる。 第2の澱粉成分を分解するのに適した酵素の例には、β‐アミラーゼ、エキソ‐α‐1,4‐グルコシダーゼ、エキソ‐1,4‐α‐D‐グルカンマルトテトラヒドロラーゼ、エキソ‐1,4‐α‐D‐グルカンマルトヘキサヒドロラーゼ又はそれらの組合せが含まれる。一つの態様において、その酵素はβ‐アミラーゼである。 第2の澱粉成分の例には、β‐アミラーゼを用いて分解された、転化オクテニル琥珀酸無水物澱粉誘導体が挙げられる。その第2の澱粉成分は、約60までの水流動性に転化され得る。 一つの態様において、その乳化剤は、α化されたヒドロキシプロピルジスターチホスフェート、及びβ‐アミラーゼを用いて分解された転化オクテニル琥珀酸無水物澱粉誘導体を含む。 その乳化剤のいずれかの成分は、ワキシーコーンスターチから製造され得る。更に、第1澱粉成分の第2澱粉成分に対する比が、2:1であり得る。 その第1及び第2澱粉成分に加えて、その乳化剤は、種々の塩を含有し得る。その乳化剤は、10重量%までの塩を含み得る。 その乳化剤は、化粧品組成物又はパーソナルケアー組成物において有用である。好適な化粧品又はパーソナルケアーのエマルションは、乳化に有効な量の乳化剤をその組成物に添加することによって製造され得る。 前に言及したように、本発明は、新規な乳化剤に向けられている。その乳化剤は、ベースの澱粉から製造された少なくとも2種の成分を含む。ベースの澱粉には、ここで使用されるように、いかなる天然のままのソースから、ここでの使用に適するかも知れないいかなるものから誘導された全ての澱粉が含まれる。天然のままの澱粉は、ここで使用されるように、自然に見出されるようなものである。それらの変種を含めて、交雑種(crossbreeding)、転流(translocation)、逆位(inversion)、形質転換(transformation)、或いは遺伝子工学又は染色体工学のその他の方法を含む、標準的な育種(breeding)技術によって得られる植物に由来する澱粉も適している。加えて、突然変異育種の既知の標準的方法によって形成されても良い、人工的な突然変異から生長した植物に由来する澱粉、及び上記の一般的な澱粉の変種も、ここでは適している。 その澱粉の典型的なソースは、穀物(cereals)、塊茎(tubers)、根(roots)、豆果(legumes)及び果実(fruits)である。自然のままの原料は、コーン(マイズ(maize))、えんどう(pea)、ポテト、さつまいも(sweet potato)、バナナ、大麦(barley)、小麦(wheat)、米、オート(oat)、サゴ(sago)、アマランス(amaranth)、タピオカ(tapioca)、葛うこん(arrowroot)、カンナ(canna)、モロコシ(sorghum)、加えてそれらの低アミロース及び高アミロースの変種であり得る。ここで使用されるように、「低アミロース」(low amylose)は、約10重量%以下、詳細には5重量%以下、より詳細には2重量%以下のアミロースを含有する澱粉を含むように意図されている。ここで使用されるように、「高アミロース」(high amylose)は、少なくとも約50重量%、詳細には少なくとも約70重量%、より詳細には少なくとも約80重量%のアミロースを含有する澱粉を含むように意図されている。 第1の成分は、C2〜C5ヒドロキシアルキル澱粉及びC2〜C18アシル澱粉から選択された、少なくとも1種のα化され、架橋された澱粉を含む。α化された(pregelatinized)の語は、偏光中において、複屈折及び/又はマルテズクロス(Maltese cross)を失った、膨潤した澱粉粒子を意味するように意図されている。そのようなα化された澱粉誘導体は、クック処理(cooking)無しで、冷水中に実質上可溶性である。これに関連して、「可溶性」(soluble)は、真の分子の溶解形成を必ずしも意味せず、コロイド状の分散体をも意味して良い。一つの態様において、その澱粉は完全にα化されたものである。α化、及びα化を実施するための技術は、当分野において既知であって、例えば米国特許第4,465,702号明細書、第5,037,929号明細書、第5,131,953号明細書及び第5,149,799号明細書に開示されている。また、また、Starch: Chemistry and Technology, Vol. III- Industrial Aspects, R.L. Whistler and E.F. Paschall, Editors, Academic Press, New York 1967のチャプターXXII「Production and Use of Pregelatinized Starch」も参照されたい。 α化は、ドラム乾燥、押出し及び噴霧乾燥を非限定的に含む種々の方法によって達成され得る。一つの態様において、押出しは、その澱粉を同時にクック処理し乾燥するために用いられる(例えば米国特許第3,137,592号明細書参照)。このプロセスは、澱粉/水の混合物の高められた温度及び圧力での物理的な処理を利用するものであり、それがその澱粉のα化を生じさせ、ノズルを出て水の急激な蒸発を伴って膨張に至る。 一つの態様において、α化が完全で、それによって良好な溶解性及び、その組成物中で不快な砂のような感触を引き起こし得る不溶性の粒子の除去を提供する。 一つの態様において、大部分の澱粉顆粒が元のままである。主として元のままの顆粒構造を持ったα化澱粉誘導体の水性分散体は、少し砂のような感触を持つかも知れない顆粒構造の無い澱粉の水性分散体よりも、均一でスムースなテクスチャーを有している。元のままの顆粒構造を持ったα化澱粉の場合には、水素結合の自然のままの内部構造が破壊されるが、外部の形態又は形状が維持される。 本発明のもう一つの態様は、米国特許第4,280,851号明細書に記載された、α化澱粉を製造するためのプロセスを使用する。そのプロセスの実施に用いられる装置は、米国特許第4,600,472号明細書に記載されている。このプロセスにおいて、顆粒澱粉又は澱粉誘導体の混合物が、噴霧状態でクック処理又は糊化(gelatinize)される。クック処理されるべき澱粉は、比較的細かく細分化されてスプレーされた物を形成するために、噴霧開口を通してノズル配置部中へ噴霧される。