タイトル: | 再公表特許(A1)_サツマイモ茎葉抽出物およびその用途 |
出願番号: | 2005014799 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61P 39/06,A61P 1/16,A61P 43/00,A61P 3/10,A61P 3/06,A61P 3/04,A61P 25/24,A23L 2/52,A23L 1/30,C12N 9/99,C09K 15/34,C09K 15/08,A61L 9/01,B01D 11/02,A61K 31/216,A61K 31/7048 |
鈴木 聡 木谷 重和 保谷 泉 JP WO2006014028 20060209 JP2005014799 20050805 サツマイモ茎葉抽出物およびその用途 持田製薬株式会社 000181147 トヨタ自動車株式会社 000003207 小林 浩 100092783 片山 英二 100095360 小林 純子 100093676 鈴木 聡 木谷 重和 保谷 泉 JP 2004231365 20040806 A61K 36/18 20060101AFI20080404BHJP A61P 39/06 20060101ALI20080404BHJP A61P 1/16 20060101ALI20080404BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080404BHJP A61P 3/10 20060101ALI20080404BHJP A61P 3/06 20060101ALI20080404BHJP A61P 3/04 20060101ALI20080404BHJP A61P 25/24 20060101ALI20080404BHJP A23L 2/52 20060101ALI20080404BHJP A23L 1/30 20060101ALI20080404BHJP C12N 9/99 20060101ALI20080404BHJP C09K 15/34 20060101ALI20080404BHJP C09K 15/08 20060101ALI20080404BHJP A61L 9/01 20060101ALI20080404BHJP B01D 11/02 20060101ALI20080404BHJP A61K 31/216 20060101ALI20080404BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20080404BHJP JPA61K35/78 CA61P39/06A61P1/16A61P43/00 111A61P3/10A61P3/06A61P3/04A61P25/24A23L2/00 FA23L1/30 BC12N9/99C09K15/34C09K15/08A61L9/01 RB01D11/02 AA61K31/216A61K31/7048 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20080501 2006531750 38 4B017 4B018 4C080 4C086 4C088 4C206 4D056 4H025 4B017LC03 4B017LG06 4B017LL09 4B017LP01 4B018LB08 4B018MD53 4B018ME01 4B018ME06 4B018ME14 4B018MF01 4C080AA06 4C080BB02 4C080CC05 4C080CC08 4C080CC09 4C080CC13 4C080HH05 4C080KK08 4C080MM31 4C080QQ03 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA11 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA12 4C086ZA70 4C086ZA75 4C086ZC20 4C086ZC21 4C086ZC33 4C086ZC35 4C086ZC37 4C088AB12 4C088AC05 4C088BA08 4C088BA09 4C088BA10 4C088BA14 4C088BA32 4C088CA05 4C088CA06 4C088CA08 4C088NA14 4C088ZA12 4C088ZA70 4C088ZA75 4C088ZC20 4C088ZC33 4C088ZC35 4C088ZC37 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA18 4C206DB20 4C206DB58 4C206MA01 4C206MA02 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA28 4C206NA14 4C206ZA12 4C206ZA70 4C206ZA75 4C206ZC20 4C206ZC21 4C206ZC33 4C206ZC35 4C206ZC37 4D056AB12 4D056AB18 4D056AC06 4D056AC22 4D056CA14 4D056CA15 4D056CA20 4D056CA26 4D056CA39 4D056DA05 4H025AA20 4H025AA84 4H025AC04 4H025BA01 本発明は、ポリフェノールを含有する水溶性サツマイモ茎葉抽出物及びその製造方法に関する。また、本発明は、当該サツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする機能性飲食品、機能性素材、医薬品、抗酸化剤、肝保護剤、チロシナーゼ阻害剤、糖吸収抑制剤、中性脂肪吸収抑制剤、肥満の予防・治療剤、抗うつ剤、抗疲労剤、消臭剤、油脂および油脂含有食品の劣化防止剤などにも関する。さらに、本発明は、当該サツマイモ茎葉抽出物を含有する飲食品に関する。 ポリフェノール化合物は植物の二次代謝産物として広く植物に含まれており、その種類も多様であることが知られている。これらのポリフェノール化合物は多様な生理活性を持つ点で古くから薬学の分野で研究されており、近年においては食品化学の分野で注目を集めている。 そのなかで、特に最近研究の集中している茶のポリフェノール(カテキン類)においては、抗菌、抗ウィルス、抗酸化、抗突然変異、抗癌、血小板凝集抑制、血圧上昇抑制、血中コレステロール低下、抗う蝕、抗アレルギー、腸内フローラ改善、消臭など非常に広範な生理作用を有することが認知されつつある(特開昭63−214183号、特開平2−6499号、特開平4−178320号、特開2002−326932号)。 一方、サツマイモについては、「シモン芋」といわれるブラジル原産の品種については健康食品として塊根の粉末やその茎葉をお茶にした製品が販売されている。シモン芋葉部の凍結乾燥熱水抽出液のポリフェノール含量と抗酸化活性を調べ、HPLC分析によりポリフェノールの成分としてクロロゲン酸およびカフェ酸を同定した報告がある(日本食品科学工学会誌(2002),49(10),683−687)。 また、ブラジル原産サツマイモ葉に含有される成分について、サツマイモ葉アルコール抽出物からケルセチン−3−グルコシド(quercetin−3−glucoside)、ケンフェロール−4’,7−ジメチルエーテル(kaempferol−4’,7−dimethyl ether)、オムブイン(ombuin)、ケルセチン(quercetin)、ケルセチン−3’,4’,7−トリメチルエーテル(quercetin−3’,4’,7−trimethyl ether)、β−シトステロール(β−sitosterol)および蔗糖(sucrose)の7成分を単離したとの報告がある(Zhongcaoyao(1994),25(4),179−81)。中国産のサツマイモ葉のフラボノイドとして、ケルセチン−3−o−β−D−グルコピラノシル−(6→1)−o−α−L−ラムノピラノシド(quercetin−3−o−β−D−glucopyranosyl−(6→1)−o−α−L−rhamnopyranoside)、ケンフェロール−4,7−ジメチルエーテル(kaempferol−4,7−dimethyl ether)、ケルセチン−3−o−β−D−グルコシド(quercetin−3−o−β−D−glucosideおよびケルセチンをHPLCにより単離したとの報告もある(Journal of Instrumental Analysis(1996),15(1),71−74)。一方、60種のサツマイモについて葉部の凍結乾燥粉末のメタノール抽出液についてHPLC分析によりポリフェノール成分を同定したところ、その主成分はカフェ酸およびその誘導体5種であり、全ての品種で同じ成分が検出されたという報告もある(Journal of Agricultural and Food Chemistry(2002),50,3718−3722)。 機能性については、サツマイモ茎葉の粉砕物が血糖値上昇抑制効果および血圧上昇抑制効果を有するとの報告がある(九州沖縄農業研究センター、[Online]、[平成16年8月4日検索]、インターネット、<URL:http://konarc.naro.affrc.go.jp/press/20040524/index.html>。また、サツマイモ地上部のエタノール抽出液にαアミラーゼ阻害活性、αグルコシダーゼ阻害活性、ACE阻害活性があるとの報告がある(特開2004−75638号)。 現在、栽培されているサツマイモのほとんどが塊根を食用や加工用に利用されている。一方、茎葉についてはごく一部で食用とされているが、ほとんどが未利用な状態である。サツマイモ葉のポリフェノール成分を同定する試みがなされているが、報告されている成分は文献により異なっており、一致した見解は得られていない。また、サツマイモ茎葉から機能性食品素材として適した水溶性抽出物を取得する試みは未だなされていない。 植物に含まれるポリフェノールが広範な生理作用を有することが知られており、茶などの植物から抽出され、機能性食品などに応用されている。機能性食品に適応するためにはその機能性を発揮するための濃度が重要である。機能性を発揮する場合の有効濃度が高くなるとコストが高くなることとは別に、ポリフェノールの味が問題になり食品に用いにくくなる場合がある。ポリフェノールは茶のカテキンのように強い苦味があるものが多いことが知られており、低濃度でも機能性を発揮するものが求められている。また、イチョウ葉エキスや大豆イソフラボンのようにポリフェノールを含むエキスは水に難溶性である場合があるが、飲料等へ添加するためには水溶性の良いものが求められている。 本発明者らはより効率よくしかも経済的にポリフェノール含有抽出物を製造するために種々の原料をスクリーニングし、またポリフェノール含有抽出物の製造方法について検討し、さらにはそのようにして得られたポリフェノール含有抽出物の生理作用等を検討した。その結果、サツマイモの茎葉を原料とし、含水有機溶媒を用いて抽出し水溶性成分を得、ポリフェノール画分を精製することでポリフェノールを高濃度に含有し、かつ水溶性に優れた抽出物を効率よく得ることができることを見出した。また当該抽出物の生理作用を調べたところ予想を大幅に上回る高活性を持っていることを見出し、本発明に到達した。 すなわち、本発明は、下記に示すような、ポリフェノールを含有する水溶性サツマイモ茎葉抽出物、その製造方法、前記サツマイモ茎葉抽出物の用途などを提供する。(1)サツマイモ茎葉由来の水溶性抽出物であって、ポリフェノール含量が10%以上であることを特徴とするサツマイモ茎葉抽出物。(2)ポリフェノール含量が20%以上であることを特徴とする、上記(1)記載のサツマイモ茎葉抽出物。(3)ポリフェノールの成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドを含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のサツマイモ茎葉抽出物。(4)ポリフェノール中のケルセチン−3−グルコシド含量が、サツマイモ茎葉抽出物中の1%以上であることを特徴とする、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のサツマイモ茎葉抽出物。(5)ポリフェノールの成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドおよび3,5−ジカフェオイルキナ酸を含有することを特徴とする、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のサツマイモ茎葉抽出物。(6)サツマイモ茎葉由来の水溶性抽出物であって、ポリフェノール成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドおよび3,5−ジカフェオイルキナ酸を含有することを特徴とするサツマイモ茎葉抽出物。(7)サツマイモ茎葉由来の水溶性抽出物であって、ポリフェノール成分として少なくともケルセチン−3−グルコシド、クロロゲン酸および3,5−ジカフェオイルキナ酸を含有することを特徴とするサツマイモ茎葉抽出物。(8)サツマイモ茎葉を含水有機溶媒により抽出する工程、前記抽出工程により得られた抽出液より有機溶媒を除去し水画分を得る工程を含んでなることを特徴とするポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物の製造方法。(9)前記工程後にポリフェノールを精製する工程をさらに含む、上記(8)に記載の製造方法。(10)サツマイモ茎葉の乾燥、粉砕、加熱、焙煎のいずれか一つ、またはこれらを組合わせた工程を前段階として含む、上記(8)または(9)に記載の製造方法。(11)含水有機溶媒がエタノールであって、含量が40〜90%であることを特徴とする、上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の製造方法。(12)エタノール含量が60%であることを特徴とする、上記(8)ないし(11)のいずれかに記載の製造方法。