生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_転写因子Nrf2活性化剤およびその機能が付与された食品
出願番号:2005019415
年次:2008
IPC分類:A61K 31/122,A61K 36/60,A61K 36/00,A61P 43/00,A61P 39/06,A61P 39/02,A61P 29/00,A61P 25/00,A61P 27/02,A61P 17/00,A61P 11/06,A61P 35/00,A61P 35/04,A61P 9/10,A61P 9/14,A61P 9/12,A61P 3/10,A61P 25/28,A61P 25/16,A61P 21/02,A61P 27/12,A61P 11/00,A61P 19/02,A61P 1/16,A61P 1/18,A61P 17/02,A61P 1/04,A23L 1/30,A23F 3/16,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

志 村 雅 子 吉 田 有 人 JP WO2006043671 20060427 JP2005019415 20051021 転写因子Nrf2活性化剤およびその機能が付与された食品 キリンホールディングス株式会社 000253503 吉武 賢次 100075812 中村 行孝 100091487 紺野 昭男 100094640 横田 修孝 100107342 伊藤 武泰 100111730 志 村 雅 子 吉 田 有 人 JP 2004307838 20041022 A61K 31/122 20060101AFI20080425BHJP A61K 36/60 20060101ALI20080425BHJP A61K 36/00 20060101ALI20080425BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080425BHJP A61P 39/06 20060101ALI20080425BHJP A61P 39/02 20060101ALI20080425BHJP A61P 29/00 20060101ALI20080425BHJP A61P 25/00 20060101ALI20080425BHJP A61P 27/02 20060101ALI20080425BHJP A61P 17/00 20060101ALI20080425BHJP A61P 11/06 20060101ALI20080425BHJP A61P 35/00 20060101ALI20080425BHJP A61P 35/04 20060101ALI20080425BHJP A61P 9/10 20060101ALI20080425BHJP A61P 9/14 20060101ALI20080425BHJP A61P 9/12 20060101ALI20080425BHJP A61P 3/10 20060101ALI20080425BHJP A61P 25/28 20060101ALI20080425BHJP A61P 25/16 20060101ALI20080425BHJP A61P 21/02 20060101ALI20080425BHJP A61P 27/12 20060101ALI20080425BHJP A61P 11/00 20060101ALI20080425BHJP A61P 19/02 20060101ALI20080425BHJP A61P 1/16 20060101ALI20080425BHJP A61P 1/18 20060101ALI20080425BHJP A61P 17/02 20060101ALI20080425BHJP A61P 1/04 20060101ALI20080425BHJP A23L 1/30 20060101ALI20080425BHJP A23F 3/16 20060101ALI20080425BHJP C12N 15/09 20060101ALN20080425BHJP JPA61K31/122A61K35/78 DA61K35/78 XA61P43/00 111A61P39/06A61P39/02A61P29/00A61P25/00A61P27/02A61P17/00A61P11/06A61P35/00A61P35/04A61P9/10 101A61P9/14A61P9/12A61P3/10A61P43/00 105A61P25/28A61P25/16A61P21/02A61P27/12A61P9/10A61P11/00A61P19/02A61P29/00 101A61P1/16A61P1/18A61P17/02A61P1/04A23L1/30 ZA23L1/30 BA23F3/16C12N15/00 A AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20080522 2006543103 41 4B018 4B024 4B027 4C088 4C206 4B018LB08 4B018LB10 4B018MD08 4B018MD48 4B018ME06 4B018ME08 4B018ME14 4B018MF01 4B018MF02 4B024AA01 4B024AA05 4B024CA01 4B024FA02 4B027FB13 4B027FC06 4B027FK02 4B027FK08 4C088AB34 4C088AC03 4C088AC04 4C088BA08 4C088BA11 4C088BA21 4C088CA03 4C088CA06 4C088CA10 4C088CA11 4C088CA12 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA01 4C088ZA02 4C088ZA15 4C088ZA16 4C088ZA33 4C088ZA36 4C088ZA42 4C088ZA44 4C088ZA45 4C088ZA59 4C088ZA66 4C088ZA68 4C088ZA75 4C088ZA89 4C088ZA94 4C088ZA96 4C088ZB11 4C088ZB15 4C088ZB21 4C088ZB26 4C088ZC02 4C088ZC35 4C088ZC37 4C088ZC80 4C206AA01 4C206AA02 4C206CB25 4C206KA18 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA72 4C206NA14 4C206ZA01 4C206ZA02 4C206ZA15 4C206ZA16 4C206ZA33 4C206ZA36 4C206ZA42 4C206ZA44 4C206ZA45 4C206ZA59 4C206ZA66 4C206ZA68 4C206ZA75 4C206ZA89 4C206ZA94 4C206ZA96 4C206ZB11 4C206ZB15 4C206ZB21 4C206ZB26 4C206ZC02 4C206ZC35 4C206ZC37 4C206ZC80関連出願の参照 本願は、先行する日本国特許出願である特願2004−307838号(出願日:2004年10月22日)に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体は参照することによりここに組み込まれる。発明の背景発明の分野 本発明は、転写因子Nrf2(NF-E2 related factor 2)の活性化能を有する薬剤およびその機能が付与された食品に関する。本発明はまた、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる組成物および食品に関する。関連技術 人間にとって酸素は不可欠であるが、生体内で生じるその副産物である活性酸素は高い毒性を示す。活性酸素が引き起こす酸化ストレスによる細胞の損傷は、加齢にともなう数多くの慢性疾患(例えば、動脈硬化、高血圧、糖尿病、脳神経変性疾患、皮膚疾患、眼疾患、喘息、がんなど)の発症や進行に深く関与していることが知られている。酸化ストレスからの防御能を高めることは、これら疾患の予防、進行の遅延に有用である(Biomed Pharmacother.57 251-60 (2003))。 近時、第二相酵素と呼ばれる一連のタンパク質群が、生体の酸化ストレスからの防御や生体異物の解毒を連携して担っていることが明らかとなってきた。第二相酵素としては、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、NAD(P)H:キノン酸化還元酵素1(NQO1)、グルタミルシステインリガーゼ(GCL)、ヘムオキシゲナーゼ1(HO1)、チオレドキシン還元酵素1(TXNRD1)等が知られている。これら第二相酵素の遺伝子のプロモーターには、ARE(antioxidant responsive element)と呼ばれる共通の配列が存在し、転写因子Nrf2(NF-E2 related factor 2)によってその発現が誘導されることが解明されつつある(Annu Rev Pharmacol Toxicol. 43:233-60 (2003))。通常、Nrf2は、Keap1−Nrf2複合体として細胞質に存在し、そこに活性化物質が作用すると核内へ移行して、small mafとヘテロ二量体を形成してAREに結合し、第二相酵素の発現を増大させると考えられる。 Nrf2の活性化物質としては、ブロッコリーなどアブラナ科の野菜に含まれるスルフォラファンが有名である。スルフォラファンに関しては、高血圧(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 7094-9 (2004))、抗炎症(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 7094-9 (2004))、加齢性黄斑変性症(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 10446-51 (2004))、発がん(Proc Natl Acad Sci U S A. 89 2399-403 (1994)、Carcinogenesis. 21 2287-91(2000))などを予防もしくは改善できることが報告されている。他のNrf2の活性化物質としては、アヴィシンス(マメ科植物アカシア・ビクトリアエより単離されたトリテルペノイドサポニン)(Proc Natl Acad Sci U S A. 98 11551-6 (2001)、J Clin Invest. 113 65-73. (2004))や15−デオキシ−D12,14−プロスタグランジンJ2(15dPGJ2)(Mol Cell Biol. 24 36-45. (2004))なども知られている。これらNrf2活性化物質には、各種疾患の予防もしくは改善効果が期待されている。 グルタチオン量の低下などによって引き起こされる生体の酸化ストレスに対する防御能の低下は、血中においてスーパーオキシドのような活性酸素分子種を増加させ、高血圧を引き起すことがある。これは、スーパーオキシドが血管平滑筋を弛緩させる作用をもつNO(一酸化窒素)と反応してペルオキシナイトライトを生成し、弛緩作用を妨げるからである。また、ペルオキシナイトライトは強い炎症惹起物質でもあり、その生成は動脈硬化巣の形成にも繋がる可能性が指摘されている。例えば、自然発症高血圧ラットSHR(spontaneously hypertensive rat)では、血管平滑筋で活性酸素の消去に中心的な役割を果たしているグルタチオンが低値となっており、酸化ストレスが増大していることが報告されている(J Hypertens. 19 1819-25 (2001))。しかしながら、SHRの血管平滑筋にスルフォラファンを作用させるとグルタチオン量を増加させることが可能なため、高血圧の改善が期待できる。最近、SHRsp(stroke-prone SHR)において、グルコラファニン(スルフォラファンの代謝前駆体)を多量に含むブロッコリースプラウトを投与することによって、血圧上昇の抑制、血管内皮機能の改善が可能であることが確認された(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 7094-9 (2004))。このことは、グルタチオン量の増加および第二相酵素の誘導が高血圧の改善に有効であることを示している。 脳は、比較的新陳代謝率が高く、細胞再生能力が低いため、他の臓器に比べて酸化ストレスの損傷に弱い臓器として知られている。また、脳内の活性酸素量は年齢と共に増加することから、脳の酸化ストレスに対する防御能は、加齢に伴って低下する可能性が指摘されている。酸化ストレスの上昇は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側策硬化症などの脳神経変性疾患の発症と深く関連していると考えられている。例えば、脂質過酸化物のマーカーである4−ヒドロキシノネナールやマロンジアルデヒドの蓄積が、アルツハイマー病患者の大脳皮質や海馬、パーキンソン病患者の黒質、および、筋萎縮性側策硬化症の脊髄液において認められている。