タイトル: | 公開特許公報(A)_機能性食品及び医薬 |
出願番号: | 2005019052 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 31/734,A23L 1/30,A61P 3/04,A61P 3/06,A61P 3/10,A61P 9/00,A61P 9/04,A61P 9/10,A61P 9/12,A61P 13/04,A61P 13/12,A61P 19/02,A61P 19/06,A61P 43/00,C12N 9/99 |
菊地 数晃 愛宕 世高 JP 2006206474 公開特許公報(A) 20060810 2005019052 20050127 機能性食品及び医薬 ロート製薬株式会社 000115991 菊地 数晃 愛宕 世高 A61K 31/734 20060101AFI20060714BHJP A23L 1/30 20060101ALI20060714BHJP A61P 3/04 20060101ALI20060714BHJP A61P 3/06 20060101ALI20060714BHJP A61P 3/10 20060101ALI20060714BHJP A61P 9/00 20060101ALI20060714BHJP A61P 9/04 20060101ALI20060714BHJP A61P 9/10 20060101ALI20060714BHJP A61P 9/12 20060101ALI20060714BHJP A61P 13/04 20060101ALI20060714BHJP A61P 13/12 20060101ALI20060714BHJP A61P 19/02 20060101ALI20060714BHJP A61P 19/06 20060101ALI20060714BHJP A61P 43/00 20060101ALI20060714BHJP C12N 9/99 20060101ALI20060714BHJP JPA61K31/734A23L1/30 ZA61P3/04A61P3/06A61P3/10A61P9/00A61P9/04A61P9/10 101A61P9/12A61P13/04A61P13/12A61P19/02A61P19/06A61P43/00 111C12N9/99 8 OL 17 4B018 4C086 4B018MD38 4B018ME14 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA25 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA36 4C086ZA42 4C086ZA45 4C086ZA70 4C086ZA81 4C086ZA96 4C086ZC20 4C086ZC31 4C086ZC33 4C086ZC35 本発明は、アルギン酸またはその誘導体を有効成分とするヌクレアーゼ阻害剤に関する。さらに本発明は、アルギン酸またはその誘導体を有効成分とする、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患などの予防または改善のための組成物または食品組成物に関する。 近年、日本人の食生活の欧米化に伴う肉類等の過剰摂取から、食物中に含まれるプリン体の摂取量が増大している。このようにして摂取されたプリン体は、生体内で産生される尿酸の前駆体の1つとして機能することが知られている。尿酸の前駆体となるのは、このような食事由来のプリン体だけではなく、生体内で核酸やエネルギーの代謝から生じる内因性プリン体も尿酸の前駆体となる。従来は、内因性プリン体の量に比べて食事由来プリン体の摂取量はわずかであったため、食事由来プリン体の摂取量はさほど問題とはなっていなかった。しかし上述のような近年の食生活の変化から、食事由来プリン体の摂取量も無視できなくなってきている。現在、食事由来プリン体から産生される尿酸は1日あたり約100〜150mgとされており、ヒトにおける1日の尿酸産生量の約20%が食事由来となっている。このような食事由来プリン体の摂取量増大は、血中尿酸値の上昇を招く一因となっている(非特許文献1)。 このような食事由来のプリン体が生体に吸収されて尿酸となる機構においては、ヌクレアーゼが重要な役割を果たすことが知られている。より詳細には、腸管内に分泌される膵臓由来のリボヌクレアーゼ及びデオキシリボヌクレアーゼが、摂取された食物中に含まれる核酸(リボ核酸(RNA)及びデオキシリボ核酸(DNA))を消化して低分子化することによりプリン体を生成し、このプリン体が体内へと吸収されて最終的に尿酸へと変換することが知られている。従って、膵臓由来のリボヌクレアーゼ及びデオキシリボヌクレアーゼは、食事由来プリン体の生体内への吸収のために必須の酵素として機能している。 血中での尿酸産生量が増大し、血中尿酸値が正常域を超えると、高尿酸血症と呼ばれる状態が引き起こされる。高尿酸血症は、痛風、腎障害、尿路結石、動脈硬化、高血圧、心臓病などの多種多様な疾患を二次的に誘発し得る疾患である。そのなかでも痛風は、特に男性に多く発症する急性または慢性の関節炎であり、しばしば足の親指の付け根を中心に真っ赤に腫れ、歩くことも困難な程の激しい痛みを伴う。痛風は、過飽和の高尿酸体液より析出した針状の尿酸結晶が、関節や腱のまわりに沈着することにより発症することが知られている。 高尿酸血症や痛風の治療には、現在、アロプリノールのような尿酸合成阻害剤や、ベンズブロマロン、プロベネシドのような尿酸排泄促進剤などが使用されている。また高尿酸値を低下させる手段として、尿酸を生合成する酵素キサンチンオキシダーゼ(XOD)の阻害剤の使用も検討されている(特許文献1〜4)。しかし、キサンチンオキシダーゼ阻害等を作用機序とする従来の高尿酸値改善剤は、生体内に吸収されなければその効果を発揮できない。従って、効果発現のためには消化管における安定性や吸収性、血中における代謝の問題がある。そのほか、食事由来のプリン体を吸収抑制することによって高尿酸血症を改善するための成分として、セルロース、キチン、キトサン、イヌリンおよびキサンタンガムが試験されており、これらの物質をラットに摂取させたところ、食事由来プリン体の吸収が抑制されたことが示されている(非特許文献2)。キトサンに関しては、ヒト臨床試験において高尿酸血症の改善作用が確認されている(非特許文献3)。 しかし、これら尿酸値改善作用をもつ物質にはいずれも、食経験の乏しさ、過剰摂取における安全性の問題がある。従って、安全でありかつ有効な新規の高尿酸血症の予防剤または改善剤の開発が望まれている。特開2003−252776号公報特開2003−171283号公報特開2002−145875号公報特開2002−121145号公報中村丁次:Nippon Rinsho,vol.61,Supple.1,2003Koguchi,T.ら:J.Nutri.Sci.Vitaminol.,vol.48,184−193,2002猪木彩子ら:健康・栄養食品研究 vol.4,No.3,103−112,2001 本発明は、かかる従来の問題に鑑み、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善などにも有利に使用され得る、新規のヌクレアーゼ阻害剤を提供することを目的とする。