追加的に、α化に必要な温度にその澱粉を加熱するように、開口部からそのノズル配置部でスプレーされる物質中へ加熱媒体が注入される。密閉されたチャンバーが、噴霧加熱媒体のための注入開口部を取り囲み、その加熱された澱粉スプレー物質がそのチャンバーを流出し得るように配置される通気開口部の輪郭を定める。その配置は、澱粉スプレー物質がそのチャンバーを通過、即ち噴霧開口部から通気開口部へ通過する間、その経過時間が澱粉の糊化時間を定める。その結果噴霧乾燥され、α化された澱粉は、均一に糊化された澱粉顆粒を含む。その顆粒は、くぼみのある球状であって、水和の後にほとんど完全であって壊れておらず且つ膨潤している。そのような澱粉の製造に使用可能なノズルは、米国特許第4,610,760号明細書にも開示されている。 好適なα化澱粉の製造のために、米国特許第5,149,799号明細書のプロセスを使用することも可能である。このプロセスにおいて、水性媒体存在下で一段の噴霧工程の手段によって、澱粉が均一に噴霧され、クック処理される。その噴霧工程は、内部混合型の二流体スプレー乾燥ノズルを有し、そのクック処理、噴霧された澱粉を乾燥するためのデバイスに連結されている装置内で実施される。 噴霧乾燥されα化された、好適な特性を有する澱粉が、ジェットクック(jet cook)と噴霧乾燥を連結した連続プロセスによっても製造され得る。このプロセスの一つの態様において、澱粉懸濁液が、直接スチーム注入でのジェットクック器内において138〜160℃で糊化される。澱粉懸濁液の蒸気とスチームが、クック処理チャンバー又は沸騰チャンバー内で混合される。後者の出口は、通常の噴霧乾燥機内に配置された、空気圧式のスプレーノズル又は高圧ノズルに接続されている。ジェットクック処理された澱粉は、高められた温度及び圧力においてそのスプレーノズル中に導かれ、冷たい空気、熱い空気又はスチームで噴霧化され得る。噴霧化の後に、その熱いジェットクック処理された澱粉溶液は、通常の噴霧乾燥澱粉と同様な方法で処理される。その乾燥プロセスは、その澱粉分子がその液滴の冷却乾燥中に劣化することを避けるために適度に早い。その噴霧乾燥された澱粉は、水中に容易に可溶であるかコロイド状に分散し得る非晶性物質である(即ち実質上結晶性ではない)。乾燥された生成物は、凝集されることも可能である。 第1の成分は架橋されもする。澱粉鎖の架橋は、二官能性化合物を含めた好適な架橋剤によって達成され得る。一つの態様において、使用される架橋方法は燐酸化であって、そこでは澱粉がオキシ塩化燐、五酸化燐及び/又はトリメタ燐酸ナトリウムと反応される。二つの澱粉鎖がアニオン性P‐O基によって架橋される。その架橋部位のアニオン性が、本発明に従って使用されるべき澱粉のエマルション安定化作用を補助する。 もう一つの態様において、架橋方法がC4〜C18のアルカン又はアルケンジカルボン酸の手段によるものであって、それらにはアジピン酸のようなC4〜C8のアルカンジカルボン酸が非限定的に含まれる。そのアルカン又はアルケンジカルボン酸は、エステル結合を介して二つの澱粉鎖を連結する。それは、直鎖状又は分岐鎖状であり得る。その誘導体は、例えばジカルボン酸と酢酸の混合された無水物類と澱粉を反応させることによって得られ得る。 一つの態様において、乾燥澱粉基準で0.1重量%未満の架橋剤が使用される。もう一つの態様において、乾燥澱粉基準で約0.06〜0.1重量%の架橋剤が使用される。 その第1の成分は、C3〜C5のヒドロキシアルキル澱粉又はC2〜C18のアシル澱粉のいずれかに更に転化される。そのような転化及びそれらを達成するための技術は当分野において公知である。 一つの態様において、第1の澱粉成分はC3〜C5のヒドロキシアルキル澱粉である。アルキル基における3〜5個の炭素原子を有するアルキル基を介してその澱粉の主鎖に結合されるそのヒドロキシル基の位置は、それほど重要ではないが、アルファー(α)〜オメガ(ω)位であり得る。一つの好適な態様において、ヒドロキシアルキル化の置換の程度は約0.08〜0.3である。その置換度は、無水グルコース単位当りの澱粉分子の置換されたOH基の平均数である。澱粉のヒドロキシアルキル化は、澱粉の酸化プロピレンとの反応によるヒドロキシプロピル化を非限定的に含む、妥当な炭素数を有するアルキレンオキシドと天然のままの澱粉との反応によって、引き起こされ得る。本発明に従って有用な澱粉は、またアルキル基当り1より多いヒドロキシル基を含有し得る。 もう一つの態様において、その第1の澱粉成分はC2〜C18のアシル澱粉である。この澱粉は、C4〜C18のアルカノエート又はアルケノエートで澱粉を架橋することによって形成され得る。その澱粉は、一つの態様では0〜0.8、別の態様では0〜0.5の置換度で、好適な親水性‐親油性のバランスを意図して、付加的にアシル化され得る。アシル化は、Rがメチル又はエチルのようなアルキル基である一般式(R‐C(O))2Oの酸無水物、琥珀酸又はマレイン酸の無水物又はそれらのアルキル化誘導体との反応によって達成され得る。 その第1成分の好適な態様には、ヒドロキシプロピルジスターチホスフェート及びアセチル化ジスターチアジペートが非限定的に含まれる。低アミロースコーンスターチ由来の、そのような澱粉もまた好適である。 その第1成分を調製するために用いられるプロセスは、いかなる型式でも行われ得る。但し、当業者は以下のような特定の工程の利点を理解するであろう。例えば、もし架橋工程が最初に行われる場合には、ヒドロキシプロピル化プロセスが生成した架橋の少なくともいくらかを破壊するので、通常オキシ塩化燐で架橋する前にヒドロキシプロピル化が実施される。 第2成分には、疎水性基或いは親水性基と疎水性基の両方を有する少なくとも1種の澱粉誘導体が含まれる。この澱粉誘導体は、澱粉の非還元末端から1,4‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来るが、澱粉の1,6‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来ないエキソ‐酵素との反応によって分解され得る。 一つの態様において、第2成分の澱粉は、α化された澱粉誘導体である。