タイトル: | 特許公報(B2)_無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン、その製造方法、及びそれを含有する化粧料 |
出願番号: | 2004553177 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C08G 77/46,C08G 77/34,A61K 8/894 |
西嶋 一裕 田村 誠基 庄司 博昭 JP 4681881 特許公報(B2) 20110210 2004553177 20031117 無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン、その製造方法、及びそれを含有する化粧料 東レ・ダウコーニング株式会社 000110077 河備 健二 100106596 西嶋 一裕 田村 誠基 庄司 博昭 JP 2002333423 20021118 20110511 C08G 77/46 20060101AFI20110414BHJP C08G 77/34 20060101ALI20110414BHJP A61K 8/894 20060101ALI20110414BHJP JPC08G77/46C08G77/34A61K8/894 C08G 77/00- 77/62 C08G 65/00- 65/48 C08L 83/00- 83/16 A61K 8/00- 8/99 CA/REGISTRY(STN) 国際公開第02/055588(WO,A1) 特開平08−231707(JP,A) 特開平11−060723(JP,A) 特開2003−292607(JP,A) 特開2003−342363(JP,A) 特開2004−002506(JP,A) 特開2003−105088(JP,A) 特開2003−096192(JP,A) 特開平02−302438(JP,A) 米国特許第04661612(US,A) 米国特許第05225509(US,A) 特開平07−330907(JP,A) 特開平09−202829(JP,A) 特開2000−327785(JP,A) 特開平09−165318(JP,A) 特開平09−165315(JP,A) 7 JP2003014573 20031117 WO2004046226 20040603 14 20061107 前田 孝泰 本発明は、無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン、その製造方法、及びそれを含有する化粧料に関し、更に詳しくは、その製造および保存における副反応生成物および未反応物が加水分解および酸化等により臭気物質を発生することがなく、経時的にも安定である無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン、その製造方法、及びそれを含有する化粧料に関する。 従来、ポリエーテル変性ポリシロキサンは、ヒドロシリル基をもつポリシロキサンと不飽和結合を有するポリオキシアルキレンとのヒドロシリル化反応によって合成されている。 しかしながら、このようにして得られたポリエーテル変性ポリシロキサンは、経時によって着臭し、毛髪化粧料や皮膚化粧料などの化粧品等の用途には使用し難いという欠点があった。 係る欠点は、以前、経時によってポリエーテル変性ポリシロキサンが酸化劣化してアルデヒドが生成するためとされていた。しかし、別の原因も報告され、例えば、未反応プロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンが着臭の原因であるとされている(例えば、特開平2−302438号公報(特許請求の範囲等)参照。)。すなわち、ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造において、アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの一部は、その二重結合が白金触媒の作用により内部に移動しプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンとなり、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと反応しないままポリエーテル変性ポリシロキサン中に残存し、経時によって分解してケトン類やアルデヒド類を発生し、着臭するとされている。そして、その脱臭法としては、酸存在下の加水分解法が有効であるとも開示されている。しかし、この脱臭法は、残存するポリオキシアルキレンのアリル基のすべてがプロペニル基に変換しているのであれば、不飽和基の除去に有効であると考えられるが、実際には、係る白金触媒による異性化反応は、平衡反応であるため、ある程度の未転位アリルエーテル化ポリオキシアルキレンが存在し、脱臭効果が減少する。すなわち、アリルエーテル化ポリオキシアルキレンを加水分解するためには、例えば、上記特開平2−302438号公報(特許請求の範囲等)で使用される酸強度では不十分であるという問題点がある。 一方、さらに強い酸を用いて、アリルエーテル化ポリオキシアルキレンを加水分解することは、ポリオキシアルキレンの炭素−酸素結合及び/又はポリシロキサンのケイ素−酸素結合の切断を引き起こすため、適切ではない。 また、加水分解反応を定量的に行うには、過剰量の水と酸が必要であり、これらの過剰量の水と酸は、後処理の工程を複雑にし、脱臭工程としては理想的ではない。その上、この着臭原因は、上記の炭素−炭素二重結合のみならず、不安定酸化物等が考えられ、これを特定することは難しいという問題がある。 しかし、酸存在下の加水分解法に基づく脱臭法では、上記のような問題点があるために、ポリエーテル変性ポリシロキサンの加水分解及び酸化等により臭気物質を発生させないことなどについて、種々の課題解決法が提案されている。