また本発明は、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患などの予防または改善に役立ち、加えて食経験が豊富で安全性も極めて高い、新規の組成物または食品組成物を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、食事由来核酸の生体内での消化・吸収に関与するリボヌクレアーゼ及びデオキシリボヌクレアーゼに対し、アルギン酸およびその誘導体が顕著に高い阻害作用を示し、これらが高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患などの予防および改善に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。 下記の実施例1〜3に詳細に説明するように、本発明者らはまず、アルギン酸およびその誘導体が、生体内でのリボ核酸の消化・吸収に関与するリボヌクレアーゼに対して顕著に高い阻害作用を示すことを見出した。リボヌクレアーゼの基質であるリボ核酸はリン酸基をもつポリアニオンである。理論に束縛されることは望まないが、本発明の作用機序として、リボ核酸と同じくポリアニオンであるアルギン酸が、酵素反応の際にリボヌクレアーゼに競合結合して拮抗阻害していることが推定できる。さらに、デオキシリボ核酸(DNA)は、リボ核酸とほぼ類似した構造を有し、リン酸基をもつポリアニオンである。従って、アルギン酸は、同様の作用機序によりデオキシリボヌクレアーゼに対しても競合結合して拮抗阻害することが当業者に当然に予測され得る。 本発明に用いられるアルギン酸は、昆布などの褐藻類に含まれる多糖類であり、加工食品の増粘安定剤、ゲル化剤、乳化安定剤として古くから食品添加物に利用されている安全性の極めて高い成分である。アルギン酸には経口投与による急性毒性はほとんど知られておらず、LD50は測定できないとされている。さらに、ラットを用いた亜急性毒性や慢性毒性の検定においても安全性が確認されている。アルギン酸の安全性はFAO/WHOでも評価され、最も安全な物質のひとつとして数えられている。またアルギン酸は、極めて安全な成分の1つとして、FDAのGRAS(Generally recognized as safe)リストにも収載されている。 さらに下記に詳細に説明するように、アルギン酸またはその誘導体は、腸管内で消化・吸収され難い安定な食物繊維であり、生体内でほとんど吸収されずに腸管内で効果を発揮する。従って、本願発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体は、生体内に吸収されることを必要とせずに効力を発揮するので、生体内に取り込まれることが効力発揮に必須の薬剤よりも、明らかに生体に対して安全である。 従って、本発明は以下を提供する。 (1)アルギン酸またはその誘導体を有効成分とする、ヌクレアーゼ阻害剤。 (2)アルギン酸またはその誘導体からなる、ヌクレアーゼ阻害剤。 (3)アルギン酸またはその誘導体を有効成分として含有する、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のための組成物。 (4)アルギン酸またはその誘導体をヌクレアーゼ阻害剤として含有する、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のための組成物。 (5)アルギン酸またはその誘導体を有効成分として含有し、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した、食品組成物。 (6)アルギン酸またはその誘導体をヌクレアーゼ阻害剤として含有し、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した、食品組成物。 (7)前記アルギン酸またはその誘導体のM/G比が1.5〜2.0の範囲にある、項目(3)〜(6)のいずれかに記載の組成物。 (8)前記アルギン酸またはその誘導体が、Macrocystis属由来のアルギン酸またはその誘導体である、項目(3)〜(7)のいずれかに記載の組成物。 本発明により、顕著に高いヌクレアーゼ阻害能を有する、新規なヌクレアーゼ阻害剤が提供される。また本発明により、安全性および効果が極めて高い、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患などの予防または改善のための組成物または食品組成物が提供される。 生体内に吸収されなければ効果を発揮できない従来の高尿酸血症改善剤(例えば、XOD阻害剤など)に対して、本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体は、腸管内で消化・吸収され難い安定な食物繊維であり腸管内で作用する。従って、経口摂取するだけで、生体内に吸収されなくとも効果を発揮し得るという点で従来の高尿酸血症改善剤よりも非常に有利であり、個体間および個体内における薬物吸収速度のばらつきに影響されず、あらゆるヒトに対して同等に高い作用効果が望める。また、食経験豊富で食品安全性が高く、馴染みの深い昆布由来の成分を利用するので、受容者も抵抗なく経口摂取し得る。さらにアルギン酸またはその誘導体は、古来より工業的に生産され汎用されてきたので価格が安く、製品に配合する上で経済性も高い。またアルギン酸またはその誘導体は水溶性が高く、無味であることから、幅広い食品への配合が可能である。さらに本発明により得られるヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物は、ヒトに対する安全性が極めて高いので医師の処方がなくとも手軽に利用でき、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、老人用食品、特別用途食品、機能性食品、健康補助食品、サプリメント、健康食品、動物用食品、ペットフード、飼料などとしても利用され得る。また当然ながら、本発明のヌクレアーゼ阻害剤または組成物は、医薬品、医薬部外品または食品としても利用可能である。 以下、本発明を詳細に説明する。本明細書の全体にわたって、単数形の表現は、特に他に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書中において使用される用語は、特に他に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられていることが理解されるべきである。 高尿酸血症とは、血中尿酸値が異常に高くなる疾患であり、臨床的には血清中尿酸値が7.0mg/dl以上になった状態をいうとされている。血清中尿酸値がこの7.0mg/dl以上になると、生体内における尿酸の生理的溶解度を超えて尿酸ナトリウム結晶が析出し、関節腔や腱、腎などに沈着して、痛風、腎障害、尿路結石または種々の血管障害などが生じる。