タイトル: | 再公表特許(A1)_内因性メラトニン分泌リズム改善用機能性食品、及び概日リズム改善用機能性食品 |
出願番号: | 2005006244 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 35/20,A61P 25/00,A61P 25/20,A61P 43/00,A23L 1/305,A23L 1/30 |
森山 芳則 坪井 誠二 増山 明弘 高野 俊明 上野 敬太 甲斐 俊幸 JP WO2005094849 20051013 JP2005006244 20050331 内因性メラトニン分泌リズム改善用機能性食品、及び概日リズム改善用機能性食品 カルピス株式会社 000104353 酒井 一 100081514 蔵合 正博 100082692 森山 芳則 坪井 誠二 増山 明弘 高野 俊明 上野 敬太 甲斐 俊幸 JP 2004106153 20040331 JP 2004166498 20040604 A61K 35/20 20060101AFI20080118BHJP A61P 25/00 20060101ALI20080118BHJP A61P 25/20 20060101ALI20080118BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080118BHJP A23L 1/305 20060101ALI20080118BHJP A23L 1/30 20060101ALI20080118BHJP JPA61K35/20A61P25/00A61P25/20A61P43/00 111A23L1/305A23L1/30 Z AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20080214 2006511785 14 4B018 4C087 4B018LB07 4B018LB08 4B018LE05 4B018MD20 4B018MD86 4B018ME14 4B018MF10 4B018MF13 4C087AA01 4C087AA02 4C087AA03 4C087BB39 4C087BC56 4C087CA10 4C087MA22 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZA01 4C087ZA05 4C087ZC02 本発明は、睡眠障害や入眠潜時障害等の予防又は改善等が期待できる内因性メラトニン分泌リズム改善用機能性食品、概日リズム改善用機能性食品、これらの食品の有効成分原料や、内因性メラトニン分泌リズム異常や、概日リズム異常に起因する各種障害を予防又は改善しうる内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤、及び概日リズム改善剤に関する。 現代人は、最近の科学技術の高度化・複雑化に加えて社会情勢のめまぐるしい変化により、生活習慣が不規則になることが多い。特に、24時間型社会の到来に伴い、不規則な生活様式を強いられることで、睡眠異常等の概日リズム障害やその要因の1つとして考えられる内因性メラトニン分泌リズムの異常が問題となっている。 この概日リズム同調機能は、視床下部の視交叉上核(suprachiasmatic nucleus:SCN)に存在することが確認されている。視交叉上核により制御される概日リズムの代表的な物質として、主に松果体から分泌されるメラトニン(N-アセチル-5-メトキシトリプタミン)等が知られている。メラトニンはトリプトファンからセロトニンを介し、NAT(N-アセチルトランスフェレース)を律速酵素として合成されるホルモンである。該ホルモンは、光周期性哺乳動物に対して光周期性情報の導入に関与し、生殖、体重、代謝調節、および概日リズムの制御、並びに神経、内分泌機能に影響を与えると考えられている。また、松果体のメラトニン分泌レベルは昼間に低く、夜間に高いという動態を示すことから睡眠関連物質の一つとしても考えられている。 睡眠障害や概日リズム障害の患者のメラトニン分泌リズムは、健常者と比較し振幅が減少、あるいは位相が前進又は遅延することが知られている。 このような概日リズム障害やメラトニン分泌リズム障害を克服し、睡眠障害の治療や予防を行なう方法として、外因性メラトニンを投与する方法が知られている。例えば、特許文献1には、外部からメラトニンを経口摂取し、メラトニンリズムを人為的に調整することにより、入眠潜時遅延、不眠、寝起き不良、時差ボケ、昼夜逆転現象等を伴う、非24時間睡眠・覚醒症候群、時差症候群、後退勤務症候群、睡眠相遅延症候群等に対する有効性が報告されている。 しかし、メラトニン製剤の投与については、外因性メラトニン製剤自身の副作用も含めた安全性が完全に保証されるには至っていない。 ところで、特許文献2には、非病原性乳酸菌の細胞壁から加水分解されるムラミルペプチドを有効成分とした睡眠の質を改善するための組成物が提案されている。