(13)上記(8)ないし(12)のいずれかに記載の製造方法により得ることのできるポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。(14)上記(8)ないし(12)のいずれかに記載の製造方法により得ることのでき、ポリフェノール含量が10%以上であり、かつ当該ポリフェノールの成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドを含有することを特徴とする水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。(15)サツマイモ茎葉を水抽出する工程を経て得ることができる水溶性のサツマイモ茎葉抽出物であって、ポリフェノール含量が10%以上であり、当該ポリフェノールの成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドを含有することを特徴とする水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。(16)サツマイモの品種が白甘藷に属するものであることを特徴とする、上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)または(15)に記載の水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。(17)サツマイモの品種がシロユタカであることを特徴とする、上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)、(15)または(16)に記載の水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。(18)サツマイモ茎葉抽出物の製造工程の前段階に、サツマイモ茎葉の乾燥、粉砕、加熱、焙煎のいずれか一つ、またはこれらを組合わせた工程を含む、上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)、(15)、(16)または(17)に記載の水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。(19)ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)もしくは(18)に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする機能性飲食品。(20)抗酸化、肝保護、チロシナーゼ阻害、糖吸収抑制、中性脂肪吸収抑制、肥満の予防・改善、抗うつ、抗疲労、のうちのいずれか1以上の機能を有する(19)に記載の機能性飲食品。(21)ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)もしくは(18)に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする機能性素材。(22)ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)もしくは(18)に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする医薬品。(23)抗酸化、肝保護、チロシナーゼ阻害、糖吸収抑制、中性脂肪吸収抑制、肥満の予防・改善、抗うつ、抗疲労、のうちのいずれか1以上の薬効を有する(22)に記載の医薬品。(24)ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)もしくは(18)に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする抗酸化剤。(25)ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)もしくは(18)に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする消臭剤。(26)ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)もしくは(18)に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする油脂および油脂含有食品の劣化防止剤。(27)水溶性のサツマイモ茎葉抽出物を、ポリフェノール含量として0.01mg/ml〜30mg/ml含有する飲料水。(28)上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)または(18)に記載の水溶性のサツマイモ茎葉抽出物を含有する飲食品。(29)清涼飲料水、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料、油脂、加工食品、麺パン類、調味料、菓子類(水菓子、ゼリー、ヨーグルト、グミ)、または栄養補助食品である、上記(27)または(28)に記載の飲食品。 本発明によれば、人体に種々の有益な活性を有するポリフェノール含有水溶性サツマイモ茎葉抽出物を提供することができる。本発明の抽出物は、水溶性であるがゆえに、例えば、種々の飲料に溶かして摂取することができるという利点がある。 また、本発明のポリフェノール含有サツマイモ茎葉抽出物の製造方法によれば、特別な材料や施設を用いることなく効率良くポリフェノール含有抽出物を得ることができる。 さらに、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、抗酸化活性、チロシナーゼ阻害活性、肝保護作用、糖や中性脂肪の吸収抑制作用等の活性又は作用を有するので、そのような活性又は作用を有する機能性飲食品、機能性素材、医薬等として有用である。 図1は、サツマイモの茎及び葉から得られたサツマイモ茎葉抽出物の液体クロマトグラフィーのチャートである。 図2は、サツマイモの葉から得られたサツマイモ茎葉抽出物の液体クロマトグラフィーのチャートである。 図3は、実施例9のAPPH投与ラット肝障害モデルにおけるサツマイモ茎葉抽出物の抗酸化作用を示すグラフである。(a)は尿中8−OHdGの測定結果を、(b)は肝ホモジナイズ試料中のチオバルビツール酸反応物(TBARS)の測定結果を表す。 図4は、実施例11のラット糖負荷試験におけるサツマイモ茎葉抽出物の糖吸収抑制作用を示すグラフである。 図5は、実施例11の血糖上昇抑制効果についてのグアバ葉抽出物との比較試験の結果を示すグラフである。 図6は、実施例12のラット脂肪負荷試験におけるサツマイモ茎葉抽出物の中性脂肪吸収抑制作用を示すグラフである。 図7は、実施例12の脂肪吸収抑制作用についての緑茶抽出物との比較試験の結果を示すグラフである。 図8は、実施例16のサツマイモ茎葉抽出物の消臭効果を示すグラフである。アンモニア(a)、メルカプタン(b)、トリメチルアミン(c)の結果をそれぞれ表す。 図9は、実施例17の脂肪細胞の状態を示す。 図10は、実施例18の強制遊泳試験におけるマウスのEDBおよびIMOの平均時間を示すグラフである。 図11は、実施例19のサツマイモの茎葉抽出物の濃度における油脂の変敗時間を示すグラフである。 以下、本発明を詳細に説明する。(ポリフェノール含有水溶性サツマイモ茎葉抽出物) 本発明の第1の態様は、サツマイモ茎葉由来の水溶性抽出物であって、ポリフェノールを含有していることを特徴とするサツマイモ茎葉抽出物に関する。本明細書中、「サツマイモ」とは、ヒルガオ科サツマイモ属に属する植物のことをいい、この属であれば如何なる品種のものを用いることもでき、例としてシロユタカ、コガネセンガン、SUKUH、種子島紫、シモンイモ等が挙げられるが、好ましくは白甘藷に属する品種のサツマイモである。白甘藷とは、塊根部の皮がアントシアニンをほとんど含まず、白色であるサツマイモをいう。より好ましくはシロユタカである。なお、本明細書中、「サツマイモ茎葉」は、サツマイモの地上部のうち少なくとも葉を含み、好ましくは茎葉両方を含む材料という意味で用いられる。とりわけ好ましくは葉のみである。サツマイモ茎葉は、通常、用途がなく廃棄処分されているので、このような材料を利用することは資源の再利用の面でも有意義である。ここで用いられるサツマイモ茎葉は、新鮮材料であってもよく、また乾燥材料であってもよい。好ましくは乾燥材料であり、乾燥方法としては天日乾燥、温風乾燥、凍結乾燥等適当な手段を適宜選択し得るが、天日乾燥が好ましい。また、サツマイモ茎葉は、抽出効率を考慮して粉砕したものを使用することもできる。また、サツマイモ茎葉に適宜、焙煎等を施すことにより、抽出物の味や風味を増すことも可能である。本発明のサツマイモ茎葉抽出物は水溶性であるから、例えば、種々の飲料に溶かして摂取することができるという利点がある。ここで、「水溶性」とは、室温で1Lの水に対し、少なくとも100mg以上、好ましくは1g以上、更に好ましくは10g以上、特に好ましくは50g以上溶解できることをいう。 本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、有効成分としてサツマイモ茎葉由来のポリフェノールを含有する。本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、好ましくはカテキン換算で全不揮発性成分重量の10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上、とりわけ好ましくは30%以上のポリフェノールを含有する。ポリフェノール含量の上限は特に限定されないが、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、通常、60%ぐらいまでのポリフェノールを含有する。ポリフェノールの含量は、没食子酸換算による表現を用いてもよい。サツマイモの茎葉由来のポリフェノール成分としては、例えば、ケルセチン−3−グルコシドやケルセチン−3−ガラクトシド等のケルセチン配糖体、クロロゲン酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸等のカフェ酸誘導体等が例示される。なお、サツマイモの茎葉由来のポリフェノールにおいては、未同定のポリフェノール成分が含有されている可能性があるが、本発明はそのような未同定ポリフェノール成分を排除するものではない。上記ポリフェノール中、ケルセチン−3−グルコシドは体内への吸収が良好なことから好ましいポリフェノール成分である(Olthof MR.ら、J Nutr.2000 May;130(5):1200−1203、Morand C.ら、Free Radic Res.2000 Nov;33(5):667−76.)。ゆえに、本発明の好ましい態様においては、本発明の水溶性サツマイモ抽出物は、水溶性のサツマイモ茎葉抽出物中のポリフェノール成分の構成成分として、少なくともケルセチン−3−グルコシドを有するものであり、さらに好ましくは、ケルセチン−3−グルコシド、3,5−ジカフェオイルキナ酸を含有するものが好ましい。さらに好ましくは、少なくともケルセチン−3−グルコシド、クロロゲン酸および3,5−ジカフェオイルキナ酸を、とりわけ好ましくは、少なくともケルセチン−3−グルコシド、ケルセチン−3ガラクトシド、クロロゲン酸および3,5−ジカフェオイルキナ酸を含有することが望ましい。前記ポリフェノール中のケルセチン−3−グルコシド含量がサツマイモ抽出物中の1%以上、好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、特に好ましくは5%以上であることが望ましい。ケルセチン−3−グルコシド含量の上限は限定されないが、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、通常、前記ポリフェノール中30%ぐらいまでのケルセチン−3−グルコシドを含有する。サツマイモの葉にはケルセチン−3−グルコシド、−ガラクトシドなどのケルセチン配糖体が多く含まれているので、葉の割合が多い原料を用いて抽出するとケルセチン配糖体を多く含んだ画分を得ることができる。なお、ケルセチン−3−ガラクトシドはこれまでサツマイモ茎葉の成分としては知られていなかったものであり、本発明のサツマイモ茎葉抽出物を特徴付ける成分の1つである。前記ポリフェノール中の3,5−ジカフェオイルキナ酸含量は、1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、とりわけ好ましくは3%以上である。クロロゲン酸も含有していることが望ましい。また、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、ポリフェノール以外に例えば、フェニルアラニン、トリプトファン等のアミノ酸、有機酸、多糖類、糖脂質等の副成分が含まれていてもよい。有機酸としては、例えばキナ酸、多糖類としては、例えばオリゴ糖、糖脂質としては、例えばヤラピン等が挙げられ、これらのポリフェノール以外の成分も本発明のサツマイモ茎葉抽出物の好ましい構成成分である。これらのポリフェノール成分または副成分の定量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行うことができる。 本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、製造方法は特に限定されず、抽出効率の観点からは、後述する含水有機溶媒による抽出が好ましいが、水抽出によっても得ることができる。水抽出には、熱水、温水または冷水を用いることができ、目的とする温度の水に、茎葉を入れて一定時間浸漬し、目的成分を抽出する。茎葉は、事前に乾燥および粉砕を施しておくことが好ましい。抽出温度としては例えば、熱水の場合、60〜100℃、好ましくは60〜80℃、温水の場合、30〜60℃、好ましくは50〜60℃、冷水の場合、0〜30℃、好ましくは10〜30℃であるが、抽出効率の点からは熱水抽出が好ましい。