タイトル: | 特許公報(B2)_蓚酸バリウムチタニル粉末の製造方法及びチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末の製造方法 |
出願番号: | 2005002415 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07C 51/41,C07C 55/07,C04B 35/46,C01G 23/00 |
田邉 信司 國田 肇 JP 4684657 特許公報(B2) 20110218 2005002415 20050107 蓚酸バリウムチタニル粉末の製造方法及びチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末の製造方法 日本化学工業株式会社 000230593 田邉 信司 國田 肇 20110518 C07C 51/41 20060101AFI20110421BHJP C07C 55/07 20060101ALI20110421BHJP C04B 35/46 20060101ALI20110421BHJP C01G 23/00 20060101ALN20110421BHJP JPC07C51/41C07C55/07C04B35/46 DC01G23/00 C C07C 51/41 C07C 55/07 C07F 7/28 C01G 23/00 C04B 35/46 特開平03−088720(JP,A) 特開2002−060219(JP,A) 特開2004−137115(JP,A) 6 2006188469 20060720 12 20071204 関 美祝 本発明は、特に、圧電体、オプトエレクトロニクス材料、誘電体、半導体、センサー等の機能性セラミックの原料として有用なバリウム元素の一部を他のアルカリ土類金属元素で置換した蓚酸バリウムチタニル粉末の製造方法及びこれを用いたチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末の製造方法に関するものである。 積層セラミックチップコンデンサ(MLCC)の誘電体層は、主原料であるチタン酸バリウムと微量の添加剤とから構成される多成分系の形をとることが一般的である。例えば、カルシウムは添加剤としてよく使用される成分であるが、チタン酸バリウムにおけるバリウムサイトへ置換固溶することで、誘電体の比誘電率の温度特性をなめらかにするディプレッサーとしての効果、あるいは焼結助剤となるガラスの成分として使用されることなどが知られている。 最近B特性系コンデンサにおいて、これまで一般的とされたシェルコア構造に対して新たな動きがあり、誘電体材料として微粒子Ba1-xCaxTiO3系材料が報告がされ、注目の対象となっている。 しかしながら、カルシウム等のアルカリ土類金属は複合化が難しい成分であり、実績があるのは固相法と一部ゾルゲル法である。 蓚酸塩前駆体法(以下、「蓚酸塩法」と呼ぶ)は、チタン酸バリウムの主要な製法の一つに挙げられる。これは、湿式合成された蓚酸塩前駆体を熱処理し、脱蓚酸することでチタン酸バリウムを合成する製法である。蓚酸塩法の最大の特徴は、前駆体結晶におけるバリウムとチタンの組成比(Ba/Ti比)の安定性にある。蓚酸塩法には、さらにいくつかのプロセスが報告されているが、工業的には塩化チタンと塩化バリウムの混合液を蓚酸水溶液に添加して反応を行う方法が一般的であり、また、この蓚酸塩法を用いてバリウム元素の一部を他の金属元素で置換した蓚酸バリウムチタニルを製造する方法も提案されている。例えば、塩化チタン、塩化バリウムの混合液に、置換する他のアルカリ土類金属化合物を含有させて、これを蓚酸水溶液に添加して反応を行う方法(例えば、特許文献1及び2参照。)等があるが、定量的に反応が進みにくいため工業的に有利でないという欠点がある。特開昭60−185303号公報、第3頁特開2003−212543号公報 従って、本発明の目的は、BaサイトでBaと置換する他のアルカリ土類金属元素の置換率が高い蓚酸バリウムチタニル粉末を工業的に有利に製造することができる方法及び該蓚酸バリウムチタニル粉末を用いたチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末の工業的に有利な製造方法を提供することにある。 本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、四塩化チタンと蓚酸を含有する溶液(a液)を、バリウム化合物とMeを含む化合物を含有する溶液(b液)に添加して反応を行うと反応性が向上し、BaサイトでBaと置換する他のアルカリ土類金属元素の置換率が高い蓚酸バリウムチタニル粉末を工業的に有利に製造することができることを見出し本発明を完成するに至った。 即ち、本発明が提供しようとする第1の発明は、下記一般式(1)(式中、MeはCa、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を示す。xは0<x≦0.2の値をとる。)で表わされるバリウム元素の一部を他のアルカリ土類金属元素で置換した蓚酸バリウムチタニルの製造方法であって、四塩化チタンと蓚酸を含有する溶液(a液)を、バリウム化合物とMeを含む化合物を含有する溶液(b液)に添加し反応を行うことを特徴とする蓚酸バリウムチタニル粉末の製造方法である。 