しかし、この文献に示される睡眠の質の改善は、免疫系からの睡眠の誘発による非急速眼球運動睡眠相の長さを増すことによるものであって、内因性メラトニン分泌リズムの改善とは全く異なる睡眠の質の改善である。特表平8−502259号公報特表2003−517828号公報 本発明の課題は、日常的に連用可能で、安全性に優れ、内因性メラトニン分泌リズム障害や概日リズム障害を、外因性メラトニンを摂取することなく有効に予防又は改善しうる内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤、及び概日リズム改善剤を提供することにある。 本発明の別の課題は、日常的に連用可能で、安全性に優れ、内因性メラトニン分泌リズム障害や概日リズム障害が要因となりうる睡眠障害や入眠潜時障害等の各種症状を、外因性メラトニンを摂取することなく、予防又は改善することが可能な特定保健食品等の機能性食品を提供することにある。 本発明によれば、ホエーを有効成分として含む内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤が提供される。 また本発明によれば、ホエーを有効成分として含む概日リズム改善剤が提供される。 更に本発明によれば、前記内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤を含む、睡眠障害の予防又は改善、入眠潜時障害の予防又は改善等の内因性メラトニン分泌リズム改善用機能性食品が提供される。 更にまた本発明によれば、前記概日リズム改善剤を含む、睡眠障害の予防又は改善、入眠潜時障害の予防又は改善等の概日リズム改善用機能性食品が提供される。 また本発明によれば、ホエーを有効成分として含む内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤を、内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強が必要な動物に有効量経口投与する、内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強方法。 更に本発明によれば、ホエーを有効成分として含む概日リズム改善剤を、概日リズム改善が必要な動物に有効量経口投与する、概日リズム改善方法。 更にまた本発明によれば、内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤若しくは、内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強用の機能性食品を製造するためのホエーの使用が提供される。 また本発明によれば、概日リズム改善剤又は概日リズム改善用の機能性食品を製造するためのホエーの使用が提供される。 本発明の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤、並びに概日リズム改善剤は、食経験のあるホエーを有効成分とするので、日常的に連用可能で、安全性に優れ、これらリズムの異常に起因すると考えられる非24時間睡眠・覚醒症候群、時差症候群、後退勤務症候群、睡眠時無呼吸症候群、中高年期睡眠障害等の睡眠障害や入眠潜時障害等の予防又は改善が期待できる。 本発明の機能性食品は、前記本発明の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤、若しくは概日リズム改善剤を含むので、睡眠障害や入眠潜時障害等の各種症状を、外因性メラトニンを摂取することなく、予防又は改善することができる。実施例1及び2における、12時の松果体中メラトニン濃度を群間で比較したグラフである。実施例1及び2における、0時の松果体中メラトニン濃度を群群で比較したグラフである。実施例3及び4における、12時の松果体中のNAT活性を群間で比較したグラフである。実施例3及び4における、0時の松果体中のNAT活性を群間で比較したグラフである。 以下、本発明につき更に詳細に説明する。 本発明の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤は、内因性メラトニン分泌リズム障害に起因する各種障害を予防又は改善でき、該リズムの位相の調整作用、又は振幅増強作用の少なくとも一方の作用を示すものであり、有効成分としてホエーを含む。 本発明の概日リズム改善剤は、概日リズム障害に起因する各種障害を予防又は改善できる作用を示すものであり、有効成分としてホエーを含む。 前記有効成分としてのホエーは、乳から、カゼインタンパク質等を常法に従って全部若しくは大部分除去して得られる水分画分を含むものであって、酸性ホエー及び/又はチーズホエー等が挙げられる。