本明細書において、「高尿酸血症に起因する疾患」とは、高尿酸血症に起因して発症することが公知の任意の疾患をいい、例えば、痛風(急性痛風関節炎、慢性結節性関節炎などを含む)、腎障害(慢性痛風性腎症、急性高尿酸血症性腎症などを含む)、尿路結石、および種々の血管障害(例えば、動脈硬化、高血圧、心臓病、脳血管障害などを含む)などを包含するが、これらに限定されない。さらに、高尿酸血症で併発することが多い合併症としては、高コレステロール血症、高中性脂肪血症、糖尿病、および肥満などが挙げられる。 本発明における、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善とは、例えば、7.0mg/dl以上の血清中尿酸値が7.0mg/dl未満まで低下すること、さらに例えば、数値上の変動が有っても無くてもいずれにしても血清中尿酸値が7.0mg/dl未満であるように維持されること、または、9.0mg/dl等のような高い血清中尿酸値が8.0mg/dl等までであっても数値上の低下が見られることをいう。さらにまた、本発明による予防または改善とは、数値上の有意な低下等が見られない場合であっても、外見上高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の症状が明らかに予防または改善されることをも包含する。 本発明に用いられる「アルギン酸」とは、2種類のウロン酸(すなわち、マンヌロン酸(M)とグルロン酸(G))から構成される直鎖状多糖類であり、マンヌロン酸のホモポリマー画分(MM画分)、グルロン酸のホモポリマー画分(GG画分)、およびマンヌロン酸とグルロン酸がランダムに配列した画分(MG画分)が任意に結合した複雑なブロック共重合体である。 本発明に用いられる「アルギン酸またはその誘導体」は、上記のアルギン酸、およびその塩、エステル、エーテル等を包含する。本発明に用いることができるアルギン酸誘導体としては、アルギン酸のナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノール塩またはアンモニウム塩などのアルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸エステル等が挙げられるが、これらに限定されない。アルギン酸またはその誘導体は、水溶性のものが好ましく、とりわけ、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムは水溶性でもあり、市販されており入手が容易であるため、好ましい。アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウムが特に好ましい。 アルギン酸またはその誘導体は、天然物から精製されたものでも、合成品でもよい。天然物から精製したものの代表例としては、米国産(例えば、米国西海岸産)のマクロシスティス(Macrocystis属(例えば、ジャイアントケルプ(Macrocystis Pyrifera)))、南米チリ産のレッソニア(Lessonia属)、日本産または北欧産のラミナリア(Laminaria属)、北欧産のアスコフィラム(Ascophyllum属)等の海藻類からの精製物が挙げられる。しかし本発明に使用されるアルギン酸はこれらに限定されず、原料の海藻の種類、産地はいずれも使用され得る。しかし、特定の実施形態において、本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体は、Macrocystis属由来のアルギン酸またはその誘導体である。天然物からアルギン酸を精製する方法としては、下記の実施例4に記載されるようなアルカリ抽出法等が利用され得るが、特に限定されず、当該分野で公知の任意の抽出方法が利用され得る。 本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物には、上記のようなアルギン酸またはその誘導体から1種類のみが用いられても良いし、2種類以上が組み合わせて用いられても良い。好ましくは、1種類のみが用いられる。 本明細書中で「M/G比」とは、アルギン酸中に含まれるマンヌロン酸(M)/グルロン酸(G)の比をいう。本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体のM/G比は、特に限定されず、MリッチなものからGリッチなものまで使用可能である。しかし好ましい実施形態においては、M/G比の下限として、約0.1以上であることが好ましく、約0.4以上であることが好ましく、約0.5以上であることが好ましく、約1.3以上であることが好ましく、約1.4以上であることがより好ましく、約1.5以上であることが特に好ましい。また好ましい実施形態において、M/G比の上限としては、約4.0以下であることが好ましく、約3.5以下であることが好ましく、約3.0以下であることが好ましく、約2.5以下であることがより好ましく、約2.0以下であることが特に好ましい。好ましい実施形態においては、本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体のM/G比は、約0.5〜約2.0の範囲にある。より好ましい実施形態においては、本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体のM/G比は、約1.4〜約2.0の範囲にある。最も好ましい実施形態においては、本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体のM/G比は、約1.5〜約2.0の範囲にある。 下記の実施例2に詳細に説明するように、本発明では、種々のアルギン酸の中でもMacrocystis属由来のアルギン酸が、顕著に高いヌクレアーゼ阻害能を有するという結果が得られた。この属由来のアルギン酸を構成するマンヌロン酸(M)及びグルロン酸(G)の量的比率(M/G比)を調べると、Macrocystis属由来のアルギン酸はそのM/G比が比較的高いことが明らかとなった。従って、この特定の比較的高いM/G比率は、ヌクレアーゼ阻害能の発現に重要と考えられる。 本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体の分子量は、特に限定されず、超低分子なもの(例えば、分子量が約2万程度のもの)から超高分子なもの(例えば、分子量が約20万程度のもの)まで使用可能である。しかし特定の実施形態では、本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体は比較的低分子のものが好ましい。好ましい実施形態においては、アルギン酸またはその誘導体の下限として、約2万以上であることが好ましく、約3万以上であることが好ましく、約4万以上であることが好ましく、約7万以上であることが好ましく、約8万以上であることが特に好ましい。また好ましい実施形態において、アルギン酸またはその誘導体の上限としては、約15万以下であることが好ましく、約14万以下であることが好ましく、約13万以下であることが好ましく、約12万以下であることが好ましく、約11万以下であることがより好ましく、約10万以下であることがより好ましく、約9万以下であることが特に好ましい。