また、アルツハイマー病では、原因物質と考えられているβ−アミロイドが細胞内の過酸化水素量を増加させることが知られており、パーキンソン病では、増加するドーパミンが過酸化水素を含む複数の活性酸素分子種の量を増加させることが知られている。さらに、パーキンソン病では、黒質のグルタチオン量が病態の生化学指標となっており、病態悪化とともにグルタチオン量が低下することが報告されている(Nat Med. 10 Suppl S18-25 (2004))。したがって、過酸化水素等による細胞損傷の防御や細胞内グルタチオン量の増加など、活性酸素に対する防御能を増強することは、これらの脳神経変性疾患の予防、改善に有効であると考えられる。実際、第二相酵素を誘導するジメチルフマル酸やtert-ブチルヒドロキノンがドーパミンや過酸化水素による細胞死を抑制することも報告されている(J Biol Chem. 277 388-94 (2002)、J Neurochem. 71 69-77 (1998)、Neurosci Lett. 273 109-12. (1999))。また、このような抑制作用は第二相酵素のキノン還元酵素(QR)やGSTなど一部を発現増加させても不十分で、Nrf2の活性化による一連の第二相酵素の発現増強が必要であることが明らかとなっている。 酸化ストレスの関連する眼疾患としては、加齢性黄斑変性症、白内障、光網膜症、未熟児網膜症などが知られている。加齢性黄斑変性症は、老化に伴って発症し、老齢者で失明を引き起こす代表的な眼疾患である。この疾患の原因としては網膜色素上皮細胞に対する光酸化ストレスが示唆されており、脂質およびタンパク質の酸化産物の蓄積が危険因子として知られている。レチンアルデヒド(Retinaldehyde)とUVA(長波長紫外線)との組合せによる光酸化ストレスを網膜色素上皮細胞に与えると、細胞内の過酸化脂質量が増大して細胞は死滅するが、第二相酵素の誘導能をもつスルフォラファンはこれを抑制することが知られている。同様に、第二相酵素の誘導能をもつビス(2−ヒドロキシベンジリデン)アセトンも細胞死を抑制することが示されており、NQO1やGCLなどの第二相酵素の誘導能および酸化ストレスに対する防御能が予防に重要であることが明らかとなっている(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 10446-51 (2004)。また、第二相酵素の誘導能をもつクルクミンは酸化ストレスを軽減し、ガラクトース誘発白内障を抑制することが知られており(Mol Vis. 9 223-30 (2003))、さらに、Nrf2の活性化によって発現が増加するチオレドキシンは光網膜症の改善に利用できることが知られている(Invest Ophthalmol Vis Sci. 43 1162-7 (2002))。 がん(悪性腫瘍)は現在の主要な死亡原因の1つである。古くから緑黄色野菜の摂取が発がんの危険率を低下させると言われてきた。緑黄色野菜の代表的なものとしては、ブロッコリー、ケール、赤キャベツなどのアブラナ科の野菜があり、これらをネズミに摂取させると組織のQR活性やGST活性の増大が起こることが知られている。ブロッコリーからは、QR活性の誘導物質としてスルフォラファンが同定されており(Proc Natl Acad Sci U S A. 89 2399-403 (1992))、DMBA(9,10-dimethyl-1,2-benzanthracene)誘発ラット乳がんモデル(Proc Natl Acad Sci U S A. 89 2399-403 (1994))やアゾキシメタン(AOM)誘発ラット大腸がんモデル(Carcinogenesis. 21 2287-91(2000))において、強い発がん抑制効果を示すことが確認されている。これらの発がん抑制効果を示す際には、スルフォラファンによって誘導される第二相酵素やグルタチオン量の増大によって、発がん物質の効果的な解毒や酸化ストレスの抑制が行われていると考えられる。このため、同様の作用をもつ物質はがんの予防に有用であると考えられる。一方、マメ科植物由来のアヴィシンスの皮膚への塗布は、過酸化水素の産生抑制や抗炎症作用によってDMBA/TPA(phorbol 12-tetradecanoate 13-acetate)誘発マウス皮膚がんで抑制効果を示すことが報告されている(Proc Natl Acad Sci U S A. 98 11551-6 (2001))。さらに、アヴィシンスは、Nrf2を活性化してNQO1やHO1の発現とグルタチオン量を増加させることが明らかとなっており、皮膚塗布することにより紫外線(UVB)照射における肥厚化やDNA損傷等の皮膚障害を抑制すること報告されている(J Clin Invest. 113 65-73. (2004))。 ディーゼルエンジンが排気する粒子状汚染物質であるDEP(diesel exhaust particles)は、呼吸器で酸化ストレスを発生させ、喘息などの症状を引き起こすことが知られている。DEPとOVA(ovalubumin)の吸入させるマウスモデルでは、ブシラミン(bucillamine)やN−アセチルシステインの腹腔投与が肺に生じる脂質過酸化などの酸化ストレスを顕著に抑制することが示されている(J Immunol. 168 2560-7. (2002))。また、Nrf2欠損マウスは、DEPによる肺の酸化ストレスを強く受け、DNA損傷が上昇することが報告されており(Toxicol Appl Pharmacol. 173 154-60. (2001))、さらに、Nrf2活性化によって誘導されるHO1、NQO1、GSTは、DEPによる酸化ストレスやDEP中のキノンの毒性に対する防御を担っていることも報告されている(J Immunol. 173 3467-81. (2004))。これらのことから、環境汚染物質等によって引き起こされる喘息の予防、改善に、Nrf2活性化物質を利用することが有望とされている。さらに、Nrf2によって発現が誘導される第二相酵素の遺伝子多型に関して、GSTP1の活性を欠損しているヒトでは気管支過敏性や喘息のリスクが顕著に上昇すること(Am J Respir Crit Care Med. 161 1437-42 (2000))、および、グルタチオンS−トランスフェラーゼmu1(GSTM1)とNQO1の活性を欠損している子供は小児喘息のリスクが上昇すること(Am J Respir Crit Care Med. 168 1199-204. (2003))が報告されており、喘息におけるNrf2活性化による防御の重要性が報告されている。 Nrf2の活性化による細胞内の抗酸化能の増大やHO−1等の第二相酵素の誘導は、抗炎症的に作用することも知られている。例えば、上述したSHRspにおけるグルコラファニンを多量に含むブロッコリースプラウトの投与では、大動脈や頚動脈の血管壁、心室、腎臓の髄質で活性化マクロファージの浸潤の抑制も観察され、グルタチオン量の増加や第二相酵素の誘導が抗炎症作用を発揮していることが示唆されている。さらに、このような単球系の細胞の血管壁への接着、浸潤は動脈硬化の早期過程でも起きる現象で、マクロファージの泡沫化へと繋がることから、Nrf2活性化による動脈硬化の予防が期待されている(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 7094-9 (2004))。動脈硬化では血中コレステロールの上昇と血管で生じる炎症が二大要因と言われているが(Nat Med. 8 1211-7 (2002))、これまでスタチン等のLDL−コレステロール低下薬の開発が主として進められてきた。今後、抗炎症作用をもつ食品、薬の利用が注目される。しかしながら、Nrf2活性化による単球系細胞の接着抑制のメカニズムについては未だ不明な点が多い。血管内皮細胞を用いたインビトロ実験では、Nrf2やNQO1の発現増強、抗酸化物質のN−アセチルシステインの作用により炎症性サイトカインTNF−α刺激による接着分子VCAM−1の発現が抑制されることが報告されている(J Biol Chem. 278 703-11 (2003)、J Clin Invest. 92 1866-74 (1993))。このことから、抗酸化作用や第二相酵素の誘導によって炎症時に誘導される接着分子の発現が抑制されている可能性が考えられる。ICAM−1やVCAM−1は、血管炎、肺気管支炎、リウマチ性関節炎、骨関節炎、肝炎、膵炎、皮膚炎、食道炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、結膜炎等の幅広い炎症性疾患の病態と関連する。また、ICAM−1やVCAM−1に代表される血管内皮上の接着分子は、通常、単球等白血球の細胞表面のインテグリンとの強固な結合を形成して接着するが、生体にがん細胞が存在する場合には、その細胞上のインテグリンとの結合によって転移、浸潤が起こることが知られている(Cancer Metastasis Rev. 18 345-57. (1999))。したがって、Nrf2活性化がこれら接着分子の発現を抑制するのであれば、がんの転移、浸潤の抑制にも繋がると考えられる。 ホップはヨーロッパ原産のアサ科多年草(学名:Humulus luplus)であり、その毬果(雌花が成熟したもの)を一般にはホップと呼びビールの苦味、香りづけに用いられることで有名であり、長く人々が摂取してきている。これらの苦味、香りは、ホップのルプリン部分(毬果の内苞の根元に形成される黄色の顆粒)よりもたらされる。ホップはまた、民間薬としても用いられており、その効用は、鎮静効果、入眠・安眠効果、食欲増進、健胃作用、利尿作用、抗糖尿病など多くの生理効果が知られている。また、ホップ毬果よりルプリン部分を除いたホップ苞に由来するポリフェノール類に関し、リパーゼ阻害作用、体重増加抑制作用等があるとの報告もされている(特開2001−321166号公報、特開2001−131080号公報)。 さらに、最近、ホップ苦味成分であるフムロン類やイソフムロン類に関してPPARアゴニストとしての活性やそれを示唆するような脂肪細胞分化に関わる活性やβ酸化酵素の活性化に関わる活性が開示されている。さらに、このホップの苦味成分について、インスリン抵抗性改善、血中HDLコレステロール増加や肝臓脂質の蓄積抑制効果など脂質代謝改善効果、体重増加抑制効果、脂肪蓄積防止効果、血圧降下、血管内皮機能改善についても開示されている(WO03/068205、WO2004/064818)。 しかしながら、ホップの苦味の主成分であるイソフムロン類が、Nrf2を活性化しうること、それによって第二相性酵素を誘導できること、さらにはそれらによってもたらされる細胞内グルタチオン量を増加させることができること、活性酸素や生体異物に対する防御能の増強できることについては本発明者らの知る限りこれまで報告されていない。また、このイソフムロン類について酸化ストレスにより特徴づけられる疾患、例えば、脳神経疾患、皮膚疾患、眼疾患、喘息などの治療、予防、改善、または緩和作用については本発明者らの知る限りこれまで報告されていない。発明の概要 本発明者らは今般、ホップに由来する苦味成分であるイソフムロン類がNrf2の活性化作用を有することを見出した。また、本発明者らは、イソフムロン類または異性化ホップエキスが、細胞内において第二相酵素を誘導すること、細胞内のグルタチオン量を増大させることができること、活性酸素による細胞死を抑制すること見出した。換言すると、イソフムロン類が、酸化ストレスに対する防御能亢進作用、生体異物に対する解毒能亢進作用、および抗炎症作用を有することを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。 本発明は、生体内の酸化ストレスや環境物質による細胞の損傷により発症または進行することが考えられる慢性疾患(例えば、動脈硬化、高血圧、糖尿病、脳神経変性疾患、皮膚疾患、眼疾患、喘息、がんなど)の治療、予防、改善、緩和、もしくは進行遅延、または生体異物の解毒に有用な薬剤または食品の提供をその目的とする。 本発明による組成物は、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効成分として含んでなる、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる組成物である。 本発明による転写因子Nrf2活性化剤は、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効成分として含んでなるものである。 本発明による食品は、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられるものである。 本発明の別の態様の食品は、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、抗酸化、解毒、または、抗炎症用であるものである。 本発明のさらに別の態様の食品は、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化に用いられるものである。 