例えば、ポリオキシアルキレンポリシロキサンの脱臭方法として、水素化処理触媒の存在下、温度20〜200℃、圧力1〜100バール、0.5〜10時間の反応条件で水素添加する方法(例えば、米国特許明細書第5,225,509号(クレーム等)参照。)や、末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサン組成物に、水素添加反応を行うことにより、臭気物質を発生することなく、経時的にも安定なポリエーテル変性ポリシロキサン組成物などが得られること(例えば、特開平7−330907号公報(特許請求の範囲等)、特開平9−165315号公報(特許請求の範囲等)、特開平9−165318号公報(特許請求の範囲等)参照。)が開示されている。 しかしながら、上記の水素添加反応のみでは、アセタールなどのアルデヒド縮合物が残存する場合があり、水溶液中でアルデヒドを生成し、悪臭の原因となる恐れがある。これは、アルデヒド縮合物が不飽和結合を有していないため、水素添加反応のみでは、悪臭の原因物質を除去できないからである。 上記の問題点があるために、変性シリコーン化合物に対し、(A)残存不飽和結合への水添、それに続く、pH7以下の酸物質含有水溶液によるアルデヒド縮合物の分解、又は(B)pH7以下の酸物質含有水溶液によるプロペニルエーテル化物の分解、それに続く、生成したアルデヒドと残存不飽和結合への水添、の精製処理を施してなる、不飽和度とアルデヒド発生量を特定量以下に規定した無臭化変性シリコーン化合物及びこの化合物を含有する化粧料が提案されている(例えば、国際公開(WO)第02/055588号パンフレット(請求の範囲等)参照。)。 しかしながら、上記の提案では、pH7以下の酸物質含有水溶液の処理が必須である。したがって、酸物質含有水溶液が液状であって、酸物質が系内に溶け込むため、酸自身が系内に残留する。このため、一般的には、酸処理後には中和処理が必要であるが、この中和塩も一部系内に残留する。すなわち、酸物質や中和塩が系内に残留するという問題点がある。特に、ポリエーテル変性ポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサンよりも、より親水性であるため、系内に酸や中和塩が残留しやすい。また、この処理後に、水素添加反応を行う場合、これらの残留により、水素添加反応への阻害を引き起こすという問題点もある。 さらに、微量の酸や中和塩が残留したポリエーテル変性ポリシロキサンは、水、多価アルコールとの配合系で、残留物自身または残留物の分解、ポリエーテル変性ポリシロキサンの分解等によると思われる経時着臭が起きやすいという課題を有していた。 従って、本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、その製造および保存における副反応生成物および未反応物が加水分解及び酸化等により臭気物質を発生することがなく、経時的にも安定である無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン、その製造方法、及びそれを含有する化粧料を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、種々のポリエーテル変性ポリシロキサンに、触媒存在下水素ガスを用い水素添加反応を実施し、それに加えて、固体酸存在下に処理することによって、加水分解及び酸化等による臭気物質を発生することがなく、経時的にも安定な、高度に精製された無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンを製造できることを見出し、さらに、それらの知見に検討を加えて、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明の第1の発明によれば、末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサンを固体酸存在下に処理する工程を包含することを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法が提供される。 また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、固体酸存在下に処理する工程と、前記ポリエーテル変性ポリシロキサンの水素添加反応工程とを、包含することを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法が提供される。 さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、固体酸存在下の処理工程は、前記ポリエーテル変性ポリシロキサンの水素添加反応工程の前又は後に、行われることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法が提供される。 本発明の第4の発明によれば、第2の発明において、さらに、軽質分を留去する工程が、固体酸存在下の処理工程中若しくは工程後、又は水素添加反応工程前若しくは工程後に、行われることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法が提供される。 また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、固体酸は、固体酸性酸化ジルコニウム、強酸性陽イオン交換樹脂、フッ素化スルホン酸樹脂、酸性白土、アルミナ、シリカアルミナ、又はゼオライトから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法が提供される。 さらに、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、固体酸は、固体酸性酸化ジルコニウム又は強酸性陽イオン交換樹脂であることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法が提供される。 