タイトル: | 特許公報(B2)_デュロキセチン(duloxetine)を調製するための方法およびその中で使用するための中間体 |
出願番号: | 2004561607 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07D 333/20,C07B 61/00 |
ラオ、ダーマライ・ラマチャンドラ カンカン、ラジェンドラ・ナラヤンラオ JP 5259048 特許公報(B2) 20130502 2004561607 20031210 デュロキセチン(duloxetine)を調製するための方法およびその中で使用するための中間体 シプラ・リミテッド 511109180 蔵田 昌俊 100108855 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 福原 淑弘 100109830 峰 隆司 100075672 白根 俊郎 100095441 村松 貞男 100084618 ラオ、ダーマライ・ラマチャンドラ カンカン、ラジェンドラ・ナラヤンラオ GB 0229583.0 20021219 20130807 C07D 333/20 20060101AFI20130718BHJP C07B 61/00 20060101ALI20130718BHJP JPC07D333/20C07B61/00 300 C07D327/00-347/00 C07B57/00 C07B61/00 A61K 31/33-33/44 A61P 1/00-43/00 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) 特開平7−188065(JP,A) 特開平4−226948(JP,A) 特表2002−541235(JP,A) 特開昭63−185946(JP,A) 特表平11−512726(JP,A) 特開平9−176157(JP,A) 特開昭62−286959(JP,A) 特開昭61−210059(JP,A) 国際公開第01/44166(WO,A1) DEETER,J. et al,Asymmetric synthesis and absolute stereochemistry of LY248686,Tetrahedron Letters,1990年,Vol.31, No.49,pp.7101−7104 WHEELER,W.J.et al,An asymmetric synthesis of duloxetine hydrochloride,a mixed uptake inhibitor of serotonin and norepinephrine,and its C−14 labeled isotopomers,Journal of Labelled Compounds & Radiopharmaceuticals,1995年,Vol.36, No.3,pp.213−223 実験化学講座20 有機合成II−アルコール・アミン−,1992年,第4版,pp.191−193 実験化学講座27 生物有機,1991年,第4版,pp.252−255 10 GB2003005357 20031210 WO2004056795 20040708 2006514030 20060427 12 20061211 2011005890 20110316 柳 和子 齋藤 恵 大畑 通隆 本発明は、デュロキセチン(duloxetine)を調製するための方法、特に鏡像異性的に純粋な形態の(+)デュロキセチンを調製する方法に、およびその中で使用するための中間体に関する。 デュロキセチン、N-メチル-3-(1-ナフタレニルオキシ)-3-(2-チエニル)プロパンアミンは、二重のセロトニンおよびノルエピネフリン再取り込みの阻害剤である。(+)デュロキセチンは、抗降下剤として特別な治療的有用性を有する。 デュロキセチン、およびこれらの調製は、US patents 5023269および4956388、更にはTetrahedron Letters, 31, (49), 7101-04, 1990に記載されている。また、7つの異なる合成経路が、Drugs of the Future 2000, 25(9)907-916に報告されている。これらの合成は、重要な中間体の分割、またはケト基のアルコールへの立体特異的な還元のいずれをも含んでいた。 本発明者らは、(+)デュロキセチンの合成に使用される特定のキラル中間体、すなわち、が、従来技術に使用される反応条件下で1-ナフチルハライドとのカップリングの間にかなりのラセミ化を受けることを今回観察した。