本発明による、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善する方法は、イソフムロン類または異性化ホップエキスの治療上有効量を、哺乳動物に投与するまたは摂取させることを含んでなる。 本発明の別の態様によれば、イソフムロン類または異性化ホップエキスの有効量を、哺乳動物に投与することを含んでなる、転写因子Nrf2を活性化する方法が提供される。 本発明のさらに別の態様によれば、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる組成物を製造するための、イソフムロン類または異性化ホップエキスの使用が提供される。 また本発明のさらにまた別の態様によれば、Nrf2活性化剤を製造するための、イソフムロン類、または異性化ホップエキスの使用が提供される。 本発明のさらに別の態様によれば、抗酸化剤、解毒剤、または抗炎症剤を製造するための、イソフムロン類または異性化ホップエキスの使用が提供される。 脳神経変性疾患、眼疾患、皮膚疾患、喘息、がん、および動脈硬化は加齢に伴って発症する慢性の病気であり、かつその病態は複雑で、生体内の異常な酸化ストレス状態を伴う。その薬剤による治療は長期間にわたることが多く、投与量の増大や投与の長期化による副作用の発現など種々の問題が無視できない。本発明による組成物および食品の有効成分は長年食品として用いられてきたホップに由来するものである。従って、本発明による組成物および食品は患者が長期間にわたって服用しても副作用が少なく、安価で安全性が高い点で有利である。実施例1における、異性化ホップエキスによるQR活性の誘導を示した図である(n=3、平均値±標準偏差)。実施例1における、イソフムロン類によるQR活性の誘導を示した図である(n=3、平均値±標準偏差)。実施例1における、フムロン類によるQR活性の誘導を示した図である(n=3、平均値±標準偏差)。実施例2における、イソフムロン類によるNrf2活性化を示した図である(n=2、平均値±標準偏差)。実施例3における、イソフムロン類によるNrf2標的遺伝子の発現変化を示した図である(n=2、平均値±標準偏差)。実施例4における、イソフムロン類による細胞内総グルタチオン量の変化を示した図である(n=2、平均値±標準偏差)。実施例5の過酸化水素による細胞死滅における、イソフムロン類の効果を示した図である(n=2、平均値±標準偏差)。黒色と白色はそれぞれ0.8mMおよび1.0mMの過酸化水素濃度の条件を示す。実施例6における、異性化ホップエキスあるいはイソフムロン類によるTNF−αの産生抑制を示した図である(n=3、平均値±標準偏差)。実施例8における、異性化ホップエキスによるICAM−1およびVCAM−1発現の抑制を示した図である。実施例9における、異性化ホップエキスの経口摂取による肝臓遺伝子発現の変化を示した図である(n=5、平均値±標準偏差)。発明の具体的説明有効成分およびその製造法 イソフムロン類 本発明において、イソフムロン類は、イソフムロンおよびその類縁化合物として公知のものであれば特に制限はなく、例えば、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、イソポストフムロン、イソプレフムロン、テトラハイドロイソフムロン、アロイソフムロン、パライソフムロン、フムリニック酸、ヘキサハイドロイソフムロン、アンチイソフムロン、フルポンが包含される。 また本発明において、イソフムロン類には、前記したイソフムロン類の化合物自体の他、その薬学上許容される塩または溶媒和物も包含することができる。そのような薬学上許容される塩としては、例えば、酸付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩等の無機酸塩;クエン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、サリチル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、カルボキシル基を有する化合物は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の金属との塩、リジン等のアミノ酸との塩とすることもできる。さらに、薬学上許容される溶媒和物としては、例えば、水和物、アルコール和物(例えば、メタノール和物、エタノール和物)、エーテル和物が挙げられる。 本発明の好ましい態様によれば、イソフムロン類は、好ましくは、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。 また、イソフムロン類には、置換基のアルケニル基に由来するシス−トランス異性体が存在しうる。本発明には、シス−トランスのいずれの異性体およびそれらの混合物も包含される。本発明の好ましい態様によれば、イソフムロン類は、トランス体のイソフムロン類である。 ここでイソフムロン類は、市販されているものを入手して用いることができる。本発明において、有効成分はまた、公知の方法に従って製造することができ、例えば、Developments in Food Science 27, CHEMISTRY AND ANALYSIS OF HOP AND BEER BITTER ACIDS, M. Verzele, ELSEVIERに記載の方法に従って合成することができる。本発明による有効成分は、後述する方法により得られたホップエキスまたは異性化ホップエキスから単離、精製することにより得ることができる。 異性化ホップエキス 本発明による有効成分は、ホップ等天然物から調製されたものを使用してもよい。本発明による有効成分は、例えば、ホップ毬花あるいはホップ抽出物やその異性化物中に存在し、各種クロマトグラフィーを用いてこれらから本発明の有効成分を分取することができる(例えば「醸造物の成分」、平成11年12月10日、財団法人日本醸造協会発行等を参照)。 また本発明において、異性化ホップエキスは、ホップのルプリン部に由来する抽出物(ホップエキス)を異性化することにより得ることができる。ホップはアサ科に属する多年生植物であり、その毬花(未受精の雌花が熟成したもの)である。ホップのルプリン部は、ビール醸造原料であり、ビールに苦味、芳香を付与する為に用いる。ビール中の醸造過程においてホップ中のフムロン類(フムロン、コフムロン、アドフムロン、ポストフムロン、プレフムロン等)は、イソフムロン類(イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、イソポストフムロン、イソプレフムロン等)に異性化され、ビールに特有の味と香りを付与する。 ホップの抽出物は、例えば毬花やその圧縮物をそのままもしくは粉砕後、抽出操作に供することによって調製することができる。抽出方法としては、例えば、ビール醸造に用いられるホップエキスの調製法として用いられるエタノール溶媒による抽出法や超臨界二酸化炭素抽出法などがある。このうち超臨界二酸化炭素抽出はポリフェノール成分が少なく、苦味質と精油成分がより高く濃縮されるなどの特徴を有する。また、ホップ抽出法として、その他一般に用いられる方法を採用することができ、例えば、溶媒中にホップの毬花、その粉砕物などを冷浸、温浸等によって浸漬する方法;加温し攪拌しながら抽出を行い、濾過して抽出液を得る方法;またはパーコレーション法等を挙げられる。得られた抽出液は、必要に応じてろ過または遠心分離によって固形物を除去した後、使用の態様により、そのまま用いるか、または溶媒を留去して一部濃縮若しくは乾燥して用いてもよい。また濃縮または乾燥後、さらに非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いても、またこれを更に適当な溶剤に溶解もしくは懸濁して用いることもできる。更に、本発明においては、例えば、上記のようにして得られた溶媒抽出液を、減圧乾燥、凍結乾燥等の通常の手段によりホップ抽出エキス乾燥物として使用することもできる。 前記抽出に用いられる溶媒としては、例えば、水;メタノール,エタノール,プロパノールおよびブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール;酢酸エチルエステル等の低級アルキルエステル;エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール類;その他エチルエーテル、アセトン、酢酸等の極性溶媒;ベンゼンやヘキサン等の炭化水素;エチルエーテルや石油エーテルなどのエーテル類等の非極性溶媒の公知の有機溶媒を挙げることができる。これら溶媒は、二種以上を組み合わせてもよい。 その後必要に応じて不溶物をろ過により除去し、抽出物を減圧等により濃縮し、溶媒を乾固させてもよい。また毬花を粉砕したものを超臨界二酸化炭素抽出、あるいは液化炭酸ガス抽出することも好ましい。 これら抽出した粗エキスには、フムロン類に加えその異性化物であるイソフムロン類が含有される。本発明において使用し得るイソフムロン類は、この粗エキスから、慣用の方法を適用して分離精製してもよい。またイソフムロン類の含有量等によっては、この粗エキスを、本発明における異性化ホップエキスとしてそのまま使用してもよい。 イソフムロン類をより高含量含むものを得る場合にはこの粗エキスをアルカリ存在下または酸化マグネシウム存在下で加熱化し更に異性化することが好ましい。異性化によりホップ抽出物中のフムロン類はイソフムロン類に完全に変換される。 ここで異性化処理をさらに具体例を挙げて説明すると、ホップエキスを、エタノール等のアルコール性溶媒に溶解した後、ここに弱アルカリ性の水を加えて、その存在下において加熱(例えば、92〜93℃程度)して還流することによってホップエキスを熱異性化し、異性化ホップエキスを得ることができる。得られた異性化ホップエキスは、必要に応じて、公知の方法(例えば、ろ過、減圧濃縮、凍結乾燥等)により濃縮したり、精製したりしてもよい。なお、前記異性化処理において使用する弱アルカリ性(例えば、pH8.5〜9.5)の水として、例えば、飲料用アルカリイオン水などのような市販の水(例えば、ボトルドウォーター)を使用することが、安全性の観点からは望ましい。市販の飲料の水であれば、摂取されてきた経験が充分にあるなど、安全性が高い。また、ビール醸造の麦汁煮沸過程で熱異性化されて生成する反応様式と前記異性化処理は本質的に同等であるので、飲食品を提供する観点からは安全性が高い。 本発明においては、前述したようにして得られた異性化ホップエキスを組成物および食品等の製造に直接使用してもよいが、さらに有効成分を高濃度に含有する分画物を使用することが好ましい。 また、種々の方法で抽出されたホップエキスおよび異性化されたエキスはビール添加物として市販されている。このため、本発明においては、これら市販のホップエキスまたは異性化ホップエキスを、そのまままたは必要に応じてさらに異性化処理に付した後、使用してもよい。市販の異性化ホップエキスとしては、例えば、ホップ毬花粉砕物から主にフムロン類とルプロン類を超臨界二酸化炭素抽出したホップエキス(例えば、CO2 Pure Resin Extract(Hopsteiner社))、ホップ毬花粉砕物の炭酸ガス抽出物を異性化したエキス(例えば、Isomerized Kettle Extract (SS. Steiner社)、イソフムロン類とルプロン類が主成分)、ホップ毬花粉砕物の炭酸ガス抽出物を異性化した後、さらにカリウム塩化して粘性の低い液体とした水溶性エキス(例えば、ISOHOPCO2N(English Hop Products社)、ISOHOPR(Botanix社)、イソフムロン類が主成分)などを用いることができる。 またこれらのエキスよりもさらにイソフムロン類を高濃度に含有する分画物は、前記の方法等も含め濃縮によりできる。 本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明の組成物、Nrf2活性化剤、または食品において、有効成分は、異性化ホップエキスであることができる。用途 本発明による有効成分であるイソフムロン類または異性化ホップエキスは、転写因子Nrf2を活性化する性能を有する(実施例1、2および3)。 転写因子Nrf2は、生体の酸化ストレスや生体異物に対する防御能と深く関連していることが知られており、Nrf2の活性化物質は、それらに特徴付けられる疾患または状態、すなわち、高血圧(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 7094-9 (2004))、抗炎症(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 7094-9 (2004))、脳神経変性疾患(J Biol Chem. 277 388-94 (2002)、J Neurochem. 