α化は当分野において既知の方法及び上記された方法によって達成される。 第2成分の澱粉は転化されることも可能である。転化された澱粉には、酸化、α‐アミラーゼのような酵素による転化、穏やかな酸による加水分解、熱デキストリン化、又はマノックス(mannox)(例えば米国特許第4,838,944号明細書に教示されたような澱粉のマンガン触媒分解)によって製造された流動性のある、又は薄層沸騰性(thin-boiling)澱粉が、非限定的に含まれる。そのような方法は、当分野において公知である(例えば、M. W. Rutenbergの「澱粉とその化工」Handbook of Water-Soluble Gums and Resins, R.L. Davidson監修、McGraw Hill社、ニューヨーク1980年 22-36頁、及び/又は米国特許第4,035,235号明細書参照)。これらの転化技術の組合せも使用可能である。 第2成分の澱粉は、疎水性部分を含有し、そして親水性部分を追加的に含有し得る、少なくとも1種の試薬で処理されることによって誘導体化され得る。その疎水性部分は、少なくとも5個の炭素原子、一つの態様では5〜24個の炭素原子を有する、アルキル、アルケニル、アラルキル、又はアラルケニル基であり得る。一つの態様において、親水性部分はその試薬によってもたらされることが可能であり、或いは別の態様ではその澱粉自体のヒドロキシル基がその親水性部分として供することが可能であり、そしてその試薬が疎水性部分のみを付与する。 一つの態様において、その澱粉は、米国特許第2,661,349号明細書に教示された方法に従ってアルケニル環式ジカルボン酸無水物との反応によって誘導体化される。但し、澱粉分子上で疎水性と親水性の官能性の所望のブレンドを生ずる澱粉を誘導体化するためのいかなるプロセスも、その第2成分の澱粉を誘導体化するのに使用され得る。 本発明の一つの好適な誘導体化物は、約60までの水流動性(WF)までに転化された低アミロース澱粉のオクテニルスクシネート半エステル誘導体である。水流動性(Water Fluidity)は、0〜90のスケールで測定される粘度の実験的基準であって、そこでは流動性が粘度の逆数である。澱粉の水流動性は、通常24.73cpsの粘度を有する標準油を用いて30℃で標準化されたThomas Rotational Shear-Type Viscometer(19106 ペンシルバニア州フィラデルフィアのArthur H. Thomas社により製造)を使用して測定される。尚、その油は100回転につき23.12+/−0.005秒を要するものである。水流動性の正確で再現性のある測定値は、澱粉の転化度合による種々の固形物レベル(転化が増すほど、粘度が低下する)で100回転について経過する時間を決定することによって得られる。 転化された澱粉は、少なくとも0.25%のオクテニル琥珀酸無水物(OSA)で処理され得る。もう一つの態様において、その澱粉は少なくとも3.0%のOSAで、更に別の態様では3.0%のドデセニル琥珀酸無水物で処理される。更なる態様において、その転化された澱粉は、上記されたようにヒドロキシアルキル化によって更に化工される。 第2成分の澱粉は、エキソ‐酵素で更に処理され得る。ここで用いられるように、エキソ‐酵素(exo-enzyme)は、澱粉の非還元末端から1,4‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来るが、澱粉の1,6‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来ない酵素を言う。エキソ‐酵素の非限定的な例には、β‐アミラーゼ、エキソ‐α‐1,4‐グルコシダーゼ、エキソ‐1,4‐α‐D‐グルカンマルトテトラヒドロラーゼ、及びエキソ‐1,4‐α‐D‐グルカンマルトヘキサヒドロラーゼが含まれる。 酵素活性についての最適なパラメータは、使用される酵素によって変化し得る。従って、酵素分解の速度は、使用される酵素のタイプ及び濃度、使用される澱粉のタイプ及び濃度、pH、温度、阻害剤の有無、加えて他の要因のような要因に依存する。酵素のタイプ、又はそのソースによって、所望の消化速度を達成するために種々のパラメータが調整を要求し得る。一つの態様において、最適の反応速度を維持しながら、後に続く澱粉の乾燥を促進するのに適した最も高い固形物含有量で、その酵素消化反応が実施される。 本発明のプロセスは、溶液中の酵素、固体支持体上に固定された酵素、或いは当分野で知られた酵素転化の他のいかなる方法をも使用できる。 分解全体に渡って、pHが最適又は所望の範囲にあるように、少なくとも1種の緩衝剤が使用され得る。緩衝剤には、アセテート、シトレート、及び他の弱酸の塩が非限定的に含まれる。他の薬剤も酵素活性を最適化するために使用され得る。その反応は、使用される酵素及びベースの澱粉にとって好適なpH及び温度の範囲内で実施される。 酵素分解は、所望の分解レベルに到達するまで続けられ得る。分解の程度は、当分野で公知の技術を使用して、例えば還元糖の濃度、粘度の変化又は分子量の変化の測定を含む種々の方法によって測定され得る。 一つの態様において、澱粉分解が13〜55重量%の程度まで進行し得る。もう一つの態様において、70重量%までの澱粉が加水分解されてしまうまで、分解が進められ得る。更に別の態様では、分解が本質的に止むまで、分解が進められ得る。 所望の澱粉分解度に到達した後、その酵素は熱又は当分野で知られた他の方法によって失活され得る。もう一つの選択肢としては、その酵素が失活されない。 一つの態様において、第2の成分は、少なくとも約2、別の態様では少なくとも約5、第三の態様では少なくとも約10のデキストローズ当量(DE)まで加水分解され得る。デキストローズ当量(dextrose equivalence)はここで使用されるように、澱粉の加水分解物の還元力を言う。各澱粉分子は1個の還元末端を有する。それ故、DEは分子量に逆に関係する。無水D‐グルコースのDEは100として定義され、未加水分解澱粉のDEは実質上零である。一つの態様では、二つの成分のブレンドのDEは少なくとも約2、別の態様では少なくとも約5、第三の態様では少なくとも約10であろう。 