また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、化粧料用無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法が提供される。 本発明は、上記した如く、末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサンにおいて、該ポリエーテル変性ポリシロキサンを固体酸存在下に処理することにより、精製されていることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンなどに係るものであるが、その好ましい態様として、次のものが包含される。(1)第1の発明において、固体酸存在下の処理工程には、水が添加されることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。(2)第3の発明において、固体酸存在下の処理工程は、前記ポリエーテル変性ポリシロキサンの水素添加反応工程の後に、行われることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。(3)第3の発明において、固体酸存在下の処理工程は、前記ポリエーテル変性ポリシロキサンの水素添加反応工程の前に、行われることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。(4)第6の発明において、固体酸は、固体酸性酸化ジルコニウムであることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。(5)第6の発明において、固体酸は、強酸性陽イオン交換樹脂であることを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。 以下、本発明の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサン、その製造方法、及びそれを含有する化粧料について、各項目毎に、詳細に説明する。 本発明の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンは、末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサンにおいて、該ポリエーテル変性ポリシロキサンを固体酸存在下に処理することにより、精製されていることを特徴とするものである。1.ポリエーテル変性ポリシロキサン 本発明に係るポリエーテル変性ポリシロキサンを製造するためのヒドロシリル化反応に用いられるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、次のようなものが挙げられ、[式中、R1は、同一若しくは異なる置換又は非置換の1価の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基等の炭素原子数1〜19のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、ナフチル基、アルキルナフチル基、フェニルアルキル基、3−アミノプロピル基、3−(N−2−アミノエチルアミノ)プロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等)、又は次式で表わされるもの、[ここで、R2は、同一若しくは異なる置換又は非置換の1価の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基等の炭素原子数1〜19のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基、3−アミノプロピル基、3−(N−2−アミノエチルアミノ)プロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等)、又は水素基、qは0または正の整数である。]、又は水素基、nは0又は正の整数である。但し、1分子中に少なくとも1つのケイ素原子に直接結合した水素基を有する。]や、(式中、R1は、上で記載のものと同じであり、mは3以上の整数である。但し、1分子中に少なくとも1つのケイ素原子に直接結合した水素基を有する。)で示されるものなどである。 これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、単独で用いることもできるが、組合せで用いることもできる。 また、ポリエーテル変性ポリシロキサンを製造するためのヒドロシリル化反応に用いるポリオキシアルキレンとしては、例えば次式:[式中、R’は、同一または異なる、不飽和置換または非置換の1価の炭化水素基(例えば、アリル基、メタリル基、3−ブテニル基、炭素原子数1〜19のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、ナフチル基、アルキルナフチル基等)、アシル基または水素基であり、R”は、同一または異なる、置換または非置換の2価の炭化水素基(例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等)であり、xは0または正の整数である。但し、1分子中のR’の少なくとも一つは不飽和置換基を有する炭化水素基である。]で表されるものが挙げられる。 これらのポリオキシアルキレンは、それぞれ単独で用いることもできるが、組合せで用いることもできる。 上記ヒドロシリル化反応は、公知の技術を用いて行うことができる。すなわち、この反応は、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、ジオキサン、THF等のエーテル系、脂肪族炭化水素系、塩素化炭化水素系の有機溶剤中または無溶媒で行われる。 また、ヒドロシリル化反応は、触媒の不存在下で行っても良いが、触媒の存在下に行うと、低温で短時間で反応するので好ましい。