また、本発明が提供しようとする第2の発明は、前記第1の発明の蓚酸バリウムチタニル粉末を仮焼することを特徴とするチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末の製造方法である。 本発明の製造方法によれば、BaサイトでBaと置換する他のアルカリ土類金属元素の置換率が高い蓚酸バリウムチタニル粉末を工業的に有利に製造することができる。また、該蓚酸バリウムチタニル粉末を原料として用いることによりBaサイトでBaと置換した他のアルカリ土類金属元素の置換率が高いチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末を工業的に有利に製造することができる。 以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。 本発明の製法で対象とする蓚酸バリウムチタニル粉末は、下記一般式(1)(式中、MeはCa、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を示す。xは0<x≦0.2の値をとる。)で表わされるバリウム元素の一部を他のアルカリ土類金属元素で置換した蓚酸バリウムチタニルの製造方法であり、その製造方法は、四塩化チタンと蓚酸を含有する溶液(a液)を、バリウム化合物とMeを含む化合物を含有する溶液(b液)に添加し反応を行うことを特徴とし、特に本発明の製法において前記一般式(1)の式中のMeがCaであると誘電体セラミックのベース材料としての温度特性をフラットにする効果を有する点で特に好ましい。 本発明で用いる前記四塩化チタンと蓚酸を含有する溶液(a液)は、四塩化チタンと蓚酸を水に溶解した水溶液である。前記a液中のTiと蓚酸のモル比(Ti/蓚酸)は0.45〜0.55、好ましくは0.49〜0.51であり、具体的なa液の組成は、塩化チタンをTiとして0.1〜1モル/L、好ましくは0.6〜0.7モル/L、蓚酸が0.2〜2モル/L、好ましくは1.2〜1.4モル/Lとすることが安定した品質のものを高収率で得ることができる点で特に好ましい。 一方、バリウム化合物とMeを含む化合物を含有する溶液(b液)はバリウム化合物と前記一般式(1)の式中のMeに相当する金属元素(Me)を含む化合物を水に溶解又は分散させた溶液である。 用いることができるバリウム化合物としては、例えば炭酸バリウム、水酸化バリウム、塩化バリウム、酢酸バリウム又は硝酸バリウム等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いることができる。 一方、用いることができるMeを含む化合物は、Ca、Sr及びMgの群から選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を含む水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩又は塩化物等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いることができる。 本発明の蓚酸バリウムチタニルの製造方法において、前記バリウム化合物とMeを含む化合物は、これらの炭酸塩又は水酸化物を用いると、反応性を高め、安定した品質のものを高収率で得ることができる点で特に好ましい。 なお、前記バリウム化合物及びMeを含む化合物の炭酸塩又は水酸化物は通常水に難溶性であることから、前記b液はこれらの化合物を含むスラリーとなり、反応自体が固液反応となることから、反応性を高めるためこれらの原料化合物はレーザー法粒度分布測定法から求められる平均粒径が5μm以下、好ましくは0.01〜0.5μmの微細なものを用いることが特に好ましい。 前記b液中のバリウム化合物とMeを含む化合物の配合量はバリウム化合物中のBaとMeを含む化合物中の金属元素(Me)とのモル比(Me/Ba)で0.1〜0.4、好ましくは0.2〜0.35であり、その濃度はバリウム化合物とMeを含む化合物のBaとMeの総量で0.4〜1モル/L、好ましくは0.5〜0.8モル/Lとすることが安定した品質のものを高収率で得ることができる点で特に好ましい。 次いで、前記a液をb液に添加する。a液の添加量は蓚酸に対するバリウム化合物とMeを含む化合物のBaとMeの総量のモル比({Ba+Me}/蓚酸)が0.3〜0.8、好ましくは0.6〜0.7となるように添加することが安定した品質のものを高収率で得ることができる点で特に好ましい。 また、本発明の蓚酸バリウムチタニル粉末の製造方法において、前記b液にa液を添加すると反応液のpHは酸性域に強く傾くが反応液のpHが0.1未満ではカルシウムに代表されるMe成分の溶解度が高く、収率の上で不利となり、一方、pHが4を越えると均一な単相の共沈析出が得られにくくなる傾向があるため、a液添加後の反応液のpHは0.1〜4、好ましくは1.5〜2.5となるようにa液をb液へ添加することが特に好ましい。また、上記範囲内のpHとするためアンモニア水、アンモニアガス、水酸化アルカリ等のアルカリ剤をb液に添加してpHの調整を行いながら反応を行ってもよい。 前記a液のb液への添加は攪拌下に行うことが好ましく、攪拌速度は、添加開始から反応終了までの間に生成する蓚酸バリウムチタニルを含むスラリーが常に流動性を示す状態であればよく、特に限定されるものではない。 