もう一つの態様において、少なくとも約2、別の態様では少なくとも約5、第三の態様では少なくとも約10のDEを達成するために、糖が添加され得る。更に別の態様において、第2成分の澱粉誘導体は、酵素で処理されずに、現場での(in situ)糖形成を達成する。代わりに、糖が添加されて、同様のDEレベルを達成する。糖(sugars)は、ここで使用されるように、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、スタチヨース(stachyose)、フルクトシルスクロース(fructosylsucrose)、及びマルトオリゴ糖(maltooligosaccharides)、特にグルコース、フルクトース、マルトース、加えて約2〜約50、特に約5〜約15のデキストローズ当量を有するマルトデキストリンのような、約10個のグルコース単位まで、特に約3個のグルコース単位までのモノ‐、ジ‐、及びオリゴ‐糖を言う。増加したDEは、ばらつきが無く高い添加レベル、低い油暴露(exposure)、増加された抗酸化性の達成と維持、及び最終用途組成物(例えば化粧品)への加工の増加された容易性のようないくつかの利点を提供し得る。 特定の順番が特定の利点を呈するけれども、本発明のプロセスにおける一連の工程が、いかなる順序でも実施され得ることを、熟練者(practitioner)は理解するであろう。 第1及び/又は第2の成分は、非常に細かい固形物又はねばねばした変形可能な凝集物が捕獲され得る、高い透過性のフィルターケークを形成し得る顆粒又は繊維状の固形物のような濾過助剤によって濾過され得る。市販されている普通の二つの濾過助剤は、珪藻シリカ(ジアトマイト又は珪藻土とも呼ばれる)及びセルロース繊維である。 もし精製が要求されれば、第1及び/又は第2の成分は、透析、濾過、遠心分離、又は当分野で知られた他の方法のような、当分野で知られた方法によって、更に精製され得る。 第1及び/又は第2の成分のpHは、例えばクエン酸、乳酸、燐酸、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はトリエタノールアミンのような妥当なpH調節剤を添加することによって、当分野で知られた方法によって調整され得る。澱粉エステルを使用する場合、エステル結合の加水分解を防ぐために、強酸のpH値が通常避けられる。一つの態様では、その乳化剤は、約2.5〜12の間、別の態様では約4〜9の間のpH値を有する。 第1及び/又は第2の成分は、噴霧乾燥、ドラム乾燥及び凍結乾燥を非限定的に含む、当分野で知られた技術を使用して、乾燥又は単離され得る。それらの成分は、共に又は個々に乾燥され得る。その代わりに、その成分(類)は液体中で又は濃縮された形で使用され得る。本発明による乳化剤は、水系の形で、又は使用の際に水性媒体で再構成される乾燥粉末でのいずれかで提供され得る。 その乳化剤は、二つの成分を共に混合することによって製造され得る。第1成分の第2成分に対する比は、所望の特質を得るために調整され得る。例えば、より高い増粘性が求められれば、より多くの第1成分が添加され得る。より高い乳化性が求められれば、より多くの第2成分が添加され得る。一つの態様において、第1成分の第2成分に対する比は、重量で少なくとも1:1であり、約4:1以下である。もう一つの態様において、第1成分の第2成分に対する比は、重量で少なくとも1:1であり、約3:1以下である。 一つの態様において、その乳化剤は、α化されヒドロキシプロピル化されたワキシーマイズ(miaze)スターチホスフェート、及び酵素転化されオクテニル琥珀酸無水物処理されたワキシーマイズスターチのブレンドを含む。もう一つの態様において、これらの澱粉が2:1の比率で存在する。 その乳化剤は、その組成物の所望の特性を達成するのに必要なレベルで使用され得る。一つの態様において、その乳化剤は、その組成物の約1〜10重量%のレベルで使用される。もう一つの態様において、その乳化剤は、その組成物の約1〜7重量%のレベルで使用される。 結果的に得られる乳化剤は、化粧品組成物及びパーソナルケアー組成物、ペイント、食品及び飲料、医薬及びニュートラシューティカルス(nutraceuticals)、並びにホームケアー組成物及びファブリックケアー組成物を非制限的に含む、種々の組成物において用いられ得る。化粧品組成物及びパーソナルケアー組成物には、モイスチャリングローション及びクリーム、スプレー、ムース、顔及び身体用を含むジェル、モイスチャリングクレンザー及びソープ、抗しわ製品を含む抗老化製品、抗アクネ製品、美白剤(skin-lighteners)、栄養クリーム及びローション、固定(firming)及び調整(toning)製品、シェービングクリーム、デオドラント、ファンデーション、メーキャップ及び口紅を含む色化粧品(color cosmetics)、サンスクリーン、サンタンローション及び日焼け後のケアー製品のようなサンケアー製品、ヘアーコンディショナー及びクリームリンス、並びにシャンプー、ヘアースプレー、ジェル及びムースを含むヘアースタイリング製品、パーソナルケアーワイプ、ベビーケアー製品並びにバス及びシャワー製品が、非限定的に含まれる。 食品組成物及び飲料組成物には、スポーツ及びパフォーマンス飲料、液ゲル製品、並びにパン及びパン製品が含まれる。そのような製品には、鶏、豚、牛、犬及び猫などを非限定的に含む人間以外の動物のための食べ物及び飲み物が含まれる。一つの態様において、その乳化剤は、クラム(crumb)構造、柔らかさ、保存性及び/又は体積を増進させる、パン及びパン製品の改質剤及び柔軟剤のような、食品及び飲料組成物に他の機能を提供することも出来る。 それらの組成物は、その業界において通常使用される他の任意の成分を含んでも良く、それらは組成物のタイプ、要求される機能及び特性に応じて大きく変化し得る。例えば、化粧品及びパーソナルケアーの用途のものには、エステティック化工剤、UVフィルター、ヒューメクタント(humectants)、保湿剤、エモリエント(emollients)、溶剤、キレート化剤、ビタミン、抗酸化剤、植物抽出剤、pH調整及び中和剤、防腐剤、芳香剤、活性成分(抗老化剤、固定剤又は調整剤など)、染料及び顔料、コンディショニング剤、不透明剤、並びに発泡剤又は消泡剤が含まれる。