好ましい実施形態においては、本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体の分子量は、約2万〜約11万の範囲にあり、より好ましくは約5万〜約10万の範囲にあり、最も好ましくは、約7万〜約9万の範囲にある。 本発明に使用されるアルギン酸またはその誘導体には市販品も利用可能であり、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸カリウムは、株式会社紀文フードケミファ、株式会社キミカ、富士化学工業株式会社、株式会社カイゲン、ISP社などより市販されており、容易に入手可能である。またアルギン酸エステルは、株式会社キミカ、ISP社などより市販されており、容易に入手可能である。 本明細書中において使用される用語「ヌクレアーゼ阻害剤」とは、ヌクレアーゼの核酸分解作用を阻害する製剤をいう。本発明のヌクレアーゼ阻害剤は、好ましくは動物の消化管内に分泌される(又は分泌された)ヌクレアーゼを阻害し得、より好ましくは動物の腸管内に分泌される(又は分泌された)ヌクレアーゼを阻害し得、最も好ましくは動物の小腸管内に分泌される(又は分泌された)ヌクレアーゼを阻害し得るヌクレアーゼ阻害剤である。用語「ヌクレアーゼ阻害剤」は、デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤およびリボヌクレアーゼ阻害剤の両方を包含するが、好ましくは本発明のヌクレアーゼ阻害剤は、リボヌクレアーゼ阻害剤である。 本明細書中において使用される用語「デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤」とは、デオキシリボヌクレアーゼ(DNaseとも略される)のデオキシリボ核酸分解作用を阻害する製剤をいう。本発明のデオキシリボヌクレアーゼ阻害剤は、任意のデオキシリボヌクレアーゼに対する阻害剤であり得る。しかし特定の実施形態において、本発明のデオキシリボヌクレアーゼ阻害剤は、デオキシリボヌクレアーゼI阻害剤またはデオキシリボヌクレアーゼII阻害剤であり、好ましくは、デオキシリボヌクレアーゼI阻害剤(例えば、デオキシリボヌクレアーゼIA阻害剤、デオキシリボヌクレアーゼIB阻害剤、デオキシリボヌクレアーゼIC阻害剤、デオキシリボヌクレアーゼID阻害剤などを含む)である。 本明細書中において使用される用語「リボヌクレアーゼ阻害剤」とは、リボヌクレアーゼ(RNaseとも略される)のリボ核酸分解作用を阻害する製剤をいう。本発明のリボヌクレアーゼ阻害剤は、任意のリボヌクレアーゼに対する阻害剤であり得る。しかし特定の実施形態において、本発明のリボヌクレアーゼ阻害剤は、リボヌクレアーゼI阻害剤、リボヌクレアーゼII阻害剤、リボヌクレアーゼA阻害剤、リボヌクレアーゼB阻害剤、リボヌクレアーゼC阻害剤、リボヌクレアーゼD阻害剤、リボヌクレアーゼH阻害剤、リボヌクレアーゼL阻害剤、リボヌクレアーゼP阻害剤、リボヌクレアーゼT1阻害剤、リボヌクレアーゼT2阻害剤、リボヌクレアーゼU1阻害剤、リボヌクレアーゼU2阻害剤であり、好ましくは、リボヌクレアーゼI阻害剤、リボヌクレアーゼA阻害剤、リボヌクレアーゼB阻害剤、リボヌクレアーゼC阻害剤、リボヌクレアーゼD阻害剤である。 食事由来のプリン体が生体に吸収されて血中で尿酸産生を生じさせる機構において、ヌクレアーゼは重要な役割を果たす。具体的には、膵臓由来のリボヌクレアーゼ及びデオキシリボヌクレアーゼは、腸管内に分泌され、食事に含まれるリボ核酸及びデオキシリボ核酸を消化して低分子化することによりプリン体を生成し、このプリン体が体内へと吸収されて最終的に尿酸へと変化する。従って、これらのヌクレアーゼの作用を阻害することにより、リボ核酸及びデオキシリボ核酸のプリン体への消化が阻害され、食事由来のプリン体の吸収が抑制される。これにより血中尿酸産生も抑制され、ひいては高尿酸血症の予防または改善がもたらされる。高尿酸血症に起因する疾患もまた、その前提となる高尿酸血症が予防または改善されれば、当然に予防または改善される。例えば、高尿酸血症に起因する疾患の1つである痛風は、高尿酸血症にならなければ針状尿酸結晶も沈着しないので発症することもなく、また高尿酸血症が改善されれば針状尿酸結晶の沈着も改善され、ひいては痛風も改善される。本発明者らは、下記の実施例1で詳細に説明するように、アルギン酸またはその誘導体が、他の多糖類と比較して顕著に高いヌクレアーゼ阻害作用を有することを見出した。従って、アルギン酸またはその誘導体を有効成分として含有する本発明のヌクレアーゼ阻害剤は、腸管内でヌクレアーゼの作用を強力に阻害することで食事由来のプリン体の消化吸収を高効率で阻害することができ、血中尿酸量に対し減少的に作用する効果を有する。 しかし当然ながら、本発明のヌクレアーゼ阻害剤の用途は、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患などの予防または改善のための使用に限られず、ヌクレアーゼ活性を阻害することが望まれる任意の場面で使用され得る。例えば、本発明のヌクレアーゼ阻害剤は、遺伝子工学的研究(例えば、遺伝子組み換え実験)などにおいて研究用試薬等としても使用され得る。 本発明のヌクレアーゼ阻害剤は、その有効成分として、アルギン酸またはその誘導体を含有する。本明細書において「有効成分」とは、本発明の効果を奏するために含有せしめる成分という。 本発明のヌクレアーゼ阻害剤は、任意の量のアルギン酸またはその誘導体を有効成分として含有し得る。しかし本発明のヌクレアーゼ阻害剤が生体に適用される場合には、好ましくは、アルギン酸またはその誘導体を1日量につき約100mg以上、好ましくは約200mg以上、好ましくは約300mg以上、好ましくは約400mg以上、好ましくは約500mg以上、好ましくは約600mg以上、好ましくは約700mg以上、好ましくは約800mg以上、好ましくは約900mg以上、好ましくは約985mg以上、好ましくは約990mg以上、好ましくは約1g以上、好ましくは約1.5g以上、好ましくは約2g以上、好ましくは約2.5g以上含有する。上記の場合において、本発明のヌクレアーゼ阻害剤に含まれるアルギン酸またはその誘導体の量は、生体に受容可能な量であれば特に上限はないが、好ましくは約10g以下、好ましくは約7g以下、好ましくは約5g以下、好ましくは3g以下である。 本発明のヌクレアーゼ阻害剤中におけるアルギン酸またはその誘導体の含有量は、使用するアルギン酸の種類、その分子量、組成(M/G比)、製剤の形態、当該製剤中に共存する他の成分の種類、または所望する効果の程度などによって適宜調整することができるが、好ましくは0.001〜100重量%、好ましくは0.001〜70重量%、好ましくは0.001〜50重量%、好ましくは0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%程度である。 本明細書中において使用される用語「組成物」は、例えば、医薬品、医薬部外品、食品などに幅広く利用することができる組成物を含むが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の組成物は内服用組成物である。本明細書中で使用される用語「食品組成物」は、動物(例えば、ヒト)が経口摂取するものであって、医薬品と医薬部外品とを除くすべてのものをいう。