酸性ホエーとしては、乳酸菌を利用して発酵により得られる発酵ホエー、乳に酸を加えてカゼインタンパク質等を常法に従って全部若しくは大部分除去して得られる水分画分を含むカゼインホエー等が挙げられ、特に、内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強作用、若しくは概日リズム改善作用に優れる点で発酵ホエーを含むことが好ましい。 前記発酵ホエーは、通常、乳を乳酸菌で発酵、または乳酸菌と酵母で共生発酵する方法等により得られる発酵ホエー等が挙げられる。原料の乳としては、例えば、牛乳、山羊乳、羊乳等の獣乳;豆乳等の植物乳;これらの加工乳である脱脂乳、還元乳、粉乳、コンデンスミルク等が挙げられる。使用に際しては混合物として用いることができる。 乳の固形分濃度は特に限定されないが、例えば、脱脂乳を用いる場合の無脂乳固形分濃度は、9質量%程度が最も良く用いられる。しかし、設備あたりの生産量を考慮した場合、無脂乳固形分濃度をある程度高くすることも可能である。発酵乳生産時に得られる発酵ホエーは、他の乳成分と分離して使用できる他、後述する機能性食品等とする場合には、必ずしも他の乳成分を分離する必要はない。 前記乳酸菌としては、ストレプトコッカス属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属等に属する乳酸菌が挙げられるが、ラクトバチルス属が好ましい。具体的には、例えば、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)等が挙げられ、特に、ラクトバチルス・ヘルベティカスが好適に使用できる。更に具体的には、ラクトバチルス・ヘルベティカスATCC 15009、ラクトバチルス・ヘルベティカスATCC 521、ラクトバチルス・ヘルベティカスCM4株(経済産業省産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所 特許生物寄託センター 寄託番号:FERM BP−6060,寄託日1997.8.15)(以下、CM4株と称す)が挙げられ、特にCM4株が好適である。このCM4株は、特許手続上の微生物寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に上記寄託番号で登録されており、この株が特許されることにより、第三者が入手できない制限が全て取り除かれる。 前記乳酸菌は、あらかじめ前培養しておいた十分に活性の高いスターターとして用いることが好ましい。初発菌数は、好ましくは105〜107個/ml程度である。 前記発酵ホエーを、特定保健用食品等の機能性食品として利用する場合に、風味を良好にし、嗜好性を良好とするために、前記発酵時に酵母を併用することができる。酵母の菌種は特に限定されないが、例えば、サッカロマイセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロマイセス属酵母等が好ましく挙げられる。酵母の含有割合は、その目的に応じて適宜選択することができる。 発酵方法としては、前記乳酸菌の1種もしくは2種以上を培地に培養するか、または前記乳酸菌の1種もしくは2種以上と前記酵母の1種もしくは2種以上とを混合して培地に培養することができる。培地としては、前記乳成分の1種もしくは2種以上のみからなる培地、またはこれらに副次的成分として酵母エキス、アスコルビン酸等のビタミン類、システイン等のアミノ酸、塩化ナトリウム等の塩類、グルコース、シュークロース、ラフィノース、スタキオース等の糖類、ゼラチン等の安定剤、フレーバー等を適宜添加した培地を用いることができる。 発酵は、通常静置若しくは撹拌培養により、例えば、発酵温度20〜50℃、好ましくは30〜45℃、発酵初発pH6.0〜7.0の条件等で行い、菌数が107個/ml以上、pH5.0以下になった時点で培養を停止する方法等により行なうことができる。また、発酵前の乳は、高温加熱殺菌等が施されていても良い。 得られる発酵ホエーは、通常の分離操作によりカードから分離して得ることができる。また、有効成分としての発酵ホエーを後述する機能性食品に用いる場合には、必要に応じて発酵ホエーを分離せずに該ホエーを含む発酵乳をそのまま用いることができる他、分離操作の程度を適宜決定することができる。 前記カゼインホエーは、前記全乳又は脱脂乳等の固形物の場合には蒸留水に溶解した乳に、例えば、乳酸、クエン酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、グルコン酸、アジピン酸等を加えて、主にカゼイン等のタンパク質を除去する酸度に調整した後、膜処理等の常法に従ってホエー分(水分画分)を分離することにより得られる。この際、酸を加える前の乳は、高温加熱殺菌等が施されていても良い。また、酸の混合割合は、酸の種類等に応じて、通常、酸度が1.0〜4.0%となるような割合で混合することができる。 前記チーズホエーは、通常のチーズ製造時等におけるレンネットによってカード凝固させた後に、該カードを、遠心分離等を用いてホエー分を分離することにより得られる。