タイトル: | 公開特許公報(A)_L−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液 |
出願番号: | 2005041504 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 9/127,A61K 8/67,A61K 8/02,A61K 8/00,A61Q 19/02,A61K 31/7048 |
小田 洋 前川 直也 溝口 亜紗子 三輪尚克 JP 2006225327 公開特許公報(A) 20060831 2005041504 20050218 L−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液 日本油脂株式会社 000004341 株式会社林原生物化学研究所 000155908 細田 益稔 100097490 青木 純雄 100097504 小田 洋 前川 直也 溝口 亜紗子 三輪尚克 A61K 9/127 20060101AFI20060804BHJP A61K 8/67 20060101ALI20060804BHJP A61K 8/02 20060101ALI20060804BHJP A61K 8/00 20060101ALI20060804BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20060804BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20060804BHJP JPA61K9/127A61K7/00 HA61K7/00 LA61K7/00 XA61K31/7048 6 OL 15 4C076 4C083 4C086 4C076AA19 4C076BB31 4C076CC24 4C076DD59 4C076DD63 4C076FF36 4C076FF63 4C083AA082 4C083AA122 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC122 4C083AC242 4C083AC302 4C083AC402 4C083AC422 4C083AC442 4C083AC522 4C083AC542 4C083AD152 4C083AD352 4C083AD571 4C083AD572 4C083AD641 4C083AD642 4C083AD662 4C083CC04 4C083CC05 4C083DD31 4C083DD45 4C083EE01 4C083EE16 4C083FF01 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA11 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA24 4C086MA63 4C086NA03 4C086NA11 4C086ZA89 4C086ZC28 本発明は、L−アスコルビン酸グルコシドを含有するリポソーム液に関し、さらに詳しくは、リポソーム中にL−アスコルビン酸グルコシドを内包する化粧料に関する。 リポソームは、脂質二分子膜から成り、その内部に水層を有する閉鎖小胞体であり、リポソームは広くバイオサイエンスの基礎、応用の分野で利用、検討されている。リポソームは生体膜と類似の成分であるリン脂質から構成されているため、細胞膜に結合しやすく、皮膚に塗布した場合、水分や種々の薬効成分を角質層に運搬できる。また、リポソーム中に内包されることによって、本来、不安定で失活しやすい薬効成分を長期間安定に保つことができる。 アスコルビン酸及びその誘導体は、化粧料に美白剤として配合されている。L−アスコルビン酸(以下、「アスコルビン酸」と記載する)は、メラニン生成過程の代謝中間体であるドーパキノンからドーパクロムへの変換反応を抑制することで、メラニンの生成を抑制し、生成した有色の酸化型メラニンを無色の還元型メラニンに変換する作用を有しており、皮膚への美白効果、しみ、そばかす、黒皮症、肝班等の治療や改善に有効である。しかし、アスコルビン酸は化学的に不安定な化合物であるため、各種のアスコルビン酸誘導体が開発されている。特に各種アスコルビン酸誘導体の中でも、安定性、持続性、また化粧料への配合特性にも優れており、美白効果を有するL−アスコルビン酸グルコシドが注目されている。しかしながらアスコルビン酸誘導体によっては皮膚に対する即効的な浸透性がやや悪い場合もあり、化粧料に用いた場合、誘導体の種類によっては刺激性がある、水相と油相の相溶性に劣るものもあり、また配合成分やpHの影響により、経時的に着色を生じることもあり、さらに使いやすい化粧料が求められていた。例えばアスコルビン酸グルコシド、レシチンおよびキレート剤を用いた化粧料が開示されている(例えば特許文献1)。この化粧料はL−アスコルビン酸グルコシドのもつ持続性を保持したまま、経時的な着色の問題は改善されているものの、即時浸透性については満足な結果は得られなかった。特に、日焼けした後に衣服や水着等で覆われて日焼けしない部分と覆われていない部分で日焼けした部分との境目は色目が大きく異なり目立つため、後処理剤の開発が望まれていたのだが、従来の美白剤は日焼け部分も日焼けしていない部分も同様に美白してしまうため、境目がいつまでも残るものであった。特開2002−265344号公報 これらの問題点を解決するため、アスコルビン酸類を脂肪酸モノグリセリドからなるラメラ構造体に内包した皮膚外用剤が開示されている(例えば特許文献2)。