他の乳化剤及び/又は界面活性剤が添加され得るが、乳化性能を提供するために必ずしも必要ではない。 一つの態様において、その組成物は実質上界面活性剤を含まず、本発明の乳化剤が乳化に有効な量で存在する唯一の乳化剤である。もう一つの態様において、界面活性剤が添加されず、本発明の乳化剤以外の乳化剤がその組成物には添加されない。 その乳化剤は、当分野において通常使用されて知られている技術を使用して水相中に含ませることによって、そのような組成物中で使用するための水中油エマルションを乳化する。その乳化剤は水相中に実質上溶解される。 その疎水性相は、液体又は固体の脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸モノエステル又はジエステル、シリコーン、長鎖アルコール、及び/又はビタミンを非限定的に含み得る。一つの態様において、その組成物は、その組成物の重量で少なくとも約1重量%の疎水性相を含有し、別の態様では5〜25重量%、第三の態様では70重量%までの疎水性相を含有する。その疎水性相は細かく分散され得る。 エマルションには、クリーム、ローション又はミルク、或いはスプレーの形のものが含まれる。水性相または疎水性相の特性及び量の関数として、エマルション‐タイプの組成物には、種々のタイプのエマルション、例えば2成分の水中油又は油中水、或いは水中油中水又は油中水中油系のような多相系が含まれ得る。もう一つの態様において、そのエマルションは高粘度ジェル状である。 それらの組成物は、油状からクリーム状更にはワキシー状まで変動し得る、種々のテクスチャーを有するように調整され得る。その乳化剤は、皮膚科学の観点からの所望の特性を提供する。例えば、それらは皮膚の水保持能力を増加させ、加えて皮膚をスムースに且つ柔軟にする。本発明に従って使用される澱粉誘導体を含む化粧品は、皮膚上に非常に良く広がることが出来て、ねばねばした感触を残さない。 その乳化剤は、またそのエマルションの水性相を所望の粘度まで増粘し得る。一つの態様において、その乳化剤がその水性相に400〜30000cps(mPa)の粘度を提供する。 その乳化剤は実質上エトキシレートを含まない。一つの態様において、その乳化剤は、乳化剤の重量基準で0.1重量%未満のエトキシレートを含み、別の態様では0.01重量%未満のエトキシレートを含み、更に別の態様ではエトキシレートを含まない。更に、天然ベースのものは、ラベリングを含めて多くの点で合成ベースのものより有利である。使用者の皮膚に接するようになり得る化粧品組成物又は他の組成物において使用される場合、低い(又は零の)エトキシレートレベル及び/又は天然ベースが、通常使用される多くの乳化剤に比較して、皮膚の刺激及び鋭敏化を含めた、多くの使用者への不利な作用を低減する。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、皮膚へ及び皮膚中に汚染物質を輸送し得ることが知られている。 本発明の乳化剤は、更に塩耐性であると言う利点も有する。特に化粧品及びパーソナルケアー業界において、通常使用される多くの乳化剤は塩耐性に乏しく或いは全く無く、塩を含有する場合に不安定さをもたらす。無機塩、植物抽出物及び海水抽出物並びにビタミンの普及の増進に伴って、成分の塩耐性はより重要になって来ている。本発明の一つの態様において、その乳化剤を含有する組成物は、5重量%までの塩含有量で安定であり、別の態様では10重量%までの塩含有量で安定である。もう一つの態様においてその組成物は、少なくとも1重量%の塩を、別の態様では少なくとも5重量%の塩を含有する。塩耐性は、当分野において知られているように、その組成物で使用された他の成分に部分的に依存している。 その乳化剤は、凍結融解安定性及び高温安定性を呈し、そのことが種々の条件下で製造される組成物においてその乳化剤を有用なものにしている。その乳化剤は、またクック処理される必要が無い(加工されても良い)と言うプロセス上の利点も有し、せん断を伴う又は伴わない冷間又は熱間加工物に添加されても良い。 その乳化剤は、組成物に快適な口当たり又は皮膚感覚をも提供する。これは、使用者に不利に映る、大きな粘着性又は砂のような感覚のないものとして提供される。 以下の実施例は、本発明の更に例証して説明するために示されるものであって、いかなる点においても限定するものとして取られるべきではない。用いられている全てのパーセントは、重量/重量基準に基づいている。 以下の実施例において、次のような手順/試験が用いられている。ファンネル粘度 ファンネル(funnel)粘度を測定するために、温度計を含む、風袋の計量された250mlビーカー(ステンレス鋼)中に、38gの転化澱粉(無水物基準)を計量して投入し、蒸留水で全重量200gにした。そのサンプルを混合して、どの塊をも溶解させ、そして22℃(72°F)に加熱又は冷却した。全体で100mlのクック処理した澱粉分散液を、メスシリンダー中に正確に測定した。次いで、指でオリフィスを閉じながら、検量したロート中にそれを注ぎ込んだ。少量をメスシリンダー中に流して、トラップされている空気を除去し、そしてそのメスシリンダー中の残り全てを完全にロート中に注ぎ返した。タイマーを使用して、その100mlのサンプルがそのロートの先端を通って流れるのに要する時間を記録した。 そのロートは標準の58度で、厚手の耐性ガラス製ロートであり、その頂部の直径が約9〜10cmで、ステム(stem)の内部直径が約0.381cmであった。上記の手順を使って6秒で100mlの水が通過するように、そのロートを検量した。安定性試験 以下に記載される化粧品配合物について、次のような条件で安定性の試験を行った。その化粧品配合物を、125mlのガラスジャー中で、45℃で1月間、−20℃で凍結/融解サイクルを3サイクル、そして室温で3ヶ月間保存する。粘度、pH、テクスチャー、色又は臭いに大きな変化が見られない場合に、安定性が達成される。ブルックフィールド粘度 以下に記載される化粧品配合物の粘度を測定するために、Brookfield DV-1 Heloipath 粘度計にスピンドルC(必要に応じて、別のスピンドルの使用を通知)を取り付ける。