ヒドロシリル化反応の触媒としては、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム等の化合物が挙げられ、その触媒活性が高いことから白金化合物が特に有効である。白金化合物の例としては、塩化白金酸;金属白金;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の坦体に金属白金を坦持させたもの;又は、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒等の白金錯体が挙げられる。触媒の使用量は、白金触媒を使用する場合、金属白金として0.0001〜0.1質量%程度である。 ヒドロシリル化反応の反応温度としては、通常、50〜150℃であり、反応時間は、通常10分間〜24時間、好ましくは1〜10時間である。 また、通常、ポリオキシアルキレンを過剰にして反応させる。 このようなヒドロシリル化反応により、得られた本発明に係るポリエーテル変性ポリシロキサンは、例えば、一般式(1):[式中、Rは、互いに独立して水素基又は1価の置換若しくは非置換の炭化水素基から選択された任意の基であり、mは0又は正の整数、nは0又は正の整数であり、Xは、一般式:(式中、Aは、水素基、1価の炭化水素基又はR2−(CO)−{式中、R2は1価の炭化水素基を表す}で表される有機基から選択された任意の基であり、xは2〜15の整数、yは0〜100の整数、zは0〜100の整数であるが、y+zは100以下の正の整数である。)で表される基であり、R1は、R又はXから選択された任意の基であるが、nが0の場合、R1の少なくとも1個はXである。]、又は一般式(2):(式中、Rは、互いに独立して水素基又は1価の置換若しくは非置換の炭化水素基から選択された任意の基であり、mは正の整数、pは1〜100の整数、xは2〜15の整数、yは0〜100の整数、zは0〜100の整数であるが、y+zは100以下の正の整数である。)で表される少なくとも一種を含有するものが挙げられる。2.ポリエーテル変性ポリシロキサンの精製 通常のポリエーテル変性ポリシロキサンは、前記ヒドロシリル化反応の反応溶液から溶剤を留去することにより精製される。このため未反応のポリオキシアルキレンは、ポリエーテル変性ポリシロキサン中に残存する。アリルエーテル化ポリオキシアルキレンは、白金等の触媒の存在により異性化を起こす。例えば末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンをヒドロシリル化反応に使用した場合には、一定の比率でプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンが生成する。従って、ポリエーテル変性ポリシロキサン中には、プロペニルエーテル化ポリオキシアルキレン及び末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンが残存する。 このプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンは、ビニルエーテル型の化合物であるため、容易に加水分解を起こし、軽質分を生成する。すなわちプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンは、空気中の水分および僅かな酸の存在により徐々に加水分解し、臭気物質であるプロピオンアルデヒドを生成する。 また、未反応の末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンは、ポリエーテル変性ポリシロキサンに残存する白金触媒の作用や経時での酸化劣化の影響により徐々にプロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンを生成し、臭気の原因となるばかりでなく、末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレン自体酸化に対する安定性は、通常の飽和炭化水素と比較し悪いので、この酸化物等が臭気の原因になりうる。また、ヒドロシリル化反応で副生するビニルシラン型の化合物ができる場合、この化合物は、酸化安定性が悪いと考えられる。従って、加水分解および酸化により臭気物質を発生することがなく、経時的にも安定なポリエーテル変性ポリシロキサンを得るには、プロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンを除去するだけではなく、臭気原因となる不安定構造をもつ化合物を、ポリエーテル変性ポリシロキサンに残存させないようにすることが必要である。 本発明の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンは、ヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサンを、固体酸存在下に処理することにより、精製されていることを特徴とするものであるが、次に説明する水素添加反応による処理と組合せて行うことが好ましい。この組合せ処理により、さらに、高度に精製されたものが得られる。 その組合せて行う精製処理としては、先に、固体酸存在下に処理し、その後に、水素添加反応による処理を行ってもよいし、一方、水素添加反応による処理を行った後に、固体酸存在下に処理してもよい。(1)水素添加反応による処理 先ず、水素添加反応による処理を説明する。 水素添加反応による処理は、炭素−炭素二重結合等の不飽和置換基をもつ化合物、および加水分解又は酸化に由来する化合物に、水素添加処理し、精製したポリエーテル変性ポリシロキサンを得るために行うものである。 水素添加反応には、公知の水素添加触媒が用いられる。例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、コバルト、クロム、銅、鉄等の単体または化合物がある。