抽出時間は特に限定されないが、熱水の場合には10〜150分間、好ましくは20分〜70分間であり、抽出温度を下げるに従い、長時間かけて抽出するのが好ましく、冷水抽出の場合には1日程度かけて抽出することもできる。また、抽出の際には加圧して抽出することができ、特に抽出温度を低くする場合には加圧して抽出するのが望ましい。抽出後には抽出液を冷却して、沈殿を除去し、サツマイモ茎葉抽出物を得ることができる。ドリップ抽出であれば、布や紙のフィルターの上に茎葉を置き、上から熱湯を注いで濾(こ)す。欲する味や風味、香ばしさの違いにあわせて適宜選択できる。さらに、後述する精製過程を付加してもよいが、カラムによる精製を行う前に、抽出液を希釈する工程、もしくは沈殿を除去する際に沈殿除去の促進剤(有機酸、エタノール等)を添加する工程等のカラム精製を実施しやすくするのための工程を加えることが望ましい。得られたサツマイモ茎葉抽出物の水溶液をさらに濃縮して利用してもよいし、乾燥させて水分を除去することにより、粉末状のサツマイモ茎葉抽出物としてもよい。(サツマイモ茎葉抽出物の製造方法及びその製法によって得ることができる抽出物) 本発明の第2の態様は、サツマイモ茎葉を含水有機溶媒により抽出する工程、前記抽出工程により得られた抽出液より有機溶媒を除去し水画分を得る工程、前記水画分からポリフェノールを精製する工程を含んでなることを特徴とするポリフェノール含有サツマイモ茎葉抽出物の製造方法に関する。本発明の第3の態様はこの製造方法によって得ることができるサツマイモ茎葉抽出物に関する。 以下、本発明の製造方法における各工程の好ましい態様について述べる。(抽出工程) まず、本発明の製法においては、サツマイモ茎葉を含水有機溶媒を用いた抽出に供する。ここで用いられるサツマイモ茎葉は、前述の通り、新鮮材料でも乾燥材料であってもよく、抽出効率を考慮すると粉砕したものが好適である。ここで用いられる抽出方法は、特に限定されず、静置又は攪拌条件下、冷浸、温浸または還流するなどの公知の方法を用いることができる。例えば、乾燥させたサツマイモ茎葉を破砕したものに含水有機溶媒を加え、それらを混合し、そのまま浸漬または加熱還流しながら抽出する。加える含水有機溶媒の量は特に限定されないが、乾燥材料を用いる場合は材料の容量の少なくとも3倍以上、新鮮材料を用いる場合は材料の容量の少なくとも5倍以上の容量の含水有機溶媒を加えることが望ましい。 ここで、抽出に用いられる含水有機溶媒としては、サツマイモ茎葉からポリフェノール類を抽出できるものであれば特に限定されず、例えば、水と親水性有機溶媒の混合溶液が用いられる。この混合溶液中の有機溶媒含量は、例えば、40〜90容量%、好ましくは40〜80容量%、より好ましくは50〜80容量%である。親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールなどの一価の低級アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが挙げられる。本発明においては、特に、含水アルコール(エタノール、メタノール等)を好適に用いることができる。本発明者らは、抽出する際の抽出液である含水アルコールについて水分量が多いと抽出されたポリフェノールが時間と共に分解消失していくことを見出している。また、アルコール濃度が高すぎると収量が低下し、匂いや味が悪くなる傾向があるため、適正なアルコール濃度があることを見出した。すなわち、本発明の抽出工程において用いられる含水アルコール(例えば、エタノール)は、好ましくは、40〜90容量%、より好ましくは、50〜80容量%のアルコール(例えば、エタノール)である。特に、60容量%以上のエタノールが望ましい。なお、上記のような抽出は、例えば、10〜70℃、好ましくは40〜60℃で、1時間〜48時間、好ましくは、2時間〜10時間行なわれる。 次いで、上記のようにして得られた抽出液について、有機溶媒を除去し水画分を得る。有機溶媒を除去する方法としては、減圧濃縮による有機溶媒の留去、非親水性有機溶媒(例:ヘキサン等)による有機溶媒の分画など、使用する含水有機溶媒の種類により当業者が用い得る手法を適宜選択し得る。含水エタノールを使用する場合は、減圧濃縮によるアルコールの留去が好ましい。有機溶媒の除去は、溶液中の水の比率が少なくとも70%以上になるまで行うことが好ましい。このようにして得られた有機溶媒を除去した抽出液を水画分と呼ぶこととする。水画分を得る工程で、水に不溶または難溶な成分が沈殿する、または分画されるので、水画分は、水に不溶なサツマイモ茎葉成分が除かれた状態となっている。よって、この工程が、本発明のサツマイモ茎葉抽出物の水溶性を高めるために寄与しているものと考えられる。水に不溶または難溶な成分の沈殿を促すために、水画分を静置したり、数倍量の水を加える操作を行っても良い。沈殿した水に不溶または難溶な成分は、デカントで除く、非親水性有機溶媒(例:ヘキサン等)により分画して除く、ろ過する等適当な手段で除去すればよい。(精製工程) 次に、上記のようにして得られた水画分のポリフェノールを精製する。ここでポリフェノールを精製するとは、サンプル中の不揮発性成分の総含量におけるポリフェノールの割合を高めることを意味する。具体的には、水画分から、ポリフェノール以外の各種の不揮発性成分を除去することによって精製を達成することができる。最終的に得られるサツマイモ茎葉抽出物(通常、水などの揮発可能な成分を除去した粉末の形態をとる)において、全不揮発性成分中のポリフェノールの含量が10%以上、好ましくは20%以上になればポリフェノール画分が精製されたものとする。精製すなわちポリフェノール以外の不揮発性成分の除去は、吸着剤を用いる方法などの公知の方法が用いられる。例えば、ポリフェノール類を選択的に吸着かつ溶離できる吸着剤を充填したカラムに、上記の水画分を通すことによりポリフェノールを吸着剤に吸着させ、洗浄後、溶出液によって精製ポリフェノールを溶出させる。カラムではなくバッチ法でもよい。また、水画分に対し、エタノール等の親水性有機溶媒を添加し、有機溶媒に難溶性の不揮発性成分(多糖類等)を沈殿させ除去する方法でもよい。このような沈殿除去法と、カラム精製を組み合わせて用いてもよい。 ここで用いられる吸着剤としては、例えば架橋スチレン系の多孔質重合体の合成吸着樹脂、陰イオン交換樹脂、オクタデシル基化学結合型シリカゲル(ODS)等を用いることができる。市販の合成樹脂吸着剤としては、例えば、三菱化成株式会社のダイヤイオンHP−20、HP−21、HP2MG、SP207、SP825、SP850;ローム・アンド・ハース社のアンバーライトXAD−2、XAD−4、XAD−7、XAD−26などを用いることができる。吸着剤を用いる精製方法の実施条件等は当業者に容易に設定できる。市販の吸着剤に、マニュアルが添付されている場合は、そのマニュアルの指示にしたがって吸着操作を行なうことができる。 上記吸着後は、通常、カラムに洗浄液を通すことより不純物などを洗浄・除去する。洗浄液としては、水(好ましくは蒸留水)、1〜10重量%のエタノール水溶液等が好適に用いられる。通常、樹脂量の1〜10倍程度の洗浄液を通液するとよい。洗浄後、溶出液をカラムに通すことによりポリフェノール含有画分を溶出、回収することができる。溶出液としては、例えば、含水アルコール、含水アセトン、含水アセトニトリルなどの含水有機溶媒を用いることができる。特に好適な溶出液は、20%以上のエタノール水溶液または100%エタノールである。通常、溶出液の通液量は樹脂量の2〜6倍程度が望ましい。 このようにして得られたポリフェノール含有画分を減圧濃縮(又は濃縮乾固)することにより有機溶媒を留去させ、サツマイモ茎葉抽出物の水溶液を得ることができる。さらに、サツマイモ茎葉抽出物の水溶液を噴霧乾燥または凍結乾燥などで水分を除去し、粉末状のサツマイモ茎葉抽出物を得ることができる。粉末は、必要に応じて、粉砕器を用いて粒径を揃えたり、微粒粉末とすることもできる。また、デキストリン等の粉末助剤を添加して噴霧乾燥や凍結乾燥を行うことができ、さらに、得られた粉末に安定化剤、賦形剤等を添加することもできる。このようにして得られた組成物、すなわち、液体製剤又は粉末製剤は、後述のサツマイモ茎葉抽出物含有機能性飲食品、機能性素材、医薬製剤、抗酸化剤、肝保護剤、チロシナーゼ阻害剤、糖吸収抑制剤、中性脂肪吸収抑制剤、肥満の予防・治療剤、抗うつ剤、抗疲労剤、消臭剤、油脂および油脂含有食品の劣化防止剤などとして利用できる。 本発明の第3の態様は、上記製造方法によって得ることができるサツマイモ茎葉抽出物である。上記製造方法によって得ることができるサツマイモ茎葉抽出物と物として同一であれば、異なる製造方法によって得られたものであっても本発明のサツマイモ茎葉抽出物に含まれる。物として同一であるかどうかは、例えば、本発明の第1の態様に記載された特徴を有しているかどうかをもって確認することができる。すなわち、上記製造方法によって得ることができるサツマイモ茎葉抽出物の好ましい形態は、上記製造方法によって得ることができ、かつ本発明の第1の態様に記載された水溶性、ポリフェノール含量、ポリフェノール成分、ポリフェノール中の各種成分の含量等で特徴づけられるサツマイモ茎葉抽出物である。(用途)本発明の第4の態様は、上記本発明の第1の態様または第3の態様で述べたサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする医薬品、機能性飲食品、機能性素材、抗酸化剤、肝保護剤、チロシナーゼ阻害剤、糖吸収抑制剤、中性脂肪吸収抑制剤、肥満の予防・治療剤、メタボリックシンドロームの予防・治療剤、抗うつ剤、抗疲労剤、消臭剤、油脂および油脂含有食品の劣化防止剤などに関する。さらに、当該サツマイモ茎葉抽出物を含有する飲食品にも関する。ここで用いられるサツマイモ茎葉抽出物の製造方法としては、上記製造方法が好ましいが、特にこれに限定されることはなく、如何なる公知の方法をも用いることができる。ここで用いられるサツマイモ茎葉抽出物の好ましい態様は、本発明の第1の態様または第3の態様に記載された特徴を有しているサツマイモ茎葉抽出物である。1.抗酸化剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物の抗酸化能は、後述の実施例8の各種の抗酸化能実験によって確認されている。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、抗酸化剤の有効成分として用いることができる。 本発明の抗酸化剤は、実施例9のラットを用いた実験によって、生体内においても活性酸素を消去する作用を有することが確認されている。したがって、本発明の抗酸化剤は、活性酸素が関与する種々の疾患や症状の予防または治療に用いることができる。活性酸素が関与する疾患としては、活性酸素によって誘導され得る癌、アレルギー、動脈硬化など過酸化脂質が関与する疾患などが挙げられる。活性酸素が関与する症状としては、老化にともなう各種症状、シミ、シワ、肌荒れなどが挙げられる。2.肝保護剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物の肝保護作用は、後述の実施例9のラットを用いた実験によって確認されている。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、肝保護剤の有効成分として用いることができる。 本発明の肝保護剤は、肝臓機能の不全又は低下が関与する疾患や症状の予防または治療および改善に用いることができる。そのような肝臓機能の不全又は低下が関与する疾患としては、例えば、肝硬変、ウイルス肝炎、劇症肝炎、肝癌等の肝疾患、肝臓の損傷・疲弊などが挙げられる。肝臓機能の不全又は低下が関与する症状として、二日酔い、アルコール肝炎、倦怠感、疲労感、血行不良などが挙げられる。これらの疾患や症状を予防するためには、本発明の肝保護剤を事前または平時から摂取することにより肝臓機能を向上させておくことが好ましい。3.チロシナーゼ阻害剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物がチロシナーゼ阻害活性を有することは、後述の実施例10に記載のチロシナーゼ阻害活性試験によって確認されている。チロシナーゼはポリフェノールオキシダーゼともいわれ、ポリフェノールを不活性化し、皮膚のメラニン生成や食品の褐変反応を増悪する酵素である。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、チロシナーゼ阻害剤の有効成分として用いることができる。 本発明のチロシナーゼ阻害剤は、チロシナーゼが関与する疾患や症状の予防または治療および改善に用いることができる。そのようなチロシナーゼが関与する症状としては、例えば、皮膚のメラニンの発生、日焼け、色素沈着などが挙げられる。また、本発明のチロシナーゼ阻害剤を摂取することにより、皮膚のメラニンの発生を抑制することができ、美白効果が期待できる。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、美白作用を有する化粧品又は機能性食品の有効成分としても用いることもできる。4.糖吸収抑制剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物が糖吸収抑制作用を有することは、後述の実施例11に記載のラットを用いた実験によって確認されている。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、糖吸収抑制剤の有効成分として用いることができる。 本発明の糖吸収抑制剤は、糖吸収を抑制し、血糖値の上昇を抑制する作用があるので、人体中に摂取される糖が関与する疾患や症状の予防または治療および改善に用いることができる。そのような糖が関与する疾患としては、例えば、糖尿病、肥満、糖尿病性合併症などが挙げられる。また、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、食後の過血糖を防ぐ効果があるため血糖値が気になる人に対し訴求力のある機能性食品素材になり得る。5.