食品組成物の形態は、固形に限られず、液体状または粉体状など任意の形態であり得る。本発明の組成物または食品組成物は、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、老人用食品、特別用途食品、機能性食品、健康補助食品、サプリメント、健康食品、製菓、菓子、飲料、動物用食品、ペットフード、飼料などとして利用できる。 本発明の組成物は、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のために用いられ得る。例えば、本発明の組成物は、尿酸値の気になる人、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の気になる人またはそれらの疾患を発症するリスクの高い人(例えば、肥満、アルコールの摂取過多、運動不足、ストレスなどが気になる人)のために用いられ得る。また例えば、本発明の食品組成物は、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の疑いがある人、尿酸値の高めの人、あるいは過去もしくは現在にそれらの診断を受けた人のために用いられ得る。また例えば、本発明の組成物は、概して生活習慣病、またはより詳細に膝関節痛、腎臓、結石などの気になる人のために用いられ得る。さらに本発明の食品組成物は、より具体的に、プリン体の吸収を阻害または抑制するために用いられ得る。 また本発明の食品組成物は、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した食品組成物として提供され得る。例えば、本発明の食品組成物は、尿酸値の気になる人、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の気になる人またはそれらの疾患を発症するリスクの高い人(例えば、肥満、アルコールの摂取過多、運動不足、ストレスなどが気になる人)のための食品である旨の表示を付した食品として提供され得る。また例えば、本発明の食品組成物は、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の疑いがある人、尿酸値の高めの人、あるいは過去もしくは現在にそれらの診断を受けた人のための食品である旨の表示を付した食品として提供され得る。また例えば、本発明の食品組成物は、概して生活習慣病、またはより詳細に膝関節痛、腎臓、結石などの気になる人のための食品である旨を付した食品として提供され得る。さらに本発明の食品組成物は、より具体的に、プリン体の吸収を阻害または抑制するための食品である旨を付した食品として提供され得る。 本発明の組成物または食品組成物は、有効成分として、アルギン酸またはその誘導体を含有する。本明細書において「有効成分」とは、本発明の効果を奏するために含有せしめる成分という。 本発明の組成物または食品組成物は、生体に受容可能な任意の量のアルギン酸またはその誘導体を有効成分として含有し得る。しかし好ましくは、アルギン酸またはその誘導体を1日量につき約100mg以上、好ましくは約200mg以上、好ましくは約300mg以上、好ましくは約400mg以上、好ましくは約500mg以上、好ましくは約600mg以上、好ましくは約700mg以上、好ましくは約800mg以上、好ましくは約900mg以上、好ましくは約985mg以上、好ましくは約990mg以上、好ましくは約1g以上、好ましくは約1.5g以上、好ましくは約2g以上、好ましくは約2.5g以上含有する。生体に受容可能な量であれば、本発明の組成物または食品組成物に含まれるアルギン酸またはその誘導体の量に上限はないが、好ましくは約10g以下、好ましくは約7g以下、好ましくは約5g以下、好ましくは3g以下である。 本発明の組成物または食品組成物中のアルギン酸またはその誘導体の含有量は、使用するアルギン酸の種類、その分子量、組成(M/G比)、製剤形態、当該組成物中に共存する他の成分の種類、または所望する効果の程度などによって適宜調整することができるが、好ましくは0.001〜50重量%、好ましくは0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%程度である。 本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物は、製剤形態等に応じて、1日あたり1回から複数回(例えば、2回、3回など)に分けて、常法により摂取することができる。本発明のヌクレアーゼ阻害剤または組成物は、任意の手段により摂取され得るが、好ましくは経口摂取または経腸(経管)摂取され、最も好ましくは経口摂取される。本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物は、都合の良いときにいつでも手軽に摂取され得るが、好ましくは食前1時間位前、食事中、または食後1時間位後に摂取され、より好ましくは、食前30分位前、食事中、または食後30分位後に摂取され、最も好ましくは食前30分位前に摂取される。投与量、投与方法および投与回数は、当然ながら、投与される被験体の年齢、体重、性別もしくは状態、または予防用もしくは治療用などの投与目的の相違、あるいは他の薬剤等と併用されるか否かなど、当業者に周知の種々の要因に依存して適宜変動され得る。 本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物には、必要に応じて種々の成分を組み合わせることができる。このような成分の種類および量は特に制限されず、例えば、他の痛風治療薬(例えば、ウラリット、ピナロックなど)の有効成分、膝関節症の予防成分、利尿成分、抗炎症成分などが組み合わせられ得る。痛風治療薬の有効成分としては、クエン酸塩、アロプリノール、ベンズブロマロン、プロベネシド、XOD阻害剤、セルロース、キチン、キトサン、イヌリン、キサンタンガム、ケルセチンおよびその誘導体、ブドウ種子エキス(アントシアニジン系抗酸化物質)、ビタミンC、必須脂肪酸(例えば、DHA、EPA、フラックスシード油、ボラージ油、月見草油など)、ビタミンE、セイヨウイラクサ、セロリ種子エキス、亜鉛酵母、ビタミンB群、茶ポリフェノール、イチョウ葉エキス、セイヨウナツユキソウ、シナモン、イワベンケイ、紅景天、ガランガル、ナツメグ、セイヨウトトギリソウ、ブドウ植物、プロポリス、C20・C22のモノエン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物または食品組成物が、例えば飲料形態として提供される場合、クエン酸塩は酸味料として配合できるため都合良く利用され得る。膝関節症の予防成分としては、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、メチルスルフォニルメタン(MSM)、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが組み合わせられ得るが、これらに限定されない。利尿成分としては、カリウム、タンニン、カフェイン、セイヨウイラクサ、セロリ種子エキスなどが組み合わせられ得るが、これらに限定されない。