触媒担体は、無くてもよいが、用いる場合は活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト等が用いられる。また、ヒドロシリル化反応に使用した白金触媒をそのまま利用することもできる。これらの触媒は、単独で用いることもできるが、その組合せで用いることも可能である。 水素添加反応の溶媒は、使用しなくてもよいが、使用する場合は、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、ジオキサン、THF等のエーテル系、脂肪族炭化水素系、塩素化炭化水素系、又は水などの、水素添加条件に不活性な溶剤中で行われ、ヒドロシリル化反応に使用した溶媒を、そのまま使用することもできる。また、上記溶媒の2種類以上を混合して用いてもよい。 水素添加反応は、常圧および加圧下で行うことができる。現実的には水素加圧下で、即ち水素圧1〜200Kg/cm2で行う。また、水素添加反応は、0〜200℃で行うことができるが、反応時間の短縮のため、50〜170℃で行うことが望ましい。 水素添加反応は、回分式でも連続式でも良い。回分式の場合、反応時間は触媒量および温度等に依存するが、概ね3〜12時間である。 また、回分式の場合、水素添加反応の終点は、水素圧の減少がほとんど観測されなくなった時点から、さらに1〜2時間反応させた時点とすることができる。反応途中で水素圧が減少した場合、水素を再び導入し水素圧を高く保つことが反応時間短縮のために望ましい。 水素添加反応後は、窒素加圧下にけい藻土又は活性炭を用い、ろ過を行いヒドロシリル化反応および水素添加反応に使用した触媒を分離する。 反応に溶媒を使用した場合、及び水素添加後に軽質分が存在する場合には、必要に応じて、減圧下に窒素を吹き込みながら、これらの軽質分を留去し、ポリエーテル変性ポリシロキサンを精製する。また、この軽質分除去操作は、水添反応を行う前処理として行ってもよく、さらに、水添反応前後で2回行ってもよい。 このようにして、水素添加反応による処理をして、ポリエーテル変性ポリシロキサンに含有する不飽和基を無くすことにより、それに起因して発生するプロピオンアルデヒドなどを減少させることができるので、ある程度の無臭化は可能である。 しかしながら、前記したように、上記の水素添加反応のみでは、アセタールなどのアルデヒド縮合物が残存する場合があり、水溶液中でアルデヒドを生成し、悪臭の原因となる。これは、アルデヒド縮合物が不飽和結合を有していないため、水素添加反応のみでは、悪臭の原因物質を除去できないからである。(2)固体酸存在下の処理 本発明においては、上記の水素添加反応処理のみでは、アセタールなどのアルデヒド縮合物が残存するために、さらに、固体酸存在下の処理を行うことにより、ポリエーテル変性ポリシロキサンに残存するアルデヒド縮合物を分解することができ、ポリエーテル変性ポリシロキサンを無臭化することができる。すなわち、無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンを得ることができる。 また、前記したように、固体酸存在下の処理は、水素添加反応の処理の前に、予め、行うこともできる。この場合は、固体酸存在下の処理により、先ず、プロペニルエーテル化ポリオキシアルキレン及びアセタールなどのアルデヒド縮合物を分解した後に、生成したアルデヒド及び残留しているアルケニル化ポリオキシアルキレン等を、水素添加反応の処理によって、還元することになり、この方法によっても、ポリエーテル変性ポリシロキサンを無臭化することができる。 さらに、本発明においては、固体酸存在下の処理のみを行ってもよい。上記したように、プロペニルエーテル化ポリオキシアルキレンのみならずアセタールなどのアルデヒド縮合物をも分解することができるために、ポリエーテル変性ポリシロキサンを無臭化することができる。 本発明において、固体酸存在下の処理とは、例えば、ヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサンの反応系(例えば、フラスコなどの反応容器)中に、固体酸を添加して、撹拌する分解処理、又は固体酸と水若しくは固体酸と水と有機溶媒を添加して、撹拌する加水分解処理などを意味する。特に、反応系中に、固体酸と水を添加して、撹拌する加水分解処理が好ましい。加水分解処理においては、0〜200℃、より好ましくは80〜100℃、また、0.5〜24時間、より好ましくは1〜10時間程度の反応条件が好ましい。 また、固体酸を充填した反応塔に、ヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサンを通過(流通)させてもよい。この場合の反応条件としては、0〜200℃、より好ましくは80〜100℃で、0.5〜24時間、より好ましくは1〜10時間程度、循環させるものとする。 さらに、反応系中に軽質分が存在する場合には、必要に応じて、固体酸存在下の処理中に、減圧下に窒素を吹き込みながら、これらの軽質分を留去し、ポリエーテル変性ポリシロキサンを精製することが好ましい。また、この軽質分除去操作は、固体酸存在下の処理の前処理として行ってもよく、さらに、固体酸存在下の処理の後処理、或いは、固体酸存在下の処理の前後で2回行ってもよい。 本発明において、固体酸存在下の処理は、前記したように、好ましくは水の存在下に行うことができる。また、ポリエーテル変性ポリシロキサンが水に難溶のものである場合、水と水溶性の有機溶媒を併用することもできる。有機溶媒の例としては、炭素数1〜5の飽和1価アルコール、THF、ジオキサン、アセトンなどが挙げられる。 固体酸としては、酸性の固体物であり、固体酸性酸化ジルコニウム(固体酸性ジルコニア)、強酸性陽イオン交換樹脂、フッ素化スルホン酸樹脂、酸性白土、アルミナ、シリカアルミナ、又はゼオライトから選ばれる少なくとも一種が挙げられ、好ましくは、固体酸性酸化ジルコニウムや強酸性陽イオン交換樹脂であり、特に好ましくは、固体酸性酸化ジルコニウムである。 