中性脂肪吸収抑制剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物が中性脂肪吸収抑制作用及び吸収遅延作用を有することは、実施例12に記載のラットを用いた実験によって確認されている。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、中性脂肪吸収抑制剤の有効成分として利用できる。 本発明の中性脂肪吸収抑制剤は、中性脂肪吸収を抑制する作用を有するので、中性脂肪の過多が関与する疾患や症状の予防または治療および改善に用いることができる。そのような疾患としては、例えば、高コレステロール症、高脂血症、虚血性心疾患、脳血管障害などが挙げられる。また、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、体脂肪が気になる人に対し訴求力のある機能性食品素材となり得る。6.肥満の予防・治療剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物が脂肪細胞の分化および肥大化抑制作用を有することは、実施例17に記載のin vitroにおけるラット腸間膜由来白色脂肪細胞の分化および肥大化抑制試験によって確認されている。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、脂肪細胞の分化および肥大化抑制剤の有効成分として利用でき、ゆえに、肥満の予防・治療剤として用いることができる。さらに、サツマイモ茎葉抽出物は、上記の糖吸収抑制作用、中性脂肪吸収抑制作用も有することから、これら作用の相乗効果によっても肥満の予防・治療効果が期待できる。 本発明の肥満の予防・治療剤は、肥満が関与する疾患や症状の予防または治療および改善に用いることができる。そのような疾患としては、例えば動脈硬化、高血圧、糖尿病などが挙げられる。また、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、肥満および体脂肪が気になる人に対し訴求力のある機能性食品素材となり得る。7.メタボリックシンドロームの予防・治療剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、上記のとおり糖吸収抑制作用によって高血糖症状を予防・改善し、中性脂肪吸収抑制作用によって、高脂血症、とりわけ高トリグリセライド血症の予防・改善が可能となり、脂肪細胞の分化および肥大化抑制作用等により肥満の予防・治療作用等を有することも併せてメタボリックシンドロームの予防・治療剤の有効成分として利用できる。メタボリックシンドロームとは、主に内臓脂肪の蓄積に起因し、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧等の複数の危険因子が重積し、動脈硬化や冠動脈疾患(最終イベントとして、心筋梗塞や脳梗塞)の発症リスクが高まった病態をいう。食習慣の乱れから様々な生活習慣病が発症しがちな現代社会において、問題視されている疾患のひとつである。本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、メタボリックシンドロームの予防・改善に有効な作用を複数併せ持つことから、メタボリックシンドロームが気になる人に対し訴求力のある機能性食品素材となり得る。8.抗うつ剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物が抗うつ作用を有することは、実施例18に記載のマウス強制水泳法による抗うつ作用の検討によって確認されている。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、抗うつ剤の有効成分として利用できる。また、ストレスを軽減し、リラックス効果も期待できる。 本発明の抗うつ剤は、抗うつ作用を有するので、うつ病およびうつ病に関連する症状の予防または治療および改善に用いることができる。また、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、うつ病が気になる人、ストレスの多い現代人に対し訴求力のある機能性食品素材となり得る。9.抗疲労剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物が抗疲労作用を有することは、実施例18に記載のマウス強制水泳法による抗疲労作用の検討によって確認されている。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、抗疲労剤の有効成分として利用できる。 例えば長時間の運動による肉体的な疲労を軽減する、また、気分をリラックスさせて精神的なストレスや疲労を感じにくくする等、身体的および精神的な疲労の予防、軽減、改善が期待である。本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、例えば常に身体的な疲労を受けるスポーツ選手、長時間の労働などによって身体的および精神的疲労を感じやすい人に対し訴求力のある機能性食品素材となり得る。10.消臭剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物がヒトやペットの口臭、体臭、便臭等の原因物質に対する脱臭効果を有することは、実施例16に記載の試験によって確認されている。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、消臭剤の有効成分として利用できる。 サツマイモ茎葉抽出物は、ヒトやペットの口臭、体臭、便臭に対する消臭、飲食品の消臭等にも使用することができ、脱臭効果を有する物質の中でも、極めて幅広い応用範囲で使用可能な物質となり得る。11.油脂および油脂含有食品の劣化防止剤 本発明のサツマイモ茎葉抽出物が油脂および油脂含有食品の劣化防止に有効であることは、実施例19に記載の油脂安定性試験によって確認されている。したがって、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、油脂の変敗を抑制する劣化防止剤として、とりわけ動物性の油脂の劣化防止剤として有用である。豚脂・ラードなどの動物脂質を使用する加工食品(フライドポテトやスナック、カップ麺等)をはじめ、その他様々な油脂類に添加し、油脂の劣化防止に応用できる。食品油脂の劣化防止には、粉末状のサツマイモ茎葉抽出物を油脂中にぱらぱらと添加したり、サツマイモ茎葉抽出物の水溶液を油脂に混ぜて乳化したりすることも可能である。また、粉末状のサツマイモ茎葉抽出物を天ぷら粉、パン粉、小麦粉等の揚げ衣に添加したり、油脂で加工する食品原料中に混合したりすることにより、食品を油脂で調理すると同時に油脂の劣化を防止することもできる。食品油脂への添加量は特に限定されないが、好ましくは10ppm以上、より好ましくは200ppm以上、とりわけ好ましくは500ppm以上であり、上限は限定されないが、サツマイモ茎葉抽出物をソフトカプセルに加工し、油脂の50重量%程度のサツマイモ茎葉抽出物を添加することも可能である。12.医薬品、機能性飲食品および機能性素材 本発明のサツマイモ茎葉抽出物は抗酸化活性、肝保護作用、チロシナーゼ阻害活性、糖や中性脂肪の吸収抑制作用等の活性又は作用を有し、機能性素材として優れた機能を有している。よって本発明のサツマイモ茎葉抽出物は機能性素材の有効成分として利用できる。 機能性素材は、機能性を有する材料、原料として、あらゆる用途に利用できる。形態も特に限定されず、有効成分はサツマイモ茎葉抽出物のみであってもよいし、その他の機能性素材や原料と混合された状態であってもよく、粉末、液体、成形体等あらゆる形をとり得る。実施例20で、サツマイモ茎葉抽出物を原料として、顆粒、錠剤およびグミを作製し、機能性素材として利用しやすいことは確認されている。 機能性素材として食品用途で効果が期待できる1日あたりの摂取量は成人1日あたり0.1mg/kg以上、好ましくは1mg/kg以上、更に好ましくは10mg/kg以上、特に好ましくは30mg/kg以上である。1日あたりの摂取量の上限は特に限定されないが、例えば、2000mg/kg程度までは許容範囲内である。但し、好ましい摂取量の範囲は、製品形態や個人の特性により当然変動することが考えられる。 機能性素材としては、食品として摂取する以外の用途として、抗酸化効果を有することから食品の酸化防止剤、食品色素の安定剤、消臭剤等への利用が考えられる。また、チロシナーゼ阻害活性を有することから化粧料としての利用が考えられる。化粧料は、常法に従って製造することができる。化粧料は、一般の皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬部外品、指定医薬部外品、外用医薬品等を包含するものであり、その剤型も目的に応じて任意に選択することができる。すなわち、クリーム、軟膏、乳液、溶液、ゲル等の剤型やパック、ローション、パウダー、スティック等の形態とすることができる。抽出物の配合量は、化粧料の総量を基準として、成分固形分換算で0.0001〜1.0%が好ましく、特に好ましくは0.001〜0.1%である。 本発明のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする機能性飲食品は、本発明のサツマイモ茎葉抽出物を適当な製剤に製剤化すること、または飲食品に添加することにより提供される。本発明のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする医薬品は、本発明のサツマイモ茎葉抽出物を適当な製剤に製剤化することで提供される。 医薬品または機能性飲食品(健康食品)としての製剤の形態としては、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。この経口投与剤は、経口投与剤の形態に応じて一般に用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等を添加して製造することができる。サツマイモ茎葉抽出物は、経口投与用剤中に、用途及び形態によっても異なるが、一般に0.1〜100重量%、特に1〜80重量%含有するのが好ましい。 また、医薬品として本発明のサツマイモ茎葉抽出物を投与する場合、その投与量はその作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより変化するが、例えば、一般的に体重60kgの成人においては、ポリフェノール含量として1日につき約1mg〜2000mg、好ましくは約10mg〜500mg、より好ましくは30mg〜300mgである。 サツマイモ茎葉抽出物を飲食品に添加することにより機能性飲食品を提供する場合には、食品や飲料等にサツマイモ茎葉抽出物をその機能性を発揮できるように添加する。本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、食事中の糖質や中性脂肪の過剰吸収および肝臓での過酸化脂質の産生を抑制できる特性を有しカロリーダイエットにも有望であることから、糖質を多く含む製品(果汁、ジュース、ビール、酒類、チョコレート、クッキー、はちみつ製品、飴、ガム、ゼリー、アイスクリーム、ヨーグルト、和菓子・洋菓子類)、中性脂肪を多く含む原料(魚油、マーガリン、乳製品、バター、卵黄油、マヨネーズ、サラダ油、ドレッシング)を利用した加工食品、過酸化脂質を多く発生する揚げ物製品(天ぷら、ポテトチップス等のスナック菓子、揚げせんべい、インスタント麺)等、および糖質・中性脂肪の吸収低下や体脂肪の減少を促す成分(緑茶・桑葉茶、グアバ、明日葉、大豆蛋白・豆乳、キチン・キトサン、アルギン酸、オリゴ糖・デキストリン・食物繊維)を利用した機能性強化向け製品に混合すると効果的である。さらに、うこん、異性化リノール酸、セサミン、ビタミンE、CoQ10、αリポ酸、カルニチン、アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、テアニン、ヒスチジン)、人参類(エゾウコギ、紅参、西洋人参)、有機酸類(ビタミンC、酢、クエン酸)、ビタミンB群、すっぽん、蟻、プラセンタ、トウガラシ、黒胡椒、カロチノイド類(リコピン、アスタキサンチン、ルテイン)、イソフラボン、キノコ、海藻由来多糖類(アガリクス、フコイダン)、各種ハーブ類(イチョウ葉、松樹皮、ブドウ抽出物)、ベリー類(ブルーベリー)、脂質類(EPA、DHA)から選ばれる物質を組み合わせた栄養補助食品も効果的である。食品や飲料等への添加量としては、サツマイモ茎葉抽出物の1日あたりの摂取量が成人1日あたり1mg/kg以上、好ましくは30mg/kg以上となるように含有させることが好ましい。1日あたりの摂取量の上限は特に限定されないが、例えば、2000mg/kg程度までは許容範囲内である。但し、好ましい摂取量の範囲は、製品形態や個人の特性により当然変動することが考えられる。13.飲食品 本発明の水溶性サツマイモ茎葉抽出物を、ポリフェノール含量として0.001mg/ml〜30mg/ml、好ましくは0.01mg/ml〜30mg/ml、より好ましくは0.01mg/ml〜10mg/ml、最も好ましくは0.01mg/ml〜3mg/ml含有する飲食品として用いることができる。本発明により、サツマイモ茎葉抽出物中のポリフェノール含量を高めることが可能となり、ゆえに高濃度にサツマイモ茎葉由来のポリフェノールを含有する飲料水とすることができる。嗜好性の面では、ポリフェノール含量として約3mg/ml以下であることが望ましく、また、サツマイモ茎葉抽出物の薬効・機能を発揮させるためには、約0.01mg/ml以上含有するのが効率的である。これらの点から、より好ましくは0.05mg/ml〜2.5mg/ml、さらに好ましくは0.1mg/ml〜2.5mg/ml、とりわけ好ましくは0.3mg/ml〜2mg/mlであるが、加工する飲食品の種類に応じて適宜増減することができる。また、サツマイモ茎葉抽出物の水溶液をゼリーなどの菓子類に加工したり、サツマイモ茎葉抽出物の粉末を麺類、インスタント食品等の加工食品に混ぜ込んだり、さらに栄養補助食品の素材とすることもできる。