特に、水素化ナトリウムなどの強塩基およびDMSOなどのプロトン性の極性溶媒の存在下では、縮合生成物の部分的または完全なラセミ化を生じることがあるジメシルアニオンを生じ得る。 従って、上述した従来の方法に付随する問題を軽減する(+)デュロキセチンの調製のための改良方法が必要である。本発明者らは、ラセミ化を防止して、(+)デュロキセチンの鏡像異性的に純粋な形態を得る際に有利である方法を開発した。特に、本発明者らの方法は、反応過程の最終工程として分割を行い(これにより、直前の中間体生産工程の間のラセミ化の機会を防止する)、および/またはラセミ化を起こしやすいと考えられる中間代謝物の生産において生じるであろう条件を回避することにより、上記した利点を達成することを理解することができる。 従って、本発明によれば、(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩を調製する方法であって: (i)ラセミの(±)デュロキセチンをキラル酸で分割して、実質的に(-)デュロキセチンを含まない前記キラル酸と(+)デュロキセチンの塩を得ることと;および、 (ii)必要に応じて、前記工程(i)で調製した塩を遊離塩基またはさらに酸付加塩に変換することと、を含む方法が提供される。 分割工程(i)は、適切な溶媒中で適切なキラル酸によって達成される。キラル酸は、典型的にはマンデル酸、酒石酸、ジ-p-トルイル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、樟脳スルホン酸などからなる群より選択することができる。その他の適切なキラル酸を試験によって決定してもよく、上記の通りの方法にこれらを使用することも本発明の範囲内になる。好ましくは、本発明に従った方法に使用されるキラル酸は、(-)ジ-p-トルイル酒石酸である。最適には、使用される溶媒は、メタノールまたはエタノールなどの低級アルカノールであるが、さらにその他の適切な溶媒を試験によって決定することもでき、上記の通りの方法にこれらを使用することも本発明の範囲内になる。好ましい溶媒は、メタノールである。 分割工程(i)によって調製される(+)デュロキセチンの塩は、本発明の更なる側面を表し、従って、実質的に(-)デュロキセチンを含まないキラル酸および(+)デュロキセチンの塩が本発明によってさらに提供される。実質的に(-)デュロキセチンを含まないキラル酸と(+)デュロキセチンのこのような塩は、適切な、遊離塩基または別の酸付加塩を調製するための中間体として有用である。 本発明によって提供される適切な塩は、マンデル酸(+)デュロキセチン、酒石酸(+)デュロキセチン、ジ-p-トルイル酒石酸(+)デュロキセチン、ジベンゾイル酒石酸(+)デュロキセチン、および樟脳スルホン酸(+)デュロキセチンなどを含む。本発明による好ましい塩は、ジ-p-トルイル酒石酸(+)デュロキセチンであり、これは、適切な遊離塩基または別の酸付加塩を調製するための中間体として有用である。 上記の通りに本発明に従って調製される中間体の塩は、本発明に従った方法の工程(ii)に従って、遊離塩基または別の酸付加塩に変換することができる。最適には、キラル酸と(+)デュロキセチンの中間体の塩を水酸化ナトリウムなどの塩基で処理して、遊離塩基を得ることができる。遊離塩基自体は、必要に応じて、これらの酸付加塩に変換することができる。 工程(ii)で形成されるであろう適切な酸付加塩は、薬学的に許容される有機または無機の酸を含み、当業者に周知である。このような塩を形成するために一般に使用される酸は、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、並びに、パラ-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸、並びに関連した無機酸および有機酸を含む。したがって、このような薬学的に許容される塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタ燐酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリル酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオアート、ヘキシン-1,6-ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、∃-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩等の塩などを含む。