さらに詳しく説明すると、固体酸性酸化ジルコニウムとしては、例えば、ジルコニウム水酸化物を硫酸で処理した後300℃以上で調製したもの、さらに詳しくは、アルミニウム水酸化物又は水和酸化物、ジルコニウム水酸化物又は水和酸化物、及び硫酸分含有化合物を混練し成形して得られた成形物を、正方晶構造のジルコニアが得られる温度、具体的には300℃以上で焼成することにより、調製した固体酸性酸化ジルコニウム、具体的には硫酸ジルコニアなどが挙げられる。市販のものとして、固体酸性酸化ジルコニウム触媒として販売されている株式会社ジャパンエナジー製の「SZA−60」がある。また、強酸性陽イオン交換樹脂は、例えば、官能基がスルホン酸基(−SO3H)である陽イオン交換樹脂であり、市販のものとして、オルガノ株式会社(米国Rhom and Haas社)販売の「アンバーリスト15」、「アンバーリスト16」、「アンバーリスト31」、「アンバーリスト35」などがある。さらに、フッ素化スルホン酸樹脂は、重合体鎖に結合した懸垂状のスルホン酸基を有する過フッ素化された重合体であって、その具体例としては、特公昭59−4446号公報に開示されているものなどが挙げられる。 固体酸を用いることにより、系内への酸の残留がなく、また、中和も必要ないため、中和塩の残留もない。このため、これら酸物質や中和塩の残留による経時劣化、例えば、酸の残留によるポリエーテル変性ポリシロキサンの酸化や、中和塩の残留によるポリエーテル変性ポリシロキサンの解重合などがない。また、これら酸や中和塩の残留がないため、水素添加反応による処理を、固体酸存在下の処理後に行う場合、反応阻害が起こらないという効果が得られる。さらに、酸や中和塩そのものによる着臭、酸や中和塩の分解による着臭が生じることがないという利点がある。 精製された無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンには、フェノール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類、芳香族アミン類、又はビタミン類等の酸化防止剤を入れ、酸化に対する安定性を増加させることができる。 このような酸化防止剤としては、例えば、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ビタミンC、ビタミンEなどを好ましく用いることができる。このとき、使用する酸化防止剤の添加量は、精製された無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンに対し10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppmである。 また、酸化防止剤の添加は、軽質分の留去操作前に行うこともできる。 本発明の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンは、各種用途に使用することができるが、特に、皮膚や毛髪用の無香料化する化粧料や化粧品分野を中心に、ポリエーテル変性ポリシロキサンの使用がその着臭のために困難であった分野にも、利用することができる。 化粧料や化粧品として用いる場合、本発明の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの配合量は、化粧料や化粧品全体の0.1〜40質量%程度の範囲が好ましい。化粧料や化粧品の他の配合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、皮膚や毛髪用化粧料や化粧品に用いられている公知の成分を用いることができる。 例えば、毛髪化粧料に対しては、通常毛髪化粧料に配合されている成分を、製品の臭いに悪影響を与えない範囲で配合することができ、具体的には、例えば、オイル、樹脂、ガム、ゴム、粉末等の形状のシリコーン化合物[例えば、ジメチルポリシロキサンやジメチルメチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリカプロラクトン変性ジメチルポリシロキサン等]、各種油分(例えばツバキ油、ナタネ油、ゴマ油、サフラワー油、綿実油、ヒマシ油、大豆油、ヤシ油、パーム油、ミツロウ、モンタンロウ、ラノリン、スクワレン等)、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、アルカンスルホン酸塩、アルキルエトキシカルボン酸塩、コハク酸誘導体、アルキルアミンオキサイド、イミダゾリン型化合物、ポリオキシエチレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物等)、高分子化合物{ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化高分子、ポリビニルヒドリロン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル−アルキルアミノアクリレート共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体の低級アルキルハーフエステル、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル−N−アルキルアクリルアミド共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸−(tert−ブチル−安息香酸ビニル)共重合体、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム)、ビニルピロリドン−メタクリル酸−酢酸(tert−ブチル)共重合体、ビニルピロリドン−アクリル酸又はメタクリル酸共重合体等}、アミノ酸(グリシン、セリン、プロリン)、粉体(セリサイト、シリカアルミナ、シリカゲル、カオリン、タルク、ベンガラ、グンジョウ、雲母、雲母チタン、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化アンチモン、一酸化亜鉛、二酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリエチレン粉体等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、染料、顔料、色素、防腐剤、ビタミン剤、ホルモン剤、消臭剤、固着剤、消炎剤等を適量配合しても良い。