飲食品としては、清涼飲料水、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料、油脂、加工食品、麺パン類、調味料、菓子類(水菓子、ゼリー、ヨーグルト、グミ)、栄養補助食品、等をあげることができる。1回あたりのサツマイモ茎葉由来のポリフェノール摂取量は、約1mg〜2000mg、好ましくは約5mg〜500mg、より好ましくは約10mg〜300mgに調製されていることが好ましい。 次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1 サツマイモ茎葉抽出物の抽出条件の検討サツマイモ茎葉抽出物の製造にあたり、エタノール濃度によってポリフェノールの抽出効率がどのように変化するか調べた。サツマイモの品種としてシロユタカを用い、栽培4ヶ月のものの茎葉を収穫し、天日にて乾燥させたものを破砕し抽出に用いた。抽出精製操作は下記に示した手法に従った。(1)条件検討として1つの抽出条件に乾燥、粉砕したサツマイモ茎葉90gを用いた。(2)抽出の条件設定として、エタノール濃度(0%(水)、20%、40%、60%、80%)を変えた5条件で検討した。(3)抽出は初回700mlの抽出液で室温12時間放置することで抽出を行い、その後、濾過を行い、その濾液を捕集するとともに抽出残渣に500mlの抽出液を加え、抽出を12時間行った。その後同じ操作を行い、計3回の抽出を行い、捕集した抽出液を合せた。(4)抽出液をロータリーエバポレーターで200ml程度まで濃縮し、その後、50mlのヘキサンで分画し、水層部分を捕集した。(5)三菱化学から販売されているDIAION HP20を用いて精製を行った。50gのDIAION HP20を水に置換したカラム作り、捕集した水層部分をカラムに通した。その後、カラム容量の約500mlの水で洗浄した後、約250mlの90%エタノールでポリフェノール画分を溶出させ、捕集した。(6)捕集したポリフェノール画分はポリフェノール量を測定するとともに濃縮乾固させ、重量を測定した。 捕集したポリフェノール画分は東洋紡エンジニアリング株式会社から販売されているポリフェノール測定器(PA−20)を用いて、カテキン換算としてポリフェノール量を測定した。 表1からわかるようにエタノール濃度40%以上であればポリフェノールが300mg以上抽出されていることがわかる。また、乾固重量あたりのポリフェノール重量の割合についてはエタノール濃度60%が最大で23.6%となった。 次に抽出液中のポリフェノールの安定性を調べた。安定性については抽出直後のポリフェノール濃度と12日間室内に放置した後のポリフェノール濃度を比較し濃度の低下率を安定性の指標とした。結果を表2に示す。 表2からわかるようにエタノール濃度が低下すると12日後のポリフェノール濃度が低下することが分かった。このことから抽出液については少なくとも40%以上、好ましくは60%以上のエタノール濃度が適当であると考えられる。また、エタノール濃度が高い場合(80%)は葉緑素などの成分や油分なども抽出されることが観察され、かつポリフェノールの収量も若干低下することを考慮すると、80%より高いエタノール濃度で抽出を行うことは利点がないと思われる。実施例2 ポリフェノールの純度向上法の検討 機能性食品において機能性成分の純度を、コストをかけずに上げることは重要なことである。例えば不純物の中に渋みなど、好ましくない成分が含まれている場合があり、純度を上げることにより、相対的に好ましくない成分を少なくできるからである。そこで、サツマイモの茎と葉に分けて抽出を実施し、さらに濃縮後、時間とともに発生する沈殿を除去する方法を検討した。検討条件として、下記の項目で検討した。(a)サツマイモの茎を分離し、60%エタノールを用いた実施例1の手法でポリフェノール画分を得、その画分の乾固重量あたりのポリフェノール量つまり純度を調べた。ただし、実施例1のヘキサン分画は省略した。(b)サツマイモの葉を分離し、60%エタノールを用いた実施例1の手法でポリフェノール画分を得、その画分の乾固重量あたりのポリフェノール量つまり純度を調べた。ただし、実施例1のヘキサン分画は(a)と同様省略した。(c)サツマイモの葉を分離し、60%エタノールを用いた実施例1の方法で抽出し、200mlの濃縮液を得、その濃縮液を3日間静置した後、3日間で生成した沈殿を除去したものをHP−20カラムに通し実施例1と同じようにポリフェノール画分を捕集した。そして、その画分の乾固重量あたりのポリフェノール量つまり純度を調べた。ただし、実施例1のヘキサン分画は(a)と同様省略した。(d)サツマイモの葉を分離し、60%エタノールを用いた実施例1の方法で抽出し、200mlの濃縮液を得、その濃縮液に約4倍容量のエタノールを加え3日放置した。3日間で生成した沈殿を除去した後、再びロータリーエバポレーターでエタノールを除去した後、HP−20カラムに通し実施例1と同じようにポリフェノール画分を捕集した。そして、その画分の乾固重量あたりのポリフェノール量つまり純度を調べた。ただし、実施例1のヘキサン分画は(a)と同様省略した。 その結果を表3に示す。 表3からわかるように葉から抽出した場合、ポリフェノール量を茎と比べ10倍程度効率よく抽出でき、カテキン換算として算出したポリフェノール純度も高いことが分かる。また、実施例1の方法で抽出、濃縮を行った後、静置することで純度が向上することが分かった。また、放置する際に、エタノールを加えた場合の方が純度として56.4%と高い値になった。このことは(c)の静置する条件ではエタノール濃度が低いため、一部分解、消失を考慮する必要があると考えられる。以上のことから濃縮後に静置処理を行い沈殿の生成を待った後にその沈殿を除去することにより、通常は20%から30%のポリフェノール純度(カテキン換算)であるものを60%程度まで向上可能なことがわかった。実施例3 液体クロマトグラフィーによる成分の検索 60%エタノールを用いた実施例1の手法でサツマイモ茎葉もしくは葉より抽出分画したポリフェノール画分(サツマイモ茎葉抽出物)を液体クロマトグラフィーで成分を検索した。条件を下に示す。条件:カラム: Shima−pack VP−ODS(島津製) カラム温度: 40℃ 溶離液: A液4.5mMクエン酸水:アセトニトリル:イソプロパノール 100:10:3 B液6mMクエン酸水:アセトニトリル:イソプロパノール 100:47:3 溶離液勾配: 時間 A/B 0min 85/15 40min 0/100(リニアグラジェント) 50min 0/100 60min 85/15(リニアグラジェント) 図1にサツマイモ茎葉から60%エタノールを用いて実施例1の方法で得たサツマイモ茎葉抽出物の液体クロマトグラフィーのチャートを示した。ピークの解析から、当該抽出物には、ケルセチン−3−グルコシド、ケルセチン−3−ガラクトシド、クロロゲン酸および3種のジカフェオイルキナ酸(3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸)が含まれていることが分かった。また、図2にはサツマイモ葉から60%エタノールを用いて実施例1の方法で得たサツマイモ茎葉抽出物の液体クロマトグラフィーのチャートを示した。葉のみを用いた抽出物においては特にケルセチン−3−グルコシドやケルセチン−3−ガラクシドが多く含まれていることが分かった。実施例4 80%エタノールを用いたサツマイモ茎葉抽出物の製造 以下の手法でサツマイモ茎葉抽出物を製造した。(1)サツマイモの乾燥茎葉2.22kgを20Lの抽出器に入れ、80%のエタノールを13.2L加え加温抽出(75℃)を2時間行い、ヌッチェにより濾過し、抽出液を約10L得た。(2)さらに同様な操作を3度行い。抽出液40Lを得た。抽出液を減圧下約1/7まで濃縮した。(3)ヘキサン8.0L加え脂溶性成分を分離した後、ヘキサン層を除去した。(4)水層部分は、減圧下さらに溶液が約5L程度になるまで溶媒を留去した。(5)濃縮溶液に水を5L加えた。希釈溶液に不純物が下層にたまったため、デカンテーションにより不溶物を除去した。(6)上澄み液を吸着樹脂(HP20)3Lに通液した後、水4Lにて樹脂を洗浄した。(7)樹脂から90%エタノール10Lを用いて吸着物を溶離させた。(8)溶出液は減圧下溶媒を留去乾固させ、噴霧乾燥機により粉末サンプル54.43g(収率2.45%)得た。 得られた粉末サンプル(サツマイモ茎葉抽出物)のポリフェノール含量はカテキン換算で約34%、ポリフェノール中のケルセチン−3−グルコシド含量は5.6%であった。また、液体クロマトグラフィーにて実施例3と同様にケルセチン−3−グルコシド、ケルセチン−3−ガラクトシド、クロロゲン酸およびジカフェオイルキナ酸が含まれていることを確認した。実施例5 60%エタノールを用いたサツマイモ茎葉抽出物の製造 乾燥サツマイモ茎葉1.5kgを粉砕し、6.1Lの60%エタノールを添加し2時間以上抽出を行い、1次抽出液を搾汁し3.5Lを回収した。1次搾汁液と同量の60%エタノールを添加し、12時間以上置いた後、2次抽出液を搾汁し3.34Lを回収した。1次抽出液と2次抽出液を合わせてロータリーエバポレーターで約1/3量(2.3L)に減圧濃縮した。壁面に付着した油性成分はデカントで除去し、得られた水溶液に2倍量の100%エタノールを添加し、12時間以上放置した。沈殿物(多糖類等と思われる)をデカントで除去し、上澄みをロータリーエバポレーターで約1/7量(990ml)に減圧濃縮した。得られた水溶液をDIAION HP20(三菱化学)カラムに通した。カラム容量の5倍量の水で洗浄した後、カラム容量の2倍量の90%エタノールで溶出し、溶出液をスプレードライヤーで乾固し、サツマイモ茎葉抽出物を得た。乾燥茎葉からの抽出物収率は0.66%、抽出物中のポリフェノール含量は41.3%、ポリフェノール中のケルセチン−3−グルコシド含量は3.0%であった。また、液体クロマトグラフィーにて実施例3と同様にケルセチン−3−グルコシド、ケルセチン−3−ガラクトシド、クロロゲン酸およびジカフェオイルキナ酸が含まれていることを確認した。実施例6 抽出方法の比較 60%エタノール抽出、熱水抽出、水抽出についてケルセチン−3−グルコシド抽出量の比較を行った。(1)60%エタノール抽出 乾燥サツマイモ茎葉を60%エタノールで抽出し、ロータリーエバポレーターで濃縮後HP20カラムにかけ、90%エタノールで溶出した画分を乾固し、ケルセチン−3−グルコシド抽出量を測定した。(2)熱水抽出およびエタノール沈殿 乾燥サツマイモ茎葉を90℃の熱水で抽出し、2倍量の100%エタノールを添加後、生じた沈殿を除去し、ロータリーエバポレーターで濃縮後HP20カラムにかけ、90%エタノールで溶出した画分を乾固し、ケルセチン−3−グルコシド抽出量を測定した。(3)熱水抽出 乾燥サツマイモ茎葉を90℃の熱水で抽出し、ロータリーエバポレーターで濃縮後HP20カラムにかけ、90%エタノールで溶出した画分を乾固し、ケルセチン−3−グルコシド抽出量を測定した。(4)水抽出 乾燥サツマイモ茎葉を水で抽出し、2倍量の100%エタノールを添加後、生じた沈殿を除去し、ロータリーエバポレーターで濃縮後HP20カラムにかけ、90%エタノールで溶出した画分を乾固し、ケルセチン−3−グルコシド抽出量を測定した。結果を表4に示す。 ケルセチン−3−グルコシドの抽出量は、60%エタノールが優れていることが分かった。また、熱水抽出または水抽出は、カラム精製過程で、エタノールに溶けない物質が精製を阻害するので、カラム精製する場合には、工夫を要することが分かった。 熱水抽出によって、大量にエタノールに不溶な成分が抽出される。この物質は、カラム精製過程で、90%エタノールによって溶出する際に不溶化すると考えられ、カラムを水で洗浄したにもかかわらず、90%エタノールでの溶出の際に、強固に樹脂に結合して、褐色の色が抜けなくなる。これはカラムの再生に影響すると予想された。ついで、熱水抽出液や水抽出液に2倍量の100%エタノールを加え、67%のエタノール濃度にすると、もやもやとした粘着性のある沈殿物が多量に析出した。この沈殿物をろ過した後にカラム精製を実施するとカラムへの色素沈着は観察されなかった。しかしながら、熱水抽出および水抽出にカラム精製過程を加えた製法は、ケルセチン−3−グルコシド抽出量は60%エタノール抽出に劣り、また、結局エタノールを使用せねばならず、工程削減の効果も得られないので60%エタノール抽出と比較して、抽出効率の点からは優位性は低いと判断される。実施例7 各種サツマイモ品種の茎葉成分の比較 実施例1ないし6で使用したサツマイモ品種シロユタカと、コガネセンガン、SUKUH、種子島紫およびシモンイモの4品種について茎葉に含まれるポリフェノール成分の比較を行った。シロユタカ、コガネセンガン、SUKUH、種子島紫は乾燥サツマイモ茎葉を60%エタノールで抽出しろ過したサンプルをHPLC分析に供した。シモンイモについては市販のお茶(茎葉を使用したお茶)を60%エタノールで抽出しろ過したサンプルをHPLC分析に供した。 その結果、シロユタカと他の4品種においてクロマトグラフィーで検出される成分の種類に大きな差はなく、含有される物質の種類は同等であると考えられたが、各成分の含有割合は、品種によって若干異なっている。また、シロユタカ葉のみを用いたサツマイモ葉抽出物は、他の品種の抽出物と比較して、ケルセチン−3−グルコシドを多く含み、望ましいことが分かった。実施例8 抗酸化能の確認 サツマイモ茎葉抽出物を用いて抗酸化能を測定した。(1)スーパーオキシド消去活性 実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物のスーパーオキシド消去活性を電子スピン反応(ESR)法で測定した。結果は3.9×104単位/g(J.Biol.Chem.,244,6049(1969)に定義された単位)となりサツマイモポリフェノールに抗酸化能があることが確認できた。抗酸化能としては高いレベルであるものの、抗酸化能が非常に高いと言われるピクノジェノール(1.6×105単位/g)と比べると4分の1程度であった。(2)DPPHラジカル消去能 実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物および実施例2で得た茎のみの抽出物または葉のみの抽出物についてDHHPラジカル消去能を電子スピン反応(ESR)法で測定した。