71 69-77 (1998)、Neurosci Lett. 273 109-12. (1999))、眼疾患(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 10446-51 (2004)、Mol Vis. 9 223-30 (2003)、(Invest Ophthalmol Vis Sci. 43 1162-7 (2002))、皮膚疾患(J Clin Invest. 113 65-73. (2004))、喘息(J Immunol. 173 3467-81. (2004))、発がん(Proc Natl Acad Sci U S A. 89 2399-403 (1994)、Carcinogenesis. 21 2287-91(2000)、Proc Natl Acad Sci U S A. 98 11551-6 (2001))などを治療、予防、改善、状態の緩和、またはその進行を遅延することが可能であることが前記各文献において報告されている。またNrf2の活性化物質は、前記従来技術の欄において示したように、生体異物の解毒、慢性炎症を治療、予防、または改善することとも関連していることが知られている。これらの作用は、Nrf2活性化にともなう一連の第二相酵素群の発現増加やグルタチオン量の増加が、酸化ストレスや生体異物に対する防御能を増大させることによると考えられる。 本発明による有効成分は、Nrf2活性化によって活性が増大する代表的な酵素活性であるキノン還元酵素活性(QR活性)を増大させた(実施例1)。本発明による有効成分は、ARE(antioxidant responsive element)配列に関するレポーターアッセイで、Nrf2活性化を示した(実施例2)。また、本発明による有効成分は、Nrf2の活性化によって発現増加する一連の第二相酵素群の発現を増加させた(実施例3)。さらに本発明による有効成分は、細胞内のグルタチオン量を増加させ(実施例4)、また、活性酸素による細胞死滅を抑制した(実施例5)。したがって、本発明による有効成分は、転写因子Nrf2を活性化する性能を有するといえる。 本発明による有効成分は、マクロファージの炎症惹起物質によるTNF−α産生を抑制した(実施例6)。また、異性化ホップエキス投与により、炎症状態を示唆するマーカーと考えられているsICAM−1とsVCAM−1の量を、有意に低下させた(実施例7)。さらに異性化ホップエキスは、TNF−α刺激による血管内皮上のICAM−1およびVCAM−1の発現を顕著に抑制した(実施例8)。したがって、イソフムロン類は、高脂肪食摂取条件による動脈硬化進展において、初期の炎症過程における血管内皮上の接着分子発現を顕著に抑制し、単球など白血球の接着、浸潤を抑える作用があることが示されている。すなわち、イソフムロン類によれば、動脈硬化の初期過程で起こる血管の炎症を治療、予防または改善することが可能であるといえる。また、イソフムロン類は、血管内皮上の接着分子であるICAM−1およびVCAM−1の発現を抑制できるので、がんの転移または浸潤を予防または抑制することが可能であるといえる。 さらに本発明による有効成分は、in vivoの経口摂取試験において、肝臓の代表的な第二相酵素であるGSTM1、NQO1、およびGCLCの発現を有意に増加させた(実施例9)。このことから、本発明による有効成分を経口で摂取させた場合でも、体内のNrf2が活性化され、第二相酵素と呼ばれる一連の遺伝子群の発現が増加することが示されている。GSTM1やNQO1は解毒に関する酵素であり、GCLCは抗酸化物質のグルタチオンの合成を司る酵素であることから、本発明による有効成分は、解毒作用と抗酸化作用を亢進することが可能であるといえる。また前記in vivo試験において、本発明による有効成分は、Cyp1A1やCyp1A2に代表される、発がん物質の活性化に関与する第一相酵素の発現を増大させなかった(実施例9)。このことから、本発明による有効成分は、解毒系の代謝において、第二相酵素群の発現を選択的に増加することが可能であると言える。 したがって、本発明による有効成分は、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いることができる。なお、本発明において、疾患または状態の「治療、予防または改善」は、疾患または状態の、調節、進行の遅延、緩和、発症予防、再発予防、抑制などを包含する意味で使用される。 ここで、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態としては、酸化ストレス、生体異物の解毒、慢性炎症、またはこれに関連する疾患もしくは状態が包含される。さらに具体例を挙げると、酸化ストレスまたはこれに関連する疾患または状態としては、脳神経変性疾患、眼疾患、皮膚疾患、喘息、がん、動脈硬化またはこれに関連する疾患もしくは状態が挙げられる。ここで、脳神経変性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側策硬化症が包含される。また、眼疾患としては、加齢性黄斑変性症、白内障、光網膜症、未熟児網膜症が包含される。慢性炎症の具体例としては、血管炎、肺気管支炎、リウマチ性関節炎、骨関節炎、肝炎、膵炎、皮膚炎、食道炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、結膜炎等が挙げられる。 また本発明による有効成分は、転写因子Nrf2活性化剤の有効成分として使用することができる。そして、本発明による有効成分は、細胞内グルタチオン量の増加、第二相酵素の発現亢進、または、活性酸素による細胞死の抑制等の用途に使用することができる。また、本発明による有効成分は、血圧上昇の抑制、血管内皮機能の改善、発がん予防、がん治療、糖尿病治療、動脈硬化等の用途に使用することもできる。さらに本発明による有効成分は、がん細胞の転移または浸潤の予防または抑制、動脈硬化を惹起する動脈血管の炎症を治療、予防または改善する用途に使用することができる。なお、がん細胞の転移または浸潤の予防または抑制効果は、発がん予防効果とは異なるメカニズムにより奏されるものあり、発がん予防効果を有していたとしても、がん細胞の転移または浸潤の予防または抑制効果を有するとは限らないことは当業者にも明らかであろう。 すなわち、本発明による有効成分は、抗酸化剤、解毒剤、または抗炎症剤の有効成分としても使用することができる。 本発明によれば、イソフムロン類または異性化ホップエキスの治療上有効量を、哺乳動物に投与するまたは摂取させることを含んでなる、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善する方法が提供される。 なおここで「治療上有効量」とは、治療、予防または改善効果のような所望の効果を発揮する上で少なくとも必要とされる有効成分の量を意味する。 本発明によれば、イソフムロン類または異性化ホップエキスの有効量を、哺乳動物に投与することを含んでなる、転写因子Nrf2を活性化する方法が提供される。 本発明によれば、Nrf2活性化剤を製造するための、本発明による有効成分の使用が提供される。 さらに本発明によれば、抗酸化剤、解毒剤、または抗炎症剤を製造するための、イソフムロン類または異性化ホップエキスの使用が提供される。 また本発明によれば、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる組成物を製造するための、イソフムロン類、または異性化ホップエキスの使用が提供される。 組成物および食品 本発明による組成物は、前記したように、イソフムロン類または異性化ホップエキスを有効成分として含んでなるものである。 ここで「有効成分として含んでなる」とは、所望する製品形態に応じた生理学的に許容されうる担体を含んでいてもよいことは当然として、併用可能な他の補助成分を含有する場合も包含する意味である。すなわち、本発明による組成物は、有効成分であるイソフムロン類または異性化ホップエキスを用いて、生理学的に許容されうる担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などと混合することにより製造できる。本発明による組成物は、経口または非経口的に投与または摂取することができる。経口用の形態としては、食品、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。非経口用の形態としては、注射剤(例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、外用剤(例えば、経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤)、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)が挙げられる。これらの製剤は、当分野で通常行われている手法により、薬学的に許容される担体(例えば、賦形剤、添加剤)とともに製剤化することができる。薬学的に許容される賦形剤や添加剤としては、担体、結合剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。薬学的に許容される担体としては、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオバター等が挙げられる。 また併用可能な他の補助成分としては、例えば、システイン、シスチン、グルタミン、グリシン等のアミノ酸、ビタミン成分(例えば、ビタミンD、ビタミンK2)、抗生物質などが挙げられる。 製剤は、例えば下記のようにして製造できる。 経口剤は、有効成分として、例えば賦形剤(例えば、乳糖、白糖、デンプン、マンニトール)、崩壊剤(例えば、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、結合剤(例えば、α化デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース)または滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000)を添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより製造することができる。コーティング剤としては、例えばエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびオイドラギット(ローム社製、ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合物)などを用いることができる。 注射剤は、有効成分を分散剤(例えば、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノール、フェノール)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖、転化糖)などと共に水性溶剤(例えば、蒸留水、生理的食塩水、リンゲル液等)あるいは油性溶剤(例えば、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコール)などに溶解、懸濁あるいは乳化することにより製造することができる。この際、所望により溶解補助剤(例えば、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン)等の添加物を添加してもよい。 外用剤は、有効成分を固状、半固状または液状の組成物とすることにより製造することができる。例えば、上記固状の組成物は、有効成分をそのまま、あるいは賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、デンプン、微結晶セルロース、白糖)、増粘剤(例えば、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体)などを添加、混合して粉状とすることにより製造できる。上記液状の組成物は、注射剤の場合とほとんど同様にして製造できる。半固状の組成物は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟骨状のものがよい。また、これらの組成物は、いずれもpH調節剤(例えば、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム)、防腐剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム)などを含んでいてもよい。 坐剤は、有効成分を油性または水性の固状、半固状あるいは液状の組成物とすることにより製造できる。該組成物に用いる油性基剤としては、高級脂肪酸のグリセリド〔例えば、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製)〕、中級脂肪酸〔例えば、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製)〕、あるいは植物油(例えば、ゴマ油、大豆油、綿実油)が挙げられる。水性基剤としては、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコールが挙げられる。