前記a液のb液への添加は、添加温度が通常10℃以上、好ましくは20〜30℃で、添加時間が0.5時間以上、好ましくは1時間以上で、一定速度で行うことが安定した品質のものが得られる点で特に好ましい。なお、b液の温度は特に限定されないが、上記添加温度と同様の範囲内にあると反応操作が容易となるため好ましい。 a液の添加終了後は、引き続き反応を行う(以下、「熟成反応」と呼ぶ。)。この熟成反応を行うと、反応が完結しTi、Ba及びMeの組成のバラツキが少ない所望の蓚酸バリウムチタニル粉末を得ることができる。 本発明において熟成反応時のpHは0.1〜4、好ましくは1.5〜2.5とすることが好ましい。この理由は上記したとおりpHが0.1未満ではカルシウムに代表されるMe成分の溶解度が高く、収率の上で不利となり、一方、pHが4を越えると均一な単相の共沈析出が得にくくなるからである。なお、本発明では、この熟成反応の際に当該範囲のpHとなるように常用の酸や前記で例示したアルカリで更にpH調製を行ってもよい。 他の熟成反応条件は、熟成温度が通常は10℃以上、好ましくは20〜30℃の温度で、0.5時間以上、好ましくは1時間以上熟成反応を行う。なお、熟成温度とは、a液添加後における反応液全体の温度をいう。熟成終了後は、常法により固液分離し、次いで、水で洗浄する。洗浄方法として特に制限されるものではないが、リパルプ等で洗浄を行うと洗浄効率が高いため好ましい。また、洗浄は、該蓚酸バリウムチタニル粉末に含有される塩素濃度が200ppm以下、好ましくは150ppm以下になるまで充分に洗浄すると高純度のチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末が得られるため特に好ましい。次いで、乾燥、必要により粉砕して蓚酸バリウムチタニル粉末を得る。 かくして得られる蓚酸バリウムチタニル粉末の好ましい物性としては、走査型電子顕微鏡写真(SEM)から求められる平均粒径が1〜100μm、好ましくは5〜20μmである。更に、該蓚酸バリウムチタニル粉末に含有される塩素濃度が200ppm以下、好ましくは150ppm以下であることが特に好ましい。 本発明の製法で得られる前記一般式(1)で表わされる蓚酸バリウムチタニル粉末は誘電体セラミック材料のチタン系ペロブスカイト型セラミック粉末の製造原料として好適に用いることが出来る。 次いで、本発明のチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末の製造方法について説明する。 本発明にかかるチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末の製造方法は、前記で得られた蓚酸バリウムチタニル粉末を仮焼することを特徴とするものである。 なお、本発明では必要により、仮焼を行う前に微細で、且つ低温域で仮焼を行っても結晶性の高いチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末が得られるように前記蓚酸バリウムチタニル粉末を平均粒径が1μm以下、好ましくは0.05〜0.5μmとなるようにボールミル、ビーズミル等の湿式で粉砕処理を行ってもよい。この場合、湿式粉砕処理で用いる溶媒としては、蓚酸バリウムチタニルに対して不活性であるものが用いられ、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド及びジエチルエーテル等が挙げられる。この中、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド及びジエチルエーテル等の有機溶媒で且つBa、TiとMeの溶出が少ないものを用いると、結晶性の高いチタン系ペロブスカイトセラミック原料粉末を得ることができるため好ましい。 本発明において最終製品に含まれる蓚酸由来の有機物は材料の誘電体特性を損なうとともに、セラミック化のための熱工程における挙動の不安定要因となるため好ましくない。従って、本発明では仮焼により前記蓚酸バリウムチタニルを熱分解して目的とするチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末を得ると共に、蓚酸由来の有機物を十分除去する必要がある。仮焼条件は、仮焼温度が700〜1200℃、好ましくは800〜1100℃である。この仮焼温度を上記範囲とする理由は、700℃未満では単一相のチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末が得られにくく、一方、1200℃を越えると粒径のバラツキが大きくなるからである。仮焼時間は2〜30時間、好ましくは5〜20時間である。仮焼の雰囲気は特に制限されず大気中又は不活性ガス雰囲気中の何れであってもよい。 また、本発明において、この仮焼は、所望により何度行ってもよく、粉体特性を均一にするため1度仮焼したものを粉砕し、次いで再仮焼を行ってもよい。 仮焼後、適宜冷却し、必要に応じ粉砕してチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末を得る。 なお、必要に応じて行われる粉砕は、仮焼して得られるチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末がもろく結合したブロック状のものである場合等に適宜行うが、チタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末の粒子自体は特定の平均粒径、BET比表面積を有するものである。