実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物は653μmol/g、実施例2で得た茎のみの抽出物は304μmol/g、実施例2で得た葉のみの抽出物は1273μmol/gであった(活性は、サンプル1gあたりのトロロックスμmol相当量で表示)。市販のお茶粉末では515μmol/g程度と言われており、サツマイモ茎葉抽出物はお茶粉末と同等かそれよりも優れた活性を示した。(3)ヒドロキシラジカル消去能 実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物および実施例2で得た茎のみの抽出物または葉のみの抽出物について、過酸化水素−2価鉄イオン系にて発生させたヒドロキシラジカルの消去能をDMPOを用いたスピントラッピング法で測定した。実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物は10.8mmol/g、実施例2で得た茎のみの抽出物は16.8mmol/g、実施例2で得た葉のみの抽出物は14.4mmol/gであった(活性は、サンプル1gあたりのマンニトールmmol相当量で表示)。市販のお茶粉末では9.3mmol/g程度と言われており、サツマイモ茎葉抽出物はお茶粉末と同等かそれよりも優れた活性を示した。実施例9 サツマイモ茎葉抽出物の肝保護作用 サツマイモ茎葉抽出物を食品や飲料で摂取した際に、成分が腸管から吸収され血液に移行し、実際に体内でフリーラジカルを消去できるかどうかについて確認した。サツマイモ茎葉抽出物を投与したラットと非投与のラットを用いてラジカルイニシエーターである2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩(AAPH)を腹腔に投与し、その影響を調べた。試験の材料と方法を下記に示す。(a)供試動物 種:ラット、系統:SD、性別:オス、入荷時週齢:6週齢(b)試験群の設定 コントロール群:5匹、1mg/kg投与群:5匹、30mg/kg投与群:5匹(c)試験項目および方法 ・体重、摂餌量測定:サツマイモ茎葉抽出物の投与は7日間とし、一般状態についての観察体重および摂餌量は毎日午前10から11時の間に測定した。飼料および給水は自由摂取とした。 ・実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物を蒸留水にて溶解し、サツマイモ茎葉抽出物の摂取量が1日あたり1mg/kg、または30mg/kgとなるよう胃ゾンデを用いて経口投与した。Control群については生理食塩水を10mL/kgを投与した。7日目の投与においては、AAPH投与12時間前にサツマイモ茎葉抽出物および生理食塩水を投与した。 ・AAPHの投与は生理食塩水を用いて50mg/kg B.Wに調製し、ラットに腹腔内投与した。 ・尿サンプルはAAPH投与後より解剖時まで、代謝ケージを用いて採取した。採取した尿については不純物を濾過した後、分析に供するまで−80℃下に保存した。 ・解剖については、AAPH投与終了後より12時間の絶食を行い、ペントバルビタール系麻酔薬麻酔下において腹大動脈から採血した。血液は遠心分離(4℃、3000rpm、20分)して血清を採取し、分析に供するまで−80℃下にて凍結保存した。次に肉眼的観察を行った後、脱血処理を施した後に肝臓を摘出し、重量を測定した。重量測定後は、分析に供するまで−80℃下にて凍結保存した。 ・生化学検査として、血清については総蛋白、アルブミン、総コレステロール、HDL−コレステロール、LDL−コレステロール、リン脂質、過酸化脂質、AST、ALTを分析し、尿については8−OhdG(8−Hydroxy−deoxyguanosine)を分析した。 ・肝臓中の過酸化脂質の測定は、摘出し凍結させた肝臓を解凍後、氷冷下でホモジナイズし、菊川の方法(日本生化学会編 基礎生化学実験法 第5巻 脂質・糖質・複合糖質 東京化学同人)に基づき、チオバルビツール酸(TBA)試験より測定した。なお、結果については各試料中のタンパク質あたりのTBARS(nmol/mg protein)(チオバルビツール酸反応物:thiobarbituric acid reactive substances)として算出した。 ・統計処理として、試験結果は平均値±標準誤差で表し、有意差検定はStudent’s−t testを用いた。結果(A)一般状態および体重推移 一般状態においては、全例において異常は認められなかった。AAPH投与前7日間の体重推移では、Control群、1mg/kg群およぴ30mg/kg群のいずれの群においても顕著な差は認められなかった。AAPH投与後の状態観察では、投与後、各群において被毛が逆立つ特有の反応が観察された。サツマイモ茎葉抽出物投与群に関しては、その状態からの回復がControl群に比較して早期であった。(B)摂餌量 試験期間中の摂餌量においては、1mg/kg群で1日目にControl群に対して有意に増加したが、正常範囲の摂餌量であること、翌日より各群間に顕著な差が認められなかったことから、一過性の症状と思われた。(C)肝臓重量 肉眼的観察においては、Control群で暗黄赤褐色を呈し、軽度に腫大していたのに対してサツマイモ茎抽出物群については正常に近い赤褐色の色調であった。特に、1mg/kg群では30mg/kg群よりも、より正常に近い状態を示した。触診では、Control群では柔らかく各葉の先端部位が鈍角であるのに対して、サツマイモ茎葉抽出物投与群の肝臓は弾力性に富み、各葉の先端部位は鋭角であった。肝臓重量はControl群4.383±0.209gに対して、1mg/kg群では3.911±0.249g、30mg/kg群では4.033±0.316gとサツマイモ茎葉抽出物投与群で低い値を示した。(D)血清およぴ尿中生化学検査 ・血清総蛋白:Control群4.88±0.10g/mLに対し、1mg/kg群5.04±0.05g/mL、30mg/kg群5.00±0.05g/mLと高い値を示した。 ・血清アルブミン:Control群2.70±0.05g/mLに対し、1mg/kg群2.90±0.07g/mL、30mg/kg群2.74±0.05g/mLと1mg/kg群でやや高い値を示した。 ・血清総コレステロール:Control群40.18±5.55mg/mLに対し、1mg/kg群55.74±2.93mg/mL、30mg/kg群48.40±6.41mg/mLとサツマイモ茎葉抽出物投与群でやや高い値を示した。 ・血清HDL−コレステロール:Control群16.20±1.46mg/mLに対し、1mg/kg群22.20±0.58mg/mL、30mg/kg群18.20±2.29mg/mLとサツマイモ茎葉抽出物投与群でやや高く、特に1mg/kg群で高い値を示した。 ・血清LDL−コレステロール:Control群2.88±1.29mg/mLに対し、1mg/kg群5.60±1.29mg/mL、30mg/kg群4.00±1.30mg/mLとサツマイモ茎葉抽出物投与群でやや高く、特に1mg/kg群で高い値を示した。 ・血清リン脂質:Control群71.98±4.90mg/mLに対し、1mg/kg群84.04±4.16mg/mL、30mg/kg群81.40±4.68mg/mLとサツマイモ茎葉抽出物投与群でやや高く、特に1mg/kg群で高い値を示した。 ・血清過酸化脂質:Control群0.84±0.12nmol/mLに対し、1mg/kg群0.68±0.07nmol/mL、30mg/kg群0.58±0.02nmol/mLとサツマイモ茎葉抽出物投与群で低く、特に30mg/kg群で低い値を示した。 ・血清AST:Control群204.64±55.85mg/mLに対し、1mg/kg群99.72±23.93mg/mL、30mg/kg群148.40±41.24mg/mLとサツマイモ茎葉抽出物投与群で低く、特に1mg/kg群で低い値を示した。 ・血清ALT:Control群70.36±17.56mg/mLに対し、1mg/kg群39.52±5.86mg/mL、30mg/kg群49.00±10.58mg/mLとサツマイモ茎葉抽出物投与群で低い値を示した。 ・尿中8−OHdG:Control群41.56±4.90mg/mLに対し、1mg/kg群21.60±2.75mg/mL、30mg/kg群19.88±1.85mg/mLとサツマイモ茎葉抽出物投与群で有意(p<0.05)に低い値を示した。結果を図3(a)に示す。 ・肝臓TBARS:Control群0.486±0.035nmol/mg proteinに対し、1mg/kg群0.296±0.025nmol/mg protein、30mg/kg群0.286±0.020nmol/mg proteinとサツマイモ茎葉抽出物投与群で有意(p<0.01)に低い値を示した。結果を図3(b)に示す。 抗酸化作用を検討する指標として、AAPH投与後より解剖時までの12時間採取した尿申の8−OHdG、肝臓中TBARSについて測定した結果、尿中の8−OHdGならび肝臓中TBARSは、Control群に比較して、サツマイモ茎葉抽出物投与群が有意に低い値を示した。解剖時の肉眼的観察では、特に1mg/kg群でその状態が良好であり、肝臓重量についても低い値を示した。さらに、血清生化学検査値では、同様にサツマイモ茎葉抽出物投与群で良好であり、肉眼的観察同様に30mg/kg群よりも1mg/kg群でその傾向を示した。30mg/kg群では、血清過酸化脂質ならびに尿申8−0HdGが1mg/kg群よりも低い値であった。 以上の結果から、サヅマイモ茎葉抽出物は、ラジカル開始剤AAPHを腹腔内に投与することによる生体内脂質過酸化を誘発させたモデル動物において、高濃度摂取では血清過酸化脂質、肝臓中TBARSおよぴ尿中8−OHdG等の過酸化物の産生を有意に抑制する抗酸化作用を示し、また、低濃度摂取では高濃度よりも緩やかな抗酸化作用を示すとともに、肝臓の障害を軽減し肝臓を保護する作用をもつ素材であることが確認された。(上記結果に関する考察) 上記実験結果は実に驚くべきものであった。つまりここで用いたサツマイモ茎葉抽出物中のポリフェノール類はカテキン換算の含量として約30%であり、体重60kgの人に換算すると0.3×1mg/kg×60kg=18mgとなる。ポリフェノール成分として1日わずか20mg程度の摂取量で機能性を発揮すると予想される。一方、最近脚光を浴びている茶カテキンを比較するとその機能性を発揮する量として人で500mgという値が公表されている(バイオサイエンスとインダストリー Vol.61 No.11 2003)。茶カテキンの機能性としては体脂肪低減作用であり、本発明のサツマイモ茎葉抽出物とは機能性が異なるが、ポリフェノールの有効濃度が茶カテキンより1桁低く、高活性であることはわれわれの予想を越えるものであった。また、2004年度の日本農芸化学会で九州沖縄農業研究センターのグループから紫サツマイモの塊根から調製したアントシアニンを含むサツマイモジュースの四塩化炭素投与による肝機能障害軽減効果に関し報告があった。発表の紫サツマイモのジュースには120mlで12.6gの紫サツマイモ成分が含まれており、投与量としてはアントシアニン換算で1日50mg/kgとなるようであったが、本発明のサツマイモ由来茎葉抽出物の機能性効果はそれと比較して十分に高いと考えられる(2004年度日本農芸化学会 大会要旨集 3A17p10)。実施例10 チロシナーゼ阻害活性の確認 実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物を用いてチロシナーゼ阻害活性を測定した。その測定方法を下記に示す。(a)反応試薬 ・チロシン溶液(0.5mg/mL):チロシン25mgを蒸留水にて50mLにメスアップし、測定に使用した。 ・チロシナーゼ溶液(2500U/mg):マッシュルーム由来のチロシナーゼ(2500U/mg)6mgを蒸留水にて100mLにメスアップし、測定に使用した。 ・1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8):リン酸二水素カリウム0.9072g蒸留水にて100mLに、リン酸水素ナトリウム2.3876gを蒸留水にて100mLにメスアップした。次に、各々等量を混合した後、pHが6.8であることを確認し測定に使用した。 ・50v/v%エタノール溶液:エタノールおよび蒸留水を等量混合し測定に使用した。(b)試料対象物の調製 実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物10mgを50v/v%エタノール溶液10mLに溶解し、原液とした。次にその原液を用いて、1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)にて0.005mg、0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.5mgの量になるよう希釈し、反応に使用した。(c)チロシナーゼ活性測定 下記の反応系を調製後、37℃で1時間インキュベートし、475nmの吸光度を測定した。対照(Ab)はチロシン溶液(0.5mL)、リン酸緩衝液(4.0mL)、チロシナーゼ溶液(0.5mL)を加え、5.0mLとする。一方、検体(At)はチロシン溶液(0.5mL)、リン酸緩衝液(2.0mL)、チロシナーゼ溶液(0.5mL)、各試験溶液(2.0mL)を加え5mLとする。(d)チロシナーゼ活性抑制率の算出は下記の計算式で求めた。 抑制率=(Ab−At)/Ab×100また、試験対象物のチロシナーゼ50%抑制濃度(IC50)を算出した。 サツマイモ茎葉抽出物のチロシナーゼ阻害活性を美白作用が知られるコウジ酸やアスコルビン酸と比較して測定した。その結果を表5に示した。 表5からサツマイモ茎葉抽出物のチロシナーゼ活性抑制作用について、in vitroによるチロシナーゼ活性測定を行ったところ、0.05mgでチロシナーゼ活性抑制率が66.40%とコウジ酸、アスコルビン酸と比較して高い活性を示した。また抑制率の結果からは、IC50は0.037mgと推定された。