好ましい薬学的に許容される酸付加塩は、塩化水素酸および臭化水素酸などの鉱酸と形成されたもの、並びにシュウ酸およびマレイン酸などの有機酸と形成されたものを含む。特に好ましい酸付加塩は、塩化水素酸である。 本発明に従った特に好ましい方法は: (i)ラセミの(±)デュロキセチンをジ-p-トルイル酒石酸で分割して、実質的に(-)デュロキセチンを含まないジ-p-トルイル酒石酸(+)デュロキセチンを得ることと;および、 (ii)工程(i)で調製したジ-p-トルイル酒石酸(+)デュロキセチンを塩酸(+)デュロキセチンに変換することと、を含む。 本発明に従った方法は、好ましくは実質的に純粋な鏡像異性形態の(+)デュロキセチンを産する。したがって、本発明によって調製される(+)デュロキセチン:(-)デュロキセチンの比率は、少なくとも約98:2などの少なくとも約94:6、好ましくは少なくとも約99:1以上であることができる。好ましくは、本発明に従った方法によって調製される(+)デュロキセチンは、少なくとも約99%、または特に少なくとも約99.5%の鏡像異性純度を有する。 本発明に従った方法によって達成される(+)デュロキセチンの比率は、1回または複数回、たとえば2または3回、工程(i)の再結晶を遂行することによって増大することができる。この目的のために、分割の結果として得られた結晶質の塩をこのための溶媒に溶解し、生じる溶液から塩を再結晶してもよい。このような方法で、こうして(+)デュロキセチンを有する塩の比率を実質的に純粋になるまで、すなわち実質的に(+)デュロキセチンを有する塩だけが存在するまで、増大することができる。 分割工程(i)からの母液、またはそれぞれの再結晶工程からの母液では、(-)デュロキセチンが濃縮される。これらの液またはプールされた液の1つまたは複数に存在する(-)デュロキセチンは、実質的に先に記載したとおりの本発明に従った方法に再利用するために、(±)デュロキセチンに変換してもよい。 本発明に従った方法のさらに好ましい側面は: (i)ラセミの(±)デュロキセチンをキラル酸で分割して、(-)デュロキセチンの濃縮された母液を得ることと; (ii)工程(i)から得た(-)デュロキセチンを(±)デュロキセチンに変換することと;および、 (iii)必要に応じて、実質的に先に記載したとおりの本発明に従った方法において、工程(ii)から得た(±)デュロキセチンを使用することと、を含む。 最適には、上記の通りに方法から得られた1つまたは複数の母液は、またはプールしたこのような母液を塩基で処理して、あらゆる残留するキラル酸を除去し、これにより(-)デュロキセチンに濃縮された遊離塩基を与えてもよい。次いで、遊離塩基を、典型的には適切な溶媒中で、選択的に適切な酸(たとえばHCl)または塩基(たとえばNaOH)の存在下において、数時間還流することによって、ラセミ化合物に変換することができ、次いで、このラセミ化合物を実質的に先に記載したとおりの本発明に従った方法に使用するために再利用することができる。 実質的に先に記載したとおり、本発明に従った方法の目的は、従来の方法に付随するラセミ化を防止して、鏡像異性的に純粋な形態の(+)デュロキセチンを得ることである。本発明によれば、これは、実質的に先に記載した(+)デュロキセチンの調製の最終生産工程として(±)デュロキセチンを分割することによって達成することができ、好ましい本発明の側面に従って、デュロキセチンの調製のための従来技術を、デュロキセチンの合成に使用されるO-アルキル化工程の下記の反応条件を使用してさらに修飾することができる。より詳しくは、本発明に従った方法において使用される中間体生産工程は、塩基および相間移動触媒の存在下において、式(I)および(II)の中間化合物を反応させて、式(III)の化合物またはこれらの酸付加塩を得ることを含む: 式中、XおよびYのうちの一方は、ヒドロキシであり、他方は、脱離基である。本発明に従ったこのような反応条件の使用は、従来技術に従って使用される、水素化ナトリウムなどのより強い塩基の使用(このようなより強い塩基は、火災の危険があるうえに高価である)を、より穏やかな条件下で上記の反応工程を行うのを容易にする相間移動触媒を使用することによって回避する際に有利である。 また、上記の反応条件の使用では、キラル中間体を(+)デュロキセチンの合成に使用するときに、従来技術に使用される反応条件下で1-ナフチルハライドとこれらのカップリングの間に見られるキラル中間体(S)-2-(1-N,N-ジメチル-3-ヒドロキシ)プロピルアミノ)-チオフェンのかなりのラセミ化を回避することによる利点が提供される。