更に、アスコルビン酸やその誘導体を含有するリポソームについて、これまで検討がなされてきた。例えばアスコルビン酸類をリン脂質リポソームに内包した美白化粧料が開示されている(例えば特許文献3)。また、臨界あるいは亜臨界状態の炭酸ガス、更に低級アルコール等の溶解剤を併用してアスコルビン酸類をリポソームに内包し、安定化する方法が開示されている(例えば特許文献4)。特開2002−145751号公報特開昭56−120612号公報特開2003−119120号公報 しかし、特許文献3記載のものでは、日焼けの境目など局所的に美白効果を期待する場合、局所特異的な効果が得られにくく、処方自体の安定性が悪く、着色や臭気等に問題があるため、化粧品の配合処方が制限される等の問題があった。また、特許文献4記載のものでは、着色や臭気等が強く、化粧品の配合処方が制限されるなどの欠点があった。 また、通常リポソームを製造する上で、グリセリン等の多価アルコールやエタノール等の有機溶剤を使用することがあるが、グリセリン等の多価アルコールが残存すると、べたつきの原因となり、使用上好ましくない場合があった。また、エタノール等の揮発性溶剤を使用した場合でも残存すると、配合上制限されるなどの問題があった。 本発明は、より即時浸透性に優れ、美白効果が高く、また各種配合剤への配合特性に優れ、配合剤の影響による経時的に着色や臭いが生じにくく、種々の配合形態で使用できるL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液およびリポソーム含有化粧料を提供することを目的とする。 すなわち本発明は、下記(1)〜(4)に掲げるL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液、(5)に掲げる美白用化粧料、および(6)に掲げるアフターサンローションである。(1) リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン含量が70重量%以上であり、リン脂質1重量部に対してL−アスコルビン酸グルコシドが0.1〜1重量部配合されているリポソーム液であって、前記リポソーム液に対してリン脂質の占める割合が0.1〜20重量%であり、L−アスコルビン酸グルコシドの内包率が50重量%以上であり、かつ前記リポソームの平均粒径が100〜800nmである、L−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液。(2) リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン中のアシル基の不飽和脂肪酸の割合が70%以上である、請求項1記載のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液。(3) リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン中のアシル基のリノール酸の割合が50%以上である、請求項1または2記載のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液。(4) リポソームの平均粒径が100〜300nmである請求項3記載のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液。(5) 請求項1〜4のいずれか1項に記載のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液を50重量%以下含有する美白用化粧料。(6) 請求項1〜4のいずれか1項に記載のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液50重量%以下含有するアフターサンローション。 本発明によれば、リポソーム中にアスコルビン酸誘導体を内包するリポソーム複合体を化粧料に含有することにより、アスコルビン酸誘導体の美白効果をより高めた、また経時的に着色や臭いが生じにくい化粧料を提供する。本発明は、L−アスコルビン酸グルコシドをリン脂質のホスファチジルコリン純度が高く、さらにリン脂質のアシル基の不飽和脂肪酸含有量の高い特定のリポソームに配合し、粒径を制御することにより、特に日焼け後の荒れた肌への浸透性が良好であるため、日焼け後の水着等のあとを残さないアフターサンローションへの適用がより効果的である。本発明は、日焼け後の皮膚への色素沈着やしみ、そばかす、肝班等の淡色改善効果に優れ、美白効果にも優れた化粧料を提供する。 本発明のリポソームに内包されるL−アスコルビン酸グルコシドは、アスコルビン酸とグルコースを糖転移酵素により酵素反応にて生成された化合物である。具体例としては、α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸である2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸、5−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸、6−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸が安定性の点から優れており、特に好ましくは2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸である。 本発明のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液は、リン脂質とリポソームに内包させる水溶性物質を公知の技術により混合させることにより得られる。