また、水性ゲル基剤としては、天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体が挙げられる。 製剤化にあたっては、本発明による有効成分以外の1種以上の医療上有効な有効成分をさらに添加し配合してもよい。また本発明による有効成分の投与にあたっては、本発明による有効成分以外の1種以上の医療上有効な有効成分を組み合わせて投与してもよい。このような他の有効成分としては、Nrf2活性化剤、抗酸化剤、解毒剤、抗炎症剤等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。 Nrf2活性化剤としては、例えば、スルフォラファン、アヴィシンス、15dPGJ2、キサントフモール、クルクミン、カルノソール、ゼルンボン、イソチオシアナート、αリポ酸、Oltipraz(4−メチル−5−[2−ピラジニル]−1,2−ジチオール−3−チオン)、1,2−ジチオール−3−チオン、2,3−ブチル−4−ヒドロキシアニソール等が挙げられる。抗酸化剤としては、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、レチノイド、ポリフェノール、フラボノイド、リグナン、セレン、ブチルヒドロキシアニソール、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、アセチルシステイン、プロブコール、テンポール等が挙げられる。解毒剤としては、ジメルカプロール、グルタチオン、アセチルシステイン、メチオニン、炭酸水素ナトリウム、メシル酸デフェロキサミン、エデト酸カルシウム二ナトリウム、塩酸トリエンチン、ペニシラミン、薬用炭等が挙げられる。抗炎症剤としては、ステロイド抗炎症剤、非ステロイド抗炎症剤が挙げられる。ステロイド抗炎症剤としては、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾロン、メチルプレドニン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾンが挙げられる。非ステロイド抗炎症剤としては、アスピリン、ジフルニサル、アスピリン・アスコルビン酸、アスピリンダイアルミネートなどのサリチル酸系非ステロイド抗炎症剤;ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、フェンブフェン、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、ナブメトン、モエゾラク、エトドラグなどのアリール酸系非ステロイド抗炎症剤;メフェナム酸、フルフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロクタフェニンなどのフェナム酸系非ステロイド抗炎症剤;イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、プラノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、ナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェンなどのプロピオン酸系非ステロイド抗炎症剤;ピロキシカム、アンピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、メロキシカムなどのオキシカム系非ステロイド抗炎症剤;塩酸チアラミド、エピリゾール、エモルファゾンなどの塩基性非ステロイド抗炎症剤が挙げられる。 製剤の形態は、目的とする疾患または状態に応じて適宜選択することができる。例えば、皮膚疾患の治療、予防、または改善の用途に使用する場合には、本発明による組成物を外用剤として、目的とする皮膚部分に塗布等することができる。 本発明による組成物および活性化剤は、医薬品への適用のみならず、食品への適用も意図されている。したがって、本発明の組成物および活性化剤の食品への適用にあたっては、後述する食品に関する記述を参照することができる。 本発明による食品は、本発明による有効成分を有効量含んでなるものである。 ここで「有効成分を有効量含んでなる」とは、個々の飲食品を通常喫食される量摂取した結果に、後述するような範囲で有効成分が摂取されるような量で有効成分を含有することをいう。本発明による食品には、本発明による有効成分をそのまままたは上記のような組成物または活性化剤の形態で、食品に配合することができる。より具体的には、本発明による食品は、本発明による有効成分または前述ホップの粉砕物もしくは抽出物をそのまままたは異性化して、食品として調製したもの、各種タンパク質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類等をそれらにさらに配合して調製したもの、液状、半液体状若しくは固体状にしたもの、ペースト状にしたもの、または、一般の飲食品へ添加したものであってもよい。 本発明において、「食品」は、医薬以外のものであって、哺乳動物が摂取可能なものであれば特に制限はなく、その形態も液状、半液体状または固体状のいずれのものであってもよい。このため食品には、例えば飲料の形態も包含される。 また本発明において「食品」には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示を付した食品、または、病者用食品のような分類のものも包含される。さらに「食品」という用語は、ヒト以外の哺乳動物を対象として使用される場合には、飼料を含む意味でここで用いてもよい。 食品はまた、通常の食品の形状であっても、サプリメントのような栄養補助食品の形状であってもよい。 本発明による有効成分は、酸化ストレスや環境汚染物質による細胞の損傷を伴う慢性疾患(例えば、脳神経変性疾患、眼疾患、皮膚疾患、または喘息)の予防、改善、または進行の抑制作用を有する。このため、日常生活で摂取する食品、健康食品、機能性食品、サプリメント(例えば、カルシウム、マグネシウム等のミネラル類、ビタミンK等のビタミン類を1種以上含有する食品)に本発明の有効成分を配合することにより、酸化ストレスおよび環境汚染物質による細胞の損傷を伴う各種慢性疾患の予防および改善機能を併せ持つ食品を提供することができる。 本発明によれば、前記したように、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる食品が提供される。 また本発明によれば、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、抗酸化、解毒、または、抗炎症用である食品が提供される。 さらに本発明によれば、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化に用いられる食品が提供される。 本発明の別の態様によれば、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善する機能が表示された食品が提供される。 本発明のさらに別の態様によれば、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、抗酸化能、解毒能、または、抗炎症能が表示された食品が提供される。 本発明のまたさらに別の態様によれば、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化能が表示された食品が提供される。 ここでこれら食品に付される機能表示は、製品の本体、容器、包装、説明書、添付文書、または宣伝物のいずれかにされてなることができる。 よって、本発明による食品は、例えば、体内の酸化ストレス、体内への生体異物の侵入、または炎症作用に関連する状態の改善または緩和機能を期待する消費者に適した食品、痴呆の改善または緩和を期待する消費者に適した食品、眼や皮膚の老化に伴う状態の改善または緩和機能を期待する消費者に適した食品、または、喘息もしくはそれに伴う状態の改善または緩和機能を期待する消費者に適した食品、すなわち所謂、特定保健用食品、として提供することができる。なお、ここでいう特定保健用食品とは、酸化ストレスや環境汚染物質による細胞の損傷を伴う疾患または状態の予防、改善、状態の緩和等を目的として食品の製造または販売等を行う場合に、保健上の観点から、各国において法上の何らかの制限を受けることがある食品をいう。このような食品は、食品が疾病リスクを低減する可能性があること表示した食品、すなわち、疾病リスク低減表示を付した食品であることもできる。ここで、疾病リスク低減表示とは、疾病リスクを低減する可能性のある食品の表示であって、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の定める規格に基づいて、またはその規格を参考にして、定められた表示または認められた表示であることができる。 本発明による食品の具体例としては、飯類、麺類、パン類およびパスタ類等の炭水化物含有飲食品;クッキーやケーキなどの洋菓子類、饅頭や羊羹等の和菓子類、キャンディー類、ガム類、ヨーグルトやプリンなどの冷菓や氷菓などの各種菓子類;ジュース、清涼飲料水、乳飲料、茶飲料、機能性飲料、栄養補助飲料、ノンアルコールビール等の各種飲料;ビール、発泡酒等のアルコール飲料;卵を用いた加工品、魚介類(イカ、タコ、貝、ウナギなど)や畜肉(レバー等の臓物を含む)の加工品(珍味類を含む)などが挙げられる。 本発明のより好ましい態様によれば、添加・配合の対象である食品としては、飲料(例えば、茶飲料、乳飲料)、ヨーグルトが挙げられる。 本発明の一つのより好ましい態様によれば、飲料は非アルコール飲料である。 ここで茶飲料とは、ツバキ科の常緑樹である茶樹の葉(茶葉)、または茶樹以外の植物の葉もしくは穀類等を煎じて飲むための飲料をいい、発酵茶、半発酵茶および不発酵茶のいずれも包含される。茶飲料の具体例としては、日本茶(例えば、緑茶、麦茶)、紅茶、ハーブ茶(例えば、ジャスミン茶)、中国茶(例えば、中国緑茶、烏龍茶)、ほうじ茶等が挙げられる。 ここで乳飲料とは、生乳、牛乳等またはこれらを原料として製造した食品を主原料とした飲料をいい、牛乳等そのもの材料とするものの他に、例えば、栄養素強化乳、フレーバー添加乳、加糖分解乳等の加工乳を原料とするものも包含される。 またヨーグルトには、ハードタイプ、ソフトタイプ、ドリンクタイプのいずれのものも包含され、さらにヨーグルトを原料とする加工ヨーグルト製品も包含される。 また、ビール、ノンアルコールビール、発泡酒などのようなホップ由来の食品には、一般的に、本発明における有効成分が既に一定量以上含まれていることがある。すなわち、このような公知のイソフムロン類含有食品は、単にホップ成分を添加したものでなく、ホップ成分が異性化される工程を経て製造された食品である。このような食品の場合、これらをそのまま本発明による食品として使用することができるが、さらに、これら食品に、イソフムロン類もしくはそれを含むエキス、または異性化ホップエキスを配合することによって、所望の効果をさらに増強することができ、または有効摂取量を低減させることができる。ここで「増強」とは、食品に当初から含まれている有効成分の量が、期待される機能の発現に必要とされる量以上となるように本発明による有効成分あるいは抽出物を添加・配合することをいう。 公知のイソフムロン類含有食品の例としては、ビールが挙げられる。例えば、ビール中におけるイソフムロン類含有量は、約10〜50mg/Lである。 本発明による食品においては、精製したイソフムロン類を用いるよりは、ホップエキスを異性化させた形で用いることがコスト的な問題からは有利であると考えられる。しかしながら、コスト的な問題がほとんど無いのであれば、精製イソフムロン類を食品の製造工程または最終製品中に添加してもよいし、または、製造工程中に異性化反応をもたらす工程がある場合には該工程前に精製フムロン類を添加しておいてもよい。 本発明の有効成分またはホップ抽出物の添加・配合の対象であるサプリメントとして摂取する健康食品や機能性食品の形態としては、例えば、ジュースや茶のような飲料、ゼリー、カプセル、顆粒剤、粒剤、ペーストが挙げられる。本発明の有効成分またはホップ抽出物を、単独で、あるいは他の成分(例えば、植物素材)と組み合わせて、飲料、ゼリー、カプセル、顆粒剤、粒剤、ペーストなどの形態に加工することにより、Nrf2活性化作用、抗酸化作用、解毒作用、抗炎症作用、またはこれら作用に関連する状態の改善または緩和機能を有するサプリメントなどの健康食品や機能性食品として提供することができる。特に、本発明による有効成分以外の成分であって、抗酸化、解毒、または抗炎症作用があるとされる他の成分と組み合わせることによって、Nrf2の活性化により予防もしくは改善される状態を、予防、改善、または緩和する機能をより強化することができる。抗酸化作用、解毒作用、または抗炎症作用があるとされる他の成分は公知の成分から選択することができる。