この際、レンネットによる処理前の乳は、高温加熱殺菌等が施されていても良い。 本発明の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤や概日リズム改善剤における有効成分としての酸乳ホエーの投与量は、継続性を考慮した場合特に限定されないが、いずれの場合も、凍結乾燥粉末として通常0.001g/体重kg/日以上、好ましくは0.01g/体重kg/日以上である。また、本発明の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤や概日リズム改善剤には、必要によりホエー以外の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強作用や概日リズム改善作用を有する他の成分を含有させることも可能である。 本発明の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤や概日リズム改善剤の形態は、ホエーそのまま、若しくはその処理物として、例えば、ホエーを減圧濃縮等で濃縮した濃縮物として、また、ホエーを凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理を行なって、乾燥した粉末の形態とすることもできる。 本発明の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤や概日リズム改善剤の投与は、通常、経口投与で行なうことができ、例えば、内因性メラトニン分泌リズム異常や概日リズム異常に起因する睡眠障害等の症状が生じた後であっても、また、そのような症状を予防する時期に継続して毎日、若しくは断続的に摂取することができる。 本発明の内因性メラトニン分泌リズム改善用機能性食品は、前記内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤を含み、本発明の概日リズム改善用機能性食品は、前記概日リズム改善剤を含む。 これら機能性食品としては、睡眠障害の予防や改善、入眠潜時障害の予防や改善等の内因性メラトニン分泌リズム異常や、概日リズム異常に起因する症状の予防や改善を訴求した特定保健用食品等の機能性食品が挙げられる。 前記機能性食品には、糖類、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、フレーバー、またはこれらの混合物等の添加物を添加することもできる。また、ホエーを分離する前のホエー以外の乳成分を更に含んでいても良い。 本発明の各機能性食品において、前記有効成分としてのホエーの配合割合は、食品の形態や種類に応じて適宜選択することができ、その機能性食品の摂取継続性等に応じて適宜選択することができ特に限定されないが、通常1〜100質量%の範囲が適当である。 前記各機能性食品の形態としては、例えば、ヨーグルト、乳酸菌飲料等の発酵乳製品、ホエー配合加工飲食品、乾燥粉末、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等が挙げられる。 本発明の各機能性食品は、投与量及び投与時期については特に限定されないが、前記有効成分の投与量程度で摂取することが好ましく、例えば、内因性メラトニン分泌リズム異常や、概日リズム異常に起因する睡眠障害等の症状が生じる前に継続的若しくは断続的に、更には、そのような症状が生じた後に、継続的又は断続的に摂取することが好ましい。 以下実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。 実施例1及び2 市販の脱脂粉乳を固形率9質量%となるように蒸留水で溶解し、オートクレーブで105℃、10分間、高温加熱殺菌した後、室温まで冷却し、予め培養しておいたCM4株のスターターを3質量%接種し、37℃、24時間培養を行って発酵乳を得た。この発酵乳を12000G、20分間遠心分離して固形分を除去し発酵ホエーを調製した。 また、市販の脱脂粉乳を固形率9質量%となるように蒸留水で溶解し、オートクレーブで105℃、10分間、高温加熱殺菌した後、室温まで冷却し、乳酸を酸度が2.2%となるように加えた。次いで、12000G、20分間遠心分離して固形分を除去することによりカゼインホエーを調製した。 得られた発酵ホエー(実施例1)又はカゼインホエー(実施例2)を蒸留水で10質量%になるよう希釈し、飲水として以下の動物試験に供した。また、コントロールとしてホエーを含まない蒸留水の対照区についても試験を行なった。 雄ウィスター系3週齢ラット51匹を1週間予備飼育した。予備飼育期間中は、固型飼料(商品名「MF」、オリエンタル酵母工業(株)製)と蒸留水を自由摂取させた。飼育中の1日の明暗周期は、8時から20時までを明期、その後12時間を暗期とした。