即ち、得られるチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末は、走査型電子顕微鏡(SEM)から求めた平均粒径が0.1〜4μm、好ましくは0.1〜0.5μm、BET比表面積が0.5〜20m2/g、好ましくは4〜10m2/gで、組成のバラツキが少ないものである。更に上記物性に加え不純物としての塩素含有量が500ppm以下、好ましくは250ppm以下で結晶性に優れたものであることがより好ましい。 本発明の製造方法で得られるチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末には、必要により誘電特性や温度特性を調製する目的で副成分元素含有化合物を該チタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末に添加し含有させることができる。用いることができる副成分元素含有化合物としては、例えば、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの希土類元素、Ba、Li、Bi、Zn、Mn、Al、Si、Ca、Sr、Co、Ni、Cr、Fe、Mg、Ti、V、Nb、Mo、W及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物が挙げられる。 副成分元素含有化合物は無機物又は有機物のいずれであってもよく、例えば、上記元素を含む酸化物、水酸化物、塩化物、硝酸塩、シュウ酸塩、カルボン酸塩及びアルコキシド等が挙げられる。なお、副成分元素含有化合物がSi元素を含有する化合物である場合は、上記酸化物等に加えて、シリカゾルや珪酸ナトリウム等も用いることができる。上記副成分元素含有化合物は1種又は2種以上適宜組み合わせて用いることができ、その添加量や添加化合物の組み合わせは目的に応じて常法に従って行えばよい。 本発明のチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末に前記副成分元素を含有させる方法は、例えば、仮焼後の本発明のチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末と該副成分元素含有化合物を均一混合後、焼成を行うか、或いは本発明の蓚酸バリウムチタニル粉末と前記副成分元素含有化合物を均一混合後、仮焼を行えばよい。 本発明に係るチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末は、例えば、積層セラミックコンデンサを製造する上で前記した副成分元素を含め従来公知の添加剤、有機系バインダ、可塑剤、分散剤等の配合剤と共に適当な溶媒中に混合分散させてスラリー化し、シート成形を行うことにより、積層セラミックコンデンサの製造に用いられるセラミックシートを得ることができる。 該セラミックシートから積層セラミックコンデンサを作製するには、まず、該セラミックシートの一面に内部電極形成用導電ペーストを印刷し、乾燥後、複数枚の前記セラミックシートを積層し、厚み方向に圧着することにより積層体とする。次に、この積層体を加熱処理して脱バインダ処理を行い、焼成して焼成体を得る。さらに、該燒結体にNiペースト、Agペースト、ニッケル合金ペースト、銅ペースト、銅合金ペースト等を塗布して焼き付ければ積層コンデンサを得ることができる。 また、例えば、本発明に係るチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末を、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂に配合して、樹脂シート、樹脂フィルム、接着剤等とすると、プリント配線板や多層プリント配線板等の材料として好適に用いることができ、また、内部電極と誘電体層との収縮差を抑制するための共材、電極セラミック回路基板、ガラスセラミックス回路基板、回路周辺材料及び無機EL用等の誘電体材料としても用いることができる。 また、本発明で得られるチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末は、排ガス除去、化学合成等の反応時に使用される触媒や、帯電防止、クリーニング効果を付与する印刷トナーの表面改質材としても好適に用いることができる。 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 シュウ酸32.5g(H2C2O4として0.258モル)、15.3wt%四塩化チタン希釈液64.1g(TiCl4として0.123モル)を純水140mlに溶解し、これをa液とした。 炭酸バリウム18.2g(0.092モル;平均粒径0.24μm)及び水酸化カルシウム2.28g(0.031モル;平均粒径0.12μm)を純水150mlに分散させスラリーを調製し、これをb液とした。 前記b液にa液を25℃に保持しながら攪拌下に120分かけて添加し(pH0.2)、更に25℃で30分攪拌下に熟成した。熟成後、ろ過して蓚酸バリウムチタニルを回収し、この回収した蓚酸バリウムチタニルを蒸留水300mlで2回リパルプして入念に洗浄した。