抗炎症成分としては、ポリフェノール、ビタミン類(例えば、ビタミンC、ビタミンEなど)が組み合わせられ得るが、これらに限定されない。 さらに、本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物は、必要に応じて種々の他の成分を含み得るか、またはそれらと組み合わせて使用され得る。このような成分の種類や量は特に制限されず、例えば、抗炎症成分、細胞賦活成分、生薬成分、アミノ酸成分、ビタミン類成分、ミネラル成分などを組み合わせて含んでも良い。本発明において好適な生薬成分としてを例示すれば、次のような成分が例示できる。 抗炎症成分:例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、プラノプロフェン、ピロキシカム、イプシロン−アミノカプロン酸、ベルベリン、グリチルリチン酸、リゾチーム、アラントイン、アズレン、ブロメライン、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼおよび薬理学的に許容される塩(例えば、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ジクロフェナクナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、塩化リゾチームなど)など。 細胞賦活成分:レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンなどのビタミンA類、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールなどのビタミンB類、アスコルビン酸、エリソルビン酸などのビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールなどのビタミンD類、トコフェロールおよびその誘導体、ユビキノン誘導体などのビタミンE類、フィトナジオン、メナキノン、メナジオン、メナジオール、納豆抽出物、納豆菌抽出物などのビタミンK類、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジンなどのその他のビタミン類またはこれらの薬学上許容される塩など、タウリン、アスパラギン酸またはこれらの薬学上許容される塩など。 生薬成分:カミツレ、ケイヒ、葛根湯、マオウ、ナンテンジツ、オウヒ、オンジ、カンゾウ、キョウニン、シャゼンジ、シャゼンソウ、セキサン、セネガ、トコン、バイモ、アセンヤク、ウイキョウ、オウゴン、カロニン、ケイヒ、ゴオウ、ゴミン、サイシン、シオン、ジャコウ、シャジン、ショウキョウ、ソウハクヒ、ソヨウ、チクセツニンジン、チンピ、ニンジン、バクモンドウ、ハンゲなど。 アミノ酸成分:例えば、リジン、トレオニン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、システイン、チロシン、オルニチン、ヒドロキシプロリンなど。 ビタミン類成分:例えば、ビタミンA類[例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンおよびその薬理学的に許容される塩類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など]、ビタミンB類[例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニルアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールまたはその薬理学的に許容されるこれらの塩類(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンC類[例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、その誘導体またはその薬理学的に許容される塩類(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンD類[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールおよびその薬理学的に許容される塩類など)など]、ビタミンE類[例えば、トコフェロールおよびその誘導体、ユビキノン誘導体およびその薬理学的に許容される塩類(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など]、その他のビタミン類[例えば、ヘスペリジン、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンおよびその薬理学的に許容される塩類(塩化カルニチンなど)など]。 ミネラル成分:例えば、カルシウム(Ca)、リン(P)、カリウム(K)、イオウ(S)、ナトリウム(Na)、塩素(Cl)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、ヨウ素(I)、セレン(Se)、マンガン(Mn)、モリブテン(Mo)、クロム(Cr)、コバルト(Co)など。 また本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物は、上記成分の他に、製剤や組成物の用途あるいは製剤形態に応じて、食品、医薬部外品、医薬品等に通常使用される成分を適宜配合しても良い。配合できる成分としては、特に制限されないが、例えば、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、結合剤、防腐・抗菌剤、pH調整剤、キレート剤、抗酸化剤、清涼化剤の他、コーティング剤、可溶化剤又は溶解補助剤、崩壊補助剤、安定化剤、懸濁化剤、流動化剤、乳化剤、増粘剤、粘稠化剤、緩衝剤、消泡剤、発泡剤、溶剤、等張化剤、香料、着色剤、分散剤、吸着剤、湿潤剤、防湿剤、帯電防止剤、甘味料、酸味料、食物繊維、果汁粉末、有機酸、旨味成分、フレーバー、糖質、蛋白質などが挙げられる。 本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物の製剤形態としては特に制限がなく、液剤や、粉末剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、ゼリー剤等任意の製剤形態とできる。摂取しやすい液剤、用時溶解粉末剤、カプセル剤、顆粒剤、チュアブル錠、速溶解錠、速崩壊錠などの錠剤が好ましい形態である。特に好ましい形態としては、カプセル剤、錠剤、液剤の形態である。 これらのヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物の製造においては、当該技術分野で公知の方法をそのまま、又は適宜応用して用いればよい。例えば、錠剤は、当該技術分野で慣用の造粒法(例えば、押し出し造粒法、粉砕造粒法、乾式圧密造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、高速攪拌造粒法など)、打錠法(例えば、湿式打錠法、直接打錠法など)などを目的に応じて適宜組み合わせて製造できる。