実施例および比較例 以下、本発明について、実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。[実施例1](ポリエーテル変性ポリシロキサン1の合成と精製) 攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1000ml(1L)の4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が93.51ml/gで、構造式が(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]10[(CH3)HSiO]5Si(CH3)3であるメチルハイドロジェンポリシロキサン240gと、構造式がCH2=CHCH2O(C2H4O)10CH3であるアリルポリエーテル666.7gを仕込み、これに、白金濃度が3.0質量%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサントルエン溶液を加えて、80℃で2時間反応を行った。 硫酸ジルコニア(ジャパンエナジー製の「SZA−60」)を1.3g、精製水9gを添加して、95℃で5時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去し、ろ過して、ポリエーテル変性ポリシロキサン1を得た。 尚、このポリエーテル変性ポリシロキサン1は、前記一般式(1)の構造のものであり、一般式(1)において、R=R1=A=CH3、m=10、n=5、x=3、y=10、z=0であり、すなわち、構造式は、(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]10[(CH3)(C3H6O(C2H4O)10CH3)SiO]5Si(CH3)3である。[実施例2](ポリエーテル変性ポリシロキサン2) 実施例1で得られたポリエーテル変性ポリシロキサン1の700gをオートクレーブに移し、ラネーニッケル触媒35gを加えたのち、水素を導入して140℃、80kg/cm2で6時間、水素添加反応を行った。触媒をろ過した後、減圧下で低沸分を留去し、ろ過して、ポリエーテル変性ポリシロキサン2を得た。[実施例3](ポリエーテル変性ポリシロキサン3の合成と精製) 攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1Lの4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が93.51ml/gで、構造式が(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]10[(CH3)HSiO]5Si(CH3)3であるメチルハイドロジェンポリシロキサン240gと、構造式がCH2=CHCH2O(C2H4O)10CH3であるアリルポリエーテル666.7gを仕込み、これに塩化白金酸の10%エタノール溶液を加えて、80〜100℃で2時間反応を行った。 この後、重曹にて中和し、90〜100℃で減圧して、低沸分の留去とろ過を行った。 このろ液700gをオートクレーブに移し、ラネーニッケル35gを加えたのち水素を導入して、140℃、80kg/cm2で6時間、水素添加反応を行った。触媒をろ過し、硫酸ジルコニア(ジャパンエナジー製の「SZA−60」)を1g、精製水を6g添加して、95℃にて5時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去し、ろ過することにより、ポリエーテル変性ポリシロキサン3を得た。 尚、このポリエーテル変性ポリシロキサン3の構造は、前記ポリエーテル変性ポリシロキサン1と同一である。[実施例4](ポリエーテル変性ポリシロキサン4の合成と精製) 攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1Lの4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が93.51ml/gで、構造式が(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]10[(CH3)HSiO]5Si(CH3)3であるメチルハイドロジェンポリシロキサン240gと、構造式がCH2=CHCH2O(C2H4O)10CH3であるアリルポリエーテル666.7gを仕込み、これに塩化白金酸の10%エタノール溶液を加えて、80〜100℃で2時間反応を行った。 この後、重曹にて中和し、90〜100℃で減圧して、低沸分の留去とろ過を行った。 このろ液700gをオートクレーブに移し、ラネーニッケル触媒35gを加えたのち、水素を導入して、140℃、80kg/cm2で6時間、水素添加反応を行った後、触媒をろ過した。 これとは別にポンプ、加熱炉を備えた内径15mmの反応塔、磁気的攪拌子を備えた500ml4つ口フラスコを、順につなげた流通反応器を組み立てておき、反応塔の内部には、両端をグラスウールで塞ぎ、その中に硫酸ジルコニア(ジャパンエナジー製の「SZA−60」)20mlを充填した。この硫酸ジルコニアは、予め、乳鉢でわずかに砕き10〜20メッシュ(mesh)の大きさに揃え、実験直前に350℃のオーブンで2時間焼成したものである。 先ほどのろ液300mlおよび精製水3gを4つ口フラスコに入れ、攪拌しながら100℃に加熱した反応装置に6時間循環させて、流通させながら、減圧下で低沸分を留去することにより、ポリエーテル変性ポリシロキサン4を得た。 