その測定は、125mlのガラスジャー中において、室温下20rpmで行う。pH測定 Orion Ag/AgCl Sure-Flow Electrodeを備えたpHメーター Orion 410Aを使用して、以下に記載される化粧品配合物のpHを室温で測定する。実施例において、次のような名称及び商品名のものが使用される。実施例1−澱粉成分1の調製実施例1A−架橋ヒドロキシプロピル化され、且つ架橋アセチル化されたワキシーコーン 1500部の水中の18.75部の水酸化ナトリウムと250部の硫酸ナトリウムの溶液を含む反応容器中に、全体で1000部のワキシーコーンスターチを投入した。84g(澱粉の重量に対して8.4%)の酸化プロピレンを添加し、そしてその容器をシールした。その反応期間中、その容器を連続してひっくり返してその澱粉を均一に分散させながら、その含有物を40℃で16時間反応させた。16時間後に、その容器をタンブラーから取り外し、連続的に揺すられたコンテナー中に据えて、30℃に冷却させた。 その時点で、0.175g(澱粉重量に対して0.0175%又は0.106mL)のオキシ塩化燐を添加して、30分間反応させた。次いで、25%の硫酸溶液を添加することによって、得られた懸濁液のpHを3.0〜3.4に調整し、1時間保持した。3%水酸化ナトリウムでそのpHを最終的に5.5に調整し、そしてそのヒドロキシプロピル化/架橋された澱粉を濾過によって回収し、1500部の水で2回洗浄した。次いで、米国特許第4,280,851号明細書及び第4,600,472号明細書の方法を使用して、その澱粉をクック処理して乾燥させた。実施例1B−STMP架橋 1500部の水中の18.75部の水酸化ナトリウム、250部の硫酸ナトリウム及び必要量のSTMPの溶液を含む反応容器中に、全体で1000部のワキシーコーンスターチを投入した。必要量の酸化プロピレンを添加し、そしてその容器をシールした。その反応期間中、その容器を連続してひっくり返してその澱粉を均一に分散させながら、その含有物を40℃で16時間反応させた。16時間後に、その容器をタンブラーから取り外し、連続的に揺すられたコンテナー中に据えて、30℃に冷却させた。 次いで、25%の硫酸溶液を添加することによって、得られた懸濁液のpHを3.0〜3.4に調整し、1時間保持した。3%水酸化ナトリウムでそのpHを最終的に5.5に調整し、そしてそのヒドロキシプロピル化/架橋された澱粉を濾過によって回収し、1500部の水で2回洗浄した。次いで、その澱粉をクック処理して噴霧乾燥させた。実施例1C−アジピン‐アセト(adipic-acetic)架橋 水浴中に置かれた500mlの三角フラスコにおける180gの酢酸無水物に20gのアジピン酸を添加することによって、アジピン‐アセト架橋試薬を調製した。その混合物を攪拌しながら、その水浴を1時間に渡って90℃まで徐々に加熱して、そして90℃で更に1時間保持した。次いで、その混合物を室温まで冷却し、そしてガラスジャー中に保管した。 1500部の水中の18.75部の水酸化ナトリウムと250部の硫酸ナトリウムの溶液を含む反応容器中に、全体で1000部のワキシーコーンスターチを投入した。必要量の酸化プロピレンを添加し、そしてその容器をシールした。その反応期間中、その容器を連続してひっくり返してその澱粉を均一に分散させながら、その含有物を40℃で16時間反応させた。16時間後に、その容器をタンブラーから取り外し、連続的に揺すられたコンテナー中に据えて、30℃に冷却させた。 そのpHを8.0に調整し(25%硫酸使用)、そして3%水酸化ナトリウムでそのpHを7.8〜8.2の範囲に制御しながら、必要量のアジピン‐アセト試薬を添加した。全てのアジピン‐アセト試薬を添加してpHを安定化させるやいなや、更に25%硫酸溶液を添加してそのpHを3.0〜3.4に調整し、そして1時間保持した。3%水酸化ナトリウムで最終的にそのpHを5.5に調整し、そしてそのヒドロキシプロピル化/架橋された澱粉を濾過によって回収し、1500部の水で2回洗浄し、クック処理して乾燥させた。実施例1D−アジピン‐アセト架橋を伴う酢酸無水物 25℃で1500部の水を含む反応容器中に、全体で1000部のワキシーコーンスターチを投入した。そのpHを8.0に調整し(3%水酸化ナトリウム使用)、そして3%水酸化ナトリウムでそのpHを7.8〜8.2の範囲に制御しながら、酢酸無水物とアジピン‐アセト試薬(上記のように調製)の両方の必要量を添加した。全ての酢酸無水物とアジピン‐アセト試薬を添加してpHを安定化させるやいなや、更に希釈塩酸でそのpHを5.5に調整し、そしてそのアセチル化/架橋された澱粉を濾過によって回収し、1500部の水で2回洗浄し、クック処理して乾燥させた。実施例1E−コーンスターチに代えてタピオカ澱粉を使用して、実施例1Aを繰り返した。 実施例2−澱粉成分2の調製実施例2A−OSA化工ワキシーマイズの調製 そのコーンスターチをワキシーマイズで置き換える以外は、米国特許第2,661,349号明細書の実施例IIに開示された方法によって、ワキシーマイズスターチのオクテニル琥珀酸誘導体(OSA)を調製した。追加的に、その文献に記載された0.5%よりむしろ3%のオクテニル琥珀酸無水物で、その澱粉を反応させた。そのOSAワキシーマイズの28%水性スラリーをおよそ149℃(300°F)でジェットクック処理した。その後で、そのクック処理されたOSAワキシーマイズを恒温槽中に据えて、一定の攪拌状態で55℃に保持した。3%塩酸でそのpHを5.3に調整した。 そのクック処理されたOSAワキシーマイズ分散液を4個のバッチに分割し、異なるレベルの大麦(barley)β‐アミラーゼ(イリノイ州Elk Grove VillageのFermco Biochemics社から入手した1,4‐α‐D‐グルカンマルトヒドロラーゼ(E.C. 3.2.1.2))を各バッチに添加した。添加した酵素の量は、およそ8時間の乾燥基準のOSAワキシーマイズ100g当りで、それぞれ168、334、840及び1,110DP度(degree)であった。 その分散液のファンネル粘度をモニターすることによって、分解の程度を決定した。