例えば、超音波処理法、フレンチプレス法、逆相蒸発法、界面活性剤法、エクストルージョン法、マントンゴーリン法、カルシウム−EDTAキレート法、凍結融解法、分散液を150MPa以上の圧力下でジェット流として噴射し、噴射口に対して配置された壁面に該ジェット流を衝突させて、上記ジェット流の方向と実質的に対向する方向に反転させる方法、増圧ポンプにより圧力波形がフラットで定圧に加圧された試料を超高圧でチャンバー内に入れ細管部を高速通過させ、強力な剪断力を受け、さらに合流部で加速された流体どうしが正面衝突することにより強い衝撃を受け、拡大部で圧力降下により強力なキャビテーションを受けることによって、リポソームを得る方法(マイクロフルイダイザー法)、真空乳化機を用いてリポソームを得る方法、高圧ホモミキサーを用いてリポソームを得る方法、等から目的に応じて選択することができる。 本発明のリポソームを構成するリン脂質は、分子内にリン酸基とアシル基及び/又はアルキル基からなる疎水基を2個以上有する化合物であり、例えば、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジン酸(PA)、スフィンゴミエリン(SPM)、カルジオリピン、及びこれらの混合物である大豆レシチン、コーンレシチン、綿実油レシチン、卵黄レシチンなどの天然レシチンおよび水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、これらのリン脂質にポリエチレングリコールやアミノグリカン類を導入したリン脂質誘導体などが挙げられ、これらのうち、1種又は2種以上が混合して用いられる。 ここで、リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン含量を70%以上とすることによって、L−アスコルビン酸グルコシド含有リポソームが安定的に調製でき、即時浸透性を付与することで、アスコルビン酸グルコシドの持つ美白効果をより一層高めることが可能となる。また、経時による着色や臭いが抑えられ、化粧品材料として汎用可能となるという点で産業上きわめて有用となる。リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン含量が70%より少ないと、着色や臭いなどの問題があり、リポソームの安定性が悪くなるため、好ましくない。 本発明の前記観点からは、リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン含量を75%以上とすることが更に好ましい。 リン脂質中のホスファチジルコリンを構成するアシル基は、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸の残基からなるアシル基であることが好ましく、例えば2-ラウロレイン酸、リンデル酸、トウハク酸、5-ラウロレイン酸、11-ラウロレイン酸、ツズ酸、5-ミリストレイン酸、ミリストレイン酸、2-パルミトレイン酸、7-パルミトレイン酸、cis-9-パルミトレイン酸、trans-9-パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、ペトロセエライジン酸、cis-7-オクタデセン酸、trans-7-オクタデセン酸、cis-8-オクタデセン酸、trans-8-オクタデセン酸、オレイン酸、エライジン酸、バセニン酸、ゴンドイン酸、trans-ゴンドイン酸、エルシン酸、ブラシン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、α-パリナリン酸、β-パリナリン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の直鎖不飽和カルボン酸由来のアシル基が挙げられ、好ましくはリノール酸、オレイン酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸由来のアシル基である。 特に、アシル基の中の不飽和脂肪酸含有率が70重量%以上であると、L−アスコルビン酸グルコシドの美白効果をより高めることができる。また、リノール酸含有率が50重量%以上であると、不飽和脂肪酸含有率が70重量%未満であっても、L−アスコルビン酸グルコシドの美白効果をより一層高めることができる。特に好ましくは、アシル基の中の不飽和脂肪酸含有率が70重量%以上であり、リノール酸含有率が50重量%以上である。 本発明のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液の中に占めるリン脂質の割合は、0.1〜20重量%が好ましく、また、リン脂質とL−アスコルビン酸グルコシドとの配合比は、美白効果や保存時の安定性等の面から、リン脂質1重量部に対し、L−アスコルビン酸グルコシド0.1〜1重量部が好ましい。リン脂質1重量部に対し、L−アスコルビン酸グルコシドが0.1重量部より少ないと美白効果が充分ではなく、1重量部より多くなるとリポソームの調製が困難となる。 本発明のリポソームの平均粒径は100〜800nmであることが望ましく、より好ましくは100〜300nmが望ましい。平均粒径が100nmより小さくなると、L−アスコルビン酸グルコシドを充分にリポソーム中に含有できず、リポソームの美白効果を充分に得られなくなり、800nmより大きくなると、皮膚からの吸収率が悪くなり、リポソームの美白効果を充分に得られなくなる。また、リポソームが相分離や凝集を起こし易く、保存中又は皮膚滞留中に不安定となる。 