特に、前述のように、水素化ナトリウムなどの強塩基およびDMSOなどのプロトン性極性溶媒の存在下において、縮合生成物の部分的または完全なラセミ化を生じるジメシルアニオンが、従来技術の反応条件下で生じた。この望ましくないラセミ化は、本発明の反応条件下でO-アルキル化工程を行うことによって回避することができ、従って、(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩を調製するための方法であって、式(Ia)および(II)の中間化合物を反応させて、式(IIIa)の化合物またはこれらの酸付加塩を得る以下の中間過程を含む方法が、さらに提供される: 好ましくは、使用する塩基は、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、重炭酸アルカリ金属等であることができる。最適には、塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどからなる群より選択することができる。水酸化カリウムが好ましいであろう。 適切な相間移動触媒は、クラウンエーテル、第四級アンモニウム塩、およびホスホニウム塩などであることができる。好ましい相間移動触媒は、最適にはテトラブチル臭化アンモニウムまたは18-クラウン-6であることができる。 XまたはYによって表される適切な脱離基は、p-トルエンスルホニル、メタンスルホニル、トリフェニルホスフィンオキシド、ハロなどであることができ、ハロが好ましい。 好ましくは、Xはヒドロキシであり、Yはハロ、典型的にはフルオロなどの脱離基である。 式(III)の中間体またはこれらの酸付加塩は、典型的にはこのようなクロロギ酸フェニルまたはクロロギ酸トリクロロエチルなどの試薬の存在下において、典型的には脱メチル化することによって(+)デュロキセチンに変換されて、対応する中間体を提供し、次いでこれを加水分解して(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩を提供する。式(IIIa)の中間体またはこれらの酸付加塩も同様に、典型的にはこのようなクロロギ酸フェニルまたはクロロギ酸トリクロロエチルなどの試薬の存在下において、典型的には脱メチルすることによって(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩に変換されて、対応する中間体を提供し、次いでこれを加水分解して(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩を提供する。 本発明に従ったさらに好ましい方法は、式(I)および(II)の中間化合物を反応させて、式(III)の中間化合物またはこれらの酸付加塩を得ることと、式(III)または酸付加塩の化合物を脱メチル化して(±)デュロキセチンを得ることと、および実質的に先に記載した本発明に従った方法を使用して、(±)デュロキセチンを(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩に対する変換することとを含む。本発明に従ったさらなる好ましい方法は、式(Ia)および(II)の中間化合物を反応させて、式(III)の中間化合物またはこれらの酸付加塩を得ることと、式(IIIa)または酸付加塩の化合物を脱メチル化して(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩を得ることとを含む。 本発明に従った特に好ましい方法は、式(I)および(II)の中間化合物(Xはヒドロキシであり、Yはフルオロである)を、続いてシュウ酸を反応させて、式(III)の中間化合物のシュウ酸塩を得ることと、式(III)の前記中間化合物を脱メチル化して、(±)デュロキセチンを得ることと、および実質的に先に記載した本発明に従った方法を使用して、(±)デュロキセチンを(+)デュロキセチンに変換することを含む。特に、(+)デュロキセチンを得るための分割は: (i)ラセミの(±)デュロキセチンをジ-p-トルイル酒石酸で分割することによって、工程(ii)で得た(±)デュロキセチンを (+)デュロキセチンに変換し、実質的に(-)デュロキセチンを含まないジ-p-トルイル酒石酸(+)デュロキセチンを得ることと、および、 (ii)前記(ジ-p-トルイル酒石酸+)デュロキセチンを塩酸(+)デュロキセチンに変換することとを含むことが特に好ましい。 本発明の方法の開始材料として使用される化合物は、当該技術分野において既知の標準的方法によって調製することができる。 