抗酸化作用を有する成分としては、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、レチノイド、ポリフェノール、フラボノイド、リグナン、セレン、ブチルヒドロキシアニソール、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム等が挙げられる。解毒作用を有する成分としては、グルタチオン、メチオニン、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。また、抗炎症作用を有する成分としては、アリシン、カプサイシン、ブロメリン、硫化アリルが挙げられる。これらの成分は植物素材に含まれており、例えば、アリシンを含む植物素材としては、玉ねぎ、にら、にんにく、ニラ、葉ねぎが、カプサイシンを含む植物素材としては、唐辛子が、ブロメリンを含む植物素材としては、パイナップルが、硫化アリルを含む植物素材としては、あさつき、にんにく、エシャロット、ねぎ、葉ねぎ、ニラ、らっきょうが、それぞれ挙げられる。さらに、本発明による機能以外の機能を発揮する他の成分あるいは他の機能性食品と組み合わせることによって、多機能性の食品を提供することができる。 本発明において提供される飲料(飲料形態の健康食品や機能性食品を含む)の製造に当たっては、通常の飲料の処方設計に用いられている糖類、香料、果汁、食品添加剤などを適宜添加することができる。飲料の製造に当たってはまた、当業界に公知の製造技術を参照することができ、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。 本発明の好ましい態様によれば、イソフムロン類または異性化ホップエキスを、Nrf2活性化作用、抗酸化作用、解毒作用、抗炎症作用またはこれに関連する状態の改善または緩和機能の強化もしくは増強等を目的として、イソフムロン類または異性化ホップエキスを元来含有する食品(例えばビール)へ添加・配合することができる。 本発明による有効成分または抽出物を、そのまま食用に供する場合や、あるいは一般食品の原料に添加・配合して食品とする場合は、有効成分の苦みが食品の味に影響しない範囲で用いるか、または苦味がマスクされるような工夫をすることが好ましい。例えば、有効成分または抽出物を、カプセルに注入するか、あるいは適当なコーティング剤でコーティングすることにより、苦味をマスクすることができる。カプセル化された形態としてはゼラチンカプセル、プルランカプセルが挙げられる。コーティングされた形態としては糖衣錠が挙げられる。 本発明による食品は様々な形態を取ることができ、公知の医薬品の製造技術に準じて本発明による食品を製造してもよい。その場合には、本発明による治療剤の製造の項目において述べたような担体や製剤用添加剤を用いて製造することができ、具体的には、経口剤の欄に記載された担体や製造用添加剤を用いて製造することができる。 本発明の有効成分であるイソフムロン類または異性化ホップエキスは、人類がビール等の飲食品として長年摂取してきたホップ由来成分であることから、毒性も低く、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対し安全に用いることができる。 本発明による組成物および食品を投与または摂取する場合、本発明による有効成分の投与量または摂取量は、受容者、受容者の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせ等に依存して決定できる。例えば、本発明による有効成分を医薬として投与する場合、イソフムロン類量として、成人1人当たり0.005〜50mg/kg体重(好ましくは0.05〜10mg/kg体重)の範囲で一日1または数回の投与単位に分割して投与することができる。より具体的には例えば、本発明による有効成分を医薬として経口投与する場合、イソフムロン類量として、成人1人当たり0.05〜50mg/kg体重(好ましくは0.5〜10mg/kg体重)、非経口的に投与する場合は0.005〜10mg/kg体重(好ましくは0.05〜2mg/kg体重)の範囲で一日1または数回の投与単位に分割して投与することができる。本発明による有効成分と組み合わせて用いる他の作用機序を有する薬剤も、それぞれ臨床上用いられる用量を基準として適宜決定できる。また、食品として摂取する場合には、成人1人1日当たり3〜3000mgの範囲、好ましくは30〜600mgの範囲の摂取量となるよう本発明による有効成分を食品に配合することができる。なお、これらの投与量または摂取量は、成人の体重を60kgと仮定して、体重60kgの成人1人1日あたりのイソフムロン類の摂取量もしくは投与量として、必要により計算することがによって表すことができる。 本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1: イソフムロン類のキノン還元酵素(QR)活性の誘導 キノン還元酵素(QR)活性は、Nrf2活性化によるNAD(P)H:quinone oxidoreductase(NQO1)の発現増加によって上昇することが知られている(Proc Natl Acad Sci U S A. 101 10446-51 (2004))。そこで、マウス・肝がん細胞Hepa1c1c7(大日本製薬株式会社より入手可能)にイソフムロン類を作用させ、QR活性が誘導されるか否かを調べた。 ここで、QR活性の測定は、Analytical Biochemistry 169 328-336 (1988)の方法に従って実施した。 96穴プレートに、7〜10×103cells/wellのマウス・肝がん細Hepa1c1c7をそれぞれ播種し、10%牛胎仔血清(HyClone社製)とペニシリン−ストレプトマイシン(それぞれ100単位/ml、100μg/ml、シグマ社製)とを含有するα−MEM培地(インビトロジェン社製)を50μl加えて、37℃でかつ5%CO2条件下で1晩培養した。次いで、この培養培地を、異性化ホップエキスがそれぞれ1.9、5.6、16.7、もしくは、50μg/mlの濃度となるように調製した培地、または、フムロン(H)、コフムロン(cH)、アドフムロン(aH)、イソフムロン(IH)、イソコフムロン(IcH)、またはイソアドフムロン(IaH)がそれぞれ0.6、1.7、5、15μMの濃度となるように調製した培地に、それぞれ交換し、さらに48時間培養した。その後、0.08%ジギトニン、および、2mM EDTA溶液を用いて各セルの細胞を破砕し、マイクロプレートリーダー(Power Wave 200, Bio-Tek Instruments社製)を用いて、メナディオン−ホルマザン系による610nmの吸光度を測定した。 QR誘導活性は、無添加の細胞の活性を1とする相対活性として算出した(n=3、平均値±標準偏差)。ポジティブコントロールとしては、スルフォラファン(Sul,シグマ社より入手可能)を使用した。 結果は、図1〜3に示される通りであった。 異性化ホップエキス(図1)とイソフムロン類(すなわちイソフムロン(IH)、イソコフムロン(IcH)、イソアドフムロン(IaH))では濃度依存的なQR誘導活性が観察されたが(図2)、フムロン(H)、コフムロン(cH)、アドフムロン(aH)では明確な変化は認められなかった(図3)。イソフムロン類の中では、イソフムロン(IH)とイソコフムロン(IcH)が、イソアドフムロン(IaH)よりも強い活性を示した。また、イソフムロン類にはシス体とトランス体が存在するが、トランス体含有比率が異なるイソフムロンとしてトランス体2%のIH(E)、26%のIH(H)、60%のIH(F)を比較したところ、トランス体含有比率の高いものほど活性が強いことが示された(図2)。さらに、トランス体含有比率が異なるイソコフムロンのトランス体2%のIcH(D)と22%のIH(G)との比較でも、同様の傾向が認められた。実施例2: レポーターアッセイ系におけるNrf2活性化 レポータープラスミドpGL3−mARE3は、Nrf2が結合するとされるマウスNQO1由来ARE(antioxidant response element)を3回繰り返した二本鎖オリゴDNAを作製し、これを、ホタルルシフェラーゼレポーターベクターpGL3-promoter vector(プロメガ社より入手可能)のMluI−NheI部位に挿入することによって構築した。 AREを含む二本鎖オリゴDNAは5'-TCGACGCGTAGAGTCACAGTGAGTCGGCAAAATTAGAGTCACAGTGAGTCGGCAAAATTAGAGTCACAGTGAGTCGGCAAAATTGCTAGCTAG-3’(配列番号1)、および5'-CTAGCTAGCAATTTTGCCGACTCACTGTGACTCTAATTTTGCCGACTCACTGTGACTCTAATTTTGCCGACTCACTGTGACTCTACGCGTCGA-3'(配列番号2)の2本の一本鎖オリゴDNAを化学合成し、アニーリングさせて調製した。また、目的のプラスミドであることは塩基配列解析により確認した。次に、12穴プレートに4×105cells/wellのマウス・マクロファージ系細胞RAW264.7(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手可能)をそれぞれ播種し、10%牛胎仔血清(HyClone社製)、およびペニシリン-ストレプトマイシン(それぞれ100単位/ml、100μg/ml、シグマ社製)を含有するRPMI1640培地(インビトロジェン社製)0.8mlを加えて、37℃でかつ5%CO2条件下で1晩培養した。この細胞に1.0μgのpGL3−mARE3と0.01μgの補正用ウミシイタケ由来ルシフェラーゼレポーターベクターpRL−TK(プロメガ社)をSuperFect Transfection試薬(キアゲン社製)を用いてトランスフェクションした。3時間トランスフェクションした後、培地を新しいものに交換し、ここに、各サンプル(それぞれ25μg/ml異性化ホップエキス、5μMイソフムロン(IH(F))、5μMイソコフムロン(IcH(G)))を添加して24時間培養した後、細胞を回収した。デュアルルシフェランス・レポーター・アッセイ・システム(Dual-Luciferase reporter assay system)(プロメガ社製)を用いて細胞破砕した後、ホタルルシフェラーゼ活性およびウミシイタケルシフェラーゼ活性を、ルミノメーター(Luminous CT-9000D, ダイア・ヤトロン社製)により測定した。 ホタルルシフェラーゼ活性をウミシイタケルシフェラーゼ活性で除した値を相対ルシフェラーゼ活性とした(n=3、平均値±標準偏差)。ポジティブコントロールとして、8μMのスルフォラファン(Sul,シグマ社より入手可能)を使用した。 結果は、図4に示される通りであった。 このアッセイ系においては、実施例1において強いQR誘導活性を示した25μg/ml異性化ホップエキス、5μMイソフムロン(IH(F))、5μMイソコフムロン(IcH(G))の各サンプルの場合について、Nrf2活性化作用を調べた。その結果、全てにおいて活性化が確認され、これらのQR誘導活性はNrf2活性化を介して起きていることが示唆された。実施例3: Nrf2によって制御される各種遺伝子の発現解析 φ60mmディッシュに9×105cellsのマウス・マクロファージ系細胞RAW264.7を播種して、10%牛胎仔血清(HyClone社製)とペニシリン−ストレプトマイシン(それぞれ100単位/ml、100μg/ml、シグマ社製)とを含有するD−MEM培地(インビトロジェン社製)2mlを加えて、37℃でかつ5%CO2条件下2日間培養した。各サンプルを含む新しい培地に交換し、引き続き20時間培養した。その後、TRIzol(インビトロジェン社製)を用いてtotal RNAを調製し、RNeasy Mini(キアゲン社製)およびRNase-Free DNase Set(キアゲン社製)を用いて精製した。さらに、精製された5μgのtotal RNAからThermo Script RT-PCRシステム(インビトロジェン社製)を用いてcDNAを合成し、FastStart DNA Master SYBR Green I(ロシュ社製)およびライトサイクラー(ロシュ社製)を使用して、各種遺伝子のmRNA発現量を定量した。 各遺伝子の発現量はハウスキーピング遺伝子P0の発現量で補正し、相対発現量を算出した(n=2、平均値±標準偏差)。 