従って、その大麦β‐アミラーゼ中に存在するα‐アミラーゼ汚染のレベルをモニターし、その粘度がこの計量値によって影響されないように0.4DU/ml酵素溶液以下に限定した。デキストリン化単位(dextrinizing unit)(DU)は、過剰のβ‐アミラーゼの存在下において20℃で1g/時の速度で可溶性澱粉をデキストリン化するα‐アミラーゼの量である。 そのファンネル粘度試験のパラメータを注意深く制御し、α‐アミラーゼ汚染を制限することによって、β‐アミラーゼによる澱粉分解の程度を、粘度における低下に相互に関係付けた。その還元糖をフェーリング(Fehling)法によって測定し、分解の程度を確認した。 この例では、9〜50秒のファンネル粘度範囲以内で、所望の酵素反応終点に到達した。これらのサンプルの還元糖含有量は、29〜35%の範囲にあった。その澱粉の対応する分解は、重量基準で58〜70%の範囲にあった。目標の粘度を達成したときに、少なくとも75℃の温度に到達するまで反応溶液中に生蒸気を注入することによってその酵素を失活させて、そして少なくとも15分間維持した。次いで、Spraying Systems社から入手した第22 11/4Jの標準ノズルを使用して、200〜210℃の入り口温度と85〜90℃の出口温度で、それらのバッチを噴霧乾燥した。実施例2B−マルトースの除去 実施例2Aにおいて述べた方法によって調製したβ‐アミラーゼ分解OSAワキシーマイズを透析処理して、マルトースを除去した。その澱粉を蒸留水中に15〜20%固形分で分散させて、6,000〜8,000を超える分子量の分子を保持する透析管(Spectropor Membrane社から入手)内に配置した。透析液が全ての有機物を含まなくなるまで、その分散液を蒸留水に対して透析処理した。次いで、エタノールで沈殿させることによって、その澱粉を収集した。実施例2C−DSA化工ワキシーマイズの調製 ドデセニル琥珀酸無水物(DSA)をオクテニル琥珀酸無水物と置き換える以外は、実施例2Aを繰り返した。実施例2D−OSA化工ワキシーマイズの調製 一連の工程で逆転させて実施例2Aを繰り返した。ワキシーマイズスターチの28%固形分水性スラリーを調製して、そのpHを3%NaOH添加により6.0〜6.3に調整した。そのスラリーをおよそ149℃(300°F)でジェットクック処理した。そのクック処理した澱粉を恒温水槽中に据えて、一定の攪拌下で55〜60℃に保持した。実施例2Aで用いた大麦β‐アミラーゼを、1,650DP度/100g乾燥基準澱粉の濃度で、そのクック処理した澱粉に添加した。この実施例において使用したβ‐アミラーゼのバッチは、0.9DU/mlのα‐アミラーゼ活性を含有した。ファンネル粘度の手順によって、分解の程度をモニターした。 その澱粉が30秒のファンネル粘度に到達したとき、10%HClを加えてそのpHを3.5〜4.0に低下させて、このpHでその澱粉を30〜60分間保持することによって、その酵素を失活させた。失活の後に、3%NaOH添加によりそのpHを7.0に調整した。 中和され枝切りされた澱粉分散液中の3g/100g乾燥重量澱粉のオクテニル琥珀酸無水物を全体的にブレンドすることによって、OSA誘導体を調製した。その反応を攪拌下において室温で4時間継続させた。この澱粉分散液の一部を、実施例2Aにおいて述べた方法によって噴霧乾燥した。実施例2E−OSA化工ワキシーマイズブレンドの調製 500gのワキシーマイズ澱粉を750mlの水中でスラリーにした。3%の水酸化ナトリウムを使用して、そのpHを7.5に調整した。3%の水酸化ナトリウムを使ってそのpHを7.5に維持して且つ一定の攪拌を保ちながら、15gのオクテニル琥珀酸無水物(OSA)を三分の一のインクレメントにして30分毎に添加した。次いでその澱粉を濾過して、750mlの水で洗浄した。更にその澱粉を500mlの水中で再度スラリーにして、3:1の塩酸でそのpHを5.5に合わせた。次いで、その澱粉を濾過して、750mlの水で洗浄し、そして空気乾燥してOSA澱粉を生成した。そのようなOSA誘導体化澱粉600gを、400gのグルコースと混合した。実施例2F−CWS OSA化工ワキシーマイズブレンドの調製 実施例2Eの誘導体化澱粉を使用し、酸を用いて加水分解して約60の流動性にして、そしてその澱粉を噴霧乾燥することによって、冷水に可溶な、酸で穏やかに分解されたOSA澱粉を調製した。この澱粉600gを、400gのグルコースと混合した。実施例2G−CWS OSA化工ワキシーマイズブレンドの調製 実施例2Fにおけるように調製した500gの澱粉を、500gのマルトースと混合した。実施例2H−OSA化工ワキシーマイズブレンドの調製 実施例2Eにおけるように調製した340gのOSA誘導体化澱粉を、660gのマルトースと混合した。実施例2I−OSA化工ワキシーマイズブレンドの調製 実施例2Eにおけるように調製した550gのOSA誘導体化澱粉を、450gのグルコースと混合した。実施例2J−OSA化工ワキシーマイズブレンドの調製 実施例2Eにおけるように調製した500gのOSA誘導体化澱粉を、500gのグルコースと混合した。実施例2K−OSA化工ワキシーマイズブレンドの調製 実施例2Eにおけるように調製した400gのOSA誘導体化澱粉を、600gのグルコースと混合した。実施例3 本発明の乳化剤ブレンドについて次のようなサンプルを作った。実施例4 サンプル1〜6として実施例3に記載した乳化剤を使用して、次のようなクリームを調製した。手順 その乳化剤を脱イオン(DI)水中に分散させて、水和が充分に達成されるまで攪拌した。オーバーヘッドミキサーを使って900rpmで攪拌しながら、防腐剤と油を添加した。その混合物を、13,000rpmで1分間攪拌して均質化させた。実施例5実施例5A−油/水ローション手順 その乳化剤を、DI水とグリセリンの混合物中に分散させて、その澱粉が充分に水和されるまで攪拌した。他の成分を予備混合し、900rpmで攪拌しながらその水相へ添加した。次いで、その混合物を10,000rpmで2分間攪拌して均質化させた。 粘度: 5,000mPas pH: 5.0実施例5B−油/水ミルク手順 その乳化剤を、DI水中に分散させて、80℃に加熱しながらその澱粉が充分に水和されるまで攪拌した。