実施例11 糖吸収抑制効果の確認 実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物を用いて動物実験で糖の吸収抑制作用について、グルコース投与による糖負荷試験を行った。試験の材料と方法を下記に示す。(a)供試動物 種:ラット、系統:SD、性別:オス、入荷時週齢:4週齢(b)試験群の設定 コントロール群:5匹、30mg/kg投与群:5匹(c)試験項目および方法 ・体重については、予備飼育期間中のみ毎日午前10から11時の間に測定した。なお、糖負荷試験は前日の体重を考慮して、4群に群分けを行った。 ・サツマイモ茎葉抽出物は蒸留水にて各濃度に調製し、胃ゾンデを用いて経口投与した。 ・糖負荷試験は、試験前日より18時間絶食後、グルコースを2g/kg経口投与し、投与前(0分)、投与後30、60、90、120分に眼窩静脈叢より採血し、血糖測定機を用いて測定した。なお、サツマイモ茎葉抽出物はグルコース負荷30分前に投与した。また、各測定値をもとに120分間のΔ血糖面積値(AUC:mg/dL・hr)を下記の計算式より算出した。 計算式 AUC(0−T4)=C1T1/2+(C1+C2)(T2−T1)/2+(C2+C3)(T3−T2)/2+(C3+C4)(T4−T3)/2 C1:0分から30分時の血糖上昇値 C2:0分から60分時の血糖上昇値 C3:0分から90分時の血糖上昇値 C4:0分から120分時の血糖上昇値 T:経過時間(hr) T1:0.5hr、T2:1.0hr、T3:1.5hr、T4:2.0hr ・統計処理として、試験結果は平均値±標準誤差で表し、有意差検定はStudent’s−t testを用い、」対照群に対しp<0.05で有意とした。 サツマイモ茎葉抽出物の糖負荷試験の結果について表6に示した。 表6の結果を、グラフとして図4に示す。グルコース投与30分後において、すべての群で血糖値が最も上昇したが、サツマイモ茎葉抽出物投与群は対照群と比較して有意な上昇抑制が認められた。60分後においても、対照群に対して低値を示し、有意差も認められた。グルコース負荷120分間のΔ血糖面積値(AUC:mg/dL・hr)では、対照群が最も高い値を示し、サツマイモ茎葉抽出物投与群は有意に低値を示した。以上により、サツマイモ茎葉抽出物の糖吸収抑制作用が確認された。 さらに、上記と同様の条件で、血糖上昇抑制効果について、グアバ葉抽出物との比較試験を行った。試験群は、サツマイモ茎葉抽出物30mg/kg群、100mg/kg群、グアバ葉抽出物100mg/kg群および対照群とし、ラット各5匹で行った。各試験対象物は生理食塩水にて調製し、対照群は生理食塩水のみの投与とした。 上記と同様、試験対象物を投与後、グルコース2g/kg経口投与して、上記と同様の採血スケジュールで採血を行い、血糖値を測定した。各測定値をもとに経時的な血糖濃度のグラフを図5に示した。 グルコース投与30分後において、全ての群で血糖値が最も上昇したが、サツマイモ茎葉抽出物群およびグアバ葉抽出物群は、対照群と比較して血糖値上昇の直線の傾きが緩やかであり、各群とも糖吸収を抑制していることが推認された。サツマイモ茎葉抽出物30mg/kg群は、グアバ葉抽出物100mg/kg群と同程度の血糖値の推移を示し、サツマイモ茎葉抽出物の30mg/kg群と100mg/kg群とでは、用量依存的に血糖値上昇抑制を示した。以上より、サツマイモ茎葉抽出物は、グアバ葉抽出物と比較して、より強力な血糖上昇抑制作用を有していることが示唆された。実施例12 脂肪吸収抑制作用の確認 実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物を用いて動物実験で脂肪吸収抑制作用について、大豆油投与による脂肪負荷試験を行った。試験の材料と方法を下記に示す。(a)供試動物 種:ラット、系統:SD、性別:オス、入荷時週齢:4週齢(b)試験群の設定 コントロール群:5匹、30mg/kg投与群:5匹(c)試験項目および方法 ・体重については、予備飼育期間中のみ毎日午前10から11時の間に測定した。なお、脂肪負荷試験は前日の体重を考慮して、4群に群分けを行った。 ・サツマイモ茎葉抽出物は蒸留水にて各濃度に調整し、胃ゾンデを用いて経口投与した。 ・脂肪負荷試験は、試験前日より18時間絶食後、植物(大豆)油を2g/kg経口投与し、投与前(0分)、投与後30、60、120、180、240、300分に眼窩静脈叢より採血した。その血液は遠心分離(4℃、3000rpm、20分)して血漿を採取し、市販キットを用いてトリグリセライド濃度を測定した。なお、サツマイモ茎葉抽出物は植物油投与直前に投与した。また、各測定値をもとに300分間のΔ中性脂肪面積値(AUC:mg/dL・hr)を下記の計算式より算出した。 計算式 AUC(0−T4)=C1T1/2+(C1+C2)(T2−T1)/2+(C2+C3)(T3−T2)/2+(C3+C4)(T4−T3)/2+(C4+C5)(T5−T4)/2+(C5+C6)(T6−T5)/2 C1:0分から30分時の中性脂肪上昇値 C2:0分から60分時の中性脂肪上昇値 C3:0分から120分時の中性脂肪上昇値 C4:0分から180分時の中性脂肪上昇値 C5:0分から240分時の中性脂肪上昇値 C6:0分から300分時の中性脂肪上昇値 T:経過時間(hr) T1:0.5hr、T2:1.0hr、T3:2hr、T4:3hr、T5:4hr、T6:5hr ・統計処理として、試験結果は平均値±標準誤差で表し、有意差検定はStudent’s−t testを用い、」対照群に対しp<0.05で有意とした。 サツマイモ茎葉抽出物の脂肪負荷試験の結果について表7に示した。 表7の結果を図6に示す。植物油投与60分において、サツマイモ茎葉抽出物投与群は血中中性脂肪濃度の上昇傾向は認められるものの、対照群に対し有意に低値を示した。120分後では、対照群の60分時とほぼ同値であったが、サツマイモ茎葉抽出物投与群は低値を示しているものの、サツマイモ茎葉抽出物投与群はこの時点が最も上昇していることから、脂肪吸収の遅延作用があるものと推察される。 植物油投与180分、240分後では、サツマイモ茎葉抽出物投与群は対照群と比較して低い値を示し、180分時では有意差も認められた。300分後においては、群間差は認められなかった。以上からサツマイモ茎葉抽出物の脂肪吸収抑制作用が確認された他、吸収遅延作用も有する可能性が考えられる。 さらに上記と同様の条件で、脂肪吸収抑制作用について、緑茶抽出物(ポリフェノール含量30%)との比較試験を行った。試験群は、サツマイモ茎葉抽出物30mg/kg群、100mg/kg群、緑茶抽出物30mg/kg群および対照群とし、ラット各5匹で行った。各試験対象物は生理食塩水にて調製し、対照群は生理食塩水のみの投与とした。上記と同様、試験対象物を投与後、食後に植物(大豆)油を2mg/kg経口投与し、上記と同様の採血スケジュールで採血を行い、トリグリセmg/dL・hr)を上記のとおり計算し、図7に示した。 サツマイモ茎葉抽出物投与群および緑茶抽出物(ポリフェノール含量30%)投与群はいずれも対照群と比較して、大豆油の摂取により増加する血液中の中性脂肪の量を有意に低下させた。サツマイモ茎葉抽出物と緑茶抽出物の各30mg/kg投与群とを比較すると、サツマイモ茎葉抽出物のほうが、血液中の中性脂肪低下作用が大きいことが分かる。また、サツマイモ茎葉抽出物投与群では、用量依存的に中性脂肪の量を低下させた。以上より、サツマイモ茎葉抽出物は、緑茶抽出物と比較しても、より強力に中性脂肪吸収抑制作用を発揮していることが示唆された。実施例13 サツマイモ茎葉抽出物の毒性試験 実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物の単回投与による経口毒性を検討するため、0mg/kg(対照群)および2000mg/kgの用量で、各用量当たりSD系ラット雌雄各5匹に1回投与し、14日間観察した。投与液は所定量のサツマイモ茎葉抽出物を秤量し、媒体である2v/v%Tween80水溶液に懸濁させ、投与液とした。投与液は投与当日に一回調製した。観察・測定項目として、一般状態の観察(投与前、投与後30分、1、3、5時間、その後は1日1回、14日間観察)、体重測定(投与直前、第2,4,8,15日に電子上皿天秤を用いて測定)、病理学的検査(第15日に全例をチオペンタールナトリウムの腹腔内投与による麻酔下で腹大動脈を切断・放血し、安楽死させた後剖検)を行った。いずれの群でも死亡例は発現せず、観察期間中、何ら毒性症状も発現しなかった。また、剖検でもなんら異常所見は得られなかった。実施例14 サツマイモ葉抽出物を含有する飲料水(熱水抽出物)の作製 焙煎工程を加えることによって、サツマイモ茎葉抽出物の抗酸化性を保持した範囲でサツマイモ茎葉抽出物の味を整えることができる。焙煎する温度や時間を調節することにより、焙煎の程度を調節することが可能である。 サツマイモ葉(乾燥物)を裁断機にてカットし、鍋にて中程度(2分30秒)に焙煎後、熱水(80℃)に20分浸漬し、サツマイモ葉抽出物を含有する飲料水を作成した。シロユタカは葉が大きく、さらに乾燥重量も大きいことから、焙煎等の工程においても扱いやすかった。焙煎工程を経ることによって、焙煎しない場合と比較して、飲料水(サツマイモ茎葉抽出物)に香ばしい香りと味を付与することができた。これはサツマイモ葉に含まれるクロロゲン酸の分解産物であるキナ酸が生じたことも、その一因であると考えられる。また、抽出する水の温度によっても微妙に味や香りを変化させることができる。焙煎したサツマイモ茎葉は本発明の抽出原料として使用することも可能であるが、例えばティーパックに焙煎したサツマイモ茎葉を4グラムずつ包装し、およそ2リットルのお湯に浸漬することで手軽に飲料水(サツマイモ茎葉抽出物)を得ることができ、サツマイモ茎葉抽出物の様々な優れた効果を発揮することのできる、香り、味とも良好な飲料水を製造することができる。実施例15 サツマイモ茎葉抽出物の変異原性試験(1)エームス試験 医薬品遺伝毒性試験ガイドラインに準拠した「エームス試験」により試験管内での変異原性の効果判定を行った。検定菌として,Salmonella typhimurium(TA100,TA98,TA1535,TA1537)およびEscherichia coli(WP2uvrA/pKM101)の5菌株を用いた。実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物(被験検体)5000μg/プレートを最高用量とし、S9mix添加、無添加群、各6段階(1.22〜500)にて用量反応性試験を行ったが、菌の生育阻害は見られなかったため、本試験でも5000μg/プレートを最高用量として5用量を設定して実施し、各濃度での復帰突然変異コロニー数を測定した。その結果、Ames試験の判定法に準じ、いずれの検定菌においてもS9mixの有無にかかわらず変異原性は陰性と判断された。(2)小核試験 医薬品遺伝毒性試験ガイドラインに準拠した「げっ歯類を用いた小核試験」により、サツマイモ茎葉抽出物の生体内での変異原性の効果判定を行った。実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物(被験検体)500、1000および2000mg/kgを、雄性ラット(7週令、5匹/群)に各用量3例を用いて2回強制経口投与(24時間間隔)した結果、いずれの群においても死亡は認められず、一般状態にも変化はなかった。したがって、本試験では被験検体については同じ濃度とし、陽性対象にシクロホスファミド10mg/kg、陰性対象に生理食塩水を加えて実施することとした。最終投与24時間後、被験動物の大腿骨より骨髄細胞を採取して組織標本を作製した。全赤血球中の小核を持つ赤血球の割合を定法にて測定し、統計処理を施した結果、被験検体に関して小核の出現頻度は統計学的に有為でなく変異原性は陰性と判断された。 以上より、いずれの試験においても、サツマイモ茎葉抽出物の変異原性は陰性という結果であり、サツマイモ茎葉抽出物の摂取によって突然変異を起こす可能性は低く、極めて安全性が高いことが示唆された。実施例16 サツマイモ茎葉抽出物の脱臭効果試験 ヒトやペットの口臭、体臭、便臭等の原因物質に対する消臭効果を検討した。(1)300mlのコニカルビーカーに100ml純水にアンモニア、トリメチルアミン、メルカプタンを添加し、アルミホイルで蓋をした。(2)ヘッドスペース部を各成分の濃度を検知管にて測定し、実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物を1g入れ攪拌し、ヘッドスペース部の各成分の濃度を検知管にて測定した。 測定結果を図8に示した。アンモニア、トリメチルアミンはサツマイモ茎葉抽出物を添加した直後に臭気は感じられず、濃度も検出限界以下となった。また、メチルメルカプタンについては、サツマイモ茎葉抽出物添加直後に部分的に分解され、減臭効果が認められた。以上より、サツマイモ茎葉抽出物は異なる種類の臭気に対しても脱臭効果を発揮することが示唆された。サツマイモ茎葉抽出物は本発明の安全性試験によって、生体に対して極めて安全性が高いことが確認されていることから、ヒトやペットの口臭、体臭、便臭に対する消臭、飲食品の消臭等にも使用することができ、脱臭効果を有する物質の中でも、極めて幅広い応用範囲で使用可能な物質であるといえる。実施例17 ラット白色脂肪細胞を用いた脂肪細胞分化および肥大化抑制試験 脂肪細胞の増加抑制効果を調べるため、in vitroにおけるラット腸間膜由来白色脂肪細胞の分化および肥大化抑制試験を行った。ラット白色脂肪細胞の脂肪細胞分化および肥大化抑制の観察 ラット白色脂肪細胞キット((株)セルガレージ)の脂肪細胞を使用し、操作は全て通常の方法に従い行った。まず、脂肪細胞を増殖用培地中で5%CO2下24時間インキュベーションを行った。脂肪細胞が2×105cells/wellになるように24wellプレートに播種し、24時間インキュベーションした後、分化誘導培地に交換し、5%CO2下48時間インキュベーションした。