遺伝子発現解析に使用したDNAプライマーは、CD36のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-TGGCACAGACGCAGCCTCCTTT-3’(配列番号3)、および 5’-TGGATTCTGGAGGGGTGATGCAAA-3’(配列番号4)、カタラーゼ1(Catalase 1(CAT1))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-CAACAGCTTCAGCGCACCAGAGCA-3’(配列番号5)、および 5’-TCAGGTGGCCGGCAATGTTCTCA-3’(配列番号6)、チオレドキシン還元酵素1(TXNRD1)のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-CGCGCAACTATGGCTGGAAAGTCG-3’(配列番号7)、および 5’-TCGCCACAATCCTGTGAGGACCA-3’(配列番号8)、ヘムオキシゲナーゼ(Heme oxygenase 1(HO1))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-TGCACGCCAGCCACACAGCACTAT-3’(配列番号9)、および 5’-ACTTGGTGGGGCTGTCGATGTTCG-3’(配列番号10)、グルタチオンS−トランスフェラーゼmu1(Glutathione S-transferase mu1(GSTM1))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-TGCCCGAAAGCACCACCTGGAT-3’(配列番号11)、および 5’-ACCATGGCCTCTTGCCCAGGAA-3’(配列番号12)、グルタチオンS−トランスフェラーゼpi2(Glutathione S-transferase pi2(GSTP2))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-TGCCTGGGCATCTGAAGCCTTTTG-3’(配列番号13)、および 5’-TTGATCTTGGGCCGGGCACTGA-3’(配列番号14)、NAD(P)H:キノン酸化還元酵素(NAD(P)H:quinone oxidoreductase (NQO1))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-ACAGCATTGGCCACACTCCACCA-3’(配列番号15)、および 5’-TGATGGCCCACAGAGAGGCCAAA-3’(配列番号16)、グルタメートシステインリガーゼ変成サブユニット(Glutamate cysteine ligase modifier subunit (GCLM))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-TGGAATGCACCATGTCCCATGCAG-3’(配列番号17)、および 5’-TCGGAGGCGAAGCCATGATCACA-3’(配列番号18)、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ2(Glucose-6-phosphate dehydrogenase 2(G6PD2))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-TGCCACCTTTGCTGCAGCTGTCCT-3’(配列番号19)、および 5’-ACTGCCTCATTGGGCTGCATACGG-3’(配列番号20)、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、X連鎖((Glucose-6-phosphate dehydrogenase, X-linked (G6PDX))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-TGGGTCCACCACTGCCACTTTTG-3’(配列番号21)、および 5’-ATTGGGCTGCACACGGATGACCA-3’(配列番号22)、ハウスキーピング遺伝子酸性リボソームリン酸タンパク質P0のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5’-GCGTCCTGGCATTGTCTGTG-3’(配列番号23)、および 5’-TCCTCATCTGATTCCTCCGACTC-3’(配列番号24)であり、全てインビトロジェン社によって合成した。 結果は、図5に示される通りであった。 図5に示したように、25μMイソフムロン(IH(F))、25μMイソコフムロン(IcH(G))の影響を調べた結果、ポジティブコントロールとして使用した3μM 15−デオキシ−D12,14−プロスタグランジンJ2(15dPGJ2)(Cayman Chemical社より入手可能)と同様に、Nrf2によって発現増加することが知られる標的遺伝子CD36、CAT1、TRNRD1、HO1、GSTM1、GSTP2、NQO1、GCLM、G6PD2、G6PDXの発現を増加させた。この結果から、イソフムロン類はNrf2を活性化し、第二相酵素と呼ばれる一連の遺伝子群の発現を増加させることが明らかとなった。実施例4: 細胞内グルタチオン量 φ60mmディッシュに7×105cellsのマウス・マクロファージ系細胞RAW264.7を播種して、10%牛胎仔血清(HyClone社製)とペニシリン−ストレプトマイシン(それぞれ100単位/ml、100μg/ml、シグマ社製)とを含有するD−MEM培地(インビトロジェン社)2mlを加えて、37℃でかつ5%CO2条件下2日間培養した。各サンプルを含む新しい培地に交換し、さらに20時間培養した。ここで、各サンプルは、イソフムロン(IH(F))およびイソコフムロン(IcH(G))を使用し、それぞれ濃度が25μMとなるよう添加した。細胞を回収して超音波破砕後、遠心して上清を取得し、グルタチオンアッセイキット(Cayman Cehmical社製)で細胞内の総グルタチオン量を測定した(n=2、平均値±標準偏差)。ポジティブコントロールとしては、15dPGJ2(Cayman Chemical社製)を使用した。 結果は、図6に示される通りであった。 25μMイソフムロン(IH(F))、25μMイソコフムロン(IcH(G))の影響を調べた結果、3μM 15dPGJ2と同様に細胞内の総グルタチオン量を増加させた。グルタチオンには活性酸素や生体異物から細胞を防御する機能があり、イソフムロン類はこの能力を増強すると考えられた。実施例5: 過酸化水素による細胞死の抑制作用 96穴プレートにおいて6×104cells/wellのマウス・マクロファージ系細胞RAW264.7を、各サンプル、10%牛胎仔血清(HyClone社製)、およびペニシリン−ストレプトマイシン(それぞれ100単位/ml、100μg/ml、シグマ社製)を含有する100μlのD−MEM培地(インビトロジェン社製)を加えて、37℃でかつ5%CO2条件下、1晩培養した。ここで、各サンプルは、イソフムロン(IH(F))およびイソコフムロン(IcH(G))を使用し、それぞれ濃度が25μMとなるよう添加した。ここに過酸化水素(和光純薬株式会社製)を最終濃度が0.8または1.0mMとなるように添加してさらに2時間培養した。その後、細胞増殖試薬WST−1(ロシュ・ダイアグノティクス社)を用いて440nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Power Wave 200, Bio-Tek Instruments)で測定した。細胞生存率は、各サンプルについて過酸化水素無添加を100%として算出した(n=2、平均値±標準偏差)。ポジティブコントロールとしては、15dPGJ2(Cayman Chemicall社製)を使用した。 結果は、図7に示される通りであった。 25μMイソフムロン(IH(F))、25μMイソコフムロン(IcH(G))の影響を調べた結果、0.8mMおよび1.0mMの両過酸化水素濃度において、3μMの15dPGJ2と同様に細胞の死滅を抑制することが確認された。このことから、イソフムロン類には活性酸素による細胞死を抑制する作用があると考えられた。実施例6: マクロファージの炎症性サイトカインTNF−α産生の抑制作用 96穴プレートに、4×104cells/wellのマウス・マクロファージ系細胞RAW264.7を播種して、各サンプル、10%牛胎仔血清(HyClone社製)、ペニシリン−ストレプトマイシン(それぞれ100単位/ml、100μg/ml、シグマ社製)を含有するD−MEM培地(インビトロジェン社製)50mlを加えて、37℃でかつ5%CO2条件下4時間培養した。ここに、TPA(phorbol 12-tetradecanoate 13-acetate、シグマ社製)、マウスIFN−γ(インターフェロン−γ、eBipscience社製)、および各サンプルを含む150μlの培地を添加し、24時間培養した。ここで、TPAとIFN−γは最終濃度がそれぞれ400nM、10単位/mlとなるようにし、各サンプルとして、異性化ホップエキスについては濃度が5、10、20、30μg/ml、イソフムロン(IH(F))およびイソコフムロン(IcH(G))については濃度がそれぞれ5、10、20、40μMとなるよう添加した。 培養終了後、培養液中のTNF−α量をマウスTNF−α ELISA(eBipscience社)により測定した。TNF−α量は、コントロールを100%とする相対値で示した(n=3、平均値±標準偏差)。ポジティブコントロールとしては、15dPGJ2(Cayman Chemical)を使用した。 結果は図8に示されるとおりであった。 15dPGJ2と同様に、異性化ホップエキス、IH(F)、IcH(G)は濃度依存的にTNF−α産生を抑制した。このことから、イソフムロン類には炎症惹起物質によるTNF−α産生を抑制する作用があると考えられた。実施例7: ApoEノックアウトマウスにおける炎症抑制作用 ApoEノックアウトマウス雄性8週齢(Jackson Laboratoryより入手可能)を高脂肪・高コレステロール食(15%無塩バター、52.45%スクロース、20%カゼイン、1%コーンオイル、5%セルロース、3.5%ミネラル、1%ビタミン、0.25%塩化コリン、0.3%シスチン、1%コレステロール、および0.5%コール酸ナトリウム)を用いて、10週および14週間飼育した。同時に、基礎食に1%異性化ホップエキス(ISOHOPCON2、English Hop Products製)を添加した餌を与えたサンプル投与群も飼育した。 飼育終了後、エーテル麻酔下で腹部大動脈より採血し、血漿を調製して市販のマウスELISAキット(sICAM−1(アマシャムバイオサイエンス社製)、および、sVCAM−1(R&D System社製))を用いて、sICAM−1とsVCAM−1の量を測定した。 結果は表1に示されるとおりであった。なお表中、*はP<0.05、**はP<0.01であることを意味する。 sICAM−1とsVCAM−1の量は異性化ホップエキス投与により10週で有意に低下し、14週においても低下傾向を示した。なお、sICAM−1とsVCAM−1は炎症に伴って血管内皮上で発現増加するICAM−1およびVCAM−1の可溶型であり、炎症状態を示唆するマーカーと考えられているものである。これらの結果は、高脂肪食摂取条件による動脈硬化進展において、イソフムロン類が初期の炎症過程における血管内皮上の接着分子発現を顕著に抑制し、単球など白血球の接着、浸潤を抑えることを示唆するものと考えられた。実施例8: 血管内皮細胞の接着分子発現の抑制作用 φ100mmディッシュにおいて、正常ヒト大動脈内皮細胞(HAEC、Cambrex社より入手可能)を、37℃でかつ5%CO2条件下で、10mlの内皮細胞培地キット−2(宝酒造株式会社製)を用いて培養した。このとき、30μg/ml異性化ホップエキス、10μMスルフォラファン(Sul)、または10mMのN−アセチルシステイン(NAC)を1晩作用させた。次いで、ヒトTNF−α(ProSpec-Tany TechnoGene)を最終濃度が1.25ng/mlとなるよう添加して4時間刺激した後、サブカルチャー用試薬(宝酒造株式会社製)を用いて細胞を剥がして、フローサイトメトリー解析を行った。このとき、一次抗体としては、Biotin anti-human ICAM抗体、またはBiotin anti-human VCAM抗体(eBipscience社より入手可能)を使用し、また二次抗体としては、PE conjugated streptavidin(eBipscience社より入手可能)を使用した。フローサイトメーターはFACSortアナライザー(ベクトン・ディッキンソン社製)を使用した。ICAM−1およびVCAM−1の発現は、コントロールの平均蛍光強度を100%とする相対値で示した。 結果は図9に示されるとおりであった。 図9に示したように、異性化ホップエキスは、TNF−α刺激による血管内皮上のICAM−1およびVCAM−1の発現を顕著に抑制した。このような変化は、Nrf2活性化物質であるスルフォラファン、および、代表的な抗酸化剤であるN−アセチルシステイン(NAC)でも認められるものである。このことから、イソフムロン類がNrf2を活性化し細胞の抗酸化作用増強することがICAM−1およびVCAM−1の発現抑制に関与していることが示唆された。実施例9: 混餌投与によるマウス肝臓の遺伝子の発現変化 マウス129S1/SvlmJ雄性5週齢(Jackson Laboratoryより入手,n=5)に、0.1%、0.25%、0.5%の順に異性化ホップエキス量(ISOHOPCON2、English Hop Products製)を段階的に増やしたAIN−76A食(Dyetsより入手)を各2日間ずつ与えて味覚に慣れさせた。その後、1%異性化ホップエキスを添加したAIN−76A食を用いて1週間飼育した。