予備飼育終了後、ラットを(1)蒸留水摂取群(コントロール)、(2)10質量%発酵ホエー摂取群(実施例1)、(3)10質量%カゼインホエー摂取群(実施例2)の3群に分け(1群17匹)、1ケ月間各飲料と固型飼料を自由摂取させ飼育した。本飼育1カ月後の12時に各群の各8匹を、0時に各群の残り9匹を屠殺し、脳内の松果体を摘出した。これらに0.1M過塩素酸を200μl添加しホモゲナイズした後、遠心分離して得た上清中のメラトニン量を測定した。また、沈殿物はタンパク質定量用に回収した。 メラトニン量の測定は、商品名「メラトニンEIAキット」(IBLハンブルク社製)を用いた。タンパク質定量はブラッドフォード法を用い、商品名「Bio-Rad Protein Assay」(Bio-Rad社製)を使用した。12時のメラトニン量の結果を図1に、0時のメラトニン量の結果を図2に示す。尚、有意差検定にはstudent-newman-keuls testを用いた。 図1及び図2の(1)蒸留水摂取群(コントロール)より、12時ではメラトニン濃度が低く、0時ではメラトニン濃度が高くなっており、昼間低く夜高いメラトニン動態が認められた。図1及び図2の(2)発酵ホエー摂取群及び(3)カゼインホエー摂取群では、(1)蒸留水摂取群と比べて、12時のメラトニン濃度が低く、0時のメラトニン濃度が高くなっていた。特に、(2)発酵ホエー摂取群では、12時では(1)蒸留水摂取群に比べ有意に低く(危険率p<0.05)、0時では(1)蒸留水摂取群(危険率p<0.05)及び(3)カゼインホエー摂取群(危険率p<0.01)に比べ有意に高くなっていた。 以上の結果から、発酵ホエー及びカゼインホエーを摂取することで、昼間低く夜高いメラトニン濃度動態が増強されることが示唆された。特に、発酵ホエー摂取では増強幅が大きく、より強い効果を持つことが示唆された。即ち、発酵ホエー又はカゼインホエーの摂取により内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強がなされる。増強幅は発酵ホエーがカゼインホエーより大きく、発酵させることにより、効果がより増強されることが示唆された。 実施例3及び4 雄ウィスター系3週齢ラット33匹を1週間予備飼育した。予備飼育期間中は、固型飼料(商品名「MF」、オリエンタル酵母工業(株)製)と蒸留水を自由摂取させた。飼育中の1日の明暗周期は、8時から20時までを明期、その後12時間を暗期とした。予備飼育終了後、ラットを実施例1及び2と同様に(1)〜(3)の3群に分け(1群11匹)、1ケ月間各飲料と固型飼料を自由摂取させ飼育した。本飼育1カ月後の12時に各群の各5匹を、0時に各群の残り6匹を屠殺し、脳内の松果体を摘出した。松果体中のNAT活性は、Thomas等の方法により測定した。 即ち、松果体に1.5mMアセチルCoAを含む0.25Mリン酸カルシウム緩衝液(pH7.5)100mlを加え、ホモジナイズし、この溶液を酵素溶液とした。酵素溶液30mlに1.5mMアセチルCoA及び20mMトリプトアミンを含む0.25Mリン酸カルシウム緩衝液(pH7.5)70mlを加え、37℃、30分間反応させた後、トルエン/イソアミルアルコール/1M HCl(99:0.66:0.33)溶液1mlを加えた。撹拌した後、500G、10分間遠心分離し、上層750mlを遠心エバポレーターにて乾固させた。移動相(0.1Mクエン酸、0.1M酢酸ナトリウム、35%メタノール(pH4.1))100mlを加えて撹拌した後、生成したN−アセチルトリプトアミンを蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフィーにて測定した。測定条件は、励起波長285nm、検出波長360nm、流速1ml/分、カラムWakosil-II 5C18 RS (4.6mm×150mm)で行なった。タンパク定量は、BSAを標準としてBradford法により測定した。 12時のNAT活性の結果を図3に、0時のNAT活性の結果を図4に示す。尚、有意差検定にはstudent-newman-keuls testを用いた。 図3及び図4から、12時のNAT活性に群間での差は認められなかったが、0時では、(2)発酵ホエー摂取群(実施例3)のNAT活性が、(1)蒸留水摂取群(コントロール)、(3)カゼインホエー摂取群(実施例4)と比較し有意に上昇(危険率p<0.01)していることが判明した。また、(3)カゼインホエー摂取群のNAT活性が、(1)蒸留水摂取群と比較し有意に上昇(危険率p<0.05)していることが判明した。この結果は、NATがメラトニン合成の律速酵素であることを考慮すると、実施例1及び2における松果体中のメラトニン濃度変動を支持していることが確認できた。 