本発明は、実質的に先に記載された方法によって得られる(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩をさらに提供する。本発明に従った、このような(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩は、最適には、本発明に従った薬学的組成物を提供するために処方することができ、実質的に先に記載された方法によって得られた(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩を含む薬学的組成物が、本発明によってさらに提供される。 本発明は、ここで以下の例によって例証されるが、これは、いかなる形であれ本発明の範囲を限定しない。 実施例1 N,N-ジメチル-γ-(1-ナフタレニルオキシ)-2-チオフェンプロパンアミンオキサレート 2-(1-N,N-ジメチル-3-ヒドロキシ)プロピルアミノ)-チオフェン(12.4gms)をDMSO(70m1)に溶解した。水酸化カリウム(18.7gms)およびテトラブチル臭化アンモニウムを添加した(O.1gms)。反応混合物を60℃で1時間撹拌し、4-フルオロナフタレン(11.7gms)を2時間かけてゆっくり添加した。反応が完了したあと、これを氷水でクエンチし、トルエン中に抽出した。トルエン層を乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を100mlの酢酸エチルに溶解し、シュウ酸(7gms)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、濾過した(15.5gms、76%収率)。 実施例2 (±)-N-メチル-γ-(1-ナフタレニルオキシ)-2-チオフェンプロパンアミン((±)デュロキセチン) N,N-ジメチル-γ-(1-ナフタレニルオキシ)-2-チオフェンプロパンアミン(50gms)をトルエン(250m1)に溶解した。反応混合物にジイソプロピルエチルアミン(24.5gms)を添加し、クロロギ酸フェニル(3Ogms)をゆっくり添加した。反応混合物を6O℃まで加熱し、2時間撹拌した。反応の完了後、混合物を50mlの5%の炭酸水素ナトリウム溶液中でクエンチした。トルエン層を分離し、乾燥し、濃縮して残渣を得た。 残渣をDMSOおよび水の混合物に溶解した。これに水酸化ナトリウム(22gms)を添加し、反応混合物を8時間還流した。次いで、反応液を700mlの水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を乾燥し、濃縮して標記化合物(74%)を得た。 実施例3 (+)-N-メチル-γ-(1-ナフタレニルオキシ)-2-チオフェンプロパンアミン((+)デュロキセチン) (±)デュロキセチン(20gms)をメタノール(20m1)に溶解し、(-)ジ-p-トルイル酒石酸(6.5grns)を添加した。反応液を還流下で1時間撹拌し、真空下でメタノール濃縮し、アセトン(150m1)を充填し、5℃に冷却した。得られた固体を濾過し、4O℃で減圧下において乾燥させて、(+)デュロキセチンの(-)ジ-p-トルイル酒石酸塩を得た(12.5g)。 上記の酒石酸塩を水とトルエンの混合物に懸濁して、500mgの水酸化ナトリウムを撹拌しながら加えられた。トルエン層を分離し、乾燥し、減圧下で残基に濃縮した。酢酸エチル(20m1)を、続いてシュウ酸(2.2gms)を残基に添加した。反応液を5℃に冷却し、混合物を1時間撹拌した。固体を濾過し、4O℃で減圧下において乾燥させて、シュウ酸塩として標記化合物を得た(6.5gms)。 (+)デュロキセチンの(-)DPTA塩の濾過の後に得られるメタノール母液を灰汁溶液(50%のNaOH)によってpH10に塩基性にして、加熱して10時間還流した。ジクロロメタン(100ml)での抽出、続いて溶媒の濃縮によって、キラルHPLCにより48:52の鏡像異性比(+/-)を有するラセミ化合物塩基(8.5gm)を得た。 実施例4 シュウ酸(S)-N,N-ジメチル-γ-(1-ナフタレニルオキシ)-2-チオフェンプロパンアミン (S)-2-(1-N,N-ジメチル-3-ヒドロキシ)プロピルアミノ)-チオフェン(12.5gms)をDMSO(60ml)に溶解した。水酸化カリウム(20.5gms)および18-クラウン-6(0.l2gms)を添加した。反応混合物を60℃で1時間撹拌し、4-フルオロナフタレン(11.9gms)を2時間にわたってゆっくり添加した。反応が完了したあと、これを氷水中でクエンチし、トルエン中に抽出した。