同時に、対照(コントロール)群(n=5)として、マウスをAIN−76A食のみを用いて飼育した。 飼育終了後、エーテル麻酔下で肝臓を摘出し、直ちに液体窒素で凍結し、使用時まで−80℃で保存した。肝臓RNAは、TRIzol(インビトロジェン社製)を用いてtotal RNAを調製した後、RNeasy Mini(キアゲン社)およびRNase-Free DNase Set(キアゲン社製)を用いて精製した。さらに、精製された5mgのtotal RNAからThermo Script RT-PCRシステム(インビトロジェン社製)を用いてcDNAを合成し、FastStart DNA Master SYBR Green I (ロシュ社製)およびライトサイクラー(ロシュ社製)を使用して、各遺伝子のmRNA発現量を定量した。各遺伝子の発現量はハウスキーピング遺伝子P0の発現量で補正し、相対発現量を算出した(平均値±標準偏差(mean±SD))。 遺伝子発現解析に使用したDNAプライマーは、グルタチオンS−トランスフェラーゼmu1(Glutathione S-transferase mu1(GSTM1))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5'-TGCCCGAAAGCACCACCTGGAT-3' (配列番号11)、および 5'-ACCATGGCCTCTTGCCCAGGAA-3' (配列番号12)、NAD(P)H:キノン酸化還元酵素(NAD(P)H:quinone oxidoreductase (NQO1))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5'-ACAGCATTGGCCACACTCCACCA-3' (配列番号15)、および 5'-TGATGGCCCACAGAGAGGCCAAA-3' (配列番号16)、グルタメートシステインリガーゼ触媒サブユニット(Glutamate cysteine ligase catalytic subunit(GCLC))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5'-TCTGCAAAGGCGGCAACGCTGT-3' (配列番号25)、および 5'-GCATCGGGTGTCCACATCAACTTCC-3' (配列番号26)、シトクロムP450 1A1(cytochrome P450 1A1(Cyp1A1))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5'-TGGGGCTTGCCCTTCATTGGTC-3' (配列番号27)、および 5'-TCTGGCCGGCCCTTGAAGTCAT-3' (配列番号28)、シトクロムP450 1A2(cytochrome P450 1A2(Cyp1A2))のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5'-TCGGCCATCGACAAGACCCAGA-3' (配列番号29)、および 5'-TGTTCACAGGTCCCGGGCTTCA-3' (配列番号30)、ハウスキーピング遺伝子酸性リボソームリン酸タンパク質P0のセンスおよびアンチセンスプライマーとして 5'-GCGTCCTGGCATTGTCTGTG-3' (配列番号23)、および 5'-TCCTCATCTGATTCCTCCGACTC-3' (配列番号24)であり、全てインビトロジェン社で合成した。 結果は図10に示されるとおりであった。なお、図中の*はP<0.05であることを意味する。 異性化ホップエキス(IHE)を含む餌を摂取した群では、代表的な第二相酵素であるGSTM1、NQO1、およびGCLCの有意な発現増加が認められた。このことから、イソフムロン類は経口で摂取した場合においても体内のNrf2を活性化し、第二相酵素と呼ばれる一連の遺伝子群の発現を増加させることが示された。GSTM1やNQO1は解毒に関する酵素であり、GCLCは抗酸化物質のグルタチオンの合成を司る酵素である。このため、異性化ホップエキスにより解毒作用と抗酸化作用が亢進されたものと考えられる。一方、異性化ホップエキスよっては、Cyp1A1やCyp1A2に代表される、発がん物質の活性化に関与する第一相酵素の発現増大は認められなかった。このことから、イソフムロン類は解毒系の代謝では、第二相酵素群を選択的に発現を増加させることも明らかとなった。 イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効成分として含んでなる、転写因子Nrf2(NF-E2 related factor 2)の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる、組成物。 転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態が、酸化ストレス、生体異物の解毒、慢性炎症、またはこれに関連する疾患もしくは状態である、請求項1に記載の組成物。 疾患または状態が、脳神経変性疾患、眼疾患、皮膚疾患、喘息、またはこれに関連する疾患もしくは状態である、請求項2に記載の組成物。 がん細胞の転移または浸潤の予防または抑制に用いられる、請求項1または2に記載の組成物。 動脈硬化を惹起する動脈血管の炎症を治療、予防または改善するために用いられる、請求項1または2に記載の組成物。 イソフムロン類が、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。 イソフムロン類が、トランス体のイソフムロン類である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。 有効成分が、異性化ホップエキスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。 食品の形態で提供される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。 食品が飲料の形態である、請求項9に記載の組成物。 飲料が非アルコール飲料である、請求項10に記載の組成物。 食品が、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示が付された食品、または病者用食品である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物。 医薬の形態で提供される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。 経口剤または外用剤の態様で提供される、請求項13に記載の組成物。 イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効成分として含んでなる、転写因子Nrf2活性化剤。 イソフムロン類が、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載の活性化剤。 イソフムロン類が、トランス体のイソフムロン類である、請求項15または16に記載の活性化剤。 食品の形態で提供される、請求項15〜17のいずれか一項に記載の活性化剤。 抗酸化剤、解毒剤、または抗炎症剤として用いられる、請求項15〜18のいずれか一項に記載の活性化剤。 細胞内グルタチオン量を増加させるために用いられる、請求項15〜19のいずれか一項に記載の活性化剤。 活性酸素による細胞死を抑制するために用いられる、請求項15〜19のいずれか一項に記載の活性化剤。 イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる、食品。 イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、抗酸化、解毒、または、抗炎症用である、食品。 イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化に用いられる、食品。 イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善する機能が表示された、食品。 イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、抗酸化能、解毒能、または、抗炎症能が表示された、食品。 イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効量含んでなる食品であって、転写因子Nrf2の活性化能が表示された、食品。 機能の表示が、製品の本体、容器、包装、説明書、添付文書、または宣伝物のいずれかにされてなる、請求項25〜27のいずれか一項に記載の食品。 転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態が、酸化ストレス、生体異物の解毒、慢性炎症、またはこれに関連する疾患もしくは状態である、請求項22または25に記載の食品。 疾患または状態が、脳神経変性疾患、眼疾患、皮膚疾患、喘息、またはこれに関連する疾患もしくは状態である、請求項29に記載の食品。 がん細胞の転移または浸潤の予防または抑制に用いられる、請求項22または25に記載の食品。 動脈硬化を惹起する動脈血管の炎症を治療、予防または改善するために用いられる、請求項22または25に記載の食品。 イソフムロン類が、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22〜32のいずれか一項に記載の食品。 イソフムロン類が、トランス体のイソフムロン類である、請求項22〜33のいずれか一項に記載の食品。 イソフムロン類、または異性化ホップエキスが、イソフムロン類量換算で成人一人1日当たり3mg〜3000mgの範囲で提供される、請求項22〜34のいずれか一項に記載の食品。 飲料の形態である、請求項22〜35のいずれか一項に記載の食品。 飲料が非アルコール飲料である、請求項36に記載の食品。 飲料が茶飲料である、請求項37に記載の食品。 健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示が付された食品、または病者用食品である、請求項22〜38のいずれか一項に記載の食品。 イソフムロン類または異性化ホップエキスの治療上有効量を、哺乳動物に投与するまたは摂取させることを含んでなる、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善する方法。 転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態が、酸化ストレス、生体異物の解毒、慢性炎症、またはこれに関連する疾患もしくは状態である、請求項40に記載の方法。 疾患または状態が、脳神経変性疾患、眼疾患、皮膚疾患、喘息、またはこれに関連する疾患もしくは状態である、請求項41に記載の方法。 がん細胞の転移または浸潤の予防または抑制に用いられる、請求項40または41に記載の方法。 動脈硬化を惹起する動脈血管の炎症を治療、予防または改善するために用いられる、請求項40または41に記載の方法。 イソフムロン類が、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40〜44のいずれか一項に記載の方法。 イソフムロン類が、トランス体のイソフムロン類である、請求項40〜45のいずれか一項に記載の方法。 有効成分が、異性化ホップエキスである、請求項40〜44のいずれか一項に記載の方法。 イソフムロン類または異性化ホップエキスを食品の形態で摂取させることを含んでなる、請求項40〜47のいずれか一項に記載の方法。 イソフムロン類または異性化ホップエキスの有効量を、哺乳動物に投与することを含んでなる、転写因子Nrf2を活性化する方法。 転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる組成物を製造するための、イソフムロン類または異性化ホップエキスの使用。 Nrf2活性化剤を製造するための、イソフムロン類、または異性化ホップエキスの使用。 抗酸化剤、解毒剤、または抗炎症剤を製造するための、イソフムロン類または異性化ホップエキスの使用。 本発明による組成物、Nrf2活性化剤および食品は、イソフムロン類、または異性化ホップエキスを有効成分として含んでなる。これらは、転写因子Nrf2の活性化により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に有用である。より詳しくは、本発明による組成物、Nrf2活性化剤および食品は、生体内の酸化ストレスや環境物質による細胞の損傷により発症または進行することが考えられる慢性疾患(例えば、動脈硬化、高血圧、糖尿病、脳神経変性疾患、皮膚疾患、眼疾患、喘息、がんなど)の治療、予防、改善、緩和、もしくは進行遅延、または生体異物の解毒に有用である。配列表


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