油成分を予備混合して、80℃に加熱し、そして900rpmで攪拌しながらその水相へ添加した。冷却しながら攪拌を続け、そして防腐剤を30℃で添加した。 粘度: 2,000mPas pH: 5.3実施例5C−クリーム手順 カルボポール(Carbopol)、乳化剤及びヒドロキシプロピルスターチホスフェートを、DI水中に分散させて、全ての成分が充分に水和されるまで攪拌した。テトラナトリウムEDTAとグリセリンを添加して、80℃に加熱した。トリエタノールアミン、化工されたコーンスターチ及びプロピレングリコールを除いて、他の成分を予備混合して、80℃に加熱し、そして900rpmで攪拌しながらその水相へ添加した。45℃に冷却しながら攪拌を続けた。化工コーンスターチをプロピレングリコール中に分散させて、そのエマルションへ添加した。その混合物を、10,000rpmで2分間攪拌して均質化させ、そしてトリエタノールアミンでpHを調整した。 粘度: 19,500mPas pH: 6.5実施例5D−AP/Deoローション手順 その乳化剤を、DI水中に分散させて、75℃に加熱しながらその澱粉が充分に水和されるまで攪拌した。油成分を予備混合して、75℃に加熱し、そして少なくとも5分間の均質化の下でその水相へ添加した。冷却しながら攪拌を続け、そして防腐剤を30℃で添加した。 粘度: 2,050mPas pH: 4.4実施例6−エマルションの塩耐性 以下のエマルションは、その乳化剤の顕著な塩耐性を示している。手順 その乳化剤を、DI水中に分散させて、水和が充分に達成されるまで攪拌した。900rpmで攪拌しながら、防腐剤、油及び塩を添加した。実施例7−油との相溶性 以下のエマルションは、種々の油との幅広い相溶性、加えて油相により必要とされるHLBに無関係である優れた乳化特性を示している。手順 その乳化剤を、DI水中に分散させて、水和が充分に達成されるまで攪拌した。オーバーヘッドミキサーを使って900rpmで攪拌しながら、防腐剤と油を添加し、そして13,000rpmで1分間均質化した。実施例8−流動性改質剤及び増粘系との相溶性 以下のエマルションは、流動性改質剤と増粘系に対する乳化剤の相溶性を示している。手順 その乳化剤を、DI水中に分散させて、75℃に加熱しながら水和が充分に達成されるまで攪拌した。油類と流動性改質剤を一緒に混合して、75℃に加熱した。その油相を、攪拌しながら水相へ添加した。その混合物を40℃に冷却した時に防腐剤を添加し、次いで13,000rpmで1分間均質化した。 C2〜C5ヒドロキシアルキル澱粉及びC2〜C18アシル澱粉から選択された、少なくとも1種のα化され、架橋された澱粉を有する第1の澱粉成分;並びに 疎水性部分及び/又は親水性部分を有する少なくとも1種の澱粉誘導体を有する第2の澱粉成分、を含む乳化剤であって、そこでは該澱粉誘導体が、澱粉の非還元末端から1,4‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来るが、澱粉の1,6‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来ないエキソ‐酵素との反応によって分解されるものである、乳化剤。 前記第1澱粉成分が、燐酸化あるいは、C4〜C18のアルカン又はアルケンジカルボン酸を用いて架橋されている、請求項1に記載の乳化剤。 前記第1澱粉成分が、オキシ塩化燐、五酸化燐、トリメタ燐酸ナトリウム及びそれらの混合物から成る群より選択された化合物で架橋されている、請求項1に記載の乳化剤。 前記第1澱粉成分が、α化され、架橋されたヒドロキシプロピル化澱粉、又はα化され、架橋されたアシル化澱粉を含む、請求項1に記載の乳化剤。 前記第1澱粉成分が、α化されたヒドロキシプロピルジスターチホスフェートを含む、請求項1に記載の乳化剤。 前記第1澱粉成分が、α化されたアセチル化ジスターチアジペートを含む、請求項1に記載の乳化剤。 前記第2澱粉成分が、アルケニル環状ジカルボン酸無水物との反応によって誘導体化されるものである、請求項1に記載の乳化剤。 前記第2澱粉成分が、オクテニル琥珀酸無水物、ドデセニル琥珀酸無水物及びそれらの混合物から成る群より選択された化合物を用いて誘導体化されるものである、請求項7に記載の乳化剤。 前記第2澱粉成分が、β‐アミラーゼ、エキソ‐α‐1,4‐グルコシダーゼ、エキソ‐1,4‐α‐D‐グルカンマルトテトラヒドロラーゼ、及びエキソ‐1,4‐α‐D‐グルカンマルトヘキサヒドロラーゼから成る群より選択された酵素を用いて分解されるものである、請求項1に記載の乳化剤。 前記第2澱粉成分が、約60までの水流動性に転化された少なくとも1種の澱粉誘導体を更に含有する、請求項1に記載の乳化剤。 前記の第1又は第2澱粉成分が、少なくともワキシーコーンスターチから製造されるものである、請求項1に記載の乳化剤。 前記の第1澱粉成分と第2澱粉成分が、2:1の比で存在する、請求項1に記載の乳化剤。 請求項1に記載の乳化剤を含む化粧品又はパーソナルケアー組成物。 10%までの塩を更に含む、請求項1に記載の乳化剤。 請求項1記載の乳化剤を有効量添加する工程を含む、安定な化粧品又はパーソナルケアー組成物の製造方法。 【課題】塩耐性であり、加えて種々の温度及びプロセス条件において安定な乳化剤を実現する。【解決手段】C2〜C5ヒドロキシアルキル澱粉及びC2〜C18アシル澱粉から選択された少なくとも1種のα化され、架橋された澱粉、並びに疎水性基又は親水性基と疎水性基の両方を含有する少なくとも1種の澱粉誘導体を含む乳化剤。この澱粉誘導体は、澱粉の非還元末端から1,4‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来るが、澱粉の1,6‐α‐D‐グルコシド結合を切断することが出来ないエキソ‐酵素との反応によって分解され得るものである。そのような乳化剤は、塩耐性であって、粘着性を示さない安定な組成物を実現する。更に、その乳化剤はエトキシレートを含まず、化粧品組成物を含めた種々の組成物に使用可能である。【選択図】 なし


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