顆粒剤、散剤又は細粒剤は、乳糖、でんぷん、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、タルク等の通常用いられる添加物や溶媒等とグルコサミン、その誘導体またはそれらの塩を混合して製造することができる。硬カプセル剤は、上記の細粒剤又は散剤等を適宜カプセルに充填して製造することができる。軟カプセル剤は、脂質賦形剤、例えば、植物油、油性エマルジョン、グリコール等にグルコサミン、その誘導体またはそれらの塩を溶解または懸濁し、軟カプセルに充填して製造される。また、液剤は、例えば、水(精製水など)や植物油(オリーブ油、大豆油、ごま油、綿実油など)などの基剤および界面活性剤などの添加剤を用いて、前記成分を溶解又は懸濁させ、当該技術分野で慣用の方法により製造できる。シロップ剤は、白糖、カルボキシセルロース等を含む水溶液とともにグルコサミン、その誘導体またはそれらの塩を懸濁することによって製造することができる。 好ましくは、本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物は、その有効成分であるアルギン酸またはその誘導体を、消化管内において機能させる形態、より好ましくは腸管内において機能させる形態、最も好ましくは小腸管内において機能させる形態にされる。例えば、飲料または液剤などの形態は、アルギン酸またはその誘導体が初めから溶解しているので腸管内で迅速に広がりやすく、酵素に接触しやすくなるので特に好ましい。このような製剤形態にするために必要な製剤方法および/または材料などの選択は、技術常識に基づき、当業者により適宜なされ得る。 さらに本発明の食品組成物は、パン、麺、惣菜、食肉加工食品(例えば、ハム、ソーセージなど)、水産加工食品(例えば、ちくわ、かまぼこなど)、調味料(例えば、ドレッシング、味噌、醤油、カレー粉など)、天ぷら粉、から揚げ粉、乳製品、菓子(例えば、ビスケット、クッキー、キャンディー、ゼリー、アイスクリームなど)、顆粒、飲料、スープ、ジュース、清涼飲料などの任意の一般の食品に含有させた食品形態としても提供され得る。このような形態にする場合、アルギン酸またはその誘導体は、目的とする食品の性質等に依存して、当業者に公知の方法により適宜配合され得る。例えば、粉末状のアルギン酸ナトリウムを飲料に懸濁することによりに容易に配合することができる。 本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物は、任意の動物に与えられ得る。例えば、本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物は、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ヤギなど)、鳥類(例えば、ニワトリ、インコ、カナリヤ、オウムなど)、両生類、爬虫類、昆虫などに与えられ得る。好ましくは、本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物を与えられる動物は哺乳動物であり、特に好ましくはヒトである。 さらに、本願発明に含まれるアルギン酸またはその誘導体は、糖類や脂質の吸収をも抑制する可能性がある。従って、本発明のヌクレアーゼ阻害剤、組成物または食品組成物の摂取により、高尿酸血症で併発することの多い合併症(例えば、糖尿病、肥満、高コレステロール血症、高中性脂肪血症など)も同時に予防または改善されるという効果も奏し得る。 以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。 実施例1:カラギナン(紅藻由来多糖類)とアルギン酸ナトリウムとの比較 以下のようにして、海藻多糖類のリボヌクレアーゼ阻害能の比較検討を行った。文献(Kunitz,M.:J.Biol.Chem.,vol.164,563,1946)の方法に準じてリボヌクレアーゼ活性の測定を行い、リボヌクレアーゼ酵素に対する海藻多糖類の阻害能を検討した。本実施例では、比較検討用の試料として、紅藻由来のカラギナン(品名:ゲルリッチNo.4、三栄源FFI製)、およびチリ産Lessonia属由来のアルギン酸ナトリウム(品名:IL−6G、株式会社キミカ製)を使用した。このアルギン酸ナトリウムのM/G比は、0.6であった。基質として、RNA(Type VI,トルラ酵母由来,SIGMA社製)を使用し、そして酵素として、リボヌクレアーゼA(Type II−A,ウシ膵臓由来,SIGMA社製)を使用した。より詳細には、1.5mLの0.1w/v%のRNA溶液(100mM 酢酸ナトリウム緩衝液,pH5.0)に対し、1.0mLの脱イオン水および0.3mLの0.02〜1.0w/v%の各試料水溶液を加えた後、0.2mLのリボヌクレアーゼA水溶液(0.2units/mL)を混合してから正確に30秒後に、吸光値(300nm)の変化を室温下で測定した。吸光値の減少量(傾き)を算出し、1分間当たりの傾きを酵素活性とした。酵素活性を50%阻害する時の反応液中のアルギン酸ナトリウム濃度(w/v%)をIC50値と定義した。カラギナン(ゲルリッチNo.4)およびアルギン酸ナトリウム(IL−6G)のIC50値を算出した結果、それぞれ0.245および0.046であることが明らかになった。アルギン酸ナトリウムのIC50値は、カラギナンの約1/5であり、このことから、アルギン酸ナトリウムがカラギナンよりも約5倍も強いリボヌクレアーゼ阻害能を有することが示された。 実施例2:異なる属由来のアルギン酸ナトリウムでの比較 実施例1と同様の方法で、異なる属由来のアルギン酸ナトリウムのリボヌクレアーゼ阻害能を比較検討した。本実施例では、比較検討用の試料として、チリ産Lessonia属由来のアルギン酸ナトリウム(品名:IL−6G、株式会社製キミカ製)、Laminaria属由来のアルギン酸ナトリウム(品名:ソルギン、カイゲン製)、および米国産Macrocystis属由来のアルギン酸ナトリウム(品名:KELTON−LV、ISP製)を使用した。IL−6G、ソルギン、KELTON−LVのIC50値を算出した結果、それぞれ0.046%、0.059%、0.0048%であることが明らかになった。この結果を以下の表にまとめる。 以上の結果から、Macrocystis属由来のアルギン酸ナトリウムであるKELTON−LVのIC50値が最も低いことが明らかとなり、よってMacrocystis属由来のアルギン酸ナトリウムが、他属由来のアルギン酸ナトリウムと比較して約10倍も高いリボヌクレアーゼ阻害能を有することが明らかとなった。一般に、アルギン酸を構成するMとGの量的比率(M/G比)は、そのアルギン酸の性質に大きな影響を及ぼすことが知られている(宮島、FOOD Style 21、2004年4月号(Vol.8 No.4)別冊、1〜4頁を参照のこと)。今回、Macrocystis属由来のアルギン酸ナトリウムは、他の属由来のアルギン酸ナトリウムと比較して比較的高いM/G比を有する。 またリボヌクレアーゼ阻害能に対するアルギン酸ナトリウムの分子量の影響についても検討するため、分子量6万と10万との間で比較検討を行った。