さらに脂肪細胞維持培地に交換した後、各試験対象物として、実施例4で得たサツマイモ葉抽出物100μg/mL、緑茶抽出物(90%カテキン)100μg/mLを培地中の脂肪細胞に添加し、何も添加しないものをコントロールとして、5%CO2下インキュベーションをし、24hごとに細胞の状態を観察した。 各群の脂肪細胞の24時間後、72時間後、96時間後における状態を図9に示した。その結果、サツマイモ茎葉抽出物および緑茶抽出物は両者ともコントロールと比較して、全ての時間にわたり、顕著に脂肪細胞の脂肪滴の蓄積および脂肪細胞の肥大化を抑制した。サツマイモ茎葉抽出物と緑茶抽出物とを比較すると、24時間後には緑茶抽出物のほうが脂肪滴の蓄積はやや少ないものの、48時間後(データは示さない)および72時間後には両者同等となり、96時間後は両者同等か、もしくはわずかにサツマイモ茎葉抽出物のほうが脂肪細胞の肥大化を抑制した。以上より、サツマイモ茎葉抽出物は、緑茶エキスと比較しても、ほぼ同等か、それ以上の脂肪細胞の分化および肥大化抑制効果効果を有することが分かった。従って、本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、脂肪細胞の分化および肥大化が原因となって生じる肥満の予防・治療剤として利用できる可能性が示唆された。実施例18 マウス強制水泳法による抗うつ作用および抗疲労作用の検討 マウス強制水泳法により、サツマイモ茎葉抽出物の抗うつ作用および抗疲労作用の検討を行った。 マウス(BALB/c系統・雄・7週齢)は、本試験開始前日まで7日間予備飼育を行い馴化した。予備飼育終了2日前に供試動物を5分間強制遊泳させ、試験対象物投与前の遊泳状態が均一になるようにスクリーニングを行い、予備飼育最終日の体重も考慮して、供試動物6匹ずつ群分けを行い、本試験を開始した。試験群は、実施例4で得たサツマイモ葉抽出物 30mg/kg群、300mg/kg群、セントジョーンズワート300mg/kgおよび対象群とした。各試験対象物は生理食塩水にて調製し、胃ゾンデを用いて強制経口投与(10mL/kg)した。なお、コントロール群については、生理食塩水を同様に強制経口投与(10mL/kg)した。試験対象物を投与してから、1時間後に10Lの温水(37℃)を満たしたアクリル製水槽(350×400×180mm)中で遊泳させ、遊泳状態を観察した。判定は、下記基準に準拠して持続時間を測定した。判定基準 EDB(escape directed behavior): 水槽より跳び出ようとする行動、あるいは潜水して出口を捜し求めるような行動 IMO(immobility): ほとんどの動きを停止し、単に浮遊しているだけの状態 各群のEDBおよびIMO時間の平均値を図10に示した。サツマイモ茎葉抽出物およびセントジョーンズワート抽出物投与群は、コントロール群に対してEDBの有意な延長とIMOの有意な短縮が認められた。また、サツマイモ茎葉抽出物投与群については濃度依存的な効果を示し、サツマイモ茎葉抽出物300mg/kg群はセントジョーンズワート300mg/kg群とほぼ同等の効果がみられた。セントジョーンズワートは、気分をリラックスさせ、ストレスに効果のあるハーブとして広く知られ、ドイツでは、軽〜中等度のうつ症状に対して、実際に抗うつ薬として使用されている。サツマイモ茎葉抽出物群はセントジョーンズワート群と同様に、強制的な運動負荷や精神的ストレスに対して有効であったことから、サツマイモ茎葉抽出物は、単回経口投与でも十分に、精神的および肉体的なストレス、疲労に対して有効であり、セントジョーンズワートとほぼ同等の、抗うつ作用、抗ストレス作用、リラックス作用を有することが示唆された。実施例19 油脂安定性試験 実施例4で得たサツマイモ茎葉抽出物をビタミンEフリーの豚脂3gに対し、それぞれ200ppm、1000ppmとなるように添加し、試料液とした。乾燥空気流量20L/hr、温度120℃下、試料液を自動油脂安定性試験装置(CDM試験装置)により、油脂の変敗開始時間を求めた。 サツマイモ茎葉抽出物の濃度における変敗時間を図11に示した。サツマイモ茎葉抽出物は、0ppmで1.6時間であった変敗時間を、200ppmで豚脂の変敗時間を2倍(3.3時間)に延長し、1000ppmで3倍(5時間)に延長した。以上より、サツマイモ茎葉抽出物は、豚脂・ラードなどの動物脂質を使用する加工食品(フライドポテトやスナック、カップ麺等)をはじめ、その他様々な油脂類に添加し、油脂の劣化防止に応用できる可能性が示唆された。実施例20 サツマイモ茎葉抽出物を用いた製剤の作製本発明のサツマイモ茎葉抽出物を用いて、下記の3種類の製剤を作製した。(1)顆粒剤の作製下記の表8のとおり、サツマイモ茎葉抽出物を終濃度5%となるように各種賦形剤と混合し、合計2kgの原料を適量の水を加えて練合の上、噴霧乾燥造粒機を用いて顆粒剤を作製した。製造した顆粒剤は2グラムごとにアルミ包装した。本品は携帯に便利であり、水溶性も良好であるため、用時100mL程度のお湯あるいは水に溶解することで美味しく飲料化することができた。本品は1包当たりサツマイモ茎葉抽出物100mgを含有する。(2)錠剤の作製下記の表9のとおり、サツマイモ茎葉抽出物1kgを終濃度20%となるように各種賦形剤と混合し、合計5kgの原料をもとに適量の水を加えて練合の上、打圧式の錠剤製造機を用いて1錠250mgの錠剤を作成した。本品は1錠当たりサツマイモ茎葉抽出物50mgを含有する。(3)グミの作製下記の表10のとおり、サツマイモ茎葉抽出物10gをグミ基剤1kgと加熱下混合し、糖度が80%程度になるまで煮詰める。クエン酸液ならびに果汁及び香料を加え、熱いうちに一粒5gに成型した(サツマイモ茎葉抽出物終濃度0.1%)。本品は1粒当たりサツマイモ茎葉抽出物5mgを含有する。 サツマイモ茎葉抽出物は、各製剤中への配合率を目的に応じて適宜増減することも可能であり、また、他の機能性素材、飲食品素材や香料と混合することも容易であることから、機能性素材としての取り扱い性に優れ、極めて応用範囲が広いことが分かった。また、飲食品の素材としても同様に幅広く使用可能であるといえる。 本発明によれば、人体に種々の有益な活性を有するポリフェノール類を含有する水溶性サツマイモ茎葉抽出物を提供することができる。本発明のサツマイモ茎葉抽出物は、抗酸化活性、チロシナーゼ阻害活性、肝保護作用、糖や中性脂肪の吸収抑制作用等の活性又は作用を有するので、そのような機能・作用を有する機能性食品、機能性素材、医薬等として有用である。 また、本発明のポリフェノール含有サツマイモ茎葉抽出物の製造方法によれば、特別な材料や施設を用いることなく効率良くポリフェノール含有抽出物を得ることができる。 サツマイモ茎葉由来の水溶性抽出物であって、ポリフェノール含量が10%以上であることを特徴とするサツマイモ茎葉抽出物。 ポリフェノール含量が20%以上であることを特徴とする、請求項1記載のサツマイモ茎葉抽出物。 ポリフェノールの成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のサツマイモ茎葉抽出物。 ポリフェノール中のケルセチン−3−グルコシド含量が、サツマイモ茎葉抽出物中の1%以上であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のサツマイモ茎葉抽出物。 ポリフェノールの成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドおよび3,5−ジカフェオイルキナ酸を含有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のサツマイモ茎葉抽出物。 サツマイモ茎葉由来の水溶性抽出物であって、ポリフェノール成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドおよび3,5−ジカフェオイルキナ酸を含有することを特徴とするサツマイモ茎葉抽出物。 サツマイモ茎葉由来の水溶性抽出物であって、ポリフェノール成分として少なくともケルセチン−3−グルコシド、クロロゲン酸および3,5−ジカフェオイルキナ酸を含有することを特徴とするサツマイモ茎葉抽出物。 サツマイモ茎葉を含水有機溶媒により抽出する工程、前記抽出工程により得られた抽出液より有機溶媒を除去し水画分を得る工程を含んでなることを特徴とするポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物の製造方法。 前記工程後にポリフェノールを精製する工程をさらに含む、請求項8に記載の製造方法。 サツマイモ茎葉の乾燥、粉砕、加熱、焙煎のいずれか一つ、またはこれらを組合わせた工程を前段階として含む、請求項8または9に記載の製造方法。 含水有機溶媒がエタノールであって、含量が40〜90%であることを特徴とする、請求項8ないし10のいずれかに記載の製造方法。 エタノール含量が60%であることを特徴とする、請求項8ないし11のいずれかに記載の製造方法。 請求項8ないし12のいずれかに記載の製造方法により得ることのできるポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。 請求項8ないし12のいずれかに記載の製造方法により得ることのでき、ポリフェノール含量が10%以上であり、かつ当該ポリフェノールの成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドを含有することを特徴とする水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。 サツマイモ茎葉を水抽出する工程を経て得ることができる水溶性のサツマイモ茎葉抽出物であって、ポリフェノール含量が10%以上であり、当該ポリフェノールの成分として少なくともケルセチン−3−グルコシドを含有することを特徴とする水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。 サツマイモの品種が白甘藷に属するものであることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14または15に記載の水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。 サツマイモの品種がシロユタカであることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14、15または16に記載の水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。 サツマイモ茎葉抽出物の製造工程の前段階に、サツマイモ茎葉の乾燥、粉砕、加熱、焙煎のいずれか一つ、またはこれらを組合わせた工程を含む、請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14、15、16または17に記載の水溶性のサツマイモ茎葉抽出物。 ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14、15、16、17もしくは18に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする機能性飲食品。 抗酸化、肝保護、チロシナーゼ阻害、糖吸収抑制、中性脂肪吸収抑制、肥満の予防・改善、抗うつ、抗疲労、のうちのいずれか1以上の機能を有する請求項19に記載の機能性飲食品。 ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14、15、16、17もしくは18に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする機能性素材。 ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14、15、16、17もしくは18に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする医薬品。 抗酸化、肝保護、チロシナーゼ阻害、糖吸収抑制、中性脂肪吸収抑制、肥満の予防・改善、抗うつ、抗疲労、のうちのいずれか1以上の薬効を有する請求項22に記載の医薬品。 ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14、15、16、17もしくは18に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする抗酸化剤。 ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14、15、16、17もしくは18に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする消臭剤。 ポリフェノールを含有する水溶性のサツマイモ茎葉抽出物、または請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14、15、16、17もしくは18に記載のサツマイモ茎葉抽出物を有効成分とする油脂および油脂含有食品の劣化防止剤。 水溶性のサツマイモ茎葉抽出物を、ポリフェノール含量として0.01mg/ml〜30mg/ml含有する飲料水。 請求項1、2、3、4、5、6、7、13、14、15、16、17または18に記載の水溶性のサツマイモ茎葉抽出物を含有する飲食品。 清涼飲料水、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料、油脂、加工食品、麺パン類、調味料、菓子類(水菓子、ゼリー、ヨーグルト、グミ)、または栄養補助食品である、請求項27または28に記載の飲食品。 本発明は、安価な原料から簡易な方法で、抗酸化活性、チロシナーゼ阻害活性、肝保護作用、糖や中性脂肪の吸収抑制作用などの各種生理作用を有するポリフェノール含有抽出物を得ることを目的とする。具体的には、上記課題は、サツマイモ茎葉から得られるポリフェノール含有水溶性サツマイモ茎葉抽出物、その製造方法、上記サツマイモ茎葉抽出物を含有する機能性食品、機能性素材、抗酸化剤、肝保護剤、チロシナーゼ阻害剤、糖吸収抑制剤、中性脂肪吸収抑制剤などによって達成される。