本発明のリポソームにおけるL−アスコルビン酸グルコシドの配合比はリン脂質1重量部に対して0.1〜1重量部が好ましいが、さらにこの時配合したL−アスコルビン酸グルコシドがリポソーム内に内包される内包率は50重量%以上であることが望ましい。ここでいう内包率とは、リポソーム液に含有されるL−アスコルビン酸グルコシドの総量に対して、リポソームの中に内包されたL−アスコルビン酸グルコシドの割合を意味する。例えば、リン脂質1重量部に対し、0.6重量部のL−アスコルビン酸グルコシドを配合した時、0.6重量部のL−アスコルビン酸グルコシドのうち0.3重量部以上のL−アスコルビン酸グルコシドがリポソームに内包されていることが望ましい。この内包率は、ゲルろ過カラムを用いてリポソームに内包されなかったL−アスコルビン酸グルコシドを分離除去した後、メタノールとクロロホルムおよび水とを加えて、リン脂質をクロロホルムにL−アスコルビン酸グルコシドをメタノール、水混液に抽出して定量を行うことにより求めることができる。また、L−アスコルビン酸グルコシドは逆相カラムを用いたHPLC法(UV検出波長240nm)により定量することができる。リポソームへのL−アスコルビン酸グルコシドの内包率が50重量%以上より少なくなると、日焼けした皮膚に対する美白効果が薄くなり、日焼けした部分と日焼けしていない部分の境目が消えにくくなるので、好ましくない。 本発明のリポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン含量は70%以上であり、リン脂質の相転移温度以上の温度で製造を行うことにより、2種以上のリン脂質を混合する場合においても製造工程には有機溶剤を使用せずに均一で安定なリポソームを得ることができる。そのため、有機溶剤除去工程が不必要であり、工業的には極めて有利である。また製造されたリポソームが有機溶剤等の余分な配合物を含まないため、配合の自由度が大きいものである。本発明のリポソームは(A)リン脂質0.1〜20重量%に対して、水80〜99.9重量%を加え、リン脂質の相転移温度以上の温度で乳化させる工程、(B)L−アスコルビン酸グルコシド水溶液と(A)で得られた乳化液とを混合する工程から製造することができる。 本発明のリポソームを、既存の製剤に混合することで、化粧料を調製することが出来る。含有させる方法としては、製剤の最終段階で混合しても良く、製剤の途中、例えば、水相を添加する際に、混合しても良い。混合条件は、通常の化粧料を製造する条件がそのまま適用できる。本発明によるリポソーム中にL−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソームは、既存の製剤に混合してもリポソームが安定に保たれ、L−アスコルビン酸グルコシドの安定性が損なわれることがない。 なお、本発明のリポソーム液を含有する化粧料には、化粧料に常用されている添加剤として、アルコール、水性基剤、油性基剤、界面活性剤、顔料、色素、pH調製剤、防腐剤、殺菌剤、キレート剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、動植物由来の天然エキス、香料、無機塩等を本発明の性能を損なわない範囲で配合することも可能である。 本発明で本リポソーム液が配合できる化粧料の剤形は、医薬品、医薬部外品及び化粧品に通常用いられる剤形、すなわち剤形としては、液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状などの形態に適用可能である。 さらに本リポソーム液を凍結乾燥、噴霧乾燥などの公知の手段により水分を除去した後に配合することによって、粉末状あるいは固状などの形態に適用可能であり、これらの形態に特に限定されるものではない。本発明は、このように請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載のリポソーム液を乾燥して得られた粉体をも提供する。この粉体においては、リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン含量が70重量%以上であり、リン脂質1重量部に対してL−アスコルビン酸グルコシドが0.1〜1重量部配合されており、リポソームの平均粒径が100〜800nmである。好ましくは、リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン中のアシル基の不飽和脂肪酸の割合が70%以上であり、および/または、リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン中のアシル基のリノール酸の割合が50%以上であり、および/または、リポソームの平均粒径が100〜300nmである。 本発明は、L−アスコルビン酸グルコシドをリン脂質のホスファチジルコリン純度が高く、リン脂質のアシル基の不飽和脂肪酸含有量の高い特定のリポソーム処方に配合し、さらに粒径を制御することにより、特に日焼け後の荒れた肌への浸透性が良好であり、日焼けしていない、荒れていない肌へは浸透しにくいリポソーム処方としているため、日焼け後の水着等のあとを残さないアフターサンローションへの適用がより効果的である。本発明により、日焼け後の皮膚への色素沈着やしみ、そばかす、肝班等の淡色改善効果に優れ、美白効果にも優れた化粧料を提供することができる。 以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明する。 (実施例1) [L−アスコルビン酸グルコシド内包リポソームの調製] 精製水84.9gに未水素添加大豆レシチン(日本油脂(株)製、COATSOME NC−20)10g(ホスファチジルコリン純度92.6%、不飽和アシル基含有量80.5%、このうちリノール酸アシル基65.2%、脂肪酸組成の詳細は表1を参照)、L−アスコルビン酸グルコシド(2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸)5g、dl−α−トコフェロール0.1gを添加し、ポリトロン(キネマティカ製、ロータ・ステータ式ホモジナイザー)を用い回転数20,000rpm、室温で10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液をDeBEE2000(ビーイーイーインターナショナル製、超高圧乳化分散破砕機)にて、圧力10,000psiで5回微粒子化処理を施し、L−アスコルビン酸グルコシド内包リポソーム(粒径183nm)を得た。このとき、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率はゲルろ過法により測定した結果、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率は80%であった。 ここで、内包率の測定方法について説明する。ゲルろ過カラム(担体:ファルマシア、セファデックスG50;カラム直径16mm;カラム高さ300mm)を通してリポソーム複合体をゲルろ過し、溶出液を分画した(2.5mL/分画)。各分画より0.8mLを採取し、メタノール2mLを加えて攪拌した後、クロロホルム1mLを加えて攪拌し、いったん全体を透明に溶解させた。これにクロロホルム1mLを加えて攪拌し、更に蒸留水1.2mLを加えて攪拌後、冷却遠心分離機(久保田商事(株)製KR−702型)にて遠心分離(3,500rpm、10分間、室温)し、分離した二層の上層(水及びメタノール相)に回収されるL−アスコルビン酸グルコシド量を高速液体クロマトグラフィーにより測定した(カラム:和光純薬工業、Wakosik-II 5C18 HG 4.6mm×250nm、カラム温度:35℃、移動相:0.02M リン酸二水素カリウム(2.722g/L)-水(pH2.0)、流速:1.0mL/min)。 (実施例2) [L−アスコルビン酸グルコシド内包リポソームの調製] 水素添加大豆レシチン(日本油脂(株)製、COATSOME NC−61)10g(ホスファチジルコリン純度75.3%、不飽和アシル基なし、このうちリノール酸アシル基なし、脂肪酸組成の詳細は表2参照)を用いて、実施例1と同様の方法でリポソームを調製した(粒径220nm)。このとき、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率はゲルろ過法により測定した結果、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率は75%であった。 (実施例3) [L−アスコルビン酸グルコシド内包リポソームの調製] 水素添加大豆レシチン(日本油脂(株)製、COATSOME NC−21)10g(ホスファチジルコリン純度95.1%、不飽和アシル基なし、リノール酸アシル基なし)にジエチルエーテル/エタノール混合溶液(9/1、v/v)1000mlを加え溶解した後、水を200ml添加し、マグネチックスターラーで攪拌後、ソニケーターで超音波処理を30分間行った。その後、ロータリーエバポレーターでジエチルエーテルおよびエタノールを留去し、濃度調整後エクストルーダーを用いてポリカーボネート製のフィルター(孔径0.6μm)で濾過してリポソームを調製した(粒径504nm)。このとき、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率はゲルろ過法により測定した結果、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率は78%であった。 (比較例1) 精製水95gにL−アスコルビン酸グルコシド(2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸)5g加え、マグネティックスターラーにて攪拌し、溶解させた。 (比較例2) [L−アスコルビン酸グルコシド内包リポソーム複合体の調製] 精製水79.9gに水素添加大豆レシチン(日本油脂(株)製、COATSOME NC−21)10g(ホスファチジルコリン純度95.1%、不飽和アシル基なし、リノール酸アシル基なし)、dl−α−トコフェロール0.1gを添加し、ポリトロン(キネマティカ製、ロータ・ステータ式ホモジナイザー)を用い回転数20,000rpm、室温で10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液をDeBEE2000(ビーイーイーインターナショナル製、超高圧乳化分散破砕機)にて、圧力10,000psiで5回微粒子化処理を施し、L−アスコルビン酸グルコシドを含まない空のリポソームを得た。そこへ、L−アスコルビン酸グルコシド(2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸)5gを添加し、マグネチックスターラーで30分間攪拌した。このときのリポソームの粒径は247nmであった。また、リポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率はゲルろ過法により測定した結果、1%であった。 (比較例3) [L−アスコルビン酸グルコシド内包リポソーム複合体の調製] 精製水79.9gに水素添加大豆レシチン(日光ケミカルズ製、レシノールS−10)10g(ホスファチジルコリン純度31.8%、不飽和アシル基なし、リノール酸アシル基なし)、L−アスコルビン酸グルコシド(2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸)5g、dl−α−トコフェロール0.1gを添加し、ポリトロン(キネマティカ製、ロータ・ステータ式ホモジナイザー)を用い回転数20,000rpm、室温で10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液をDeBEE2000(ビーイーイーインターナショナル製、超高圧乳化分散破砕機)にて、圧力10,000psiで5回微粒子化処理を施し、L−アスコルビン酸グルコシド内包リポソーム(粒径161nm)を得た。このとき、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率はゲルろ過法により測定した結果、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率は68%であった。 (比較例4) [L−アスコルビン酸グルコシド内包リポソーム複合体の調製] 精製水79.9gに未水素添加大豆レシチン(日本油脂(株)製、COATSOME NC−20)10g(ホスファチジルコリン純度92.6%、不飽和アシル基含有量80.5%、このうちリノール酸アシル基65.2%)、L−アスコルビン酸グルコシド(2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸)5g、dl−α−トコフェロール0.1gを添加し、ポリトロン(キネマティカ製、ロータ・ステータ式ホモジナイザー)を用い回転数20,000rpm、室温で10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した(粒径604nm)。このとき、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率はゲルろ過法により測定した結果、L−アスコルビン酸グルコシドを内包するリポソーム中のL−アスコルビン酸グルコシドの内包率は16%であった。 (実施例1〜3および比較例1〜4) (化粧料の評価) 上記実施例および比較例で得たL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム分散液を使用して表3に示す化粧水である化粧料を調製した。調製方法はプロペラミキサーを用いた。但し、添加成分として表3に示す4成分を共通添加成分として使用した。(1)モルモットを用いたメラニン生成抑制効果 褐色モルモットを用いてinvivoにおけるメラニン生成抑制効果の評価を行った。すなわち、褐色モルモットの背部を剃毛し、5×10cmの長方形の穴を開けた紫外線遮蔽版で覆い、紫外線を照射した(0.5J/cm2)。色素沈着が形成された後、表1の化粧料50μLを1日2回塗布した。そして、塗布前と塗布後20日後及び40日後の黒化の度合いを色差計(ミノルタ製、分光測色計CM−2600d)にて測定した。結果を表3に示す。(2)美白効果 20名の女性(25才〜40才)をパネラーとし、1日朝晩2回ずつ2ヶ月間、表3の化粧料を使用し、その後の皮膚の「シミ」、「ソバカス」の改善度を肉眼で下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値7点以上を美白効果の高い皮膚外用剤であると評価した。結果を表3に示す。 10点:明らかに有効であると判断された場合。 5点:やや効果が有ると判断された場合。 0点:全く効果が無いと判断された場合。 20名の女性(25才〜40才)をパネラーとし、右腕上腕部に絆創膏を貼付し、夏の海岸で4時間日光浴を行った後、絆創膏をはがし、1日朝晩2回ずつ5日間、表3の化粧料を絆創膏のはがした部分に塗布した。絆創膏のはがした部分のきわ部分について、日焼けあとの改善度を肉眼で下記のように判定した。○:日焼けあとが目立たない×:日焼けあとが残っている (3)経時安定性(着色度合い) 化粧料を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃および40℃で3ヶ月間保存し、その外観を観察して、下に示す3段階で評価した。結果を表4に示す。○:安定性良好(いずれの温度でも外観の変化がない。)△:安定性やや不良(いずれかの温度において、やや着色を生じる。)×:安定性不良(いずれかの温度においてより、着色を生じる。) (4)経時安定性(におい) 化粧料を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃および40℃で3ヶ月間保存し、そのにおいを20名の女性(25才〜40才)をパネラーとし、下に示す2段階で評価した。結果を表3に示す。 ○:20名中4名以下のパネラーがにおいが強くなっていると感じた。 ×:20名中5名以上のパネラーがにおいが強くなっていると感じた。 (5)経時安定性(沈殿度合い) 化粧料を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃および40℃で3ヶ月間保存し、その外観を観察して、下に示す2段階で評価した。結果を表4に示す。 ○:安定性良好(いずれの温度でも外観の変化がない。) ×:安定性不良(いずれかの温度においており、沈殿を生じるまたは分離する。) 