尚、このポリエーテル変性ポリシロキサン4の構造は、前記ポリエーテル変性ポリシロキサン1と同一である。[実施例5](ポリエーテル変性ポリシロキサン5) 実施例3で硫酸ジルコニアの代わりに、強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ社販売の「アンバーリスト35」)を用いた以外は、すべて同様の操作を行うことによりポリエーテル変性ポリシロキサン5を得た。[比較例1] 実施例1で行った硫酸ジルコニアによる処理を行うことなく、重曹2.5gを添加し、減圧下で低沸分を留去し、ろ過したサンプルを比較サンプル1とした。[比較例2] 実施例1で行った硫酸ジルコニアの代わりに、0.1mol/L塩酸水溶液を9g添加して、95℃で1時間、加水分解処理を行った後、重曹4.5gを添加して中和、減圧下で低沸分を留去し、ろ過したサンプルを比較サンプル2とした。[比較例3] 実施例2で行った硫酸ジルコニアによる処理を行うことなく、得られたサンプルを比較サンプル3とした。[比較例4] 比較例1で得られたサンプル700gと、りん酸、クエン酸及び水酸化ナトリウムからなるpHを3.3に調整したりん酸緩衝液3.5gをオートクレーブに移し、ラネーニッケル触媒35gを加えたのち、水素を導入して140℃、80kg/cm2で6時間、水素添加反応を行った。触媒をろ過した後、減圧下で低沸分を留去し、ろ過して得られたサンプルを比較サンプル4とした。[比較例5] 実施例3で行った硫酸ジルコニアの代わりに、0.1mol/L塩酸水溶液を7g添加して、95℃で1時間、加水分解処理を行った後、重曹3.5gを添加して中和、減圧下で低沸分を留去し、ろ過したサンプルを比較サンプル5とした。[比較例6] 比較例2で得られたサンプル700gを、実施例2と同様オートクレーブに移し、ラネーニッケル触媒35gを加えたのち、水素を導入して140℃、80kg/cm2で6時間、水素添加反応を行った。触媒をろ過した後、減圧下で低沸分を留去し、ろ過して得られたサンプルを比較サンプル6とした。 上記で得られた実施例1〜5と比較例1〜6のポリエーテル変性ポリシロキサンについて、臭気性と、粘度変化、pH変化を評価した。 臭気性の評価は、臭気(原体)として、サンプル調製初期と、サンプルを70℃、1ヶ月放置したのち、検査した。また、臭気(配合系)として、サンプル3g、プロピレングリコール3g、精製水24gを混合し、初期と、70℃で2週間放置した後、検査した。 それらの評価基準は、◎:全く臭わない、○:ほとんど臭わない、△:やや臭う、×:強烈に臭う、として評価した。 また、粘度変化の評価は、サンプル調製初期と、サンプルを70℃、1ヶ月放置した後の粘度を測定し、検査した。 さらに、pH変化の評価は、サンプル調製初期と、サンプルを25℃、1ヶ月放置した後のpHを測定し、検査した。そのpHの測定は、サンプルを精製水に溶解させ、10質量%水溶液を調整し、25℃で行った。 これらの評価結果を表1にまとめて示す。表1の結果から明らかなように、本発明の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの臭気性と粘度変化、pH変化に対する顕著な効果を確認することができた。 本発明の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンは、末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサンにおいて、該ポリエーテル変性ポリシロキサンを固体酸存在下に処理することにより、高度に精製されていることを特徴とするものであり、その製造および保存における副反応生成物および未反応物が加水分解及び酸化等により臭気物質を発生することがなく、経時的にも安定であるという顕著な効果を奏する。 そのため、皮膚や毛髪用の無香料化する化粧料や化粧品分野を中心に、ポリエーテル変性ポリシロキサンの使用がその着臭のために困難であった分野にも、利用することができる。 末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により合成されたポリエーテル変性ポリシロキサンを固体酸存在下に処理する工程を包含することを特徴とする無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。 固体酸存在下に処理する工程と、前記ポリエーテル変性ポリシロキサンの水素添加反応工程とを、包含することを特徴とする請求項1に記載の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。 固体酸存在下の処理工程は、前記ポリエーテル変性ポリシロキサンの水素添加反応工程の前又は後に、行われることを特徴とする請求項2に記載の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。 さらに、軽質分を留去する工程が、固体酸存在下の処理工程中若しくは工程後、又は水素添加反応工程前若しくは工程後に、行われることを特徴とする請求項2に記載の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。 固体酸は、固体酸性酸化ジルコニウム、強酸性陽イオン交換樹脂、フッ素化スルホン酸樹脂、酸性白土、アルミナ、シリカアルミナ、又はゼオライトから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。 固体酸は、固体酸性酸化ジルコニウム又は強酸性陽イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。 請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料用無臭化ポリエーテル変性ポリシロキサンの製造方法。