トルエン層を乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を100mlの酢酸エチルに溶解し、シュウ酸(7.5gms)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、濾過して88%の収率で標記化合物を得た。 実施例5 塩酸(+)-N-メチル-γ-(1-ナフタレニルオキシ)-2-チオフェンプロパンアミン(塩酸(+)デュロキセチン)。 シュウ酸(S)-N,N-ジメチル-γ-(1-ナフタレニルオキシ)-2-チオフェンプロパンアミン(50gms)を水に溶解した。溶液のpHを5%の水酸化ナトリウムで9〜10の間に合わせた。混合物をトルエンで抽出した。トルエン層を減圧下で約250mlに濃縮した。反応混合物に、クロロギ酸α-クロロエチル(30gms)をゆっくり添加した。反応混合物を60℃に加熱し、2時間撹拌した。反応の完了後、混合物を減圧下で残渣に濃縮した。残渣をメタノールに溶解し、2時間還流した。反応混合物を減圧下で濃縮して固体残留物を得て、これをアセトンで粉末にして標記化合物(36gms)を得た。 (+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩を調製するための方法であって: (i)ラセミの(±)デュロキセチンをジ-p-トルイル酒石酸で分割して、(-)デュロキセチンを含まない、ジ-p-トルイル酒石酸(+)デュロキセチンを得ること;および、 (ii)必要に応じて、前記工程(i)で調製した塩を遊離塩基またはさらなる酸付加塩に転換すること、を含むことを特徴とする方法。 工程(ii)が、(i)で調製した塩を塩酸と反応させて塩酸(+)デュロキセチンを得ることを含む、請求項1記載の方法。 以下を含む方法: (i)請求項1又は2記載の方法でラセミの(±)デュロキセチンをジ-p-トルイル酒石酸で分割して、(-)デュロキセチンの濃縮された母液を得ること; (ii)工程(i)から得た(-)デュロキセチンを(±)デュロキセチンに転換すること;および、 (iii)必要に応じて、請求項1又は2記載の方法で工程(ii)から得た(±)デュロキセチンを使用すること。 (+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩を作製する方法であって: (i)水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、及び重炭酸アルカリ金属から成る群より選択される塩基および相間移動触媒の存在下において、式(I)および(II)の中間化合物を反応させて、式(III)の中間化合物またはこれらの酸付加塩を得ること (式中、XおよびYのうちの一方は、ヒドロキシであり、他方は、脱離基である); (ii)式(III)の化合物または酸付加塩を脱メチル化して(±)デュロキセチンを得ること;および、 (iii)請求項1又は2記載の方法を使用して、工程(ii)で得た(±)デュロキセチンを(+)デュロキセチンまたはこれらの酸付加塩に対する転換すること、を含む方法。 塩酸(+)デュロキセチンを作製する方法であって: (i)水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、及び重炭酸アルカリ金属から成る群より選択される塩基および相間移動触媒の存在下において、式(I)および(II)の中間化合物(式中、Xはヒドロキシであり、Yはフルオロである)を、続いてシュウ酸を反応させて、式(III)の中間化合物のシュウ酸塩を得ること; (ii)工程(I)によって得られた式(III)の前記中間化合物を脱メチル化して、(±)デュロキセチンを得ること;および、 (iii)ラセミの(±)デュロキセチンをジ-p-トルイル酒石酸で分割することによって、工程(ii)で得た(±)デュロキセチンを(+)デュロキセチンに転換し、(-)デュロキセチンを含まないジ-p-トルイル酒石酸(+)デュロキセチンを得て、前記ジ-p-トルイル酒石酸(+)デュロキセチンを塩酸(+)デュロキセチンに転換すること、を含む方法。 前記塩基が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムからなる群より選択される、請求項4又は5に記載の方法。 前記相間移動触媒が、クラウンエーテル、第四級アンモニウム塩、およびホスホニウム塩からなる群より選択される、請求項4〜6のいずれか1項記載の方法。 前記脱離基がハロである、請求項4に記載の方法。 前記脱離基がフルオロである、請求項8に記載の方法。 ジ-p-トルイル酒石酸(+)デュロキセチン。