次いで、80℃で乾燥して蓚酸バリウムチタニル40.9gを得た。得られた蓚酸バリウムチタニルの物性値を表1に示す。 なお、塩素含有量はイオンクロマトグラフィー法で測定し、Ba、Ti及びCaのモル比は蛍光X線分析装置の測定値に基いて算出した。また、平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)写真により求めた。実施例2 b液として炭酸バリウム21.8g(0.110モル;平均粒径0.24μm)及び水酸化カルシウム2.7g(0.037モル;平均粒径0.12μm)を純水150mlに分散させスラリーを調製し、これをb液とし熟成時のpHを0.2とした以外は実施例1と同様に反応を行って蓚酸バリウムチタニル粉末48.8gを得た。得られた蓚酸バリウムチタニルを実施例1と同様に測定しその物性値を表1に示す。実施例3 シュウ酸2.93kg(H2C2O4として23.20モル)、15.3wt%四塩化チタン希釈液5.77kg(TiCl4として11.05モル)を純水12.6Lに溶解し、これをa液とした。 炭酸バリウム2.26kg(11.44モル;平均粒径0.24μm)及び水酸化カルシウム0.28kg(3.81モル;平均粒径0.12μm)を純水27Lに分散させスラリーを調製し、これをb液とした。 前記b液にa液を25℃に保持しながら攪拌下に60分かけて添加し(pH 0.2)、更に25℃で30分攪拌下に熟成した。熟成後、ろ過して蓚酸バリウムチタニルを回収し、この回収した蓚酸バリウムチタニルを蒸留水30Lで2回リパルプして入念に洗浄した。次いで、80℃で乾燥して蓚酸バリウムチタニル4.72kgを得た。得られた蓚酸バリウムチタニルの物性値を表1に示す。実施例4 シュウ酸3.58kg(H2C2O4として28.36モル)、15.3wt%四塩化チタン希釈液7.05kg(TiCl4として13.50モル)を純水15.4Lに溶解し、これをa液とした。 炭酸バリウム2.53kg(12.83モル;平均粒径0.24μm)及び水酸化カルシウム0.20kg(2.70モル;平均粒径0.12μm)を純水15.4Lに分散させスラリーを調製し、これをb液とした。 前記b液にa液を25℃に保持しながら攪拌下に120分かけて添加し(pH 0.2)、更に25℃で30分攪拌下に熟成した。熟成後、ろ過して蓚酸バリウムチタニルを回収し、この回収した蓚酸バリウムチタニルを蒸留水30Lで2回リパルプして入念に洗浄した。次いで、80℃で乾燥して蓚酸バリウムチタニル5.64kgを得た。得られた蓚酸バリウムチタニルの物性値を表1に示す。比較例1 塩化バリウム2水塩27.0g(BaCl2として0.110モル)、塩化カルシウム2水塩5.4g(0.037モル)及び四塩化チタン64.1g(TiCl4として0.123モル)を純水180mlに溶解した混合溶液を調製し、これをa液とした。 次にシュウ酸32.5g(H2C2O4として0.258モル)を55℃の温水140mlに溶解しシュウ酸水溶液を調製し、これをb液とした。 前記b液にa液を55℃に保持しながら攪拌下に120分かけて添加し(pH 0.2)、更に55℃で30分間攪拌下に熟成した。冷却後、ろ過して蓚酸バリウムチタニルを回収し、この回収した蓚酸バリウムチタニルを蒸留水300mlで2回リパルプして入念に洗浄した。次いで、80℃で乾燥して蓚酸バリウムチタニル52gを得た。この反応では、実施例2の仕込み組成と同じ設定である。得られた蓚酸バリウムチタニルの物性値を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示す。 表1の結果より、仕込み組成が同じ実施例2と比較例1を比較すると実施例2の方が比較例1で得られたものに比べカルシウム置換率が高く反応性に優れていることが分かる。実施例5〜6 実施例3および4で得られた蓚酸バリウムチタニル試料を850℃の大気雰囲気下で14時間仮焼し、粉砕してチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末試料を調製した。得られたチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末試料の諸物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。 下記一般式(1)(式中、MeはCa、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を示す。xは0<x≦0.2の値をとる。)で表わされるバリウム元素の一部を他のアルカリ土類金属元素で置換した蓚酸バリウムチタニルの製造方法であって、四塩化チタンと蓚酸を含有する溶液(a液)を、バリウム化合物とMeを含む化合物を含有する溶液(b液)に添加し反応を行うことを特徴とする蓚酸バリウムチタニル粉末の製造方法。 前記MeがCaである請求項1記載の蓚酸バリウムチタニル粉末の製造方法。 前記バリウム化合物が炭酸バリウム又は水酸化バリウムである請求項1記載の蓚酸バリウムチタニル粉末の製造方法。 前記Meを含む化合物がMeを含む炭酸塩又は水酸化物である請求項1記載の蓚酸バリウムチタニル粉末の製造方法。 請求項1の方法によって製造された蓚酸バリウムチタニル粉末。 請求項5記載の蓚酸バリウムチタニル粉末を仮焼することを特徴とするチタン系ペロブスカイト型セラミック原料粉末の製造方法。