処方例1 実施例1で調製した発酵ホエーを含む発酵乳90質量%、飲用し易くする為に商品名「アスパルテーム」(味の素(株)製)0.05質量%、香料として「ヨーグルトフレーバーcw-3186」(長岡香料(株)製)0.05質量%、「ヨーグルトフレーバーDY4449」、「シュガーフレーバー ハセSF-5531」(長谷川香料(株)製)をそれぞれ0.1質量%ずつ、更に安定剤0.5質量%、及び蒸留水を9.2質量%の割合となるように各配合原料を混合し、ホモゲナイズした後90℃達温殺菌した。続いて100gずつ褐色瓶に熱時充填して、80℃、10分熱殺菌し酸乳飲料を調製した。 ホエーを有効成分として含む内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤。 ホエーが、酸性ホエー及びチーズホエーの少なくとも1種である請求項1記載の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤。 酸性ホエーが、乳を乳酸菌を含む菌株により発酵させて得られる発酵ホエーを含む請求項2記載の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤。 乳酸菌が、ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)乳酸菌である請求項3記載の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤。 ラクトバチルス属乳酸菌が、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)である請求項4記載の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤。 ラクトバチルス・ヘルベティカスが、ラクトバチルス・ヘルベティカス CM4株(経済産業省産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所 特許生物寄託センター寄託番号:FERM BP−6060)である請求項5記載の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤。 酸性ホエーが、乳に酸を加えて得られる水分画分を含むカゼインホエーである請求項2記載の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤。 ホエーを有効成分として含む概日リズム改善剤。 ホエーが、酸性ホエー及びチーズホエーの少なくとも1種である請求項8記載の概日リズム改善剤。 酸性ホエーが、乳を乳酸菌を含む菌株により発酵させて得られる発酵ホエーを含む請求項9記載の概日リズム改善剤。 乳酸菌が、ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)乳酸菌である請求項10記載の概日リズム改善剤。 ラクトバチルス属乳酸菌が、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)である請求項11記載の概日リズム改善剤。 ラクトバチルス・ヘルベティカスが、ラクトバチルス・ヘルベティカス CM4株(経済産業省産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所 特許生物寄託センター寄託番号:FERM BP−6060)である請求項12記載の概日リズム改善剤。 酸性ホエーが、乳に酸を加えて得られる水分画分を含むカゼインホエーである請求項9記載の概日リズム改善剤。 請求項1〜7のいずれか1項記載の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤を含む内因性メラトニン分泌リズム改善用機能性食品。 内因性メラトニン分泌リズム改善が、睡眠障害の予防又は改善、入眠潜時障害の予防又は改善である請求項15記載の機能性食品。 請求項8〜14のいずれか1項記載の概日リズム改善剤を含む概日リズム改善用機能性食品。 概日リズム改善が、睡眠障害の予防又は改善、入眠潜時障害の予防又は改善である請求項17記載の機能性食品。 日常的に連用可能で、安全性に優れ、内因性メラトニン分泌リズム障害や概日リズム障害を、外因性メラトニンを摂取することなく有効に予防又は改善しうる内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤、及び概日リズム改善剤、これらを用いた睡眠障害や入眠潜時障害等の各種症状を予防又は改善することが可能な機能性食品を提供する。本発明の内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤、及び概日リズム改善剤は、ホエーを有効成分として含み、本発明の内因性メラトニン分泌リズム改善用機能性食品は、前記内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤を含み、本発明の概日リズム改善用機能性食品は、前記概日リズム改善剤を含む。