注1;2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸((株)林原生物化学研究所製)注2;ΔL*:色差計のL*値(明度)で、照射前を0としてUV照射後のL*値との差を黒化度とした。すなわち、値の低い方が黒化度は高い。 表3、表4より、本発明の化粧水である化粧料(実施例1〜3)は比較例1〜4と比較して褐色モルモットのメラニン生成を顕著に抑制することが判り、いずれも美白効果に優れるとともに、経時安定性にも優れていた。一方、比較例1〜4では、これらの効果すべてにおいて十分な性能が得られていない。つまり、比較例1〜4ではL−アスコルビン酸グルコシドをリン脂質のホスファチジルコリン純度が高く、リン脂質のアシル基の不飽和脂肪酸含有量が高い特定のリポソーム処方に配合し、さらに粒径を制御していないため、美白効果および経時安定性の双方を満足する十分な性能が得られていない。(実施例4) (エモリエントクリーム) (処方)油相 重量% モノステアリン酸ポリオキシエチレン40 2.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 5.0 ステアリン酸 2.0 セタノール 2.0 スクワラン 12.0 マカデミアナッツ油 4.0 メチルポリシロキサン 0.2 防腐剤 適量水相 1,3−ブタンジオール 7.0 精製水 残部リポソーム 実施例3のリポソーム 50.0 (調製法)油相、水相ともに80℃で加温溶解し、水相を油相に攪拌しながら徐々に加えて乳化する。更に攪拌を続けて冷却し、40℃以下でリポソームを添加、更に攪拌して均一混合した。(実施例5) 乳液 (処方)油相 重量% モノステアリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン 1.0 テトラオレイン酸ポリオキシエチレン40ソルビトール 0.5 モノステアリン酸ソルビタン 1.0 ステアリン酸 0.5 ベヘニルアルコール 0.5 ミツロウ 0.5 スクワラン 10.0 トリイソオクタン酸グリセリル 10.0 デカオレイン酸デカグリセリル 3.0 1,3−ブタンジオール 7.0 防腐剤 適量水相 キサンタンガム 0.04 トリエタノールアミン 0.05 精製水 残部リポソーム 実施例3のリポソーム 50.0(調製法) 実施例4の方法に従って調製した。 これら実施例4〜5について、実施例1〜3と同様に(1)モルモットを用いたメラニン生成抑制効果、および(2)美白効果の試験を行った。試験結果を表5に示す。 表5の結果からわかるように、実施例4および実施例5では、褐色モルモットのメラニン生成を顕著に抑制し、いずれも美白効果に優れる効果が認められた。 リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン含量が70重量%以上であり、リン脂質1重量部に対してL−アスコルビン酸グルコシドが0.1〜1重量部配合されているL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液であって、前記リポソーム液に対してリン脂質の占める割合が0.1〜20重量%であり、L−アスコルビン酸グルコシドの内包率が50重量%以上であり、かつ前記リポソームの平均粒径が100〜800nmである、L−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液。 前記リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン中のアシル基に占める不飽和脂肪酸の割合が70%以上である、請求項1記載のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液。 前記リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン中のアシル基に占めるリノール酸の割合が50%以上である、請求項1または2記載のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液。 前記リポソームの平均粒径が100〜300nmである、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載のL−アスコルビン酸グルコシ含有リポソーム液。 請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液を50重量%以下含有する、美白用化粧料。 請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載のL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液を50重量%以下含有する、アフターサンローション。 【課題】即時浸透性に優れ、美白効果が高く、各種配合剤への配合特性に優れ、配合剤の影響によって経時的に着色や臭いが生じにくく、種々の配合形態で使用できるリポソームを提供する。【解決手段】リポソームを構成するリン脂質中のホスファチジルコリン含量が70重量%以上であり、リン脂質1重量部に対してL−アスコルビン酸グルコシドが0.1〜1重量部配合されているL−アスコルビン酸グルコシド含有リポソーム液を提供する。リポソーム液に対してリン脂質の占める割合が0.1〜20重量%であり、L−アスコルビン酸グルコシドの内包率が50重量%以上であり、かつリポソームの平均粒径が100〜800nmである。【選択図】 なし