比較のために、M/G比は同じであるが分子量が異なる2種のアルギン酸ナトリウム(品名:IL−6GおよびI−3G(すべて株式会社キミカ製))を供試し、これらのアルギン酸ナトリウムのIC50値を算出した。この結果を下記の表2に示す。 表2から明らかなように、分子量6万〜10万の範囲にあるアルギン酸ナトリウムで、リボヌクレアーゼ阻害能が確認された。 実施例3:ラットに対するインビボでの投与実験 アルギン酸ナトリウムがインビボで高尿酸血症に対して効果を有するか否かを調べるため、ラットを用いて投与実験を行った。本実施例では、上記実施例2において高い阻害能を有することが示されたMacrocystis属由来のアルギン酸ナトリウム(品名:KELTON−LV、ISP製)を使用した。このアルギン酸ナトリウムのM/G比は、1.5であった。 ラットに対する投与実験は、Koguchi,T.ら、J.Nutr.Sci.Vitaminol.,vol.48,184−193,2002に記載の方法に従って行った。具体的には、4週齢の雄性Wistarラット(80〜85g)を、室内温度約23℃、相対湿度50〜60%、そして12時間の明期/暗期サイクルの下で、個々のケージにおいて飼育した。これらのラットには、最初の7日間は食餌(20%カゼイン、5.0%トウモロコシ油、12%コーンスターチ、0.3%DL−メチオニン、3.5%ミネラル混合物(AIM−76TM)、1.0%ビタミン混合物(AIM−76TM)、および0.2%塩化コリンを含み、スクロースで100%に調整したもの)を与え、水は自由に与えた。7日間の飼育後、ラットを2つの群(各群に6匹のラット)に分けた。 一方の群には、RNAとアルギン酸ナトリウムの両方を含む食餌(3w/w%の酵母RNA、5w/w%のアルギン酸ナトリウム、および92w/w%のスクロースを含む)を与え(+アルギン酸群)、他方の群には、RNAを含むがアルギン酸ナトリウムを含まない食餌(3w/w%の酵母RNA、および97w/w%のスクロースを含む)を与えた(−アルギン酸群)。これらのラットには、20日間にわたり1日あたり20g食餌を与えた。 実験期間中は毎日体重を測定し、実験開始から10日目に尾部静脈より採血した。実験期間終了時にも再度採血を行い、収集した血液を30分間放置した後、3,500rpmで15分間遠心分離して血清を得た。 実験終了時の血清中における尿酸濃度を、ウリカーゼペルオキシダーゼ方法(Quickauto−Neo UAs、株式会社シノテスト、東京)により測定し(Kabasakalian,P.ら,Clin.Chem.19:522−524;金井ら、臨床検査法提要、第29版、432〜436頁、金原出版を参照のこと)、各群6匹のラットの測定値から平均値を算出した。この結果、+アルギン酸群の平均値は、−アルギン酸群の平均値よりも有意に低く、アルギン酸ナトリウムがインビボでも高尿酸血症に対して効果を有することが明らかとなった。 実施例4:アルギン酸ナトリウムの精製方法 本発明に従って使用されるアルギン酸ナトリウムは、以下のようにして取得され得る。 乾燥した昆布(例えば、米国産、日高産などの昆布)(例えば、実験室スケールで行う場合には、約100g程度)をミキサーで解砕した後、水洗し、そして10倍(重量比)の水に約5時間浸潤する。膨潤した昆布を回収し、20倍(重量比)の5%炭酸ナトリウム水溶液に入れて、60℃で4時間撹拌することによりアルギンを抽出する(アルギンの抽出工程)。次いで、水を加えて10倍(重量比)に希釈し、珪藻土ろ過によりろ液を得る。このろ液を撹拌しながら、少しづつ希塩酸を加えていき、ゲル状の析出物を得る(アルギン酸の析出工程)。析出したゲルを水洗し、1N NaOHを加えてゲルを溶解させる(アルギン酸ナトリウム溶液の調製工程)。この溶液の20倍容量のエタノールに対して、上記のアルギン酸ナトリウム溶液を少しづつ加えていくと白色の沈殿物が得られる。この沈殿物を回収し、60℃で5時間加熱乾燥して、アルギン酸ナトリウム粉末を得る。上記方法によれば、原料昆布から約15%の収率でアルギン酸ナトリウム粉末を得ることができる。 以下に製剤実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。 実施例5(ゼリー飲料) アルギン酸ナトリウム 2.00g (品名:KELTON−LV、ISP社製) クエン酸 1.00g 香料 0.05g 果糖ブドウ糖液糖 3.00g 精製水 173.95g 上記成分を秤りとり、内容量180g/1パックのゼリー飲料を製した。なおこの飲料は、成人1日量として1パックを服用する 実施例6(錠剤) アルギン酸ナトリウム 125mg (品名:IL−6G、株式会社キミカ製) 結晶セルロース 75mg クエン酸ナトリウム 50mg 上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり250mgとなるように製して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として4錠を服用する。 以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示した。しかし本願発明は、添付の特許請求の範囲の記載によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、それらの内容が具体的に本明細書に記載されているのと同様に、その内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。 アルギン酸またはその誘導体を有効成分とする、ヌクレアーゼ阻害剤。 アルギン酸またはその誘導体からなる、ヌクレアーゼ阻害剤。 アルギン酸またはその誘導体を有効成分として含有する、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のための組成物。 アルギン酸またはその誘導体をヌクレアーゼ阻害剤として含有する、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のための組成物。 アルギン酸またはその誘導体を有効成分として含有し、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した、食品組成物。 アルギン酸またはその誘導体をヌクレアーゼ阻害剤として含有し、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した、食品組成物。 前記アルギン酸またはその誘導体のM/G比が1.5〜2.0の範囲にある、請求項3〜6のいずれかに記載の組成物。 前記アルギン酸またはその誘導体が、Macrocystis属由来のアルギン酸またはその誘導体である、請求項3〜7のいずれかに記載の組成物。 【課題】 高尿酸血症の予防または改善に有用な新規の高尿酸血症の予防用または改善用の組成物を提供すること。【解決手段】 アルギン酸またはその誘導体を有効成分とする、ヌクレアーゼ阻害剤を提供する。本発明はさらに、アルギン酸またはその誘導体を有効成分として含有する、高尿酸血症または高尿酸血症に起因する疾患の予防または改善のための組成物または食品組成物を提供する。特定の実施形態において、上記アルギン酸またはその誘導体のM/G比は1.5〜2.0の範囲にある。【選択図】 なし